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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096862
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】覚醒支援装置、及び、覚醒支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230630BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G08G1/16 F
A61M21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212886
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 朋果
(72)【発明者】
【氏名】前田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】窪田 耕明
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF27
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】安全を担保した上で運転者の覚醒を効果的に促すことができる覚醒支援装置を提供する。
【解決手段】運転者の覚醒を促す覚醒支援装置10であって、運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定部12と、車両状態判定部12の判定結果に基づいて、運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置20を制御する刺激制御部13と、を備え、刺激制御部13は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された場合、車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を刺激発生装置20に発生させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の覚醒を促す覚醒支援装置であって、
前記運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定部と、
前記車両状態判定部の判定結果に基づいて、前記運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置を制御する刺激制御部と、を備え、
前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる、
覚醒支援装置。
【請求項2】
さらに、前記運転者の状態を検出するセンサの検出情報に基づいて、前記運転者の眠気の程度を示す眠気レベルを推定する眠気推定部を備え、
前記刺激制御部は、前記眠気推定部により推定された前記眠気レベルに応じて、前記刺激発生装置に発生させる刺激の強度を変更する、
請求項1に記載の覚醒支援装置。
【請求項3】
前記刺激制御部は、
前記眠気推定部により推定された前記眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定されたときに、前記刺激を発生させるように前記刺激発生装置を制御し、
前記眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定され、かつ、前記車両が走行状態であると判定された場合、第1強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させ、
前記眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定され、かつ、前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合の前記第1強度の刺激よりも高い強度の刺激を発生させる、
請求項2に記載の覚醒支援装置。
【請求項4】
さらに、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合に、前記車両の発進タイミングを推定する発進タイミング推定部を備え、
前記刺激制御部は、
前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングに応じて、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を変更させる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項5】
前記刺激制御部は、
前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングよりも一定時間前に、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を前記車両が走行状態であると判定された場合の強度に変更させる、
請求項4に記載の覚醒支援装置。
【請求項6】
前記刺激制御部は、
前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングよりも一定時間前から前記発進タイミングまで、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を段階的に低くさせることで、前記発進タイミングに前記車両が走行状態であると判定された場合の強度に変更させる、
請求項4に記載の覚醒支援装置。
【請求項7】
前記刺激制御部は、
前記運転者の集中度に応じて、前記一定時間の長さを変更する、
請求項5又は6に記載の覚醒支援装置。
【請求項8】
前記刺激制御部は、
前記車両の周囲環境から得られた周囲環境情報に基づいて、前記一定時間の長さを変更する、
請求項5又は6に記載の覚醒支援装置。
【請求項9】
前記刺激制御部は、
前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された時から前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングまでの長さに応じて、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を変更させる、
請求項4~8のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項10】
前記刺激制御部は、
前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された時から前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングまでの時間長さが第2閾値より長い場合、当該時間長さが前記第2閾値以下である場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる、
請求項9に記載の覚醒支援装置。
【請求項11】
前記発進タイミング推定部は、
前記車両が進む方向の信号機から得た情報、前記進む方向の踏切から得た情報、及び、前記進む方向の他の車両に関する情報の少なくとも一つに基づいて、前記車両の前記発進タイミングを推定する、
請求項4~10のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項12】
さらに、
前記車両状態判定部により前記車両が走行状態であると判定された場合に、前記車両が停止状態となる停止タイミングを推定する停止タイミング推定部を備え、
前記刺激制御部は、前記停止タイミング推定部により推定された前記停止タイミングに応じて、前記刺激発生装置に発生させる前記刺激の強度を変更する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項13】
前記刺激制御部は、
前記停止タイミング推定部により推定された前記停止タイミングまでの時間長さに応じて、前記刺激発生装置に発生させる前記刺激の強度を変更する、
請求項12に記載の覚醒支援装置。
【請求項14】
前記刺激制御部は、
前記停止タイミング推定部により推定された前記停止タイミングまでの時間長さが第3閾値より短い場合、前記停止タイミングまでの時間長さが前記第3閾値以上である場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる、
請求項13に記載の覚醒支援装置。
【請求項15】
前記刺激制御部は、
前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が停止してから一定時間後に、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる、
請求項1~14のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項16】
前記刺激制御部は、
前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、
前記刺激発生装置に、前記刺激の強度を前記車両が走行状態であると判定された場合の強度から段階的に高くさせることで、前記車両が停止状態であると判定された場合の強度に変更させる、
