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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009696
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】耐火パネル
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
E04B1/94 V
E04B1/94 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113180
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 将巳
(72)【発明者】
【氏名】梶田 倫生
(72)【発明者】
【氏名】横田 知宏
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA04
2E001FA06
2E001FA11
2E001FA14
2E001FA16
2E001GA12
2E001HA04
2E001HA07
2E001HA11
2E001HA14
2E001HB04
2E001HD03
2E001HF12
(57)【要約】
【課題】断熱性の低下を抑制し、耐火性を維持することができる耐火パネルを提供する。
【解決手段】建築物の仕切り部に設けられる耐火パネルであって、仕切り部の一部を構成するパネル材10と、発泡体からなる耐火断熱発泡層20とを備え、パネル材10及び耐火断熱発泡層20が積層構造を構成する、耐火パネル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の仕切り部に設けられる耐火パネルであって、
前記仕切り部の一部を構成するパネル材と、
発泡体からなる耐火断熱発泡層とを備え、
前記パネル材及び前記耐火断熱発泡層が積層構造を構成する、耐火パネル。
【請求項2】
化粧材を備える、請求項1に記載の耐火パネル。
【請求項3】
前記化粧材が、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板及び木材ボードのいずれか、又は、それらの複合材である、請求項2に記載の耐火パネル。
【請求項4】
空気層を介在させた積層構造を構成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の耐火パネル。
【請求項5】
前記耐火断熱発泡層は、加熱により炭化層を形成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の耐火パネル。
【請求項6】
前記耐火断熱発泡層は、難燃性ウレタンフォームである、請求項1~5のいずれか1項に記載の耐火パネル。
【請求項7】
前記耐火断熱発泡層は、メッシュ材を内在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の耐火パネル。
【請求項8】
前記パネル材が、アルミニウムパネル、鋼板パネル、ガラスパネル、コンクリートパネル、軽量気泡コンクリートパネル、押出成形セメントパネル及び窯業系サイディングのいずかである、請求項1~7のいずれか1項に記載の耐火パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物などの仕切り部に設けられる耐火パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅、オフィスビル、商業施設等の建築物における仕切り部には、耐火性を向上させるための耐火パネルが設けられることがある。耐火パネルとしては、例えば、ロックウール繊維を圧縮成形してなる繊維質マットと、該繊維質マットの両面に接着一体化された金属板とを備えた耐火パネルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の耐火パネルでは、構成材料であるロックウール繊維の飛散等により隙間などが生じたり、吸湿したりする等で断熱性が低下し、耐火性を維持することができなくなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-123141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、断熱性の低下を抑制し、耐火性を維持することができる耐火パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]建築物の仕切り部に設けられる耐火パネルであって、前記仕切り部の一部を構成するパネル材と、発泡体からなる耐火断熱発泡層とを備え、前記パネル材及び前記耐火断熱発泡層が積層構造を構成する、耐火パネル。
[2]化粧材を備える、[1]に記載の耐火パネル。
[3]前記化粧材が、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板及び木材ボードのいずれか、又は、それらの複合材である、[2]に記載の耐火パネル。
[4]空気層を介在させた積層構造を構成する、[1]~[3]のいずれかに記載の耐火パネル。
[5]前記耐火断熱発泡層は、加熱により炭化層を形成する、[1]~[4]のいずれかに記載の耐火パネル。
