(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097094
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
B43K 27/08 20060101AFI20230630BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B43K27/08
B43K8/02 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213251
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】柏木 則子
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA19
2C350HC01
2C350NA17
2C350NC02
2C350NC20
2C350NC29
2C353KA12
2C353KA19
(57)【要約】
【課題】2つの線の間に大きな隙間が形成されない二重線を一筆で描画可能であり、長期間に亘って安定して二重線の描画が可能な塗布具を提供する。
【解決手段】
塗布体部を有し、塗布体部を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具において、塗布体部の少なくとも一つは、並設された第一塗布体部16と第二塗布体部17を含んで形成されたものとする。第二塗布体部17は、細軸部53cと、細軸部53cよりも太く形成される太軸部54を有し、細軸部53cは、第二塗布体部17の先端側部分であり、且つ、太軸部54の先端側に隣接する位置に形成されたものとする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布体部を有し、前記塗布体部を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具であって、
前記塗布体部の少なくとも一つは、並設された第一塗布体部と第二塗布体部を含んで形成され、
前記第二塗布体部は、細軸部と、前記細軸部よりも太く形成される太軸部を有し、
前記細軸部は、前記第二塗布体部の先端側部分であり、且つ、前記太軸部の先端側に隣接する位置に形成されていることを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記第二塗布体部は、前記細軸部と前記太軸部の境界部分に形成された段差である第一段差部を有することを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記第一塗布体部は、前記第二塗布体部の少なくとも一部を収容可能な収容溝部が形成されており、
前記収容溝部は、内部に形成された段差である溝側段差部を有し、
前記第一段差部と前記溝側段差部とが互いに接触することを特徴とする請求項2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記第二塗布体部は、基端側軸部を有し、前記基端側軸部は、前記太軸部と隣接する位置に形成され、前記太軸部と前記基端側軸部の順に先端側から並んでおり、
前記第二塗布体部は、前記太軸部と前記基端側軸部の境界部分に形成された段差である第二段差部を有し、
前記第一塗布体部の一部と、前記第二塗布体部の一部とが収容される先栓部材をさらに有し、
前記第二段差部が前記先栓部材に形成された段差部分と互いに接触することを特徴とする請求項3に記載の塗布具。
【請求項5】
先栓部材を有し、
前記先栓部材は、前記第一塗布体部の一部と、前記第二塗布体部の一部とが収容される先端側収容部を有し、前記第一塗布体部の先端側部分と前記第二塗布体部の先端側部分はいずれも前記先端側収容部よりも先端側に位置しており、
前記先栓部材は、前記先端側収容部よりも先端側に第一突起部と第二突起部を有しており、
前記第一突起部と前記第二突起部は、いずれも先端側に向かって突出する部分であり、
前記第一塗布体部の先端側部分の側方に前記第一突起部が位置し、前記第二塗布体部の先端側部分の側方に前記第二突起部が位置していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵された塗布液をペン先等の塗布体に供給する塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
所謂マーキングペンのように、フェルトや合成樹脂等で作られたペン先チップを有する塗布具が広く知られている。このような塗布具として、一度の筆運びで(一筆で)二重線を引くことが可能な塗布具がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、別途成形された二つのペン先部を有するマーキングペンが開示されている。このマーキングペンは、幅広線を描画するペン先部(以下、幅広ペン先部とする)と、幅狭線を描画するペン先部(以下、幅狭ペン先部とする)を有する。そして、これら二つのペン先部の先端位置が面一となるように、二つのペン先部が並べて配置されている。
【0004】
このマーキングペンは、幅広ペン先部の先端部分と幅狭ペン先部の先端部分の間に隙間が形成されている(特許文献1の第1図等参照)。このことから、紙面等に描線を引くと、引かれた描線は、間隔を開けて平行に延びた二つの線となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、市場では、従来のマーキングペンのように2つの線の隙間が大きな二重線を一筆で描画可能なマーキングペンの他、2つの線の間に隙間が無い、又は、2つの線の間に形成される隙間が微細で目立たない二重線を一筆で描画可能なペンが望まれていた。
そこで、本発明者は、幅狭ペン先部を細く形成して幅広ペン先部に幅狭ペン先部を近づけ、2つの線の隙間が微細で目立たない二重線を描画可能にすることを考えた。しかしながら、幅狭ペン先部を細く形成した場合、マーキングペンを使用し続けることで幅狭ペン先部が破損したり、幅狭ペン先部が位置ずれしたりする等の問題が発生してしまった。すなわち、幅狭ペン先部の全体を細くすると、幅狭ペン先部の強度が不十分になってしまうという問題や、位置ずれし易くなってしまうという問題が生じてしまう。この問題は、マーキングペンを一定以上長く使用することでより顕著に発生してしまう。
【0007】
そこで本発明は、2つの線の間に大きな隙間が形成されない二重線を一筆で描画可能であり、長期間に亘って安定して二重線の描画が可能な塗布具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、塗布体部を有し、前記塗布体部を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具であって、前記塗布体部の少なくとも一つは、並設された第一塗布体部と第二塗布体部を含んで形成され、前記第二塗布体部は、細軸部と、前記細軸部よりも太く形成される太軸部を有し、前記細軸部は、前記第二塗布体部の先端側部分であり、且つ、前記太軸部の先端側に隣接する位置に形成されていることを特徴とする塗布具である。
【0009】
本様相によると、第一塗布体部の先端側部分と第二塗布体部の先端側部分を近接させて2つの線の間に大きな隙間が形成されない二重線を一筆で描画することが可能であり、且つ、第二塗布体部に十分な強度を発揮させることができる。
【0010】
上記した様相は、前記第二塗布体部は、前記細軸部と前記太軸部の境界部分に形成された段差である第一段差部を有することが好ましい。
【0011】
かかる様相によると、第一段差部を他部材に当接させることで第二塗布体部の位置ずれの発生をより確実に抑制できる。
【0012】
上記した様相は、前記第一塗布体部は、前記第二塗布体部の少なくとも一部を収容可能な収容溝部が形成されており、前記収容溝部は、内部に形成された段差である溝側段差部を有し、前記第一段差部と前記溝側段差部とが互いに接触することが好ましい。
【0013】
かかる様相によると、第二塗布体部の位置ずれの発生をより確実に抑制できる。
【0014】
上記した好ましい様相は、前記第二塗布体部は、基端側軸部を有し、前記基端側軸部は、前記太軸部と隣接する位置に形成され、前記太軸部と前記基端側軸部の順に先端側から並んでおり、前記第二塗布体部は、前記太軸部と前記基端側軸部の境界部分に形成された段差である第二段差部を有し、前記第一塗布体部の一部と、前記第二塗布体部の一部とが収容される先栓部材をさらに有し、前記第二段差部が前記先栓部材に形成された段差部分と互いに接触することがさらに好ましい。
