(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096940
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】放熱部材および冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230630BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213022
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 裕多
(72)【発明者】
【氏名】西川 和宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】井上 健吾
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼田 裕毅
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322DA04
5E322DB10
5E322DB12
5E322EA10
5E322FA01
5F136BA04
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136FA03
5F136GA02
5F136GA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立する放熱部材及び冷却装置を提供する。
【解決手段】放熱部材において、少なくともいずれかの第1フィン301の第3方向一方側端部には、第1天板部301Cが設けられる。少なくともいずれかの第2フィン302の第3方向一方側端部には、第2天板部401Cが設けられる。少なくともいずれかの第2フィンは、第3方向一方側に開口し、かつ、第2天板部よりも第1方向他方側に配置される開口部40Aを有する。液冷ジャケット100は、第1天板部及び第2天板部と第3方向に対向可能な天面100Cを有する。天面と第1天板部との間の第1隙間S1A及び天面と第2天板部との間の第2隙間S2Aは、第1方向一方側に向かうほど狭い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液冷ジャケットに設置可能な放熱部材であって、
冷媒が流れる方向に沿う第1方向、かつ第1方向に直交する第2方向に広がり、第1方向および第2方向に直交する第3方向に厚みを有する板形状のベース部と、
前記ベース部から第3方向一方側に突出する第1フィンを第2方向に複数並べられて構成される第1フィン群と、
前記ベース部から第3方向一方側に突出する第2フィンを第2方向に複数並べられて構成され、かつ前記第1フィン群より下流側である第1方向一方側に少なくとも1つ配置される第2フィン群と、
を有し、
少なくともいずれかの前記第1フィンの第3方向一方側端部には、第1天板部が設けられ、
少なくともいずれかの前記第2フィンの第3方向一方側端部には、第2天板部が設けられ、
前記少なくともいずれかの第2フィンは、第3方向一方側に開口し、かつ前記第2天板部よりも第1方向他方側に配置される開口部を有し、
前記液冷ジャケットは、前記第1天板部および前記第2天板部と第3方向に対向可能な天面を有し、
前記天面と前記第1天板部との間の第1隙間および前記天面と前記第2天板部との間の第2隙間は、第1方向一方側に向かうほど狭い、放熱部材。
【請求項2】
前記第2フィンは、前記第2天板部の第1方向他方側に隣接する第1方向他方側端部を有し、
前記開口部は、前記第1方向他方側端部に設けられる、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項3】
少なくともいずれかの前記第1方向他方側端部と、前記第1フィンの第1方向一方側端部との間に、第3方向他方側に凹む凹部が設けられる、請求項2に記載の放熱部材。
【請求項4】
少なくともいずれかの前記第2フィンは、前記第2フィンの側面から第2方向に突出する少なくとも1つのスポイラーを有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項5】
第1方向に配置される複数の前記第2フィンの個々に含まれる前記スポイラーの個数は、第1方向一方側に向かうほど多くなる、請求項4に記載の放熱部材。
【請求項6】
前記ベース部からの前記第1天板部の高さおよび前記ベース部からの前記第2天板部の高さは、第1方向一方側に向かうほど高い、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項7】
前記天面は、前記第1天板部と第3方向に対向可能な第1対向面と、前記第2天板部と第3方向に対向可能な第2対向面と、を有し、
前記ベース部からの前記第1対向面の高さおよび前記ベース部からの前記第2対向面の高さは、第1方向一方側に向かうほど低い、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項8】
前記開口部の少なくとも一部は、前記第1対向面と前記第2対向面との境界に設けられる段差よりも第1方向一方側に配置される、請求項7に記載の放熱部材。
【請求項9】
第3方向に視て、前記第1隙間と第1発熱体とが重なり、前記第2隙間と第2発熱体とが重なる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放熱部材と、当該放熱部材を収容する液冷ジャケットと、を有する、冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱部材および冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体の冷却に放熱部材が用いられる。放熱部材は、ベース部と、複数のフィンと、を有する。複数のフィンは、ベース部から突出する。複数のフィンにおける隣接するフィン同士の間を水などの冷媒が流れることにより、発熱体の熱は冷媒に移動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放熱部材では、冷却性能の向上とともに、圧力損失を抑制することが課題となっている。圧力損失が大きくなると、冷媒を循環させるポンプの性能によっては所望の流量が確保できない場合がある。あるいは、所望の流量を確保するには大型・高額のポンプを採用する必要がある。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立することができる放熱部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な放熱部材は、液冷ジャケットに設置可能な放熱部材であって、冷媒が流れる方向に沿う第1方向、かつ第1方向に直交する第2方向に広がり、第1方向および第2方向に直交する第3方向に厚みを有する板形状のベース部と、前記ベース部から第3方向一方側に突出する第1フィンを第2方向に複数並べられて構成される第1フィン群と、前記ベース部から第3方向一方側に突出する第2フィンを第2方向に複数並べられて構成され、かつ前記第1フィン群より下流側である第1方向一方側に少なくとも1つ配置される第2フィン群と、を有する。少なくともいずれかの前記第1フィンの第3方向一方側端部には、第1天板部が設けられる。少なくともいずれかの前記第2フィンの第3方向一方側端部には、第2天板部が設けられる。前記少なくともいずれかの第2フィンは、第3方向一方側に開口し、かつ前記第2天板部よりも第1方向他方側に配置される開口部を有する。前記液冷ジャケットは、前記第1天板部および前記第2天板部と第3方向に対向可能な天面を有する。前記天面と前記第1天板部との間の第1隙間および前記天面と前記第2天板部との間の第2隙間は、第1方向一方側に向かうほど狭い。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的な放熱部材によれば、冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る冷却装置の断面斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材の斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
【
図4】
図4は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材の第3方向一方側から視た平面図である。
【
図5】
図5は、第1フィンプレートの斜視図である。
【
図6】
図6は、第2フィンプレートの斜視図である。
【
図7】
図7は、第1スポイラーの構成を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、第1スポイラーの構成を示す拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、第2スポイラーの構成を示す拡大斜視図である。
【
図10】
図10は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図において、冷媒の流れの一部を示す図である。
【
図11】
図11は、上流側フィン群と中央フィン群との間付近の構成を示す一部拡大図である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
【
図13】
図13は、第2変形例に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
【
図14】
図14は、第3変形例に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
【
図15】
図15は、第4変形例に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
【
図16】
図16は、第5変形例に係る放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
なお、図面においては、第1方向をX方向として、X1を第1方向一方側、X2を第1方向他方側として示す。第1方向は、冷媒Wが流れる方向Fに沿い、下流側をF1、上流側をF2として示す。第1方向に直交する第2方向をY方向として、Y1を第2方向一方側、Y2を第2方向他方側として示す。第1方向および第2方向に直交する第3方向をZ方向として、Z1を第3方向一方側、Z2を第3方向他方側として示す。なお、上記直交とは、90度から若干ずれた角度での交差も含む。上記の各方向は、冷却装置110および放熱部材1を各種機器に組み込んだときの方向を限定しない。
【0011】
<1.冷却装置の構成>
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る冷却装置110の断面斜視図である。冷却装置110は、放熱部材1と、放熱部材1を収容する液冷ジャケット100と、を有する。なお、
図1において、冷媒Wの流れを示す。第1方向一方側は冷媒Wが流れる方向の下流側であり、第1方向他方側は冷媒Wが流れる方向の上流側である。冷媒Wは、水などの液体である。
【0012】
放熱部材1は、放熱フィン部10と、ベース部2と、を有する。放熱フィン部10は、ベース部2に対して第3方向一方側に固定される。液冷ジャケット100は、第1方向他方側に配置される入口流路100Aと、第1方向一方側に配置される出口流路100Bと、を有する。液冷ジャケット100は、第1方向において入口流路100Aと出口流路100Bとの間に配置される天面100Cを有する。
【0013】
放熱部材1を液冷ジャケット100に取り付けていない状態では、天面100Cは、第3方向他方側に露出される。放熱部材1におけるベース部2の第3方向一方側面21を液冷ジャケット100の第3方向他方側面100Dに固定することで、放熱部材1は液冷ジャケット100に取り付けられる。放熱部材1を取り付けた状態で、天面100Cの第3方向他方側はベース部2に覆われ、ベース部2と天面100Cとの間に放熱流路1001が形成される。放熱フィン部10は、放熱流路1001内部に配置される。入口流路100A、放熱流路1001、および出口流路100Bは、第1方向に連結される。
