(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097066
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】内面ビード処理装置
(51)【国際特許分類】
B23D 1/24 20060101AFI20230630BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20230630BHJP
B23K 37/08 20060101ALN20230630BHJP
【FI】
B23D1/24
B23Q11/00 T
B23K37/08 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213206
(22)【出願日】2021-12-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000150419
【氏名又は名称】株式会社中田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123467
【弁理士】
【氏名又は名称】柳舘 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 智康
(72)【発明者】
【氏名】王 飛舟
【テーマコード(参考)】
3C011
3C050
【Fターム(参考)】
3C011BB39
3C050AC02
3C050AD06
3C050AE01
(57)【要約】
【課題】 小径管の製造に使用されるマンドレルのビード処理部において、チョッピング機構が妨げとならない簡素な構成を提供する。
【解決手段】 移動刃11を水平動させるための往復ロッド15をマンドレル1に内装、外装させて、マンドレル1を上流側で支持する素管開放側まで延長し、支持部側に駆動源30を配置する。往復ロッド15に駆動源30からの入力を伝達する機械機構として、二つのリンク21を連結した連結リンク23の一方端を固定端24とし、他方端を摺動端25として往復ロッド15に接続し、連結リンク23の連結点に駆動源30からの入力ロッド26を枢着し、連結リンク23が入力ロッド26により直線化、屈曲化する運動にて往復ロッド15が直線動する構成の入力変換リンク機構を採用する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造管中に溶接鋼管の管内面に生成するビードを切削した後の条状ビードを所要長さで寸断処理するために、素管開放部より素管内に挿入されるマンドレル先端側に装着されるビード処理装置において、
ビード処理部に設けたビード排出用孔口付近に配置する固定刃と、マンドレルに水平動可能に内外装されたチョッピングロッドの先端に設けた移動刃とで、切削後の内面ビードを当該ロッドの往復動で寸断する駆動機構に、
同長または異長の二つのリンクを連結した連結リンクの一方端を固定端とするためフレームに枢着し、連結リンクの他方端をフレーム内で摺動端として直線動を伝達する伝達ロッドに接続し、リンクの連結点に駆動源からの入力ロッドを枢着し、連結リンクが入力ロッドにより直線化、屈曲化する運動にて伝達ロッドが直線動する構成の入力変換リンク機構を用い、当該伝達ロッドにチョッピングロッドが接続されることを特徴とする
溶接鋼管の内面ビード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接鋼管の内面ビード処理装置において、
駆動源がマンドレル後端側のマンドレル支持部にある、溶接鋼管の内面ビード処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の溶接鋼管の内面ビード処理装置において、
駆動源が流体圧シリンダである、溶接鋼管の内面ビード処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の溶接鋼管の内面ビード処理装置において、
駆動源が回転モータである、溶接鋼管の内面ビード処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の溶接鋼管の内面ビード処理装置において、
