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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097040
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213166
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 純也
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA02
2D132FC04
2D132FJ01
2D132FJ17
2D132FJ26
2D132FJ28
2D132FJ31
2D132FJ35
(57)【要約】
【課題】相対回動する部材についてその間に配置される摺動部材との摺動により生ずる抵抗や摩耗を考慮しやすくする。
【解決手段】ヘッドケース10と、前記ヘッドケース10に対して回動可能な吐出ユニットとを備えたシャワーヘッド1において、前記ヘッドケース10と前記吐出ユニットとを相対回動可能に係合する係合部を前記ヘッドケース10と前記吐出ユニットとに設け、前記ヘッドケース10の係合部と前記吐出ユニットの係合部との間に摺動リング40を配置し、前記摺動リング40を前記ヘッドケース10又は前記吐出ユニットのいずれか一方と相対回動不能に固定した。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドケースと、前記ヘッドケースに対して回動可能な回動部とを備えたシャワーヘッドにおいて、
前記ヘッドケースと前記回動部とを相対回動可能に係合する係合部を前記ヘッドケースと前記回動部とに設け、
前記ヘッドケースの係合部と前記回動部の係合部との間に摺動部材を配置し、
前記摺動部材を前記ヘッドケース又は前記回動部のいずれか一方と相対回動不能に固定したことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記シャワーヘッドは、異なる湯水の吐出形態を選択することができるシャワーヘッドであり、
前記回動部は、回動により前記吐出形態を選択することができる操作部を含み、
前記摺動部材は、前記ヘッドケースに対して回動不能に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記ヘッドケースの係合部は係合片を含み、前記操作部の係合部は前記係合片が挿入される係合溝を含み、
前記摺動部材は、前記係合溝に内嵌されていることを特徴とする請求項2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記摺動部材は前記操作部の回動方向に直交する方向に延びる係止片が形成されており、前記ヘッドケースには前記係止片を係止する係止突起が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記摺動部材は有端環状をなし、両端部に前記係止片が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッド、特に回動部を備えたシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
回動部を回動させることにより湯水の流路を切り替えて異なる吐出形態を選択することができるシャワーヘッドが知られている(特許文献1、段落0053、0054、図4等)。この特許文献1のシャワーヘッドはヘッドケースに対して回動しない非回動部(切替部材本体)と、ヘッドケースに対して回動する回動部との間に摺動部材(滑り面形成部材)を配置して両者間の摺動摩擦を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-184941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この摺動部材は回動部と非回動部のいずれにも固定されておらず、摺動部材が回動部の回動にあわせて回動することもあれば回動しないこともある。このため、回動部及び非回動部と摺動部材との摺動が一定ではなく、回動部及び非回動部について摺動部材との摺動により生ずる抵抗や摩耗を考慮することが困難なことがある。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、回動部を備えたシャワーヘッドにおいて、相対回動する部材についてその間に配置される摺動部材との摺動により生ずる抵抗や摩耗を考慮しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ヘッドケースと、前記ヘッドケースに対して回動可能な回動部とを備えたシャワーヘッドにおいて、前記ヘッドケースと前記回動部とを相対回動可能に係合する係合部を前記ヘッドケースと前記回動部とに設け、前記ヘッドケースの係合部と前記回動部の係合部との間に摺動部材を配置し、前記摺動部材を前記ヘッドケース又は前記回動部のいずれか一方と相対回動不能に固定した。
【0007】
また、前記シャワーヘッドは、異なる湯水の吐出形態を選択することができるシャワーヘッドであり、前記回動部は、回動により前記吐出形態を選択することができる操作部を含み、前記摺動部材は、前記ヘッドケースに対して回動不能に固定されている。
【0008】