【0014】
液冷ジャケット100外部から入口流路100Aへ流れ込んだ冷媒Wは、入口流路100A内部を第1方向一方側に流れ、放熱流路1001へ流れ込む。放熱流路1001を第1方向一方側に流れる冷媒Wは、出口流路100Bに流れ込み、出口流路100Bから液冷ジャケット100外部へ排出される。ベース部2の第3方向他方側には図示しない発熱体が配置され、当該発熱体から発生する熱が放熱フィン部10から、放熱流路1001内部を流れる冷媒Wへ移動することで、当該発熱体の冷却が行われる。
【0015】
<2.放熱部材の全体構成>
次に、放熱部材1について、より詳細に説明する。
図2は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材1の斜視図である。
図3は、放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。
図4は、放熱部材1の第3方向一方側から視た平面図である。ただし、
図3は、便宜上、最も第2方向他方側に位置する第3フィンプレートFP3(
図1)を取り外した状態での図である。これにより、
図3では、第1フィンプレートFP1が図示されている。フィンプレートの詳細については、後述する。
【0016】
放熱部材1は、第1方向に配置される複数の発熱体61A,61B,62A,62B,63A,63B(
図3、
図4参照)を冷却する装置である。発熱体61A,61B,62A,62B,63A,63B(以下、61A等)は、例えば、車両の車輪を駆動するためのトラクションモータに備えられるインバータのパワートランジスタである。当該パワートランジスタは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。この場合、放熱部材1は、トラクションモータに搭載される。なお、発熱体の個数は、6個以外の複数個であってもよいし、単数であってもよい。
【0017】
先述したように、放熱部材1は、液冷ジャケット100に設置可能であり、ベース部2と、放熱フィン部10と、を有する。放熱フィン部10は、上流側フィン群3と、中央フィン群4と、下流側フィン群5と、を有する。
【0018】
ベース部2は、第1方向かつ第2方向に広がり、第3方向に厚みを有する板形状である。ベース部2は、熱伝導性の高い金属から構成され、例えば銅板から構成される。
【0019】
上流側フィン群3、中央フィン群4、および下流側フィン群5は、この順に第1方向他方側(上流側)から第1方向一方側(下流側)に向けて、ベース部2の第3方向一方側に配置される。後述するように、フィン群3,4,5は、例えばろう付けにより、ベース部2の第3方向一方側面21に固定される。
【0020】
発熱体61A等は、ベース部2の第3方向他方側面22に直接的または間接的に接触される(
図3参照)。第3方向に視て、発熱体61A,61Bは、上流側フィン群3と重なり、発熱体62A,62Bは、中央フィン群4と重なり、発熱体63A,63Bは、下流側フィン群5と重なる(
図4参照)。
【0021】
上流側フィン群3よりも上流側から冷媒Wが上流側フィン群3に供給されることで、冷媒Wは、フィン群3,4,5を順に流れ、下流側フィン群5から下流側へ排出される。このとき、発熱体61A等から発生した熱は、それぞれベース部2およびフィン群3,4,5を介して冷媒Wに移動する。これにより、発熱体61A等が冷却される。
【0022】
<3.フィン群の形成方法>
ここで、放熱フィン部10(フィン群3,4,5)の具体的な形成方法の一例について
図5および
図6も参照して説明する。
【0023】
フィン群3,4,5は、フィンプレートFPを第2方向に複数配置することで、いわゆるスタックドフィンとして構成される。フィンプレートFPは、第1方向に延びる金属板から構成され、例えば、銅板により構成される。なお、図示されるフィンプレートFP1,FP2,FP3は、いずれもフィンプレートFPの一種である。すなわち、フィンプレートの総括的な符号として、FPを用いる。
【0024】
図5は、第1フィンプレートFP1の斜視図である。第1フィンプレートFP1は、フィン30,40,50を有する。フィン30,40,50は、それぞれフィン群3,4,5を構成する。
【0025】
図5に示すように、フィン30は、第1フィン部301と、第2フィン部302と、第3フィン部303と、を有する。
【0026】
第1フィン部301は、底板部301Aと、壁部301Bと、天板部301Cと、を有する。壁部301Bは、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする板状である。底板部301Aは、壁部301Bの第3方向他方側端部から第2方向他方側へ折り曲げられて形成される。天板部301Cは、壁部301Bの第3方向一方側端部から第2方向他方側へ折り曲げられて形成される。なお、天板部301Cは、後述する切欠き部3011の第1方向一方側と第1方向他方側に分割されて設けられる。底板部301Aと天板部301Cとは、第3方向に対向する。これにより、第1フィン部301は、第1方向に直交する切断面で、コ字状の断面を有する。
【0027】
なお、底板部301Aと、後述する底板部302A,303Aは、第1フィンプレートFP1の第1方向全長にわたって延びる底板部BTの一部である。
【0028】
第2フィン部302は、第1フィン部301の第1方向一方側に連設され、底板部302Aと、壁部302Bと、を有する。壁部302Bは、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする板状である。壁部302Bは、壁部301Bの第1方向一方側に連設される。壁部302Bの第3方向一方側端面の位置は、壁部301Bの第3方向一方側端面の位置よりも第3方向他方側である。
【0029】
