(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096883
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
F25D19/00 522B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212917
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】千田 勇介
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率的な作業で、蒸発器を適切に取り付けることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】左右に折り返しながら上下に延びる熱交換パイプ26と、熱交換パイプ26を左右両側の折り返し領域で支える支持部材22とを有する蒸発器20と、記蒸発器20の下側に配置され、蒸発器20から落下した液体を受ける露受け面30と、を備え、支持部材22が熱交換パイプ26よりも下側に延び、支持部材22(下側領域22A)の下端が露受け面30と接する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に折り返しながら上下に延びる熱交換パイプと、前記熱交換パイプを左右両側の折り返し領域で支える支持部材とを有する蒸発器と、
前記蒸発器の下側に配置され、前記蒸発器から落下した液体を受ける露受け面と、
を備え、
前記支持部材は前記熱交換パイプよりも下側に延び、前記支持部材の下端が前記露受け面と接することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記露受け面に、前記蒸発器から落下した液体を外部へ排出するドレン孔が開口し、
前記支持部材の下部孔に通液孔を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記熱交換パイプの下側であって、前記露受け面の上側に左右に延びた除霜ヒータを備え、前記除霜ヒータの少なくとも一方の端部からハーネスが外部に延びており、
前記通液孔の中を通る細長部品が輪状になった部材であって、該輪の中を通る前記ハーネスが前記細長部品と接する拘束部材を更に備え、
前記除霜ヒータから外部に出た前記ハーネスが前記拘束部材に拘束されて下側に延びていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記除霜ヒータから下側に延びた前記ハーネスは、前記拘束部材と接する領域で湾曲して上側に延び、前記蒸発器の左右方向の端部近傍を更に上側に延びていることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記蒸発器及び前記端部近傍で上側に延びる前記ハーネスは、冷却流路を形成する流路筐体に覆われていることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発器を備えた冷蔵庫が広く用いられている。蒸発器を備えた冷蔵庫では、庫内の気体がファンで流動し、流動した気体が蒸発器を通過するときに冷却されるようになっている。このような冷蔵庫の中には、平板状の本体に熱交換パイプが取り付けられた蒸発器を備えた冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷蔵庫では、専用の固定部材を、蒸発器及び冷蔵庫の内箱に挿入して固定する。これにより、蒸発器の取り付けを容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、蒸発器を内箱に取り付けるとき、作業者は、蒸発器を持ち上げた状態で蒸発器を位置決めして、固定部材を蒸発器及び内箱に挿入する必要がある。蒸発器はかなりの重量があるので、蒸発器の取り付け作業は困難な作業となる。更に、蒸発器の重さで持ち上げている蒸発器の位置がずれて、固定部材が正しく挿入されない虞もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、効率的な作業で、蒸発器を適切に取り付けることができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、
