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  • 特開-冷蔵庫及び食肉熟成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097038
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫及び食肉熟成方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20230630BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F25D17/08 308
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213162
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】川野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】田代 佳史
(72)【発明者】
【氏名】和田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】星野 仁
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA07
3L045LA02
3L045MA12
3L045NA07
3L045NA23
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA17
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD08
3L345DD55
3L345DD62
3L345FF39
3L345GG11
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】 比較的短期間で食肉を熟成できると共に、食肉の腐敗と過乾燥を防ぐことが可能な冷蔵庫及び食肉熟成方法の提供を目的とする。
【解決手段】 冷蔵庫は、熟成対象の食肉を収容する食肉収容室と、高湿空気と低湿空気とを送風する空気送風手段と、少なくとも、前記空気送風手段の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記食肉収容室に、前記高湿空気と前記低湿空気とを繰り返し供給するよう制御することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熟成対象の食肉を収容する食肉収容室と、
高湿空気と低湿空気とを送風する空気送風手段と、
少なくとも、前記空気送風手段の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記食肉収容室に、前記高湿空気と前記低湿空気とを繰り返し供給するよう制御する
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記空気送風手段は、
前記冷蔵庫の冷媒循環サイクルに含まれる冷却器と、コンプレッサと、前記冷却器を通過した空気を前記食肉収容室側に送風するファンを備え、
前記制御手段は、
前記コンプレッサの稼働期間に、前記食肉収容室に前記低湿空気を供給する一方、前記コンプレッサの非稼働期間に、前記食肉収容室に前記高湿空気を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記制御手段は、前記高湿空気と前記低湿空気とが繰り返し供給される前の所定期間、前記低湿空気のみを食肉収容室に供給するよう制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記食肉収容室は、前記食肉を加温する食肉加温手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
熟成対象の食肉を収容する食肉収容室と、
高湿空気と低湿空気とを送風する空気送風手段と、
少なくとも、前記空気送風手段の動作を制御する制御手段と、
を備える冷蔵庫を用い、
前記制御手段は、
前記食肉収容室に、前記高湿空気と前記低湿空気とを繰り返し供給するよう制御する
ことを特徴とする食肉熟成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫及び食肉熟成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、牛肉、豚肉、鶏肉などの食肉を熟成する食肉熟成装置を備えた冷蔵庫が開示されている。より詳しくは、特許文献1に開示の冷蔵庫は、冷蔵庫内に配設されると共に、冷蔵庫内を循環する冷気を取り込むことが可能な食肉熟成装置を備える。また、特許文献1に開示の冷蔵庫は、食肉熟成装置の内部にミストを供給する湿度調整装置を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-13193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の冷蔵庫は、前述の湿度調整装置を別途備えるため、製造コストが嵩む。一方、食肉熟成装置に取り込まれる冷気は、冷却器(蒸発器)によって冷却される。そのため、冷気の乾燥度は高い。このことから、食肉熟成装置内の食肉は、乾燥度の高い冷気に晒される。すなわち、熟成対象の食肉が、過度に乾燥される。また、食肉の過乾燥に伴い、表面から相応の深さに渡って食肉が硬化する。そのため、食肉の可食領域が減る。