【0015】
かかる様相によると、より第二塗布体部が位置ずれし難い構造とすることができる。
【0016】
上記した様相は、先栓部材を有し、前記先栓部材は、前記第一塗布体部の一部と、前記第二塗布体部の一部とが収容される先端側収容部を有し、前記第一塗布体部の先端側部分と前記第二塗布体部の先端側部分はいずれも前記先端側収容部よりも先端側に位置しており、前記先栓部材は、前記先端側収容部よりも先端側に第一突起部と第二突起部を有しており、前記第一突起部と前記第二突起部は、いずれも先端側に向かって突出する部分であり、前記第一塗布体部の先端側部分の側方に前記第一突起部が位置し、前記第二塗布体部の先端側部分の側方に前記第二突起部が位置していることが好ましい。
【0017】
かかる様相によると、線を描画する際にペン先側に力が加わることに起因する第一塗布体部及び第二塗布体部の位置ずれの発生をより確実に抑制できる。
【0018】
上記した様相は、前記第一塗布体部は、一の側面部分の一部から先端部分を経て他の側面部分の一部に至る先端側曲面部を有し、前記先端側曲面部から前記第二塗布体部の先端部分までの距離が0.5mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、2つの線の間に大きな隙間が形成されない二重線を一筆で描画可能であり、長期間に亘って安定して二重線の描画が可能な塗布具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る塗布具を示す斜視図である。
【
図4】
図3の第一ペン先部材を異なる方向からみた斜視図である。
【
図5】
図3の第一ペン先部材を示す側面図であり、(a)~(c)はそれぞれ異なる方向からみた様子を示す。
【
図6】
図3の第一ペン先部材を示す縦断面図である。
【
図7】
図3の第一ペン先部材を示す図であり、(a)は、前側からみた正面図であり、(b)は後側からみた背面図である。
【
図8】
図2の第二ペン先部材を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【
図9】
図2の第一ペン先部の周辺を拡大して示す断面図である。
【
図10】
図2の先栓部材を示す図であって、(a)は前方側からみた斜視図であり、(b)は後方側からみた斜視図である。
【
図12】
図10(a)で示す先栓部材の第一支持突起部及びその周辺を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【
図13】(a)は、
図2の先栓部材を後方側からみた断面斜視図であり、(b)は、
図2の先栓部材を前方側からみた断面斜視図である。
【
図14】(a)は、
図2の先栓部材を前側からみた正面図であり、(b)は、
図9の先栓部材を後側からみた背面図である。
【
図15】
図2の先栓部材と、第一インキ吸蔵体及び第二インキ吸蔵体の横断面を示す断面図である。
【
図16】
図2の塗布具を前方からみた様子を模式的に示す説明図である。
【
図17】
図2の塗布具の第一ペン先部の周辺を示す斜視図である。
【
図18】
図2の塗布具の第一ペン先部の周辺を示す側面図である。
【
図19】
図2の塗布具の第一ペン先部を塗布対象物に接触させた様子を示す説明図である。
【
図20】
図1の塗布具で塗布対象物に二重線を引く様子を模式的に示す説明図である。
【
図21】左図は、第一ペン先部で二重線を引く際に塗布対象物に塗布液を塗布する部分を示す説明図であり、右図は、左図で示す部分で塗布液を塗布して描画する多重線を模式的に示す図であって、(a)、(b)は、塗布具を立てた状態と、塗布具を寝かせた状態を示す。
【
図22】
図2の塗布具の第一ペン先部を塗布対象物に接触させ、塗布具を立てた姿勢とした際の第一ペン先部の周辺を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書における塗布具は、フェルトペン、ラインマーカー、白板マーカー等の筆記具や、インキ等の液状のものを紙面や白板等の任意の対象物に塗り付ける用具を含む。
【0022】
本実施形態の塗布具1は、
図1で示されるように、本体筒2(軸筒)と、第一ペン先部3(塗布体部)と、第二ペン先部4(塗布体部)を有する。つまり、この塗布具1は、本体筒2の長手方向の両端それぞれにペン先部分(第一ペン先部3、第二ペン先部4)を有しており、本体筒2の両側が共に使用可能な塗布具1である。つまり、長手方向の両側に設けられたいずれのペン先部分でも塗布液の塗布が可能である。
なお、以下の説明において「前後」の関係は、特に説明のない限り、第一ペン先部3側を前側とし、第二ペン先部4側を後側として説明する。
【0023】
本体筒2の長手方向における片側端部(前側端部)は開放端であり、先栓部材5が取り付けられている。また、塗布具1の内部には、
図2で示されるように、第一インキ吸蔵体6(塗布液吸蔵体)と、第二インキ吸蔵体7(塗布液吸蔵体)から構成される2つのインキ吸蔵体が収容されている。
【0024】
本体筒2は、
図1、
図2で示されるように、概形が略円筒状となる中空の部材であり、ペン軸(本体軸)を形成する軸筒となる。そして、
図2で示されるように、長手方向の全体に亘って内部空間(収容空間)が形成されている。なお、本体筒2の長手方向は、塗布具1の長手方向であり、前後方向でもある。
【0025】
第一ペン先部3は、第一ペン先部材16(第一塗布体部)と、第二ペン先部材17(第二塗布体部)からなる複数のペン先部材によって構成されている。このことから、第一ペン先部3は、平行に延びる二つの線を描くことができる(詳しくは後述する)。
【0026】
第一ペン先部材16は、プラスチック粉末等の粉末に熱をかけて形成した焼結芯(ポーラス体)であり、連続気孔を有する多孔質体である。すなわち、毛細管現象によりインキ(塗布液)を吸い込み、ペン先側(前側)へ移動させることが可能な部材である。
【0027】
本実施形態の第一ペン先部材16は、
図3で示されるように、ペン先を形成するペン先形成部20(先端側部分)と、その後方側に位置する基端側部21(基端側部分)を有する。そして、ペン先形成部20は、弾性変形可能であり、且つ、後側の部分である基端側部21よりも変形し易くなっている。
具体的には、ペン先形成部20の原料となる焼結用粉末を第一焼結用粉末とし、基端側部21の原料となる焼結用粉末を第二焼結用粉末としたとき、第一焼結用粉末が第二焼結用粉末よりも粒子径が小さい粉末となっている。なお、ここでいう「粒子径が小さい」とは、それぞれから同数(所定数N)だけ無作為に取り出した粒子の平均粒子径が小さいことをいう。
また、ペン先形成部20と基端側部21とでは、原料となる焼結用粉末の疎密度が異なる。なお、ここでいう「疎密度」とは、粒子の疎密状態をいい、例えば、粒子が密集した状態であれば密となり、粒子がまばらな状態であれば疎となる。ペン先形成部20と基端側部21を比較すると、ペン先形成部20が基端側部21に比べて密であり、粒子同士の中心間距離の最大値が小さい。
以上のことから、本実施形態の第一ペン先部材16は、ペン先形成部20が基端側部21よりも変形し易く、柔らかい筆記感となる。
【0028】
なお、本実施形態の第一焼結用粉末は、同じ材料(材質)で粒子径の大きさが異なる複数種類(2~3種類)の粉末を混ぜたものとしている。第二焼結用粉末もまた、同じ材料(材質)であり、粒子径の大きさで分けられる複数種類の粉末を混ぜたものとしている。
ここで、第一焼結用粉末、第二焼結用粉末とは、同じ材料の粉末でもよい。例えば、第一焼結用粉末を粉末α1、粉末α2を混ぜたものとし、粉末α1、粉末α2は、いずれも材料αの粉末であって粒子径が異なるものとする。このとき、第二焼結用粉末もまた、粉末α1、粉末α2を混ぜたものとしてもよい。第一焼結用粉末における粉末α1と粉末α2の割合と、第二焼結用粉末における粉末α1と粉末α2の割合を異なる割合とすることで、全体として異なる粉末とすればよい。
すなわち、焼結用粉末は、1種類の粉末、又は、2種類以上の粉末を混ぜたものでもよい。そして、2種類以上の粉末を混ぜたものとするとき、それぞれの粉末は同じ材料で粒子径の大きさが異なるものでもよい。また、第一焼結用粉末と第二焼結用粉末のそれぞれを構成する粉末の数は、同数であってもよく、異なっていてもよい。例えば、上記のようにそれぞれが2種類の粉末(粉末α1、粉末α2)によって構成されていてもよく、一方が1種類の粉末で構成され、他方が3種類の粉末で構成されていてもよい。
