(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009688
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A63F5/04 651
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113169
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大屋 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴之
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518CA03
2C518CA06
2C518EA02
2C518EB07
2C518EB11
2C518FA09
(57)【要約】
【課題】遊技者の演出に対する興趣の低下を防ぐことができる遊技機を提供する。
【解決手段】演出制御手段は、所定の期間内において、通常タイミングと、通常タイミング以降の遅延タイミングと、のいずれか一方でCZ移行示唆演出を実行可能である。CZ移行示唆演出には、第1確率で実行される低期待度演出と、第2確率で実行される高期待度演出と、が含まれる。少なくとも通常タイミングにおいて実行されるCZ移行示唆演出が高期待度演出である場合には、低期待度演出である場合よりもCZ状態に移行される確率が高い。第1確率のうち遅延タイミングで実行される確率が占める割合は、第1割合(前兆時は約5.0%、CZ移行時は約18.0%)であり、第2確率のうち遅延タイミングで実行される確率が占める割合は、第2割合(前兆時は0%、CZ移行時は約4.5%)であり、第1割合は、第2割合よりも大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段と、
遊技に関する演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記補助遊技制御手段は、所定の特典を付与可能であり、
前記演出制御手段は、前記所定の特典の付与に係る演出として、特定演出を実行可能であり、
前記演出制御手段は、所定の期間内において、通常タイミングと、前記通常タイミング以降の遅延タイミングと、のいずれか一方で前記特定演出を実行可能であり、
前記特定演出には、第1確率で実行される第1演出と、第2確率で実行される第2演出と、が含まれ、
少なくとも前記通常タイミングにおいて実行される前記特定演出が前記第2演出である場合には、前記第1演出である場合よりも前記所定の特典が付与される確率が高く、
前記第1確率のうち前記遅延タイミングで実行される確率が占める割合は、第1割合であり、
前記第2確率のうち前記遅延タイミングで実行される確率が占める割合は、第2割合であり、
前記第1割合は、前記第2割合よりも大きい、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
演出を表示する表示手段を備え、
前記特定演出は、第1特定演出と、第2特定演出と、を含み、
前記第1演出と、前記第2演出と、は、前記第1特定演出に含まれ、
前記演出制御手段は、前記所定の期間内において、前記第1特定演出と並行して前記第2特定演出を実行可能であり、
前記第2特定演出は、前記所定の特典の付与に係る示唆を前記表示手段に表示する演出であり、
前記第2特定演出は、前記遅延タイミングより以前に表示が完了され、
前記第1特定演出は、前記第2特定演出が実行される場合において、前記通常タイミングで実行され、前記遅延タイミングでは実行されない、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、特典の付与に係る演出として、一度不当選である旨の表示を行った後に特典が付与されたことを報知するいわゆる逆転演出を実行可能にする構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年、遊技機においては、多様な演出を用いて遊技者の演出に対する興趣を向上させることが求められている。このような遊技機においては、実行される演出によって特典の付与に係る期待感が異なるように構成される。ここで、期待感の異なる複数の演出について、特許文献1に記載の遊技機のようないわゆる逆転演出をそれぞれ実行可能に構成した場合において、発生頻度がそれぞれ略同一の頻度に構成されてしまうと、実行される演出内容に対し遊技者が違和感を覚え、遊技者の演出に対する興趣が低下する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、遊技者の演出に対する興趣の低下を防ぐことができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のリールと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段と、
遊技に関する演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記補助遊技制御手段は、所定の特典を付与可能であり、
前記演出制御手段は、前記所定の特典の付与に係る演出として、特定演出を実行可能であり、
前記演出制御手段は、所定の期間内において、通常タイミングと、前記通常タイミング以降の遅延タイミングと、のいずれか一方で前記特定演出を実行可能であり、
前記特定演出には、第1確率で実行される第1演出と、第2確率で実行される第2演出と、が含まれ、
少なくとも前記通常タイミングにおいて実行される前記特定演出が前記第2演出である場合には、前記第1演出である場合よりも前記所定の特典が付与される確率が高く、
前記第1確率のうち前記遅延タイミングで実行される確率が占める割合は、第1割合であり、
前記第2確率のうち前記遅延タイミングで実行される確率が占める割合は、第2割合であり、
前記第1割合は、前記第2割合よりも大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技者の演出に対する興趣の低下を防ぐことができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、を示す図である。
【
図4】(A)は、本発明の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、AT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
【
図5】(A)は、本発明の実施形態の遊技機における前兆時において実行されるCZ移行示唆演出の実行確率を示す図、(B)は、CZ移行時において実行されるCZ移行示唆演出の実行確率を示す図である。
【
図6】(A)は、本発明の本実施形態の遊技機における低期待度演出が実行される場合における実行タイミングと実行される割合とを示す図、(B)は、低期待度演出及びチャンス示唆演出が実行される場合における実行タイミングと実行される割合とを示す図、(C)は、中期待度演出が実行される場合における実行タイミングと実行される割合とを示す図、(D)は、中期待度演出及びチャンス示唆演出が実行される場合における実行タイミングと実行される割合とを示す図、(E)は、高期待度演出が実行される場合における実行タイミングと実行される割合とを示す図、(F)は、高期待度演出及びチャンス示唆演出が実行される場合における実行タイミングと実行される割合とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるものである。本実施形態のスロットマシン1は、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を電磁的方法によって記録可能な構成を有する遊技価値管理装置(専用ユニット)から出力される投入信号に基づき、遊技価値を投入状態に設定可能に構成され、遊技価値の払い出しを行う場合に、遊技価値管理装置へ払出信号を出力し、遊技価値管理装置において所定の記録媒体(例えば遊技価値の係るデータを記憶可能なメダルカード等)に払出信号に対応する遊技価値を電磁的方法によって記録するように構成された、いわゆるメダルレス遊技機から構成されている。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(