底板部302Aは、壁部302Bの第3方向他方側端部から第2方向他方側へ折り曲げられて形成される。これにより、第2フィン部302は、第1方向に直交する切断面で、L字状の断面を有する。
【0030】
第3フィン部303は、第1フィン部301の第1方向他方側に連設され、底板部303Aと、壁部303Bと、を有する。壁部303Bは、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする板状である。壁部303Bは、壁部301Bの第1方向他方側に連設される。
【0031】
底板部303Aは、壁部303Bの第3方向他方側端部から第2方向他方側へ折り曲げられて形成される。これにより、第3フィン部303は、第1方向に直交する切断面で、L字状の断面を有する。壁部303Bの第3方向一方側端面の位置は、第1方向他方側において壁部301Bの第3方向一方側端面の位置よりも第3方向他方側であり、第1方向一方側において壁部301Bの第3方向一方側端面の位置と同じ第3方向位置である。
【0032】
フィン40,50は、フィン30と基本的に同様に構成されるため、
図4においては便宜上、詳細な符号は省略している。フィン40における第1フィン部401は、天板部401Cを有する。天板部401Cは、後述する切欠き部4011の第1方向一方側と第1方向他方側に分割されて設けられる。フィン50における第1フィン部501は、天板部501Cを有する。天板部501Cは、後述する切欠き部5011の第1方向一方側と第1方向他方側に分割されて設けられる。
【0033】
第2フィン部302と第3フィン部403との間には、連結フィン71が配置される。連結フィン71は、フィン30,40を第1方向に連結する。第2フィン部402と第3フィン部503との間には、連結フィン72が配置される。連結フィン72は、フィン40,50を第1方向に連結する。連結フィン71,72の機能については、後述する。
【0034】
図6は、第2フィンプレートFP2の斜視図である。第2フィンプレートFP2の第1フィンプレートFP1との構成の違いは、フィン30とフィン40との間に連結フィン71が配置されずに底板部BTの一部のみが配置され、フィン40とフィン50との間に連結フィン72が配置されずに底板部BTの一部のみが配置されることである。
【0035】
放熱フィン部10における第2方向他方側端領域R2(
図4参照)においては、最も第2方向他方側に第3フィンプレートFP3(
図1参照)が配置されるとともに、第3フィンプレートFP3の第2方向一方側に第1フィンプレートFP1と第2フィンプレートFP2が第2方向に交互に配置される。なお、第3フィンプレートFP3は、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする平板状である。第3フィンプレートFP3は、第2フィンプレートFP2において底板部と天板部とを除いた構成としている。第3フィンプレートFP3は、フィンプレートFP1,FP2においてスポイラー8(後述)が形成される箇所に設けられる貫通孔80に相当する孔部を有し、スポイラーは設けられない。
【0036】
第2方向他方側端領域R2において、フィンプレートFP1,FP2,FP3が第2方向に配置されることで、第2方向他方側端領域R2における第1方向他方側端部において、第3フィン部303が第2方向に複数配置される。これにより、端部フィン群3Aが形成される(
図2参照)。
【0037】
放熱フィン部10における第2方向一方側端領域R1(
図4参照)においては、第1フィンプレートFP1と第2フィンプレートFP2が第2方向に交互に配置される。第2方向一方側端領域R1において、フィンプレートFP1,FP2が第2方向に配置されることで、第2方向一方側端領域R1における第1方向他方側端部において、第3フィン部303が第2方向に複数配置される。これにより、端部フィン群3Bが形成される(
図2参照)。
【0038】
第2方向一方側端領域R1と第2方向他方側端領域R2との間の領域においては、フィンプレートFP1,FP2において第1方向他方側で第3フィン部303を有さないフィンプレートFPが第2方向に交互に配置される。これにより、端部フィン群3A,3Bとの間に、第3方向他方側へ凹む3Cが形成される(
図2)。
【0039】
作業者は、凹部3Cを確認することで、放熱部材1を取り付ける際の取付方向ミスを抑制できる。なお、端部フィン群は、下流側フィン群5の第1方向一方側端部に形成してもよいが、
図1に示すように上流側フィン群3に設けることが望ましい。これにより、凹部3Cを上流側に設けることにより、冷媒Wがフィン群3へ流入する際の第2方向中央側の流路抵抗を低減し、フィン群3における第2方向中央側に位置する発熱体61A,61Bを冷却する冷却性能を向上させることができる。
【0040】
このように、各種のフィンプレートFPが第2方向に配置されて、例えばカシメ等により一体化されることで、放熱フィン部10(フィン群3,4,5)が形成される。形成された放熱フィン部10は、例えば、ろう付けにより、ベース部2の第3方向一方側面21に固定される。このように、フィン30,40,50を第1方向に一体化させた構成のフィンプレートFPを用いて放熱フィン部10を構成することで、熱伝導性のためにベース部2の厚みを薄くした場合でも、放熱部材1の剛性を高めることができ、冷媒Wの流れによるたわみなどを抑制できる。
【0041】
<4.冷媒の流れ>
このような構成の放熱部材1における冷媒Wの流れについて、
図3を用いて説明する。
図3には、冷媒Wの流れを矢印により示す。
【0042】
フィン群3,4,5において、第2方向に隣接するフィン30,40,50により形成される流路を冷媒Wが流れる。このとき、冷媒Wは、底板部BT上を流れる。なお、フィンプレートFPに底板部BTを設けない場合は、冷媒Wは、ベース部2上を流れる。冷媒Wは、フィン30においては、壁部303B,301B,302Bの壁面(第2方向に直交する面)に沿って導かれる。冷媒Wは、フィン40においては、壁部403B,401B,402Bの壁面(
図5参照)に沿って導かれる。冷媒Wは、フィン50においては、壁部503B,501B,502Bの壁面(
図5参照)に沿って導かれる。
【0043】
一方、冷媒Wは、フィン30における天板部301Cと液冷ジャケット100における天面100Cとの間の隙間S1A,S1Bにおいても流れる。
【0044】
ここで、フィン30の第1フィン部301には、第3方向一方側端部から第3方向他方側へ切り欠かれる切欠き部3011が設けられる。
図3に示すように、切欠き部3011は、第2方向に視て、第1方向において発熱体61A,61Bの間に配置される。第1方向に並んで配置される2つの発熱体61A,61Bの間では冷却性能の必要性が低いため、その箇所に切欠き部3011を設けてフィン30の冷媒Wと接触する接触面積を小さくしてもよい。そして、切欠き部3011により、フィン30における境界層の成長を止めて冷却性能を向上させる効果、および冷媒Wを混合して冷媒Wの温度を均一化する効果が奏される。境界層は、冷媒Wがフィンに沿って流れたときに、粘性の働きによってフィン近傍に形成される速度が小さい領域である。なお、フィン40,50に設けられる切欠き部4011,5011についても上記と同様である。
【0045】
切欠き部3011において天板部301Cは第1方向に分割され、2つの天板部301Cの間において第3方向一方側に開口する開口部30Aが形成される。第1方向他方側の天板部301Cの第3方向一方側における隙間S1Aを流れる冷媒Wの一部は、開口部30Aを介して第1方向一方側の天板部301Cの第3方向他方側へ流れ込む。隙間S1Aを流れる冷媒Wは、冷却への寄与が少なく温度が低い。このような温度が低い冷媒Wが開口部30Aを介して第1方向一方側の天板部301Cの第3方向他方側へ流れ込むことで、発熱体61Aの冷却により温度が上昇した冷媒Wを冷却し、発熱体61Bを冷却する冷却性能を向上させることができる。
【0046】
隙間S1Aを流れる冷媒Wの別の一部は、第1方向一方側の天板部301Cの第3方向一方側における隙間S1Bを流れる。フィン40において、第1方向他方側の天板部401Cの第1方向他方側に隣接して、第3方向一方側に開口する開口部40Aが配置される。開口部40Aは、フィン40の第1方向他方側端部に設けられる。隙間S1Bを流れる冷媒Wの一部は、開口部40Aを介して第1方向他方側の天板部401Cの第3方向他方側へ流れ込む。隙間S1Bを流れる冷媒Wは、冷却への寄与が少なく温度が低い。このような温度が低い冷媒Wが開口部40Aを介して第1方向他方側の天板部301Cの第3方向他方側へ流れ込むことで、発熱体61Bの冷却により温度が上昇した冷媒Wを冷却し、発熱体62Aを冷却する冷却性能を向上させることができる。
【0047】
隙間S1Bを流れる冷媒Wの別の一部は、第1方向他方側の天板部301Cの第3方向一方側における隙間S2Aを流れる。隙間S2Aを流れる冷媒Wの一部は、2つの天板部401Cの間に形成される開口部40Bを介して第1方向他方側の天板部401Cの第3方向他方側へ流れ込む。これにより、発熱体62Aの冷却により温度が上昇した冷媒Wを開口部40Bを介して流れ込んだ冷媒Wにより冷却し、発熱体62Bを冷却する冷却性能を向上させることができる。隙間S2Aを流れる冷媒Wの別の一部は、第1方向一方側の天板部401Cの第3方向一方側における隙間S2Bを流れる。
【0048】
ここで、液冷ジャケット100における天面100Cのベース部2からの高さHTは、第1方向に一定である。フィン30において、第1方向他方側の天板部301Cのベース部2からの高さH1Aと、第1方向一方側の天板部301Cのベース部2からの高さH1Bは、同じである。従って、隙間S1Aと隙間S1Bは、同じである。フィン40において、第1方向他方側の天板部401Cのベース部2からの高さH2Aと、第1方向一方側の天板部401Cのベース部2からの高さH2Bは、同じである。従って、隙間S2Aと隙間S2Bは、同じである。高さH2A,H2Bは、高さH1A,H1Bよりも高い。従って、隙間S2A,S2Bは、隙間S1A,S1Bよりも狭い。
【0049】
上流側に配置される隙間S1A,S1Bが広いため、天板部301Cの第3方向他方側を流れる冷媒Wの量が少なくなり、フィン30における冷却性能は低下するが、広い隙間S1A,S1Bを冷媒Wが流れるため、圧力損失を抑えられる。下流側に配置される隙間S2A,S2Bが狭いため、圧力損失が増加するが、天板部401Cの第3方向他方側を流れる冷媒Wの量が多くなるため、冷却性能が向上する。従って、冷媒Wの温度が低く冷却性能が比較的に不要となる上流側で、不要に冷却性能を向上させることなく、圧力損失を抑え、冷却性能が比較的に必要となる下流側で冷却性能を向上させることで、冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立させることができる。
【0050】
フィン50においては、フィン40と同様に開口部50A,50Bが設けられ、フィン50においても先述したフィン40における冷媒Wの流れと同様に冷媒Wが流れる。フィン50における天板部501Cのベース部2からの高さH3A,H3Bは同じであるため、天板部501Cと天面100Cとの間の隙間S3A,S3Bは同じである。高さH3A,H3Bは、高さH2A,H2Bよりも高いため、隙間S3A,S3Bは、隙間S2A,S3Bよりも狭い。従って、先述した効果と同様に冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立させることができる。
【0051】
上記構成を換言すると、放熱部材1は、ベース部2から第3方向一方側に突出する第1フィン30を第2方向に複数並べられて構成される第1フィン群3を有する。放熱部材1は、ベース部2から第3方向一方側に突出する第2フィン40,50を第2方向に複数並べられて構成され、かつ第1フィン群3より下流側である第1方向一方側に少なくとも1つ配置される第2フィン群4,5を有する。少なくともいずれかの第1フィン30の第3方向一方側端部には、第1天板部301Cが設けられる。少なくともいずれかの第2フィン40,50の第3方向一方側端部には、第2天板部401C,501Cが設けられる。少なくともいずれかの第2フィン40,50は、第3方向一方側に開口し、かつ第2天板部401C,501Cよりも第1方向他方側に配置される開口部40A,40B,50A,50Bを有する。液冷ジャケット100は、第1天板部301Cおよび第2天板部401C,501Cと第3方向に対向可能な天面100Cを有する。天面100Cと第1天板部301Cとの間の第1隙間S1A,S1Bおよび天面100Cと第2天板部401C,501Cとの間の第2隙間S2A,S2B,S3A,S3Bは、第1方向一方側に向かうほど狭い(S1A,S1B>S2A,S2B>S3A,S3B)。