【0029】
また、第一ペン先部材16の全体形状に注目すると、
図3で示されるように、ペン先側部22(先端側部)と、中間部23と、後方側細軸部24(基端側部)に区画される。ペン先側部22は、上記したペン先形成部20を含んで形成される部分であり、比較的変形し易い部分となっている。
【0030】
ペン先側部22は、
図3、
図5(a)で示されるように、先端面部28(先端面部分であり、先端側曲面部)と、2つの傾斜面部29と、側方湾曲面部30(第一塗布体側湾曲部)と、第一連結部31と、第二連結部32を有する。
なお、第一連結部31は、先端面部28及び2つの傾斜面部29と、側方湾曲面部30の間に位置する部分である。また、第二連結部32は、先端面部28及び2つの傾斜面部29と、収容溝部35(詳しくは後述する)の間に位置する部分である。
このペン先側部22は、全体として、前側(ペン先側)に向かうにつれて、塗布方向X(
図7(a)の左右方向)の長さが短くなるように形成されている(
図5(b),
図5(c)参照)。なお、この塗布方向Xは、水平方向のうちの一方向であり、目的とする線(多重線であり、本実施形態では二重線)を描画するときに塗布具1を移動させる方向(
図20等参照)である。
【0031】
先端面部28は、
図3等で示されるように、先端側に位置する湾曲面部分である。すなわち、上記した塗布方向X(
図7(a)等参照)における一方側の側方から、先端部分を経て、逆側の側方までの間で一部が湾曲しつつ延びている。すなわち、この先端面部28は、前方に向かって丸みを帯びて凸となる形状となっている。
また、先端面部28は、
図3等で示されるように、側方湾曲面部30側の端部が収容溝部35側の端部よりも前方(
図3では上方)に位置している。すなわち、先端面部28は、側方湾曲面部30側に向かうにつれて前方に向かうように、斜め方向に延びた部分でもある。
【0032】
傾斜面部29は、
図3、
図5(c)等で示されるように、塗布方向Xで離れた位置にそれぞれ一つずつ形成されており、いずれも前端側の部分が先端面部28と連続している。
この傾斜面部29は、
図3、
図5(c)等で示されるように、後方側に向かうにつれて塗布方向Xで外側に向かうように傾斜した傾斜面部分である。加えて、この傾斜面部29は、側方湾曲面部30側から収容溝部35側に向かうにつれて、塗布方向Xで内側に向かうように傾斜した傾斜面部分でもある。
【0033】
側方湾曲面部30は、
図3、
図5(a)等で示されるように、収容溝部35とは逆側に位置する部分であり、ペン先側部22の側面の一部となる湾曲面部分を形成する。具体的には、
図7(a)で示されるように、前側(ペン先側)からみた平面視で外側に凸となる湾曲面部分であり、第一ペン先部材16の周方向に延びる湾曲面部分を形成する。
この側方湾曲面部30は、
図5(b)で示されるように、収容溝部35とは逆側からみた平面視において、略三角形状となる湾曲面部分である。すなわち、後方側(
図5(b)では右側)に向かうにつれて、幅方向(第一ペン先部材16の周方向)における長さが長くなっている。
なお、「収容溝部35とは逆側からみた平面視」は、前後方向及び塗布方向Xと直交する方向を視線方向とした平面視である。この「前後方向及び塗布方向Xと直交する方向」は、
図5(b)の手前奥方向であり、以下、直交方向とも称す。この直交方向は、第一ペン先部材16と第二ペン先部材17の並列方向でもある。
【0034】
すなわち、側方湾曲面部30は、塗布方向Xにおける一方側の側方から、収容溝部35が形成された側面とは逆側の側面部分を経て、塗布方向Xにおける他方側の側方まで延びる部分となっている。
この側方湾曲面部30は、
図5(a)で示されるように、前方側に向かうにつれて収容溝部35側(
図5(a)の下方側)へ緩やかに曲がりつつ延びる部分でもある。すなわち、前後方向と直交する方向(直交方向)で内側に向かって延びる部分でもある。
【0035】
第一連結部31は、丸みを帯びた角部分を形成しつつ延びる部分である。すなわち、湾曲面(R面)を形成しつつ延びる部分となっている。この第一連結部31は、
図5(a)、
図5(b)で示されるように、塗布方向Xの一方側における後方から前方に延び、前方で折り返して塗布方向Xの他方側における後方まで山なりに延びる部分でもある。このとき、前端側に向かうにつれて幅が太くなるように形成されている。
【0036】
第二連結部32は、
図3、
図5(a)で示されるように、前側(
図5(a)では左側)の部分が、後側の部分よりも側方湾曲面部30側に位置している。第二連結部32の前側部分は、
図3等で示されるように、丸みを帯びた角部分を形成しつつ延びる部分となっている。すなわち、湾曲面(R面)を形成しつつ延びる部分であり、前方に向かって凸となるように山なりに延びている(
図5(c)等参照)。
そして、第二連結部32の後側部分もまた、傾斜面部29と隣接する部分、収容溝部35と隣接する部分のそれぞれに、丸みを帯びた角部分を形成しつつ延びる部分を有している。
【0037】
中間部23は、
図3等で示されるように、概形が略円柱状となる部分である。中間部23の側面は、その大部分(50パーセント以上の部分)が第一ペン先部材16の周方向に連続する湾曲面部分である中間湾曲面部23a(第一塗布体側湾曲部)となっている。詳細には、側面のうち、収容溝部35が形成されている部分と、その隣接部分を除いた大部分が中間湾曲面部23aとなっている。
【0038】
ここで、本実施形態の第一ペン先部材16は、
図3等で示されるように、凹溝である収容溝部35を有する。この収容溝部35は、ペン先側部22と中間部23に跨って形成される溝であり、前後方向に延びている。
詳細には、収容溝部35は、直交方向(前後方向、塗布方向Xと直交する方向)で内側に窪む溝であり、ペン先側部22に形成された収容溝先端側部35aと、中間部23に形成された収容溝基端側部35bを有する。
【0039】
収容溝先端側部35aと収容溝基端側部35bは、
図3等で示されるように、前後方向(
図3では上下方向)で前方からこの順で並んでおり、一連の溝である収容溝部35を形成している。収容溝部35は、ペン先側部22の前端近傍から中間部23の後端近傍までの間で直線状に延びる溝となっている。
【0040】
収容溝先端側部35aの先端側部分(前側部分)では、
図3等で示されるように、先端側(前方)に向かうにつれて溝幅が狭くなるように形成されている。また、この収容溝先端側部35aの先端側部分では、
図3、
図6で示されるように、先端側に向かうにつれて溝壁の長さが短くなる。すなわち、収容溝先端側部35aの先端側部分は、横断面の形状が円弧状となり、各部の横断面の形状は、先端側に向かうにつれて円弧の長さが短くなる(詳細な図示を省略する)。
【0041】
また、収容溝先端側部35aの基端側部分(後側部分)と、収容溝基端側部35bは、
図3、
図4、
図7で示されるように、いずれも横断面の形状が円弧状(略半円状)となる溝であって、溝壁部分と溝底部分が湾曲面を形成している。
詳細には、
図7(b)等で示されるように、収容溝先端側部35aの基端側部分の溝幅は、収容溝基端側部35bの溝幅よりも短く、収容溝先端側部35aの基端側部分が収容溝基端側部35bよりも浅い溝となっている。すなわち、収容溝先端側部35aの基端側部分の溝底部分は、収容溝基端側部35bの溝底部分よりも直交方向(
図7(b)では上下方向)で外側に位置する。
【0042】
ここで、収容溝部35の中途部分であり、収容溝先端側部35aと収容溝基端側部35bの境界となる部分には、
図4、
図6等で示されるように、段差部分である収容溝内段差部37(溝側段差部)が形成されている。
【0043】
後方側細軸部24は、
図3、
図4等で示されるように、中間部23の後端面(基端側の部分)から後方に延びた棒状体であり、後端側に向かうにつれて細くなる。すなわち、後端側に向かうにつれて横断面の面積が小さくなり、後端面の面積が各部の横断面の面積よりも小さくなっている。
この後方側細軸部24は、
図7(b)で示されるように、中間部23の周縁部分のいずれの部分からも内側から離れた位置に形成されている。すなわち、中間湾曲面部23a及び収容溝部35のそれぞれから内側に離れた位置に形成されている。
【0044】
第二ペン先部材17は、
図8等で示されるように、棒状のペン先チップである。具体的には、前端側(ペン先側)から順に先端側部53、太軸部54、基端側部55(基端側軸部)が並列しており、これらが一体となって形成されている。