図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置330が設けられている。また、表示装置330は、左リールR1~右リールR3と対向する透過領域330aが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置330を介して左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置330を通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示装置330を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となる遊技価値の総数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当する遊技価値が投入状態に設定されると左リールR1~右リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとして、払出数に相当する値が、スロットマシン1の遊技の進行を制御する遊技制御手段10の記憶手段190に設けられたクレジット数記憶手段191(
図2参照)に加算されることで、遊技の用に供することができる遊技価値が電磁的方法によって記憶される。
【0017】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット数記憶手段191に記憶されることで仮想的にクレジット(貯留)された遊技価値を投入状態に設定する操作を行うための投入操作手段として、規定投入数の遊技価値を投入状態に設定するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3、投入状態に設定された遊技価値をクレジット数記憶手段191に戻すための精算ボタンBS及びクレジット数記憶手段191に記憶されている遊技価値を専用ユニットに送信しメダルカードに記録させる計数ボタンBCも設けられている。
【0018】
また、前面下扉DDには、遊技情報表示部DSと、クレジット数表示部CDと、の複数の表示手段が設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0019】
遊技情報表示部DSでは、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後左リールR1~右リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選役コマンドに応じた表示態様で遊技情報表示部DSの各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0020】
また、遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器のドットであり、後述するAT制御手段200(
図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する区間報知部が設けられている。
【0021】
クレジット数表示部CDは、LED、7セグメント表示器等からなり、遊技者によって遊技価値管理装置に投入された金額に対応する遊技価値の数(クレジット数)を表示する。本実施形態のスロットマシン1は、最大で16368枚のメダルに相当する遊技価値をクレジット可能に構成されている。このため、クレジット数表示部CDは、5桁の数字を表示可能に構成されている。まだ、
図1に示すように、スロットマシン1においては、クレジット数表示部CDの近傍に計数ボタンBCが配設されている。
【0022】
また、本実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面下扉DDに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0023】
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250及び設定変更スイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、遊技情報表示部DS及びクレジット数表示部CD等の出力手段の動作を制御する。
【0024】
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190及びアシストタイム制御手段(AT制御手段)200を含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0025】
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段192に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更許可スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態において、電源装置に設けられている設定変更スイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段192において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0026】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されており、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0027】
投入受付手段105は、遊技価値の投入を受け付ける投入受付期間内において、専用ユニットから出力される投入信号を受信した場合と、クレジット数記憶手段191に遊技価値がクレジットされている状態でマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されてベットスイッチ220が作動した場合と、に、規定投入数(3枚)を限度として、クレジットされた遊技価値を投入状態に設定することで、規定投入数に相当する遊技価値が投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0028】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当する遊技価値の投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0029】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0030】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0031】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段193に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0032】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0033】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0034】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段194に記憶される。
【0035】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0036】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
【0037】
本実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっており、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
【0038】
このため、本実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0039】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190の停止制御テーブル記憶手段195に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0040】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づく遊技価値の払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0041】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段196に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0042】
本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0043】
