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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097074
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】発泡成形容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/46 20060101AFI20230630BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20230630BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20230630BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B65D1/46
B65D1/26 120
B65D1/00 110
B65D77/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213221
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000239138
【氏名又は名称】株式会社エフピコ
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】無尽 俊之
【テーマコード(参考)】
3E033
3E067
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA14
3E033BA22
3E033BB08
3E033CA16
3E033DA08
3E033FA04
3E067AB01
3E067BA10A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB17A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA05
3E067CA06
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB27
3E067EE38
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E067GA11
3E067GD07
3E067GD08
(57)【要約】
【課題】トップシール用発泡成形容器においてフランジ部分が幅広になった場合であっても該フランジ部分の強度に優れ、容易に折れ曲がりや破断を生じることがなく、また、形状保持力が高いためにトップフィルム剥離時の剥離性にも優れる発泡成形容器を提供する。
【解決手段】底部2と該底部の外縁から上方に伸びる側壁部3と、該側壁部の上端から外側に向けて延出したフランジ4とを有する形状を有する発泡成形体1であって、前記フランジの上面が平滑面となっており、かつ、前記フランジの裏面に、その一部乃至全周に亘って連続する凹凸部6を有しており、並行して隣り合う凸部の中心間の長さ(p)が0.5~5mmの範囲である。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と該底部の外縁から上方に伸びる側壁部と、該側壁部の上端から外側に向けて延出したフランジとを有する形状を有する発泡成形容器であって、前記フランジの上面が平滑面となっており、かつ、前記フランジの裏面に、その一部乃至全周に亘って連続する凹凸部を有しており、並行して隣り合う凸部の中心間の長さ(P)が0.5~5mmの範囲であることを特徴とすることを特徴とする発泡成形容器。
【請求項2】
フランジ上面が平坦状である、請求項2記載の包装容器。
【請求項3】
容器開口部が平面視矩形であり、その側壁に繋がる前記凹凸形状が、該平面視側壁方向に対して略垂直方向に平行に筋状に形成されたものである請求項1~4の何れか一つに記載の発泡成形容器。
【請求項4】
容器開口部が平面視略矩形であり、その角部に繋がる前記凹凸形状が、平面視格子状の凹凸形状である請求項3記載の発泡成形容器。
【請求項5】
前記フランジの外端から外側下方へ向けて伸長するスカート部と、該スカート部下端から外方へ延出する薄肉部とを有する請求項2、3、又は4記載の発泡成形容器。
【請求項6】
フランジの厚さ(t)が1.0~3.5mmの範囲である請求項1~5の何れか一つに記載の発泡成形容器。
【請求項7】
前記フランジの裏面に形成された凹凸部における凸部の高さ(d)が、0.2~1mmである請求項6記載の発泡成形容器。
【請求項8】
前記フランジの裏面に形成された、隣接する凸条部の間の底部の幅が0.2~3.5mmの範囲である請求項7記載の発泡成形容器。
【請求項9】
フランジの上面平坦部の幅(L)が3mm以上のものである請求項1~8の何れか一つに記載の発泡成形容器。