【0045】
先端側部53は、前端側に位置する略半球状の先端接触体部53aと、その後方側に隣接するテーパ部53bと、さらにその後方側に隣接する先端側細軸部53c(細軸部)を有する。
テーパ部53bは、概形が略円錐台状となる部分であり、後方側に向かうにつれて拡径している。つまり、後方に向かうにつれて太くなっていく(横断面の面積が大きくなっていく)。先端側細軸部53cは、細い棒状の部分であり、概形が略円柱状で前後方向に延びる部分である。
【0046】
太軸部54は、太い棒状の部分であり、概形が略円柱状で前後方向に延びる部分である。この太軸部54は、第二ペン先部材17のうちで最も太く形成されている部分である。
【0047】
基端側部55は、先端側延設部55aと基端側挿入部55bを有し、これらが前後方向で並んで形成されている。先端側延設部55aは、細い棒状の部分であり、概形が略円柱状で前後方向に延びている。基端側挿入部55bは、後方に向かうにつれて細くなる細長い棒状の部分である。つまり、基端側部55は、全体が細長い棒状であって、後側部分に後端に向かうにつれて径が小さくなるテーパ状の部分を有する。
【0048】
ここで、先端側部53は、太軸部54の前端面(先端側の端面)から前方(先端側)に突出する部分となっている。詳細には、太軸部54の前端面のうち、周縁部分のいずれの部分からも内側から離れた位置から前方に突出している。
同様に、基端側部55は、太軸部54の後端面(基端側の端面)から後方(基端側)に突出する部分となっている。詳細には、太軸部54の後端面のうち、周縁部分のいずれの部分からも内側に離れた位置から前方に突出している。
【0049】
つまり、太軸部54は、前側に隣接する先端側部53(先端側細軸部53c)と後側に隣接する基端側部55(先端側延設部55a)のそれぞれよりも太く形成された部分となっている。そして、太軸部54と先端側部53の境界部分に第一段差部57が形成され、太軸部54と基端側部55の境界部分に第二段差部58が形成されている。第一段差部57、第二段差部58は、いずれも第二ペン先部材17の周方向で環状に連続するように形成されている。
言い換えると、先端側部53(先端側細軸部53c)の外周面と太軸部54の外周面が段差を介して連続しており、且つ、基端側部55(先端側延設部55a)の外周面と太軸部54の外周面もまた段差を介して連続している。
【0050】
また、本実施形態では、先端側部53の全体を太軸部54よりも細く形成している。すなわち、先端側部53のいずれの部分も太軸部54よりも横断面の面積が小さい部分となる。同様に、基端側部55の全体もまた、太軸部54よりも細く形成している。
【0051】
なお、本実施形態では、太軸部54の前端から後端までの間の各部を同じ太さとしている。つまり、太軸部54の横断面の面積は各部で同じとなっており、太軸部54のいずれかの部分の横断面の面積が、太軸部54の横断面の面積の最大値であり最小値となる。
しかしながら、第二ペン先部材17の太軸部は、一部に太さの異なる部分(横断面の面積が異なる部分)を設けてもよい。この場合、先端側部53の全体を太軸部54よりも細く形成するとき、先端側部53の横断面の面積の最大値が、太軸部54の横断面の面積の最小値よりも小さくなるように形成してもよい。同様に、各部に太さが異なる部分を有する基端側部55の全体を太軸部54よりも細くするとき、基端側部55の横断面の面積の最大値が、太軸部54の横断面の面積の最小値よりも小さくなるように形成してもよい。
【0052】
本実施形態の第二ペン先部材17は、内部に微細な孔を有する合成樹脂を押出成形して引き伸ばし、これらの孔を残して形成されている。そして、本実施形態では、合成樹脂として、エンジニアリングプラスチック(ポリアセタール樹脂)を採用している。つまり、本実施形態の第二ペン先部材17は、プラスチックチップである。
以上のことから、第二ペン先部材17は、弾性を有し、第一ペン先部材16に比べて耐摩耗性が高い部材なっている。そして、第二ペン先部材17は、図示を省略するが、先端接触体部53aにインキの流出口となるスリット(開口)を有しており、基端側部55(基端側挿入部55b)の後端にインキの導入口となるスリットを有する。そして、これら前後のスリットを繋ぐインキ通路を内部に有する。このインキ通路は、毛細管現象によってインキを運ぶ微細な孔である。すなわち、第二ペン先部材17もまた、インキ(塗布液)をペン先側(前側)へ移動させることが可能な部材である。
【0053】
先栓部材5は、
図2、
図9等で示されるように、前側部分が本体筒2の外部に露出し、後側部分が本体筒2の内部に収容された状態で取り付けられる。
この先栓部材5は、
図10で示されるように、前側開口部60と後側開口部61を有する。そして、
図11で示されるように、前側開口部60と後側開口部61の間に長手方向(前後方向)の全体に亘って内部空間62が形成されている。つまり、先栓部材5は、前端側と後端側で内外が連通する筒状の部材である。
この先栓部材5には、
図10、
図11等で示されるように、前端側(第一ペン先部3の先端側)の部分に、第一支持突起部64(第一突起部)と、第二支持突起部65(第二突起部)が設けられている。また、後端側の部分に第一切欠部66(欠落部)と、第二切欠部67(欠落部)が設けられている。さらに、先栓部材5の外周面には、上記した本体筒2の内周面と係合する先栓側係合部68が設けられている。そして、第一切欠部66、第二切欠部67は、この先栓側係合部68よりも後方側に設けられる。
【0054】
ここで、先栓部材5の内部空間62は、
図11で示されるように、前側収容部70と、第一後方収容部71(第一収容部)と、第二後方収容部72(第二収容部)に区画されている。詳細に説明すると、先栓部材5は、内部に仕切壁部73を有しており、この仕切壁部73によって、内部空間62の一部となる後側部分(被区画空間)が第一後方収容部71と、第二後方収容部72に区画されている。つまり、仕切壁部73は、第一後方収容部71と第二後方収容部72の境界となる位置に配される。
なお、後側開口部61もまた、仕切壁部73によって第一後側開口部61aと第二後側開口部61bに区画される。第一後側開口部61aが第一後方収容部71と外部を連通する開口部分であり、第二後側開口部61bが第二後方収容部72と外部を連通する開口部分である。
【0055】
さらに、先栓部材5の内部には、前側収容部70の後方に隣接する位置に、立壁状部75が設けられている。この立壁状部75は、前側収容部70と後方側の空間(第一後方収容部71、第二後方収容部72)とを区画する立壁状の部分である。この立壁状部75には、第一連通孔部79、第二連通孔部80が設けられている。
第一連通孔部79は、前側収容部70と第一後方収容部71を連通する孔であり、立壁状部75の一部を厚さ方向に貫通する。
第二連通孔部80は、前側収容部70と第二後方収容部72を連通する孔であり、立壁状部75の一部を厚さ方向に貫通する。
特に限定されるものではないが、本実施形態では、第一後方収容部71の前後方向の長さが、第二後方収容部72の前後方向の長さよりも長くなっており、第一後方収容部71の前端部分が、第二後方収容部72の前端部分よりも前側に位置する。
【0056】
なお、第二連通孔部80は、ペン先側部80a(拡径部)、中間部80b、後方部80c(狭径部)を有する。中間部80bは、ペン先側部80aと後方部80cの間に位置し、後方部80cに向かうにつれて細くなる(横断面の面積が小さくなる)部分である。ペン先側部80aは、後方部80cよりも拡径された部分(横断面の面積が大きい部分)となっている。
【0057】
第一支持突起部64は、
図10(a)等で示されるように、前側開口部60と隣接する位置で、先栓部材5の本体部分の前端面から前方に突出する突起部分である。この第一支持突起部64は、
図12(a)等で示されるように、前側(ペン先側)からみた平面視において、円弧状に延びる突起部分でもある。すなわち、塗布具1(本体筒2)の周方向に沿って延びる部分でもある。
【0058】
第一支持突起部64は、
図12で示されるように、外側面部130と、内側面部131(第一突起側湾曲部)と、先端側欠落部132を有する。
外側面部130は、前後方向と直交する方向(直交方向)で外側に位置する部分であり、前側からみた平面視で円弧状に延びる湾曲面を形成している。また、
図12(b)で示されるように、外側面部130は、前方に向かうにつれて内側(直交方向の内側であり、
