(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097072
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230630BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20230630BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230630BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230630BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 330
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213219
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】小原 将紀
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107EE04
3K107FF15
3K107HH04
3K107HH05
5C094AA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA15
5C094DB01
5C094DB04
5C094EA10
5C094FA01
5C094FA04
5C094FB19
(57)【要約】
【課題】スイッチングトランジスタのオフリークによる輝度の変化を抑制することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、複数の画素を備え、複数の画素のそれぞれは、発光素子ELと、保持容量Csと、駆動トランジスタTDと、書き込みトランジスタT3とを備える。保持容量Csは、駆動トランジスタTDのゲート電極、及び、書き込みトランジスタT3と接続される下部電極310と、第1絶縁層140と、駆動トランジスタTDのソース電極と接続され、下部電極310と対向して配置される第1対向部を有する第1上部電極220と、第2絶縁層150と、駆動トランジスタTDのソース電極と接続され、下部電極310と対向して配置される第2対向部を有する第2上部電極320とにより形成され、第1対向部と第2対向部とは、重ならない位置に形成され、下部電極310は、第1対向部及び第2対向部のそれぞれと重なるように形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配置された複数の画素を備える表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、
発光素子と、
データ信号線を介して供給されたデータ信号を保持する保持容量と、
前記データ信号に応じた電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、
前記データ信号線と前記駆動トランジスタのゲート電極との間に接続される書き込みトランジスタであって、ソース電極及びドレイン電極の一方が前記データ信号線と接続される書き込みトランジスタとを備え、
前記保持容量は、
前記駆動トランジスタのゲート電極、及び、前記書き込みトランジスタと接続される第1電極層と、
第1電極層を覆う第1絶縁層と、
前記駆動トランジスタのソース電極と接続され、前記第1絶縁層上に前記第1電極層と対向して配置される第1対向部を有する第2電極層と、
前記第1絶縁層及び前記第2電極層を覆う第2絶縁層と、
前記駆動トランジスタの前記ソース電極と接続され、少なくとも一部が前記第2絶縁層上に形成される第3電極層であって、前記第1電極層と対向して配置される第2対向部を有する第3電極層とにより形成され、
前記第1対向部と前記第2対向部とは、前記表示装置の平面視において、互いに重ならない位置に形成され、
前記第1電極層は、前記平面視において、前記第1対向部及び前記第2対向部のそれぞれと重なるように形成される
表示装置。
【請求項2】
前記第2対向部は、前記第2絶縁層上に直接形成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2絶縁層には、前記平面視において、前記第1電極層と重なる位置に前記第1絶縁層側に凹む有底の凹部が形成されており、
前記第2対向部は、前記凹部の底面上に形成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2絶縁層には、前記平面視において、前記第1電極層と重なる位置に前記第1絶縁層側に貫通する凹部が形成されており、
前記第2対向部は、前記第1絶縁層上に形成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2対向部は、前記第1電極層と対向する第1部分と、前記凹部の内面に形成される第2部分とにより構成される
請求項3又は4に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、
前記駆動トランジスタのドレイン電極に接続され、前記平面視において、長尺状に形成される電源線と、
前記電源線と接続され、前記電源線より低抵抗な第1補助線とを備え、
前記第1補助線は、前記第2絶縁層上に形成されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
さらに、
前記発光素子のカソード電極と接続され、前記複数の画素を覆う第4電極層と、
前記第4電極層と接続され、前記第4電極層より低抵抗な第2補助線とを備え、
前記第2補助線は、前記第2絶縁層上に形成される
請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1電極層は、
前記第1対向部及び前記第2対向部を覆う第3対向部と、
前記駆動トランジスタの前記ゲート電極と接続される第1配線部を有し、
前記第3電極層は、前記平面視において、前記第1配線部の一部と重なる
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1対向部は、前記平面視において、矩形状であり、
前記第2対向部は、前記平面視において、長尺状である
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2絶縁層には、前記平面視において、前記第2電極層及び前記駆動トランジスタの前記ソース電極を接続する第2配線部と前記第3電極層とが重なる位置に貫通孔が形成されており、
前記第3電極層は、前記貫通孔を介して前記駆動トランジスタの前記ソース電極と電気的に接続される
請求項1~9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
さらに、前記駆動トランジスタのドレイン電極に接続され、前記平面視において、長尺状に形成される電源線を備え、
前記第2対向部は、前記平面視において、前記電源線を挟むように形成されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光型表示装置に用いられる電気光学素子として、有機EL素子が知られている。有機EL素子は、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用した電気光学素子であり、有機EL素子を流れる電流値を制御することで発色の階調を得ている。そのため、有機EL素子を用いる有機EL表示装置は、有機EL素子の電流量を制御するための駆動トランジスタと、駆動トランジスタの制御電圧を保持する保持容量(キャパシタ)と、制御電圧を保持容量に書き込むためのサンプリングトランジスタ(書き込みトランジスタ)とを含む画素回路が画素ごとに設けられている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、書き込みトランジスタ等のスイッチングトランジスタのオフリークによって、保持容量に保持された電荷が減少することにより、有機EL素子等の発光素子に流れる発光電流が減少し、所望の輝度を維持できない、つまりオフリークにより輝度が変化することが起こり得る。特許文献1には、書き込みトランジスタのオフリークによる輝度の変化を抑制することについては開示されていない。
【0005】