左右に折り返しながら上下に延びる熱交換パイプと、前記熱交換パイプを左右両側の折り返し領域で支える支持部材とを有する蒸発器と、
前記蒸発器の下側に配置され、前記蒸発器から落下した液体を受ける露受け面と、
を備え、
前記支持部材は前記熱交換パイプよりも下側に延び、前記支持部材の下端が前記露受け面と接することを特徴とする。
【0007】
本発明では、蒸発器の支持部材が、支持部材が熱交換パイプよりも下側に延び、支持部材の下端が露受け面と接するので、蒸発器を露受け面上に載置することができる。これにより、蒸発器を冷蔵庫の内箱の内面等に取り付けるとき、作業者は蒸発器を持ち上げることなく、位置決めをしてネジ留めを行うことができる。これにより、締結ネジをネジ孔に真っ直ぐ挿入して締結することができる。よって、効率的な作業で、蒸発器を冷蔵庫に適切に取り付けることができる。
【0008】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記露受け面に、前記蒸発器から落下した液体を外部へ排出するドレン孔が開口し、
前記支持部材の下部孔に通液孔を備えることを特徴とする。
【0009】
支持部材の下端が露受け面と接しているので、露受け面に落ちた液体の流れが支持部材で止められる虞がある、しかし、本発明では、支持部材の下部に通液孔を備えるので、露受け面に落ちた液体は通液孔を通って流れることができる。これにより、露受け面に落下した液体を、確実にドレン孔を介して外部へ排出することができる。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記熱交換パイプの下側であって、前記露受け面の上側に左右に延びた除霜ヒータを備え、前記除霜ヒータの少なくとも一方の端部からハーネスが外部に延びており、
前記通液孔の中を通る細長部品が輪状になった部材であって、該輪の中を通る前記ハーネスが前記細長部品と接する拘束部材を更に備え、
前記除霜ヒータから外部に出た前記ハーネスは前記拘束部材に拘束されて下側に延びていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、除霜ヒータから外部に出たハーネスが、拘束部材に拘束されて下側に延びている。仮に、ハーネスが上側に引っ張られた場合であっても、ハーネス及び細長部品の間に摩擦があるので、上側に引っ張られた力を、通液孔を通る拘束部材を介して蒸発器の支持部材で受けることができる。よって、ハーネスの除霜ヒータとの境界部分に過大な力が加わるのを防ぐことができる。よって、ハーネス及び除霜ヒータの発熱体が断線するのを防ぐことができる。
【0012】
また、ハーネスに除霜による液体がかかった場合でも、液体が、ハーネスが外部に出る除霜ヒータの端部に流入するのを防ぐことができる。よって、ハーネスや除霜ヒータの発熱体が短絡するのを防ぐことができる。これにより、ハーネス及び除霜ヒータを適切に保護して、信頼性の高い除霜ヒータを備えた冷蔵庫を提供できる。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記除霜ヒータから下側に延びた前記ハーネスは、前記拘束部材と接する領域で湾曲して上側に延び、前記蒸発器の左右方向の端部近傍を更に上側に延びていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、仮に、ハーネスが上側に引っ張られた場合であっても、拘束部材と接するハーネスの湾曲した領域で確実に力を受けて、ハーネスの除霜ヒータとの境界部分に力が加わるのを防ぐことができる。また、除霜ヒータのハーネスに除霜による液体がかかった場合でも、液体をハーネスの湾曲した領域から拘束部材に流すことができる。拘束部材を下側に流れた液体は、露受け面を流れて、ドレン孔を介して外部へ排出される。これにより、ハーネス及び除霜ヒータを確実に保護し、ハーネスにかかった液体を、確実に外部へ排出することができる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記蒸発器及び前記端部近傍で上側に延びる前記ハーネスは、冷却流路を形成する流路筐体に覆われていることを特徴とする。
【0016】
