(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096999
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】落下高さ測定装置、落下高さ管理システム、及びコンクリート部材の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
E04G21/02 103
E04G21/02 ESW
E04G21/02 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213110
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
(71)【出願人】
【識別番号】595160927
【氏名又は名称】計測技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉知 星人
(72)【発明者】
【氏名】千葉 力
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊
(72)【発明者】
【氏名】橋村 義人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸輝
(72)【発明者】
【氏名】数原 悠太
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172CA31
2E172CA61
2E172DB01
2E172DB03
2E172DB05
2E172DB07
2E172DE01
2E172HA03
(57)【要約】
【課題】落下高さ測定装置の構造を単純化することを目的とする。
【解決手段】落下高さ測定装置30は、先端開口32Aから生コンクリート22を吐出する打設用ホース32と、打設用ホース32の先端側に取り付けられ、先端開口32Aから吐出された生コンクリート22が落下する所定の位置までの距離を測定するレーザ距離計60と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端開口から生コンクリートを吐出する打設用ホースと、
前記打設用ホースの先端側に取り付けられ、前記先端開口から吐出された生コンクリートが落下する所定の位置までの距離を測定するレーザ距離計と、
を備える落下高さ測定装置。
【請求項2】
断面が変形された前記打設用ホースの先端側の外面に取り付けられ、又は前記打設用ホースの先端側の内部に前記先端開口を残して格納され、前記レーザ距離計を収容するケースを備える、
請求項1に記載の落下高さ測定装置。
【請求項3】
前記レーザ距離計は、前記ケースに引き出し可能に収容される、
請求項2に記載の落下高さ測定装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の落下高さ測定装置と、
報知する報知手段と、
前記レーザ距離計によって測定された前記距離に基づいて、前記報知手段に報知させる制御装置と、
を備える落下高さ管理システム。
【請求項5】
打設用ホースの先端開口から生コンクリートを吐出することにより、コンクリート部材を施工するコンクリート部材の施工方法であって、
前記打設用ホースの先端側に取り付けられたレーザ距離計によって、前記先端開口から吐出された生コンクリートが落下する所定の位置までの距離を測定する、
コンクリート部材の施工方法。
【請求項6】
前記レーザ距離計によって測定された前記距離が、所定値以下の場合に、報知手段が報知する、
請求項5に記載のコンクリート部材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下高さ測定装置、落下高さ管理システム、及びコンクリート部材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向に移動するとともに、下端部から生コンクリートを吐出する打設管と、打設管に接続され、打設管に生コンクリートを供給する配管と、打設管の下端部から打設される生コンクリートの落下高さを演算する演算手段とを備える打設管理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された打設管理装置では、演算手段よって、打設管の下端部から打設される生コンクリートの落下高さを演算することにより、生コンクリートの落下高さを所定値以内にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された打設管理装置では、配管に対して上下方向に移動する打設管を備えるため、打設管理装置の構造が複雑化する。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、落下高さ測定装置の構造を単純化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の落下高さ測定装置は、先端開口から生コンクリートを吐出する打設用ホースと、前記打設用ホースの先端側に取り付けられ、前記先端開口から吐出された生コンクリートが落下する所定の位置までの距離を測定するレーザ距離計と、を備える。
