(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096929
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ヒートポンプユニット設置構造
(51)【国際特許分類】
F24H 9/06 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
F24H9/06 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212998
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰介
(72)【発明者】
【氏名】橋間 隆晴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 凌
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037CA02
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプユニットをメータボックスの扉と共に容易に移動させることができるヒートポンプユニット設置構造を提供すること。
【解決手段】水道管とガス管が配管されたメータボックス(MB)内に貯湯給湯装置(10)のヒートポンプユニット(12)を設置するためのヒートポンプユニット設置構造は、メータボックス(MB)に扉(3)が装備され、ヒートポンプユニット(12)は、メータボックス(MB)の扉(3)と連結するための連結部(19)を有する移動可能な架台(17)に設置固定され、この架台(17)は、連結部(19)を介して連結されたメータボックス(MB)の扉(3)を開放することによってこの扉(3)と共に移動するように構成された。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管とガス管が配管されたメータボックス内に貯湯給湯装置のヒートポンプユニットを設置するためのヒートポンプユニット設置構造において、
前記メータボックスには扉が装備され、
前記ヒートポンプユニットは、前記扉と連結するための連結部を有する移動可能な架台に設置固定され、
前記架台は、前記連結部を介して連結された前記扉を開放することによって前記扉と共に移動するように構成されたことを特徴とするヒートポンプユニット設置構造。
【請求項2】
前記架台は、前記ヒートポンプユニットを載置するための台座部と、前記台座部に固定された脚部を有し、前記脚部には移動用キャスターが装備されたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプユニット設置構造。
【請求項3】
前記台座部は、前記連結部を介して前記扉に固定され、
前記脚部は、前記台座部の前記扉と反対側部分に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプユニット設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニットを有する貯湯給湯装置の設置構造に関し、特にメータボックス内に設置される貯湯給湯装置のヒートポンプユニットの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転効率に優れたヒートポンプユニットによって加熱された湯水を貯湯槽に貯湯し、この貯湯槽の湯水を給湯に使用する貯湯給湯装置が広く利用されている。貯湯給湯装置は、給湯に使用できる温度の湯水が貯湯槽に無い場合にも給湯できるように、燃料ガスの燃焼熱を利用して湯水を加熱する燃焼式の補助熱源機を備えている。
【0003】
貯湯給湯装置を例えば集合住宅に設置する場合には、各戸に設けられているメータボックス内に貯湯給湯装置を設置する。メータボックスには例えば水道管やガス管が配管され、これらの累積使用量を表示する水道メータ、ガスメータが設置されている。メータボックスの開口部には、金属製の枠と扉が装備され、扉によってメータボックス内が見えないように覆い、且つ必要に応じて扉を開くことができるように構成されている。
【0004】
補助熱源機は、メータボックスの外に燃焼排気を排出するために、排気口をメータボックスの外側に向けてメータボックスの枠に固定されるが、燃焼排気が人に直接当たらないように高い位置から排気するため、枠の上半部に固定される。ヒートポンプユニットは、メータボックス内に導入される空気の熱を利用して湯水を加熱するが、この空気をメータボックスの外に排出し易くするために、換気用のガラリを備えた扉に近づけて補助熱源機の下方に設置される。貯湯槽は、これらヒートポンプユニットと補助熱源機の後方(メータボックス奥側)に設置される。
【0005】
メータボックス内の水道メータ、ガスメータの検針時には、検針員がメータボックスの扉を開けて目視する。しかし、扉を開けても枠の上半部には補助熱源機が設置され、その下方にはヒートポンプユニットが設置されているので、水道メータ等を目視することが容易ではない。
【0006】
そのため、例えば特許文献1のように、重量があるヒートポンプユニットに移動用キャスターを装備し、水道メータとガスメータを目視できるように検針時にヒートポンプユニットを移動させることが考えられる。また、特許文献2のように、メータボックスの扉にヒートポンプユニットの構成部品を固定することにより、ヒートポンプユニットを扉と一体化し、検針時に扉を開けることによってヒートポンプユニットを移動させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭62-152123号公報