払出制御手段150は、遊技結果に応じた遊技価値の払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技における遊技価値の払出数を決定し、決定された払出数に相当する値をクレジット数記憶手段191に加算することで、仮想的に遊技価値を払い出させる制御を行う。
【0044】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分の遊技価値をクレジット数記憶手段191に記憶されているクレジットされた遊技価値を使わずに自動的に投入状態に設定する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0045】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0046】
演出制御手段180は、演出制御データ記憶手段197に記憶されている演出データに基づいて、例えば、演出表示装置としての表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力、スタートスイッチ230からスタート信号が出力された状態で左リールR1~右リールR3の回転開始を遅延させる左リールR1~右リールR3を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0047】
また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。なお、本実施形態において、演出制御手段180は、乱数を用いる抽選処理ごとに、乱数生成手段110の乱数格納領域から乱数を取得し、演出制御データ記憶手段197に記憶されている複数の演出抽選テーブルのうち、各抽選処理に必要な演出抽選テーブルを用いて各抽選処理を実行する。
【0048】
本実施形態において、演出制御手段180は、AT制御手段200による入賞補助の実行時において、入賞補助で報知される内容(例えば、当選エリア「打順ベル1」の当選時に正解打順の報知等)を演出装置300を用いた演出によって報知する入賞補助演出を実行する。
【0049】
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する入賞補助を実行可能な補助遊技を含む指示機能に係る制御が実行可能となる区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御(指示機能に係る制御)が実行不能な区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段198に記憶されているデータを用いて実行し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段を構成する。
【0050】
AT制御データ記憶手段198には、有利区間内において実行されるAT状態及び非AT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が記憶されている。
【0051】
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、遊技情報表示部DSに当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作順序(正解打順)に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する入賞補助(正解打順報知)を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による入賞補助が実行される場合に、後述する演出制御手段180によって表示装置330に正解打順に対応する指標を表示する入賞補助演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、入賞補助によってストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0052】
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始し、かつ入賞補助が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に遊技情報表示部DSに設けられた区間報知部を点灯させる。このため、AT制御手段200は、有利区間を開始している場合であっても、入賞補助が実行されない演出状態である場合には、区間報知部を消灯可能に構成されている。
【0053】
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ198aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ198aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ198bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
【0054】
本実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ198aの記憶値に累積的に加算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ198bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
【0055】
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ198bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ198bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ198bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ198bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ198bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ198bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ198bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0056】
AT制御手段200は、1500ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ198aの記憶値が第1値としての値「0」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ198bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0057】
AT制御手段200は、所定の初期化処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも所定の初期化処理及び所定の終了処理を実行する。本実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0058】
2.本実施形態における遊技機が備える構成
次に、
図3~
図6を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0059】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、本実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、を示す図である。
【0060】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0061】
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号20番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0062】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
【0063】
本実施形態のスロットマシン1において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の3つのストップボタンを押下する順序である打順は、打順1~打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0064】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号20番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選に向かう順番で、各当選エリアの当否を決定していく。