移動刃がニッキング用である、溶接鋼管の内面ビード処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、溶接鋼管の製造の際に発生する鋼管内面のビードを連続的に切削した後、長く条状となるビードを短く寸断処理、または適宜の間隔で折り曲げ処理のための内面ビード処理装置に関し、特に管内径が小さな小径管でビードの切削後の寸断が可能な内面ビード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接鋼管の代表的な高周波溶接による造管に際して使用される内面ビード処理装置は、高周波溶接を行うスクイズロールスタンドの上流側で、ロール成形途中の半円筒状に成形された素管の開放上部より、素管が進む下流側に向かって挿入される棒状のマンドレルの先端部を構成する。マンドレルが支持される基端部から下流側の中央部に、誘導加熱の効率向上を目的としたインピーダコア部が接続され、さらにその下流側のマンドレル先端部に内面ビードの除去処理を行うトリマー部(内面ビード処理装置)が接続されている。
【0003】
このトリマー部は、まず、管内面のビードを連続的に切削するスカーフィング処理を行うもので、さらに、切削後に長く条状となるビードを寸断するチョッピング処理、あるいは適宜の間隔で折り目をつけるニッキング処理を行うものである。
【0004】
マンドレルは上流側の前記の開口部から下流側に向かって片持ち構成で素管内に挿入され、トリマー部の先端側上面に設けたバイトが、素管内面に露出するビードに適切な荷重で当接してこれを切削する機構であり、トリマー部には管内面を転動する複数のローラを内蔵しかつバイトの当接位置調整を行い、これを保持する必要がある。
【0005】
よって、トリマー部には、バイト、ローラとその位置調整機構、チョッピング機構を備える必要があり、例えば、管内径が50mm程度以下になると、各機構を内蔵配置するには、小型化ともに装置全体の剛性を確保しなければならず、設計に困難を極めることになる。
【0006】
特に、外径50mm、肉厚4mmの小径肉厚の場合は管内径が42mmでかつビード量も多くなり、ビードを安定的に切削できたとしても、ビードが通る隙間を確保しなければならず、チョッピング機構を内蔵するトリマー部外径を小さくする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭53-93530号明細書
【特許文献2】特開平9-103910号公報
【特許文献3】特開平10-193284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、マンドレル先端側の上面中央部にバイトホルダーを設けてバイトで切削したビードはその通過孔の途中に設けた固定刃と、トリマー部最先端面の中央に突設した油圧シリンダのピストロッドの先端の移動刃とで、該ロッドの往復動で切断する構成が示されている。
【0009】
特許文献2には、特許文献1同様のビードの切削、寸断機構において、駆動源の油圧シリンダをマンドレル先端側のトリマー部の下面に抱くように着設している構成が示される。
【0010】
特許文献3には、特許文献2と同様のビードの切削、寸断機構において、駆動源の油圧シリンダをマンドレル先端側の切削バイトよりも上流側のマンドレル内に内蔵している構成が示される。
【0011】
造管する管寸法に応じて内径が決まり、小径肉厚の場合のトリマー部に、バイト、ローラとその位置調整機構、チョッピング機構を配置するには、上述の駆動源の配置構成では、小型化ともに装置全体の剛性を確保する設計に困難を極めることになる。
【0012】
この発明は、小径管の製造に使用されるマンドレルのトリマー部に、バイト、ローラとその位置調整機構を配置する設計の際に、チョッピング機構がその妨げとならない簡素な機構を有する内面ビード処理装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明者らは、小径肉厚鋼管の製造に際し使用されるマンドレルのトリマー部において、簡素かつ確実に作動するチョッピング機構を目的に、駆動源の配置について種々検討した結果、移動刃を水平動させるための水平ロッドはマンドレルに内装、外装させて、マンドレルを上流側で支持する素管開放側まで延長し、支持部側に駆動源を配置する構成に着目した。