【特許文献2】特許第4413838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のようにヒートポンプユニットに移動用キャスターを装備しても、検針の度にメータボックスの扉を開けてヒートポンプユニットを移動させ、検針後にこのヒートポンプユニットを元の位置に戻して扉を閉めることは、手間がかかる。特に検針の件数が多い集合住宅では、検針員の負担が大きくなる。
【0009】
また、特許文献2のようにヒートポンプユニットをメータボックスの扉と一体化する場合には、戸建住宅で使用される屋外設置用の貯湯給湯装置と共通の通常のヒートポンプユニットではなく、専用のヒートポンプユニットが必要なので製造コストが上昇する。その上、現地でヒートポンプユニットを組み立てるので施工者の負担が大きくなり、扉と一体化することは容易ではない。
【0010】
本発明の目的は、ヒートポンプユニットをメータボックスの扉と共に容易に移動させることができるヒートポンプユニット設置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明のヒートポンプユニット設置構造は、水道管とガス管が配管されたメータボックス内に貯湯給湯装置のヒートポンプユニットを設置するためのヒートポンプユニット設置構造において、前記メータボックスには扉が装備され、前記ヒートポンプユニットは、前記扉と連結するための連結部を有する移動可能な架台に設置固定され、前記架台は、前記連結部を介して連結された前記扉を開放することによって前記扉と共に移動するように構成されたことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、ヒートポンプユニットが設置固定された移動可能な架台は、連結部を介してメータボックスの扉に連結され、この扉の開放により扉と共に移動する。従って、検針時にはヒートポンプユニットを扉と共に移動させて水道メータ、ガスメータを目視し易くすることができ、検針後にはヒートポンプユニットを扉と共に容易に元の位置に移動させることができ、検針員の負担を軽減することができる。また、屋外設置用と共通の通常のヒートポンプユニットを架台に設置固定することができ、製造コストの上昇、施工者の負担の増加を抑制することができる。
【0013】
請求項2の発明のヒートポンプユニット設置構造は、請求項1の発明において、前記架台は、前記ヒートポンプユニットを載置するための台座部と脚部を有し、前記脚部には移動用キャスターが装備されたことを特徴としている。
上記構成によれば、ヒートポンプユニットが載置された架台の台座部は、移動用キャスターが装備された脚部によって支持されている。従って、ヒートポンプユニットの重量によってメータボックスの扉の開閉性が損なわれることが防止され、この扉の開閉によってヒートポンプユニットを容易に移動させることができ、検針員の負担を軽減することができる。
【0014】
請求項3の発明のヒートポンプユニット設置構造は、請求項2の発明において、前記台座部が前記連結部を介して前記扉に固定され、前記脚部は、前記台座部の前記連結部と反対側を支持するように設けられたことを特徴としている。
上記構成によれば、ヒートポンプユニットが載置された架台の台座部は、メータボックスの扉と脚部によって支持される。脚部によってメータボックスの扉にかかるヒートポンプユニットの重量が軽減されるので、扉の開閉性が損なわれることが抑制され、この扉の開閉によってヒートポンプユニットを容易に移動させることができ、検針員の負担を軽減することができる。また、閉じた状態の扉によって架台の移動を禁止することができるので、扉を閉じてから移動用キャスターを動かないようにする必要がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明のヒートポンプユニット設置構造によれば、ヒートポンプユニットをメータボックスの扉と共に容易に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】メータボックス内の機器配置例を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るヒートポンプユニット設置構造を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例2に係る下部扉に固定された架台の斜視図である。
【
図6】架台と下部扉を固定する固定金具を説明するための断面図である。
【
図7】本発明の実施例3に係るヒートポンプユニット設置構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例1~3に基づいて説明する。
【実施例0018】
図1、
図2に示すように、集合住宅には、例えば上下方向に延びる水道管、ガス管等を配管すると共に水道メータW、ガスメータG等のメータを設置するためのメータボックスMBが、例えば共用通路部に臨むように設けられている。このメータボックスMBには開閉可能な扉として、上部扉1,2と下部扉3が装備されている。このメータボックスMB内に貯湯給湯装置10が設置される場合がある。図中の矢印Uは上方を示し、矢印LはメータボックスMBの左方を示し、矢印FはメータボックスMBの前方を示す。尚、メータボックスMBは、パイプシャフト又はパイプスペースと呼ばれる場合もある。
【0019】
上部扉1,2は、メータボックスMBの開口部に設置された金属製の枠4の上半部に両開きの扉として装備され、下部扉3は枠4の下半部に片開きの扉として装備されている。上部扉1,2の上方と下部扉3の下方には、空気が出入り可能な隙間が設けられている。また、下部扉3には、複数のルーバーを備えた換気用の開口部(ガラリ3a)が装備されている。
