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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096857
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】刺繍装飾容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/18 20060101AFI20230630BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A45D33/18 A
A45D40/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212877
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】518440062
【氏名又は名称】コギトケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大智
(57)【要約】
【課題】高い意匠性を有する刺繍装飾容器を提供する。
【解決手段】天面34を有する蓋体3と、蓋体3が被せられて内部空間11が閉じられる本体2とを備え、蓋体3は、縁から上方向に突出した突出縁部32を有し、蓋体3の天面34に装飾部材6が設けられ、記装飾部材6は、文字、模様、または図形を表す意匠刺繍62を施した生地61で構成され、突出縁部32に囲まれた天面34に収まる大きさを有し、生地31の端部の側面である生地端面611の高さT3が突出縁部32の高さT1より低く、生地端面611は、刺繍が施された端部刺繍63を有し、端部刺繍63の高さT2が突出縁部32の高さT1より低い刺繍装飾容器1とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面を有する蓋体と、前記蓋体が被せられて内部空間が閉じられる本体とを備え、
前記蓋体は、縁から上方向に突出した突出縁部を有し、
前記蓋体の前記天面に装飾部材が設けられ、
前記装飾部材は、文字、模様、または図形を表す刺繍を施した生地で構成され、
前記突出縁部に囲まれた前記天面に収まる大きさを有し、
前記生地の端部の側面である生地端面の高さが前記突出縁部の高さより低い
刺繍装飾容器。
【請求項2】
前記生地端面は、刺繍が施された端部刺繍を有し、
前記端部刺繍の高さが前記突出縁部の高さより低い
請求項1記載の刺繍装飾容器。
【請求項3】
前記蓋体は、全周にわたって前記突出縁部を有する
請求項1または2記載の刺繍装飾容器。
【請求項4】
前記生地は、熱可塑性樹脂によって構成され、
前記刺繍は、前記生地よりも高い融点を有する繊維で構成されている
請求項1,2、または3記載の刺繍装飾容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本体と、本体に被せられる蓋体とを有する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品や小物等を収納して持ち歩くための容器が提供されている。このような容器は、収納物の大きさが小さいことから容器自体の大きさも手のひらに乗る程度の大きさに収められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ファンデーション等の化粧品を内容物として収納するコンパクト容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2517071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような小型の容器は、主に女性が持ち歩くことが多く、外出先で取り出すこともあるため、より高い意匠性が求められている。
【0006】