上記のように、ハーネスの除霜ヒータとの接続領域に力がかからないように、ハーネスを上側へ引くことができるので、ハーネスが蒸発器の外側に膨らむことがない。よって、流路筐体を冷蔵庫の内箱等に取り付けるときに、流路筐体がハーネスを挟み込むようなことを防ぐことができる。これにより、効率的な流路筐体の取り付けを実現できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、効率的な作業で、蒸発器を適切に取り付けることができる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明1つの実施形態に係る冷蔵庫を模式的に示す側面断面図である。
【
図2】ファンを備えた流路筐体が、蒸発器を覆うように内箱の内面に取り付けられるところを模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明1つの実施形態に係る蒸発器を示す側面図である。
【
図4】蒸発器の支持部材の下端が露受け面と接する状態を示す斜視図である。
【
図5】除霜ヒータから出たハーネスが拘束部材に拘束されて下側に延びている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。下記の記載では、冷蔵庫が水平面に載置された状態での上下を表わし、冷蔵庫の扉側を前側、その反対側を後側とし、冷蔵庫の幅方向を横方向で示す。
【0020】
(1つの実施形態に係る冷蔵庫)
図1は、本発明1つの実施形態に係る冷蔵庫2を模式的に示す側面断面図である。
図2は、ファン16を備えた流路筐体8が、蒸発器20を覆うように内箱6の内面6Aに取り付けられるところを模式的に示す斜視図である。
図3は、本発明1つの実施形態に係る蒸発器20を示す側面図である。はじめに、
図1から
図3を参照しながら用いて、本発明1つの実施形態に係る冷蔵庫2の概要を説明する。
【0021】
図1では、点線の矢印で、冷蔵庫2の収納領域4内での気体の流れを示す。冷蔵庫2は、内箱6の内側に、食品を冷蔵または冷凍するための収納領域4を有する。内箱6と外箱2Bとの間には断熱材が配置されている。つまり、収納領域4の周囲は断熱材で囲まれている。冷蔵庫2の前面側には、扉2Aが開閉自在に取り付けられ、扉2Aを開閉して、収納領域4から食品の出し入れを行うことができる。冷蔵庫2の後側の下部には、圧縮機、凝縮器等が配置された機械室12を有する。
【0022】
収納領域4内の気体を冷却する蒸発器20は、収納領域4の後側に、流路筐体8を隔てて配置されている。
図2に示すように、流路筐体8は前面パネルとその両側の側面パネルとを有する。流路筐体8は、蒸発器20を覆うようにして、冷蔵庫2の内箱6の内面6Aに取り付けられる。蒸発器20が配置され流路筐体8で覆われた領域が、冷却流路10となる。冷却流路10の蒸発器20の上側には、冷却流路10内の気体を流動させるファン16が配置されている。ファン16は、流路筐体8に取り付けられている。流路筐体8の前面パネルには、ファン16により流動した気体を、冷却流路10から収納領域4に流入させる開口8Aが設けられている。
【0023】
図1の点線の矢印に示すように、気体は、流路筐体8の下側の開口から、流路筐体8で画定された冷却流路10に流入する。気体は更に上向きに流れて、蒸発器20を通過し、この間に冷却される。蒸発器20で冷却された気体は、ファン16により、流路筐体8に設けられた開口8Aから、食品の貯蔵領域4に吹き出される。吹き出された気体は、収納領域4内を循環して、貯蔵された食品を冷却する。そして、気体は、再び流路筐体8の下側の開口から、流路筐体8で画定された冷却流路10に流入する。このサイクルを繰り返すことにより、収納領域4は冷蔵室また冷凍室として機能する。
【0024】
図3に示すように、蒸発器20は、左右に折り返しながら上下に延びる熱交換パイプ26を備え、熱交換パイプ26には、上下方向に延びる複数の冷却フィン28が取り付けられている。熱交換パイプ26は、蒸発器20の上側に位置する入口から、左右に蛇行しながら下側に延び、最下点から再び左右に蛇行しながら上に戻って、蒸発器20の上側に位置する出口に達する。熱交換パイプ26の左右両側の折り返し領域には、支持部材22が取り付けられている。熱交換パイプ26及び冷却フィン28は、左右両側の支持部材22により支えられている。
【0025】
気体が冷却フィン28の間の空間を下から上に流れるときに、内部を冷媒が流れる熱交換パイプ26との熱交換で冷却される。よって、蒸発器20の熱交換パイプ26の表面には、冷却する気体に含まれる水分が凝縮した霜が付着する。熱交換パイプ26に多量の霜が付着すると冷却性能が下がるので、定期的に蒸発器20の除霜が必要となる。このため、蒸発器20の下側に、左右に延びた除霜ヒータ40が配置されている。蒸発器20の下側に配置された除霜ヒータ40からの放射伝熱、及び周囲の気体が暖められて上昇する対流伝熱により、熱交換パイプ26を暖めて除霜を行うことができる。
【0026】
除霜により蒸発器20から落ちた液体は、蒸発器20の下方に配置された露受け面30に落下する。露受け面30に落下した液体は、露受け面30を流れて、露受け面30に開口したドレン孔30Aに流入する。ドレン孔30Aに流入した液体は、排出管34を介して、機械室12内に配置された蒸発皿14に流入する。露受け面30には、落下した液体がスムーズにドレン孔30Aに流入するように、若干の勾配が設けられている。
図3では、ドレン孔30Aが、蒸発器20の幅方向の略中央の領域の下側に配置されているが、これに限られるものではない。例えば、ドレン孔30Aが、蒸発器20の幅方向の端部領域の下側に配置されている場合もあり得る。
【0027】
図1では簡単のため、冷蔵庫2が冷蔵室または冷凍室として機能する一体の収納領域4を有するように示されているが、これに限られるものではない。例えば、収納領域4が複数の部屋に区切られていて、それぞれが冷蔵室や冷凍室として機能する場合もあり得る。その場合、1つの蒸発器20を共用する場合もあり得るし、個々の冷蔵室、冷凍室ごとに蒸発器20を備える場合もあり得る。
【0028】
(本発明の1つの実施形態に係る蒸発器)
図4は、蒸発器20の支持部材22の下端が露受け面30と接する状態を示す斜視図である。
図5は、除霜ヒータ40から出たハーネス42が拘束部材50に拘束されて下側に延びている状態を示す斜視図である。次に、
図2から
図5を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る蒸発器20及びその周辺の機器の説明を行う。
【0029】
従来の蒸発器では、例えば、蒸発器を冷蔵庫の内箱にネジ留めで取り付けるとき、作業者は、蒸発器を持ち上げた状態で、蒸発器を内箱にネジ留めする必要がある。蒸発器はかなりの重量があるので、蒸発器の取り付け作業は困難な作業となる。更に、蒸発器の重さで持ち上げている蒸発器の位置がずれて、内箱に形成されたネジ孔に対して、締結ネジがずれた状態で留められる虞もある。
【0030】
一方、本実施形態に係る蒸発器20の支持部材22は、熱交換パイプ26よりも下側に延びた下側領域22Aを有し、支持部材22の下側領域22Aの下端が露受け面30と接するようになっている。つまり、支持部材22により、蒸発器20が露受け面30上に載置された状態になっている。
【0031】
図3の矢印Aに示すように、左右それぞれの支持部材22の上側には、締結ネジ(締結部材)を通す孔が開けられた取付領域22Bが形成されている。蒸発器20が露受け面30に載置された状態で、取付領域22Bの孔の位置と、冷蔵庫2の内箱6の内面6Aに設けられたネジ孔の位置とが、概ね高さ方向で一致するようになっている。よって、蒸発器20が露受け面30上に載置された状態で、蒸発器20の水平方向の位置を調整することにより、取付領域22Bの孔の位置と、内面6Aのネジ孔の位置とを容易に合わせることができる。これにより、作業者は、蒸発器20を持ち上げることなく、締結ネジ(締結部材)を取付領域22Bの孔に通して、内箱6のネジ孔に挿入してネジ留めすることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2では、左右に折り返しながら上下に延びる熱交換パイプ26と、熱交換パイプ26を左右両側の折り返し領域で支える支持部材22とを有する蒸発器20と、記蒸発器20の下側に配置され、蒸発器20から落下した液体を受ける露受け面30と、を備え、支持部材22が熱交換パイプ26よりも下側に延び、支持部材22(下側領域22A)の下端が露受け面30と接するようになっている。