請求項1~15のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項17】
前記刺激制御部は、
前記刺激発生装置に発生させる刺激の種別を変化させることにより、前記刺激の強度を変更させる、
請求項1~16のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項18】
前記刺激は、
風、音、振動、香り、及び光の少なくとも1つである、
請求項1~17のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項19】
前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を発生させることは、
所定の動作を行うことを前記運転者に認識させて、前記運転者に前記所定の動作を行わせることである、
請求項1~17のいずれか1項に記載の覚醒支援装置。
【請求項20】
運転者の覚醒を促す覚醒支援方法であって、
前記運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定ステップと、
前記車両状態判定ステップの判定結果に基づいて、前記運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置を制御する刺激制御ステップと、を備え、
前記刺激制御ステップでは、前記車両状態判定ステップにおいて前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる、
覚醒支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転者の覚醒を促す覚醒支援装置、及び、覚醒支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者は、車両を運転している間、十分に覚醒していることが求められる。これに対して、運転者の眠気を覚まさせる装置、言い換えれば、運転者の覚醒を促す覚醒支援装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されている覚醒支援装置によれば、車両の運転者が眠気を催していると判定された場合に、複数種類の刺激を発生可能な刺激発生装置に、運転者の周辺の環境に基づいて選択した刺激を発生させることができ、運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-151752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、眠気の覚醒効果が高い刺激は運転者にディストラクション(注意散漫)が発生しやすくなるため、運転状況によっては危険性を高めてしまう。一方で、ディストラクションが発生しにくい刺激は覚醒効果が低いとの課題がある。
【0006】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、安全を担保した上で運転者の覚醒を効果的に促すことができる覚醒支援装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る覚醒支援装置は、運転者の覚醒を促す覚醒支援装置であって、前記運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定部と、前記車両状態判定部の判定結果に基づいて、前記運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置を制御する刺激制御部と、を備え、前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示における覚醒支援装置等によれば、安全を担保した上で運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る刺激の種別と刺激を発生させるためのパラメータとの一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態1に係る刺激の種別の変化と刺激の強度の変更との関係の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態1に係る覚醒支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態1に係る覚醒支援装置の動作を概念的に示した説明図である。
図6図6は、実施の形態2に係る覚醒支援装置の構成の一例を示す図である。
図7図7は、図6に示す取得部の詳細構成の一例である。
図8図8は、図6に示す推定部の詳細構成の一例である。
図9図9は、実施の形態2に係る眠気レベルに応じて刺激発生装置に発生させる刺激の強度の一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態2に係る覚醒支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施の形態2に係る覚醒支援装置の動作を概念的に示した説明図である。
図12図12は、実施の形態2に係る覚醒支援装置の動作の別の一例を概念的に示した説明図である。
図13図13は、実施の形態2の変形例1に係る推定部の構成の一例を示す図である。
図14図14は、実施の形態2の変形例1に係る発進タイミング前の一定時間に設定される時間の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0012】
(実施の形態1)
以下では、図面を参照しながら、実施の形態に係る覚醒支援装置等について説明する。
【0013】
[1 システムの構成]
図1は、実施の形態1に係るシステムの構成の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すシステムは、覚醒支援装置10と刺激発生装置20とで構成され、典型的には、車両に搭載される。
【0015】
[1.1 車両]
実施の形態1に係る車両は、覚醒支援装置10の支援対象である運転者が運転する自動車、バイク又は自転車等である。
【0016】
実施の形態1に係る車両は、車外情報を取得するためのカメラ及び通信装置を備える。これらカメラ及び通信装置は、例えばCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークに接続される。実施の形態1に係る車両は、さらに、当該車両の運転者の生体情報などの内的情報を取得できるセンサを備えるとしてもよい。
【0017】
車外情報は、例えば当該車両の周囲環境に関する情報(周囲環境情報)であるが、これに限らない。車外情報には、当該車両が進む方向の信号から得た情報、当該車両が進む方向の踏切から得た情報、及び、当該車両が進む方向の他の車両に関する情報などが含まれてもよい。
【0018】
[1.2 刺激発生装置20]
刺激発生装置20は、運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生する。刺激発生装置20により発生される刺激は、風、音、振動、香り、及び光の少なくとも1つであり、運転者の五感を刺激して運転者の覚醒を促すために用いられる。なお、刺激は、運転者に特定の動作をさせたり、特定の操作をさせたりすることであってもよい。
【0019】
本実施の形態では、刺激発生装置20は、覚醒支援装置10の刺激制御部13により制御されて、風、音、振動、香り、及び光の少なくとも1つの刺激を発生させたり、発生させている刺激を停止させたり、発生させている刺激の強度を変更したりする。ここで、振動の刺激とは、例えば、車両のシート内部に構成された突起部を振動させるシート振動などを例にあげることができる。振動の刺激は、これに限らず、ステアリングホイールの振動であってもよい。
【0020】
また、刺激発生装置20は、覚醒支援装置10の刺激制御部13により制御されて、発生させる刺激の種別を変更することで、発生させている刺激の強度を変更してもよい。
【0021】
なお、刺激発生装置20は、覚醒支援装置10に構成されてもよい。
【0022】
[1.3 覚醒支援装置10]
覚醒支援装置10は、運転者の覚醒を促すための装置である。
【0023】
覚醒支援装置10は、図1に示すように、取得部11と、車両状態判定部12と、刺激制御部13とを備える。なお、覚醒支援装置10は、刺激発生装置20をさらに備えていてもよい。
【0024】
取得部11は、覚醒支援装置10が搭載される車両のカメラ及び通信装置などから車外情報を取得したり、当該車両の車載ネットワークから車内情報を取得したりする。車内情報は、例えば車両の速度などの情報であり、CAN情報とも称する場合もある。
【0025】
車両状態判定部12は、運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する。
【0026】
本実施の形態では、車両状態判定部12は、取得部11が取得したCAN情報に基づき、運転者が運転する車両が走行中であることを示す走行状態か、停車中であることを示す停止状態かを判定する。例えば、車両状態判定部12は、CAN情報に示される車両の速度がゼロになっているとき停車中(停止状態)であると判定し、CAN情報に示される車両の速度がゼロでないときが走行中(走行状態)であると判定することができる。なお、車両状態判定部12は、CAN情報に示される車両の速度が閾値以下であるときに停車中(停止状態)であると判定し、CAN情報に示される車両の速度が閾値を超えているときが走行中(走行状態)であると判定してもよい。