本願発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、高い意匠性を有する刺繍装飾容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、天面を有する蓋体と、前記蓋体が被せられて内部空間が閉じられる本体とを備え、前記蓋体は、縁から上方向に突出した突出縁部を有し、前記蓋体の前記天面に装飾部材が設けられ、前記装飾部材は、文字、模様、または図形を表す刺繍を施した生地で構成され、前記突出縁部に囲まれた前記天面に収まる大きさを有し、前記生地の端部の側面である生地端面の高さが前記突出縁部の高さより低い刺繍装飾容器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、高い意匠性を有する刺繍装飾容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】刺繍装飾容器の斜視図。
図2】刺繍装飾容器の閉状態における側面図。
図3】刺繍装飾容器の開状態における側面図。
図4】蓋体の側断面図。
図5】蓋体の端部付近の側断面拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0011】
図1は、刺繍装飾容器1の斜視図であり、図2は、刺繍装飾容器1の閉状態における側面図であり、図3は、刺繍装飾容器1の開状態における側面図である。なお、本明細書における上方向は、刺繍装飾容器1において蓋体3が配置されている方向であり、本明細書における下方向は、刺繍装飾容器1において蓋体3が配置されている方向であり、刺繍装飾容器1の正面側は、オープンボタン4が配置されている側であり、刺繍装飾容器1の背面側は、蓋体ヒンジ5が配置されている側である。
【0012】
本実施例の刺繍装飾容器1は、化粧料および化粧用パフを収納することができる化粧用コンパクトである。刺繍装飾容器1は、下部を形成する本体2と、上部を形成する蓋体3と、内部に収納されている中皿7と、蓋体3の天面34に接着されている装飾部材6とを備えている。刺繍装飾容器1は、大人の手のひら程度の大きさで、外観形状が略円柱形状を有する。また、刺繍装飾容器1は、内部に外観形状に沿った略円柱形状の内部空間である収容空間11を有する。なお、刺繍装飾容器1の外観形状は、略円柱形状に限定されず、略角柱形状であってもよい。
【0013】
本体2は、刺繍装飾容器1の下部を形成し、一定の高さを有するリング状の周部21と、周部21の底を塞ぐ底部22とを有して、上面が開放された本体収容空間23を有する形状である。底部22は、周部21の下端全周から下方内側へ湾曲しつつ傾斜する傾斜部22aと、この傾斜部22aから連続して内側全体を塞ぐ水平な水平部22bを有している。本体収容空間23は、収容空間11の下部に該当する。本体収容空間23には、例えば固形の化粧料が収納されている。また、本体2は、内側に向かって押圧を可能としたオープンボタン4が周部21の正面に備えられている。また、周部21の背面は、内側に凹となる形状を有し、蓋体3の蓋体ヒンジ5および中皿7の中皿ヒンジ73(後述)が挿入されている。さらに、周部21は、蓋体ヒンジ5および中皿ヒンジ73を幅方向の直線状の両側に、本体ヒンジ孔24を有する。本体ヒンジ孔24には、ヒンジ軸51が挿通されている。
【0014】
オープンボタン4は、正面の外周の形状が本体2の外周の形状と連続するように形成され、本体2との間に蓋体3のフック31が挿入できる大きさの空間を有するように配置されている。したがって、刺繍装飾容器1が閉状態のとき、蓋体3のフック31が、本体2とオープンボタン4との間に挿入される。このとき、オープンボタン4および本体2は、オープンボタン4が内側に向かって押圧された場合に蓋体3のフック31が、オープンボタン4と本体2との間の空間から上方向に離脱する機構を有する。このような機構としては、例えば、オープンボタン4の内側の面にボタン側凸部(図示省略)を備え、本体2のオープンボタン4に対向する面に本体側凸部(図示省略)を備え、オープンボタン4が押圧されることで、本体側凸部に掛け止めされた蓋体3のフック31をボタン側凸部によって上方向に押し出すような機構とすることができる。
【0015】
中皿7は、刺繍装飾容器1が閉状態のとき、収容空間11に収納されている。中皿7は、正面および背面が幅方向に欠けた略円盤形状であって、底部72と、底部72から外周方向に広がりながら立ち上がる周部71とを有する。また、中皿7は、背面から下方向に突出した中皿ヒンジ73を有する。また、底部72の下面(中皿7の底面)に鏡を備える。したがって、底部72の上面に乗せるようにして化粧用パフを収納することができ、本体2の本体収容空間23に収納された化粧料をパフに付着させて化粧を行う際には、中皿7の底面に備えられた鏡を使用することができる。