【0033】
よって、蒸発器20を露受け面30上に載置することができる。これにより、蒸発器20を冷蔵庫2の内箱6の内面6Aに取り付けるとき、作業者は蒸発器20を持ち上げることなく、位置決めをしてネジ留めを行うことができる。これにより、締結ネジをネジ孔に真っ直ぐ挿入して締結することができる。よって、効率的な作業で、蒸発器20を冷蔵庫2に適切に取り付けることができる。
【0034】
上記のように、蒸発器20から露受け面30に落下した液体は、露受け面30を流れてドレン孔30Aに流入する。しかし、支持部材22(下側領域22A)の下端が露受け面30と接する場合、その液体の流れが支持部材22(下側領域22A)で止められる虞がある。そこで、本実施形態に係る蒸発器20では、支持部材22(下側領域22A)の下部に通液孔24を備えている。
【0035】
露受け面30に落ちて露受け面30上を流れる液体は、支持部材22(下側領域22A)の下部に設けられた通液孔24を通って流れることができる。これにより、露受け面30に落下した液体を、確実にドレン孔32を介して外部へ排出することができる。
【0036】
本実施形態では、通液孔24の下側に支持部材22の部材が僅かに残った形状を有するが、これに限られるものではない。下側が開口したに通液孔24を形成することもできる。
【0037】
(蒸発器のハーネスの取り回し)
上記のように本実施形態では、蒸発器20の熱交換パイプ26の下側であって、露受け面30の上側に左右に延びた除霜ヒータ40を備える。除霜ヒータ40は、細長い円筒状の石英ガラス管と、石英ガラス管の内部に収容された発熱体とを備える。更に、除霜ヒータ40の発熱体と電気的に繋がったハーネス42が、除霜ヒータ40の左右両側の端部40Aから外部に延びている。本実施形態では、蒸発器20が直線状に延びた石英ガラス管を有するが、これに限られるものではない。例えば、180度折り返されたU字状に延びた石英ガラス管を有する場合もあり得る。その場合には、除霜ヒータ40の一方の領域から2本のハーネスが外部に延びている。
【0038】
除霜ヒータ40から出たハーネス42は、蒸発器20の左右の端部領域である熱交換パイプ26が折り返された湾曲の内側であって、一番外側に配置された冷却フィン28の外側の空間を通って上方に延び、蒸発器20の上方に配置された端子44と接続されている。このため、仮に、ハーネス22が弛んだ状態だと、ハーネス42が熱交換パイプ26の外側に飛び出す虞がある。その場合には、
図2に示すように、流路筐体8を内箱6の冷蔵庫2の内箱6の内面6Aに取り付けるとき、飛び出したハーネス42が、流路筐体8と内箱6の内面6Aとの間に挟み込まれる虞がある。
【0039】
これに対処するため、ハーネス42が弛んで流路筐体8に挟まれないようにするため、力Fでハーネス42を上方に引っ張る必要がある(
図2の力F,点線の矢印参照)。ハーネス42の剛性に打ち勝って弛みを取る引張力Fが、そのままハーネス42の除霜ヒータ40との境界流域に加わると、断線等の問題が生じる虞がある。このため、本実施形態では、上記の通液孔24に通した輪状の拘束部材50を用いて、ハーネス42の除霜ヒータ40との境界部分に過大な力がかからないようにしている。
【0040】
具体的には、
図5に示すように、ケーブルを束ねるファスナ付きの結束バンドを通液孔24の中に通し、更にハーネス42が中を通るように輪状にしてファスナで輪状に留める。これにより、結束バンドのような細長部品が輪状になった拘束部材50が形成される。拘束部材50の輪を狭めていくと、ハーネス42の拘束部材50に接した部分が通液孔24側に引っ張られる。これにより、端部40Aで除霜ヒータ40から外部に出たハーネス42は、拘束部材50に拘束されて下側に延びることになる。
図5に示すように、拘束部材50の輪を適度な大きさにしてファスナの位置を固定することにより、ハーネス42が適度に下側に延びた状態になる。
【0041】