【0052】
図4に示すように、第3方向に視て、第1隙間S1A,S1Bと第1発熱体61A,61Bとが重なり、第2隙間S2A,S2B,S3A,S3Bと第2発熱体62A,62B,63A,63Bとが重なる。これにより、第1発熱体と第2発熱体の温度差を抑制できる。
【0053】
また、第2フィン40,50は、第2天板部401C,501Cの第1方向他方側に隣接する第1方向他方側端部を有する。開口部40A,50Aは、第1方向他方側端部に設けられる。これにより、第2フィン40,50における最も上流側の箇所で冷媒Wを第2フィン40,50内部に流し込むことができるため、第2フィン40,50における冷却性能を向上させることができる。
【0054】
また、ベース部2からの第1天板部301Cの高さH1A,H1Bおよびベース部2からの第2天板部401C,501Cの高さH2A,H2B,H3A,H3Bは、第1方向一方側に向かうほど高い。これにより、液冷ジャケット100の天面100Cのベース部2からの高さHTが一定の場合に、第2隙間S2A,S2Bを第1隙間S1A,S1Bよりも狭く、第2隙間S3A,S3Bを第2隙間S2A,S2Bよりも狭くすることができる。
【0055】
なお、隙間S1AとS1B、隙間S2AとS2B、隙間S3AとS3Bは、それぞれ異なっていてもよい。この場合、例えばS1A>S1B>S2A>S2B>S3A>S3Bとされる。
【0056】
また、切欠き部3011,4011,5011、および開口部30A,40B,50Bは、必ずしも設けなくてもよい。
【0057】
また、フィン群は、上記実施形態のように3個(3,4,5)に限らず、2個としてもよいし、4個以上としてもよい。
【0058】
<5.スポイラー>
図5および
図6に示すように、第1フィンプレートFP1および第2フィンプレートFP2には、スポイラー8が設けられる。ここでは、スポイラー8について詳細に説明する。
【0059】
図5に示すように、第1フィンプレートFP1において、フィン30,40,50それぞれにスポイラー8が設けられる。なお、
図6に示すように第2フィンプレートFP2においても、第1フィンプレートFP1と同様にスポイラー8が設けられる。
図6においては、便宜上、スポイラー8の構成について詳細な符号は省略している。
【0060】
図5に示すように、スポイラー8には、第1スポイラー811,812と、第2スポイラー82とが含まれる。第1スポイラー811,812は、後述するスポイラー8A,8Bのうちいずれか1個のみ設けられるスポイラー8(シングルスポイラー)である。第2スポイラー82は、後述するスポイラー8A,8Bの両方が設けられるスポイラー8(ダブルスポイラー)である。
図5に示す例では、第1スポイラー811は、フィン30,40に設けられ、第1スポイラー812は、フィン30に設けられ、第2スポイラー82は、フィン40,50に設けられる。
【0061】
図7は、第1スポイラー811の構成を示す拡大斜視図である。第1スポイラー811は、スポイラー8Aのみから構成される。貫通孔80は、フィン30,40における壁部を第2方向に貫通する。貫通孔80は、矩形である。貫通孔80は、第1方向一方側かつ第3方向他方側へ傾く一対の対向する辺80A,80Bを有する。辺80Aは、辺80Bよりも第1方向他方側に位置する。スポイラー8Aは、辺80Aにおいて第2方向他方側に折り曲げられることで形成される。貫通孔80およびスポイラー8Aは、上記壁部に切り込みを入れて折り曲げることで形成できる。
【0062】
スポイラー8Aは、冷媒Wが流れる方向、すなわち第1方向一方側に対向する対向面8A1を有する。第1スポイラー811は、対向面8A1により冷媒Wの流れを妨げる機能を有する。対向面8A1付近に冷媒Wの乱流を発生させやすくなり、フィン30,40による冷却性能を向上させることができる。また、スポイラー8Aは、第1方向一方側かつ第3方向他方側に傾く。これにより、冷媒Wをスポイラー8Aにより発熱体側へ導くことができ、冷却性能を向上させることができる。
【0063】
図8は、第1スポイラー812の構成を示す拡大斜視図である。第1スポイラー812は、スポイラー8Bのみから構成される。スポイラー8Bは、貫通孔80の辺80Bにおいて第2方向他方側に折り曲げられることで形成される。貫通孔80およびスポイラー8Bは、上記壁部に切り込みを入れて折り曲げることで形成できる。
【0064】
スポイラー8Bは、冷媒Wが流れる方向、すなわち第1方向一方側に対向する対向面8B1を有する。第1スポイラー812は、対向面8B1により冷媒Wの流れを妨げる機能を有する。対向面8B1付近に冷媒Wの乱流を発生させやすくなり、フィン30による冷却性能を向上させることができる。また、スポイラー8Bは、第1方向一方側かつ第3方向他方側に傾く。これにより、冷媒Wをスポイラー8Bにより発熱体側へ導くことができ、冷却性能を向上させることができる。
【0065】
図9は、第2スポイラー82の構成を示す拡大斜視図である。第2スポイラー82は、スポイラー8A,8Bを有する。第2スポイラー82は、スポイラー8A,8Bの対向面8A1,8B1により冷媒Wの流れを妨げる機能を有する。対向面8A1,8B1付近に冷媒Wの乱流を発生させやすくなり、フィン40,50による冷却性能を向上させることができる。第2スポイラー82は、第1スポイラー811,812よりもスポイラーの個数が多いため、冷却性能が高い。
【0066】
ここで、