【請求項10】
前記発泡成形体が、ポリスチレン系発泡基材と該基材に積層された熱可塑性非発泡フィルム層とから構成されている請求項1~9の何れか1つに記載の発泡成形容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トップシール用途に適する発泡成形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系樹脂発泡シートを真空熱成形や圧空熱成形等により成形した発泡成形容器は、お弁当やお惣菜を販売するための食品用包装容器としてスーパーやコンビニエンスストアなどで広く用いられている。
【0003】
斯かる発泡成形容器に関しては、近年、環境負荷軽減の観点からプラスチック製容器使用量の削減が社会的な要請となっており、更に食品の賞味期限を延ばし食品ロス削減のニーズが高まっていること、また、収容する食品鮮度を高く保持できる点から、所謂トップシール方式の蓋材を用い、容器本体に食品を収容後、容器本体のフランジに該蓋材をヒートシールするタイプの発泡成形容器が広く用いられるようになってきている。
【0004】
しかしながら、斯かるトップシール形の発泡成形容器は、食品の鮮度を高く保ち、プラスチック材の使用量を削減できるものの、容器本体全周に亘るフランジ面で均一なシール強度を実現することは難しく、部分的に強度不足の部位が生じてしまうことがあった。そのためシール後の商品運搬時や、商品の落下によって強度の脆弱部分から開封してしまう、といった問題があった。他方、全体的にシール強度を高めた場合には、開封が極めて困難なものとなり、無理やり力任せに開封した際に内容物が飛散してしまう、などの問題があった。
【0005】
そのため、従来より、トップシール形発泡成形容器において均一で適度なシール強度を発現させる手法として例えば、特許文献1には容器本体開口部の全周に亘り、平坦で幅4mm以上の幅広のフランジを設けることによりシール時のシール強度の均一性を改善した包装容器が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載のシール強度の均一性をある程度改善できるものの、フランジの幅が広くなるためにフランジ部分の強度が劣ることとなり、外部からの僅かな力によってフランジ部分が折れ曲がったり、フランジの根本が破断したりし易くなる他、トップシールを剥離する場合にも、フランジ部の形状保持力が弱いために剥離方向にフランジが追随して折れ曲がり、トップフィルムの剥離が困難な状態になりやすく、無理に剥離した場合には、容器内側表層に位置するラミネートフィルムも一緒に剥離されてしまう所謂袋化現象を招きやすい、といった問題を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6908969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明が解決しようとする課題は、トップシール用発泡成形容器において、フランジ部分を幅広に成形した場合であっても該フランジ部分の強度に優れ、容易に折れ曲がりや破断を生じることがなく、また、形状保持力が高いためにトップフィルム剥離時の剥離性にも優れる発泡成形容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、発泡成形体の開口周縁から外側に延出したフランジの裏面の一部乃至全周に連続する凸条リブを設けることによりフランジの機械的強度が飛躍的に高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、底部と該底部の外縁から上方に伸びる側壁部と、該側壁部の上端から外側に向けて延出したフランジとを有する形状を有する発泡成形容器であって、前記フランジの上面が平滑面となっており、かつ、前記フランジの裏面に、その一部乃至全周に亘って連続する凹凸部を有しており、並行して隣り合う凸部の中心間の長さ(P)が0.5~5mmの範囲であることを特徴とすることを特徴とする包装容器に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トップシール用発泡成形容器において、フランジ部分が幅広に成形した場合であっても該フランジ部分の強度に優れ、容易に折れ曲がりや破断を生じることがなく、また、形状保持力が高いためにトップフィルム剥離時の剥離性にも優れる包装容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の包装容器の平面図である。
図2図2は、図1におけるA-A’端面を模式的に表した端面図である。
図3図3は、図2の断面図のフランジ部分の拡大図である。
図4図4は、本発明の包装容器の底面図である。