そこで、本開示は、スイッチングトランジスタのオフリークによる輝度の変化を抑制することができる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、2次元状に配置された複数の画素を備える表示装置であって、前記複数の画素のそれぞれは、発光素子と、データ信号線を介して供給されたデータ信号を保持する保持容量と、前記データ信号に応じた電流を前記発光素子に供給する駆動トランジスタと、前記データ信号線と前記駆動トランジスタのゲート電極との間に接続される書き込みトランジスタであって、ソース電極及びドレイン電極の一方が前記データ信号線と接続される書き込みトランジスタとを備え、前記保持容量は、前記駆動トランジスタのゲート電極、及び、前記書き込みトランジスタと接続される第1電極層と、第1電極層を覆う第1絶縁層と、前記駆動トランジスタのソース電極と接続され、前記第1絶縁層上に前記第1電極層と対向して配置される第1対向部を有する第2電極層と、前記第1絶縁層及び前記第2電極層を覆う第2絶縁層と、前記駆動トランジスタの前記ソース電極と接続され、少なくとも一部が前記第2絶縁層上に形成される第3電極層であって、前記第1電極層と対向して配置される第2対向部を有する第3電極層とにより形成され、前記第1対向部と前記第2対向部とは、前記表示装置の平面視において、互いに重ならない位置に形成され、前記第1電極層は、前記平面視において、前記第1対向部及び前記第2対向部のそれぞれと重なるように形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る表示装置によれば、スイッチングトランジスタのオフリークによる輝度の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II切断線で切断した、比較例に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る表示装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る表示装置の画素回路の構成を示す回路図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI切断線で切断した、実施の形態1に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5のVII-VII切断線で切断した、実施の形態1に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る表示装置の効果を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る表示装置の各種ゲート制御信号のタイミングチャートを示す図である。
【
図10】
図10は、
図5のVI-VI切断線に対応する切断線で切断した、実施の形態2に係る表示装置の画素回路の構成の第1例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図5のVI-VI切断線に対応する切断線で切断した、実施の形態2に係る表示装置の画素回路の構成の第2例を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、
図5のVII-VII切断線に対応する切断線で切断した、実施の形態2に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る表示装置の製造方法を説明するための図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す平面図である。
【
図15】
図15は、
図14のXV-XV切断線で切断した、実施の形態3に係る表示装置の画素回路の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至った経緯)
本開示の説明に先立ち、本開示に至った経緯について
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、比較例に係る表示装置の画素回路1011の構成を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1のII-II切断線で切断した、比較例に係る表示装置の画素回路1011の構成を模式的に示す断面図である。なお、以下では、回路と回路が形成される領域とを、同一の符号で参照することがある。
【0010】
図1に示すように、サブ画素回路1011R、1011G、1011Bは、画素領域1011を分割した3つのサブ画素領域1011R、1011G、1011Bにそれぞれ形成されている。サブ画素回路1011R、1011G、1011Bは、互いに同一の構成を有している。
【0011】
画素回路1011は、例えば、基板110上に、この順に配置された第1配線層、半導体層、第2配線層によって形成されている。第1配線層は、主に、制御信号線INI、REF、WS、参照電圧線VINI、VREF、保持容量Cs
R、Cs
G、Cs
Bの一方電極(例えば、
図2に示す下部電極210)、及び、各トランジスタのゲート電極として用いられる。半導体層は、各トランジスタのチャネル領域として用いられる。第2配線層は、主に、データ信号線Vdat
R、Vdat
G、Vdat
B、正電源線VCC、保持容量Cs
R、Cs
G、Cs
Bの他方電極(例えば、
図2に示す第1上部電極220)、及び、各トランジスタのソース電極、ドレイン電極として用いられる。異なる層同士は、ビアにより接続される。正電源線VCCは、電源線の一例である。
【0012】
画素回路1011に含まれる発光素子ELR、ELG、ELBは、同一の制御信号INI、REF、WSに従って同一のタイミングで保持容量CsR、CsG、CsBに保持されたデータ信号(データ電圧)VdatR、VdatG、VdatBに応じた輝度で発光する。保持容量CsR、CsG、CsBのそれぞれには、後述する駆動トランジスタTDR、TDG、TDBのそれぞれのゲートソース間の電位差Vgsを決定するための電荷がデータ信号線VdatR、VdatG、VdatBを介して蓄積される。
【0013】
なお、図示は省略しているが、基板、第1配線層、半導体層、第2配線層を覆うように平坦化層が設けられ、発光素子ELR、ELG、ELBは、平坦化層上に形成される。
【0014】
なお、上記では、サブ画素回路に応じて各構成要素の符号に「R」、「G」及び「B」を付したが、以下において、3つのサブ画素回路を区別しない場合は、「R」、「G」及び「B」の記載を省略した符号を付す場合がある。保持容量CsR、CsG、CsBを例に説明すると、保持容量Csとも記載する場合がある。
【0015】
図2に示すように、画素回路1011は、断面構成として、基板110と、第1アンダーコート層120と、第2アンダーコート層130と、第1絶縁層140と、第2絶縁層150と、金属層160及び180と、発光層170と、第4絶縁層200と、下部電極210と、第1上部電極220と、正電源線VCC及びデータ信号線Vdat
Gとを有する。
図2の例では、表示装置は、トップエミッション型の表示装置である。すなわち、発光素子EL
R、EL
G、EL
Bから発せられる光は、基板110の表面方向(Z軸プラス方向)に出射される。
【0016】
基板110は、例えば、ガラス基板又はガラスフィルムである。基板110上には、複数の画素(画素回路1011)が形成される。
【0017】
第1アンダーコート層120は、基板110の表面を覆うように設けられる。第1アンダーコート層120は例えば、例えば、窒化シリコン膜により構成される絶縁層(窒化シリコン層)である。
【0018】
第2アンダーコート層130は、第1アンダーコート層120の表面を覆うように設けられる。第2アンダーコート層130は、例えば、例えば、酸化シリコン膜により構成される絶縁層(酸化シリコン層)である。なお、第2アンダーコート層130上に形成される電極により第1配線層が形成される。
【0019】
なお、アンダーコート層はSiO、SiNに限るものではなく、バリア性を有する薄膜であればよい。また、その厚みも適宜変更可能である。
【0020】
下部電極210は、第2アンダーコート層130上に形成される電極の一部であり、保持容量Cs_convを形成するための一方電極として機能する。下部電極210は、書き込みトランジスタT3及び駆動トランジスタTDのゲート電極のそれぞれと接続されている。
【0021】
第1絶縁層140は、下部電極210を含む1以上の電極(第1配線層)が形成された第2アンダーコート層130を覆うように設けられる。第1絶縁層140は、下部電極210と第1上部電極220との間に充填されている。第1絶縁層140は、例えば、酸化シリコン膜であるが、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜及び酸化アルミニウム膜等の無機絶縁膜により構成されてもよい。第1絶縁層140上に形成される電極により第2配線層が形成される。なお、
図2に示す保持容量Cs_convは、
図1に示す保持容量Csに相当する。
【0022】
第1上部電極220、正電源線VCC及びデータ信号線Vdatは、第1絶縁層140上に形成される電極の一部である。本実施の形態では、第1上部電極220は、下部電極210と対向して設けられる部分(第1対向部)を有し、保持容量Cs_convを形成するための他方電極として機能する。第1対向部は、第1上部電極220のうち、平面視において、下部電極210と重なる部分である。なお、「A」と「B」とが対向して設けられるとは、「A」と「B」との間の少なくとも一部に他の金属層が形成されていていないことを意味する。
【0023】
正電源線VCCは、駆動トランジスタTDのドレイン電極、及び、電源30(
図3を参照)に接続され、平面視において、X軸方向に長尺状である。
【0024】
データ信号線VdatGは、サブ画素回路1011Bに隣接するサブ画素回路1011Gのデータ信号線である。正電源線VCC及びデータ信号線VdatGは、平面視において、下部電極210(画素回路1011Rの下部電極210)と重ならない位置に設けられる。
【0025】