前記ヘッドケースの係合部は係合片を含み、前記操作部の係合部は前記係合片が挿入される係合溝を含み、前記摺動部材は、前記係合溝に内嵌されている。
前記摺動部材は前記操作部の回動方向に直交する方向に延びる係止片が形成されており、前記ヘッドケースには前記係止片を係止する係止突起が形成されている。前記摺動部材は有端環状をなし、両端部に前記係止片が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回動部を備えたシャワーヘッドにおいて、相対回動する部材についてその間に配置される摺動部材との摺動により生ずる抵抗や摩耗を考慮しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】シャワーヘッドの斜視図。
図2】シャワーヘッドの分解斜視図。
図3】前面ケースの部分背面斜視図。
図4図4(a)は吐出ユニットの正面図、図4(b)は同側面図、図4(c)は同背面図。
図5図5(a)は操作部の正面図、図5(b)は同側面図。
図6図6(a)は摺動リングの正面図、図6(b)は同底面図、図6(c)は同断面拡大図。
図7】前面ケースへの摺動リングの装着状態を示す説明図。
図8図8(a)はシャワーヘッドの部分断面図、図8(b)、図8(c)はそれぞれ部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
シャワーヘッド1の概要について
図1にシャワーヘッド1の斜視図を示す。同図に示すシャワーヘッド1は先端前面から湯水を吐出することができ、その吐出形態を直流水(ストレート水)、散水(シャワー水)、噴霧水(ミスト水)の3種から任意に選択することができる。なお、シャワーヘッド1の基端には図示しないホース及び水栓が接続されており、水栓にて温度及び流量が調整された湯水がホースを通ってシャワーヘッド1に送られてくる。
【0012】
図2にシャワーヘッド1の分解斜視図を示す。シャワーヘッド1は、その外殻をなすヘッドケース10と、インナーカップ20とを有する。また、シャワーヘッド1は、ヘッドケース10とインナーカップ20とに相対回動可能であり、インナーカップ20からの湯水を異なる吐出形態に切り替えて吐出することのできる回動部としての吐出ユニット30を有する。さらにシャワーヘッド1は、吐出ユニット30に装着される摺動部材としての摺動リング40とを有する。なお、シャワーヘッド1及びこれを構成する各部材において、先端、基端、前方(前面)、後方(背面)とは、図1に矢印にて図示した方向をいう。
【0013】
図2に示すように、ヘッドケース10は本体ケース11とこれに嵌合する前面ケース12とを有し、それぞれABS樹脂にて成形されて、その表面が金属メッキされている。本体ケース11は、係合部としての側壁13と底壁14を有し前面が開口した円筒状のヘッド部11Aと、このヘッド部11Aの基端に連通し、前面が開口した半円筒状の背面ハンドル部11Bを一体成形したものである。ヘッド部11Aの基端側の側壁13と背面ハンドル部11Bは前縁の高さ(前後方向の長さ)が低くなっており、ここに前面ケース12が装着される。
【0014】
前面ケース12は背面が開口した半円筒状の前面ハンドル部12Aと、前面ハンドル部12Aの先端に一体成形された円弧状の枠部12Bを有し、正面視で略Y字状をなす。枠部12Bの前面はヘッド部11Aの側壁13に直交する面を有し、先端縁がヘッド部11Aの側壁13と同心円かつ側壁13よりも小径の円弧状に形成された係合部としての係合片15を有する。係合片15は側壁13の前縁と同じ高さとなっており、側壁13の延長線(側壁13の平面視における円弧を基端に延長させた場合の軌跡)よりも径方向(吐出ユニット30の回動軸に直交する方向)内側に位置する。図3図7に示すように、前面ケース12の背面には2つの係止突起16が形成されている。各係止突起16は係合片15の先端縁から一定長さ基端側に位置した箇所に形成されており、係止突起16は前端が先端に延びるL字状をなす。この係止突起16には摺動リング40が係止される。
【0015】
図2に示すように、ヘッド部11Aの底壁14にはインナーカップ20がネジ固定されている。インナーカップ20は基端に接続部21を有し、ヘッドケース10のハンドル内に配置された配管に接続してインナーカップ20内に湯水を供給する。インナーカップ20は前面に一対の扇形の吐出口22が形成されており、接続部21を通じてインナーカップ20内に供給された湯水はこの吐出口22から吐出される。また、インナーカップ20の吐出口22の径方向外側には略円盤状の鍔部23が形成されている。吐出ユニット30はインナーカップ20に対して前方への移動が規制された状態で回動可能に係合されている。
【0016】
吐出ユニット30について
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示す吐出ユニット30は、最外周に回動部を構成する操作部50を有する。また、吐出ユニット30は操作部50の内側に3つの流路を有する切替部60、散水を吐出するシャワーノズル70、ミスト孔を有するシャワーフェイス80、及び直流水の水流を整えて吐出する整流器90を備える。吐出ユニット30の背面には切替部60に形成された当接面61が位置しており、この当接面61には周方向に6つの扇形の開口が形成されている。開口は当接面61の中心を挟んで対向する2つが対をなしており、それぞれの対は第1開口62、第2開口63、第3開口64となっている。切替部60の内部には図示しない散水流路、噴霧水流路、直流水流路の3つの流路が形成されており、散水流路は第1開口62に連通し、噴霧水流路は第2開口63に連通し、直流水流路は第3開口64に連通する。