【0008】
請求項1に係る落下高さ測定装置によれば、打設用ホースは、先端開口から生コンクリートを吐出する。この打設用ホースの先端側には、レーザ距離計が取り付けられる。
【0009】
ここで、レーザ距離計は、打設用ホースの先端開口から吐出された生コンクリートが落下する所定の位置までの距離(以下、「落下高さ」という)を測定する。これにより、生コンクリートの落下高さを容易に所定値以下にすることができる。この結果、落下による生コンクリートの材料分離等が抑制されるため、コンクリートの品質劣化が抑制される。
【0010】
また、打設用ホースの先端側にレーザ距離計を取り付けることにより、生コンクリートの落下高さを直接的に測定することができる。したがって、落下高さ測定装置の構成を単純化することができる。
【0011】
さらに、本発明では、生コンクリートの打設時に、その場で、生コンクリートの落下高さを測定することができる。
【0012】
請求項2に記載の落下高さ測定装置は、請求項1に記載の落下高さ測定装置において、断面が変形された前記打設用ホースの先端側の外面に取り付けられ、又は前記打設用ホースの先端側の内部に前記先端開口を残して格納され、前記レーザ距離計を収容するケースを備える。
【0013】
請求項2に係る落下高さ管理装置によれば、ケースは、断面が変形された打設用ホースの先端側の外面に取り付けられ、又は前記打設用ホースの先端側の内部に前記先端開口を残して格納される。このケースにレーザ距離計を収容することにより、断面が変形しない打設用ホースの外周面にレーザ距離計を取り付ける場合と比較して、打設用ホースの先端側をコンパクトにすることができる。
【0014】
したがって、例えば、鉄筋等の隙間に、打設用ホースの先端側(ケース)を差し込むことができるため、施工性が向上する。
【0015】
さらに、ケースにレーザ距離計を収容することにより、レーザ距離計(精密機械)の耐久性が高められるとともに、汚損等によるレーザ距離計の測定精度の低下が抑制される。
【0016】
請求項3に記載の落下高さ測定装置は、請求項2に記載の落下高さ測定装置において、前記レーザ距離計は、前記ケースに引き出し可能に収容される。
【0017】
請求項3に係る落下高さ管理装置によれば、ケースにレーザ距離計を引き出し可能に収容することにより、レーザ距離計のメンテナンス性が向上する。
【0018】
請求項4に記載の落下高さ管理システムは、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の落下高さ測定装置と、報知する報知手段と、前記レーザ距離計によって測定された前記距離に基づいて、前記報知手段に報知させる制御装置と、を備える。
【0019】
請求項4に係る落下高さ管理システムによれば、制御装置は、レーザ距離計によって測定された距離に基づいて、報知手段に報知させる。これにより、生コンクリートの落下高さが、所定値以下であることを作業者に気付かせることができる。したがって、生コンクリートの落下高さを容易に管理することができる。
【0020】
請求項5に記載のコンクリート部材の施工方法は、打設用ホースの先端開口から生コンクリートを吐出することにより、コンクリート部材を施工するコンクリート部材の施工方法であって、前記打設用ホースの先端側に取り付けられたレーザ距離計によって、前記先端開口から吐出された生コンクリートが落下する所定の位置までの距離を測定する。
【0021】
請求項5に係るコンクリート部材の施工方法によれば、打設用ホースの先端側に取り付けられたレーザ距離計によって、打設用ホースの先端開口から吐出された生コンクリートが落下する所定の位置までの距離(落下高さ)を測定する。
【0022】
これにより、生コンクリートの落下高さを容易に所定値以下にすることができる。この結果、落下による生コンクリートの材料分離等が抑制されるため、コンクリートの品質劣化が抑制される。
【0023】
また、打設用ホースの先端側にレーザ距離計を取り付けることにより、生コンクリートの落下高さを直接的に測定することができる。したがって、落下高さ測定装置の構成を単純化することができる。
【0024】
さらに、本発明では、生コンクリートの打設時に、その場で、生コンクリートの落下高さを測定することができる。
【0025】
請求項6に記載のコンクリート部材の施工方法は、請求項5に記載のコンクリート部材の施工方法において、前記レーザ距離計によって測定された前記距離が、所定値以下の場合に、報知手段が報知する。
コ
【0026】
請求項6に係るコンクリート部材の施工方法によれば、レーザ距離計によって測定された距離が、所定値以下の場合に、報知手段が報知する。これにより、生コンクリートの落下高さが、所定値以下であることを作業者に気付かせることができる。したがって、生コンクリートの落下高さを容易に管理することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、落下高さ測定装置の構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態に係る落下高さ管理システムのシステム構成図である。
