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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096888
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】コネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/89 20110101AFI20230630BHJP
【FI】
H01R12/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212923
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝 健史郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 喜博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝正
(72)【発明者】
【氏名】杉木 俊亮
(72)【発明者】
【氏名】浅井 渚
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB26
5E223AB45
5E223AC31
5E223BA01
5E223BA06
5E223BA07
5E223BB12
5E223CB21
5E223CB22
5E223CB24
5E223CB31
5E223CB39
5E223CD01
5E223DB11
5E223EA02
5E223EA33
(57)【要約】
【課題】本明細書は、可動ハウジングを有する第1コネクタに第2コネクタが結合した状態において第1端子と第2端子の摺動を抑制する技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示するコネクタセットは、可動ハウジングを有する第1コネクタと、第1コネクタに結合する第2コネクタで構成される。第1コネクタは、第1ハウジング、可動ハウジング、第1端子を備える。第1ハウジングは、基板等のデバイスに固定される。第1端子は、先端部が可動ハウジングに固定されており、後端部が第1ハウジングに固定されており、可動ハウジングを弾性支持する。第2コネクタは、可動ハウジングが嵌合する窪みを有する第2ハウジングと、基部が窪みの底で第2ハウジングに片持ち支持されている第2端子を備える。第1コネクタと第2コネクタが結合した際、可動ハウジングの外側面と第2ハウジングの内側面との間に弾性部材が位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに固定される第1コネクタと、前記第1コネクタに結合する第2コネクタを含んでいるコネクタセットであり、
前記第1コネクタは、
前記デバイスに固定される第1ハウジングと、
可動ハウジングと、
先端部が前記可動ハウジングに固定されており、後端部が前記第1ハウジングに固定されており、前記先端部と前記後端部の間に弾性部を備えており、前記可動ハウジングを弾性支持する第1端子と、
を備えており、
前記第2コネクタは、
窪みを有しており、前記窪みに前記可動ハウジングが嵌合する第2ハウジングと、
基部が前記窪みの底で前記第2ハウジングに片持ち支持されており、前記第2コネクタの挿抜方向に沿って延びており、前記第2ハウジングが前記可動ハウジングに嵌合すると前記第1端子と接触する第2端子と、
を備えており、
前記可動ハウジングは、前記挿抜方向と交差する高さ方向を向いている外側面を有しており、
前記第2ハウジングは、前記窪みの内側面であって前記外側面と対向する内側面を有しており、
前記外側面と前記内側面の隙間に、前記隙間を前記高さ方向に押し広げるように付勢する弾性部材が配置されている、
コネクタセット。
【請求項2】
前記第1端子の前記先端部は二股に分かれており、前記第2コネクタが前記第1コネクタに結合した状態において、前記可動ハウジングの内部にて前記先端部は前記高さ方向で前記第2端子を挟み込む、請求項1に記載のコネクタセット。
【請求項3】
前記隙間は、前記高さ方向の幅が、前記挿抜方向と前記高さ方向の両方に交差する横方向の幅よりも短い扁平形状であり、2個の前記弾性部材が前記横方向で前記隙間の両端に配置されている、請求項1または2に記載のコネクタセット。
【請求項4】
前記弾性部材は板状であり、前記挿抜方向と前記高さ方向の両方に交差する横方向からみて前記弾性部材は湾曲している、請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、デバイスに固定される第1コネクタと、第1コネクタに結合する第2コネクタを含んでいるコネクタセットに関する。特に、第1コネクタがいわゆるフローティング機構を有するコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
端子を保持しつつ揺動可能に弾性支持される可動ハウジングを有するコネクタが知られている。そのようなコネクタはフローティングコネクタあるいはフローティングタイプのコネクタと呼ばれることがある。端子を保持する可動ハウジングは、弾性部材によって固定ハウジングに弾性支持される。可動ハウジングは、結合する相手コネクタの位置に倣うように動くので、相手コネクタに円滑に結合することができる。
【0003】
特許文献1-3に、フローティングコネクタの例が開示されている。可動ハウジングが保持する端子が可動ハウジングを弾性支持する部材を兼ねている場合もある(特許文献1-3)。
【0004】
特許文献1のコネクタでは、デバイスに固定される保持部材(固定ハウジング)に孔が設けられており、可動ハウジングは孔に挿通されている。可動ハウジングの上下の外側面にバネが配置されており、バネは孔の内側面に接する。バネにより可動ハウジングは孔の中心に保持されつつ、相手コネクタの位置に倣うように揺動することができる。保持部材の孔により、可動ハウジングの移動範囲が規制される。
【0005】
以下では、説明の便宜上、フローティング機構を有するコネクタを第1コネクタと称し、第2コネクタに結合する相手コネクタを第2コネクタと称する。第2コネクタは、フレキシブルなケーブルの端に備えられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-81873号公報
【特許文献2】特開2015-158991号公報
【特許文献3】特開2016-62661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1コネクタと第2コネクタが結合すると、可動ハウジングが保持する端子(第1端子)と第2コネクタの端子(第2端子)が接触して導通する。第2コネクタが結合した後も可動ハウジングが動くと、第1端子と第2端子が擦れて接触抵抗が増大するおそれがある。本明細書は、可動ハウジングを有する第1コネクタに第2コネクタが結合した状態において第1端子と第2端子の摺動を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書が開示する技術は、可動ハウジングを有する第1コネクタと、第1コネクタに結合する第2コネクタで構成されるコネクタセットに関する。第1コネクタは、第1ハウジング(固定ハウジング)、可動ハウジング、第1端子を備える。第1ハウジングは、基板等のデバイスに固定される。第1端子は、先端部が可動ハウジングに固定されており、後端部が第1ハウジングに固定されており、先端部と後端部の間に弾性部を備えており、可動ハウジングを弾性支持する。
【0009】
第2コネクタは、可動ハウジングが嵌合する窪みを有する第2ハウジングと、基部が窪みの底で第2ハウジングに片持ち支持されている第2端子を備える。第2端子は、第2コネクタの挿抜方向に沿って延びており、第2ハウジングが可動ハウジングに嵌合すると第1端子と接触する。
【0010】
可動ハウジングは、挿抜方向と交差する高さ方向を向いている外側面を有している。第2ハウジングは、窪みの内側面であって外側面と対向する内側面を有している。外側面と内側面の隙間に、隙間を高さ方向に押し広げるように付勢する弾性部材が配置されている。弾性部材は可動ハウジングに固定されていてもよいし、第2ハウジングに固定されていてもよい。
【0011】
本明細書が開示するコネクタセットは、可動ハウジングの外側面と第2ハウジングの内側面との間に配置された弾性部材が、第1コネクタと第2コネクタが結合した状態で可動ハウジングと第2ハウジングの相対的なずれを防止する。それゆえ、第1/第2コネクタ結合後の第1/第2端子の摺動が抑制される。
【0012】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施例のコネクタセットの斜視図である。
図2】XZ平面でカットしたコネクタセットの断面図である(結合前)。
図3】XZ平面でカットしたコネクタセットの断面図である(結合後)。
図4】第1端子の先端部の斜視図である。
図5】第1端子の先端部の平面図と側面図である。
図6】可動ハウジングの正面図である。
図7】第2実施例のコネクタセットの断面図である(結合前)。
図8】第2実施例のコネクタセットの断面図である(結合後)。
図9】第3実施例のコネクタセットの断面図である(結合前)。
図10】第3実施例のコネクタセットの断面図である(結合後)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)図面を参照して第1実施例のコネクタセット2を説明する。コネクタセット2は、可動ハウジング120を有する第1コネクタ100と、第2コネクタ200で構成される。図1に、コネクタセット2の斜視図を示す。図1では、第1コネクタ100と第2コネクタ200を分離して描いてある。また、図1において、第1コネクタ100(右側の図)の座標系の向きと、第2コネクタ200(左側の図)の座標系の向きが異なることに留意されたい。
【0015】
説明の便宜上、図中の座標系のX方向を挿抜方向と称する。第1コネクタ100は基板20に固定されており、第2コネクタ200が挿抜方向に沿って第1コネクタ100に接近し、両者は結合する。説明の便宜上、Y方向を横方向と称し、Z方向を高さ方向と称する。「横方向」、「高さ方向」との呼称は方向を区別するための便宜上の呼称であり、高さ方向が必ずしも鉛直方向を意味するものではなく、横方向が必ずしも水平方向を意味するものではない。
【0016】
第1コネクタ100は、複数の第1端子130を備えている。先に述べたように、第1コネクタ100は基板20に固定されており、第1端子130の後端部132が基板20の上の配線と接続されている。第1端子130の先端部は可動ハウジング120の内部に位置する。第2コネクタ200は第2端子230を備えており、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、第2端子230が可動ハウジング120の中に挿通され、第1端子130と第2端子230が接触/導通する。第2端子230の基部は不図示の電気ケーブルに接続されている。第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、第1端子130と第2端子230を介して基板20の上の配線と電気ケーブルが導通する。電気ケーブルは別のデバイスにつながっている。
【0017】
第1コネクタ100について説明する。第1コネクタ100は、複数の第1端子130のほか、第1ハウジング110、可動ハウジング120を備えている。第1ハウジング110と可動ハウジング120は絶縁性の樹脂で作られている。第1端子130は導電性の金属板で作られている。
【0018】
第1ハウジング110が基板20に固定される。第1ハウジング110の内側に可動ハウジング120が配置される。図1では、可動ハウジング120の形状がわかるように、第1ハウジング110の外枠と、基板20は仮想線で描いてある。
【0019】
可動ハウジング120は、第1端子130によって、弾性支持される。可動ハウジング120は、Y方向の長さがZ方向の長さよりも長く、扁平形状である。可動ハウジング120は、Y方向に並ぶ複数の開口121を有しており、夫々の開口121の内部に第1端子130の先端部131が位置する。別言すれば、複数の第1端子130はY方向に並んでいる。第1ハウジング110も開口112を有しており、挿抜方向からみて、第1ハウジング110は可動ハウジング120を囲んでいる。可動ハウジング120は、開口121が第1ハウジング110の開口112から露出するように配置されている。
【0020】
図2に、第1コネクタ100と第2コネクタ200を図中のXZ平面でカットした断面を示す。図2は、結合する前の第1コネクタ100と第2コネクタ200の断面を示している。図2は、一つの開口121の中心を通る平面でカットした断面を示している。
【0021】
第1端子130の先端部131が可動ハウジング120に固定されており、後端部132が第1ハウジング110の固定台113に固定されている。第1端子130の後端部132は基板20の配線(不図示)と導通する。第1端子130の先端部131と後端部132の間が弾性部133である。弾性部133はY方向からみてS字に屈曲している。可動ハウジング120は第1端子130によって弾性支持されており、また、可動ハウジング120は第1ハウジング110に触れていない。それゆえ、可動ハウジング120に力が加わると、第1端子130の弾性部133が変形し、可動ハウジング120が移動する。可動ハウジング120は、複数の第1端子130で弾性支持される。
【0022】
第2コネクタ200について説明する。第2コネクタ200は、第2ハウジング210と複数の第2端子230を備えている。第2ハウジング210は絶縁性の樹脂で作られている。複数の第2端子230は、導電性の金属棒で作られている。第2端子230の基部はケーブルに接続されているが、ケーブルの図示は省略した。
【0023】
第2ハウジング210には窪み211が設けられており、窪み211の底面に複数の第2端子230が片持ち支持されている。細長い第2端子230の基部が窪み211の底に圧入されており、第2端子230の本体は、窪み211の中で、X方向(挿抜方向)に沿って延びている。
【0024】
第1コネクタ100の可動ハウジング120の複数の開口121の夫々に対応して第2コネクタ200は複数の第2端子230を備えている。第1コネクタ100が第2コネクタ200に結合すると、夫々の第2端子230が開口121に挿通され、開口121の内部に配置された第1端子130と接触/導通する。
【0025】
第2コネクタ200(第2ハウジング210)は、第1ハウジング110の開口112を通過して可動ハウジング120と嵌合する。第2コネクタ200が挿抜方向に沿って第1コネクタ100に接近すると、第2ハウジング210と可動ハウジング120が嵌合する。詳しくは、第2ハウジング210の窪み211の中に可動ハウジング120が嵌合する。第1端子130に弾性支持された可動ハウジング120は、前後/左右/上下に揺動する。第1ハウジング110に対して揺動可能に弾性支持された可動ハウジング120が、フローティング機構に相当する。
【0026】
第2コネクタ200の窪み211の開口はテーパ状に開いている。第2コネクタ200が第1コネクタ100に結合する際、窪み211の開口の縁に可動ハウジング120が接する。さらに第2コネクタ200が進むと、窪み211の開口のテーパに沿って可動ハウジング120が移動する。第2ハウジング210と可動ハウジング120の位置誤差は、可動ハウジング120が移動することで解消される。可動ハウジング120が動くことで、位置誤差が解消され、第2ハウジング210が可動ハウジング120とスムーズ嵌合する。すなわち、第2コネクタ200が第1コネクタ100とスムーズに結合する。
【0027】
図3に、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合したときの断面図を示す。第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、可動ハウジング120の内部で第1端子130と第2端子230が接触する。可動ハウジング120の外側面122と第2ハウジング210の窪み211の内側面212の間には隙間Gpが確保される。外側面122には、板バネ141が取り付けられており、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合した状態で、板バネ141は内側面212に接し、隙間Gpを広げる方向に内側面212を押圧する。板バネ141が隙間Gpを広げる方向に圧力を加えるので、可動ハウジング120の下側の外側面123と窪み211の下側の内側面213は密着する。すなわち、第2ハウジング210と可動ハウジング120がY方向で密着する。
【0028】
板バネ141は、Y方向(横方向)から見て凸形状に湾曲しており、凸形状の中央が内側面212に当接する。
【0029】
第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合した状態において、板バネ141は隙間Gpに位置する。別言すれば、板バネ141は、可動ハウジング120の外側面122と第2ハウジング210の窪み211の内側面212との間に位置する。板バネ141は、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合した状態で可動ハウジング120と第2ハウジング210の相対的なずれを防止する。すなわち。可動ハウジング120が揺動しても、第2コネクタ200は可動ハウジング120と一緒に揺動する。上記の構造は、第1/第2コネクタ結合後の第1/第2端子の摺動が抑制されるという利点を与える。
【0030】
第1端子130の先端部131の構造を詳しく説明する。図4に、第1端子130の先端部131の斜視図を示す。先端部131は、Z方向で二股に分かれている。二股の一方は第1湾曲部135と第2湾曲部136を有しており、他方は板137である。第1/第2湾曲部135、136と、板137は対向している。
【0031】
第1湾曲部135と第2湾曲部136は、X方向(第2コネクタ200の挿抜方向)で並んでいる。第1湾曲部135と第2湾曲部136は、いずれも、板137に向けて突出するように凸形状に湾曲している。図3に示すように、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合するとき、二股の先端部131がZ方向(高さ方向)で第2端子230を挟み込む。第1湾曲部135と第2湾曲部136はZ方向に撓む弾性を有しており、その弾性により、第1湾曲部135/第2湾曲部136と、板137の間に第2端子230がしっかりと挟み込まれる。
【0032】
二股の第1端子130がZ方向(高さ方向)で第2端子230を挟み込み、板バネ141が可動ハウジング120と第2ハウジング210を高さ方向で密着させる。可動ハウジング120の内部で第1端子130と第2端子230がZ方向で密着し、可動ハウジング120と第2ハウジング210もZ方向で密着する。Z方向に沿って、可動ハウジング120はその内外で第2ハウジング210と密着する。この構成も、第1端子130と第2端子230の摺動抑制に貢献する。
【0033】
第1湾曲部135と第2端子230の接点を第1接点C1と表記し、第2湾曲部136と第2端子230の接点を第2接点C2と表記する(図3参照)。第1コネクタ100から第2コネクタ200へ向かう方向を「前方」と定義し、第2コネクタ200から第1コネクタ100へ向かう方向を「後方」と定義すると、第1接点C1は第2接点C2よりも前方に位置する。
【0034】
可動ハウジング120に固定された板バネ141と第2ハウジング210の内側面212との接点を第3接点C3と称する(図3参照)。Z方向及びY方向(高さ方向及び横方向)からみて、第3接点C3は、第1接点C1と第2接点C2の間に位置する。図3にて、第3接点C3のX方向の位置X3は、第1接点C1の位置X1と第2接点C2の位置X2の間に位置する。第2端子230は、2点(位置X1、X2)で下側から押され、位置X1とX2の間の位置X3で上側から押される。第2端子230は、上下からバランスよく加圧される。この構成は、第1端子130と第2端子230の接触をより確実にする。
【0035】
第3接点C3は、Z方向(高さ方向)からみて第1接点C1と重なっていてもよいし、第2接点C2と重なっていてもよい。第3接点C3は、Z方向(高さ方向)からみて第2接点C2と重なっていると、第1端子130と第2端子230の接触がより確実になる。
【0036】
図3によく示されているように、第1端子130と第2端子230は、3点(接点C1、接点C2、および、第2端子230と板137との接点)で接する。Y方向からみて、接点C1および接点C2と、第2端子230と板137との接点の間に第2端子230が位置する。別言すれば、第2端子230は、2個の接点C1/C2と、第2端子230と板137との接点に挟まれる。第2端子230と板137の接点は挿抜方向に延びる線状であり、接点C1、C2は、いずれも、第2端子230と板137の接点と対向する。この構造により、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合した後、第1端子130と第2端子230の接触がしっかりと保持される。
【0037】
図5に、先端部131の平面図と側面図を示す。平面図では、第1湾曲部135と第2湾曲部136が見えるように、板137の図示は省略した。第2湾曲部136の周囲には、U字形状のスリットが設けられている。図5では、理解を助けるためにスリットをグレーのハッチングで示してある。スリットは、挿抜方向(X方向)に沿って並行に延びている2本の平行切れ込み138と、2本の平行切れ込み138の前端を連結する連結切れ込み139で構成されている。第1湾曲部135は、連結切れ込み139よりも前の部位が高さ方向に凸形状に湾曲することで形成されている。第2湾曲部136は、2本の平行切れ込み138の間の部位が高さ方向に凸形状に湾曲して形成されている。それゆえ、第1接点C1は、第2接点よりも前方に位置する。
【0038】
図5の破線Lxは、挿抜方向(X方向)に平行な直線である。第1湾曲部135と第2湾曲部136は、挿抜方向からみて重なる。従って、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合したとき、第1接点C1と第2接点C2が挿抜方向からみて重なる。第1接点C1と第2接点C2は、挿抜方向からみて、高さ方向と横方向のいずれにおいても重なる。
【0039】
上記の構造により、次の利点が得られる。すなわち、第2端子230が第1端子130の二股の間に挿通されるとき、第1湾曲部135が先に第2端子230に接触して第1接点C1が形成され、続いて第2湾曲部136が第2端子230に接触して第2接点C2が形成される。第2端子230にゴミが付着している場合、ゴミは第1接点C1に捉えられ、第2接点C2に到達しない。それゆえ、第2接点C2では良好な導通が確保される。第1湾曲部135(第1接点C1)は、ゴミ捕獲手段として機能する。
【0040】
図6に、可動ハウジング120の正面図(挿抜方向からみた図)を示す。図6には、可動ハウジング120に嵌合する第2ハウジング210(第2コネクタ200)を仮想線で描いてある。可動ハウジング120は、Z方向(高さ方向)の長さがY方向(横方向)の長さよりも短い扁平形状である。それゆえ、外側面122と内側面212の間の隙間Gpも、Z方向の幅がY方向の幅よりも狭い扁平形状である。外周の幅広面に相当する外側面122に2個の板バネ141が固定されている。2個の板バネ141は、Y方向(横方向)で外側面122の両端に配置されている。別言すれば、2個の板バネ141は、Y方向(横方向)で隙間Gpの両端に配置されている。2個の板バネ141がY方向(横方向)で外側面122の両端に配置されていることは、図1にも示されている。
【0041】
第2コネクタ200(第2ハウジング210)が第1コネクタ100(可動ハウジング120)に結合すると、2個の板バネ141のそれぞれが第2ハウジング210の内側面212に当接する。2個の板バネ141の間の距離が大きいため、挿抜方向(X方向)を軸とするモーメントM1がコネクタに加わっても、可動ハウジング120と第2ハウジング210は容易には、ずれない。
【0042】
なお、板バネ141により、外側面122と内側面212の間には隙間Gpが確保されるが、反対側の外側面123と内側面213は密着する。
【0043】
(第2実施例)図7、8に、第2実施例のコネクタセット2aの断面図を示す。コネクタセット2aは、第1コネクタ100aと第2コネクタ200aを含む。図7は、第1コネクタ100aと第2コネクタ200aが結合する前の断面を示している。図8は、第1コネクタ100aと第2コネクタ200aが結合した後の断面を示している。
【0044】
第1実施例のコネクタセット2では、板バネ141が可動ハウジング120の外側面122に固定されていたが、第2実施例のコネクタセット2aでは、板バネ241が第2ハウジング210の窪み211の内側面212に固定されている。板バネ241を除いて、コネクタセット2とコネクタセット2aは同じ構造を有している。
【0045】
第2ハウジング210の内側面212に固定された板バネ241は、Y方向からみて凸形状に湾曲している。第1コネクタ100aと第2コネクタ200aが結合すると、板バネ241は隙間Gpに位置し、湾曲の凸部が可動ハウジング120の外側面122に接する。板バネ241が隙間GpをZ方向に広げるように圧力を加えるので、反対側の外側面123と反対側の内側面213が密着する。
【0046】
また、第1コネクタ100aと第2コネクタ200aが結合した状態で、第1湾曲部135と第2端子230の接点(第1接点C1)と第2湾曲部136と第2端子230の接点(第2接点C2)が形成され、板バネ241と外側面122の接点(第3接点C3)が形成される。第3接点C3は、Y方向及びZ方向からみて第1接点C1と第2接点C2の間に位置する。
【0047】
第2実施例のコネクタセット2aも、第1実施例のコネクタセット2と同じ利点を有する。
【0048】
(第3実施例)図9、10に、第3実施例のコネクタセット2bの断面図を示す。コネクタセット2bは、第1コネクタ100bと第2コネクタ200bを含む。図9は、第1コネクタ100bと第2コネクタ200bが結合する前の断面を示している。図10は、第1コネクタ100bと第2コネクタ200bが結合した後の断面を示している。
【0049】
コネクタセット2bでは、第1コネクタ100bの第1ハウジング110bの開口112bの大きさが第1実施例のコネクタセット2と異なる。開口112bの大きさを除いて、コネクタセット2bの構成はコネクタセット2の構成と同じである。
【0050】
開口112bのY方向の大きさは、第2コネクタ200bの第2ハウジング210のY方向の長さと同じである。それゆえ、第1コネクタ100bと第2コネクタ200bが結合すると、第1ハウジング110bの上内側面114と第2ハウジング210bの上外側面214が接し、第1ハウジング110bの下内側面115と第2ハウジング210bの下外側面215が接する。別言すれば、第1コネクタ100bと第2コネクタ200bが結合するとき、第2ハウジング210bのY方向の位置は、第1ハウジング110bの枠で拘束される。
【0051】
第1コネクタ100bと第2コネクタ200bが結合する際、第2ハウジング210bのY方向の位置は、第1ハウジング110bの枠で拘束される。それゆえ、基板20が振動する際、第2ハウジング210b(第2コネクタ200b)は第1ハウジング110bと一緒に振動する。板バネ141によって可動ハウジング120と第2ハウジング210bが密着するのに加えて、第1ハウジング110bが第2ハウジング210bの位置を拘束するので、基板20が振動する際の第1端子130と第2端子230の摺動がより効果的に抑えられる。
【0052】
なお、第1ハウジング110bの内側面と第2ハウジング210bの外側面との間に少しのクリアランス(隙間)が存在してもよい。
【0053】
実施例で説明したコネクタセットの特徴を以下に列挙する。コネクタセットは、基板20に固定される第1コネクタ100(100a、100b)と、第1コネクタに結合する第2コネクタ200(200a、200b)を含んでいる。第1コネクタは、基板20に固定される第1ハウジング110(110b)と、可動ハウジング120と、第1端子130を備える。第1ハウジングは枠形状を有しており、可動ハウジング120は第1ハウジング110の枠内に配置される。第1端子130は、先端部131が可動ハウジング120に固定されており、後端部132が第1ハウジング110に固定されている。第1端子130は、先端部131と後端部132の間に弾性部133を備えており、可動ハウジング120を第1ハウジング110に対して揺動可能に弾性支持する。
【0054】
第2コネクタ200(200a、200b)は、第2ハウジング210と第2端子230を備える。第2ハウジング210は、窪み211を有しており、第1コネクタが第2コネクタに嵌合する際、窪み211に可動ハウジング120が嵌合する。第2端子230は、その基部が窪みの底に片持ち支持されており、第2コネクタ200の挿抜方向に沿って延びている。第2ハウジング210が可動ハウジング120嵌合すると、すなわち、第2コネクタ200が第1コネクタに結合すると、第2端子230は第1端子130と接触する。
【0055】