【0065】
本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイA、リプレイB、レアリプレイを有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ
図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0066】
また、
図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0067】
スロットマシン1では、当選エリア「レアリプレイ」について、他のリプレイの当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。また、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&レア役」について、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」の小役を含む各当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。
【0068】
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0069】
<内部抽選テーブル>
本実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段193に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0070】
<乱数判定処理>
本実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段193から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選であると判定する。
【0071】
なお、本実施形態の乱数生成手段110は、内部抽選で用いる乱数として、0~65535の計65536個の乱数を生成可能に構成されている。また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「RBB」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっており、内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「RBB&レア役」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっているため、非RT状態又はボーナス成立状態における内部抽選においては、いずれかの役に当選し、不当選とならないように構成されている。
【0072】
<ボーナス当選判定処理>
上述した通り、本実施形態の内部抽選手段120は、ボーナス成立状態において、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」に抽選値数が設定されている。このため、内部抽選手段120は、遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選において、既にRBBが成立状態に設定されている状態で再度RBBが当選してしまう可能性があることから、新たに当選したRBBを成立状態に設定しないために、乱数判定処理で当否を決定される当選エリアがボーナスを含む当選エリアであるか否かを判定するボーナス当選判定処理を実行するように構成されている。
【0073】
内部抽選手段120は、ボーナス当選判定処理において、乱数判定処理でボーナスを含む当選エリアが当否を決定される対象となると判定した場合、ボーナスを含む当選エリアが当選し、かつ遊技状態がボーナス成立状態である場合に、ボーナスを成立状態に設定する処理をスキップする処理を実行する。このようにして、スロットマシン1は、既にRBBが成立状態に設定されている状態で、新たなRBBが成立状態に設定されてしまうことを防いでいる。
【0074】
<打順ベルの詳細>
本実施形態において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、当選した場合にベルA~ベルFを入賞可能にする打順(正解打順)がそれぞれ設定されている。
【0075】
当選エリア「打順ベル1」、当選エリア「打順ベル7」は、ベルAを入賞可能にする正解打順が打順1に設定されており、当選エリア「打順ベル2」、当選エリア「打順ベル8」は、ベルBを入賞可能にする正解打順が打順2に設定されており、当選エリア「打順ベル3」、当選エリア「打順ベル9」は、ベルCを入賞可能にする正解打順が打順3に設定されており、当選エリア「打順ベル4」、当選エリア「打順ベル10」は、ベルDを入賞可能にする正解打順が打順4に設定されており、当選エリア「打順ベル5」、当選エリア「打順ベル11」は、ベルEを入賞可能にする正解打順が打順5に設定されており、当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル12」は、ベルFを入賞可能にする正解打順が打順6に設定されている。当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、各当選エリアに設定された正解打順とは異なる打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された場合に、1/2の確率で1枚役A又は1枚役Bが入賞し、1/2の確率でいずれの役の入賞図柄組合せとも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示される取りこぼし(非入賞)となるように構成されている。
【0076】
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させる停止制御を実行する。
【0077】
<小役の配当>
ベルA~ベルFの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(15枚)に設定されている。また、1枚役A~1枚役C、レア役の配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0078】
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0079】
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0080】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0081】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0082】
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役のすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A~1枚役C、レア役の配当が1枚に設定されたすべての小役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0083】
図3を用いてボーナス状態について詳細に説明する。本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるボーナス状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりボーナス状態において小役に当選する確率が、ボーナス状態以外の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」のいずれか1つと、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」のいずれか1つと、に当選する確率の合算と同じ確率に設定されている。
【0084】
このような構成であることから、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も同一又は上昇するように構成されている。
【0085】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
【0086】