【0016】
図4は、蓋体3の側断面図である。
蓋体3は、刺繍装飾容器1の上部を形成し、一定の高さと一定の厚みを有するリング状の周部35と、円盤状の天盤部36を有して、下面が開放された蓋体収容空間37を有する形状である。また、蓋体3は、縁が全周にわたって上方向に突出して突出縁部32が形成されている。なお、突出縁部32は、全周にわたって設けられていなくてもよい。突出縁部32は、蓋体3の全周の50%以上に設けられていることが好ましく、70%以上に設けられていることがより好ましく、90%以上に設けられていることがさらに好ましい。また、突出縁部32が設けられていない縁は、その長さがそれぞれ確実に大人の指の幅以下となる5mm以下であることが好ましい。また、蓋体3は、蓋体収容空間37の上面(天盤部36の下面)から下方向(本体2側)に向かって突出したフック31を正面に有し、蓋体収容空間37の上面(天盤部36の下面)から下方向(本体2側)に向かって突出した蓋体ヒンジ5を背面に有する。
【0017】
突出縁部32は、外周面が蓋体3の外周面と連続して形成されている。そして、突出縁部32の内周面と、蓋体3の天面34によって天面凹部33が形成されている。このとき、突出縁部32の天面34からの突出した高さが、天面凹部33の高さとなる。突出縁部32の天面34からの高さ(天面凹部33の高さ)は、0.5mm~3mmとすることが好ましく、1~2mmとすることがより好ましい。天面凹部33には、装飾部材6が天面凹部33内に収まるように(天面34から外周方向にはみ出ることなく)配置されている。
【0018】
フック31は、蓋体3の下面からさらに下方向に突出した突出部材により形成され、その内周面に内側へ突出するフック凸部31aを有する。フック凸部31aは、刺繍装飾容器1が閉状態のとき、オープンボタン4の内面に対向して本体2に設けられた本体側凸部(図示省略)に掛けられている。
【0019】
蓋体ヒンジ5は、内周方向に傾いて下方向に突出しており、突出した端部が下方向に湾曲した形状を有する。また、蓋体ヒンジ5は、突出した端部付近にヒンジ軸孔52を有し、ヒンジ軸孔52にヒンジ軸51が幅方向に挿通されている。
【0020】
ヒンジ軸51は、蓋体ヒンジ5と本体2と中皿7の中皿ヒンジ73にそれぞれ設けられた幅方向の孔(図示省略)に挿通されて蓋体ヒンジ5と本体2と中皿7の中皿ヒンジ73を幅方向に連通して接続している。したがって、刺繍装飾容器1が開状態のとき、本体2、ヒンジ接続部を備える中皿7、および蓋体ヒンジ5を備える蓋体3が、それぞれに対してヒンジ軸51を中心軸として回動される。
【0021】
すなわち、刺繍装飾容器1が閉状態のときにオープンボタン4が押圧されると、オープンボタン4のボタン側凸部(図示省略)によってフック31のフック凸部31aが本体2の本体側凸部(図示省略)から外れて、刺繍装飾容器1が開状態へ遷移する。そして、刺繍装飾容器1が開状態のとき、本体2、収容空間11に収容されていた中皿7、および蓋体ヒンジ5を備える蓋体3が、それぞれに対してヒンジ軸51を中心軸として自由に回動される。
【0022】
図5は、蓋体3の端部付近の側断面拡大図である。
装飾部材6は、厚みが薄い円盤形状であり、蓋体3の突出縁部32の内周の大きさと同じかわずかに小さい大きさに形成されている。装飾部材6は、蓋体3の天面34に蓋体3の中央と装飾部材6の中央とが重なるように、かつ、蓋体3の外周からはみ出さないように天面凹部33内に配置されている。なお、装飾部材6の形状および中央の配置はこれに限定されない。例えば、装飾部材6は多角形であってもよく、蓋体3の中央と装飾部材6の中央が重なっていなくてもよい。さらに、装飾部材6は、上面に撥水コーティングが施されていてもよい。撥水コーティングのコーティング剤の種類は特に限定されず、種々の繊維用のコーティング剤を使用することができる。
【0023】
装飾部材6は、薄い生地61と、生地61に施された刺繍(62および63)と、生地61の底面に配置された接着シート64で構成されている。