可動ハウジング120は、挿抜方向と交差する高さ方向(Z方向)を向いている外側面122を有しており、第2ハウジング210は、窪み211の内側面であって外側面122と対向する内側面212を有している。第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、外側面122と内側面212の間に隙間Gpが確保される。隙間Gpに、その隙間Gpを高さ方向に押し広げるように加圧する弾性部材(板バネ141、241)が配置されている。弾性部材は外側面122に固定されてもよいし、内側面212に固定されてもよい。前者の場合、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、弾性部材が内側面212に接し、隙間Gpを広げる方向に加圧する。後者の場合、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、弾性部材が外側面122に接し、隙間Gpを広げる方向に加圧する。
【0056】
第1端子130の先端部131は二股(第1/第2湾曲部135、136と板137)に分かれている。第2コネクタ200が第1コネクタ100に結合した状態において、可動ハウジング120の内部にて二股の先端部131は高さ方向で第2端子230を挟み込む。
【0057】
隙間Gpは、高さ方向(Z方向)の幅が、挿抜方向と高さ方向の両方に交差する横方向(Y方向)の幅よりも短い扁平形状であり、2個の弾性部材(板バネ141)が横方向で隙間Gpの両端に配置されている。
【0058】
弾性部材(板バネ141、241)は板状であり、横方向(Y方向)からみて凸条に湾曲している。凸の頭頂面が内側面212(または外側面122)に当接する。
【0059】
挿抜方向に沿って第1コネクタ100から第2コネクタ200へ向かう方向を前方、第2コネクタ200から第1コネクタ100へ向かう方向を後方、と定義したとき、第1コネクタ100と第2コネクタ200が結合すると、第1端子130と第2端子230が接する第1接点C1と第2接点C2が形成される。なお、第2接点C2は第1接点C1よりも後方に位置する。湾曲した板バネ141(板バネ241)の頭頂面と内側面212(外側面122)との間に第3接点C3が形成される。横方向からみて、第1/第2接点C1、C2と、第3接点C3の間に第2端子230が位置する。Y方向(Z方向)からみて、第3接点C3は第1接点C1と第2接点C2の間に位置する。
【0060】
高さ方向からみて、第3接点C3が第2接点C2と重なっている。挿抜方向からみて第1接点C1と第2接点C2が重なっている。
【0061】
第1端子130の先端部131は、挿抜方向に沿って並行に延びている2本の平行切れ込み138と、2本の平行切れ込み138の前端を連結する連結切れ込み139とを有している。連結切れ込み139よりも前の部位が高さ方向に湾曲して第1湾曲部135(第1接点C1)が形成され、2本の平行切れ込み138の間の部位が高さ方向に湾曲して第2湾曲部136(第2接点C2)が形成される。
【0062】
第1ハウジング110b(固定ハウジング)は枠形状を有しており、第1コネクタ100bと第2コネクタ200bが結合する際、第2ハウジング210は第1ハウジング110bの枠内に位置する。同時に、可動ハウジング120が第2ハウジング210の窪み211の中に位置する。すなわち、第2ハウジング210は、窪み211の内外で、第1ハウジング110bと可動ハウジング120に挟まれる。それゆえ、第2ハウジング210(第2コネクタ200b)は第1コネクタ100bに対してしっかりと固定される。
【0063】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。「第1ハウジング」は固定ハウジングと呼び代えてもよい。実施例の第1ハウジングは基板20に固定されている。第1ハウジングは基板以外のデバイスに固定されていてもよい。
【0064】
「可動ハウジング」は浮動片(フローティングピース)と呼び代えてもよい。実施例のコネクタセットでは、4本の第1端子がY方向に並んでいる。コネクタセットは、複数の第1端子が高さ方向で並んでいてもよい。
【0065】
板バネ141、241が、可動ハウジングの外側面と、第2ハウジングの窪みの内側面との間に配置される弾性部材の一例である。弾性部材は、樹脂またはゴムで作られていてもよい。弾性部材は、可動ハウジングの外側面と、第2ハウジングの窪みの内側面のいずれか一方の面に固定され、第1/第2コネクタが結合すると他方の面を押圧する。
【0066】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0067】
2、2a、2b:コネクタセット 20:基板 100、100a、100b:第1コネクタ 110、110b:第1ハウジング 112、112b:開口 113:固定台 114:上内側面 115:下内側面 120:可動ハウジング 121:開口 122、123:外側面 130:第1端子 131:先端部 132:後端部 133:弾性部 135:第1湾曲部 136:第2湾曲部 137:板 138:平行切れ込み 139:連結切れ込み 141、241:板バネ 200、200a、200b:第2コネクタ 210、210b:第2ハウジング 211:窪み 212:内側面 213:内側面 214:上外側面 215:下外側面 230:第2端子
図1
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