【0014】
発明者らは、さらに水平配置のロッドに支持部側に配置する駆動源からの入力を伝達する機械機構について種々検討した結果、二つのリンクを連結した連結リンクの一方端を固定端とし、他方端を摺動端として水平ロッドに接続し、リンクの連結点に駆動源からの入力ロッドを枢着し、連結リンクが入力ロッドにより直線化、屈曲化する運動にて水平伝達ロッドが直線動する構成の入力変換リンク機構が、チョッピングの機械機構に最適であることを知見し、この発明を完成した。
【0015】
すなわち、この発明は、造管中に溶接鋼管の管内面に生成するビードを切削した後の条状ビードを所要長さで寸断処理するために、素管開放部より素管内に挿入されるマンドレル先端側に装着されるビードトリマー装置において、
ビードトリマー部に設けたビード排出用孔口付近に配置する固定刃と、マンドレルに水平動可能に内外装されたチョッピングロッドの先端に設けた移動刃とで、切削後の内面ビードを当該ロッドの往復動で寸断する駆動機構に、
同長または異長の二つのリンクを連結した連結リンクの一方端を固定端とするためフレームに枢着し、連結リンクの他方端をフレーム内で摺動端として直線動を伝達する伝達ロッドに接続し、リンクの連結点に駆動源からの入力ロッドを枢着し、連結リンクが入力ロッドにより直線化、屈曲化する運動にて伝達ロッドが直線動する構成の入力変換リンク機構を用い、当該伝達ロッドにチョッピングロッドが接続されることを特徴とする
溶接鋼管の内面ビード処理装置である。
【0016】
また、この発明は、上記構成の内面ビード処理装置において、駆動源がマンドレル後端側のマンドレル支持部にある、溶接鋼管の内面ビード処理装置である。
【0017】
また、この発明は、上記構成の内面ビード処理装置において、駆動源が流体圧シリンダである、溶接鋼管の内面ビード処理装置である。
【0018】
また、この発明は、上記構成の内面ビード処理装置において、駆動源が回転モータである、溶接鋼管の内面ビード処理装置である。
【0019】
また、この発明は、上記構成の内面ビード処理装置において、移動刃がニッキング用である、溶接鋼管の内面ビード処理装置である。
【発明の効果】
【0020】
この発明において、チョッピング機構は、
駆動源からの垂直動が水平動に変換されるリンク機構によるワンウエイ方式のチョッピングであり、また、駆動源は流体圧シリンダや回転モータのみで、何ら複雑、高精度の制御を必要とせず、
結果、トリマー部に必須のバイト、上ローラ、下ローラの配置に一切妨げにならない、簡素な構成である。
【0021】
また、ロッド類は、トリマー部本体に直線的に外装・内装配置されており、1本のロッドが直線的に往復動する構成であり、ロッドの曲げ剛性はビードの寸断に全く影響しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、チョッピング機構配置構成を示すマンドレルの先端側トリマー部の水平外周面と片持ち支持部の説明図である。
【
図2】
図2は、チョッピング機構のロッドの構成を示す斜視説明図である。
【
図4】
図4は、実施例1のマンドレル全体を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施例1のトリマー部と駆動原の縦断説明図である。
【
図6】
図6は、実施例2、3のトリマー部を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
トリマー部で連続チョピングを行う機構の構成を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1において、図破断の右側は、マンドレルの使用時には図示しない造管中の素管の上流側に位置するものであり、マンドレル1を片持ち支持するハングアーム2の下端部に固着されたマンドレル1の基端部3である。図破断の左側は素管の下流側に位置するものであり、マンドレル1の先端側のトリマー部6であり、破断で図示しない部分は基端部3に接続される延伸部4とインピーダコア部5である。(
図4参照)なお、ハングアーム2は、図示しない素管開放部外のスタンドなどに支持されている。
【0025】
図2は、チョッピング機構10のみを素管の進行方向である下流側から見た説明図である。下流側から板状の移動刃11を先端のホルダー部12で保持する一対の分割ロッド13,13、分割ロッド13,13の後端を接続する連結部14を介して接続する一本の往復ロッド15、往復ロッド15は伝達ロッド27を介してリンク機構20に接続される。
【0026】
図2の分割ロッド13,13は、
図1のトリマー部6の外周面の水平位置に設けた水平溝に外装配置され、連結部14を介して接続する一本の往復ロッド15は、トリマー部6の上流側中央部を貫通し、連結されるインピーダコア部5、マンドレル延伸部4の中央部を貫通して内装され、基端部3位置で伝達ロッド27を介してリンク機構20に接続される。
【0027】
よって、チョッピング機構のロッド類は、トリマー部6本体に直線的に外装・内装配置されており、1本のロッドが直線的に往復動する構成であり、ロッドの曲げ剛性はビードの寸断に全く影響しない。
【0028】
リンク機構20は、同長の一対のリンク板を枢軸ピンで一つのリンク21となし、二つのリンク21を枢軸ピン22で連結して連結リンク23とし、枢軸ピン22で入力ロッド26と枢着してあり、連結リンク23の上流側を固定端24とすべく、基端部3内に枢軸ピンで枢着してあり、他方の連結リンク23の下流側を摺動端25とするために、延伸部4内の貫通孔に低摩擦のカラーに保持された伝達ロッド27に枢軸ピンで枢着してある。
【0029】
図1では、ハングアーム2内に駆動源30として油圧シリンダ31を内蔵してシリンダロッド32に入力ロッド26と接続されて、連結リンク23は引き上げられて屈曲した状態である。
【0030】
油圧シリンダ31が入力ロッド26を押し下げて連結リンク23が直線化した際、摺動端25は伝達ロッド27を強く押すことができ、チョッピング機構10の先端の移動刃11を下流側へ水平移動させることができる。さらに、油圧シリンダ31が入力ロッド26を押し下げて連結リンク23が屈曲化した際、移動刃11を上流側へ戻すことができる。
【0031】
この時、油圧シリンダ31は下降ストロークエンドで、次いで上昇ストロークに入ると、連結リンク23は屈曲化から直線化して再度、最も強く移動刃11を下流側へ水平移動させることができ、さらに、油圧シリンダ31が入力ロッド26を引き上げて連結リンク23が屈曲化した際、移動刃11を上流側へ戻すことができ、上昇ストロークエンドとなる。
【0032】
リンク機構20は、油圧シリンダ31の下降上昇の1ストロークで、往復ロッド15を2往復させることができ、連結リンク23の直線化の際に最も強く往復ロッド15を押すことができ、ビードの切断力が増す効果が得られる。
【0033】
駆動源には、直線動の油圧シリンダのほか、回転動を利用することができ、
図3に示すように回転軸33の端面の外周部に入力ロッド26を枢着し、回転軸33が図示しない電動あるいは流体圧モータで回転すると、回転動が直線動に変換されて、回転軸33の一回転で、上述したように連結リンク23の屈曲、直線化が2回ずつ発生し、往復ロッド15は2往復する。
図3の回転軸に替えて、回転クランク機構を採用することもできる。
【0034】
上述の構成のチョッピング機構は、駆動源からの垂直動が水平動に変換されるリンク機構によるワンウエイ方式のチョッピングであり、駆動源は流体圧シリンダや回転モータのみで、何ら複雑、高精度の制御を必要としない。
【0035】
図1において、トリマー部6に必須のバイト、上ローラ、下ローラの詳細(実施例2の
図6と同様構成)に説明していないが、一本の金属棒状のトリマー部6の上面中央部にバイトホルダー溝や上ローラ収納孔や溝を設け、トリマー部6の下面中央に下ローラの収納穴を設けるなど、バイト、上ローラ、下ローラを適宜配設しても、チョッピング機構10の分割ロッド13はトリマー部6の外周面の水平位置に設けた水平溝に配置される構成である。