図12(b)の下方側)に向かって緩やかに曲がりつつ延びる部分でもある。
【0059】
内側面部131は、前後方向と直交する方向(直交方向)で内側に位置する部分であり、前側からみた平面視で円弧状に延びる湾曲面を形成している。この内側面部131は、第二支持突起部65と直交方向で離間対向する位置に形成される(
図10等参照)。
先端側欠落部132は、
図12(a)で示されるように、内側面部131の前側に隣接する位置に形成され、前側からみた平面視で円弧状に延びる部分である。この先端側欠落部132は、
図12(c)等で示されるように、前方に向かうにつれて外側(
図12(c)では上側)に向かう面を形成している。
【0060】
第二支持突起部65は、
図10(a)等で示されるように、前側開口部60と隣接する位置で、先栓部材5の本体部分の前端面から前方に突出する突起部分である。この第二支持突起部65には、内側向きの面が位置する部分に、支持溝部83が形成されている。支持溝部83は、外向きに窪んだ溝である。
【0061】
前側収容部70には、
図11、
図13で示されるように、支持溝形成部85が設けられている。支持溝形成部85は、前側収容部70の内周面に形成され、外側に向かって窪んだ溝である。支持溝形成部85は、支持溝部83の後方に位置し、支持溝部83と共に一連の溝部分(以下、先栓側溝部87とも称する)を形成する。すなわち、支持溝部83の内側面(溝底や溝壁を形成する面)と支持溝形成部85の内側面とが、一連の面を形成して先栓側溝部87が形成される。
なお、この先栓側溝部87の溝壁部分には、複数(2つ)の支持突起部88が設けられている(
図10等参照)。支持突起部88は、周囲よりも隆起した部分であり、突端部分が丸みを帯びた形状となっている(
図16等参照)。この支持突起部88は、先栓側溝部87の前端から後端に至るまでの間で前後方向に延びている。すなわち、先栓側溝部87の全域に亘って延びている。
【0062】
なお、
図13(b)等で示されるように、先栓側溝部87の後端部分と立壁状部75が前後方向で並列している。そして、先栓側溝部87の内側面と、第二連通孔部80の内周面が段差を介して連続している。すなわち、先栓部材5は、先栓側溝部87の後端側部分に先栓側段差部89(段差部分)を有する。
【0063】
また、前側収容部70には、
図11、
図14(a)等で示されるように、複数の支持リブ部90が設けられている。支持リブ部90は、前側収容部70の内周面から内側に突出する突起部分であり、前後方向に延びている。複数の支持リブ部90は、
図14(a)で示されるように、前側収容部70の周方向で離れた位置にそれぞれ形成されている。具体的には、前側収容部70の内周面の四方のうち、三方に支持リブ部90が設けられている。すなわち、先栓側溝部87が形成される部分とは逆側の部分(
図14(a)における上側部分)と、塗布方向X(
図14(a)では左右方向)で離間対向する2つの部分に支持リブ部90が設けられている。
【0064】
なお、第一後方収容部71には、
図11、
図13、
図14(b)で示されるように、第一位置決め突起93が設けられている。第一位置決め突起93は、立壁状部75のうち、第一連通孔部79が形成される部分の後方に設けられている。
また、第二後方収容部72には、第二位置決め突起94が設けられている。第二位置決め突起94は、立壁状部75のうち、第二連通孔部80が形成される部分の後方に設けられている。
【0065】
具体的には、
図14(b)で示されるように、第一後方収容部71には3つの第一位置決め突起93が設けられている。2つの第一位置決め突起93aは、それぞれが流路形成部98(詳しくは後述する)を囲むように設けられており、背面視(後方からみた平面視)において略コ字状となる突起である。詳細には、この2つの第一位置決め突起93aのうちの一方が、他方を塗布方向X(
図14(b)の左右方向)で反転させた形状となる。この第一位置決め突起93aの一部は、仕切壁部73と隣接する位置に配され、仕切壁部73と一体となっている。
そして、他の第一位置決め突起93bは、略直方体状の突起となっている。
これら3つの第一位置決め突起93は、いずれも前後方向に延びる突起であり(
図13等参照)、立壁状部75の後側の面から後方に延びている。このとき、3つの第一位置決め突起93のそれぞれの前端部分は、前後方向における位置が同じ位置(略同じ位置)である。そして、それぞれの後端部分もまた、前後方向における位置が同じ位置(略同じ位置)である。
【0066】
また、
図14(b)で示されるように、第二後方収容部72には、第二位置決め突起94が設けられている。第二位置決め突起94は、立壁状部75の後方に隣接する位置に形成されている。上記した第二連通孔部80は、立壁状部75と第二位置決め突起94を貫通して延びる孔である。
【0067】
具体的には、第二位置決め突起94は、仕切壁側部94aと、連結部94bと、外壁側部94cが一体に形成された突起部分である。
仕切壁側部94aは、仕切壁部73と隣接する位置で、仕切壁部73と一体に形成されている。この仕切壁側部94aは、後方からみた平面視(背面視)で、環状に連続する部分でもある。すなわち、仕切壁側部94aは、第二連通孔部80の後方側部分を囲んでいる。
連結部94bは、略直方体状の部分であり、仕切壁側部94aと外壁側部94cとの間でこれらを繋ぐ部分となっている。
外壁側部94cは、第二後方収容部72の内周面のうち、仕切壁部73の逆側(第二後方収容部72を挟んで逆側)となる部分に沿って緩やかに湾曲しつつ延びる部分となっている。
【0068】
第二位置決め突起94もまた、前後方向に延びる突起であり(
図13(a)等参照)、立壁状部75の後側の面から後方に延びている。そして、
図11等で示されるように、第二位置決め突起94の後端部分は、上記した第一位置決め突起93の後端部分よりも後方に位置している。
【0069】
第一切欠部66、第二切欠部67は、
図10、
図11等で示されるように、いずれも先栓部材5の後方側に形成された切り欠き状の部分である。詳細には、先栓部材5の側面部分における後端近傍に形成され、後端から前方に向かって延びている。言い換えると、第一切欠部66、第二切欠部67は、側面部分の一部が欠落して形成される欠落部である。
これら第一切欠部66、第二切欠部67は、先栓部材5の側面部分のうち、仕切壁部73を挟んで互いに逆側(反対側)となる位置にそれぞれ設けられている。
【0070】
この第一切欠部66、第二切欠部67は、いずれも後側開口部61(第一後側開口部61a、第二後側開口部61b)と連続する部分となっている。すなわち、第一切欠部66の後端部分と、第二切欠部67の後端部分と、後側開口部61は、いずれも先栓部材5の後端面に形成されており、同一平面上に位置する。そして、第一切欠部66と第一後側開口部61aが繋がっており、第二切欠部67と第二後側開口部61bが繋がっている。
ここで、本実施形態では、第一切欠部66の前後方向の長さが、第二切欠部67の前後方向の長さよりもやや長い長さとなっている。つまり、本実施形態では、第一切欠部66、第二切欠部67の長さを略同一の長さとしている。
【0071】
ここで、第一切欠部66、第二切欠部67は、詳細な図示は省略するが、開口形状が異なる切欠部分としている。すなわち、第一切欠部66、第二切欠部67は、
図10で示すように、いずれも直交方向(
図10では上下方向)を視線方向とした平面視で略長方形状となる切欠部分である。その一方で、第一切欠部66の前端側における角部分は、第二切欠部67の前端側に位置する角部分よりも丸みを帯びた形状としている(詳細な図示を省略する)。このように、これら第一切欠部66、第二切欠部67の形状の一部分を異なる形状とすることで、これらを外部から目視したときに容易に識別可能としている。
【0072】
先栓部材5には、
図10(a)等で示されるように、2つの流路形成部98が設けられている(一方については
図10(a)では図示しない、
図14等参照)。流路形成部98は、塗布具1の内外を連通する空気流路を形成する。詳細には、
図11で示されるように、前側収容部70の内周面に形成された流路形成凹部98aと、立壁状部75に形成された流路形成孔部98bと、流路形成孔部98bの後方の空間とが前後方向で連続し、流路形成部98を形成している。なお、ここでいう「流路形成孔部98bの後方の空間」は、第一位置決め突起93と隣接する位置で、第一位置決め突起93に三方を囲まれた空間である。流路形成孔部98bは、