第2絶縁層150は、第1上部電極220、データ信号線VdatG等を含む複数の電極(第2配線層)が形成された第1絶縁層140を覆うように設けられる。第2絶縁層150は、例えば、第1絶縁層140より厚み(Z軸方向の長さ)が厚い。第2絶縁層150は、例えば、酸化シリコン膜であるが、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜及び酸化アルミニウム膜等の無機絶縁膜により構成されてもよい。また、第2絶縁層150は、無機絶縁膜と有機絶縁膜とにより構成されてもよい。有機絶縁膜は、例えば、基板110の表面を平坦化するための平坦化層として機能する。
【0026】
金属層160は、EL層を形成するための電極であり、例えば、陽極(アノード)である。金属層160は、サブ画素ごとに形成されている。
【0027】
発光層170は、第3絶縁層190により区画された領域ごとに設けられ、保持容量Csに蓄積される電荷量に応じた発光電流により発光する。
【0028】
金属層180は、EL層を形成するための電極であり、例えば、陰極(カソード)である。金属層180は、負電源線VCATHと接続される。金属層180は、複数の画素を一括して覆うように形成される。金属層180は、第4電極層の一例である。
【0029】
第3絶縁層190は、発光層170を形成するために基板110上を区画するバンク(隔壁)である。第3絶縁層190は、感光性の熱硬化性樹脂により形成される。
【0030】
発光層170、第3絶縁層190、金属層160及び180によりEL層が形成される。
【0031】
なお、EL層上に、保護膜、封止樹脂、及び、封止基板がこの順で積層されてもよい(図示省略)。
【0032】
なお、下部電極210、第1上部電極220、正電源線VCC及びデータ信号線Vdatは、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)及びチタン(Ti)等の金属、又は、合金により構成される。
【0033】
上記のように、比較例に係る画素回路では、下部電極210、第1上部電極220、及び、下部電極210と第1上部電極220との間の第1絶縁層140により、保持容量Cs_convが形成される。
【0034】
図1に示す補償トランジスタT2、及び、書き込みトランジスタT3等のスイッチングトランジスタには、高速動作を重視する観点から、ポリシリコン半導体TFT(Thin Film Transistor)が一般的に用いられる。しかしながら、ポリシリコン半導体TFTは、結晶欠陥起因等のリークにより、オフリーク電流が比較的大きく、保持容量Cs_convに保持された電荷が抜けるため、駆動トランジスタTDのゲートソース間の電位差Vgsが小さくなり、発光素子ELに流れる発光電流が減少し、所望の輝度(所望の階調値)での表示を行えなくなる、又は、所望の輝度を維持できなくなる。
【0035】
なお、ポリシリコン半導体TFTのオフリーク電流は、製造時のプロセス制御(Si結晶性の制御)に依存する傾向が高く、既存技術では低減に限界がある。オフリーク電流が発生する要因としては、サブスレッショルドリーク電流(ドレイン-ソース間リーク)、ゲートリーク電流(ゲート絶縁膜リーク)、GIDL(Gate-Induced-Drain-Leakage current)電流、又は、接合リーク電流(結晶性欠陥リーク電流)の発生等が例示される。
【0036】
そこで、本願発明者は、スイッチングトランジスタのオフリークによる輝度の変化を抑制することができる表示装置について鋭意検討を行い、以下に説明する表示装置を創案した。
【0037】
以下、本開示の各実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の各実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の各実施の形態における構成要素のうち、本開示における独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0039】
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、Z軸方向を各層の積層方向としている。本明細書において、「平面視」とは、画素回路の厚み方向に沿って画素回路を見た場合を意味する。
【0040】
また、本明細書において、同一、平行等の要素間の関係性を示す用語、及び、矩形、長尺等の要素の形状を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0041】
(実施の形態1)
[1-1.表示装置の構成]
まずは、本実施の形態に係る表示装置1の概略構成について、
図3~
図5を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る表示装置1の機能的な構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、簡潔のため、信号と信号を伝達する配線とを、同一の符号で参照することがある。
【0042】
図3に示すように、表示装置1は、表示モジュール10と、制御部20と、電源30とを備える。表示モジュール10は、表示パネル12(表示部)と、ゲートドライバ13と、データドライバ14とを有する。
【0043】
表示パネル12は、複数の画素回路11(画素)を2次元状(マトリクス状)に配置して構成される。つまり、表示パネル12は、複数の画素行Lを有する。各画素回路11は、R、G、Bの発光色にそれぞれ対応するサブ画素回路11R、11G、11B(サブ画素)を有する。本実施の形態では、複数の画素行Lを構成する複数の画素のそれぞれは、発光素子として、有機EL素子を有する例について説明するが、これに限定されない。表示パネル12は、発光素子として、QLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)素子を有していてもよい。
【0044】
行列状の各行には、同じ行に配置される複数の画素回路11に接続される3本の制御信号線INI、REF及びWSが設けられる。制御信号線INI、REF及びWSは、ゲートドライバ13から供給される制御信号INI、REF、WSを、画素回路11へ伝達する。なお、制御信号線の本数及び制御信号は一例であり、この例には限定されない。また、制御信号線INI、REF、WSは、走査線の一例である。
【0045】
走査線は、複数の画素行Lごとに配置され、映像信号に対応したデータ信号を書き込むための画素行Lを選択するために設けられる。
【0046】
行列状の各列には、同じ列に配置される複数の画素回路11に接続される3本のデータ信号線VdatR、VdatG、VdatBが設けられる。データ信号線VdatR、VdatG、VdatBは、データドライバ14から供給されるR、G、Bの発光輝度に関連するデータ信号VdatR、VdatG、VdatBを、画素回路11へ、それぞれ伝達する。
【0047】
なお、
図3では、ゲートドライバ13は、表示パネル12の片側に配置されているが、両側に配置されていてもよい。また、データドライバ14は、表示パネル12にCOG(Chip on Glass)で実装されてもよく、COF(Chip On Film)で実装されてもよい。
【0048】
制御部20は、表示モジュール10の各構成要素を制御する。制御部20は、外部から映像信号を受信し、当該映像信号の各フレームの画像を表示パネル12において表示するための制御信号を、ゲートドライバ13及びデータドライバ14へ供給する。
【0049】
電源30は、表示パネル12、ゲートドライバ13、データドライバ14、及び、制御部20へ動作用の電力を供給する。電源30は、例えば、参照電圧VINI、VREF、正電源電圧VCC、及び、負電源電圧VCATHを、表示パネル12へ供給する。
【0050】
ここで、画素回路11の詳細な構成について、
図4~
図7を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を示す回路図である。
【0051】
図4に示すように、画素回路11を構成するサブ画素回路11R、11G、11Bは、互いに同一の構成を有している。以下、画素回路11の構成について、サブ画素回路11Rに着目して説明する。
【0052】
サブ画素回路11Rは、初期化トランジスタT1Rと、補償トランジスタT2Rと、書き込みトランジスタT3Rと、保持容量CsRと、駆動トランジスタTDRと、発光素子ELRとを有している。また、サブ画素回路11Rは、制御信号線INI、REF、WS、参照電圧線VINI、VREF、データ信号線VdatR、正電源線VCC、及び、負電源線VCATHを有している。なお、初期化トランジスタT1R及び補償トランジスタT2Rは、必須の構成要素ではない。
【0053】
初期化トランジスタT1Rは、制御信号INIに従ってオン状態となり、駆動トランジスタTDRのソースノードを参照電圧(基準電圧)VINIに設定する。
【0054】
補償トランジスタT2Rは、制御信号REFに従ってオン状態となり、駆動トランジスタTDRのゲート電極(ゲートノード)に参照電圧VREFを供給する。これは、発光素子ELRの電極(例えば、アノード)の電位を初期化することに相当する。
【0055】
書き込みトランジスタT3Rは、制御信号WSに従ってオン状態となり、データ信号VdatRの電圧を保持容量CsRに保持させる。書き込みトランジスタT3Rは、データ信号線VdatRと駆動トランジスタTDRのゲート電極との間に接続されている。具体的には、書き込みトランジスタT3Rは、ソース電極及びドレイン電極の一方がデータ信号線VdatRに接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が補償トランジスタT2Rのソース電極及びドレイン電極の一方、及び、駆動トランジスタTDRのゲート電極に接続されている。