[6]前記耐火断熱発泡層は、難燃性ウレタンフォームである、[1]~[5]のいずれかに記載の耐火パネル。
[7]前記耐火断熱発泡層は、メッシュ材を内在する、[1]~[6]のいずれかに記載の耐火パネル。
[8]前記パネル材が、アルミニウムパネル、鋼板パネル、ガラスパネル、コンクリートパネル、軽量気泡コンクリートパネル、押出成形セメントパネル及び窯業系サイディングのいずかである、[1]~[7]のいずれかに記載の耐火パネル。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、断熱性の低下を抑制し、耐火性を維持することができる耐火パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係る耐火パネルの断面図(その1)である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る耐火パネルの断面図(その2)である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る耐火パネルの断面図(その3)である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る耐火パネルの仕切り部への設置態様を示す断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る耐火パネルの断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る耐火パネルの仕切り部への設置態様を示す断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態の変形例に係る耐火パネルの断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る耐火パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について実施形態を用いてより詳細に説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る耐火パネル1は、図1に示すように、建築物の仕切り部に設けられ、仕切り部の一部を構成するパネル材10と、発泡体からなる耐火断熱発泡層20とを備え、パネル材10及び耐火断熱発泡層10が積層構造を構成する。本発明の第1の実施形態に係る耐火パネル1は、パネル材10の一方の面に耐火断熱発泡層20が積層されている。耐火断熱発泡層20は、パネル材10の一方の面に直接積層されるとよい。
本発明の第1の実施形態に係る耐火パネル1が設けられる建築物の仕切り部としては、例えば、外壁、内壁、床、天井及び屋根等が挙げられ、好ましくは外壁である。
【0010】
耐火パネル1は、火災等により加熱された場合に、遮熱性及び遮炎性を有し、優れた耐火性を有する。「遮熱性」とは、非加熱面の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しない性能をいう。「遮炎性」とは、非加熱面に火炎を出さない性能をいう。
耐火パネル1の耐火性試験としては、壁炉前面に耐火パネル1を設置し、炉内温度がISO834の標準加熱温度曲線に沿うように加熱を行った際の、遮熱性及び遮炎性を判断して行う。具体的には、耐火パネル1は、火災等により30~60分加熱された場合の耐火性が特に要求されることから、ISO834の標準加熱温度曲線に沿うように加熱を行った際の30分後及び60分後の遮熱性及び遮炎性を判断する。耐火パネル1は、建築基準法第2条7号又は建築基準法施行令第112条第2項に定める耐火構造の認定を受ける裏付けとするために、ISO834の標準加熱温度曲線に沿うように加熱を行った際の30分後及び60分後の遮熱性及び遮炎性の判断を全て満たすことが好ましい。
【0011】
(パネル材)
パネル材10は、基本的に耐火パネル1表面を構成する部材である。パネル材10としては、例えば、アルミニウムパネル、鋼板パネル、ガラスパネル、コンクリートパネル、軽量気泡コンクリート(ALC)パネル、押出成形セメントパネル(ECP)及び窯業系サイディング等が挙げられる。第1の実施形態に係る耐火パネル1は、パネル材10の一方の面に耐火断熱発泡層20が積層する形態であることから、耐火断熱発泡層20の積層が困難であるガラスパネル以外であることが好ましい。パネル材10としては、具体的には、高い耐火性を有し、かつ、軽量である観点から、アルミパネル、及びALCパネルが好ましく、アルミパネルがより好ましい。
【0012】
パネル材10の厚さは、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、5.0mm以上であることがさらに好ましい。パネル材10は、厚いほど耐火性が向上する。パネル材10の厚さが上記下限値以上であることで、高い耐火性を有することができる。
【0013】
(耐火断熱発泡層)
耐火断熱発泡層20は、耐火性及び断熱性を有する発泡体からなるものである。また、耐火断熱発泡層20は、火災時に加熱されることで炭化層を形成する。耐火断熱発泡層20が加熱された際に炭化層を形成することで、遮熱性及び遮炎性を発揮し、火災等においても炭化層により断熱性の低下を抑制することができ、耐火パネル1の耐火性を維持することができる。