【
図2】一実施形態に係る落下高さ測定装置を示す立面図である。
【
図3】
図2に示される落下高さ測定装置を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示される落下高さ測定装置を示す横断面図である。
【
図5】(A)は、
図4に示される打設用ホース及びケースを分解した横断面図であり、(B)は、
図4に示される打設用ホース及びケースを組付けた状態を示す横断面図である。
【
図8】ケースからトレーを引き出した状態を示す
図7に対応する断面図である。
【
図9】一実施形態に係る落下高さ管理処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
【0030】
(落下高さ管理システム)
図1には、本実施形態に係る落下高さ管理システム10のシステム構成が示されている。落下高さ管理システム10は、打設用ホース32(
図2参照)から吐出される生コンクリート22の落下高さを管理するシステムとされる。この落下高さ管理システム10は、落下高さ測定装置30と、制御装置80と、報知ランプ90とを備えている。
【0031】
(落下高さ測定装置)
図2に示されるように、落下高さ測定装置30は、生コンクリート22が落下する所定の位置までの距離(落下高さH)を測定する装置とされる。以下、鉄筋コンクリート造の壁(以下、「RC壁20」という)の施工を例に、本実施形態に係る落下高さ測定装置30について説明する。なお、RC壁20は、コンクリート部材の一例である。
【0032】
RC壁20は、生コンクリート22を硬化させた図示しないコンクリートと、コンクリートに埋設される複数の縦筋24及び横筋26を備えている。このRC壁20の施工時には、例えば、スラブや梁等の躯体28上に、一対の型枠27が仮設される。一対の型枠27は、RC壁20の厚み方向に互いに対向して配置されている。また、一対の型枠27の内側には、複数の縦筋24及び横筋26が配筋されている。
【0033】
落下高さ測定装置30は、打設用ホース32と、ケース40(
図3参照)と、レーザ距離計60とを備えている。
【0034】
(打設用ホース)
打設用ホース32は、図示しないコンクリートポンプ車の本体ホースに着脱可能に連結される先端ホースとされる。この打設用ホース32には、コンクリートポンプ車のポンプ装置によって圧送された生コンクリート22が、本体ホースを介して供給される。打設用ホース32に供給された生コンクリート22は、打設用ホース32の先端開口32Aから一対の型枠27内に吐出される。
【0035】
なお、打設用ホース32は、作業者Wによって保持され、生コンクリート22の打設位置や落下高さが適宜調整される。
【0036】
(ケース)
図3に示されるように、打設用ホース32の先端側の外面には、ケース40が取り付けられている。
図4に示されるように、打設用ホース32の先端側は、ケース40によって径方向に押し潰されており、その断面形状が円形状から三日月状に変形されている。また、打設用ホース32におけるケース40側の外面には、凹状部34が形成されている。
【0037】
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、ケース40の断面形状は、潰された打設用ホース32の先端側の断面を補うように、半月状に形成されている。これらのケース40及び打設用ホース32の先端側によって、円形状の断面が形成されている。
【0038】
図4に示されるように、ケース40は、両端が開口された筒状に形成されている。このケース40は、ベース部材42及び外殻カバー44を有している。ベース部材(ベースプレート)42は、樹脂や金属等によって板状に形成されており、打設用ホース32の軸方向に沿って配置されている。また、ベース部材42は、打設用ホース32の凹状部34側の外面に押し付けられている。このベース部材42の表面(打設用ホース32と反対側の面)には、外殻カバー44が取り付けられている。
【0039】
外殻カバー44は、樹脂や金属等によって板状に形成されており、ベース部材42に沿って配置されている。また、外殻カバー44の断面形状は、ベース部材42と反対側へ凸状に湾曲する円弧状に形成されている。この外殻カバー44の幅方向(周方向)の両端部は、ベース部材42の幅方向の両端部に突き当てられた状態で、接着又は溶接等によって接合されている。これらの外殻カバー44及びベース部材42の内側に、後述する収容室46が形成されている。
【0040】
外殻カバー44及び打設用ホース32の先端側の外周面は、クッション材50を介して被覆材52によって被覆されている。被覆材52は、例えば、熱収縮チューブ等によって形成されている。この被覆材52によって、打設用ホース32の先端側とケース40とが拘束され、一体化されている。
【0041】
なお、被覆材52は、熱収縮チューブに限らず、例えば、外殻カバー44及び打設用ホース32の先端側の外周面に巻き付けられるテープ等でも良い。