【0027】
刺激制御部13は、例えばメモリ及びプロセッサ(マイクロプロセッサ)を含むコンピュータを備え、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、刺激発生装置20を制御して各種機能を実現する。
【0028】
本実施の形態では、刺激制御部13は、車両状態判定部12の判定結果に基づいて、刺激発生装置20を制御する。刺激制御部13は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された場合、当該車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を刺激発生装置20に発生させる。
【0029】
刺激制御部13は、風、音、振動、香り、及び光などの刺激を発生させるためパラメータを変更する指示を刺激発生装置20に行うことで、刺激発生装置20に、刺激の強度を変更させることができる。
【0030】
ここで、車両が走行状態であると判定された場合の刺激は、運転者のディストラクションが発生しにくい強度の刺激であり、以下では、弱い刺激とも称する。一方、車両が停止状態であると判定された場合の刺激は、運転者のディストラクションが発生しやすい強度の刺激であり、以下では、強い刺激とも称する。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る刺激の種別と刺激を発生させるためのパラメータとの一例を示す図である。図2には、風、音、振動、香り、及び光のうちのいずれかを刺激として使用する場合における強い刺激または弱い刺激を発生させるためのパラメータとその値の一例とが示されている。
【0032】
図2に示される例では、例えば、音のみを刺激として使用する場合、音の刺激を発生させるためのパラメータが、音圧、テンポ、歌詞の有無であることが示されている。この場合、刺激制御部13は、音圧を60dB未満の値、テンポを120bpm未満の値、または歌詞がないことを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に、弱い刺激を発生させることができる。一方、刺激制御部13は、音圧を80dBより大きい値、テンポを180bpmより大きな値、または歌詞があることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0033】
また、図2に示される例では、例えば、シート振動などの振動のみを刺激として使用する場合、振動の刺激を発生させるためのパラメータが、押し込み量、周波数、振動させる位置であることが示されている。この場合、刺激制御部13は、押し込み量を3cm未満の値、周波数を70Hz未満の値、または位置が左膝裏であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生させることができる。一方、刺激制御部13は、押し込み量を6cmより大きい値、周波数を100Hzより大きな値、または位置がシート全体であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0034】
また、図2に示される例では、例えば、光のみを刺激として使用する場合、光の刺激を発生させるためのパラメータが、照度、色温度であることが示されている。この場合、刺激制御部13は、照度が0の値(なし)、または色温度が0の値(なし)を示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生すなわち光を発生させないようにすることができる。一方、刺激制御部13は、照度を1000Lxの値、または色温度が12000Kの値であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0035】
また、図2に示される例では、例えば、ペパーミントなどの香りのみを刺激として使用する場合、香りの刺激を発生させるためのパラメータが、香りを含む噴射させる液体の濃度、液体の噴射頻度であることが示されている。この場合、刺激制御部13は、濃度が10%未満の値、または噴射頻度が1回/m(min)の値を示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生すなわち香りを発生させないようにすることができる。一方、刺激制御部13は、濃度が20%より大きな値、または噴射頻度が4回/m(min)の値より大きな値であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0036】
また、図2に示される例では、例えば、風のみを刺激として使用する場合、風の刺激を発生させるためのパラメータが、風速、風の温度、風を当てる位置であることが示されている。この場合、刺激制御部13は、風速を2m/s未満の値、温度を25℃の値、または風を当てる位置が首であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生させることができる。一方、刺激制御部13は、風速を4m/sより大きい値、温度を20℃の値、または風を当てる位置が首及び顔であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0037】
したがって、刺激制御部13は、図2に示すように、刺激を発生させるためパラメータの値を変更する指示を刺激発生装置20に行うことで、刺激発生装置20に、刺激の強度を変更させることができる。
【0038】
なお、刺激制御部13は、音のみなど1種類の刺激を発生させるためのパラメータの値を変更することで、刺激発生装置20が発生する刺激の強度を変更する制御を行う例について説明したが、これに限らない。刺激制御部13は、刺激発生装置20に発生させる刺激の種別を変化させることにより、刺激の強度を変更させてもよい。
【0039】
図3は、実施の形態1に係る刺激の種別の変化と刺激の強度の変更との関係の一例を示す図である。
【0040】
図3の1行目に示されるように、例えば、弱い刺激として会話が含まれない音が発生され、強い刺激として会話を含む音が発生されてもよい。より具体的には、刺激制御部13は、例えば、刺激が、例えばインスト曲など会話を含まない音のみであることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生させてもよい。インスト曲など会話を含まない音は、運転者の注意を引きにくい音であるからである。一方、刺激制御部13は、刺激が会話を含む音であることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0041】
また、図3の2行目に示されるように、例えば、弱い刺激として音のみが発生され、強い刺激として音が発生されることに加えて運転者に所定の動作をさせることであってもよい。より具体的には、刺激制御部13は、例えば、刺激が音のみであることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生させてもよい。この場合、刺激制御部13は、刺激が音に加えて運転者に所定の動作をさせることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示し、刺激発生装置20に音を発生させるとともに、所定の動作を行うことを運転者に認識させる音を発生させて運転者に所定の動作を行わせればよい。所定の動作は、例えばジェスチャ動作であるが、特定の操作を行う動作、特定の内容を発声させることであってもよく、運転者の能動的な動作であればよい。このようにして、刺激制御部13は、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0042】
また、図3の3行目に示されるように、例えば、弱い刺激として音のみが発生され、強い刺激として音と振動とが同時に発生されてもよい。より具体的には、刺激制御部13は、例えば、刺激が音のみであることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に弱い刺激を発生させてもよい。この場合、刺激制御部13は、刺激が音と振動とが同時に発生されることを示すパラメータを刺激発生装置20に指示することで、刺激発生装置20に強い刺激を発生させることができる。
【0043】
同様に、図3の4行目及び5行目に示されるように、例えば、弱い刺激として音のみが発生され、強い刺激として音と光とが同時に発生されてもよいし、弱い刺激として香りのみが発生され、強い刺激として香りと音とが同時に発生されてもよい。また、図3の5行目及び6行目に示されるように、例えば、弱い刺激として風のみが発生され、強い刺激として風と音とが同時に発生されてもよいし、弱い刺激として振動のみが発生され、強い刺激として振動と光とが同時に発生されてもよい。また、図3の7行目及び8行目に示されるように、例えば、弱い刺激として香りのみが発生され、強い刺激として香りと振動とが同時に発生されてもよいし、弱い刺激として風のみが発生され、強い刺激として風と振動とが同時に発生されてもよい。なお、弱い刺激と強い刺激の組み合わせは、図3に示される例に限らず、その他の組み合わせでもよい。例えば、弱い刺激には、種々の刺激のうちの1種類の刺激を発生させ、強い刺激には、五感のうちの少なくとも2以上を刺激する2種類以上の刺激を発生させてもよい。弱い刺激には、ディストラクションが生じない場合には複数の刺激の組み合わせを含み得る。さらに、弱い刺激には、音のみ発生させ、強い刺激には強い振動を発生させるなど、弱い刺激と強い刺激の組み合わせには、刺激種別の変更をすることが含まれていてもよい。
【0044】
[1.4 覚醒支援装置10の動作等]
次に、上述した覚醒支援装置10の動作について説明する。
【0045】
図4は、実施の形態1に係る覚醒支援装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、覚醒支援装置10は、運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する(S1)。より具体的には、覚醒支援装置10の車両状態判定部12は、取得部11が車両の車載ネットワークから取得した、車両の速度などのCAN情報に基づき、運転者が運転する車両が走行状態であるか、停止状態であるかを判定する。
【0047】
ステップS1において、車両が停止状態であると判定された場合(S1で停止状態)、覚醒支援装置10は、走行状態である場合よりも刺激の強度が高い刺激(上記の強い刺激)を刺激発生装置20に発生させる(S2)。より具体的には、覚醒支援装置10の刺激制御部13は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された場合、当該車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を刺激発生装置20に発生させる。
【0048】
一方、ステップS1において、車両が走行状態であると判定された場合(S1で走行状態)、覚醒支援装置10は、ステップS1に戻って処理を繰り返す。
【0049】
図5は、実施の形態1に係る覚醒支援装置10の動作を概念的に示した説明図である。図5の(a)には、運転者が運転する車両の車両状態が示されており、縦軸が速度、横軸が時間である。図5の(a)に示す例では、車両の速度がゼロになっている間が停車中(停止状態)であり、車両の速度がゼロでない間が走行中(走行状態)であるとして説明する。また、図5の(b)には、運転者に与えられる刺激の強度の一例が示されている。上記と同様に、ディストラクションが発生しにくい強度の刺激が弱、ディストラクションが発生しやすい強度の刺激が強で示されている。
【0050】
図5に示されるように、本実施の形態では、運転者が運転する車両が走行中のときには、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与え、運転者が運転する車両が停車中のときには、ディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与える。
【0051】
[1.5 効果等]
以上説明したように、本実施の形態の覚醒支援装置10は、運転者が運転する車両が走行状態である場合には、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える。一方で、運転者が運転する車両が停止状態である場合には、ディストラクションが発生しやすくても覚醒効果が高い強い刺激を運転者に与える。
【0052】
これにより、運転者が運転する車両が走行中である場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を運転者に与えないので、運転者の安全を担保することができる。一方、運転者が運転する車両が停車中である場合には、ディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与えるので、運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態1では、車両が停止状態(停車中)の間、運転者に強い刺激を与えることについて説明したが、これに限らない。車両が停止状態であっても、車両が動き始める発進タイミングの一定時間前に運転者に与える刺激を弱いものに変更してもよい。以下、この場合について、実施の形態2として説明する。なお、以下では、実施の形態1で説明した内容と異なるところを中心に説明する。
【0054】
[2.1 覚醒支援装置10A]
図6は、実施の形態2に係る覚醒支援装置10Aの構成の一例を示す図である。図6には、さらに、刺激発生装置20が示されている。図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0055】
実施の形態2に係る覚醒支援装置10Aは、図6に示すように、取得部11と、車両状態判定部12と、刺激制御部13と、推定部14とを備える。なお、覚醒支援装置10は、実施の形態1と同様に、刺激発生装置20をさらに備えていてもよい。
【0056】
図6に示す覚醒支援装置10Aは、実施の形態1に係る覚醒支援装置10に対して、推定部14の構成が追加されている。
【0057】
[2.1.1 取得部11]
図7は、図6に示す取得部11の詳細構成の一例である。
【0058】
なお、図7には、覚醒支援装置10Aが搭載される車両の一部構成すなわち通信装置101、カメラ102及びセンサ103が、さらに示されている。
【0059】
車両の通信装置101は、車両の速度を示す情報などのCAN情報を、車載ネットワークを介して受信したり、車両の進行方向の他の車両と車車間通信を行い、当該他の車両に関する情報を取得したりする。また、車両の通信装置101は、車両の進行方向の信号機、踏切に設置される路側機などと路車間通信またはV2X(Vehicle-to-everything)通信を行い、車外情報を受信してもよい。車外情報は、上述したが、当該車両の周囲環境に関する情報(周囲環境情報)、当該車両が進む方向の信号から得た情報、当該車両が進む方向の踏切から得た情報、及び、当該車両が進む方向の他の車両に関する情報などである。車両のカメラ102は、車両の外を撮影するカメラであり、周囲環境情報など車外情報の一部を取得する。車両のセンサ103は、運転者の状態を検出するセンサである。車両のセンサ103は、例えば運転者の瞬き頻度、運転者の目の開き具合、眼球運動などの運転者の状態を検出した検出情報を出力する。なお、車両のセンサ103は、さらに運転者の脈拍または視線を検出した検出情報を出力してもよい。
【0060】
本実施の形態では、取得部11は、覚醒支援装置10Aが搭載される車両から車外情報を取得したり、当該車両の車載ネットワークからCAN情報を取得したり、生体情報を取得したりする。より具体的には、取得部11は、例えば図7に示すように、CAN情報取得部111と、車外情報取得部112と、生体情報取得部113とを備える。
【0061】
CAN情報取得部111は、車両の通信装置101から、車両の速度を示す情報などのCAN情報を取得する。
【0062】
車外情報取得部112は、車両の通信装置101及びカメラ102から、車外情報を取得する。
【0063】
生体情報取得部113は、車両のセンサ103から、運転者の状態を検出した検出情報を取得することで、運転者の状態を示す生体情報を取得する。
【0064】
[2.1.2 車両状態判定部12]
車両状態判定部12は、運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する。
【0065】
本実施の形態では、車両状態判定部12は、CAN情報取得部111が取得したCAN情報に基づき、運転者が運転する車両が走行状態または停止状態であるかを判定する。例えば、車両状態判定部12は、CAN情報に示される車両の速度がゼロになっているときには車両が停止状態であると判定し、CAN情報に示される車両の速度がゼロでないときが走行状態であると判定する。
【0066】
[2.1.3 推定部14]
図8は、図6に示す推定部14の詳細構成の一例である。
【0067】
推定部14は、例えば図8に示すように、眠気推定部141と、発進タイミング推定部142とを備える。
【0068】
眠気推定部141は、運転者の状態を検出するセンサの検出情報に基づいて、運転者の眠気の程度を示す眠気レベルを推定する。
【0069】
本実施の形態では、眠気推定部141は、生体情報取得部113が取得した生体情報から、眠気レベルを推定する。眠気推定部141は、例えば、運転者の瞬き頻度が少ない程、運転者は眠気を催していることから、生体情報に示される運転者の瞬き頻度に応じて眠気の程度を示す眠気レベルを推定する。生体情報が運転者の目の開き具合であっても運転者の眼球運動などであっても同様のことが言える。
【0070】
発進タイミング推定部142は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された場合に、当該車両が走行のために動き始めることができるタイミングである当該車両の発進タイミングを推定する。より具体的には、発進タイミング推定部142は、車両が進む方向の信号機から得た情報、車両が進む方向の踏切(踏切近傍の路側機)から得た情報、及び、車両が進む方向の他の車両に関する情報の少なくとも一つに基づいて、発進タイミングを推定する。
【0071】
本実施の形態では、発進タイミング推定部142は、車外情報取得部112が取得した車外情報から、車両の発進タイミングを推定する。発進タイミング推定部142は、例えば何秒後に遮断機が上がるなど、踏切の遮断機の上がるタイミングが示される車外情報から、車両が走行のために動き始めることができる発進タイミングを推定することができる。また、発進タイミング推定部142は、例えば車両が進む方向にある他の車両であって数台前の他の車両が走行のために動き始めているなど、渋滞の動きが示される車外情報から、当該車両が走行のために動き始めることができる発進タイミングを推定することができる。また、発進タイミング推定部142は、例えば車両が進む方向にある信号機が何秒後に青(進めを示す色)になるなど、信号機が切り替わるタイミングが示される車外情報から、当該車両が走行のために動き始めることができる発進タイミングを推定することができる。