【0014】
耐火断熱発泡層20は、好ましくは難燃性ウレタンフォームにより形成する。難燃性ウレタンフォームの具体的な市販品としては、「PUXFLAME」(積水化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0015】
耐火断熱発泡層20は、図2に示すように、メッシュ材21を内在する構成とすることができる。耐火断熱発泡層20は、加熱されることで熱収縮して樹脂引張力が生じることで、ひび割れが生じて、断熱性の低下を引き起こすことがあるが、耐火断熱発泡層20にメッシュ材21を内在する構成とすることで、耐火断熱発泡層20のひび割れを抑制し、断熱性の低下を抑制することができる。
また、耐火断熱発泡層20がメッシュ材21を内在する構成とすることで、メッシュ材21を建築物の支持部に支持することで、火災が発生した際に、炭化層となった耐火断熱発泡層20がメッシュ材21を介して支持部により支持されて、落下などすることを防止して、耐火性能を維持できる。
メッシュ材21としては、複数の貫通孔を有する材料であればよく、例えば、金網、ガラスメッシュ、ガラスクロス、パンチングメタル及び棒鋼を溶接したもの等が挙げられ、金網が好ましい。金網の材質としては、例えば、鋼材及びステンレス鋼などの各種鋼材が挙げられ、高温時における樹脂引張力に対する良好な反力を発生させることから鋼材であることが好ましい。
また、ステンレス鋼としては、特に限定されないが、SU304などが挙げられる。
【0016】
耐火断熱発泡層20としての難燃性ウレタンフォームは、難燃性ウレタン樹脂組成物を反応及び発泡させて得た反応生成物である。
難燃性ウレタン樹脂組成物は、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤、発泡剤及び触媒を含む。難燃性ウレタンフォームは、後述するとおり、イソシアネートインデックスを一定値以上とし、又は、難燃性ウレタン樹脂組成物に難燃剤を含有させることなどで難燃性を付与できる。
【0017】
<ポリオール化合物>
難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリオール化合物は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、臭素含有ポリオールが好ましい。中でも、得られる難燃性ウレタンフォームの難燃性などを高める観点から、芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。
【0018】
<ポリイソシアネート化合物>
難燃性ウレタン樹脂組成物に含まれるポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。
【0019】
〔イソシアネートインデックス〕
難燃性ウレタン樹脂組成物のイソシアネートインデックスの範囲は、好ましくは130~1,000であり、より好ましくは150~700であり、さらに好ましくは230~500である。イソシアネートインデックスがこのような範囲であると、ヌレート化率が高くなり、難燃性を向上させ、炭化層を形成させやすくなる。
【0020】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)×100/NCO分子量
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56,100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
【0021】
<難燃剤>
難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃剤を含有する。難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃剤を含有することで、耐火断熱発泡層20に難燃性を付与でき、また、加熱されたときに炭化層を形成しやすくなる。本発明で使用する難燃剤は、リン酸エステル系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤以外の固体難燃剤が挙げられる。難燃性ウレタン樹脂組成物は、難燃剤として固体難燃剤を含有することが好ましく、固体難燃剤に加えてリン酸エステル系難燃剤を含有することがより好ましい。
【0022】
〔リン酸エステル系難燃剤〕
リン酸エステル系難燃剤としては、特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。モノリン酸エステルは、分子中にリン原子を1つ有する化合物である。リン酸エステル系難燃剤は、常温(23℃)、常圧(1気圧)で液体となるものが好ましく使用される。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。
上記の中でも、モノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。リン酸エステルは一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0023】