【0042】
図6、及び
図7に示されるように、ケース40の内部には、収容室46が形成されている。また、ケース40の一端には、収容室46に通じる照射口46Aが形成されている。この打設用ホース32とケース40とは、各々の先端開口32A及び照射口46Aを揃えた状態で一体化されている。
【0043】
図7、及び
図8に示されるように、収容室46には、レーザ距離計60、無線送信機62、及び電源64が、照射口46Aから引き出し可能に収容されている。具体的には、収容室46には、トレー70が照射口46Aから引き出し可能に収容されている。トレー70は、樹脂や金属等によって板状に形成されており、打設用ホース32の軸方向に沿って配置されている。
【0044】
また、トレー70は、打設用ホース32の軸方向にスライド可能に、ベース部材42の表面に載置されている。これにより、
図8に示されるように、トレー70が、ケース40の照射口46Aから引き出し可能とされている。
【0045】
トレー70における引き出し方向の先端部70Eは、ビス72によってベース部材42に着脱可能に固定されている。なお、ベース部材42には、ビス72用のネジ孔73(
図4参照)が形成されている。
【0046】
トレー70の表面(ベース部材42と反対側の面)には、レーザ距離計60、無線送信機62、及び電源64が取り付けられている。これらのレーザ距離計60、無線送信機62、及び電源64は、トレー70の先端部70Eから、レーザ距離計60、無線送信機62、及び電源64の順で配置されている。
【0047】
なお、トレー70の表面には、外殻カバー44を支持する複数の半月状のリブ74が設けられている。これらのリブ74は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0048】
(レーザ距離計)
図2に示されるように、レーザ距離計60は、打設用ホース32の先端開口32Aから吐出された生コンクリート22の落下高さHを測定する測定器とされる。
【0049】
具体的には、レーザ距離計60は、測定対象物に照射したレーザ光、及び測定対象物で反射されたレーザ光に基づいて、予め定められた測定起点から測定対象物までの距離を測定(算出)する。なお、本実施形態では、RC壁20用の一対の型枠27が立てられる躯体28の上面(底型枠)、及び生コンクリート22の打設面22Sが測定対象物となる。
【0050】
図7に示されるように、レーザ距離計60は、照射口46Aから測定対象物に対してレーザ光を照射するとともに、測定対象物で反射されたレーザ光を、照射口46Aを介して受光する照射受光部60Aを有している。つまり、レーザ距離計60は、照射受光部60Aを照射口46A側に向けて配置されている。
【0051】
レーザ距離計60は、照射口46Aと照射受光部60Aとの間に所定の間隔Gを空けて配置されている。これにより、打設用ホース32の先端開口32Aから吐出された生コンクリート22の跳ね返り等による照射受光部60Aの汚損等が抑制されている。
【0052】
なお、レーザ距離計60の測定起点は、例えば、打設用ホース32の先端開口32Aや、レーザ距離計60の前端、後端に設定される。レーザ距離計60の測定起点が、レーザ距離計60の前端又は後端に設定された場合は、レーザ距離計60の前端又は後端から打設用ホース32の先端開口32Aまでの距離を考慮して、生コンクリート22の落下高さH(
図2参照)が測定(算出)される。
【0053】
(無線送信機)
レーザ距離計60には、無線送信機62が電気的に接続されている。レーザ距離計60は、測定した落下高さH(
図2参照)を無線送信機62に出力する。無線送信機62は、後述する無線受信機82と無線通信可能に接続されている。無線送信機62は、レーザ距離計60から入力された落下高さHを無線受信機82に送信する。
【0054】
(電源)
電源64は、例えば、乾電池やバッテリ等の二次電池とされる。また、電源64は、レーザ距離計60及び無線送信機62と電気的に接続されている。この電源64から、レーザ距離計60及び無線送信機62に電力が供給される。
【0055】
(制御装置)
図1に示されるように、制御装置80は、例えば、無線受信機82と、コンピュータ84と、無線送信機86とを備えている。無線受信機82は、落下高さ測定装置30の無線送信機86と無線通信可能に接続されている。この無線受信機82は、無線送信機86から受信した落下高さHをコンピュータ84に出力する。
【0056】
コンピュータ84は、落下高さ管理システム10の全体の動作を制御する。このコンピュータ84は、CPU、メモリ、記憶部、及び入出力装置等を備えている。記憶部には、落下高さ管理プログラムが予め記憶されている。
【0057】
CPUは、記憶部から落下高さ管理プログラムを読み出してメモリに展開し、落下高さ管理プログラムが有する各ステップを順次実行する。また、記憶部には、生コンクリート22の落下高さHの所定値(閾値)が予め記憶されている。この所定値は、例えば、1.5mに設定される。また、1.5mに所定の安全率を乗じた値(例えば、1.3m~1.4m)が設定される。
【0058】
なお、落下高さの所定値は、適宜変更可能である。また、落下高さ管理プログラムによって実現される機能は、例えば半導体集積回路、より具体的には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することも可能である。
【0059】
コンピュータ84には、無線送信機86が電気的に接続されている。このコンピュータ84は、無線送信機86を介して報知ランプ90に、後述する作動信号及び停止信号を送信する。
【0060】
(報知ランプ)
報知ランプ90は、無線送信機86と無線通信可能に接続されている。また、報知ランプ90は、例えば、作業者の腕や、打設用ホース32等に取り付けられる。この報知ランプ90は、無線送信機86から作動信号を受信すると点灯する。一方、報知ランプ90は、無線送信機86から停止信号を受信すると消灯する。
【0061】
なお、報知ランプ90は、報知手段(報知器)の一例である。
【0062】
(コンクリート部材の施工方法)
次に、RC壁20を例として、本実施形態に係るコンクリート施工方法について説明しつつ、本実施形態に係る落下高さ管理システム10の動作について説明する。
【0063】
図2には、RC壁20の一対の型枠27内に、打設用ホース32の先端側が挿入された状態が示されている。この打設用ホース32の先端側には、落下高さ測定装置30が取り付けられている。なお、落下高さ測定装置30のレーザ距離計60等は、作動している。
【0064】
この状態で、作業者Wは、打設用ホース32の先端開口32A、及び落下高さ測定装置30の照射口46A(
図7参照)を下に向けた状態で、生コンクリート22の落下高さHをレーザ距離計60によって測定する。
【0065】
具体的には、レーザ距離計60は、照射受光部60Aから照射口46A(
図7参照)を介してレーザ光Lを下方へ連続的に照射する。このレーザ光Lは、例えば、躯体28の上面28S、又は打設済みの生コンクリート22の打設面22Sで反射され、照射受光部60Aによって受光される。
【0066】
これにより、レーザ距離計60によって、打設用ホース32の先端開口32Aから、躯体28の上面28S、又は打設済みの生コンクリート22の打設面22Sまでの生コンクリート22の落下高さHが連続的に測定される。
【0067】
なお、レーザ距離計60は、連続的に限らず、間欠的に落下高さHを測定しても良い。
【0068】
レーザ距離計60によって測定された落下高さHは、
図1に示されるように、無線送信機62及び無線受信機82を介して制御装置80のコンピュータ84に入力される。コンピュータ84は、無線受信機82から落下高さHが入力されると、
図9に示される落下高さ管理処理を実行する。なお、落下高さ管理処理は、落下高さ管理方法の一例である。
【0069】
コンピュータ84は、先ず、ステップS10において、無線受信機82から入力された落下高さHと、予め設定された所定値とを比較する。そして、落下高さHが所定値以下の場合(落下高さH≦所定値)、コンピュータ84は、ステップS20に移行する。
【0070】
ステップS20において、コンピュータ84は、無線送信機86を介して報知ランプ90に作動信号を送信して落下高さ管理処理を終了する。報知ランプ90が作動信号を受信すると、報知ランプ90が点灯し、又は報知ランプ90が点灯を維持する。これにより、落下高さHが所定値以下であることが作業者Wに報知される。
【0071】
作業者Wは、報知ランプ90の点灯を確認した後、例えば、図示しないコンクリートポンプ車のオペレータに合図を送り、ポンプ装置を作動させる。これにより、打設用ホース32の先端開口32Aから生コンクリート22が吐出される。
【0072】
一方、ステップS10において、落下高さHが所定値を超える場合(落下高さH>所定値)、コンピュータ84は、ステップS30に移行する。
【0073】
ステップS30において、コンピュータ84は、無線送信機86を介して報知ランプ90に停止信号を送信し、落下高さ管理処理を終了する。報知ランプ90が停止信号を受信すると、報知ランプ90が消灯し、又は報知ランプ90が消灯を維持する。これにより、落下高さHが所定値を超えたことが作業者Wに報知される。
【0074】
作業者Wは、報知ランプ90が消灯しないように、打設用ホース32の高さを調整する。これにより、生コンクリート22の落下高さHが所定値以下に維持される。
【0075】
このように、本実施形態に係るコンクリート部材の施工方法によれば、打設用ホース32の先端側に取り付けられたレーザ距離計60によって、打設用ホース32の先端開口32Aから吐出された生コンクリート22が落下する所定の位置までの距離(落下高さH)を測定する。
【0076】
これにより、生コンクリート22の落下高さHを容易に所定値以下にすることができる。この結果、落下による生コンクリート22の材料分離等が抑制されるため、コンクリートの品質劣化が抑制される。
【0077】
(効果)
次に、本実施形態に係る落下高さ測定装置30、及び落下高さ管理システム10の効果について説明する。
【0078】
図2に示されるように、本実施形態に係る落下高さ測定装置30によれば、打設用ホース32は、先端開口32Aから生コンクリート22を吐出する。この打設用ホース32の先端側には、レーザ距離計60が取り付けられている。
【0079】
ここで、レーザ距離計60は、打設用ホース32の先端開口32Aから吐出された生コンクリート22が落下する所定の位置までの距離(落下高さH)を測定する。これにより、生コンクリート22の落下高さHを容易に所定値以下にすることができる。この結果、落下による生コンクリート22の材料分離等が抑制されるため、コンクリートの品質劣化が抑制される。
【0080】
また、打設用ホース32の先端側にレーザ距離計60を取り付けることにより、生コンクリート22の落下高さHを直接的に測定することができる。したがって、落下高さ測定装置30の構成を単純化することができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、生コンクリート22の打設時に、その場で、生コンクリート22の落下高さHを測定することができる。
【0082】
また、落下高さ測定装置30は、断面が変形された打設用ホース32の先端側の外面に取り付けられるケース40を備えている。このケース40にレーザ距離計60を収容することにより、断面が変形しない打設用ホース32の外周面にレーザ距離計60を取り付ける場合と比較して、打設用ホース32の先端側をコンパクトにすることができる。
【0083】
したがって、例えば、縦筋24、横筋26、及び型枠27等の隙間に、打設用ホース32の先端側(ケース)を差し込むことができるため、施工性が向上する。
【0084】
さらに、ケース40にレーザ距離計60等を収容することにより、レーザ距離計60(精密機械)等の耐久性が高められるとともに、汚損等によるレーザ距離計60の測定精度の低下が抑制される。
【0085】
また、ケース40にレーザ距離計60等を引き出し可能に収容することにより、レーザ距離計60等のメンテナンス性が向上する。さらに、電源64の交換等も容易になる。
【0086】
また、本実施形態に係る落下高さ管理システム10は、報知ランプ90及び制御装置80を備えている。制御装置80は、レーザ距離計60によって測定された落下高さHに基づいて、報知ランプ90を点灯する。より具体的には、制御装置80は、レーザ距離計60によって測定された落下高さHが所定値以下の場合に、報知ランプ90を点灯する。
【0087】
これにより、生コンクリート22の落下高さHが、所定値以内であることを作業者Wに容易に気付かせることができる。したがって、作業者Wは、生コンクリート22の落下高さHを容易に管理することができる。
【0088】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0089】
上記実施形態では、生コンクリート22の落下高さHが所定値以下の場合に、報知ランプ90を点灯させる。しかし、例えば、生コンクリート22の落下高さHの上限値及び下限値を設定し、当該落下高さHが上限値以下、かつ下限値以上の場合にのみ報知ランプ90を点灯させても良い。これにより、落下高さHが下限値未満となり、打設用ホース32の先端が、生コンクリート22に埋設されることが抑制される。
【0090】
また、上記実施形態とは逆に、生コンクリート22の落下高さHが所定値を超えた場合に、報知ランプ90を点灯させても良い。この場合、生コンクリート22の落下高さHが所定値を超えたことが作業者Wに報知される。
【0091】
また、上記実施形態では、承知手段が報知ランプ90とされる。しかし、報知手段は、報知ランプ90に限らず、例えば、作動信号を受信した場合に、音(報知音)を発生する音発生装置でも良いし、振動(報知振動)を発生する振動発生装置でも良い。また、報知手段は、作動信号を受信した場合に、作業者のヘルメットをノックするノック装置でも良い。さらに、報知手段は、作動信号を受信した場合に、モニタ等の表示部に報知メッセージを表示する表示器でも良い。なお、報知手段は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0092】
また、上記実施形態では、打設用ホース32の先端側の断面が変形される。しかし、打設用ホース32の先端側の断面を変形させずに、円形状の打設用ホース32の外面にレーザ距離計60等を取り付けても良い。
【0093】
また、打設用ホース32の先端側の断面を変形させずに、断面円形状の打設用ホース32の先端側の内部に、先端開口32Aを残してケース40を格納しても良い。この場合、例えば、ケース40の外周面が、打設用ホース32の先端側の内周面に接着やビス等によって適宜接合される。
【0094】
また、上記実施形態では、RC壁20に限らず、柱、梁、スラブ、基礎等の種々のコンクリート部材の施工に適用可能である。
【0095】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
10 落下高さ管理システム
22 生コンクリート
30 落下高さ測定装置
32 打設用ホース
32A 先端開口
40 ケース
60 レーザ距離計
80 制御装置