【0036】
よって、このチョッピング機構は、トリマー部6に外装される分割ロッド13の先端ホルダー部12が、トリマー部6の先端部のバイトで切削されたビードの通過孔近傍に配置する固定刃の下面側を水平動できるように配置するのみで、寸断の機能を発揮できるため、トリマー部6に必須のバイト、上ローラ、下ローラの配置に一切妨げにならない、簡素な構成である。
【0037】
なお、図面には、チョッピング機構の駆動源がハングアーム内にある構成を示しているが、鋼管の製品寸法が大きい場合、例えばコンパクトな回転モータをマンドレルの基端部上面部に載置することもできる。
【実施例0038】
実施例1
造管する溶接鋼管の製品寸法は、外径50mm、最大肉厚4mm、最小内径42mmである。使用する内面ビード処理装置は、ビードの切削にネイルバイトを使用するものでトリマー部の外径は32mmである。
図4と
図5に基づいて説明する。図の右側が造管の上流側、左側側が下流側である。また、造管中の素管との位置関係を示すために、素管の断面を図示するが、装置の寸法比とは一致しないイメージを示す。
【0039】
マンドレル1は、上流側からハングアーム2と接続される基端部3、次いで延伸部4とインピーダコア部5、先端側のトリマー部6から構成される。インピーダコア部5の上流側上面に突出するのは樹脂チューブ7であり、ハングアーム2から延伸部4内の配管を通してインピーダコア部5先端まで供給された冷却水が同部を上流側に戻り開口している素管外に噴出させることができる。造管の際にはインピーコア部5の先端位置にスクイズロールの溶接ポイントが位置する。
【0040】
トリマー部6には、
図5に示すように先端上面にネイルバイト51を止着するためのバイトホルダー50が固着されてビード通過孔52を形成しており、ネイルバイト51の傾斜面先端には超硬チップがろう付けで固着されている。その下流側直後の穴部に上ローラ40が軸支されており、上ローラ40の軸支位置より上流側位置に軸支するL型のローラホルダー43に下ローラ42が保持されてトリマー部6下面側に収納され、ローラホルダー43の屈曲部に接続するプルロッド44を引くことで下ローラ42が下降し、素管内面に当接してネイルバイト51に押圧力を作用させる。下ローラ42のさらに上流側の上面に第二の上ローラ41が配置される。
【0041】
前記プルロッド44は、マンドレル1の下面部の全長に渡り配置されて基端部3で、枢着されるレバー45の下端に接続され、ホルダーアーム2内に垂直に内蔵される油圧シリンダ34の下降したシリンダロッドにレバー45の上端に枢軸されたロッドが接続されて、油圧シリンダ34のシリンダロッドの上昇工程でプルロッド44が上流側に引かれて下ローラ42が下降する。逆に油圧をヘッド側にかけると下ローラ42が収納される。
【0042】
トリマー部6先端部の下面側にはビード通過孔52出口付近に固定刃53が止着されている。チョッピング機構の先端部のホルダー部12に保持される移動刃11の上面がビード通過孔52出口の固定刃53の下面側を水平動する。そのためにホルダー部12はトリマー部6の両側面中央部の水平溝内を水平に摺動する分割ロッドに保持され、連結部14を介して往復ロッド15に接続され、基端部3でリンク機構20の伝達ロッド27に連結されている。チョッピング機構の動力源30にはアーム2内に垂直に内蔵される油圧シリンダ31を用いた。
【0043】
上述の構成からなるトリマー部6は、ネイルバイト51、上ローラ40,41、下ローラ42を所要配置し、さらにチョッピング機構を外装、内装配置することができ、その外径は32mmとすることができた。
【0044】
従って、このトリマー部6は、製品予定最小内径が42mmの素管内に十分な間隔を保持して下ローラ42を素管外の油圧シリンダ34で下降させることができ、それ故ネイルバイト51に必要な切削荷重を負荷させて切削したビードを、チョッピング機構は移動刃のストローク11mmを往復0.05秒で連続チョッピングすることができた。
【0045】
実施例2
造管する溶接鋼管の製品寸法は、外径60.3mm、最大肉厚5mm、最小内径50.3mmである。使用するマンドレルは実施例1と相似形で拡大するも同様構成であり、内面ビードの切削にリングバイトを使用するものでトリマー部の外径は40mmである。
図6に基づいて説明する。
【0046】
トリマー部6の本体先端側に上面より傾斜配置したビード通過孔52にリングバイト54を止着し、ビード通過孔出口付近に下面側より固定刃を止着してある。ビード通過孔52のリングバイト54に近接する上流側の下面より下ロール46が昇降可能となるように、屈曲のローラアーム47を枢軸配置してアーム後端にプッシュロッド48を接続し、トリマー部6本体内に内蔵する油圧シリンダにて下ローラ46を下降させてリングバイト54に所要の荷重を負荷できる。
【0047】
ここでは、リングバイト54の下方側近くに下ローラ46を配置し、上ロール49は相対的に上流側に離してピンで軸支配置してある。また、チョッピング機構は先に
図1と
図2に基づいて説明した構成そのものである。
【0048】
上述の構成からなるトリマー部6は、リングバイト54、上ローラ49を所要配置し、下ローラ46と駆動源の油圧シリンダを内蔵配置し、さらにチョッピング機構10を外装、内装配置することができ、その外径は40mmとすることができた。
【0049】
従って、製品予定内径が50.3mmの素管内に十分な間隔を保持して下ローラ46を内蔵する油圧シリンダで下降させることができ、リングバイト51に必要な切削荷重を負荷させて切削したビードを、チョッピング機構は移動刃のストローク13mmを往復0.054秒で連続チョッピングすることができた。
【0050】
また、移動刃を交換することによりチョッピングからニッキングに変更できた。
【0051】
さらに、ビード通過孔52とリングバイト54は同位置でトリマー部6の先端に位置しており、ビードの通過の妨げになる部分が少なく、ビード詰まりが発生し難い。
【0052】
実施例3
造管する溶接鋼管の製品寸法は、外径73mm、最大肉厚7mm、最小内径59mmである。使用するマンドレルは実施例2と相似形で拡大するも同様構成であり、内面ビードの切削にリングバイトを使用するものでトリマー部の外径は48mmである。
【0053】
実施例2と同様に下ロールの昇降はレバー押圧ロッドを用い、駆動源に油圧シリンダを水平に内蔵した。チョッピング機構の駆動源には、回転軸式を採用し電動モータで回転させた。
【0054】
製品予定内径が59mmの素管内に十分な間隔を保持して下ローラを内蔵する油圧シリンダで下降させることができ、リングバイトに必要な切削荷重を負荷させて切削したビードを、チョッピング機構は駆動源にコンパクト化が可能な回転型を用いて極めて滑らかに、移動刃のストローク16mmを往復0.1秒で連続チョッピングすることができた。
【0055】
また、スクイズポイントからリングバイトの距離を540mm程度に短くでき、ビードの切削抵抗が小さく、低負荷のスカーフィング、チョッピングが可能になった。
【0056】
実施例4
造管する溶接鋼管の製品寸法は、外径89.1mm、最大肉厚8mm、最小内径73.1mmである。マンドレルには実施例3と同様構成のものを用い、下ローラは外径を大きくした物と交換した。
【0057】
製品予定内径が73.1mmの素管内に十分な間隔を保持して下ローラを内蔵する油圧シリンダで下降させることができ、リングバイトに必要な切削荷重を負荷させて切削したビードを、チョッピング機構は移動刃のストローク16mmを往復0.1秒で連続チョッピングすることができた。
【0058】
また、スクイズポイントからリングバイトの距離を540mm程度に短くでき、ビードの切削抵抗が小さく、低負荷のスカーフィング、チョッピングが可能になった。
【0059】
実施例5
造管する溶接鋼管の製品寸法は、外径114.3mm、最大肉厚10mm、最小内径94.3mmである。使用するマンドレルは実施例3,4と相似形で拡大するも同様構成であり、内面ビードの切削にリングバイトを使用するものでトリマー部の外径は83mmである。
【0060】