【0072】
[2.1.4 刺激制御部13]
刺激制御部13は、例えばメモリ及びプロセッサ(マイクロプロセッサ)を含むコンピュータを備え、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、刺激発生装置20を制御して各種機能を実現する。
【0073】
本実施の形態では、刺激制御部13は、眠気推定部141により推定された眠気レベルに応じて、刺激発生装置20に発生させる刺激の強度を変更する。具体的には、刺激制御部13は、眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定され、かつ、車両が走行状態であると判定された場合、第1強度の刺激を刺激発生装置20に発生させる。また、刺激制御部13は、眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定され、かつ、車両が停止状態であると判定された場合、車両が走行状態であると判定された場合の第1強度の刺激よりも高い強度の刺激を発生させる。なお、第1強度の刺激は、例えば弱い刺激であり、第1強度の刺激よりも高い強度の刺激は強い刺激である。例えば、刺激制御部13は、車両が走行状態であると判定された場合、かつ、眠気推定部141により推定された眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定されたとき、弱い刺激を発生させるように刺激発生装置20を制御する。一方、例えば、刺激制御部13は、車両が停止状態であると判定された場合、かつ、眠気推定部141により推定された眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定されたとき、高い強度の刺激(強い刺激)を発生させるように刺激発生装置20を制御する。なお、第1閾値は、適宜決定されるが、以下で説明する図9に示される例では、4である。
【0074】
図9は、実施の形態2に係る眠気レベルに応じて刺激発生装置20に発生させる刺激の強度の一例を示す図である。ここで、眠気レベルは、その数値が高いほど運転者がより眠い状態であることを示す。
【0075】
図9では、車両が停止状態であっても、眠気レベルが1である場合、眠気レベルが低レベルであり運転者は眠くない状態のため、刺激を与えなくてよいことが示されている。また、車両が停止状態であっても、眠気レベルが2または3である場合、眠気レベルは中レベルであり運転者は少し眠気を催す程度の状態であるため、弱い刺激を与えればよいことが示されている。一方で、車両が停止状態であり、眠気レベルが4または5である場合、眠気レベルは高レベルであり運転者はとても眠い状態であるため、強い刺激を与えることが示されている。このように、刺激制御部13は、車両が停止状態であっても、眠気推定部141により推定された眠気レベルに応じて、刺激発生装置20に刺激の強度を調整してもよい。
【0076】
なお、図9では、刺激の強度が、なし(刺激なし)、弱、強の3段階で定められる例が示されているが、これに限らない。刺激の強度が、弱または強であっても、さらに程度があるとしてもよい。図9に示す例で説明すると、刺激の強度が「弱」であっても、眠気レベルが2よりも3の方が、強い強度の刺激を与えるとしてもよい。同様に、刺激の強度が「強」であっても、眠気レベルが4よりも5の方が、強い強度の刺激を与えるとしてもよい。
【0077】
また、図9に示されるように、車両が走行状態において、眠気レベルが1~3である場合、眠気レベルが低レベルまたは中レベルであり運転者は眠くない状態または少し眠気を催す程度の状態であるため、刺激を与えなくてよいことが示されている。一方、車両が走行状態において、眠気レベルが4または5である場合、眠気レベルは高レベルであり運転者はとても眠い状態であるため、弱い刺激を与えることが示されている。なお、車両が走行状態において、眠気レベルが4または5である場合に強い刺激を与えないのは、運転者にディストラクションを発生させず、運転者の安全を担保するためである。
【0078】
また、刺激制御部13は、実施の形態1と同様に、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された場合、当該車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を刺激発生装置20に発生させる。なお、刺激の種類、及び、刺激の強度を実現する方法は、実施の形態1と同様のため説明を省略する。本実施の形態では、刺激制御部13は、さらに、発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングに応じて、刺激発生装置20に刺激の強度を変更させる。
【0079】
具体的には、刺激制御部13は、発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングよりも一定時間前に、刺激発生装置20に、発生させている刺激の強度を、車両が走行状態であると判定された場合の強度に変更させる。つまり、刺激制御部13は、車両が停止状態になると、刺激発生装置20に強い刺激を発生させるが、発進タイミングよりも一定時間前の時点(例えば15秒前)に、刺激の強度を変更させて刺激発生装置20に弱い刺激を発生させる。
【0080】
また、刺激制御部13は、推定された発進タイミングよりも一定時間前から当該発進タイミングまで、刺激発生装置20に刺激の強度を段階的に低くさせることで当該発進タイミングに車両が走行状態であると判定された場合の強度に変更させてもよい。つまり、刺激制御部13は、車両が停止状態になると、刺激発生装置20に強い刺激を発生させるが、発進タイミングよりも一定時間の時点から、刺激の強度を段階的に低く変更させながら発進タイミングの時点で刺激発生装置20に弱い刺激を発生させてもよい。
【0081】
このように、本実施の形態では、刺激制御部13は、車両状態判定部12の判定結果と発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングとに基づいて、刺激発生装置20を制御する。
【0082】
なお、刺激制御部13は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された時から、発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングまでの時間の長さに応じて、刺激発生装置20に刺激の強度を変更させてもよい。例えば、刺激制御部13は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された時から発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングまでの時間の長さが第2閾値より長い場合、当該時間長さが第2閾値以下である場合よりも高い強度の刺激(強い刺激)を刺激発生装置20に発生させたらよい。つまり、刺激制御部13は、車両状態判定部12の判定結果と発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングとから、車両が停止状態となっている時間がある程度長い場合には、刺激発生装置20に強い刺激を発生させてもよい。また、換言すると、刺激制御部13は、車両状態判定部12の判定結果と発進タイミング推定部142により推定された発進タイミングとから、車両が停止状態となっている時間が短い場合、刺激発生装置20に強い刺激を発生させないまたは弱い刺激を発生させてもよい。これにより、車両の停車中の時間が短いすなわち例えば信号機が赤信号であり車両を停車させるもののすぐに青信号となり車両が進みだすような場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を運転者に与えないので、運転者の安全をより担保することができる。
【0083】
[2.2 覚醒支援装置10Aの動作等]
次に、上述した覚醒支援装置10Aの動作について説明する。
【0084】
図10は、実施の形態2に係る覚醒支援装置10Aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0085】
まず、覚醒支援装置10Aは、眠気レベルを推定する(S10)。より具体的には、覚醒支援装置10Aの眠気推定部141は、運転者の状態を検出するセンサの検出情報に基づいて、運転者の眠気の程度を示す眠気レベルを推定する。
【0086】
次に、覚醒支援装置10Aは、CAN情報をもとに、運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する(S11)。より具体的には、覚醒支援装置10Aの車両状態判定部12は、車両の車載ネットワークから取得した、車両の速度を示す情報などのCAN情報に基づき、運転者が運転する車両が走行状態または停止状態であるかを判定する。
【0087】
次に、覚醒支援装置10Aは、ステップS11において車両が走行状態であるまたは停止状態であると判定されたかを確認する(S12)。
【0088】