このように、本実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の特定役(ベルA~ベルF)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1特定当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」)と、複数種類の特定小役が重複して当選する第2特定当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、ボーナス成立状態において、複数種類の第1特定当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態において、第2特定当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
【0087】
このため、本実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0088】
ここで、ボーナス成立状態においては、より詳しくは後述するが、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、打順1~打順6から構成された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下しないとベルA~ベルFを入賞させることができない構成であることから、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率は、6種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を押下できた場合に限定される。一方、後述するAT制御手段200によって入賞補助が実行されるAT遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順がAT制御手段200による入賞補助及び演出制御手段180による入賞補助演出によって報知されるため、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で6倍まで高めることができる。
【0089】
このように、本実施形態においては、正解打順で停止操作し、かつ第1停止操作の押下タイミングが適切な場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA~ベルFの6種類を設定している。そして、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/6に圧縮している。このように構成することで、ボーナス状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、ボーナス状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上でAT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0090】
<AT制御手段>
図4(B)は、本実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0091】
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアに基づき、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0092】
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段198から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
【0093】
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0094】
本実施形態のAT制御手段200は、非RT状態及びボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、有利区間抽選を実行し、他の当選エリアに当選した場合には、有利区間抽選を実行しないように構成されている。また、AT制御手段200は、約1/1.5と高い確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行する。
【0095】
有利区間において、AT制御手段200は、指示機能に係る状態(演出状態)として、通常状態と、CZ状態と、AT状態と、を有し、通常状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行しないように構成され、CZ状態及びAT状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行可能に構成されている。また、本実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0096】
通常状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常の状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常状態に移行した場合、通常状態における遊技回数をカウントする非ATゲーム数カウンタ(不図示)に、遊技が実行される都度、非ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」を加算するインリメント更新を実行する。AT制御手段200は、非ATゲーム数カウンタの記憶値が値「700」となった場合に、CZ状態への移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0097】
また、AT制御手段200は、通常状態における毎回の遊技において、CZ状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ抽選を実行する。CZ抽選において、AT制御手段200は、内部抽選の結果によらず「CZ状態への移行」に当選可能な抽選を実行する。また、CZ抽選において、AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアを参照して抽選テーブルを取得することで、内部抽選で当選した当選エリアによって「CZ状態への移行」に当選する確率が変化するように構成されている。AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「CZ状態への移行」に当選可能な抽選テーブルを取得する。
【0098】
AT制御手段200は、CZ抽選において、「CZ状態への移行」、「不当選」のいずれかに決定する抽選を行い、CZ抽選において「CZ状態への移行」に当選した場合には、CZ移行条件が成立したと判定し、所定の遊技回数の遊技(例えば5ゲーム)の遊技が実行された後に演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0099】
CZ状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助が実行されることで、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0100】
本実施形態において、演出制御手段180は、CZ状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選し、AT制御手段200による入賞補助が実行されることで、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれの当選エリアに当選したかを判別可能な情報(択役グループ情報)を受信したことに基づき、ベルA~ベルFを入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様を報知する入賞補助演出を実行する。
【0101】
AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段198のCZ補助遊技回数カウンタ(不図示)に、入賞補助を実行する所定の回数に対応する値(例えば、8回)をセットする。AT制御手段200は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選し、入賞補助を実行する都度、CZ補助遊技回数カウンタの記憶値を1回に相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0102】
AT制御手段200は、CZ状態が開始された遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から8回の入賞補助が実行された後に、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から8回の入賞補助が実行された後に、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0103】
CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選の結果によらず「AT状態への移行」に当選可能な抽選を実行する。また、CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアを参照して抽選テーブルを取得することで、内部抽選で当選した当選エリアによって「AT状態への移行」に当選する確率が変化するように構成されている。AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能な抽選テーブルを取得する。
【0104】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助が実行されることで、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0105】
本実施形態において、演出制御手段180は、AT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選し、AT制御手段200による入賞補助が実行されることで、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれの当選エリアに当選したかを判別可能な情報(択役グループ情報)を受信したことに基づき、ベルA~ベルFを入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様を報知する入賞補助演出を実行する。
【0106】
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段198のATゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(50ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0107】
また、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、ATゲーム数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行し、上乗せ抽選によって決定した値が1以上の値である場合に、決定した値をATゲーム数カウンタに加算する上乗せ処理を実行するように構成されている。
【0108】
AT制御手段200は、AT状態における毎回の遊技の実行の都度実行するデクリメント更新によってATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合に、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0109】
また、AT制御手段200は、AT状態において第1有利区間カウンタ198aの記憶値が値「1500」に達した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ198bの記憶値が値「2400」を超えた場合と、にも、AT終了条件が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに、有利区間の終了条件のうち特定終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0110】
3.通常状態における演出の詳細
次に、AT制御手段200によって通常状態に制御されている場合において、本実施形態の演出制御手段180が実行するCZ状態への移行に係る演出の詳細について説明する。
【0111】
<CZ移行示唆演出>
本実施形態の演出制御手段180は、AT制御手段200によって通常状態に制御されている場合において、表示装置330の表示領域内に所定のアイコンを表示するように構成されている。演出制御手段180は、遊技の進行に応じて、所定のアイコンの表示態様を変更可能に構成されている。
【0112】
また、本実施形態の演出制御手段180は、AT制御手段200によって通常状態に制御されている場合に、CZ状態への移行を示唆するCZ移行示唆演出を実行可能に構成されている。演出制御手段180は、CZ状態への移行が決定されていない状態において、CZ移行示唆演出を実行するか否かを決定するCZ移行示唆演出抽選を実行可能に構成されている。また、演出制御手段180は、CZ抽選によって「CZ状態への移行」が決定された場合に、CZ移行条件が成立してからCZ状態に移行するまでの5ゲームの間、CZ移行条件が成立していない場合よりも高い確率でCZ移行示唆演出を実行可能に構成されている。そして、演出制御手段180は、通常状態からCZ状態に移行する遊技においては、他の通常状態における遊技よりも高い確率でCZ移行示唆演出を実行するように構成されている。
【0113】
本実施形態のCZ移行示唆演出は、複数種類の演出から構成されており、各演出が、CZ状態への移行が決定されていない状態で実行される確率が他の演出グループよりも高いことで、グループに含まれる演出の実行時におけるCZ状態への移行の期待度が最も低い演出から構成された第1演出グループと、CZ状態への移行が決定されていない状態で実行される確率が他の演出グループよりも低いことで、グループに含まれる演出の実行時におけるCZ状態への移行の期待度が最も高い演出から構成された第2演出グループと、CZ状態への移行が決定されていない状態で実行される確率が第1演出グループに含まれる演出より低く且つ第2演出グループに含まれる演出より高いことで、グループに含まれる演出の実行時におけるCZ状態への移行の期待度が第1演出グループに含まれる演出よりも高く且つ第2演出グループに含まれる演出よりも低い演出から構成された第3演出グループと、にグループ分けされている。
【0114】
第1演出グループには、表示装置330の表示領域内に表示されている通常状態におけるデフォルトの演出の表示を維持したまま、表示領域の外周部にデフォルトの演出とは異なる色から構成されたエフェクトを表示する低期待度演出が含まれる。第2演出グループには、表示装置330の表示領域内に表示されている通常状態におけるデフォルトの演出を覆う所定のアイコンを表示する高期待度演出が含まれる。第3演出グループには、表示装置330の表示領域内に表示されている通常状態におけるデフォルトの演出に所定のキャラクタをカットインさせる中期待度演出が含まれる。
【0115】
また、演出制御手段180は、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出のいずれを実行する場合にも、「CZ状態への移行」が決定されていることを示唆するチャンス示唆演出を並行して実行可能に構成されている。チャンス示唆演出は、左リールR1~右リールR3が回転開始するタイミングで表示装置330に表示されている所定のアイコンの表示態様をチャンス示唆演出特有の表示態様(例えば、アイコンの表示色を変える等)に変更することで、「CZ状態への移行」が決定されていることを示唆する演出となっている。
【0116】
また、演出制御手段180は、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出のいずれの演出を実行する場合にも、通常タイミングとしてのスタートレバーSLが開始操作されて左リールR1~右リールR3が回転開始されたタイミングと、通常タイミング以降のタイミングである遅延タイミングとしてのストップボタンB1~ストップボタンB3が第1停止操作されたタイミングと、のいずれかにおいて実行するように構成されている。
【0117】
そして、演出制御手段180は、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出のいずれの演出を実行する場合にも、スタートレバーSLが開始操作された際に演出が実行されることを予告する音から構成された予告音演出を実行可能に構成されている。
【0118】
<CZ移行示唆演出が実行される場合における演出の実行確率>
図5は、CZ移行示唆演出の実行が決定された場合における各演出の実行確率を示す図であり、
図5(A)は、CZ抽選において「CZ状態への移行」に決定されてからCZ状態に移行されるまでの間(前兆時)において実行される各演出の実行確率を示す図、
図5(B)は、CZ抽選において「CZ状態への移行」に決定されたことに基づきCZ状態に移行される遊技(CZ移行時)において実行される各演出の実行確率を示す図である。
【0119】
図5(A)、
図5(B)に示すように、チャンス示唆演出を実行しない低期待度演出は、CZ移行時よりも前兆時の方が実行する確率が高くなるように構成されている。一方、チャンス示唆演出を実行しない中期待度演出と、チャンス示唆演出を実行しない高期待度演出と、は、前兆時よりもCZ移行時の方が実行する確率が高くなるように構成されている。
【0120】
また、