図14(a)等で示されるように、第一連通孔部79と隣接する位置で一体に形成された孔であり、第一連通孔部79と同様に立壁状部75を厚さ方向に貫通する。
【0073】
本実施形態の仕切壁部73は、
図14(b)で示されるように、内部空間62の後側部分(以下、被区画空間とも称す)の中心となる位置(図中の符号Pで示す位置)から離れた位置に設けられている。つまり、仕切壁部73は、自身が区画する空間(被区画空間)の中心位置からずれた位置に配される。そして、被区画空間を2つの空間(第一後方収容部71と、第二後方収容部72)に分断する。
【0074】
ここで、「被区画空間」とは、第一後方収容部71と、第二後方収容部72と、その間の部分(仕切壁部73が配されている部分)から構成される。本実施形態の被区画空間は、横断面の形状が略円形で前後方向に延びる空間であり、
図14(b)において、符号Sで示す点線で囲まれた部分である。したがって、本実施形態における「被区画空間の中心」は、被区画空間の各部の横断面において、直径の中点が位置する部分でもある。
【0075】
すなわち、「被区画空間の中心」とは、被区画空間の各部の横断面形状における中心が通る位置である。したがって、塗布方向X(
図14(b)の左右方向)の中心であり、直交方向(
図14(b)の上下方向)の中心でもある。なお、直交方向は、第一ペン先部材16と第二ペン先部材17の並列方向でもある。この「被区画空間の中心」は、被区画空間の外周部分から最も遠い位置又はその近傍であるともいえる。
また、本実施形態では、「被区画空間の中心」は、塗布具1(本体筒2)の中心軸上に位置する部分(中心軸が通る部分)でもある。つまり、本実施形態の先栓部材5では、塗布具1(本体筒2)の中心軸上となる部分を中心位置としたとき、塗布具1(本体筒2)の中心位置から離れた位置に仕切壁部73を形成している。言い換えると、仕切壁部73は、全体が塗布具1(本体筒2)の中心軸と重ならないように形成される。
【0076】
以上のことから、第一後方収容部71と第二後方収容部72は、塗布方向Xにおける最大長さLαが同じ長さである一方、直交方向における最大長さLβ、Lγが異なる。第一後方収容部71の直交方向における最大長さLβは、第二後方収容部72の同方向における最大長さLγよりも長い。
より詳細には、上記した長さLβは、被区画空間の直交方向における最大長さLΔの半分以上の長さであり、本実施形態では、上記した長さLΔの55.5パーセント程度の長さとなっている。一方、上記した長さLγは、上記した長さLΔの半分より短い長さであり、上記した長さLΔの40パーセント程度の長さとなっている。
【0077】
したがって、第一後方収容部71の各部における横断面の面積は、同位置(前後方向の位置が同一となる位置)での第二後方収容部72の横断面の面積よりも大きい。そして、第一後方収容部71の容積が、第二後方収容部72の容積よりも大きい。
また、これら第一後方収容部71、第二後方収容部72の横断面形状(背面視における形状)は、仕切壁部73側が扁平となる略ドーム状となっている。すなわち、第一後方収容部71、第二後方収容部72の直交方向(
図14(b)の上下方向)の長さは、塗布方向X(
図14(b)の左右方向)の中心部分が最も長くなっている。そして、塗布方向Xの端部近傍までの間では、同方向の端部側に向かうにつれて直交方向の長さが短くなる。
【0078】
第一インキ吸蔵体6は、
図9で示されるように、略円筒状の外郭部材6aと、中綿6b(繊維収束体であり、塗布液含侵手段)を有している。そして、外郭部材6aの内部に中綿6bを詰め込み、詰め込んだ中綿6bにインキを含侵させて形成している。
第二インキ吸蔵体7も同様に、外郭部材7a、中綿7bを有している。そして、外郭部材7a内に詰め込まれた中綿7bにインキを含侵させている。
なお、特に限定されるものではないが、外郭部材6a,7aは、PP(ポリプロピレン)等の適宜な材料によって形成される樹脂製の筒体であり、組み立て前の外形が略円筒状となる部材である。また、中綿6b,7bは、インキを含浸可能な連続気孔を有する繊維収束体である。この中綿6b,7bは、適宜の繊維で構成されており、ポリエステル繊維等の合成繊維であってもよく、綿、パルプ等の植物繊維であってもよく、羊毛、生糸等の動物繊維であってもよい。
【0079】
本実施形態では、第一インキ吸蔵体6と第二インキ吸蔵体7に、それぞれ別のインキが含侵されている。すなわち、第一インキ吸蔵体6に含侵された第一インキ(塗布液)と、第二インキ吸蔵体7に含侵された第二インキ(塗布液)は、色相、彩度、明度の少なくとも一つが異なる。
また、本実施形態では、
図2等で示されるように、第一インキ吸蔵体6の全体長さ(全長)は、第二インキ吸蔵体7の全体長さ(全長)よりも短くなっている。また、第一インキ吸蔵体6の自然状態(外力が加わらない状態であり、組み立て前の状態)における太さが、第二インキ吸蔵体7の自然状態における太さよりも太くなっている。
詳細に説明すると、第一インキ吸蔵体6と第二インキ吸蔵体7は、いずれも自然状態における各部の横断面が略円形となる部材である。そして、自然状態における第一インキ吸蔵体6の横断面の径方向長さ(直径)は、自然状態における第二インキ吸蔵体7の横断面の径方向長さよりも長くなっている。
【0080】
第二ペン先部4は、
図2で示されるように、ペン先部材100(逆側塗布体部)を有する。この第二ペン先部4は、逆側の第一ペン先部3とは異なり、複数線(二重線)の一筆での描画を目的とするものではない。
ペン先部材100は、棒状に延びたプラスチックチップである。すなわち、ペン先部材100は、毛細管現象によってインキを吸い込み、ペン先側(後側)へ移動させることが可能な部材である。本実施形態では、ペン先部材100の前端側部分(基端側部分)が第二インキ吸蔵体7に後方側から挿入されている。すなわち、第二インキ吸蔵体7は、二つのペン先部材にインキを供給する部材となっている。
【0081】
続いて、本実施形態の塗布具1の構造について説明する。
本実施形態の塗布具1では、
図9等で示されるように、第一ペン先部材16と第二ペン先部材17のそれぞれの後側部分と、第一インキ吸蔵体6と第二インキ吸蔵体7のそれぞれの前側部分が先栓部材5に保持される。
【0082】
すなわち、塗布具1を組み立てる際には、先栓部材5の第一後側開口部61a、第二後側開口部61b(
図11参照)からそれぞれ第一インキ吸蔵体6、第二インキ吸蔵体7を挿入する。
なお、本実施形態では、上記したように、第一切欠部66、第二切欠部67(
図10等参照)が第一後方収容部71、第二後方収容部72のいずれに連なる切欠部であるのかを容易に識別可能となっている。このことから、組み立て作業を行う作業者は、第一後側開口部61a、第二後側開口部61bが第一後方収容部71と第二後方収容部72のいずれに連なる開口部分であるのかを容易に識別できるため、組み立て作業が容易である。
【0083】
このとき、挿入した第一インキ吸蔵体6を前方に移動(第二支持突起部65側に相対移動)させていくと、
図9で示されるように、第一インキ吸蔵体6の前端部分(挿入方向の先端部分)が第一位置決め突起93に後方側から当接する。同様に、挿入した第二インキ吸蔵体7を前方に移動させていくことで、第二インキ吸蔵体7の前端部分(挿入方向の先端部分)が第二位置決め突起94に後方側から当接する。これらのことから、第一インキ吸蔵体6、第二インキ吸蔵体7が先栓部材5内の適切な位置に配される。
【0084】
第一インキ吸蔵体6の一部(前側部分)と、第二インキ吸蔵体7の一部(前側部分)がそれぞれ第一後方収容部71と第二後方収容部72に収容されると、
図15で示されるように、これらが拉げた状態(自然状態における形状から変形した状態)となる。すなわち、第一インキ吸蔵体6の前側部分と第二インキ吸蔵体7の前側部分は、第一後方収容部71、第二後方収容部72の内部で変形した状態となる。
【0085】
すなわち、第一インキ吸蔵体6は、上記したように、自然状態での横断面形状が円形(略円形)となる部材である(図示しない)。そして、第一インキ吸蔵体6の自然状態における横断面(変形前の横断面であり、図示しない)の径方向長さは、第一後方収容部71の直交方向における最大長さLβ(
図15参照)よりも長くなっている。
そして、上記のように第一インキ吸蔵体6を第一後方収容部71に収容させるとき、作業者が第一インキ吸蔵体6を仕切壁部73に押し付けるように押圧することで第一インキ吸蔵体6が変形した状態となる。このことにより、第一インキ吸蔵体6を前方に移動させていくことが可能となる。なお、本実施形態の先栓部材5には、第一切欠部66(