図10に冷媒Wの流れを矢印で示すように、開口部40A,40Bを介してフィン40内部に流れ込んだ冷媒Wは、フィン40内部において第3方向一方側を流れやすい。同様に、開口部50A,50Bを介してフィン50内部に流れ込んだ冷媒Wは、フィン50内部において第3方向一方側を流れやすい。そこで、フィン40において第2スポイラー82および第1スポイラー811を設けている。第1方向他方側の第2スポイラー82により乱流を発生させることで、フィン30内部において加熱されてフィン40内部に流れ込んだ冷媒Wと開口部40Aを介してフィン40内部に流れ込んだ冷媒Wとの交換および混合を行い、冷却性能を向上させている。第1方向一方側の第2スポイラー82および第1スポイラー811により乱流を発生させることで、第1方向他方側の天板部401Cの第3方向他方側において加熱されて第1方向一方側の天板部401Cの第3方向他方側に流れ込んだ冷媒Wと、開口部40Bを介してフィン40内部に流れ込んだ冷媒Wとの交換および混合を行い、冷却性能を向上させている。
【0067】
開口部50A,50Bを介してフィン50内部に流れ込んだ冷媒Wに対しても、第2スポイラー82を設けることで、上記と同様にフィン50内部において冷媒Wの交換および混合を行い、冷却性能を向上させている。
【0068】
すなわち、少なくともいずれかの第2フィン40,50は、第2フィン40,50の側面から第2方向に突出する少なくとも1つのスポイラー8を有する。これにより、スポイラー8に乱流を発生させ、開口部40A,40B,50A,50Bを介して第2フィン40,50内部に流れ込む冷媒Wに対して、冷媒Wの第3方向の交換および混合を行うことで、第2フィン40,50における冷却性能を向上させることができる。
【0069】
また、
図10に示すように、フィン40においては、第2スポイラー82を2個、第1スポイラー811を1個設けており、合計5個のスポイラー8を設けている。フィン50においては、第2スポイラー82を4個設けており、合計8個のスポイラー8を設けている。
【0070】
すなわち、第1方向に配置される複数の第2フィン40,50の個々に含まれるスポイラー8の個数は、第1方向一方側に向かうほど多くなる。これにより、より冷却性能が必要な下流側の第2フィン50において、冷媒Wの交換および混合をより行うことで、冷却性能を向上させることができる。
【0071】
<6.フィン間の構成>
次に、フィン30,40,50のそれぞれの間における構成について、より具体的に説明する。ここでは、
図11を参照して、フィン30とフィン40の間の構成を例として説明するが、フィン40とフィン50の間の構成についても内容は同様である。
【0072】
図11は、上流側フィン群3と中央フィン群4との間付近の構成を示す一部拡大図である。
図11に示すように、フィンプレートFP1,FP2の第2フィン部302は、第2方向に複数配置される。また、フィンプレートFP1,FP2の第3フィン部403は、第2方向に複数配置される。
【0073】
図11に示すように、第1フィンプレートFP1においては、第2フィン部302と第3フィン部403との間には、連結フィン71が形成されるとともに、連結フィン71の第3方向一方側には、第3方向他方側に凹む凹部701が形成される。また、第2フィンプレートFP2においては、第2フィン部302と第3フィン部403との間には、連結フィンが形成されずに凹部702が形成される。凹部702は、ベース部2まで第3方向他方側に凹む。上記のように形成される凹部701,702、および開口部40Aにより、オープンスロットSが形成される。オープンスロットSにより、フィンにおける境界層の成長を止めて冷却性能を向上させる効果、フィン群3の下流側出口から排出される冷媒Wを混合する効果、および、圧力損失を下げる効果が生じる。なお、連結フィン71を設けることで、放熱部材1の剛性を向上させるとともに、オープンスロットSにおける冷媒Wとの接触面積を増加させて冷却性能を向上させることができる。
【0074】
図11に示す構成をさらに換言すれば、少なくともいずれかの第2フィン40の第1方向他方側端部と、第1フィン30の第1方向一方側端部との間に、第3方向他方側に凹む凹部701,702が設けられる。これにより、第1フィン30と第2フィン40との間で冷媒Wをベース部2側へ導きやすくなり、下流側の第2フィン40における冷却性能を向上させることができる。
【0075】
<7.変形例>
図12は、第1変形例に係る放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。
図12は、先述した
図3に対応する図である。
【0076】
図12に示すように、第1方向他方側の天板部301Cのベース部2からの高さH1Aと、第1方向一方側の天板部301Cのベース部2からの高さH1Bと、第1方向他方側の天板部401Cのベース部2からの高さH2Aと、第1方向一方側の天板部401Cのベース部2からの高さH2Bと、第1方向他方側の天板部501Cのベース部2からの高さH3Aと、第1方向一方側の天板部501Cのベース部2からの高さH3Bは、同じである。
【0077】
液冷ジャケット100の天面100Cは、天板部301Cと第3方向に対向する対向面100C1と、天板部401Cと第3方向に対向する対向面100C2と、天板部501Cと第3方向に対向可能な対向面100C3と、を有する。対向面100C2のベース部2からの高さHC2は、対向面100C1のベース部2からの高さHC1よりも低い。対向面100C3のベース部2からの高さHC3は、対向面100C2のベース部2からの高さHC2よりも低い。すなわち、HC1>HC2>HC1である。
【0078】
換言すれば、天面100Cは、第1天板部301Cと第3方向に対向可能な第1対向面100C1と、第2天板部401C,501Cと第3方向に対向可能な第2対向面100C2,100C3と、を有する。ベース部2からの第1対向面100C1の高さHC1およびベース部2からの第2対向面100C2,100C3の高さHC2,HC3は、第1方向一方側に向かうほど低い。
【0079】