図5(A)、
図5(B)に示すように、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出のいずれにおいても、チャンス示唆演出が並行して実行される確率よりもチャンス示唆演出が実行されない確率の方が高くなるように構成されている。
【0121】
<CZ移行示唆演出が実行される場合における実行タイミングの割合>
図6は、CZ移行演出の実行が決定され且つ実行される演出内容が決定された場合において、各演出が実行される場合の予告音の有無と、実行されるタイミング(実行タイミング)と、の割合について示す図であり、
図6(A)は、チャンス示唆演出が実行されない低期待度演出の各割合を示す図、
図6(B)は、チャンス示唆演出が実行される低期待度演出の各割合を示す図、
図6(C)は、チャンス示唆演出が実行されない中期待度演出の各割合を示す図、
図6(D)は、チャンス示唆演出が実行される中期待度演出の各割合を示す図、
図6(E)は、チャンス示唆演出が実行されない高期待度演出の各割合を示す図、
図6(F)は、チャンス示唆演出が実行される高期待度演出の各割合を示す図である。
【0122】
図6(A)、
図6(C)、
図6(E)に示すように、演出制御手段180は、チャンス示唆演出を実行しない場合において、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出のいずれについて、前兆時である場合とCZ移行時である場合とのいずれの場合にも、第1停止操作が実行されるタイミングよりも左リールR1~右リールR3が回転開始するタイミングにおいて実行する割合が大きくなるように構成されている。
【0123】
このため、本実施形態のスロットマシン1では、CZ移行示唆演出が実行されるタイミングとして通常タイミングの方が遅延タイミングよりも高いことで、通常状態において左リールR1~右リールR3が回転開始した通常タイミングでCZ移行示唆演出が実行されない場合に、遊技者にCZ状態への移行が行われないと予想させて一時的に遊技者の期待感を低下させることができるとともに、第1停止操作が実行された遅延タイミングにおいてCZ移行示唆演出を実行することで、CZ状態への移行に対する遊技者の期待感を一度低下させた状態から期待感の低下を逆転させて遊技者の期待感を大幅に高めることができる。
【0124】
また、
図6(A)、
図6(C)、
図6(E)に示すように、チャンス示唆演出を実行しない場合で且つ第1停止操作が実行されたタイミングで予告音なしのCZ移行示唆演出を実行する割合は、前兆時である場合には、低期待度演出が実行確率約1/1.6のうちの約5.0%、中期待度演出が実行確率約1/4.2のうちの約4.5%、高期待度演出が実行確率約1/33.4のうちの0%に設定され、CZ移行時である場合には、低期待度演出が実行確率約1/2.5のうちの約18.0%、中期待度演出が実行確率約1/3.8のうちの約6.0%、高期待度演出が実行確率約1/14.3のうちの4.5%に設定されており、前兆時とCZ移行時とのいずれにおいても、低期待度演出>中期待度演出>高期待度演出の順に、実行が決定された場合における実行される割合が大きくなるように構成されている。
【0125】
上述したように、スロットマシン1では、高期待度演出について、実行された場合にCZ状態に移行される又は実行された時点でCZ状態への移行が決定されている期待度が他のCZ移行示唆演出よりも高い演出として構成されている。このため、スロットマシン1では、仮に、高期待度演出が遅延タイミングで実行される割合が低期待度演出が遅延タイミングで実行される割合と同じ割合に設定されていると、通常タイミングにおいて高期待度演出が実行されず遅延タイミングで実行されることで、既にCZ状態への移行が決定されているにもかかわらず一度期待感を低下させられたと遊技者が演出に対して不信感を抱き遊技者の演出に対する興趣が低下する虞がある。
【0126】
これに対し、本実施形態のスロットマシン1は、遅延タイミングにおいてCZ移行示唆演出を実行する割合について、前兆時とCZ移行時とのいずれにおいても、低期待度演出>中期待度演出>高期待度演出の順に割合が大きくなるように構成されており、高期待度演出が通常タイミングで実行されずに遅延タイミングで実行される割合が抑えられ通常タイミングで実行される割合が大きい割合に設定されることで、遊技者が高期待度演出に対する不信感を抱くことを防ぐことができ、遊技者の演出に対する興趣の低下を防ぐことができる。
【0127】
また、
図6(B)、
図6(D)、
図6(F)に示すように、演出制御手段180は、チャンス示唆演出を実行する場合において、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出のいずれについて、前兆時である場合とCZ移行時である場合とのいずれの場合にも、左リールR1~右リールR3が回転開始するタイミングにおいてCZ移行示唆演出を実行するように構成されている。
【0128】
上述したように、本実施形態のチャンス示唆演出は、左リールR1~右リールR3が回転開始されたタイミングで実行されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、仮に、チャンス示唆演出が実行される場合におけるCZ移行示唆演出を遅延タイミングで実行してしまうと、左リールR1~右リールR3の回転開始に伴いチャンス示唆演出が実行されているにもかかわらず第1停止操作が実行されるまでCZ移行示唆演出が実行されず、第1停止操作が実行された場合にCZ移行示唆演出が実行されることが遊技者に判別されてしまい、既にCZ移行示唆演出の実行が決定されているにもかかわらず一度期待感を低下させられたと遊技者が演出に対して不信感を抱き遊技者の演出に対する興趣が低下する虞がある。
【0129】
これに対し、本実施形態のスロットマシン1は、遅延タイミングより以前に表示が完了されるチャンス示唆演出が実行される場合には、遅延タイミング以前のタイミングでありチャンス示唆演出が開始されるタイミングである通常タイミングにおいてCZ移行示唆演出を実行するように構成されており、遊技者がCZ移行示唆演出に対する不信感を抱くことを防ぐことができ、遊技者の演出に対する興趣の低下を防ぐことができる。
【0130】
この、CZ抽選において「CZ状態への移行」に決定することが、本実施形態における所定の特典を構成し、「CZ状態への移行」が決定されている可能性があることを示唆するCZ移行示唆演出が、本実施形態における所定の特典の付与に係る特定演出を構成し、低期待度演出が、本実施形態における第1演出を構成し、通常タイミングにおいて実行される場合に低期待度演出である場合よりも「CZ状態への移行」が決定されている確率が高い高期待度演出が、本実施形態における第2演出を構成し、通常タイミングにおいて実行される場合に低期待度演出である場合よりも「CZ状態への移行」が決定されている確率が高く且つ高期待度演出である場合よりも「CZ状態への移行」が決定されている確率が低い中期待度演出が、本実施形態における第3演出を構成する。
【0131】
また、前兆時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出が実行されない低期待度演出が実行される確率である約1/1.6の実行確率と、CZ移行時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出が実行されない低期待度演出が実行される確率である約1/2.5の実行確率と、が、それぞれ本実施形態における第1確率を構成し、前兆時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出が実行されない高期待度演出が実行される確率である約1/33.4の実行確率と、CZ移行時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出が実行されない高期待度演出が実行される確率である約1/14.3の実行確率と、が、それぞれ本実施形態における第2確率を構成し、前兆時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出が実行されない中期待度演出が実行される確率である約1/4.2の実行確率と、CZ移行時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出が実行されない中期待度演出が実行される確率である約1/3.8の実行確率と、が、それぞれ本実施形態における第3確率を構成する。
【0132】