図10等参照)が設けられており、作業者による第一インキ吸蔵体6を押圧する作業が容易である。そして、第一インキ吸蔵体6を前方に移動させ、第一インキ吸蔵体6の前側部分が第一後方収容部71に収容されると、第一インキ吸蔵体6は、仕切壁部73とその逆側の内壁部分(第一後方収容部71の内周面を形成する壁部分の一部)に挟まれた状態となる。このことにより、第一インキ吸蔵体6の前側部分が変形したまま第一後方収容部71に収容される。詳細には、第一インキ吸蔵体6の前側部分は、
図15で示されるように、横断面が楕円形(略楕円形)となるように変形した状態、換言すると、やや押し潰されたかのように変形した状態で収容される。
【0086】
そして、
図15で示されるように、変形後の横断面の直交方向における長さ(
図15の上下方向の長さであり、楕円の短軸の長さ)は、上記Lβと略同じ長さとなる。このことから、第一インキ吸蔵体6は、直交方向(
図15の上下方向)で離れた位置にある第一後方収容部71の内周面の一部同士(片側は、仕切壁部73の主面の一部)に強く当接した状態となる。このため、第一インキ吸蔵体6の意図しない位置ずれを抑制できる。
【0087】
なお、本実施形態の第一インキ吸蔵体6は、先栓部材5に収容される前側部分と、その後方に位置する中途部分と、第二ペン先部4よりの位置に配される後側部分(
図2等参照)とで、横断面形状が異なる。
詳細には、第一インキ吸蔵体6の前側部分は、上記したように横断面形状が略楕円形となっており、中間の大部分(中途部分)は横断面形状が略円形となっている。そして、後側部分は、本体筒2の径方向外側から中心側に曲がりつつ延びる第二インキ吸蔵体7に押圧され、片側(第二インキ吸蔵体7側)が拉げるように変形している。すなわち、第一インキ吸蔵体6は、長手方向の各部に横断面形状が異なる部分を有する。
【0088】
第二インキ吸蔵体7もまた、自然状態での横断面形状が円形(略円形)であり(図示しない)、
図15で示されるように、やや押し潰されたかのように変形した状態で収容される。この第二インキ吸蔵体7の自然状態における横断面の径方向長さは、第二後方収容部72の直交方向における最大長さLγよりも長くなっている。
そして、上記した第一インキ吸蔵体6の場合と同様に、第二インキ吸蔵体7を第二後方収容部72に収容するとき、作業者が第二インキ吸蔵体7を仕切壁部73に押し付けるように押圧することで第二インキ吸蔵体7が変形し、前方へ移動させることが可能となる。なお、本実施形態の先栓部材5には、第二切欠部67(
図10等参照)が設けられており、作業者による第二インキ吸蔵体7を押圧する作業が容易となる。そして、第二インキ吸蔵体7が第二後方収容部72に収容されると、第二インキ吸蔵体7は仕切壁部73とその逆側の内壁部分に挟まれ、変形したままの状態となる。
このとき、第二インキ吸蔵体7は、変形後の横断面形状が楕円形(略楕円形)であって、その直交方向における長さ(
図15の上下方向の長さであり、楕円の短軸の長さ)は、上記Lγと略同じ長さとなる。
そして、第二インキ吸蔵体7もまた、直交方向(
図15の上下方向)で離れた位置にある第二後方収容部72の内周面の一部同士(片側は、仕切壁部73の主面の一部)に強く当接する。このため、第二インキ吸蔵体7の意図しない位置ずれを抑制できる。
【0089】
なお、本実施形態の第二インキ吸蔵体7もまた、先栓部材5に収容される前側部分と、その後方に位置する部分とで横断面形状が異なる(
図2等参照)。すなわち、第二インキ吸蔵体7の前側部分は、上記したように横断面形状が略楕円形となっており、その後方側の大部分は、横断面形状が略円形となっている。したがって、第二インキ吸蔵体7もまた、長手方向の位置が異なる各部に横断面形状が異なる部分を有する。
【0090】
なお、第一インキ吸蔵体6の前側部分は、同じ部分の変形前の横断面と変形後の横断面を比較したとき、横断面全体の20パーセント程度の部分が変形する部分となる(変形率が20パーセント程度となる)。対して、第二インキ吸蔵体7の前側部分は、同じ部分の変形前の横断面と変形後の横断面を比較したとき、横断面全体の17パーセント程度の部分が変形する部分となる(変形率が17パーセント程度となる)。
つまり、第一インキ吸蔵体6は、第二インキ吸蔵体7よりも大きく変形された状態(変形率が高い状態)で、先栓部材5に収容されている。
【0091】
本実施形態のように、インキ吸蔵体の前側部分を変形させて先栓部材5に収容させる(保持させる)構造によると、塗布具1の全体やそのペン先部分を必要以上に太く形成することなく、比較的太いインキ吸蔵体を採用することができる。
また、本実施形態の先栓部材5は、上記したように、自然状態における太さが異なる第一インキ吸蔵体6と、第二インキ吸蔵体7を変形させて収容する。このとき、本実施形態の先栓部材5は、仕切壁部73を被区画空間の中心からずれた位置に形成しており、それぞれのインキ吸蔵体を適切に変形させた状態で収容できる。すなわち、それぞれのインキ吸蔵体を大きく変形させ過ぎず、且つ、変形量が少なすぎない状態で収容できる。
【0092】
ここで、インキ吸蔵体を変形させ過ぎると、中綿が圧縮されすぎてしまい、塗布体部にインキを安定して供給することができなくなる。本実施形態では、それぞれのインキ吸蔵体の変形率を好ましい範囲とすることで、インキ吸蔵体を位置ずれしないようにしっかり保持すると共に、塗布体部への安定したインキの供給を可能としている。
なお、仕切壁部73を被区画空間の中心からより離れた位置に形成する、又は、被区画空間の中心により近い位置に形成することで、それぞれのインキ吸蔵体の変形率が変更される。すなわち、仕切壁部73を設ける位置は、本実施形態の位置に限らず、より被区画空間の中心から離れた位置としてもよく、より被区画空間の中心に近い位置としてもよい。このように、仕切壁部73を設ける位置を変更し、それぞれのインキ吸蔵体の変形率を変更(調整)することが考えられる。
【0093】
また、第一ペン先部材16、第二ペン先部材17を先栓部材5に対して仮取り付けした後、図示しない治具で圧入することで、第一ペン先部材16、第二ペン先部材17が先栓部材5に取り付けられ、先栓部材5が本体筒2に取り付けられる。
【0094】
第一ペン先部材16は、
図9で示されるように、中間部23の後側部分が前側収容部70内に位置しており、後方側細軸部24の一部が第一連通孔部79に挿通される。そして、その後方側の部分が、第一後方収容部71内において、第一インキ吸蔵体6に前方側から挿入される。すなわち、第一ペン先部材16の後方側細軸部24は、後側部分の側面と後端面が中綿6bと接触した状態となっている。
【0095】
前側収容部70内では、
図16で示されるように、第一ペン先部材16の収容溝部35の溝底部分に第二ペン先部材17の側面部分が密着している。また、中間湾曲面部23aの複数個所が前側収容部70に形成された支持リブ部90と接触している。このことから、第一ペン先部材16は、前後方向と交わる方向に位置ずれしない状態となっている。
【0096】
さらに本実施形態では、
図9で示されるように、第一支持突起部64の内側面部131と、第一ペン先部材16の側方湾曲面部30の一部及び中間湾曲面部23aの一部とが、微細な間隔を空けて離間対向している。つまり、第一支持突起部64の内側に形成された湾曲面部分が、第一ペン先部材16の外周面の湾曲面部分と離間対向している。ここで、内側面部131の曲率と、内側面部131と対向する湾曲面部分(側方湾曲面部30の一部及び中間湾曲面部23aの一部)の曲率を同一又は略同一としている。
このため、筆記時等において、第一ペン先部材16に第一支持突起部64側に向かう力が加わると、第一ペン先部材16に第一支持突起部64が添え当てられた状態となる。すなわち、第一ペン先部材16の一部が第一支持突起部64の内側の溝状の部分に略丁度嵌り込み、第一ペン先部材16の湾曲面部分と第一支持突起部64の湾曲面部分が面接触した状態となる。このことにより、第一ペン先部材16の位置ずれや破損を防止することができる。
なお、本実施形態では、自然状態において内側面部131と、側方湾曲面部30の一部及び中間湾曲面部23aの一部が離間対向する構造とした。しかしながら、自然状態においてこれらが面接触するように形成することも考えられる。
【0097】
ここで、第一支持突起部64は、上記したように、前側からみた平面視で塗布具1の周方向に延びている。より詳細に説明すると、