図5図5は、図4におけるB-B’断面の拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の発泡成形容器は、底部と該底部の外縁から上方に伸びる側壁部と、該側壁部の上端から外側に向けて延出したフランジとを有する形状を有しており、前記フランジの上面が平滑面となっており、かつ、前記フランジの裏面に、その一部乃至全周に亘って連続する凹凸部(例えば、図5における凹凸部5)を、平行して隣り合う凸部の中心の間の長さ(P)(以下、「ピッチ」と略すことがある。例えば図5におけるピッチP)が0.5~5mmとなるように有するものである。
【0014】
このようなフランジ上面が平滑面であることから、トップシールする際のシール強度を十分に高めることができる。また、前記凹凸部における、平行して隣り合う凸部の中心間の長さ(P)が0.5~5mmの範囲であることから、該フランジ部分の強度が著しく高いものとなる。特にフランジ上部が平坦状のフランジとする場合には、周方向でフランジ高さに斑が生じやすい。この場合、この斑を吸収するためにフランジをより幅広にし、かつ、よりシール強度を高める必要がある。その結果、シールされたトップフィルムを剥がして開封する際に、剥離に相当な力を要することとなり、フランジ部分の剥離や破損を招きやすくなる。加えて、フランジのサイズが大きくなることから、シール後に落下するなど、外部からの力が加わったときに、折れ曲がりや破損が生じやすくなる。そのため周方向の単位長さあたり出来るだけ多くの該周方向を横切る連続凹凸部を設けることが望ましく、本発明では、前記した通り、平行して隣り合う凸部の中心間の長さ(P)が0.5~5mmとすることにより、堅牢な補強リブとして機能し、フランジを幅広に、さらに該フランジを薄く設計した場合であっても良好な強度を発現させることがでる。ここで、ピッチが5mmよりも長くなる場合には、ヒートシール時の凸部先端とバケットとの接触面積が小さくなって、ヒートシール時に当該凸部がつぶれ易くなってフランジの強度が低下することとなる。従って、ピッチのサイズはヒートシール時の強度低下を防ぎ、更に、ピッチサイズが小さくなることによる強度向上の効果が得られる点から特に0.5~3mm、なかでも0.5~2mmの範囲であることが好ましい。
【0015】
ここで、フランジ裏面に形成された凹凸形状は、直線的な筋状の凹凸形状であっても、直交する格子状の凹凸形状であってもよいが、容器開口部が平面視略矩形である場合は、その側壁に繋がる前記凹凸形状が、該平面視側壁方向に対して略垂直方向に平行に筋状に形成されていることが、強度向上の効果が良好なものとなる点から好ましい。
【0016】
また、容器開口部形状は円形、楕円形、矩形の何れであってもよいが、矩形状、特に曲線的に隅切りされた四角形状であることが本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
【0017】
本発明では、容器開口部が平面視略矩形である場合、その角部に繋がる前記凹凸形状は、平面視格子状の凹凸形状であること(例えば、図4における格子状凹凸部7)が、角部フランジの捻じれや、冷凍食品保存時に落下した場合の破断防止の点から好ましい。
【0018】
また、フランジ上面は、上方に膨出した曲面状であっても平坦状であってもよい。フランジ強度という観点からは曲面状であることが望ましいが、シール強度の点からは平坦状であることが望ましい。本発明では平坦状であっても優れたフランジ強度を発現することから、平坦状のフランジ表面を有することが好ましい。
【0019】
前記した通り、本発明では、シール性を高めるべくフランジ幅を広くした場合であってもフランジが折れ曲がったり、切断されたりすることがなく、またトップフィルム剥離時の形状安定性に優れる、という特徴を有するものであり、斯かる観点から前記したフランジ上面平坦部の幅(L)は3mm以上、なかでも3.5mm以上、特に4.5mm以上、更に5mm以上であることが好ましい。
【0020】
更に、図1の平面図のようにフランジの平面視コーナー部は直線部よりも幅広であってもよく、該コーナー部の平坦部では、7mm以上、好ましくは9mm以上であってもよい。
【0021】
また、本発明におけるフランジは、前記フランジの外端から外側下方へ向けて伸長するスカート部と、該スカート部下端から外方へ延出する薄肉部とを有する構造(例えば、図3参照)であることが該フランジの強度の点から好ましい。ここで、該スカート部外側表面の曲率半径(例えば、図3におけるスカート曲線部R1の曲率半径)は、4mm以下、特に3.5mm以下であることが該フランジ部分の強度に優れたものとなる点から好ましい。一方、前記平坦部から内側(内容物側)へ延びる表面の曲率半径(例えば、図3の内側曲線部R2の曲率半径)は、より小さくすることによりフランジ上面の平坦部をより大きくすることが可能となること、更に本発明ではかかる曲率半径を小さくしても優れたフランジ強度を発現できることから、6mm以下、特に5mm以下であることが好ましい。
【0022】
フランジの厚さ(t)は、特に限定されるものではないが、本発明では薄くなっても優れたフランジ強度を発現させることができるため、トップシール用途においてフランジの薄肉化が可能とある。斯かる観点から厚さ(t)は1~3.5mm、なかでも1~3mmの範囲であることが好ましい。
【0023】
また、前記フランジの裏面に形成された凹凸部における凸部の高さ(d)は、凹凸部を配設することによる強度向上効果と、ヒートシール性とのバランスに優れる点から、0.2~1mmの範囲であることが好ましい。
【0024】
本発明では上記のフランジ厚さを薄くしても優れた強度向上が得れる、という特徴を有するものであり、斯かる観点から、フランジ厚さ(t)に対する凸部の高さ(d)の比率[(t)/(d)]は1/6~1/8の範囲であることが好ましい。
【0025】
また、当該フランジの凸部先端部の幅(例えば図5における凸部幅α)は、前記したピッチ幅が確保される範囲で選択すればよいが、具体的には、0.2~3.5mm、なかでも0.5~2mmであることが好ましい。他方、隣接する凸条部の間の底部の幅(例えば図5における底部幅β)が0.2~3.5mm、なかでも0.5~2mmの範囲であることが、ヒートシール性と強度とのバランスが良好なものとなる点から好ましい。
【0026】
ここで、凸部先端部の凸部幅(α)に対する、隣接する凸条部の間の底部幅(β)は、2倍以下であることが強度の点から好ましく、一方、βに対するαも2倍以下であることがやはり強度の点から好ましい。なかでも、α(mm)を基準にしてβが+0.5mm~-0.5mmの範囲であることが強度の点から好ましく、特にαとβとはほぼ同等であることがもっとも好ましくい。
【0027】
また、前記凹凸形状が、容器本体の平面視側壁方向に対して略垂直方向に平行に筋状に形成されている場合、その凸部長さ(b)は、3~10mm、4~9mmの範囲であることが強度向上の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
【0028】
また、発泡成形体は、側壁部に縦方向のリブを有することが容器本体自体の強度が良好なものとなる点から好ましく、例えば、高さ方向に内向きに突起を持つ縦型リブや、図4におけるリブ9に示すような波形状の縦型リブが好ましい。
【0029】
斯かるフランジを有する発泡成形容器は、具体的には、ポリスチレン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体、ポリエステル系発泡体等、各種の発泡成形体であってよいが、特に強度と成形性とのバランスに優れる点からポリスチレン系発泡体であることが好ましい。
【0030】
本発明の発泡成形容器は、発砲基材に、該発泡基材の内容物を収容する内面側表面側に熱可塑性非発泡フィルムをラミネートされた構造を有するものであることが、フランジのシール面の平滑性が良好なものとなる点から好ましい。
【0031】
ここで、発泡成形容器としてポリスチレン系発泡体を使用する場合、その発砲基材は、ポリスチレン系発泡基材を使用できる。
【0032】
斯かるポリスチレン系発泡基材は、スチレン系樹脂組成物からなる発泡成形体であり、該スチレン系樹脂組成物としては、例えば、スチレン単独重合体(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、多分岐ポリスチレン、スチレン-アクリル系共重合体、スチレン単独重合体(GPPS)とポリフェニレンエーテルとを必須成分とする混合樹脂、又は、これらの混合物等があげられる。これらの中でも、スチレン単独重合体(GPPS)とポリフェニレンエーテルとを必須成分とする混合樹脂が好ましく、更に、該混合樹脂には、前記HIPSを含有させることが、耐熱性が良好となることに加え、とりわけ、冷凍食品包装用途において、低温環境下での耐衝撃性が良好なものとなる点から好ましい。ここで、スチレン単独重合体(GPPS)とポリフェニレンエーテルとを必須成分とする混合樹脂の場合、ポリフェニレンエーテルが1~40質量%となる割合で含有することが好ましい。
【0033】
前記ポリスチレン系発泡基材の発泡倍率は2~40倍の範囲であることが好ましく、とりわけ高耐熱性が求められる高発泡シートの場合、ポリスチレン系樹脂発泡シート層の発泡倍率10~40倍であることが好ましい。
【0034】
次に、該発泡基材の内容物を収容する内面側表面に熱可塑性非発泡フィルムは、スチレン系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルム、ガスバリアフィルム等が挙げられる。これらは単層フィルムとして、或いは2種以上の多層フィルムとして用いることができ、具体的な層構成としては、
例えば、
フィルム構造1:発泡体基材に対して、スチレン系樹脂フィルムを単体で熱ラミネーションした構造;
フィルム構造2:発泡体基材に対して、オレフィン系樹脂フィルムを、接着剤を介してラミネーションした構造;
フィルム構造3:オレフィン系樹脂フィルムにスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション接着剤を介して積層し、該スチレン系樹脂フィルム側を発泡体基材に熱ラミネーションした構造;
フィルム構造4:第1のオレフィン系樹脂とガスバリア層を構成する樹脂と第2のオレフィン系樹脂とを共押出して得られた積層フィルムの第2のオレフィン系樹脂層を接着剤を介して発泡体基材に積層した構造;
フィルム構造5:第1のオレフィン系樹脂とガスバリア層を構成する樹脂と第2のオレフィン系樹脂とを共押出して得られた積層フィルムの第2のオレフィン系樹脂層側にスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション接着剤を介して積層し、該スチレン系樹脂フィルム表面を発泡体基材に熱ラミネーションした構造
が挙げられる。
【0035】
これらのなかでも、発泡体基材がスチレン単独重合体の発泡体である場合には、
前記フィルム構造1:発泡体基材に対して、スチレン系樹脂フィルムを単体で熱ラミネーションした構造が成形体表面の平滑性に加え、発泡成形体を回収、再度食品トレーへのリサイクルが容易になる点から好ましい。
【0036】
また、トップフィルムをトップシールする際に内部を不活性ガス等でガス置換する場合には、ガスバリア層を設けることが好ましく、その場合、フィルム構造4:第1のオレフィン系樹脂とガスバリア層を構成する樹脂と第2のオレフィン系樹脂とを共押出して得られた積層フィルムの第2のオレフィン系樹脂層を接着剤を介して発泡体基材に積層した構造;フィルム構造5:第1のオレフィン系樹脂とガスバリア層を構成する樹脂と第2のオレフィン系樹脂とを共押出して得られた積層フィルムの第2のオレフィン系樹脂層側にスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション接着剤を介して積層し、該スチレン系樹脂フィルム表面を発泡体基材に熱ラミネーションした構造
が好ましい。
【0037】
また、発泡体基材がスチレン単独重合体(GPPS)とポリフェニレンエーテルとを必須成分とする混合樹脂である場合、
前記フィルム構造2:発泡体基材に対して、オレフィン系樹脂フィルムを、接着剤を介してラミネーションした構造;
前記フィルム構造3:オレフィン系樹脂フィルムにスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション接着剤を介して積層し、該スチレン系樹脂フィルム側を発泡体基材に熱ラミネーションした構造;
フィルム構造4:第1のオレフィン系樹脂とガスバリア層を構成する樹脂と第2のオレフィン系樹脂とを共押出して得られた積層フィルムの第2のオレフィン系樹脂層を接着剤を介して発泡体基材に積層した構造;
フィルム構造5:第1のオレフィン系樹脂とガスバリア層を構成する樹脂と第2のオレフィン系樹脂とを共押出して得られた積層フィルムの第2のオレフィン系樹脂層側にスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション接着剤を介して積層し、該スチレン系樹脂フィルム表面を発泡体基材に熱ラミネーションした構造が成形品表面の光沢や、耐油性が良好なものとなる点から好ましく、また、冷凍環境下であっても優れた耐衝撃性を発現できる点からオレフィン系樹脂フィルム又はこれを含む共押出フィルムを、スチレン系樹脂フィルムを介して発泡体基材に積層したフィルム構造3、及びフィルム構造5が特に好ましい。
【0038】
ここで、前記ポリスチレン系樹脂フィルムを構成するポリスチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、多分岐ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-αメチルスチレン共重合体などが挙げられるが、特にスチレン単独重合体(GPPS)であること、とりわけ二軸延伸ポリスチレンであることが好ましい。
【0039】
また、本発明では、フィルム構造1、フィルム構造3、及びフィルム構造5の様にスチレン系樹脂フィルムを発泡体基材に熱ラミネーションした場合には優れた接着性を発現するために好ましく、ガスバリア層を有する共押出フィルムを発泡体基材に接着させる場合は、フィルム構成4の接着剤を使用する場合よりもフィルム構成5のスチレン系樹脂フィルムを介して接着させる方が好ましい。
【0040】
次にオレフィン系樹脂フィルムを構成するオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン重合量が5質量%以下であるプロピレン-エチレンランダム共重合体、又は、プロピレン単独重合体とエチレン重合量が5質量%以下であるプロピレン-エチレンランダム共重合体との混合物等が挙げられる。これらのなかでもポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましく、特に表層にオレフィン系樹脂フィルムが位置する場合はポリプロピレンであることが耐油性、耐熱性の点から好ましい。また、容器への賦形性に優れる点から、無延伸ポリプロピレンであることが特に好ましい。
【0041】
ガスバリア層は、不活性ガス、酸素、水蒸気等の透過性が低いものであればよく、エチレン- ビニルアルコール共重合体、ポリアミドが挙げられる。
【0042】
これら熱可塑性非発泡フィルムから構成される層の厚さは、例えば、
前記フィルム構造1の場合、スチレン系樹脂フィルム層の厚さは、5~100μmの範囲であることが、表面平滑性と光沢が良好となる点から好ましい。
前記フィルム構造2の場合、オレフィン系樹脂フィルム層の厚さは、5~100μmの範囲であることが、表面平滑性と光沢が良好となる点から好ましい。
前記フィルム構造3の場合、オレフィン系樹脂フィルム層の厚さは、15~100μmの範囲であることが好ましい。すなわち、15μm以上とすることにより、耐油性に優れた容器とすることができる。また、100μm以下とすることにより、発泡体基材との密着性が良好なものとなる。特に、これらの性能バランスに優れる点から中でも20~50μmの範囲であることが好ましい。一方、ポリスチレン系樹脂フィルム層の厚みは10~40μmの範囲、特に10~17μmの範囲であることが発泡体基材との密着性と表面平滑性とのバランスに優れる点から好ましい。
【0043】
前記フィルム構造4・フィルム構造5の場合、第1のオレフィン系樹脂フィルム層の厚さは、共押出フィルム層全体の厚みで20~150μmの範囲であることが好ましい。
また、前記フィルム構造5の場合におけるスチレン系樹脂フィルム層の厚さは10~40μmの範囲、特に10~17μmの範囲であることが発泡体基材との密着性と表面平滑性とのバランスに優れる点から好ましい。
【0044】
また、熱可塑性非発泡フィルムを用いた場合、包装容器のフランジ上面は適度に平滑性に優れたものとなり、その表面粗度(Ra)が3μm以下であることが好ましい。ここで、表面粗度(Ra)とは、基準長さにおける算術平均粗さをいい、例えば、成形容器の底面部の内面側表面をJIS B0601-2013に準拠して、キーエンス製レーザー顕微鏡(VK-X200series)を用いて拡大倍率1000倍で測定し、評価長さを2000μm、カットオフλsを2.5μm、カットオフλcを0.25mmとして算出することができる。
【0045】
上記した包装容器は、発泡成形容器としてポリスチレン系発泡体を使用する場合、ポリスチレン系発泡シートと、熱可塑性非発泡フィルムの単層フィルム又はこれを含む多層フィルム(以下、「非発泡フィルム」と略記する。)とを積層して複合シートとする工程1、次いで得られた複合シートを所定の形状に賦形して成形体とする工程2を経て得ることができる。
【0046】
工程1のポリスチレン系発泡シートと非発泡フィルムとを積層する手段としては、サーマルラミネート、ドライラミネートする方法、或いはポリスチレン系樹脂を発泡押出してシート状に形成しながら、ラミネートさせる押出ラミによって貼合させる方法が挙げられる。 次いで、工程2は、工程1で得られた複合シートを熱成形することにより所望の容器形状に賦形する工程である。成形方法は定法によればよく、例えば、片面真空成形、或いは両面真空成形によって成形させることができるが、フランジ表面の平坦部を大きくするには両面成形にて成形することが好ましい。
【0047】
更に、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの坪量は、好ましくは90~400g/mであり、より好ましくは100~350g/mである。
【0048】
前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの厚みは、好ましくは0.5~4mmであり、より好ましくは1~3mmの範囲である。
【0049】
以上詳述した本発明の包装容器は、内容物である食品を収容後、トップフィルムをヒートシールすることにより、食品包装することができる。この際、前記した様に、包装容器にガスバリア層を設けている場合には、食品収容後、内部をガス置換し、トップシールすることが可能である。
【0050】
ここで使用されるトップフィルムとしては、界面剥離タイプ、層間剥離タイプ、凝集剥離タイプの何れであってもよいが、包装容器表面との密着性、密閉性に優れる点から層間剥離タイプ、凝集剥離タイプであることが好ましい。