これにより、隙間S1A=S1B、隙間S2A=S2B、隙間S3A=S3B、かつ、S1A,S1B>S2A,S2B>S3A,S3Bとなる。従って、先述した実施形態と同様に、冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立させることができる。
【0080】
また、
図12に示すように、対向面100C1と100C2との境界には、第1方向に対して垂直に延びる平面である段差DS1が形成される。
図12では、第2方向に視て、段差DS1は、開口部40Aの第1方向中間位置に位置する。同様に、対向面100C2と100C3との境界には、第1方向に対して垂直に延びる平面である段差DS2が形成される。
図12では、第2方向に視て、段差DS2は、開口部50Aの第1方向中間位置に位置する。なお、例えば段差DS1,DS2は、開口部40A,50Aの第1方向他方側端の位置に位置してもよい。
【0081】
すなわち、開口部40Aの少なくとも一部は、第1対向面100C1と第2対向面100C2との境界に設けられる段差DS1よりも第1方向一方側に配置される。これにより、第1隙間S1Bを流れる冷媒Wが開口部40Aに流れ込みやすくなる。
【0082】
図13は、第2変形例に係る放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。
図13は、先述した
図3に対応する図である。
【0083】
本変形例は、第1変形例の変形例であり、段差DS1,DS2を傾斜面により形成している。
【0084】
図14は、第3変形例に係る放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。
図14は、先述した
図3に対応する図である。
【0085】
本変形例は、第1変形例の変形例であり、段差DS1,DS2を曲面により形成している。
【0086】
図15は、第4変形例に係る放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。
図15は、先述した
図3に対応する図である。
【0087】
本変形例では、
図15に示すように、天面100Cをフィン30,40,50にかけて連続的に傾斜する傾斜面としている。天面100Cは、第1方向一方側かつ第3方向他方側に傾く。
【0088】
各天板部のベース部2からの高さH1A,H1B,H2A,H2B,H3A,H3Bは、同じである。これにより、各天板部と天面100Cとの隙間については、S1A>S1B>S2A>S2B>S3A>S3Bとなる。このような実施形態によっても、冷却性能の向上と圧力損失の抑制を両立させることができる。
【0089】
図16は、第5変形例に係る放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。
図16は、先述した
図3に対応する図である。
【0090】
本変形例では、
図16に示すように、フィン30,40,50を第1方向に連設している。フィン30の天板部301Cと、フィン40の天板部401Cとの間に、フィン40における開口部40Aが設けられる。開口部40Aは、フィン40の第1方向他方側端部に配置される。フィン40の天板部401Cと、フィン50の天板部501Cとの間に、フィン50における開口部50Aが設けられる。開口部50Aは、フィン50の第1方向他方側端部に配置される。
【0091】
このように本変形例では、先述した実施形態(
図11参照)のように、フィン間に凹部701,702のような凹部を設けることはせずに、オープンスロットを簡略化している。なお、
図16に示す構成では、天板部301C,401C,501Cのベース部2からの高さH1,H2,H3は、H1<H2<H3として、液冷ジャケット100の天面100Cのベース部2からの高さHTを第1方向に一定としている。ただし、オープンスロットを簡略化する構成を第2変形例などのように天面100Cのベース部2からの高さが第1方向に変化する構成に適用してもよい。
【0092】
<8.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0093】
例えば、フィン群はスタックドフィンに限らず、ベース部2から第3方向一方側へ柱状に突出するピンフィンを第1方向に複数並べて構成したフィン列を第2方向に複数並べて構成してもよい。この場合、フィン列の第3方向一方側端部に天板部が設けられる。
【0094】
また例えば、発熱体と放熱部材との間に、ベイパーチャンバーまたはヒートパイプを設ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示は、各種発熱体の冷却に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 放熱部材
2 ベース部
3 上流側フィン群
4 中央フィン群
5 下流側フィン群
8 スポイラー
8A,8B スポイラー
8A1,8B1 対向面
10 放熱フィン部
30,40,50 フィン
30A,40A,40B,50A,50B 開口部
61A,61B,62A,62B,63A,63B 発熱体
71,72 連結フィン
80 貫通孔
82 第2スポイラー
100 液冷ジャケット
100A 入口流路
100B 出口流路
100C 天面
100C1,100C2,100C3 対向面
110 冷却装置
301 第1フィン部
301A 底板部
301B 壁部
301C 天板部
302 第2フィン部
302A 底板部
302B 壁部
303 第3フィン
303 第3フィン部
303A 底板部
303B 壁部
401 第1フィン部
401C 天板部
402 第2フィン部
402B 壁部
403 第3フィン部
403B 壁部
501 第1フィン部
501B 壁部
501C 天板部
502 第2フィン部
502B 壁部
503 第3フィン部
503B 壁部
701,702 凹部
811,812 第1スポイラー
1001 放熱流路
3011,4011,5011 切欠き部
BT 底板部
DS1,DS2 段差
FP1,FP2,FP3 フィンプレート
S オープンスロット
S1A,S1B 隙間
S2A,S2B 隙間
S3A,S3B 隙間
W 冷媒