【0056】
駆動トランジスタTDRは、ソース電極及びドレイン電極の一方が正電源線VCCに接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が発光素子ELRのアノードに接続され、保持容量CsRに保持されたデータ信号VdatRに応じた発光電流を発光素子ELRに供給する。これにより、発光素子ELRは、データ信号VdatRに応じた輝度で発光する。
【0057】
保持容量Cs
Rは、データ信号線Vdat
Rを介して供給されたデータ信号Vdat
Rを保持する。詳細は後述するが、本開示に係る保持容量Cs
Rは、比較例に係る保持容量Cs
Rに比べて容量が大きい。本開示に係る保持容量Cs
Rは、比較例で示した保持容量Cs_convと、保持容量Cs_add(
図6を参照)との合成容量により実現される。
【0058】
発光素子ELRは、自発光型の発光素子であり、本実施の形態では、有機EL(Electro Luminescence)素子である。発光素子ELRのアノード電極は、駆動トランジスタTDRのソース電極及びドレイン電極の一方と接続される。発光素子ELRのカソード電極には、カソード電源線(負電源線VCATH)によってカソード電圧(負電源電圧VCATH)が印加されている。
【0059】
なお、
図4に示すゲート電位Vg
Rは、駆動トランジスタTD
Rのゲート電極の電位を示しており、ソース電位Vs
Rは、駆動トランジスタTD
Rのソース電極の電位を示している。
【0060】
なお、上記で説明した各トランジスタは、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成されるが、p型の薄膜トランジスタ(p型TFT)で構成されてもよい。また、上記で説明した各トランジスタには、例えば、ポリシリコン半導体TFTが用いられるがこれに限定されない。
【0061】
ここで、画素回路11の断面構成について、
図5~
図7を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を模式的に示す平面図である。
図6は、
図5のVI-VI切断線で切断した、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を模式的に示す断面図である。
図7は、
図5のVII-VII切断線で切断した、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を模式的に示す断面図である。
【0062】
図5~
図7に示すように、本実施の形態に係る画素回路11は、比較例に係る画素回路1011の下部電極210に替えて下部電極310を有し、さらに第2上部電極320及び第4絶縁層200を有する。
【0063】
下部電極310は、駆動トランジスタTD
Rのゲート電極、及び、書き込みトランジスタT3
Rと接続され、保持容量Cs_conv及びCs_addを形成するための一方電極として機能する。下部電極310は、比較例に係る下部電極210より平面視における面積が広い電極である。下部電極310は、例えば、平面視において、第1上部電極220、及び、第2上部電極320の一部を覆うように形成される。例えば、下部電極310は、平面視において、第1上部電極220の第1対向部、及び、第2上部電極320の第2対向部のそれぞれと重なるように設けられる。例えば、下部電極310は、正電源線VCCに跨がって形成されている。なお、下部電極310は、隣接するサブ画素回路のデータ信号線(
図6の例では、データ信号線Vdat
G)とは平面視において重ならない。
【0064】
下部電極310は、平面視において、第1上部電極220と対向する部分である第1電極部310aと、第1電極部320aと対向する第2電極部310bと、第2電極部320bと対向する第3電極部310cと、駆動トランジスタTDRのゲート電極と接続される第4電極部310dとを有する。下部電極310は、第1上部電極220(例えば、後述する第1対向部)と、第1電極部320a及び第2電極部320bとを覆う。
【0065】
第1電極部310aは、例えば、矩形状であり、第2電極部310b及び第3電極部310cは、長尺状である。例えば、第2電極部310b及び第3電極部310cは、正電源線VCCに沿って長尺状である。下部電極310は、平面視において、第2電極部310bと第3電極部310cとにより正電源線VCCを挟む構成を有する。第1電極部310aは、比較例に示す下部電極210に相当する。第4電極部310dは、第1配線部の一例である。
【0066】
平面視において、下部電極310のうち第1上部電極220及び第2上部電極320と重なる部分、つまり下部電極310のうち第1上部電極220及び第2上部電極320を覆う部分は、第3対向部の一例である。また、平面視において、下部電極310と重なる第1上部電極220の部分は、第1対向部の一例である。第1上部電極220は、第1絶縁層140上において下部電極310と対向して配置される第1対向部を有するとも言える。第1上部電極220は、第2電極層の一例である。
【0067】
図6及び
図7に示すように、画素回路11は、第2絶縁層150と、金属層160との間に第2上部電極320及び第3絶縁層190を有する。
【0068】
第1絶縁層140は、下部電極310を含む1以上の電極(第1配線層)が形成された第2アンダーコート層130を覆うように形成される。第1絶縁層140は、下部電極310を覆うように形成されるとも言える。
【0069】
第2絶縁層150は、第1上部電極220を含む1以上の電極(第2配線層)が形成された第1絶縁層140を覆うように形成される。第2絶縁層150は、第1上部電極220及び第1絶縁層140を覆うとも言える。
【0070】
第2上部電極320は、少なくとも一部が第2絶縁層150上に形成され、保持容量Cs_addを形成するための他方電極として機能する。第2上部電極320は、駆動トランジスタTDRのソース電極及びドレイン電極の一方と接続部330を介して接続される。つまり、第2上部電極320は、第1上部電極220と電気的に接続されており、同電位である。また、本実施の形態では、第2上部電極320は、初期化トランジスタT1Rのソース電極及びドレイン電極の一方と接続部330を介して接続される。第2上部電極320は、第3電極層の一例である。
【0071】
なお、接続部330は、第1上部電極220を駆動トランジスタTDRのソース電極及びドレイン電極の一方と接続する。接続部330は、第2配線部の一例である。
【0072】
なお、
図7に示すように、接続部330と第2上部電極320との接続は、コンタクト部Cにおいて実現される。第2絶縁層150には、接続部330と第2上部電極320(例えば、第3電極部320c)とが重なる位置に貫通孔151が形成されており、当該貫通孔151を介して、接続部330と第2上部電極320とが接続される。例えば、貫通孔151において、第1絶縁層140上に直接形成されている接続部330と、第2上部電極320とが接続される。第2上部電極320は、接続部330を介して駆動トランジスタTDのソース電極と電気的に接続されるとも言える。
【0073】
第2上部電極320は、第1電極部320aと、第2電極部320bと第3電極部320cとを有する。本実施の形態では、第2上部電極320は、第2絶縁層150上に直接形成されている。
【0074】
第1電極部320aは、第2電極部310bと対向する部分を有し、正電源線VCCよりデータ信号線VdatR側に設けられる。第1電極部320aは、正電源線VCCに沿ってX軸方向に長尺状である。第1電極部320aは、平面視において、下部電極310(例えば、第2電極部310b)と重なる部分である。
【0075】
第2電極部320bは、第3電極部310cと対向する部分を有し、正電源線VCCと、隣接するサブ画素のデータ信号線(
図5の例では、データ信号線Vdat
G)との間に設けられる。第1電極部320aは、正電源線VCCに沿ってX軸方向に長尺状である。第2電極部320bは、平面視において、下部電極310(例えば、第3電極部310c)と重なる部分である。
【0076】
第1電極部320a及び第2電極部320bは、平面視において、第1対向部と重ならない位置に設けられる。第1電極部320a及び第2電極部320bは、平面視において、正電源線VCCを挟むように形成されている。第1電極部320a及び第2電極部320bは、平面視において、平行に設けられていてもよい。また、第2電極部320bのX軸方向の長さは、第1電極部320aのX軸方向の長さと同じであってもよい。第1電極部320a及び第2電極部320bは、第2対向部の一例である。
【0077】
第3電極部320cは、平面視において、第1電極部320a及び第2電極部320bの長尺方向(X軸方向)と交差する方向(例えば、直交する方向)に長尺であり、第1電極部320a及び第2電極部320bと、接続部330とを電気的に接続するために設けられる。第3電極部320cは、例えば、貫通孔151の内面を覆うように形成される。また、第3電極部320cは、平面視において、第4電極部310dと交差しており、第4電極部310dの一部と重なる。
【0078】
なお、第2上部電極320は、既存配線の寄生容量の増加を抑制する観点から、下層に信号線等がない領域に形成されるとよい。
【0079】
第4絶縁層200は、第2上部電極320を含む1以上の電極(第3配線層)が形成された第2絶縁層150を覆うように設けられる。第4絶縁層200は、例えば、酸化シリコン膜であるが、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜及び酸化アルミニウム膜等の無機絶縁膜により構成されてもよい。
【0080】
なお、上記で説明した各電極層の構成材料は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ネオジウム(Nd)及び銅(Cu)のうちの1種を含む単体又は合金が挙げられる。あるいは、それらのうちの少なくとも1種を含む化合物又は2種以上を含む積層膜であってもよい。また、例えば、ITO等の透明導電膜が用いられてもよい。
【0081】
上記のように、本実施の形態に係る画素回路11では、比較例に係る画素回路1011に示す保持容量Cs_convに加えて、下部電極310、第2上部電極320及び下部電極310と第2上部電極320との間の第1絶縁層140及び第2絶縁層150とにより、保持容量Cs_addが形成される。具体的には、第2電極部310bと第1電極部320aとの間の第1補助保持容量と、第3電極部310cと第2電極部320bとの間の第2補助保持容量と、第4電極部310dと第3電極部320cとの間の第3補助保持容量との合成容量により、保持容量Cs_addが形成される。
【0082】
保持容量Cs_addは、平面視において、下部電極310と、第2上部電極320とが重なる面積をSとし、下部電極310と、第2上部電極320との距離をd1とすると、以下の(式1)により算出可能である。
【0083】
Cs_add=ε0×εx×S/d1 ・・・(式1)
【0084】
なお、ε0は、真空の誘電率を示し、εxは、比誘電率を示す。また、画素回路11の合計の保持容量Csは、以下の(式2)により算出可能である。
【0085】
Cs=Cs_conv+Cs_add ・・・(式2)
【0086】
保持容量Csは、保持容量Cs_convより大きな値となる。
【0087】
このように、本実施の形態に係る表示装置1は、保持容量Csを比較例で説明した保持容量Cs_convより大きくすることができる。
【0088】
また、平面視において、第2電極部310bと第1電極部310aとが重なる面積、及び、第3電極部310cと第2電極部310bとが重なる面積は、例えば、等しくてもよい。つまり、第2電極部310bと第1電極部310aとで形成される保持容量Cs_addと、第3電極部310cと第2電極部310bとで形成される保持容量Cs_addとは、等しくてもよい。なお、2つの保持容量Cs_addは、等しいことに限定されず、互いに異なっていてもよい。
【0089】
[1-2.保持容量を大きくすることの効果]
保持容量Csを大きくすることの効果について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る表示装置1の効果を説明するための図である。
図8の縦軸は、画素電流(発光電流)の低下度合いを示し、横軸は時間を示す。
図8は、1フレームの開始時点の画素電流の値を基準とした、表示装置1及び従来技術の表示装置における1フレームの間の画素電流の低下度合いの比較を示す。なお、従来技術とは、保持容量Cs_conv及びCs_addのうち保持容量Cs_convのみで画素回路の保持容量が形成される表示装置を意味する。
【0090】
図8に示すように、本実施の形態に係る表示装置1では、従来技術の表示装置に比べて、1フレームの間での画素電流の低下が抑制されている(
図8に示す「-ΔIpixが改善」を参照)。表示装置1は、従来に比べて保持容量Csが大きいので、電荷の蓄積量も従来に比べて大きい。一方、オフリークにより抜ける画素電流の量は、保持容量Csに関わらず一定である。つまり、表示装置1は、電荷の蓄積量に対するオフリークによる電荷の低減量の割合が小さい。よって、本実施の形態に係る表示装置1は、
図8に示すように、画素電流の低下度合いが緩和されるので、発光電流の減少が抑制され、オフリークによる輝度の変化を抑制することができる。
【0091】
例えば、保持容量Cs_conv及び保持容量Cs_addの合成の保持容量が保持容量Cs_conv単体の保持容量の1.5倍となる場合、駆動トランジスタTDR、TDG、TDBのゲートソース間の電位差Vgsの低下をおよそ0.67倍に抑えることができるので、それに伴い画素電流Ipixの低下を抑制することができる。
【0092】
なお、本実施の形態に係る表示装置1は、保持容量Cs_conv及び保持容量Cs_addの合成の保持容量Csが形成される構成を有するので、保持容量の増加に伴い画素電流が増加する。そのため、表示装置1では、保持容量Cs_convのみで保持容量Csが形成される構成(例えば、比較例に係る構成)を有する場合と、画素値が同じ場合の発光素子ELに流れる画素電流が一致するように、データ信号が調整されてもよい。
【0093】
[1-3.画素回路の動作]
画素回路11の動作の動作について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係る表示装置1の各種ゲート制御信号(制御信号INI、REF、WS)のタイミングチャートを示す図である。
【0094】
図9に示すように、時間t1~時間t4は、消灯期間である。時間t1において制御信号REFが低レベルから高レベルとなり補償トランジスタT2
R、T2
G、T2
Bがオンすることで、消灯期間が開始される。時間t2~時間t3は、制御信号REFが低レベルであり、制御信号INIが高レベルであり、初期化動作が行われる初期化期間である。時間t3~時間t4は、制御信号REFが高レベルであり、制御信号INIが低レベルであり、閾値補償動作が行われる閾値補償期間(Vth補償期間)である。
【0095】
時間t4~時間t5において、制御信号WSが高レベルであるので、書き込みトランジスタT3R、T3G、T3Bがオンになり、保持容量CsR、CsG、CsBのそれぞれにデータ信号線VdatR、VdatG、VdatBのそれぞれに保持されているデータ信号の書き込みが行われる。時間t4~時間t5の期間は、データ書き込み期間である。時間t4~時間t5では、例えば、保持容量Cs_conv、及び、Cs_addに同時に電荷が蓄積される。
【0096】
そして、時間t5において、制御信号WSが低レベルとなることで、発光素子ELR、ELG、ELBが発光する。
【0097】
なお、消灯期間は、初期設定のための期間であり、具体的には当該サブ画素回路が点灯していない(つまり、黒表示である)期間である。画素行がn行であり、1水平期間を1Hとすると、消灯期間は、例えば、n×Hで規定される期間である。なお、「黒表示」は、完全な黒(非発光)であることに限定されず、実質的に黒であるものも含まれ、例えば、所定の輝度以下であることも含まれてもよい。
【0098】
[1-4.効果等]
以下では、表示装置1の効果を記載するが、便宜上、発光素子ELR、ELG、ELBを発光素子ELと記載し、データ信号線及びデータ信号VdatR、VdatG、VdatBをデータ信号線及びデータ信号Vdatと記載し、保持容量CsR、CsG、CsBを保持容量Csと記載し、駆動トランジスタTDR、TDG、TDBを駆動トランジスタTDと記載し、書き込みトランジスタT3R、T3G、T3Bを書き込みトランジスタT3と記載する。
【0099】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置1は、2次元状に配置された複数の画素(画素回路11)を備える表示装置である。複数の画素のそれぞれは、発光素子ELと、データ信号線Vdatを介して供給されたデータ信号を保持する保持容量Csと、データ信号Vdatに応じた電流を発光素子ELに供給する駆動トランジスタTDと、データ信号線Vdatと駆動トランジスタTDのゲート電極との間に接続される書き込みトランジスタT3であって、ソース電極及びドレイン電極の一方がデータ信号線Vdatと接続される書き込みトランジスタT3とを備える。保持容量Csは、駆動トランジスタTDのゲート電極、及び、書き込みトランジスタT3と接続される下部電極310(第1電極層の一例)と、下部電極310を覆う第1絶縁層140と、駆動トランジスタTDのソース電極と接続され、第1絶縁層140上に下部電極310と対向して配置される第1対向部を有する第1上部電極220と、第1絶縁層140及び下部電極310を覆う第2絶縁層150と、駆動トランジスタTDのソース電極と接続され、少なくとも一部が第2絶縁層150上に形成される第2上部電極320(第3電極層の一例)であって、下部電極310と対向して配置される第2対向部(例えば、第1電極部320a及び第2電極部320b)を有する第2上部電極320とにより形成され、第1対向部と第2対向部とは、表示装置1の平面視において、互いに重ならない位置に形成され、下部電極310は、平面視において、第1対向部及び第2対向部のそれぞれと重なるように形成される。
【0100】
これにより、下部電極310、第1上部電極220(第1対向部)及び第1絶縁層140で形成される保持容量Cs_convに加え、下部電極310、第2上部電極320(第2対向部)及び第1絶縁層140(又は第1絶縁層140及び第2絶縁層150)で形成される保持容量Cs_addが形成される。つまり、表示装置1では、複数の画素のそれぞれにおいて、保持容量Csが従来より増加する。このような表示装置1は、