かかる層間剥離タイプ、凝集剥離タイプのトップフィルムは、具体的は、基材フィルム上に凝集剥離層又は層間剥離層を有するものであればよく、少なくとも2層以上の多層構造であればよい。なかでも基材フィルム/支持フィルム/凝集剥離層(又は層間剥離層)の順に積層された多層フィルムであることが好ましい。
【0051】
ここで、基材フィルムとしては各種のスチレン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂を使用することができるが、とりわけ剛性の点からナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。基材フィルムの厚さは、例えば、5~20μmの範囲である。
【0052】
前記支持フィルムとしては、凝集剥離層又は層間剥離層との親和性の高い樹脂材料を適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。斯かる支持フィルムの厚さは、1層で用いる場合は20~60μm、2層で用いる場合は合計で20~60μmとなる範囲であることが好ましい。
【0053】
以上詳述した包装容器と、トップフィルムとは任意に組み合わせて使用することができるが、発泡体基材として、スチレン単独重合体(GPPS)とポリフェニレンエーテルとの混合物をポリスチレン系発泡基材とし、前記フィルム構造3(オレフィン系樹脂フィルムにスチレン系樹脂フィルムをドライラミネーション接着剤を介して積層し、該スチレン系樹脂フィルム側を発泡体基材に熱ラミネーションした構造)を有するものを用い、かつ、トップフィルムとして、凝集剥離層を有する多層フィルムを用いた場合、低温環境下における衝撃強度に優れたものなるため好ましい。具体的には、-30℃ほどの冷凍環境下で、落下や外部からの衝撃に対しても割れやシール部の破壊が生じることがなく、冷凍食品包装用途に特に適する。
【0054】
包装容器にトップフィルムをヒートシールする方法としては、当該包装容器に食品を収容後、トップフィルムを剥離層側が包装容器のフランジに接するように被せ、フランジ上方から熱板を押し付けてヒートシールすることによって得られる。
【0055】
ここで、ヒートシールする際のシール幅は特に限定されるものではないが、包装容器のフランジ上面のサイズに合わせて適宜選択することができる。例えば平坦状である場合には、3.5~10mmの範囲が挙げられる。
【0056】
ヒートシールする際の温度条件は、100~200℃の中から所望のシール強度となる温度条件を適宜選択することができる。すなわち、食品包装用途において、用途に応じて所望のシール強度が要求されるところ、通常、シール温度が高くなるに従い、シール強度も強くなる為、上記温度範囲において、求められるシール強度においてシール温度を設定することができる。斯かるシール強度の調整という観点からは、シール温度変化に対するシール強度の追随性に優れ、設計の自由度が高くなる点から、凝集剥離層を有するトップシール用蓋材がとりわけ好ましい。
【0057】
以下、本発明の包装容器の一実施態様を図面に基づき説明する。
【0058】
本実施態様は、図1における容器本体1で表されるものであり、平面視で角部を隅丸状とした四角形状の底部2と、該底部2の外縁から上方に伸びる側壁部3と、該側壁部の上端から外側に向けて延出したフランジ4とを有する発泡成形体である。ここで側壁部3には上下方向に伸びる波形状のリブ9が設けられている。
ここで底部2の中央には、電子レンジで加熱する際の熱伝導性を高めるべく上げ底部7を有している。
フランジ部4はその上面が平滑面となっており、かつ、前記フランジの裏面には、側壁方向に対して垂直な向きに伸びる凸条リブ6が所定ピッチ(p)で形成されている。
また、フランジ裏面の4つの角部には、平面視格子状の凹凸形状8が形成されている。
フランジ4の上部には、平坦部を形成しており、更に、その外端から外側下方へ向けて伸長するスカート部と、該スカート部下端から外方へ延出する薄肉部5とを有する。
また該薄肉部5の上面には、取扱の際の切傷防止等安全性の観点から端面側から見て波状の凹凸形状を有することが好ましい。
【0059】
また、容器本体1は、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合樹脂の発泡体であり、該発泡体の内容物側表面には、ポリプロピレンフィルムにポリスチレンフィルムをドライラミネートし、該ポリスチレンフィルム側が熱ラミネートされた構造を有している。
【符号の説明】
【0060】
1・・・容器本体
2・・・底部
3・・・側面
4・・・フランジ
5・・・薄肉部
6・・・凹凸部
7・・・上底部
8・・・格子状凹凸部7
9・・・縦リブ
L・・・フランジ上面平坦部の幅
b・・・凸部長さ
d・・・凸部の高さ
t・・・フランジ厚さ
R1・・スカート曲線部
R2・・内側曲線部
P・・・ピッチ
α・・・凸部幅
β・・・底部幅

図1
図2
図3
図4
図5