結束バンドは、拘束部材50の輪を形成する細長部品の一例であって、これに限られるものではない。輪を形成できる変形可能な紐状部材であれば、その他の任意の部品を採用することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2では、熱交換パイプ26の下側であって、露受け面30の上側に左右に延びた除霜ヒータ40を備え、除霜ヒータ40の少なくとも一方の端部からハーネス42が外部に延びており、通液孔24の中を通る細長部品(例えば、結束バンド)が輪状になった部材であって、該輪の中を通るハーネス42が細長部品と接する拘束部材50を更に備え、除霜ヒータ40から外部に出たハーネス42は、拘束部材50に拘束されて下側に延びている。
【0043】
上記のように、熱交換パイプ26の湾曲部の内側を上方へ延びるハーネス42が弛んで、熱交換パイプ26の湾曲部の外側に飛び出すのを防ぐため、ある程度の大きさの力Fでハーネス42を上方に引っ張る必要がある。本実施形態では、ハーネス42及び拘束部材50を構成する細長部品の間に摩擦があるので、上側に引っ張られた力Fを、ハーネス42及び拘束微罪50の細長部品の接触部分で受けることができる(
図5の矢印B,力F参照)。よって、ハーネス42を上側に引く力Fを、通液孔24を通る拘束部材50を介して、蒸発器20の支持部材22で受けることができる。これにより、ハーネス42の除霜ヒータ40との境界部分(
図5の矢印C参照)に過大な力が加わるのを防ぐことができる。よって、ハーネス42が断線するのを防ぐとともに、ハーネス42と除霜ヒータ40の発熱体との間が断線するのを防ぐことができる。
【0044】
また、ハーネス42に除霜による液体がかかった場合でも、液体は、最も低い位置にあるハーネス42の拘束部材50に拘束された領域(
図5の矢印B参照)へ流れ、ハーネス42に落ちた液体が、ハーネス42が外部に出る除霜ヒータの端部40A(
図5の矢印C参照)に流入するのを防ぐことができる。よって、ハーネス42や除霜ヒータ40の発熱体が短絡するのを防ぐことができる。これにより、ハーネス42及び除霜ヒータ40を適切に保護して、信頼性の高い除霜ヒータ40を備えた冷蔵庫2を提供できる。
【0045】
図5に示すように、除霜ヒータ40から下側に延びたハーネス42は、拘束部材50と接する領域で湾曲して上側に延び、蒸発器20の左右方向の端部近傍を更に上側に延びている。
そして、ハーネス42は、更に蒸発器20の熱交換パイプ26の湾曲部の内側を上側に延びて、蒸発器20の上方に配置された端子44に接続される。
図5では、除霜ヒータ40のガラス管の下端ぐらいの位置でハーネス42が湾曲している例を示す。ただし、これは一例であって、例えば、ハーネス42を更に下方の位置で湾曲させることもできる。
【0046】
以上のような構成により、仮にハーネス42が上側に引っ張られた場合であっても、拘束部材50と接するハーネス42の湾曲した領域で確実に力を受けて、ハーネス42の除霜ヒータとの境界部分に力が加わるのを防ぐことができる。また、ハーネス42に除霜による液体がかかった場合でも、液体をハーネス42の湾曲した領域から拘束部材50に流すことができる。拘束部材50を下側に流れた液体は、露受け面30を流れて、ドレン孔32を介して外部へ排出される。これにより、ハーネス42及び除霜ヒータ40を確実に保護し、ハーネス42にかかった液体を、確実に外部へ排出することができる。
【0047】
また、上記のように、蒸発器20及び蒸発器20の端部近傍(例えば、熱交換パイプ26の湾曲部の内側)で上側に延びるハーネス42は、冷却流路10を形成する流路筐体8に覆われている。しかし、本実施形態では、ハーネス42の除霜ヒータとの境界部分に力が加わらないようにして、ハーネス42を上側へ引くことができる。これにより、ハーネス42が蒸発器20の外側に膨らむことを確実に防ぐことができる。よって、流路筐体8を逓増庫2の内箱6の内面6Aに取り付けるとき、流路筐体8及び内箱6の内面6Aの間にハーネス42が挟み込まれるのを防ぐことができる。これにより、効率的な流路筐体8の取り付けを実現できる。
【0048】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
2 冷蔵庫
2A 扉
2B 外箱
4 収納領域
6 内箱
6A 内面
8 流路筐体
8A 開口
10 冷却流路
12 機械室
20 蒸発器
22 支持部材
22A 下側領域
22B 取付領域
24 通液孔
26 熱交換パイプ
28 放熱フィン
30 露受け面
32 ドレン孔
34 排出管
36 蒸発皿
40 除霜ヒータ
40A 端部
42 ハーネス
50 拘束部材