【0017】
図8(a)に示すように、当接面61はインナーカップ20の前面に当接して吐出口22と対向し、当接面61に形成された第1開口62、第2開口63、第3開口64のいずれかと対向している。図8(a)は吐出口22が第1開口62と対向している状態である。吐出ユニット30を回動させると当接面61も回動し、インナーカップ20の吐出口22に対向する開口が第2開口63または第3開口64に切り替わる。
【0018】
図5(a)に操作部50の正面図、図5(b)に同側面図を示す。操作部50はABS樹脂で形成されている。操作部50は円環状の表面部51と表面部51から後方に円筒状に延びる外嵌筒部52とを有する。外嵌筒部52の内周面には径方向内側に向かう係合リブ53が形成されている。この係合リブ53がインナーカップ20の鍔部23外周縁に後方から係合することにより、操作部50はインナーカップ20に対して前方への移動が規制された状態で回動可能となっている。また、表面部51の基端には前方に突出する摘み54が形成されている。なお、操作部50において基端及び先端とは、操作部50が回動中心にある位置(図1の位置)における先端(図中上)及び基端(図中下)をいう。
【0019】
表面部51の背面かつ外嵌筒部52の前端外周面には径方向外側に開口する係合部としての係合溝55が全周に亘って形成されている。係合溝55は、前方に位置する前壁56、後方に位置し前壁56に平行な後壁57、前壁56及び後壁57と連続する内壁58とからなる断面コ字状をなす。前壁56は表面部51の背面で構成されており、前壁56は後壁57よりも径方向の幅が長く後壁57よりも径方向外側に延出している。なお、表面部51の外径はヘッドケース10の側壁13の径と同じとなっている。図8(b)、図8(c)に示すように、操作部50の係合溝55には摺動リング40が装着されている。
【0020】
摺動リング40について
図6(a)に示すように、摺動リング40は正面視にて基端に切れ目を挟んで端部41を有する有端環状であり、略Ω状をなしている。また、摺動リング40の両端部41からは径方向外側に延びる係止片42が形成されており、各係止片42の中央には径方向に長い係止孔43が形成されている。図6(b)、図6(c)に示すように、摺動リング40は径方向外側に開口した断面コ字状をなし、前方(図6(c)の上方)に位置する前片44、後方に位置し前片44に平行な後片45、前片44及び後片45を繋ぐ底片46とが一体成形されている。前片44は後片45よりも径方向外側に長くなって後片45より径方向外側に延出している。この摺動リング40は操作部50の係合溝55に内嵌されて係合溝55の内周面全体を覆っている(図8参照)。摺動リング40はPOM樹脂にて形成されており、樹脂の弾性変形による拡径を利用して操作部50の係合溝55に装着されている。摺動リング40の後片45の背面には断面半円状の凸部47が全周に亘って形成されている。係止片42は摺動リング40の後片45を径方向外側に延長して一体に形成されている。
【0021】
図7に摺動リング40を前面ケース12に係止した構成を示す。図7では図示されないが摺動リング40は操作部50の係合溝55に装着されており、また、摺動リング40の前片44と後片45との間に前面ケース12の係合片15が挿入されている(図8参照)。摺動リング40の各係止片42に形成された係止孔43に前面ケース12に形成された係止突起16が前面側から挿通され、係止突起16の鉤部に係止孔43の縁が掛け止められている。このため、摺動リング40は前面ケース12、つまりヘッドケース10に相対回動不能に係止されている。
【0022】
シャワーヘッド1の内部構造について
図8にシャワーヘッド1の断面図を示す。ヘッドケース10内にはインナーカップ20が固定されている。このインナーカップ20に吐出ユニット30の操作部50が係合されるとともに、吐出ユニット30を構成する切替部60がインナーカップ20にネジ止めされている。また、シャワーノズル70がシャワーフェイス80の背面に位置してシャワーフェイス80が操作部50に内嵌されて螺合しており、中央に整流器90が装着されている。このため、吐出ユニット30は全体がインナーカップ20に回動可能に係合されている。同図では吐出ユニット30の当接面61に形成された第1開口62がインナーカップ20の吐出口22と対向している。図示しない水栓及びホースを通ってきた湯水は接続部21からインナーカップ20内に入り、続けて吐出口22から対向する第1開口62を通って吐出ユニット30内に入る。湯水は吐出ユニット30内の散水流路を通ってシャワーノズル70から散水として吐出される。また、摘み54を把持して操作部50を時計回り又は反時計回りに回動させると吐出ユニット30の当接面61も回動する。そして、インナーカップ20の吐出口22に対向して位置する開口が第2開口63又は第3開口64に替わり湯水の流路を噴霧水流路または直流水流路に切り替えることができる。
【0023】