また、前兆時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出及び予告音演出が実行されない低期待度演出が実行される確率のうち遅延タイミングで実行される割合である約5.0%の割合と、CZ移行時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出及び予告音演出が実行されない低期待度演出が実行される確率のうち遅延タイミングで実行される割合である約18.0%の割合と、が、それぞれ本実施形態における第1割合を構成し、前兆時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出及び予告音演出が実行されない高期待度演出が実行される確率のうち遅延タイミングで実行される割合である0%の割合と、CZ移行時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出及び予告音演出が実行されない高期待度演出が実行される確率のうち遅延タイミングで実行される割合である約4.5%の割合と、が、それぞれ本実施形態における第2割合を構成し、前兆時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出及び予告音演出が実行されない中期待度演出が実行される確率のうち遅延タイミングで実行される割合である4.5%の割合と、CZ移行時においてCZ移行示唆演出の実行が決定された場合におけるチャンス示唆演出及び予告音演出が実行されない中期待度演出が実行される確率のうち遅延タイミングで実行される割合である約6.0%の割合と、が、それぞれ本実施形態における第3割合を構成する。
【0133】
また、左リールR1~右リールR3が回転開始される通常タイミングと、第1停止操作が実行される遅延タイミングと、を含む1回の遊技が、本実施形態における所定の期間を構成し、低期待度演出、中期待度演出、高期待度演出が、本実施形態における第1特定演出を構成し、遅延タイミングより以前に表示が完了されるチャンス示唆演出が、本実施形態における第2特定演出を構成する。
【0134】
4.本実施形態のまとめ
以上のように、本実施形態のスロットマシン1は、遅延タイミングにおいてCZ移行示唆演出を実行する割合について、前兆時とCZ移行時とのいずれにおいても、高期待度演出よりも低期待度演出の方が割合が大きくなるように構成されており、高期待度演出が通常タイミングで実行されずに遅延タイミングで実行される割合が抑えられ通常タイミングで実行される割合が大きい割合に設定されることで、遊技者が高期待度演出に対する不信感を抱くことを防ぐことができ、遊技者の演出に対する興趣の低下を防ぐことができる。
【0135】
5.変形例
なお、本実施形態において、演出制御手段180は、遅延タイミングとして第1停止操作が実行されたタイミングにおいてCZ移行示唆演出を実行可能に構成されているが、これに限定されない。演出制御手段180は、遅延タイミングについて、例えば、第2停止操作が実行されたタイミングでもよく、また、左リールR1~右リールR3が回転開始し定常回転となったタイミングでもよく、通常タイミング以降のタイミングであれば、いずれのタイミングから構成されていてもよい。
【0136】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、所定の期間として1回の遊技において通常タイミングと遅延タイミングとを設定しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、複数の遊技が実行されるまで継続する演出制御手段180によって制御される特定状態を有し、特定状態において第1遊技回数の遊技が実行されたタイミングを通常タイミング、第1遊技回数よりも多い第2遊技回数の遊技が実行されたタイミングを遅延タイミングとして設定していてもよい。
【0137】
また、本実施形態において、演出制御手段180は、低期待度演出と高期待度演出とについて、通常タイミングで実行される場合及び遅延タイミングで実行される場合のいずれの場合においても、高期待度演出が実行される場合の方が低期待度演出が実行される場合よりも「CZ状態への移行」に決定されている確率が高い構成となっているが、これに限定されない。演出制御手段180は、例えば、通常タイミングで実行される場合には、高期待度演出が実行される場合の方が低期待度演出が実行される場合よりも「CZ状態への移行」に決定されている確率が高く、遅延タイミングで実行される場合には、低期待度演出が実行される場合の方が高期待度演出が実行される場合よりも「CZ状態への移行」に決定されている確率が高い、つまり、遅延タイミングでCZ移行示唆演出が実行される場合には、第1演出が実行される場合と第2演出が実行される場合とで所定の特典が付与される確率が逆転するように構成されていてもよい。
【0138】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、所定の特典として通常状態からCZ状態への移行を実行するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、通常状態からAT状態への移行を実行するように構成されていてもよく、また、AT状態が継続する遊技回数を加算(上乗せ)する制御を実行するように構成されていてもよく、所定の特典について、遊技者にとって有利な特典であればよく、本実施形態に限定されるものではない。
【0139】
また、本実施形態において、演出制御手段180は、低期待度演出が実行される第1確率が高期待度演出が実行される第2確率よりも高く、第1確率のうち予告音演出なしで遅延タイミングで実行される第1割合が、第2確率のうち予告音演出なしで遅延タイミングで実行される第2割合よりも大きい構成となっているが、これに限定されない。演出制御手段180は、第1割合が第2割合よりも大きい割合に構成されていればよく、例えば、第1確率よりも第2確率の方が高い確率から構成されていてもよい。
【0140】
また、本実施形態において、演出制御手段180は、第2特定演出として表示装置330に表示している所定のアイコンの表示態様を変更するチャンス示唆演出を実行するように構成されているが、これに限定されない。演出制御手段180は、例えば、第2特定演出として他の演出では表示しないキャラクタを表示する演出を実行してもよい。また、演出制御手段180は、例えば、第2特定演出として予告音演出とは異なる音を音響装置340から出力するように構成されていてもよい。また、演出制御手段180は、例えば、第2特定演出として音響装置340から出力される音をすべて停止する演出を実行するように構成されていてもよい。
【0141】
つまり、演出制御手段180は、第2特定演出として、遅延タイミングより以前に完了する演出を実行可能にするように構成されていればよく、第2特定演出について、表示装置330による表示を伴う演出に限定されるものではない。
【0142】
また、本実施形態において、演出制御手段180は、チャンス示唆演出を通常タイミングと同じタイミングにおいて開始するように構成されているが、これに限定されない。演出制御手段180は、通常タイミングよりも前のタイミング(スタートレバーSLへの開始操作が行われてから左リールR1~右リールR3が回転開始するまでのタイミング)においてチャンス示唆演出を実行するように構成されていてもよい。また、演出制御手段180は、例えば、通常タイミングにおいて低期待度演出、中期待度演出又は高期待度演出を実行してから遅延タイミングとなるまでのタイミング(左リールR1~右リールR3が定常回転となったタイミング等)において、チャンス示唆演出を実行するように構成されていてもよい。
【0143】
つまり、演出制御手段180は、チャンス示唆演出について、遅延タイミングより以前に表示を完了するように構成されていればよく、開始するタイミングと通常タイミングとの先後の関係について、本実施形態に限定されるものではない。
【0144】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、規定投入数の遊技価値を投入状態に設定するマックスベットボタンMBを有しているが、これに限らず、例えば、マックスベットボタンMBに加え、1枚のメダルに相当する遊技価値を投入状態に設定するシングルベットボタンを有するように構成されていてもよい。
【0145】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、遊技価値を電磁的方法によって記録するメダルレス遊技機から構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機から構成されていてもよい。
【0146】
また、本実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0147】
1 スロットマシン(遊技機)
120 内部抽選手段
180 演出制御手段
200 AT制御手段(補助遊技制御手段)
330 表示装置(表示手段)
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール