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特開2023-96938情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096938
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/84 20130101AFI20230630BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20230630BHJP
   H04N 21/454 20110101ALI20230630BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20230630BHJP
【FI】
G06F21/84
H04N21/442
H04N21/454
G06F21/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213012
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】沼野 藤仁
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164UA42S
5C164UB41P
5C164UB51S
5C164UC12P
5C164YA08
5C164YA12
(57)【要約】
【課題】表示画面を見ることが可能な範囲にいる子供にとって不適切な機能を制限する情報処理装置等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、監視範囲内の人物を継続的に監視する監視処理部と、前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果が子供である場合、機能制限を行う制限部と前記監視範囲内の前記人物の年齢を推定する年齢推定部を備え、前記判定部は、前記年齢推定部が推定した年齢に基づいて、前記人物が子供であるか否かを判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視範囲内の人物を継続的に監視する監視処理部と、
前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果が子供である場合、機能制限を行う制限部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記監視範囲内の前記人物の年齢を推定する年齢推定部を備え、
前記判定部は、前記年齢推定部が推定した年齢に基づいて、前記人物が子供であるか否かを判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記人物の視線を推測する視線推測部を備え、
前記視線推測部によって前記人物の視線が情報表示画面を向いていると推測された場合、前記制限部は、機能制限を行う
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制限部は、特定のアイコンの表示を制限する
請求項1から3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制限部は、特定のソフトウェアの動作を制限する
請求項1から4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制限部は、ネットワーク上の特定の外部リソースへのアクセスを制限する
請求項1から5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制限部は、前記判定部が前記監視範囲内の全ての前記人物を子供ではないと判定した場合、機能制限を行わず、
前記監視範囲内の全ての前記人物が子供ではなく機能制限が行われていない状態において、前記判定部が前記監視範囲内にさらに侵入した他の前記人物が子供であると判定した場合、機能制限を行う
請求項1から6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
判定結果が子供である前記人物が前記監視範囲から退出した場合、前記制限部は、機能制限を解除する
請求項1から7のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記監視範囲に複数の前記人物が存在する際、前記判定部が少なくとも一人の前記人物が子供であると判定した場合、前記制限部は機能制限を行う
請求項1から8のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判定部が、少なくとも一人の前記人物が子供であり、少なくとも一人の前記人物が子供でないと判定した際、
前記制限部は、特定の操作が入力された場合、機能制限を解除する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記人物を認証する認証部を備え、
前記認証部が、前記判定部が子供でないと判定した前記人物を認証した場合、機能制限を解除する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
監視範囲内の人物を継続的に監視し、