図8に示すように、前面ケース12の係合片15は操作部50の係合溝55内に挿入されて係合されており、本体ケース11の側壁13前縁は係合溝55の前壁56に着座して係合された状態となっている。そして、係合溝55内には摺動リング40が装着されている。摺動リング40は、本体ケース11の側壁13前縁と操作部50の係合溝55との間及び前面ケース12の係合片15と操作部50の係合溝55との間に位置している。このため、本体ケース11及び前面ケース12からなるヘッドケース10と操作部50を含む吐出ユニット30とは係合部分において直接接触していない。また、操作部50を回動させた場合、摺動リング40は前面ケース12に係止されているため回動せず、操作部50の係合溝55と摺動リング40とが摺動しながら回動する。このため、操作部50と摺動リング40との相対回動では、メッキされておらず樹脂素地である操作部50の係合溝55の各壁と、この各壁に対向する摺動リング40の各片とが摺動面となる。
【0024】
上記実施形態のシャワーヘッド1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ヘッドケース10とこれに対して回動する吐出ユニット30との係合部間に配置した摺動リング40を、ヘッドケース10に対して回動不能に固定し、吐出ユニット30、具体的には操作部50に対して回動可能とした。このため、ヘッドケース10や吐出ユニット30について摺動リング40との摺動により生ずる抵抗や摩耗を考慮しやすくなり、材料、形状、メッキや塗装材料の選定が容易となる。
【0025】
(2)摺動リング40はヘッドケース10に回動不能に係止しており、操作部50を回動させても摺動リング40は回動しない。このため、摺動リング40が使用者に視認できる位置に配置されていても摺動リング40の回動に伴い摺動リング40の端部41が使用者から視認できる位置上で不規則に移動することはなく、シャワーヘッド1の意匠性が低下しない。また、摺動リング40とヘッドケース10とが相対回動しないため、ヘッドケース10をメッキ等の処理をしてもその処理面が摺動リング40との摺動面とならず摩耗しにくい。
【0026】
(3)ヘッドケース10には係合片15が形成されており、操作部50には係合片15に挿入して係合する係合溝55が形成されていて、摺動リング40は係合溝55に内嵌されている。このため、摺動リング40が操作部50に対して回動しても操作部50から外れにくい。
【0027】
(4)摺動リング40の端部41には操作部50の回動方向に直交する方向に延びる係止片42が形成されており、ヘッドケース10には係止片42をそれぞれ係止する係止突起16が形成されている。このため、摺動リング40をヘッドケース10に係止しやすい。また、係止突起16の鉤部に係止片42の係止孔43が掛け止められるため、シャワーヘッド1を使用している状態で摺動リング40の係止が外れにくい。
【0028】
(5)摺動リング40は端部41を有する有端状であり、POM樹脂にて形成されている。このため、摺動リング40を弾性変形させて拡径することができ、摺動リング40を操作部50に装着しやすい。
【0029】
(6)係止片42は摺動リング40の両端部41に形成されている。このため、操作部50を回動した場合でも摺動リング40の両端部41はヘッドケース10に係止された状態が維持され、変形等しにくい。
【0030】
(7)摺動リング40は断面コ字状をなし、操作部50の係合溝55に内嵌されて係合溝55を覆っている。操作部50の係合溝55にヘッドケース10の係合片15を係合しても、両者間には摺動リング40が介在しており直接接触することがない。
【0031】
(8)係合溝55は前壁56が後壁57よりも径方向外側に長く延びている。ヘッドケース10の係合片15を係合溝55に挿入して係合することができるとともにそれ以外の部分ではヘッドケース10の側壁13の前縁を係合溝55の前壁56に着座させる形で係合することができる。また、摺動リング40は係合溝55を覆う形で装着されている。このため、回動する吐出ユニット30を摺動リング40を介して全周にわたってヘッドケース10に係合することができる。
【0032】
(9)摺動リング40は一体成形されている。このため、摺動リング40を複数部材で構成する場合に比べて精度が向上し、装着が容易となる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0033】
・摺動リング40を基端に切れ目を挟んで端部41を有する構成としたが、無端状としてもよい。この場合、係止片42は少なくとも1箇所でよい。
・摺動リング40をヘッドケース10に回動不能に係止したが、操作部50に回動不能に係止してもよい。操作部50にメッキ等を施す場合などに有効となる。この場合、メッキや塗装等をした処理面の摩耗を抑制するため、その処理面が摺動面とならないように構成するのが望ましい。
【0034】
・シャワーヘッド1は吐出形態を異なる3種類としたが、異なる吐出形態は2種以上であればよい。また、湯水の吐出とその吐出停止や、原水と機能水との関係も異なる吐出形態に含む。なお、機能水とは、例えば浄水や微細気泡(マイクロバブル)混入水等をいう。
【0035】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)摺動リング40は一体成形されている。これにより摺動リング40の精度が向上し、装着が容易となる。
【符号の説明】
【0036】
1…シャワーヘッド、10…ヘッドケース、11…本体ケース、12…前面ケース、13…側壁(係合部)、15…係合片(係合部)、16…係止突起、20…インナーカップ、30…吐出ユニット(回動部)、40…摺動リング(摺動部材)、42…係止片、50…操作部(回動部)、51…表面部、55…係合溝(係合部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8