製品予定内径が94.3mmの素管内に十分な間隔を保持して下ローラを内蔵する油圧シリンダで下降させることができ、リングバイトに必要な切削荷重を負荷させて切削したビードを、チョッピング機構は移動刃のストローク22mmを往復0.1秒で連続チョッピングすることができた。
【0061】
また、スクイズポイントからリングバイトの距離を660mm程度に短くでき、ビードの切削抵抗が小さく、低負荷のスカーフィング、チョッピングが可能になった。
溶接鋼管の製造に際し、従来は内面ビード処理装置ではスカーフィングのみで、操業の安全性が懸念される小径厚肉管の造管で、マンドレルにチョッピング機構を内蔵させることが可能になった。
チョッピング機構に簡素な構成が採用できたため、スクイズポイントからリングバイトの距離を短くでき、ビードの切削抵抗が小さく、低負荷のスカーフィング、チョッピングが可能になった。
発明者らは、小径肉厚鋼管の製造に際し使用されるマンドレルのトリマー部において、簡素かつ確実に作動するチョッピング機構を目的に、駆動源の配置について種々検討した結果、移動刃を水平動させるための水平ロッドはマンドレルに内装、外装させて、マンドレルを上流側で支持する素管開放側まで延長し、マンドレル支持部側に駆動源を配置する構成に着目した。
溶接鋼管の製造に際し、従来は内面ビード処理装置ではスカーフィングのみで、管内に長尺のビードが残存して操業の安全性が懸念される小径厚肉管の造管で、マンドレルにチョッピング機構を内蔵させることが可能になった。
造管中に溶接鋼管の管内面に生成するビードを切削するスカーフィング機構と、連続的にスカーフィング処理した後の条状ビードを所要長さで寸断処理するためのチョッピング機構とを備え、スクイズロールスタンドの上流側の素管開放部より同スタンドの下流側の素管内に挿入されるマンドレルに装着される溶接鋼管の内面ビード処理装置において、
前記チョッピング機構は、前記マンドレルの先端側に設けた前記スカーフィング機構のビード通過孔の出口付近に配置する固定刃と、前記マンドレルに水平動可能に装着されて往復動する一対の分割ロッドの先端に設けた移動刃とで、切削後の内面ビードを寸断する構成を有し、
前記チョッピング機構における前記分割ロッドの往復動駆動には、同長または異長の二つのリンクを連結した連結リンクの一方端を固定端とするため前記マンドレルに枢着し、前記連結リンクの他方端を、前記マンドレル内で摺動端として直線動を伝達する伝達ロッドに接続し、前記連結リンクの連結点に駆動源からの入力ロッドを枢着し、前記連結リンクが前記入力ロッドにより直線化、屈曲化する運動にて前記伝達ロッドが直線動する構成の入力変換リンク機構が、前記マンドレルの後端側に位置して用いられ、
前記伝達ロッドには、前記分割ロッドの後端に接続して前記マンドレルに水平動可能に装着される往復ロッドが接続されることを特徴とする溶接鋼管の内面ビード処理装置。
すなわち、この発明は、造管中に溶接鋼管の管内面に生成するビードを切削するスカーフィング機構と、連続的にスカーフィング処理した後の条状ビードを所要長さで寸断処理するためのチョッピング機構とを備え、スクイズロールスタンドの上流側の素管開放部より同スタンドの下流側の素管内に挿入されるマンドレルに装着される溶接鋼管の内面ビード処理装置において、
前記チョッピング機構は、前記マンドレルの先端側に設けた前記スカーフィング機構のビード通過孔の出口付近に配置する固定刃と、前記マンドレルに水平動可能に装着されて往復動する一対の分割ロッドの先端に設けた移動刃とで、切削後の内面ビードを寸断する構成を有し、
前記チョッピング機構における前記分割ロッドの往復動駆動には、同長または異長の二つのリンクを連結した連結リンクの一方端を固定端とするため前記マンドレルに枢着し、前記連結リンクの他方端を、前記マンドレル内で摺動端として直線動を伝達する伝達ロッドに接続し、前記連結リンクの連結点に駆動源からの入力ロッドを枢着し、前記連結リンクが前記入力ロッドにより直線化、屈曲化する運動にて前記伝達ロッドが直線動する構成の入力変換リンク機構が、前記マンドレルの後端側に位置して用いられ、
前記伝達ロッドには、前記分割ロッドの後端に接続して前記マンドレルに水平動可能に装着される往復ロッドが接続されることを特徴とする
溶接鋼管の内面ビード処理装置である。