【0005】
前述の課題に鑑み、本発明は、比較的短期間で食肉を熟成できると共に、食肉の腐敗と過乾燥を防ぐことが可能な冷蔵庫及び食肉熟成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る冷蔵庫は、
熟成対象の食肉を収容する食肉収容室と、
高湿空気と低湿空気とを送風する空気送風手段と、
少なくとも、前記空気送風手段の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記食肉収容室に、前記高湿空気と前記低湿空気とを繰り返し供給するよう制御することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る冷蔵庫において、
前記空気送風手段は、
前記冷蔵庫の冷媒循環サイクルに含まれる冷却器と、コンプレッサと、前記冷却器を通過した空気を前記食肉収容室側に送風するファンを備え、
前記制御手段は、
前記コンプレッサの稼働期間に、前記食肉収容室に前記低湿空気を供給する一方、前記コンプレッサの非稼働期間に、前記食肉収容室に前記高湿空気を供給することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明に係る冷蔵庫において、
前記制御手段は、前記高湿空気と前記低湿空気とが繰り返し供給される前の所定期間、前記低湿空気のみを食肉収容室に供給するよう制御する
ことを特徴とする。
【0009】
更に、本発明に係る冷蔵庫において、
前記食肉収容室は、前記食肉を加温する食肉加温手段を更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る食肉熟成方法は、
熟成対象の食肉を収容する食肉収容室と、
高湿空気と低湿空気とを送風する空気送風手段と、
少なくとも、前記空気送風手段の動作を制御する制御手段と、
を備える冷蔵庫を用い、
前記制御手段は、
前記食肉収容室に、前記高湿空気と前記低湿空気とを繰り返し供給するよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高湿空気の供給と低湿空気の供給とが繰り返し実行されるため、比較的短期間で食肉を熟成できると共に、食肉の腐敗と過乾燥を防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の制御手段が、コンプレッサの非稼働期間に合わせて空気(高湿空気)を供給するため、例えば、冷却器に着霜した霜の水分等が取り込まれた高湿空気を食肉収容室に供給することができる。その結果、本発明によれば、熟成対象の食肉が高湿空気にも晒されるため、食肉の過乾燥を防ぐことができる。また、高湿空気を供給するにあたり、冷蔵庫に既に備え付けられている既存の機構(例えば、冷却器)を用いることができる。そのため、食肉の過乾燥を防ぐための手段の実施にあたりコスト高騰を招かない(例えば、ミスト発生器等の湿度調整手段を別途設ける必要がない)。
【0013】
更に、高湿空気の供給と低湿空気の供給とが繰り返される前の所定期間中、低湿空気のみが食肉収容室に供給される。これにより、本発明によれば、熟成工程の初期期間(食肉の表面乾燥工程)において、食肉の表面を適切に乾燥させることができる。
【0014】
更に、本発明によれば、食肉収容室に備わる食肉加温手段によって、特に、食肉の内部を加温できる。これにより、食肉の過乾燥を防ぎつつ、熟成期間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の側面視垂直断面図。
図2】本実施形態の制御手段を説明するためのブロック図。
図3】本実施形態の空気送風手段の制御態様を示すフローチャート。
図4】本実施形態の空気送風手段におけるコンプレッサとダンパとの動作に関するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷蔵庫1を詳細に説明する。なお、本実施形態に係る冷蔵庫1を説明するにあたり、「上下」方向は、冷蔵庫1の高さ方向に対応し、「左右」方向は、冷蔵庫1の幅方向に対応し、「前後」方向は、冷蔵庫1の奥行き方向に対応する。
【0017】
[構成]
初めに、本実施形態に係る冷蔵庫1の全体構成に関し、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、冷蔵庫1の側面視垂直断面図である。また、図2は、冷蔵庫1に備わる制御手段を説明するためのブロック図である。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、冷蔵庫本体に相当する断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、鋼板製の外箱2aと、合成樹脂製の内箱2bと、外箱2aと内箱2bとの間に形成された間隙内に充填される発泡ポリウレタン(ウレタンフォーム)製の断熱材2cを備える。
【0019】