図8で説明したように、蓄積される電荷量が従来より多いので、オフリークによる影響を受けにくい。よって、本実施の形態に係る表示装置1は、書き込みトランジスタT3(スイッチングトランジスタ)のオフリークによる輝度の変化を抑制することができる。
【0101】
また、第2対向部は、第2絶縁層150上に直接形成されている。
【0102】
これにより、第2絶縁層150上に直接形成されている第2対向部(例えば、第1電極部320a及び第2電極部320b)と下部電極310とにより保持容量Cs_addが形成されるので画素ごとの保持容量Csを増やすことができる。
【0103】
また、下部電極310は、第1対向部及び第2対向部を覆う第3対向部と、第3対向部及び駆動トランジスタTDのゲート電極を接続する第4電極部310dとを有し、第2上部電極320は、平面視において、第4電極部310d(第1配線部の一例)の一部と重なる。
【0104】
これにより、第2上部電極320と第4電極部310dとが重なる部分でも容量が形成されるので、保持容量Cs_addをより増加させることができる。
【0105】
また、第1対向部は、平面視において、矩形状であり、第2対向部は、平面視において、長尺状である。
【0106】
これにより、第1対向部と第2対向部とが異なる形状により形成されるので、第1対向部及び第2対向部を設けることができるレイアウト面積に制限がある場合であっても、保持容量Cs_addを効果的に増加させることができる。
【0107】
また、第2絶縁層150は、平面視において、第1上部電極220及び駆動トランジスタTDのソース電極を接続する接続部330(第2配線部の一例)と第2上部電極320とが重なる位置に貫通孔151が形成されており、第2上部電極320は、貫通孔151を介して駆動トランジスタTDのソース電極と電気的に接続される。
【0108】
これにより、第2上部電極320をより広く形成することが可能となるので、保持容量Cs_addをさらに増加させることができる。
【0109】
また、さらに、駆動トランジスタTDのドレイン電極に接続され、平面視において、長尺状に形成された正電源線VCC(電源線の一例)を備え、第2対向部は、平面視において、正電源線VCCを挟むように形成されている。
【0110】
これにより、平面視における正電源線VCCの周囲のスペースを利用して、保持容量Cs_addを効果的に増加させることができる。
【0111】
(実施の形態2)
以下では、本実施の形態に係る表示装置について、
図10~
図13を参照しながら説明する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。本実施の形態では、保持容量Cs_addを形成する他方電極が第2絶縁層150の上面よりも下方の位置に形成されている例について説明する。
図10を用いて第2絶縁層150の貫通孔に他方電極が形成される場合の構成を説明し、
図11を用いて第2絶縁層150の有底の凹部に他方電極が形成される場合の構成を説明する。
【0112】
[2-1.表示装置の構成]
図10は、
図5のVI-VI切断線に対応する切断線で切断した、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成の第1例を模式的に示す断面図である。
【0113】
図10に示すように、第2上部電極320の第1電極部320a及び第2電極部320bは、第2絶縁層150上ではなく、第2絶縁層150に形成された貫通孔152及び153に形成されている。
図10の例では、貫通孔152及び153は、第2絶縁層150をZ軸方向に貫通する凹部である。第2絶縁層150には、平面視において、第1電極部320a及び第2電極部320bと重なる位置に第1絶縁層140側(Z軸マイナス側)に貫通する凹部(貫通孔152及び153)が形成されているとも言える。
【0114】
この場合、第1電極部320a及び第2電極部320bは、第1絶縁層140上に形成される。つまり、第1電極部320a及び第2電極部320bと、第1上部電極220とは同層(第2配線層)に形成され、下部電極310までの距離d2が等しい。距離d2は、距離d1より小さい距離である。
【0115】
第1電極部320aは、断面視において、第1上部電極220と、正電源線VCCとの間に、互いに接触しないように配置され、第2電極部320bは、正電源線VCCと、データ信号線VdatGとの間に、互いに接触しないように配置される。つまり、第1電極部320a及び第2電極部320bのそれぞれは、第1上部電極220、正電源線VCC及びデータ信号線VdatGと電気的に分離されている。第1電極部320a及び第2電極部320bは、下部電極310と対向する部分(第1部分)を有する。
【0116】
保持容量Cs_addは、平面視において、下部電極310と、第2上部電極320とが平面視において重なる面積をSとし、下部電極310と、第2上部電極320との距離をd2とすると、以下の(式3)により算出可能である。
【0117】
Cs_add=ε0×εx×S/d2 ・・・(式3)
【0118】
また、第1電極部320aは、貫通孔152の内面152aを覆うように形成されており、第2電極部320bは、貫通孔153の内面153aを覆うように形成されている。貫通孔152及び153は、平面視において、第2配線層の各電極(第1上部電極220、正電源線VCC及びデータ信号線VdatG)と重ならない位置に形成される。貫通孔152は、平面視において第1上部電極220及び正電源線VCCの間であって、正電源線VCCに沿って長尺状に形成されており、貫通孔153は、平面視において正電源線VCC及びデータ信号線VdatGの間であって、正電源線VCCに沿って長尺状に形成されている。例えば、貫通孔152及び153は、平面視において、平行な貫通溝である。
【0119】
第1電極部320aのうち貫通孔152の内面152aに形成される部分(第2部分の一例)、及び、第2電極部320bのうち貫通孔153の内面153aに形成される部分(第2部分の一例)は、平面視において、正電源線VCCに沿って延在する。内面152a及び153aに電極が形成されることで、当該電極と下部電極310との間での容量が形成される。つまり、内面152a及び153aに電極が形成されることで、保持容量Cs_addをさらに増やす効果が期待される。なお、第2部分は、第1部分と接続されている。
【0120】
なお、第2絶縁層150に形成される貫通孔152及び153の数は2つに限定されず、平面視において下部電極310と第2上部電極320とが重なる領域に形成されていれば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、貫通孔152及び153は、貫通溝であることに限定されず、筒状の複数の貫通孔により実現されてもよい。
【0121】
図11は、
図5のVI-VI切断線に対応する切断線で切断した、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成の第2例を模式的に示す断面図である。
【0122】
図11に示すように、第2上部電極320の第1電極部320a及び第2電極部320bは、第2絶縁層150に形成された凹部154及び155内に形成されている。
図11の例では、凹部154及び155は、第2絶縁層150をZ軸方向に貫通していない有底(未貫通)の溝である。第2絶縁層150には、平面視において、第1電極部320a及び第2電極部320bと重なる位置に第1絶縁層140側(Z軸マイナス側)に凹む有底の凹部154及び155が形成されているとも言える。
【0123】
凹部154及び154が有底の溝であるので、第1電極部320a及び第2電極部320bは、凹部154及び155の底面上に形成される。つまり、第1電極部320a及び第2電極部320bは、第2配線層と第3配線層との間に形成され、下部電極310までの距離は距離d3となる。距離d3は、距離d1より小さく、かつ、距離d2(
図10を参照)より大きい距離である。
【0124】
凹部154及び155が形成される平面視上の位置は、貫通孔152及び153と同じである。
【0125】
保持容量Cs_addは、平面視において、下部電極310と、第2上部電極320とが重なる面積をSとし、下部電極310と、第2上部電極320との距離をd3とすると、以下の(式4)により算出可能である。
【0126】
Cs_add=ε0×εx×S/d3 ・・・(式4)
【0127】
また、第1電極部320aは、凹部154の内面を覆うように形成されており、第2電極部320bは、凹部155の内面を覆うように形成されている。
【0128】
図12は、
図5のVII-VII切断線に対応する切断線で切断した、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を模式的に示す断面図である。
【0129】
図12に示すように、第2上部電極320は、平面視において第3電極部310cと重なるので、第2上部電極320と第3電極部310cとの間にも保持容量Cs_addが形成される。これにより、さらに保持容量Csを大きくすることができる。また、