ステップS12において、ステップS11において車両が停止状態であると判定されていた場合(S12で停止状態)、覚醒支援装置10Aは、車外情報をもとに、発進タイミングを推定する(S13)。より具体的には、覚醒支援装置10Aの発進タイミング推定部142は、例えば車両が進む方向の信号機から得た情報、車両が進む方向の踏切から得た情報、及び、車両が進む方向の他の車両に関する情報の少なくとも一つの車外情報に基づいて、発進タイミングを推定する。
【0089】
一方、ステップS12において、ステップS11において車両が走行状態であると判定されていた場合(S12で走行状態)、覚醒支援装置10Aは、ステップS10で推定された眠気レベルが1であるかを確認する(S14)。
【0090】
ステップS14において、ステップS10で推定された眠気レベルが1でない場合(S14でNo)、覚醒支援装置10Aは、ステップS10で推定された眠気レベルが2または3であるかを確認する(S15)。なお、ステップS14において、推定された眠気レベルが1である場合(S14でYes)、覚醒支援装置10Aは、ステップS17に進む。
【0091】
ステップS15において、ステップS10で推定された眠気レベルが2または3である場合(S15でYes)、覚醒支援装置10Aは、さらに、停止状態であると判定され、かつ、推定された発進タイミングまで一定時間以上あるかどうかを判定する(S16)。
【0092】
ステップS16において、停止状態でない、または、発進タイミングまで一定時間未満である場合(S16でNo)、覚醒支援装置10Aは、刺激発生装置20に刺激を発生させない(S17)。なお、ステップS16において、停止状態であると判定され、かつ、発進タイミングまで一定時間以上あると判定された場合(S16でYes)、覚醒支援装置10Aは、ステップS20に進む。
【0093】
一方、ステップS15において、ステップS10で推定された眠気レベルが2または3でない場合(S15でNo)、覚醒支援装置10Aは、ステップS10で推定された眠気レベルが4または5であると判定する(S18)。
【0094】
次に、覚醒支援装置10Aは、ステップS11で停止状態であると判定され、かつ、ステップS13で推定された発進タイミングまで一定時間以上あるかどうかを判定する(S19)。
【0095】
ステップS19において、停止状態でない、または、発進タイミングまで一定時間未満である場合(S19でNo)、覚醒支援装置10Aは、刺激発生装置20に弱い刺激を発生させる(S20)。
【0096】
なお、ステップS19において、停止状態であると判定され、かつ、発進タイミングまで一定時間以上あると判定された場合(S19でYes)、覚醒支援装置10Aは、刺激発生装置20に強い刺激を発生させる(S21)。
【0097】
図11は、実施の形態2に係る覚醒支援装置10Aの動作を概念的に示した説明図である。図11の(a)には、図5の(a)と同様に、運転者が運転する車両の車両状態が示されており、縦軸が速度、横軸が時間である。図11の(a)に示す例では、車両の速度がゼロになっている間が停車中(停止状態)であり、車両の速度がゼロでない間が走行中(走行状態)であるとして説明する。図11の(a)には、車外情報から推定された発進タイミングも併せて示されている。また、図11の(b)には、運転者に与えられる刺激の強度の一例が示されている。図5の(b)と同様に、ディストラクションが発生しにくい強度の刺激が弱、ディストラクションが発生しやすい強度の刺激が強で示されている。
【0098】
図11に示されるように、本実施の形態では、運転者が運転する車両が走行中のときには、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える。一方、運転者が運転する車両が停車中のときには、推定した発進タイミングの一定時間前までの間、ディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与える。そして、当該一定時間前すなわち発車直前には、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える。
【0099】
図12は、実施の形態2に係る覚醒支援装置10Aの動作の別の一例を概念的に示した説明図である。図11の(a)及び(b)と同様の要素には同様の名称を付しており、説明を省略する。
【0100】
すなわち、上記の図11では、運転者が運転する車両が停車中になった直後からディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与えていた。一方、図12に示される例では、運転者が運転する車両が停車中になってから一定時間後の時点から、ディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与える。
【0101】
このように、実施の形態2に係る刺激制御部13は、車両状態判定部12により車両が停止状態であると判定された場合、当該車両が停止してから一定時間後に、強い刺激を刺激発生装置20に発生させてもよい。
【0102】
[2.3 効果等]
以上説明したように、本実施の形態の覚醒支援装置10Aは、運転者が運転する車両が走行状態である場合には、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える。
【0103】
これにより、運転者が運転する車両が走行中である場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を運転者に与えないので、運転者の安全を担保することができる。
【0104】
一方、本実施の形態の覚醒支援装置10Aは、運転者が運転する車両が停車中のときには、推定した発進タイミングの一定時間前までの間、ディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与える。そして、当該一定時間前すなわち発車直前には、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える。
【0105】
これにより、車両が停止中に運転者の覚醒を効果的に促すことができるだけでなく、運転者が車両を走行させる時点ではディストラクションが発生しにくい状態となっているので、より安全を担保することができる。
【0106】
(変形例1)
上述した実施の形態2では、発進タイミング前の一定時間は、例えば15秒などの固定された時間であるとして説明したが、これに限らない。運転者の状態、車両の周囲環境などに応じて変化させてもよいし、刺激に使用する種類、刺激の強度などに応じて変化させてもよい。以下、このような場合を、変形例1として説明する。なお、以下では、実施の形態2で説明した内容と異なるところを中心に説明する。
【0107】
[3.1 構成]
変形例1に係る覚醒支援装置10Aは、実施の形態2に係る覚醒支援装置10Aにおける刺激制御部13の動作と推定部14の構成とが異なる。
【0108】
[3.1.1 変形例1に係る推定部14A]
図13は、実施の形態2の変形例1に係る推定部14Aの構成の一例を示す図である。図8と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0109】
図13に示す推定部14Aは、図8に示す推定部14に対して、内的情報推定部143Aと、停止タイミング推定部144Aの構成が追加されている。
【0110】
内的情報推定部143Aは、運転者の状態を示す内的情報を推定する。本変形例では、内的情報推定部143Aは、取得部11で取得される生体情報に基づいて、運転者の集中度、注意散漫度、運転者のストレスなどが高いか低いかなど、運転者の状態を示す内的情報を推定する。内的情報推定部143Aは、例えば、運転者の視線の軌跡、運転者の心拍数、運転者の姿勢などが示される生体情報から、運転者の集中度、注意散漫度、運転者のストレスなどが高いか低いかを推定する。
【0111】
停止タイミング推定部144Aは、車両状態判定部12により車両が走行状態であると判定された場合に、車両が停止状態となる停止タイミングを推定する。本変形例では、停止タイミング推定部144Aは、取得部11で取得される車外情報とCAN情報とに基づき、走行中の車両が停止するタイミングである停止タイミングを推定する。停止タイミング推定部144Aは、例えば、車両が進む方向にある信号機が赤になり、当該信号機による車両の停止線まであと3秒で到着する場合には、停止タイミングは3秒後と推定することができる。
【0112】
[3.1.2 変形例1に係る刺激制御部13]
刺激制御部13は、実施の形態2で説明した各種機能に加えて、発進タイミング前の一定時間を、運転者の状態、車両の周囲環境などに応じて変化させたり、刺激に使用する種類、刺激に応じて変化させたりしてもよい。
【0113】
例えば、刺激制御部13は、内的情報推定部143Aにより推定された内的情報に示される運転者の集中度に応じて、発進タイミング前の一定時間の長さを変更してもよい。
【0114】
また、刺激制御部13は、車両の周囲環境から得られた周囲環境情報に基づいて、発進タイミング前の一定時間の長さを変更してもよい。
【0115】
図14は、実施の形態2の変形例1に係る発進タイミング前の一定時間に設定される時間の一例である。
【0116】
図14に示される例では、発進タイミング前の一定時間に設定される時間のデフォルト値が15秒である例が示されている。
【0117】