前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定し、
判定結果が子供である場合、機能制限を行う
情報処理方法。
【請求項13】
監視範囲内の人物を継続的に監視し、
前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定し、
判定結果が子供である場合、機能制限を行う
処理を情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが特定の条件に当てはまる場合に機能制限を行う装置が提案されている。例えば特許文献1に記載の表示制御装置は、年齢制限情報を含むコンテンツを視聴者が閲覧するときに、視聴者の生体情報によって年齢の特定を行い、視聴可能な年齢でないときにはそのコンテンツの表示を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-61112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザではない子供が表示画面を覗き見たとき、子供に不適切な表示を不意に見せてしまう場合がある。特許文献1に記載の装置はユーザが特定の条件に当てはまるか否かを判定するため、ユーザが使用中に他の人物が表示画面を見た場合に該人物が子供であるか否かを判定できない。
【0005】
本開示の目的は、表示画面を見ることが可能な範囲にいる子供にとって不適切な機能を制限する情報処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、監視範囲内の人物を継続的に監視する監視処理部と、前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果が子供である場合、機能制限を行う制限部とを備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、監視範囲内の人物を継続的に監視し、前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定し、判定結果が子供である場合、機能制限を行う。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、監視範囲内の人物を継続的に監視し、前記監視範囲内の前記人物が子供であるか否かを判定し、判定結果が子供である場合、機能制限を行う処理を情報処理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置にあっては、表示画面を見ることが可能な範囲にいる子供にとって不適切な機能を制限することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理装置の外観を示す説明図である。
図2】実施形態1における情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】撮影画像を説明する説明図である。
図4】年齢推定モデルなどに関する説明図である。
図5】機能制限の例を示す説明図である。
図6】実施形態1に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。
図7】実施形態2に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図8】視線推定モデルに関する説明図である。
図9】実施形態2に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。
図10】実施形態3に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。
図11】実施形態4に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図12】特徴抽出モデル及び認証方法に関する説明図である。
図13】実施形態4に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて記述する。
(実施形態1)
図1は、情報処理装置の外観を示す説明図である。情報処理装置1は、タブレット型の端末であり、表示部14と、監視部13を備える。表示部14はタッチパネルであり、種々の情報表示画面を表示することに加え、情報処理装置1に対する操作を入力することも可能である。監視部13はいわゆるインカメラであり、画面が表示される方向を常時監視し、撮影する。監視部13が撮影可能な範囲は、監視範囲である。情報処理装置1は、監視範囲内に人物がいる場合、該人物が子供であるか否かを判定し、判定結果が子供である場合、機能制限を行う。これにより、子供が表示部14を見るときに、子供に見せるのが不適切な情報処理画面を表示させない、また子供に使用させるのが不適切な機能を使用させないことが可能となる。なお、情報処理装置1はパーソナルコンピュータ又はスマートフォン等でもよい。
【0012】
図2は、情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。情報処理装置1は制御部11、記憶部12、監視部13、表示部14、操作部15及び通信部16を備える。制御部11はCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphical Processing Unit)等の処理素子を有する。制御部11の処理素子は、記憶部12に予め記憶されたプログラムP及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理、演算処理などを並行して実行する。制御部11が複数の処理素子を有する場合、複数の処理素子が協同して種々の処理を実行してもよい。
【0013】
情報処理装置1の記憶部12は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリである。記憶部12には、プログラムP及び年齢推定モデルM1が記憶されている。
【0014】
なお、プログラムP及び年齢推定モデルM1は、コンピュータが読み取り可能に記憶した記憶媒体12aを用いて情報処理装置1に提供されてもよい。記憶媒体12aは、例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード又はコンパクトフラッシュ(登録商標)等が挙げられる。記憶媒体12aが可搬型メモリである場合、制御部11の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体12aからプログラムP及び年齢推定モデルM1を読み取ってもよい。読み取ったプログラムP及び年齢推定モデルM1は記憶部12に書き込まれる。更に、プログラムP及び年齢推定モデルM1は、通信部16が外部装置と通信することによって、情報処理装置1に提供されてもよい。
【0015】
監視部13は上述の通り監視範囲内を継続的に撮影し、撮影した画像(撮影画像)を制御部11に撮像データとして出力する。本実施形態において撮影画像は静止画であるが、動画でもよい。表示部14は情報表示画面を表示する。本実施形態に係る操作部15はタッチパネルであり、表示部14と一体となって設けられている。通信部16は、ネットワークNを介して外部サーバSとの通信を行う。
【0016】
図3は、撮影画像を説明する説明図である。図3Aに示す撮影画像中には、子供ではない人物(大人)のみが含まれており、大人が情報処理装置を使用中に監視部13が撮影した画像である。即ち、大人がユーザとなっている。この場合、情報処理装置1は機能制限を行わない。この状態において、監視範囲内にさらに人物が侵入し、該人物が子供である場合、情報処理装置1は機能制限を行う。即ち、図3Bに示すように、大人であるユーザが情報処理装置1を使用中に、監視範囲内に子供が侵入した場合、情報処理装置1は機能制限を行う。また、情報処理装置1は、監視範囲内から判定結果が子供である人物が退出した場合、機能制限を解除する。即ち、制御部11が図3Bに示す撮影画像を取得した後、図3Aに示す撮影画像を取得した場合、機能制限を解除する。
【0017】
図4は、年齢推定モデルなどに関する説明図である。年齢推定モデルM1は、例えばCNN(Convolutional Neural Network)であり、ニューラルネットワークによって構成される。制御部11は、人物検出部11aによって撮影画像中における人物が含まれている位置及び範囲(検出結果)を出力し、該範囲を検出領域とし、人物を検出する。なお、検出領域の位置及び範囲は例えば画像座標値によって定義される。撮影画像中に複数の人物が含まれている場合、人物検出部11aはそれぞれの人物を別々の検出領域に含まれるものとし、検出する。制御部11は、人物検出部11aが出力した検出領域の位置及び範囲に基づいて、撮影画像を年齢推定モデルM1に入力する。
【0018】
年齢推定モデルM1は、画像特徴量を抽出するCNNを含むニューラルネットワークで構成されており、人物検出部11aが出力した検出領域の位置及び範囲に基づいて、撮影画像を入力層に入力する。年齢推定モデルM1に含まれる入力層は、検出領域の画素値の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された画素値を中間層に受け渡す。中間層は、撮影画像の画像特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した画像特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、検出領域に関する情報を出力する一又は複数のニューロンを有し、中間層から出力された画像特徴量に基づいて、推定年齢を出力する。訓練データを用いて学習されたニューラルネットワーク(年齢推定モデルM1)は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用が想定される。年齢推定モデルM1は、上述のごとく制御部11(CPU等)にて用いられるものであり、このように演算処理能力を有する制御部11にて実行されることにより、ニューラルネットワークシステムが構成される。すなわち、制御部11が、記憶部12に記憶された年齢推定モデルM1からの指令に従って入力層に入力された撮影画像の特徴量を抽出する演算を行い、出力層から推定年齢を出力する。なお、年齢推定モデルM1は、R―CNN(Regions with Convolutional Neural Network)、Fast R―CNN、Faster R―CNN、SSD(Single Shot Multibox Detector)、又はYOLO(You Only Look Once)、等でもよい。
【0019】
図4の人物検出結果の画像に示すように、制御部11は年齢推定モデルM1の出力に基づき、各人物が含まれる領域を検出領域とし(破線のバウンティングボックスで囲まれた領域)、それぞれの検出領域に含まれる各人物の推定年齢を検出領域に紐づけて出力する。図4において、中央の人物の推定年齢は30歳であり、右側の人物の推定年齢は6歳である。年齢推定モデルM1は、年齢が紐づけられた顔画像データを訓練データとして大量に読み込んで機械学習されることによって生成される。
【0020】
図5は機能制限の例を示す説明図である。制御部11は、監視範囲内の人物が子供であると判定した場合、例えば、特定のアイコンが表示されないように制限する、特定のソフトウェアの動作を制御する又はネットワーク上の特定の外部リソースへのアクセスを制限することによって機能制限を行う。
特定のアイコンが表示されないように制限する場合、図5A及び図5Bに示すように、制御部11はホーム画面上に表示される特定のアイコンを非表示にすることによって機能制限を行う。非表示にするアイコンの数は複数でもよく、ユーザは予め非表示にするアイコンを設定することが可能である。
特定のソフトウェアの動作を制限する場合、例えば図5C及び図5Dに示すように、制御部11は起動中のソフトウェア(アプリケーション)の動作画面の表示を中止してホーム画面を表示することによって機能制限を行う。ユーザは予め動作画面の表示を中止するソフトウェアを設定することが可能である。
ネットワーク上の特定の外部リソースへのアクセスを制限する場合、例えば制御部11は、通信部16と特定の外部サーバSとの通信を遮断することで機能制限を行う(図2参照)。ユーザは予め通信を遮断する外部サーバSを設定することが可能である。
これにより、表示画面を見ることが可能な範囲にいる子供にとって不適切な機能を制限する、またはユーザである大人が意図しない操作の子供による実行を防止することが可能である。
【0021】
図6は、実施形態1に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。制御部11は、例えば情報処理装置1の主電源がオンにされると以下の処理を開始する。制御部11は、監視部13から撮影画像を取得する(S1)。制御部11は、撮影画像を取得することによって監視範囲及び監視範囲内の人物を監視する。制御部11は、年齢推定モデルM1に取得した撮影画像を入力し(S2)、検出結果及び各人物の推定年齢を出力する(S3)。ただし、撮影画像中に人物が含まれいない場合は、制御部11は推定年齢を出力しない。制御部11は撮影画像中に人物が含まれるか否かを判定する(S4)。撮影画像中に人物が含まれていない場合(S4:NО)、制御部11は機能制限を解除して(S7)処理をS1に戻し、再度撮影画像を取得する。S7において元より機能制限がされていない場合は、制御部11は機能制限がされていない状態を維持する。撮影画像中に人物が含まれている場合(S4:YES)、制御部11はS3において出力した推定年齢に基づいて撮影画像中の人物のうち少なくとも一人は子供であるか否かを判定する(S5)。撮影画像中の人物のうち少なくとも一人が子供である場合(S5:YES)、機能制限を行って(S6)処理をS1に戻す。撮影画像中の人物すべてが子供ではない場合(S5:NО)、制御部11は、機能制限を解除して(S7)処理をS1に戻す。S5において制御部11は、推定年齢が所定の年齢(例えば18歳)未満である場合は子供であると判定し、所定の年齢以上である場合は子供ではないと判定する。該所定の年齢はユーザが設定可能である。制御部11は、S4において出力された各人物の推定年齢と所定の年齢を順に比較し、所定の年齢未満の推定年齢があった場合、撮影画像中の人物のうち少なくとも一人が子供であると判定し、全ての推定年齢が所定の年齢以上であった場合、撮影画像中の人物すべてが子供ではないと判定する。
制御部11は、情報処理装置1の主電源がオフにされるまで上述の処理を絶えず継続的に繰り返し行う。
【0022】
以上の処理により、子供が監視範囲内に侵入し、子供が表示部14を見ることが可能な状態、又は子供が情報処理装置を操作しそうな状態において、機能制限を行うことが可能である。なお、制御部11は撮影画像を一定時間ごとに取得し、撮影画像中の人物が子供であるか否かを判定する処理を継続的に行ってもよい。また、制御部11は、表示部14における画面表示が開始された場合に以上の処理を開始し、画面表示を終了した場合に処理を終了してもよい。
【0023】
(実施形態2)
実施形態1に係る情報処理装置は、撮影画像中の人物が子供である場合に機能制限を行うが、実施形態2に係る情報処理装置は、撮影画像中の人物が子供であり、かつ視線が情報処理装置の表示部を向いている場合に機能制限を行う。以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0024】
図7は、実施形態2に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。実施形態2に係る情報処理装置1の記憶部12は、視線推定モデルM2を記憶する。視線推定モデルM2は例えばニューラルネットワークであり、機械学習によって生成される学習済みモデルである。視線推定モデルM2は、撮影画像が入力されることにより撮影画像中の人物の目の位置及び視線の方向を出力する。視線の方向は三次元のベクトルによって定義され、目の位置はベクトルの始点の座標として出力される。
【0025】
図8は、視線推定モデルに関する説明図である。視線推定モデルM2は例えばCNNであり、人物の撮影画像(顔画像)が入力されると人物の目の位置及び視線の方向を出力する学習済みモデルである。視線推定モデルM2に含まれる入力層は、撮影画像の画素値の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された画素値を中間層に受け渡す。中間層は、撮影画像の画像特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した画像特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、中間層から受け渡された画像特徴量に基づいて人物の目の位置及び視線の方向を出力する。視線推定モデルM2は、目の位置と視線の方向が紐づけられた顔画像データを訓練データとして大量に読み込んで機械学習されることによって生成される。
【0026】
図8の視線推定結果に示すように、制御部11は視線推定モデルM2の出力に基づき、撮影画像中の人物の視線の方向を矢印によって表す。該矢印には、ベクトル始点の座標及びベクトルの値が紐づけられている。即ち、矢印の始点が目の位置とされる。制御部11は、ベクトルの値に基づいて、視線の方向と表示部14との角度を算出し、該角度と目の位置に基づいて、視線が表示部14を向いているか否かを判定する。
【0027】
図9は、実施形態2に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。S11~S15は、実施形態1におけるS1~S5と同様の処理である。また、S20は実施形態1におけるS7と同様の処理である。S15において撮影画像中の人物のうち少なくとも一人が子供である場合(S15:YES)、制御部11は視線推定モデルM2に撮影画像を入力し(S16)、撮影画像中の人物の目の位置及び視線の方向を出力する(S17)。制御部11は目の位置及び視線の方向に基づいて視線が表示部14を向いているか否かを判定し(S18)、視線が表示部14を向いている場合(S18:YES)、機能制限を行って(S19)処理をS11に戻す。視線が表示部を向いていない場合(S18:NО)、制御部11は機能制限を解除し(S20)、処理をS11に戻す。
【0028】
以上の処理により、情報処理装置1は、子供が表示部14に視線を向けているときのみ、機能制限を行うことが可能である。
【0029】
(実施形態3)
実施形態1に係る情報処理装置は、大人であるユーザが使用中に子供が監視範囲内に侵入した場合に機能制限を行うが、子供が監視範囲内に侵入してもユーザが機能制限を必要としない場合もある。実施形態3に係る情報処理装置は、子供が監視範囲内にいる場合でも、特定の操作が入力された場合に機能制限を解除する。以下では、実施形態3について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0030】
図10は、実施形態3に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。制御部11は、監視部13から撮影画像を取得し(S31)、年齢推定モデルM1に撮影画像を入力する(S32)。制御部11は、撮影画像中の全ての人物の検出結果及び推定年齢を出力し(S33)、検出結果及び推定年齢に基づいて、撮影画像中の人物のうち少なくとも一人は子供であるか否かを判定する(S34)。撮影画像中に子供がいない場合(S34:NО)、制御部11は処理をS31に戻す。撮影画像中の人物のうち、少なくとも一人が子供である場合(S34:YES)、制御部11は機能制限を行う(S35)。制御部11は、撮影画像中の人物のうち、少なくとも一人は子供ではないか否かを判定し(S36)、撮影画像中の人物すべてが子供である場合(S36:NО)、処理をS31に戻す。撮影画像中の人物のうち、少なくとも一人は子供ではない場合(S36:YES)、操作部15に特定の操作が入力されたか否かを判定する(S37)。特定の操作とは、例えばタッチパネルの指定の箇所を1秒以内に3回タッチする操作である。特定の操作が入力された場合(S37:YES)、制御部11は機能制限を解除して(S38)、処理を終了する。特定の操作が入力されていない場合(S37:NО)、制御部11は処理をS31に戻す。なお、特定の操作の内容はユーザが設定可能である。また、特定の操作の内容設定は、情報処理装置1が機能制限を行うことによって不可にされてもよい。
【0031】
以上の処理により、ユーザである大人が情報処理装置を使用中に子供が表示部を見ることが可能な監視範囲内に侵入した場合でも、機能制限を行う必要がない場合は特定の操作を入力することにより機能制限を解除することが可能である。
【0032】
(実施形態4)
実施形態3に係る情報処理装置は、大人であるユーザが監視範囲にいる場合に特定の操作が入力されると機能制限を解除するが、実施形態4に係る情報処理装置は、大人であるユーザが認証された場合に特定の操作が入力されると機能制限を解除する。以下では、実施形態4について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0033】