図12の例では、第3電極部310cの上方に凹部は形成されていない。第3電極部310cの上方とは、平面視において、第3電極部310cと第4電極部310dとが重なる領域である。当該領域が駆動トランジスタTDと物理的に近い位置であるので、駆動トランジスタTDの動作への影響を考慮して当該領域に凹部は形成されていない。
【0130】
この場合、平面視において第2電極部310bと第1電極部320aとが重なる面積をS1とし、第2電極部310bと第1電極部320aとで形成される保持容量をCs_add_1(
図12中の第2電極部310bと第1電極部320aとの間の保持容量Cs_add)とし、平面視において第4電極部310dと第3電極部320cとが重なる面積をS2とし、第2電極部310bと第1電極部320aとで形成される保持容量をCs_add_2(
図12中の第4電極部310dと第3電極部320cとの間の保持容量Cs_add)とは、以下の(式5)の関係が成り立つ。
【0131】
Cs_add_2/S2<Cs_add_1/S1 ・・・(式5)
【0132】
なお、第2絶縁層150は、第3電極部310cの上方において、駆動トランジスタTDの動作に影響を及ぼさない程度の有底の凹部が形成されており、当該凹部の底面に第2上部電極320が形成されていてもよい。このような凹部の深さは、例えば、実験等により取得可能である。
【0133】
なお、第2絶縁層150に形成される凹部154及び155の数は2つに限定されず、平面視において下部電極310と重なる領域に形成されていれば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、凹部154及び155は、溝状の凹みであることに限定されず、筒状の複数の凹みにより実現されてもよい。
【0134】
[2-2.表示装置の製造方法]
次に、
図11及び
図12に示す貫通孔151、凹部154及び凹部155の作製方法について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法を説明するための図である。
図13は、貫通孔151、凹部154及び凹部155を形成するための露光工程を模式的に示す。なお、フォトマスク500に入射する光(例えば、UV光)の光量は、平面視において、例えば、均一である。また、第2絶縁層150の材料となる樹脂は、ポジ型の感光性樹脂であるとするが、これに限定されない。
【0135】
第2絶縁層150は、第1絶縁層140上に下部電極310を含む第1配線層が形成された後、第2絶縁層150を形成するためのポジ型の感光性樹脂を塗布し、プリベークで硬化(仮硬化)させ、
図13に示すフォトマスク500で露光し、現像液でエッチング部の樹脂を除去し、ポストベークで最終硬化(本硬化)させることで形成される。
【0136】
図13に示すように、フォトマスク500を用いた露光工程により貫通孔151、凹部154及び凹部155が形成される。フォトマスク500は、遮光部510と、透過部520と、ハーフトーン部530とを有する。フォトマスク500は、遮光部510以外に光透過率が互いに異なる透過部分を2つ以上有するように構成されるマルチトーンマスクである。
【0137】
遮光部510は、貫通孔151、凹部154及び凹部155が形成されない領域(例えば、第3電極部310cが形成される含む領域)に設けられ、フォトマスク500に入射する光を遮光する部分である。
【0138】
透過部520は、貫通孔151が形成される領域に設けられ、フォトマスク500に入射する光を透過する部分である。
【0139】
ハーフトーン部530は、有底の溝が形成される領域(例えば、第1電極部310a及び第2電極部310bが形成される領域)に設けられ、フォトマスク500に入射する光を一部透過する部分である。ハーフトーン部530は、透過部520より透過率が小さく、かつ、遮光部510より透過率が高い部分である。なお、ハーフトーン部530は、X軸方向に長尺状に設けられる。
【0140】
このようなフォトマスク500を用いることで、互いに深さの異なる溝(例えば、貫通溝、及び、貫通未時)を1回の露光で形成することができる。なお、
図10に示す貫通孔152及び153を形成する場合、ハーフトーン部530の部分を透過部520に置き換えたフォトマスクを用いればよい。
【0141】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る表示装置1の第2絶縁層150には、平面視において、下部電極310(第1電極層の一例)と重なる位置に第1絶縁層140側(Z軸マイナス側)に凹む有底の凹部154及び155が形成されており、第2対向部(例えば、第1電極部320a及び第2電極部320b)は、凹部154及び155の底面上に形成されていてもよい。
【0142】
これにより、第1電極部320a及び第2電極部320bと下部電極310との距離を近づけることができるので、保持容量Cs_addをより増加させることができる。また、第1電極部320a及び第2電極部320bと下層の信号線との間には、第2絶縁層150が存在する。よって、表示装置1は、第1電極部320a及び第2電極部320bが他の信号線とショートすることを抑制しつつ保持容量Csを増加させることができる。
【0143】
また、第2絶縁層150には、平面視において、下部電極310と重なる位置に第1絶縁層140側に貫通する貫通孔152及び153(凹部の一例)が形成されており、第2対向部は、第1絶縁層140上に直接形成されている。
【0144】
これにより、第1電極部320a及び第2電極部320bと下部電極310との距離を第1上部電極220と下部電極310との距離d2まで近づけることができるので、保持容量Cs_addをさらに増加させることができる。よって、表示装置1は、保持容量Csをさらに増加させることができる。
【0145】
また、第2対向部は、下部電極310と対向する第1部分と、凹部の内面(例えば、貫通孔152及び153の内面152a及び153a)に形成される第2部分とにより構成される。
【0146】
これにより、第2部分と下部電極310とにより容量が形成されるので、さらに保持容量Cs_addを増加させることができる。
【0147】
(実施の形態3)
以下では、本実施の形態に係る表示装置について、
図14及び
図15を参照しながら説明する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。本実施の形態では、画素回路11にVCC補助線410及びVCATH補助線420が形成されている場合について説明する。なお、
図14では、画素回路11にVCC補助線410及びVCATH補助線420の両方が形成されている例について図示しているが、VCC補助線410及びVCATH補助線420の少なくとも一方が形成されていればよい。
【0148】
[3-1.表示装置の構成]
図14は、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を模式的に示す平面図である。
図15は、
図14のXV-XV切断線で切断した、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11の構成を模式的に示す断面図である。
【0149】
図14及び
図15に示すように、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路11は、実施の形態1に係る画素回路11に加えて、VCC補助線410及びVCATH補助線420を備える。VCC補助線410は、第1補助線の一例であり、VCATH補助線420は、第2補助線の一例である。
【0150】
VCC補助線410は、正電源線VCCと電気的に接続され、表示エリア内での正電源電圧VCCの電圧ドロップを抑制するために画素回路11内に設けられる配線である。VCC補助線410は、例えば、正電源線VCCより低抵抗な金属配線である。例えば、VCC補助線410は、メタル配線である。また、VCC補助線410は、例えば、平面視において、データ信号線Vdat(
図14の例では、データ信号線Vdat
R)と少なくとも一部が重なるようにデータ信号線Vdatに沿って長尺状に形成されるが、データ信号線Vdatと重ならなくてもよい。VCC補助線410は、例えば、各画素に設けられる。
【0151】
VCATH補助線420は、金属層180と電気的に接続され、表示エリア内での負電源電圧VCATHの電圧ドロップを抑制するために画素回路11内に設けられる配線である。VCATH補助線420は、例えば、金属層180より低抵抗な金属配線である。例えば、VCATH補助線420は、メタル配線である。また、VCATH補助線420は、例えば、平面視において、データ信号線Vdat(
図14の例では、データ信号線Vdat
B)と少なくとも一部が重なるように、データ信号線Vdatに沿って長尺状に形成されるが、データ信号線Vdatと重ならなくてもよい。VCATH補助線420は、例えば、各画素に設けられる。
【0152】
このようなVCC補助線410及びVCATH補助線420は、第2絶縁層150上に形成され、VCC補助線410及びVCATH補助線420を備える画素回路11は、第4絶縁層200が形成される。VCC補助線410及びVCATH補助線420は、平面視において、下部電極310及び接続部330と重ならない位置に設けられる。
【0153】
そこで、VCC補助線410及びVCATH補助線420を備える画素回路11においては、追加の層を形成することなく、平面視においてVCC補助線410及びVCATH補助線420が形成されている領域以外の領域に第2上部電極320を形成することができる。