図14では、例えば、眠気レベルにより車両の停止状態において運転者に、強い刺激が与えられる場合、発進タイミング前の一定時間に設定される時間は、デフォルト値よりも短い10秒であることが示されている。一方、車両の停止状態において運転者に、弱い刺激が与えられる場合、発進タイミング前の一定時間に設定される時間は、強い刺激が与えられる場合よりもさらに短い3秒であることが示されている。
【0118】
また、図14では、車両の停止状態において運転者に与えられる刺激の種類に応じて、発進タイミング前の一定時間に設定される時間が変更されることが示されている。発進タイミング前の一定時間に設定される時間は、例えば、香りまたは光の刺激を与える場合には、デフォルト値と同じ15秒であり、香りまたは光以外の刺激を与える場合には、デフォルト値よりも短い10秒であることが示されている。
【0119】
また、図14では、発進タイミング前の一定時間に設定される時間は、交通量、死角量、事故発生率などの周囲情報から得られる外的情報に応じて、変更されることが示されている。
【0120】
同様に、図14では、発進タイミング前の一定時間に設定される時間は、注意散漫度、ストレスなどの内的情報に応じて、変更されることが示されている。
【0121】
さらに、本変形例では、刺激制御部13は、さらに、停止タイミング推定部144Aにより推定された停止タイミングに応じて、刺激発生装置20に発生させる刺激の強度を変更してもよい。より具体的には、例えば、刺激制御部13は、停止タイミング推定部144Aにより推定された停止タイミングまでの時間長さに応じて、刺激発生装置20に発生させる刺激の強度を変更してもよい。例えば、刺激制御部13は、停止タイミング推定部144Aにより推定された停止タイミングまでの時間長さが第3閾値より短い場合、停止タイミングまでの時間長さが第3閾値以上である場合より高い強度の刺激を刺激発生装置20に発生させてもよい。渋滞時など、停止状態と短い走行状態とが繰り返される状況では、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を、停止タイミングの直前から運転者に与えても、安全上問題ない場合もあると考えらえる。このような場合には、停止タイミングの直前に、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激の強度を変更して、ディストラクションが発生し得る強さの刺激、ディストラクションが発生しやすい強さの刺激(強い刺激)などを発生させてもよい。
【0122】
[3.2 効果等]
以上説明したように、本変形例に係る覚醒支援装置10Aは、発進タイミング前の一定時間の時間長さを、運転者の状態、車両の周囲環境などに応じて変化させてもよいし、刺激に使用する種類、刺激の強度などに応じて変化させてもよい。
【0123】
これにより、運転者の状態、車両の周囲環境、刺激に使用する種類、刺激の強度などに応じて車両が停止中に運転者の覚醒を効果的に促すことができるだけでなく、運転者が車両を走行させる時点ではディストラクションが発生しにくい状態となる。よって、より安全を担保した上で運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【0124】
(他の実施態様の可能性)
例えば、本開示の一態様に係る覚醒支援装置は、運転者の覚醒を促す覚醒支援装置であって、前記運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定部と、前記車両状態判定部の判定結果に基づいて、前記運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置を制御する刺激制御部と、を備え、前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる。
【0125】
このようにして、運転者が運転する車両が走行状態である場合には、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える一方で、運転者が運転する車両が停止状態である場合には、ディストラクションが発生しやすくても覚醒効果が高い強い刺激を運転者に与える。これにより、運転者が運転する車両が走行中である場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を運転者に与えないので、運転者の安全を担保することができる。一方、運転者が運転する車両が停車中である場合には、ディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与えるので、運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【0126】
また、さらに、前記運転者の状態を検出するセンサの検出情報に基づいて、前記運転者の眠気の程度を示す眠気レベルを推定する眠気推定部を備え、前記刺激制御部は、前記眠気推定部により推定された前記眠気レベルに応じて、前記刺激発生装置に発生させる刺激の強度を変更してもよい。
【0127】
ここで、例えば、前記刺激制御部は、前記眠気推定部により推定された前記眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定されたときに、前記刺激を発生させるように前記刺激発生装置を制御し、前記眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定され、かつ、前記車両が走行状態であると判定された場合、第1強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させ、前記眠気レベルが第1閾値よりも高いと推定され、かつ、前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合の前記第1強度の刺激よりも高い強度の刺激を発生させてもよい。
【0128】
これにより、運転者が眠くない状態には、停車中であってもディストラクションが発生しやすい覚醒効果が高い刺激を運転者に与える必要がなくなるので、より安全を担保することができる。
【0129】
また、さらに、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合に、前記車両の発進タイミングを推定する発進タイミング推定部を備え、前記刺激制御部は、前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングに応じて、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を変更させてもよい。
【0130】
ここで、例えば、前記刺激制御部は、前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングよりも一定時間前に、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を前記車両が走行状態であると判定された場合の強度に変更させてもよい。
【0131】
また、例えば、前記刺激制御部は、前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングよりも一定時間前から前記発進タイミングまで、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を段階的に低くさせることで、前記発進タイミングに前記車両が走行状態であると判定された場合の強度に変更させてもよい。
【0132】
これらにより、運転者が運転する車両が走行中である場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を運転者に与えないので、運転者の安全を担保することができる。また、車両が停止中に運転者の覚醒を効果的に促すことができるだけでなく、運転者が車両を走行させる時点ではディストラクションが発生しにくい状態となっているので、より安全を担保することができる。
【0133】
また、前記刺激制御部は、前記運転者の集中度に応じて、前記一定時間の長さを変更してもよい。
【0134】
また、前記刺激制御部は、前記車両の周囲環境から得られた周囲環境情報に基づいて、前記一定時間の長さを変更してもよい。
【0135】
これにより、運転者の状態、車両の周囲環境などに応じて車両が停止中に運転者の覚醒を効果的に促すことができるだけでなく、運転者が車両を走行させる時点ではディストラクションが発生しにくい状態となる。よって、より安全を担保した上で運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【0136】
また、前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された時から前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングまでの長さに応じて、前記刺激発生装置に前記刺激の強度を変更させてもよい。
【0137】
ここで、前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された時から前記発進タイミング推定部により推定された前記発進タイミングまでの時間長さが第2閾値より長い場合、当該時間長さが前記第2閾値以下である場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させてもよい。
【0138】