生地61は、熱可塑性樹脂である黒色のポリエステル製の化学繊維(合成繊維)で形成されている。なお、生地61の色および素材は、これに限定されず、種々の色を有する熱可塑性の化学繊維または天然繊維を使用することができる。生地61は、外周の端部に端部刺繍63が施され、端部刺繍63より内側に意匠刺繍62が施されている。また、生地61の側面である生地端面611は、その高さである端面高さT3が、突出縁部32の縁部高さT1よりも低い位置にある。したがって、生地端面611は、刺繍装飾容器1の側面、正面、および背面からは視認されない。生地61(装飾部材6)は、生地端面611と突出縁部32の内周面(天面凹部33の内周側面)との間に形成された隙間Aが1mm以下となるように、その端部が突出縁部32の内周面付近に配置される。なお、隙間Aは0mmであってもよい。すなわち、生地61の生地端面611は、突出縁部32の内周面と接するか、隙間Aが1mm以下である突出縁部32の内周面付近に配置される。
【0024】
端部刺繍63は、生地61の端部の外周を1周するように施されている。また、端部刺繍63の高さである刺繍高さT2は、縁部高さT1よりも低く構成されることが好ましい。
【0025】
意匠刺繍62は、端部刺繍63よりも内側の生地61に施されている。また、意匠刺繍62は、文字、模様、図形、およびこれらの組み合わせを表すように施される。本実施例では、幾何学的な模様を表す意匠刺繍62が施されている。
【0026】
意匠刺繍62および端部刺繍63は、化学繊維(再生繊維)であるレーヨン繊維を工業用ミシンで生地61に縫い付けて形成されている。また、使用されているレーヨン繊維の色は、黒、青、赤といった種々の色とすることができる。意匠刺繍62および端部刺繍63の素材は、レーヨン繊維に限定されず、種々の化学繊維または天然繊維を使用することができる。意匠刺繍62および端部刺繍63の素材は、生地61よりも融点が高い素材とすることが好ましい。
【0027】
接着シート64は、薄いシートであって、上面および下面に接着剤が塗布されている。また、上面および下面の形状は、生地61の下面と同じ形状を有し、接着シート64は、生地61とぴったり重なるように配置されている。したがって、接着シート64は、上面に塗布された接着剤によって、縫い付けによって生地61の下面から盛り上がった刺繍と接着され、下面に塗布された接着剤によって、天面凹部33の底面と接着されている。
【0028】
このような装飾部材6は、例えば、1枚の大きな面積を有する生地素材に、同じパターンの刺繍をいくつか施した後、裏面に生地素材と同じ大きさの接着シート素材を貼り付けて、所定の形状および大きさに切断して作製される。このとき、端部刺繍63を切断の目印として使用することができる。また、切断方法としては、例えば、切断刃を加熱し、熱によって生地素材を切断するヒートカットとすることができる。ヒートカットを行うときの切断刃の温度は、生地61の融点より高く、刺繍の融点より低いことが好ましい。
【0029】
以上の構成により、高い意匠性を有する刺繍装飾容器1を提供することができる。
本発明の装飾部材6は、文字、模様、または図形を表す意匠刺繍62を施した生地61で構成され、生地61の生地端面611は、突出縁部32の内周面に接するか内周面付近に配置され、生地61の生地端面611の高さが突出縁部32の高さより低い構成である。この構成により、刺繍で形成された意匠によって高級感を有した高い意匠性を有する刺繍装飾容器1を提供することができる。また、ヒートカットによる切断面(生地端面611)は、生地61が溶け再度固まった状態であることから見栄えが悪いが、生地61の生地端面611の高さが突出縁部32の高さより低いため生地端面611が視認されず、刺繍装飾容器1の意匠性を向上させることができる。さらに、生地端面611は、突出縁部32の内周面との隙間Aがごくわずかであるため、隙間Aから水分や油分といった物質が入り込みづらく、装飾部材6が蓋体3からはがれてしまうといったことが起こりづらい。したがって、刺繍装飾容器1の耐久性を向上させることができる。
【0030】
また、生地61は、外周の端部付近に刺繍が施されて端部刺繍63を有し、端部刺繍63の高さが突出縁部32の高さより低い構成である。この構成により、端部刺繍63が突起などに引っかかってほつれることがなく、高い意匠性を長く保持することができる。また、複数の刺繍装飾容器1を上方向に重ねて保管または輸送する場合であっても、複数の刺繍装飾容器1を安定して重ねて積み上げることができ、利便性を向上させることができる。