図11は、実施形態4に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。実施形態4に係る情報処理装置1の記憶部12には、特徴抽出モデルM3及び登録特徴データR、R、・・・が記憶される。特徴抽出モデルM3は、撮影画像を入力されることにより、撮影画像中の人物の特徴量を抽出する。制御部11は、特徴抽出モデルM3が抽出した特徴量と、登録特徴データRとに基づいて認証を行う。
【0034】
図12は、特徴抽出モデル及び認証方法に関する説明図である。制御部11は、監視部13から取得した画像に基づき、認証を行う。制御部11は、特徴抽出モデルM3に撮影画像を入力することによって、顔の特徴点を示す抽出特徴データを生成する。特徴点は顔の部分又は輪郭の位置を示す点である。顔の部分は、眉毛、目、鼻及び唇である。図11の下側には、複数の特徴点が黒い点によって示されている。図11では、複数の特徴点それぞれは、眉毛の位置、目の輪郭の位置、鼻の位置、唇の輪郭の位置、又は、顔の輪郭の位置を示す。位置は、X軸及びY軸で構成される座標で表されている。
【0035】
特徴抽出モデルM3は、例えばニューラルネットワークであり、機械学習によって生成される学習済みモデルである。特徴抽出モデルM3は、一又は複数のニューロンの出力値に基づいて、顔の複数の特徴点を示す抽出特徴データを生成する。
【0036】
特徴抽出モデルM3では、顔の画像の画像データと、顔の複数の特徴点を示す特徴データとが互いに対応付けられているデータセットを用いて機械学習が行われる。学習が行われた後において、特徴抽出モデルM3に撮影画像が入力された場合、特徴抽出モデルMは、入力された撮影画像中に写っている顔の複数の特徴点を示す抽出特徴データを出力する。制御部11は、撮像画像データを特徴抽出モデルM3に入力し、各ニューロンでの算出を行う。これにより、抽出特徴データが生成される。
【0037】
登録特徴データRは、予め登録されている登録済みの複数の特徴点を示す。登録特徴データ撮影画像を特徴抽出モデルM3に入力することによって生成されるデータである。即ち、登録特徴データRは、撮影画像に関連する登録済み顔画像データである。1つの登録特徴データには、一人の人物の複数の特徴点を示す。記憶部12には複数の登録特徴データRが記憶されるが、記憶される登録特徴データは1つでもよい。
【0038】
制御部11は、抽出特徴データが示す複数の特徴点を、登録特徴データRが示す複数の特徴点と比較することによって、撮影画像中の人物が登録済みであるか否かを判定する。登録済みの人物は、登録特徴データRが示す複数の特徴点に対応する顔である人物である。比較では、2つの特徴点の相対位置、又は2つの特徴点間の距離が用いられる。撮影画像中の人物が登録済みである場合、認証は成功である。撮影画像中の人物が登録済みでない場合、又は特徴量が抽出されなかった場合、認証は失敗である。
【0039】
図13は、実施形態4に係る制御部の処理を説明するフローチャートである。S41~S46は、実施形態3におけるS31~S36と同様の処理である。制御部11は、撮影画像中の人物のうち、少なくとも一人は子供ではない場合(S46:YES)、特徴抽出モデルに撮影画像を入力し(S47)、抽出特徴データを作成する(S48)。制御部11は、抽出特徴データと登録特徴データRを比較し(S49)、認証は成功か否かを判定する(S50)。認証が失敗である場合(S50:NО)、制御部11は処理をS41に戻す。認証が成功である場合(S50:YES)、制御部11は操作部15に特定の操作が入力されたか否かを判定する(S51)。特定の操作が入力された場合(S51:YES)、制御部11は機能制限を解除して(S52)、処理を終了する。特定の操作が入力されていない場合(S51:NО)、制御部11は処理をS41に戻す。
【0040】
以上の処理により、予め登録済みの人物のみが、機能制限を行う必要がない場合に特定の操作を入力することで機能制限を解除することが可能である。
【0041】
(変形例)
上述の各実施形態では、情報処理装置1は年齢推定モデルM1によって出力された推定年齢に基づいて撮影画像中の人物が子供であるか否かを判定するが、年齢推定モデルM1の代わりに撮影画像中の人物が子供である確度を出力する学習済みモデルを用いて、該人物が子供であるか否かを判定してもよい。
【0042】
上述の各実施形態における処理は、情報処理装置1のハードウェア処理によるものでもよい。また、外部に設けられたクラウドサーバによる演算によって、上述の各実施形態における処理は実行されてもよい。
【0043】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
12a 記憶媒体
13 監視部
14 表示部
15 操作部
16 通信部
P プログラム
M1 年齢推定モデル
M2 視線推定モデル
M3 特徴抽出モデル
図1
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図3
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図11
図12
図13