これらにより、車両が停止状態となっている時間が短い場合、停止状態の間、強い刺激を発生させなくてよい。これにより、車両の停車中の時間が短いすなわち例えば信号機が赤信号であり車両を停車させるもののすぐに青信号となり車両が進みだすような場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を運転者に与えないので、運転者の安全をより担保することができる。
【0139】
なお、前記発進タイミング推定部は、前記車両が進む方向の信号機から得た情報、前記進む方向の踏切から得た情報、及び、前記進む方向の他の車両に関する情報の少なくとも一つに基づいて、前記車両の前記発進タイミングを推定してもよい。
【0140】
このようにして、車両の発進タイミングを推定することができる。
【0141】
また、さらに、前記車両状態判定部により前記車両が走行状態であると判定された場合に、前記車両が停止状態となる停止タイミングを推定する停止タイミング推定部を備え、前記刺激制御部は、前記停止タイミング推定部により推定された前記停止タイミングに応じて、前記刺激発生装置に発生させる前記刺激の強度を変更してもよい。
【0142】
ここで、例えば、前記刺激制御部は、前記停止タイミング推定部により推定された前記停止タイミングまでの時間長さに応じて、前記刺激発生装置に発生させる前記刺激の強度を変更する。
【0143】
また、例えば、前記刺激制御部は、前記停止タイミング推定部により推定された前記停止タイミングまでの時間長さが第3閾値より短い場合、前記停止タイミングまでの時間長さが前記第3閾値以上である場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させてもよい。
【0144】
これらにより、所定の場面において、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を、停止タイミングの直前から運転者に与えることができる。渋滞時など、停止状態と短い走行状態とが繰り返される場合には、ディストラクションが発生しやすい強い刺激を、停止タイミングの直前から運転者に与えても、安全上問題ないからである。よって、安全を担保した上で運転者の覚醒を効果的に促すことができる。
【0145】
また、前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が停止してから一定時間後に、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させてもよい。
【0146】
これにより、車両が停止中に運転者の覚醒を効果的に促すことができるだけでなく、運転者が車両を走行させる時点ではディストラクションが発生しにくい状態となっているので、より安全を担保することができる。
【0147】
また、例えば、前記刺激制御部は、前記車両状態判定部により前記車両が停止状態であると判定された場合、前記刺激発生装置に、前記刺激の強度を前記車両が走行状態であると判定された場合の強度から段階的に高くさせることで、前記車両が停止状態であると判定された場合の強度に変更させてもよい。
【0148】
また、例えば、前記刺激制御部は、前記刺激発生装置に発生させる刺激の種別を変化させることにより、前記刺激の強度を変更させてもよい。
【0149】
また、例えば、前記刺激は、風、音、振動、香り、及び光の少なくとも1つであってもよい。
【0150】
また、例えば、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を発生させることは、所定の動作を行うことを前記運転者に認識させて、前記運転者に前記所定の動作を行わせることであってもよい。
【0151】
これにより、運転者の五感を刺激させる能動的な動作をさせることを強い刺激として用いることができる。
【0152】
また、本開示の一態様に係る覚醒支援方法は、運転者の覚醒を促す覚醒支援方法であって、前記運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定ステップと、前記車両状態判定ステップの判定結果に基づいて、前記運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置を制御する刺激制御ステップと、を備え、前記刺激制御ステップでは、前記車両状態判定ステップにおいて前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる。
【0153】
これにより、車両が停止中に運転者の覚醒を効果的に促すことができるだけでなく、運転者が車両を走行させる時点ではディストラクションが発生しにくい状態となっているので、より安全を担保することができる。
【0154】
以上、本開示の一態様に係る覚醒支援装置、及び、覚醒支援方法について、実施の形態、変形例等に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態、変形例等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態、変形例等に施したもの、あるいは異なる実施の形態、変形例等における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0155】
また、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0156】
(1)本開示では、運転者が運転する車両が走行状態である場合には、ディストラクションが発生しにくい弱い刺激を運転者に与える一方で、運転者が運転する車両が停止状態である場合には、ディストラクションが発生しやすくても覚醒効果が高い強い刺激を運転者に与えるとして説明した。本開示では、さらに、運転者に与えられている現在の刺激内容(強度や種類等)を、音、ランプ、ディスプレイ等の表示で運転者に通知してもよい。また、刺激を運転者に与えることを実施するときやその刺激内容を変更するときには、事前に、音、ランプ、ディスプレイ等の表示で運転者に通知してもよい。
【0157】
(2)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムで実現され得る。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0158】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、ROMからRAMにコンピュータプログラムをロードし、ロードしたコンピュータプログラムにしたがって演算等の動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0159】
(4)本開示は、上記に示す方法で実現されてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムで実現してもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号で実現してもよい。
【0160】
具体的には、本開示の一態様に係るプログラムは、運転者の覚醒を促す覚醒支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記運転者の車両が走行状態であるか停止状態であるかを判定する車両状態判定ステップと、前記車両状態判定ステップの判定結果に基づいて、前記運転者の覚醒支援に使用する刺激を発生させる刺激発生装置を制御する刺激制御ステップと、を備え、前記刺激制御ステップでは、前記車両状態判定ステップにおいて前記車両が停止状態であると判定された場合、前記車両が走行状態であると判定された場合よりも高い強度の刺激を前記刺激発生装置に発生させる、ことを、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0161】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したもので実現してもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号で実現してもよい。
【0162】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
【0163】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作してもよい。
【0164】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号を、ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0165】
(5)上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本開示は、覚醒支援装置、及び、覚醒支援方法に利用でき、特に、車両を運転する運転者を安全と担保した上で効果的に覚醒支援するための覚醒支援装置、及び、覚醒支援方法に利用できる。
【符号の説明】
【0167】
10、10A 覚醒支援装置
11 取得部
12 車両状態判定部
13 刺激制御部
14、14A 推定部
20 刺激発生装置
101 通信装置
102 カメラ
103 センサ
111 CAN情報取得部
112 車外情報取得部
113 生体情報取得部
141 眠気推定部
142 発進タイミング推定部
143A 内的情報推定部
144A 停止タイミング推定部
図1
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