【0031】
また、蓋体3は、縁部の全周にわたって突出縁部32を有する構成である。この構成により、生地端面611は、突出縁部32の内周面との隙間Aがごくわずかであるため、全周にわたって隙間Aから水分や油分といった物質が入り込みづらく、装飾部材6が蓋体3からはがれてしまうといったことが起こりづらい。したがって、刺繍装飾容器1の耐久性をさらに向上させることができる。
【0032】
また、生地61は、熱可塑性樹脂によって構成され、端部刺繍63は、生地61よりも高い融点を有する繊維で構成されている。この構成により、ヒートカットによって装飾部材6を作製した場合に、端部刺繍63が溶けず、形が崩れることなく装飾部材6を作製できる。したがって、より高い意匠性を有する刺繍装飾容器1を提供することができる。
【0033】
また、装飾部材6は、上面に撥水コーティングが施されている。この構成により、水分や油分といった物質によって生地61や意匠刺繍62が劣化することがなく、高い意匠性を長く保持することができる。
【0034】
また、本発明の刺繍装飾容器1は、化粧用コンパクトとして好適に使用することができる。詳細には、特に、刺繍装飾容器1が化粧用コンパクトである場合は、油分を含む化粧品に触れた指によって蓋体3が遷移され、刺繍装飾容器1が閉状態に遷移する。したがって、本発明の耐久性を向上させる効果をより発揮することができる。また、蓋体3を開状態から閉状態の位置へ移動させるためには、指を蓋体3で押す必要があるが、生地61の生地端面611の高さが突出縁部32の高さより低い構成であるため、突出縁部32に指を引っ掛けて蓋体3を遷移させることができる。すなわち、生地61で指が滑って刺繍装飾容器1が開状態から閉状態に完全に移行しないことが起こりにくくなり、利便性を向上することができる。
【0035】
また、突出縁部32は、蓋体3の全周の50%以上に設けられ、突出縁部32が設けられていない縁がある場合、その縁は、その長さがそれぞれ確実に大人の指の幅以下となる5mm以下としている(この実施例では突出縁部32が設けられていない縁が存在しない)。この構成により、使用者が化粧品等の内容物によって汚れた指で蓋体3を押して刺繍装飾容器1を開状態から閉状態に遷移させる場合においても、汚れた指が生地61と天面34との境界に触れることがない。したがって、生地61と天面34の間に水分や油分といった物質が入り込みづらく、装飾部材6が蓋体3からはがれてしまうといったことが起こりづらい。すなわち、刺繍装飾容器1の耐久性をさらに向上させることができる。
【0036】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本発明の刺繍装飾容器1を化粧用コンパクト以外の用途で使用することができる。例えば、菓子や小物を収容する多目的容器として使用することもできる、または、置物のようなインテリアとして使用することもできる。
【0037】
また、例えば、蓋体3に蓋体ヒンジ5を設けず、刺繍装飾容器1が開状態のときは本体2と蓋体3とが完全に別部材となる構成であってもよい。この場合、中皿7も別部材となるように構成されていてもよいし、中皿7のヒンジ接続部を新たなヒンジとして、本体2と接続されていてもよい。
【0038】
また、例えば、刺繍装飾容器1が中皿7を設けない構成であってもよい。この場合、小物入れのような単純な容器として刺繍装飾容器1を使用することができる。また、中皿7を設けず、収容空間11が壁などによって複数の収容室に分割されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明は、化粧用コンパクトの製造および販売に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…刺繍装飾容器
11…収容空間
2…本体
3…蓋体
31…フック
32…突出縁部
33…天面凹部
34…天面
4…オープンボタン
5…蓋体ヒンジ
51…ヒンジ軸
52‥ヒンジ孔
6…装飾部材
61…生地
611…生地端面
62…意匠刺繍
63…端部刺繍
64…接着シート
図1
図2
図3
図4
図5