【0020】
メータボックスMBに設置される貯湯給湯装置10は、戸建て住宅における屋外設置用の貯湯給湯装置と共通の部材で構成され、貯湯槽11とヒートポンプユニット12と補助熱源機13と不図示の制御部等を有する。貯湯槽11には、ヒートポンプユニット12の貯湯運転によって加熱された湯水が貯湯される。補助熱源機13は、燃料ガスをバーナで燃焼させる燃焼運転によって湯水を加熱する。制御部は、貯湯運転及び燃焼運転を制御し、貯湯槽11の湯水又は補助熱源機13で加熱された湯水を例えば給湯設定温度に調温して給湯する。
【0021】
補助熱源機13は、メータボックスMBの外に燃焼運転の燃焼排気を排出し易くするために、排気口13aをメータボックスMBの前方に向けてメータボックスMBの開口部の枠4に固定される。このとき、高い位置から燃焼排気を排出して人に直接当たらないようにするために、補助熱源機13は枠4の上半部に固定される。上部扉2には、補助熱源機13の排気口13aを挿通する開口部2aが設けられている。
【0022】
ヒートポンプユニット12は送風ファン12aを有し、メータボックスMBに導入された空気の熱を利用して湯水を加熱する。湯水の加熱に利用した空気を送風ファン12aによってメータボックスMBの外に排出し易くするために、ヒートポンプユニット12は、補助熱源機13の下方においてガラリ3aを備えた下部扉3に近づけられて設置される。
【0023】
メータボックスMB内の扉側(前部)には補助熱源機13とヒートポンプユニット12が設置されるので、これらの後方のメータボックスMBの奥側(後部)であって、水道メータWとガスメータGの目視を妨げない位置に、貯湯槽11が設置される。制御部は、メータボックスMB内に収容されていてもよく、室内に設置されていてもよい。尚、図示を省略するが、貯湯給湯装置10の配管、ポンプ等は空いているスペースに設置される。
【0024】
図2、
図3に、メータボックスMB内に貯湯給湯装置10のヒートポンプユニット12を設置するためのヒートポンプユニット設置構造を示す。メータボックスMBの下部扉3は、メータボックスMBの枠4に回動可能に支持されたヒンジ部を中心にして開くことができる。ヒートポンプユニット12は、台座部15と脚部16を有する移動可能な架台17に設置固定されている。そして下部扉3を開放することによって、架台17が下部扉3と共に移動するように構成されている。図示を省略するが、貯湯運転時に貯湯槽11とヒートポンプユニット12の間で循環させる湯水の通路には、可撓性を有する配管又はホースが使用され、ヒンジ部側でヒートポンプユニット12に接続される。
【0025】
図4に示すように、台座部15は、例えば矩形の金属フレームであり、ヒートポンプユニット12は固定部材12bを介して台座部15に設置固定される。脚部16は、台座部15の四隅に設けられた4本の脚16a~16dで台座部15を支持するように構成されている。これら4本の脚16a~16dは、床面を移動するための移動用キャスター18a~18dを備えている。移動用キャスター18a~18dは、夫々鉛直軸回りに回転可能である。台座部15には、下部扉3に連結するための連結部19が装備されている。
【0026】
連結部19によって下部扉3に連結された架台17は、脚部16の移動用キャスター18a~18dによって、下部扉3の開放に伴って下部扉3と共に移動して、メータボックスMBの前方に移動する。連結部19は、例えば金属製のフックであり、この連結部19が台座部15及び下部扉3に夫々係合することによって台座部15が下部扉3と連結される。連結部19は、例えばチェーン又はワイヤであってもよく、例えばボルトとナットのような締結部材又は溶接によって台座部15を下部扉3に固定するものであってもよい。
【0027】
架台17がヒートポンプユニット12を支持するので、下部扉3のヒンジ部にヒートポンプユニット12の重量負荷がかからず、下部扉3の開閉性は損なわれない。
図3のように片開きの下部扉3をメータボックスMBの外側に開くと、そのヒンジ部分を中心にして下部扉3が移動する。このとき、下部扉3に連結された架台17が下部扉3と共に移動するので、架台17に設置固定されたヒートポンプユニット12が下部扉3の開放により下部扉3と共に容易に移動する。これによりメータボックスMBの奥側の水道メータW、ガスメータGがヒートポンプユニット12に隠された状態ではなくなるので、目視により検針することができる。
【0028】
また、ヒートポンプユニット12が設置固定された架台17は、下部扉3を閉じる際にメータボックスMB内に向かって下部扉3と共に移動して、元の位置に戻る。閉じた下部扉3は、例えばドアラッチ3bによって閉じた状態が維持され架台17の移動を規制することができる。
この架台17にヒートポンプユニット12が設置固定されたときに、下部扉3にかかるヒートポンプユニット12の重量が脚部16によって軽減され、下部扉3の開閉性は損なわれない。そして、脚部16は移動用キャスター18a,18bによって移動可能なので、架台17に設置固定されたヒートポンプユニット12は下部扉3の開閉に伴って下部扉3と共に容易に移動する。
例えばドアラッチ3bによって下部扉3が閉じた状態が維持されているときには、架台17の移動が禁止されるので、下部扉3を閉じてから例えばストッパーによって移動用キャスター18a,18bを動かないようにする必要がない。尚、連結部29は溶接によって台座部15に固定されてもよく、台座部15が下部扉3に例えば溶接によって直接固定されてもよい。