リン酸エステルの配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1~70質量部の範囲であることが好ましく、3~40質量部の範囲であることが好ましく、5~30質量部の範囲であることがより好ましい。なお、ウレタン樹脂100質量部とは、難燃性ウレタン樹脂組成物においては、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物の合計量100質量部を意味する。
【0024】
〔固体難燃剤〕
固体難燃剤としては、赤リン、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、塩素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物から選択されることが好ましい。
【0025】
《赤リン》
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。赤リンは、赤リン単体で配合される必要はなく、適宜、表面処理などがされていてもよい。
【0026】
《リン酸塩含有難燃剤》
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
リン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙げられる。
周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。また前記芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよい。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
【0027】
《臭素含有難燃剤》
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、 架橋または非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
【0028】
《塩素含有難燃剤》
塩素含有難燃剤は、難燃性樹脂組成物に通常用いられるものが挙げられ、例えば、ポリ塩化ナフタレン、クロレンド酸、「デクロランプラス」の商品名で販売されるドデカクロロドデカヒドロジメタノジベンゾシクロオクテンなどが挙げられる。
【0029】
《ホウ素含有難燃剤》
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛であればより好ましい。
ホウ素含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0030】
《アンチモン含有難燃剤》
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
【0031】
《金属水酸化物》
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。
【0032】
固体難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
固体難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、難燃性を付与する観点から1~70質量部の範囲であることが好ましく、3~50質量部の範囲であることがより好ましく、4~40質量部の範囲であることが更に好ましい。
また、難燃剤の合計配合量は、難燃性を付与する観点からウレタン樹脂100質量部に対して、3~100質量部の範囲であることが好ましく、4~50質量部の範囲であることがより好ましく、5~40質量部の範囲であることが更に好ましい。
【0033】
<発泡剤>
難燃性ウレタン樹脂組成物は、発泡剤を含有する。発泡剤の具体例としては、例えば、水、低沸点の炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素化合物、フッ素化合物、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロカーボン、エーテル化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどが挙げられる。さらに、発泡剤としては、これらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。これらの中では、ハイドロフルオロオレフィンを使用することが好ましく、ハイドロフルオロオレフィンと水を併用することも好ましい。
【0034】
<触媒>
難燃性ウレタン樹脂組成物は、触媒を含有する。触媒は、例えば、ウレタン化触媒及び三量化触媒の一方又は両方を含有してもよく、両方を含有することが好ましい。ウレタン化触媒としては、例えば、金属系触媒及びアミン系触媒等が挙げられる。三量化触媒としては、例えば、アルカリ金属塩、鉛化合物、フェノラート化合物、3級アンモニウム塩及4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0035】
<フィラー>
難燃性ウレタン樹脂組成物は、固体難燃剤以外のフィラー(無機充填材)を含有してもよい。
また、固体難燃剤以外の無機充填剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
【0036】
<整泡剤>
難燃性ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて整泡剤を含有する。整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられるが、分子内に極性部分と非極性部分を有するような構造をもっていれば界面活性効果が得られるため、上記種類に捕らわれることはない。また、シリコーン整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含むものでもよい。整泡剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
【0037】
<その他の添加剤>
難燃性ウレタン樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、添加剤として、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、沈降防止剤、熱安定剤、光安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、染料、粘着付与樹脂等を含むことができる。
【0038】
耐火断熱発泡層20の厚さは、5mm以上300mm以下であることが好ましく、10mm以上200mm以下であることがより好ましく、25mm以上50mm以下であることがさらに好ましい。耐火断熱発泡層20の厚さが上記範囲内であることで、高い耐火性及び断熱性を有することができる。
【0039】
(化粧材)
本発明の耐火パネル1は、図3に示すように、化粧材30を備える構成とすることができる。化粧材30は、耐火パネル1に美観を付与する部材である。
化粧材30は、特に限定されず、公知の化粧材を用いることができる。化粧材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などの樹脂系材料;薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などの紙系材料;合板、パーティクルボード、繊維板などの木材;押し出しセメント、スラグセメント、ALC、ケイ酸カルシウム、石膏などの無機系材料などを用いることができる。
化粧材30としては、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板及び木材ボードのいずれか、又は、それらの複合材であることが好ましい。これら化粧材30は、火災が発生した際に、溶融などせずに燃え残り、又は燃焼しても炭化層を形成するので、耐火パネルの耐火性を向上させることができる。これらの中では、耐火性の観点から石膏ボードがより好ましい。
石膏ボードとしては、例えば、JIS A 6901に規定される普通石膏ボード(GB-R)、JIS A 6911に規定される化粧石膏ボード(GB-D)、JIS A 6912に規定される防水石膏ボード(GB-S)、JIS A 6913に規定される強化石膏ボード(GB-F)、JIS A 6301に規定される吸音石膏ボード(GB-P)等が挙げられる。
【0040】
化粧材30は、化粧材用基材及び該化粧材用基材上に積層された化粧層を有していてもよい。
この場合、化粧材用基材としては、特に限定されないが、合板、パーティクルボード、繊維板などの木材、押し出しセメント、スラグセメント、ALC、ケイ酸カルシウム、石膏などの無機系材料が好適に用いられる。また、化粧層としては、特に限定されないが、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などの樹脂系材料が好適に用いることができる。
【0041】
化粧材30の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上20mm以下であることが好ましく、0.2mm以上10mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上1mm以下であることがさらに好ましい。
【0042】
(空気層)
本発明の耐火パネル1は、空気層40を介在させた積層構造の構成とすることができる。耐火パネル1は、具体的には、図3に示すように、パネル材10及び耐火断熱発泡層20が空気層40を介して配置されている構成とすることができる。空気層40は、耐火パネル1に高い断熱性を付与することができる。
【0043】
空気層40の厚さは、5mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましく、100mm以上であることがさらに好ましい。空気層40は、厚いほど断熱性が向上する。空気層40の厚さが上記下限値以上であることで、高い断熱性を有することができる。
【0044】
(耐火パネルの製造方法)
本発明の第1の実施形態に係る耐火パネル1は、まず、パネル材10を用意する。そして、パネル材10の一方の面に、耐火断熱発泡層20を吹付け又は貼り付けにより、耐火パネル1及び耐火断熱発泡層20の積層構造を製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係る耐火パネル1として、化粧材30を有する場合は、耐火断熱発泡層20側に化粧材30を配置すればよい。なお、耐火パネル1及び耐火断熱発泡層20の積層構造と化粧材30との間に空気層40を介する場合は、耐火パネル1及び耐火断熱発泡層20の積層構造と化粧材30とを、それぞれ別の支持部に固定して配置すればよい。