また、断熱箱体2は、複数の貯蔵室3,4,5を備える。各貯蔵室は、断熱仕切壁によって仕切られる。本実施形態における複数の貯蔵室は、上から順に冷蔵室3、野菜室4、冷凍室5に対応する。ただし、各貯蔵室の配置順は、これに限られない(例えば、上から順に冷蔵室、冷凍室、野菜室が配置されていてもよい)。
【0020】
断熱箱体2に設けられる各貯蔵室の前面は開口する。これら各開口を開閉可能に塞ぐよう、断熱扉が設けられる。ここで、冷蔵室3の開口を覆う断熱扉は、例えば冷蔵庫の正面視右端の上下端部が回動可能に断熱箱体2に支持されて、冷蔵室3の前面開口部を塞ぐ。また、野菜室4の開口を覆う断熱扉は、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、野菜室4の前面開口部を塞ぐ。同様に、冷凍室5の開口を覆う断熱扉は、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、冷凍室5の前面開口部を塞ぐ。
【0021】
更に、図1に示されるように、熟成対象の食肉10を収容する食肉収容室20が、冷蔵室3の底方域に設けられる。食肉収容室20は、内部中空の箱型形状を呈し、室内に空気を導入する導入口21と、導入口21を開閉する導入口開閉部(本実施形態の場合、ダンパ22)を備える。導入口21とダンパ22の位置は、食肉収容室20の背面の所定位置であることが好ましい。
【0022】
更に、食肉収容室20の内部に、食肉10(特に、食肉10の内部)を加温する食肉加温手段23が設けられる。特に限定されるものではないが、本実施形態の食肉加温手段23は、マグネトロンのようなマイクロ波発生装置を含む食肉加温モジュールである。このような食肉加温手段23を設けることで、食肉の過乾燥を防ぎつつ、熟成期間を短縮することができる。
【0023】
更に、冷蔵庫1は、冷蔵庫1の内外と熱交換を行う冷媒を循環させる冷媒循環サイクルを備える。より詳しくは、冷媒循環サイクルは、冷却器(蒸発器)31、コンプレッサ32、図示しない放熱器(凝縮器)、図示しないキャピラリーチューブを含む。
【0024】
更に、冷蔵庫1は、冷却器31の上方に位置し、冷却器31で冷却された貯蔵室(冷蔵室3)内の空気を、再び貯蔵室(冷蔵室3)側に送風するファン33を備える。図1に示されるように、冷却器31で冷却された空気の一部は、ファン33を介して食肉収容室20内に供給される。
【0025】
なお、以下、冷却器31、コンプレッサ32、ファン33を含む機構を「空気送風手段」と言う場合がある。また、空気送風手段によって送風される空気は、後述の低湿空気と高湿空気を含む。
【0026】
更に、冷蔵庫1は、例えば図2に示される各種要素(例えば、空気送風手段やダンパ22等)の動作を制御する制御手段40を備える。本実施形態の制御手段40は、演算部(例えば、CPU等のプロセッサ)、記憶部(例えば、ROMやRAM等のメモリ)、通信インターフェイス部等を備える。
【0027】
制御手段40の演算部は、例えば、冷蔵庫1の断熱扉表面に設けられるタッチパネル41やタイマ42等から入力される各種信号から、記憶部に格納されたプログラムやデータに基づき所定の演算を行う。更に、演算部は、演算結果から生成される制御信号をダンパ22、コンプレッサ32、ファン33等に出力する。なお、制御手段40は、食肉収容室20内の湿度や温度をより正確に制御するために、食肉収容室20に設けられる湿度センサや温度センサと通信可能に接続されていてもよい。
【0028】
[制御]
次に、図3を参照して、冷蔵庫1の空気送風手段の制御態様を説明する。ここで、図3は、本実施形態に備わる制御手段40で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
例えば、ユーザが、食肉10を食肉収容室20に収め、冷蔵庫1の断熱扉表面に表示されるタッチパネル41を操作する(例えば、熟成モードのスイッチをONする)と、図3に示されるように、制御手段40は、コンプレッサ32の稼働期間にダンパ22が開くよう制御する(S1)。更に、制御手段40は、ファン33を常時回転させてもよいし、ファン33の稼働と停止をいずれかのタイミングで切り替えてもよい。
【0030】
コンプレッサ32の稼働に応じて冷却器31が作動し、冷却器31を収める冷却室内の空気が冷却される。また、ファン33の回転によって、冷却された空気が、冷蔵室3(食肉収容室20)側に送風(供給)される。ところで、コンプレッサ32が稼働する際に送風される空気は、冷却器31によって非常に低い温度帯に冷却される。そのため、コンプレッサ32が稼働することで、空気内の湿度が低下する。これにより、低湿の空気が、導入口21から食肉収容室20の内部に供給される。以下、コンプレッサ32(冷却器31)の稼働に伴い湿度が低下した空気を「低湿空気」と言う。なお、制御手段40は、例えば、コンプレッサ32の非稼働期間に移行したタイミングでダンパ22を閉じるよう制御することが好ましい。
【0031】
このように、低湿空気が食肉収容室20内に供給されることで、熟成対象の食肉10の表面を適度に乾燥させることができる。熟成初期の食肉10は、相応の水分を含む。そのため、食肉10内に菌が繁殖しやすい。これに対して、熟成初期の食肉10を低湿空気に晒すことで、食肉10の表面が乾燥して硬化する。そのため、例えば、食肉10の内と外との空気の流通が遮断され、菌の増殖を抑制できる。
【0032】
次に、制御手段40は、計時手段(例えば、タイマ42等)からの入力信号によって、ユーザの前記操作から所定期間(例えば、24時間)が経過したか否かを判定する(S2)。なお、S1及びS2を含む工程を「食肉の表面乾燥工程」と言う場合がある。
【0033】
ステップS2において、所定期間が経過したと制御手段40が判定する場合、制御手段40は、コンプレッサ32の非稼働期間に合わせてダンパ22を開くよう制御する(S3)。このとき、コンプレッサ32が稼働していないため、冷却器31が作動せず、冷却室内の空気が冷却されない。そのため、冷却室(冷却器31)を通過する空気は、冷却器31の冷媒流通配管やフィンに着霜した霜から水分を補う。その結果、空気内の湿度が高まる。このような高湿の空気を以下「高湿空気」と言う。
【0034】
また、ファン33の稼働によって、高湿空気が食肉収容室20側に送風される。前述のように、ダンパ22は、コンプレッサ32の非稼働期間の所定のタイミングで開いているため、高湿空気が、導入口21から食肉収容室20の内部に供給される。なお、制御手段40は、食肉収容室20に高湿空気が供給されてから適宜のタイミングでダンパ22を閉じるよう制御することが好ましい。
【0035】
これに対して、ステップS2において、所定期間が経過していないと制御手段40が判定する場合、制御手段40は、所定期間に至るまで前記S1の工程を継続する。
【0036】
次に、制御手段40は、コンプレッサ32が非稼働期間に移行してから所定期間が経過したか否かを判定する(S4)。制御手段40が、所定期間が経過していると判定する場合、コンプレッサ32が稼働していると判定し、ダンパ22を開くよう制御する。これにより、食肉収容室20内に低湿空気が供給される(S5)。なお、制御手段40は、食肉収容室20に低湿空気が供給されてから適宜のタイミングでダンパ22を閉じるよう制御することが好ましい。
【0037】
これに対して、ステップS4において、所定期間が経過していないと制御手段40が判定する場合、制御手段40は、ステップS3における高湿空気の供給を続ける。なお、ステップS3からS5を含む工程を「熟成本工程」と言う場合がある。また、本実施形態の熟成本工程において、高湿空気の供給に続いて低湿空気が供給されるが、この逆に、低湿空気の供給に続いて高湿空気が供給されてもよい。
【0038】
次に、制御手段40は、熟成本工程の開始から所定期間(例えば、6日間)が経過したか否かを判定する(S6)。制御手段40が、熟成本工程の開始から所定期間が経過したと判定する場合、熟成本工程を終了する。これに対して、ステップS6において制御手段40が、熟成本工程の開始から所定期間が経過していないと判定する場合、再びステップS3の工程に戻る。その結果、食肉収容室20への前記高湿空気の供給と低湿空気の供給とが繰り返される。
【0039】
このように、食肉収容室20に高湿空気の供給と低湿空気の供給とが繰り返されるため、比較的短期間で食肉を熟成できると共に、食肉の腐敗と過乾燥を防ぐことができる。また、高湿空気を供給するにあたり、冷蔵庫に既に取り付けられている既存の機構(例えば、冷却器31)を用いることができる。そのため、食肉の過乾燥を防ぐための手段の実施にあたりコスト高騰を招かない(例えば、ミスト発生器等の湿度調整手段を別途設ける必要がない)。
【0040】
次に、図4を参照して、空気送風手段におけるコンプレッサ32とダンパ22の動作の詳細を説明する。ここで、図4は、コンプレッサ32とダンパ22との動作に関するタイミングチャートである。
【0041】
図4の横軸は、例えば、ユーザがタッチパネル41を操作してからの経過時間を示す。また、図4の縦軸は、コンプレッサ32又はダンパ22のON/OFFの状態を示す。ここで、図4のダンパ22の動作において、実線矩形で示される期間は、食肉収容室20に低湿空気が供給される期間に対応し、破線矩形で示される期間は、食肉収容室20に低湿空気が供給される期間に対応する。
【0042】
まず、食肉の表面乾燥工程において、制御手段40は、コンプレッサ32の稼働期間に合わせてダンパ22を開き、食肉収容室20に低湿空気を供給する(図4に示されるように、制御手段40は、コンプレッサ32の稼働期間32a1,32a2,32a3,・・・,32anに合わせて、ダンパ22を開閉する)。
【0043】
次に、食肉の表面乾燥工程の開始から所定期間(例えば、1日)が経過すると、熟成本工程に移行する。具体的には、制御手段40は、図4に示されるように、まず、コンプレッサ32の非稼働期間32cに合わせて、ダンパ22を開き、食肉収容室20に高湿空気を供給する。その後、制御手段40は、所定のタイミングでダンパ22を閉じる。
【0044】
次に、コンプレッサ32の稼働期間に移行すると、制御手段40は、ダンパ22を再び開き、食肉収容室20に低湿空気を供給する。その後、制御手段40は、所定のタイミングでダンパ22を閉じる。この熟成本工程における動作が、所定期間(6日間)継続する。これにより、食肉収容室20に収容される食肉10が熟成される。
【0045】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…冷蔵庫
2…断熱箱体
2a…外箱
2b…内箱
2c…断熱材
3…冷蔵室
4…野菜室
5…冷凍室
10…食肉
20…食肉収容室
22…導入口の開閉部(ダンパ)
23…食肉加温手段(食肉加温モジュール)
31…冷却器
32…コンプレッサ
33…ファン
40…制御手段
図1
図2
図3
図4