【0154】
データ信号線VdatRとVCC補助線410との距離をd4、データ信号線VdatRと第1電極部320a及び第2電極部320bとの距離をd5とすると、以下の(式6)が成り立つ。
【0155】
d4>d5 ・・・(式6)
【0156】
これにより、VCC補助線410の下層の絶縁層(第2絶縁層150)の厚みが厚いので、データ信号線VdatRとVCC補助線410とがショートすることを抑制することができる。つまり、データ信号線VdatRとVCC補助線410との間の絶縁性を保持することができる。
【0157】
なお、
図15にはVCATH補助線420は図示していないが、データ信号線Vdat
RとVCATH補助線420との距離も距離d4となる。
【0158】
なお、第2電極部320b及び第3電極部320cの少なくとも一部は、断面視において、VCC補助線410及びVCATH補助線420より下部電極310側(Z軸マイナス側)に設けられる。
【0159】
[3-2.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る表示装置1は、駆動トランジスタTDのドレイン電極に接続され、平面視において、長尺状に形成される正電源線VCCと、正電源線VCCと接続され、正電源線VCCより低抵抗なVCC補助線410(第1補助線の一例)とを備える。そして、VCC補助線410は、第2絶縁層150上に形成されていてもよい。また、本実施の形態に係る表示装置1は、発光素子ELのカソード電極と接続され、複数の画素を覆う金属層180(第4電極層の一例)と、金属層180と接続され、金属層180より低抵抗なVCATH補助線420(第2補助線の一例)とを備え、VCATH補助線420は、第2絶縁層150上に形成されていてもよい。
【0160】
これにより、VCC補助線410及びVCATH補助線420の少なくとも一方の補助線が設けられる表示装置1においては、当該少なくとも一方の補助線を形成するために設けられる第2絶縁層150上に第2上部電極320を形成することができる。つまり、表示装置1は、第2上部電極320を形成するための専用の絶縁層を備えなくてもよい。よって、オフリークによる輝度の変化を抑制することができる表示装置1を低コストで実現することができる。
【0161】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る表示装置について、各実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示に係る表示装置は、上記各実施の形態に限定されるものではない。各実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、各実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本実施の形態に係る表示装置を内蔵した各種機器も本開示に含まれる。
【0162】
例えば、第2絶縁層に形成される溝(保持容量を形成するための溝)は、一方が貫通溝であり、他方が有底の溝であってもよい。
【0163】
また、上記の本開示は、表示パネル単体として実現されてもよい。本開示は、電源及び制御部を備えていない構成で実現されてもよい。このような表示パネルは、2次元状に配置された複数の画素を備える表示パネルであって、複数の画素のそれぞれは、発光素子と、データ信号線を介して供給されたデータ信号を保持する保持容量と、データ信号に応じた電流を発光素子に供給する駆動トランジスタと、データ信号線と駆動トランジスタのゲート電極との間に接続された書き込みトランジスタであって、ソース電極及びドレイン電極の一方がデータ信号線と接続された書き込みトランジスタとを備える。保持容量は、駆動トランジスタのゲート電極、及び、書き込みトランジスタと接続される第1電極層と、第1電極層上に形成される第1絶縁層と、駆動トランジスタのソース電極と接続され、第1絶縁層上に第1電極層と対向して配置される第1電極部を有する第2電極層と、第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、駆動トランジスタのソース電極と接続され、少なくとも一部が第2絶縁層上に形成される第3電極層であって、第1電極層と対向して配置される第2電極部を有する第3電極層とにより形成される。そして、第1電極部と第2電極部とは、表示パネルの平面視において、互いに重ならない位置に設けられ、第1電極層は、第1電極部及び第2電極部を覆う。なお、制御部を構成するICは、表示パネルに実装されていてもよい。
【0164】
また、上記の本開示は、アクティブマトリクス基板単体として実現されてもよい。本開示は、電源、制御部及びEL層(例えば、発光層及び発光層を挟む電極層)を備えていない構成で実現されてもよい。このようなアクティブマトリクス基板は、2次元状に配置された複数の画素を備える表示装置に用いられるアクティブマトリクス基板であって、複数の画素のそれぞれを形成するための画素回路は、発光素子と、データ信号線を介して供給されたデータ信号を保持する保持容量と、データ信号に応じた電流を発光素子に供給する駆動トランジスタと、データ信号線と駆動トランジスタのゲート電極との間に接続された書き込みトランジスタであって、ソース電極及びドレイン電極の一方がデータ信号線と接続された書き込みトランジスタとを備え、保持容量は、駆動トランジスタのゲート電極、及び、書き込みトランジスタと接続される第1電極層と、第1電極層上に形成される第1絶縁層と、駆動トランジスタのソース電極と接続され、第1絶縁層上に第1電極層と対向して配置される第1電極部を有する第2電極層と、第1絶縁層上に形成される第2絶縁層と、駆動トランジスタのソース電極と接続され、少なくとも一部が第2絶縁層上に形成される第3電極層であって、第1電極層と対向して配置される第2電極部を有する第3電極層とにより形成される。そして、第1電極部と第2電極部とは、アクティブマトリクス基板の平面視において、互いに重ならない位置に設けられ、第1電極層は、第1電極部及び第2電極部を覆う。
【0165】
また、上記各実施の形態では、表示パネルは、トップエミッション構造型の表示パネルである例について説明したが、ボトムエミッション構造型の表示パネルであってもよい。
【0166】
また、上記各実施の形態における制御部及びデータドライバは、1つのICで実現されてもよいし、互いに異なるICにより実現されてもよい。
【0167】
また、上記各実施の形態における初期化トランジスタT1G及びT1Bの機能及び構成は、例えば、初期化トランジスタT1Rと同じであり、補償トランジスタT2G及びT2Bの機能及び構成は、例えば、補償トランジスタT2Rと同じであり、書き込みトランジスタT3G及びT3Bの機能及び構成は、例えば、書き込みトランジスタT3Rと同じであり、駆動トランジスタTDG及びTDBの機能及び構成は、例えば、駆動トランジスタTDRと同じであってもよい。
【0168】
また、上記各実施の形態における発光素子ELG及びELBの機能及び構成は、例えば、発光素子ELRと同じであってもよい。
【0169】
また、上記各実施の形態における保持容量CsG及びCsBの機能及び構成は、例えば、保持容量CsRと同じであってもよい。
【0170】
また、上記各実施の形態における表示装置は、カラー画像を表示する例について説明したが、これに限定されず、例えば、モノクロ画像を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示は、例えば、有機EL素子等を用いた表示装置に有用である。
【符号の説明】
【0172】
1 表示装置
10 表示モジュール
11 画素回路
11B、11G、11R サブ画素回路
12 表示パネル
13 ゲートドライバ
14 データドライバ
20 制御部
30 電源
110 基板
120 第1アンダーコート層
130 第2アンダーコート層
140 第1絶縁層
150 第2絶縁層
151 貫通孔
152、153 貫通孔(凹部)
152a、153a 内面
154、155 凹部
160 金属層
180 金属層(第4電極層)
170 発光層
190 第3絶縁層
200 第4絶縁層
220 第1上部電極(第2電極層)
310 下部電極(第1電極層)
310a 第1電極部
310b 第2電極部
310c、320c 第3電極部
310d 第4電極部(第1配線部)
320 第2上部電極(第3電極層)
320a 第1電極部(第2対向部)
320b 第2電極部(第2対向部)
330 接続部(第2配線部)
410 VCC補助線(第1補助線)
420 VCATH補助線(第2補助線)
500 フォトマスク
510 遮光部
520 透過部
530 ハーフトーン部
C コンタクト部
Cs、CsB、CsG、CsR、Cs_add、Cs_conv 保持容量
d1、d2、d3、d4、d5 距離
ELB、ELG、ELR 発光素子
INI 初期化信号線、制御信号
L 画素行
REF 参照信号線、制御信号
t1、t2、t3、t4、t5 時間
T1B、T1G、T1R 初期化トランジスタ
T2B、T2G、T2R 補償トランジスタ
T3B、T3G、T3R 書き込みトランジスタ
TDB、TDG、TDR 駆動トランジスタ
VCATH 負電源線、負電源電圧
VCC 正電源線(電源線)、正電源電圧
VdatB、VdatG、VdatR データ信号線、データ信号
WS 書き込み信号線、制御信号