【0045】
本発明の第1の実施形態に係る耐火パネル1として、耐火断熱発泡層20がメッシュ材21を内在する場合は、パネル材10の一方の面側に、間隔を開けてメッシュ材21を配置し、メッシュ材21側から難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付けることで、耐火パネル1及び耐火断熱発泡層20の積層構造を製造することができる。このとき、難燃性ウレタン樹脂組成物は、メッシュ材21が有する複数の貫通孔を通って、耐火パネル1とメッシュ材21との間隙を充填することができ、耐火パネル1及び耐火断熱発泡層20を密着させて積層することができる。
【0046】
(耐火パネルの設置)
第1の実施形態に係る耐火パネル1は、図4に示すように、建築物の仕切り部100に設けられる。図4の構成においては、仕切り部100は、建築物の外壁を構成する。
耐火パネル1が設けられる仕切り部100には、第1支持部51と第2支持部52とを有する梁50が設けられ、梁50の上面に床60が配置されている。梁50の第1支持部51は、パネル材10、メッシュ材21及び化粧材30を支持して固定する。また、梁50の第2支持部52は、化粧材30を支持して固定する。
仕切り部100において、梁50、床60及び耐火パネル1の間隙は、充填材70で充填する。充填材70は、耐火材料及び不燃材料のいずれかであるとよい。耐火材料は、建築基準法及び建築基準法施行令において定められる火災時間以上の耐火性能(耐火性能1時間~2時間)を保持する必要がある。不燃材料は、建築基準法及び建築基準法施行令において定められる難燃材料相当の性能を示す材料であることが好ましく、準不燃材料相当の性能を示す材料であることがより好ましく、不燃材料相当の性能を示す材料であることがさらに好ましい。充填材70を構成する耐火材料及び不燃材料としては、難燃性又は耐火性に優れたものであれば特に限定はなく、例えば、ロックウール及びグラスウール等が挙げられる。
【0047】
なお、耐火パネルの設置構造において、パネル材10及びメッシュ材21が第1の支持部51、化粧材30が第2の支持部52に支持される態様を示すが、これらは建築物に設けられた支持部に支持される限りいかなる態様で支持されてもよい。例えば、パネル材10及びメッシュ材21が別の支持部により支持されてもよい。また、メッシュ材21は上記の通り省略されてもよいし、化粧材30も省略されてもよい。
【0048】
以上の本実施形態の構成によれば、耐火断熱発泡層20が加熱された際に炭化層を形成することで、遮熱性及び遮炎性を発揮し、火災等においても炭化層により断熱性の低下を抑制することができ、耐火パネル1の耐火性を維持することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では、第2の実施形態について、第1の実施形態と重複するものについては説明を省略し、第1の実施形態との相違点を説明する。
第2の実施形態に係る耐火パネル1は、図5に示すように、耐火断熱発泡層20が化粧材30の一方の面に積層されている積層構造である点が相違する。本実施形態において、耐火断熱発泡層20は、化粧材30の一方の面に直接積層されるとよい。
また、本実施形態では、パネル材10は、耐火断熱層20の化粧材30が設けられる面とは反対側の面側において、空気層40を介いて配置される。このような構成により、耐火パネル1において、化粧材30は、耐火断熱発泡層20の外側に配置されることになるので、化粧材30は、耐火断熱発泡層20を目隠しする機能を有し、意匠性の高い耐火パネル1とすることができる。
また、空気層40には、目隠し材80(図6参照)が配置されてもよい。目隠し材80は、特に限定されないが、樹脂材料、金属材料、木材などにより構成される。目隠し材80は、後述する通り、耐火断熱発泡層20などを、ガラスパネルなどの透明性を有するパネル材10を介して外部などから視認できなくする部材であり、目隠し材80が設けられることで、より一層耐火パネル1の意匠性が高められる。
【0050】
第2の実施形態に係る耐火パネル1の製造方法は、化粧材30の一方の面側に、間隔を開けてメッシュ材21を配置し、メッシュ材21側から難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付けることで、耐火断熱発泡層20及び化粧材30の積層構造を製造することができる。このとき、難燃性ウレタン樹脂組成物は、メッシュ材21が有する複数の貫通孔を通って、化粧材30とメッシュ材21との間隙を充填することができ、耐火断熱発泡層20及び化粧材30を密着させて積層することができる。
【0051】
パネル材10は、基本的に耐火パネル1表面を構成する部材である。パネル材10の具体例としては、上記第1の実施形態で説明したとおりであるが、軽量である観点から、アルミパネル、ガラスパネル及びALCパネルが好ましく、アルミパネル及びガラスパネルがより好ましい。また、第2の実施形態に係る耐火パネル1は、パネル材10に耐火断熱発泡層20が直接積層しない形態であることから、耐火断熱発泡層20の積層が困難であるが美観を付与可能なガラスパネルであることが好ましい。
【0052】
(耐火パネルの設置)
第2の実施形態に係る耐火パネル1は、図6に示すように、建築物の仕切り部100に設けられる。図6の構成においては、仕切り部100は、建築物の外壁を構成し、上記のとおり、パネル材はガラスパネルであることが好ましい。したがって、建築物の外壁がガラスカーテンウォールにより構成されることが好ましい。
耐火パネル1が設けられる仕切り部100には、第1支持部51と第2支持部52とを有する梁50が設けられ、梁50の上面に、第3支持部61を有する床60が配置されている。梁50の第1支持部51は、メッシュ材21、化粧材30及び充填材70を支持して固定する。また、梁50の第2支持部52は、化粧材30を支持して固定する。また、床60の第3支持部61は、パネル材10及び目隠し材80を支持して固定する。
目隠し材80は、パネル材10がガラスパネル等の透明部材である場合、パネル材10側から、耐火パネル1の耐火断熱発泡層20、並びに、仕切り部100の梁50、床60及び充填材70を視認できなくする部材である。
【0053】
耐火パネルの設置構造において、メッシュ材21、化粧材30及び充填材70が第1の支持部51、化粧材30が第2の支持部52、パネル材10及び目隠し材80が第3支持部61に支持される態様を示すが、これらは建築物に設けられた支持部に指示される限りいかなる態様で支持されてもよい。例えば、パネル材10、メッシュ材21、化粧材30、充填材70及び目隠し材80がそれぞれ別の支持部により支持されてもよい。
【0054】
本実施形態における耐火パネルによれば、第1の実施形態に係る耐火パネルと同等の効果を奏し得る。また、本実施形態における耐火パネルによれば、ガラスパネル等のパネル材10に難燃性ウレタン樹脂組成物を吹き付けて、パネル材10及び耐火断熱発泡層20を直接積層することができない場合に適応することができる。さらに、図6に示すとおり、パネル材10の一部分に対応する位置に耐火断熱発泡層20及び化粧材30を設けることで、耐火断熱発泡層20及び化粧材30が設けられた部分をスパンドレル部分とすることもできる。この場合も、上記の通り、パネル材10がガラスパネルであることが好ましい。
【0055】
[第2の実施形態の変形例]
図5で示した耐火パネル1は、耐火断熱発泡層20が化粧材30の一方の面に積層されている積層構造であって最外層が化粧材30である態様を示したが、図7に示すように、耐火断熱発泡層20及び化粧材30の積層構造の最外層を耐火断熱発泡層20とする態様とすることができる。
【0056】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。以下では、第3の実施形態について、第1の実施形態と重複するものについては説明を省略し、第1の実施形態との相違点を説明する。
第3の実施形態に係る耐火パネル1は、図8に示すように、パネル材10、耐火断熱発泡層20及び化粧材30がこの順に積層され、一体化された積層構造である点が相違する。本実施形態では、耐火断熱発泡層20がパネル材10及び化粧材30それぞれに直接積層されているとよい。
【0057】
第3の実施形態に係る耐火パネル1の製造方法は、パネル材10及び化粧材30を用意する。そして、パネル材10又は化粧材30の一方の面に、耐火断熱発泡層20を吹付け又は貼り付け、さらに、耐火断熱発泡層20の他方の面に、パネル材10又は化粧材30を貼り付けることで積層構造を製造することができる。
あるいは、第3の実施形態に係る耐火パネル1の製造方法は、パネル材10及び化粧材30を用意する。そして、パネル材10及び化粧材30を一定間隔で配置し、当該間隔にメッシュ材21を配置し、かつ、難燃性ウレタン樹脂組成物を注入して反応及び発泡させることで耐火断熱発泡層20を形成することで積層構造を製造することができる。
【0058】
本実施形態における耐火パネルによれば、第1の実施形態に係る耐火パネルと同等の効果を奏し得る。
【0059】
第3の実施形態に係る耐火パネル1も、第1及び第2の耐火パネルと同様に建築物に設置することができる。したがって、本実施形態においても、パネル材10及び化粧材30の両方が支持部により支持させるとよい。また、メッシュ材21が設けられる場合には、メッシュ材21も支持部により支持させるとよい。ただし、本実施形態に係る耐火パネル1は、例えばパネル材10のみを支持部により支持することも可能である。
【0060】
[その他の実施形態]
本発明は、以上の第1~第3の実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない限りいかなる改良、変更を行ってもよい。
例えば、上記各実施形態においてパネル材10、耐火断熱発泡層20及び化粧材30は、それぞれ単層で示したが、いずれかが複層であってもよい。
また、第2及び第3の実施形態において、耐火断熱発泡層20がメッシュ材21を内在する態様で示したが、メッシュ材21を内在しない態様であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 耐火パネル
10 パネル材
20 耐火断熱発泡層
30 化粧材
40 空気層
50 梁
51 第1支持部
52 第2支持部
60 床
61 第3支持部
70 充填材
80 目隠し材
100 仕切り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8