図16で示されるように、第一ペン先部3のペン先側(前側)からみた平面視において、本体筒2(塗布具1)の中心となる点を点Pαとする。なお、点Pαは、本体筒2の中心軸が位置する部分(中心軸が通る部分)である。そして、同平面視において、円弧状に延びる第一支持突起部64の延び方向における片側端部に位置する点を点PAとし、他方側端部に位置する点を点PBとする。このとき、点Pαと点PAを結ぶ仮想線と、点Pαと点PBを結ぶ仮想線のなす角θAが60度以上となるように、第一支持突起部64を形成している。
すなわち、第一支持突起部64は、第一支持突起部64を囲む周方向で60度以上の範囲にわたって延びるように形成している。言い換えると、第一支持突起部64は、第一支持突起部64の周囲(四方)を囲む部分のうちの6分の1以上の範囲(全周の6分の1以上の範囲)で延びている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、この角θAが86度となるように第一支持突起部64を形成している。
【0098】
以上のことから、第一支持突起部64は、第一ペン先部材16の塗布方向Xにおける片側の側方から、収容溝部35が形成された側面とは逆側の側面部分を経て、塗布方向Xにおける他方側の側方までの部分を外側から囲むように形成されている。
このように第一支持突起部64を形成することで、筆記時等に第一ペン先部材16に対して様々な方向から力が加わっても、上記したように第一ペン先部材16が第一支持突起部64と接触した状態となる。このことから、第一ペン先部材16の位置ずれや破損を防止することができる。
【0099】
また、このように第一ペン先部材16が収容されることで、第一ペン先部材16が流路形成部98から離れた位置に配され、流路形成部98の内側にペン先部材(第一ペン先部材16、第二ペン先部材17)が位置しない。このことから、塗布具1の先端から、前側収容部70、第一後方収容部71を経て(
図9等参照)、本体筒2の内部空間に至る空気流路が形成される。
【0100】
さらに、本実施形態では、上記したように、前後方向と直交する方向の一方向(直交方向)で離れた位置に第一支持突起部64と、第二支持突起部65が形成されている。そして、
図16で示されるように、第一支持突起部64と第二支持突起部65の間に第一ペン先部材16と、第二ペン先部材17が位置する。
そして、第一ペン先部材16の側面部分と、第二支持突起部65の内側面であって先栓側溝部87と隣接する部分が面接触している。
【0101】
このため、筆記時等において、第一ペン先部材16に第二支持突起部65に向かう力が加わっても、第一ペン先部材16に第二支持突起部65が添え当てられており、第二支持突起部65によって第一ペン先部材16が支えられる。このことにより、第一ペン先部材16の位置ずれや破損を防止することができる。
なお、本実施形態では、自然状態において第一ペン先部材16の側面の一部と、第二支持突起部65の内側面の一部が面接触する構造としたが、これらが離間対向する構造とすることも考えられる。すなわち、第一ペン先部材16に第二支持突起部65に向かう力が加わることで、面接触するように形成することも考えられる。
【0102】
また、塗布具1は、
図17、
図18で示されるように、塗布具1の周方向において第一支持突起部64と第二支持突起部65の間となる位置に先端側欠落部99を有している。この先端側欠落部99は、塗布方向Xで離れた位置に一つずつ(一方については
図17、
図18では図示しない)形成されている。この先端側欠落部99は、前側収容部70よりも前方(前側収容部70の前端開口よりも前方)であって、第一ペン先部材16の側面の外側に位置する部分であり、部材が配されていない空隙部分である。このことにより、本実施形態の塗布具1は、上記したように、第一ペン先部材16の位置ずれや破損を抑制可能であると共に、第一ペン先部材16の視認性を確保できる。すなわち、使用時に第一ペン先部材16の周辺が見え易い構造となっている。
【0103】
第二ペン先部材17は、
図16で示されるように、一部が第一ペン先部材16の収容溝部35の内側に位置しており、他の一部が先栓側溝部87の内側に位置している。ここで、収容溝部35の内側に位置する部分のうち、側面の一部が収容溝部35の溝底部分と接触している。また、先栓側溝部87の内側に位置する部分のうち、側面の一部と他の一部がそれぞれ別の支持突起部88と接触している。つまり、第二ペン先部材17の側面のうち、周方向に離れた3カ所が収容溝部35の溝底部分と、一の支持突起部88の突端部分、他の支持突起部88の突端部分のそれぞれと接触している。
なお、先栓側溝部87の内側部分のうち、支持突起部88が形成されていない部分(溝底や溝壁となる部分)と、第二ペン先部材17の側面の間には隙間が形成される。
つまり、収容溝部35と先栓側溝部87とが向かい合わせに配されることで、
図9、
図16で示されるように、前後方向に延びる空間が形成される。そして、この空間に第二ペン先部材17の大半の部分が配される。
【0104】
より詳細には、第二ペン先部材17は、
図9、
図17で示されるように、前端部分が第二支持突起部65(先栓側溝部87)よりも前方に突出している。すなわち、第二ペン先部材17は、
図9等で示されるように、前側部分(先端側細軸部53c)の一部が、片側が収容溝部35の内側に収容されると共に、その逆側が先栓側溝部87に収容されない部分となっている。そして、その後方側の部分が収容溝部35と先栓側溝部87によって周囲(四方)の略全域を囲まれる部分となる。
このように、本実施形態では、第二ペン先部材17の少なくとも一部が収容溝部35の内側に配される。また、第二ペン先部材17のうち、収容溝部35の内側に収容される部分は、収容溝部35によって片側の一部が覆われると共に逆側が開放される部分と、収容溝部35と先栓側溝部87の双方に両側から保持される部分とを有する。
【0105】
さらに、本実施形態では、
図9等で示されるように、収容溝部35の収容溝先端側部35aに、第二ペン先部材17の先端側部53が収容されている。そして、収容溝部35の収容溝基端側部35bに、第二ペン先部材17の太軸部54が収容されている。
そして、収容溝部35の収容溝内段差部37と、第二ペン先部材17の第一段差部57とが互いに係合(接触)しており、第二段差部58と先栓部材5の先栓側段差部89が互いに係合(接触)している。これらのことから、本実施形態の塗布具1は、第二ペン先部材17が位置ずれし難い構造となっている。
【0106】
さらに、本実施形態の第二ペン先部材17は、
図18で示されるように、第二ペン先部材17の前端部分から第一ペン先部材16の先端面部28までの距離LΕが0.5mm以上1.0mm以下となるように形成しており、本実施形態では、0.71mmとしている。なお、第二ペン先部材17の前端部分は、第二ペン先部材17の中心部分(中心軸が通る部分)のうちで最も前側に位置する部分でもある。
上記したように、第二ペン先部材17は、前側部分が細く形成されており、上記した距離LΕを短くすることができる。その一方で先端側部53と連続する位置に太軸部54を設けており、高い強度を発揮させることができる。
【0107】
なお、本実施形態では、
図18等で示されるように、第二ペン先部材17の前端部分は、自然状態において、第一ペン先部材16の先端面部28の後端側よりもやや後方に位置する。そして、
図16で示されるように、第一ペン先部3のペン先側(前側)からみた平面視において、先端面部28と第二ペン先部材17とが直交方向(
図16では上下方向)で並んだ状態となっている。このとき、先端面部28の全体が、第二ペン先部材17よりも直交方向で片側(
図16では上側)に離れた位置に配される。
【0108】
第二ペン先部材17の基端側部55は、
図9で示されるように、前側部分が第二連通孔部80に挿通され、その後方側部分が第二後方収容部72内において、第二後方収容部72内において、第二インキ吸蔵体7に前方側から挿入される。すなわち、第二ペン先部材17の後方側部分(基端側挿入部55b)は、側面と後端面が中綿7bと接触した状態となっている。
【0109】
ここで、
図9等で示されるように、第一インキ吸蔵体6の前側部分(前端部)と、第二インキ吸蔵体7の前側部分(前端部)が、仕切壁部73を挟んだ両側にそれぞれ位置する。すなわち、仕切壁部73によって区画された別空間(第一後方収容部71、第二後方収容部72)にそれぞれ収容されている。
【0110】
このとき、第一インキ吸蔵体6の前端部は、第一ペン先部材16と第一インキ吸蔵体6の連結部分となる。また、第二インキ吸蔵体7の前端部は、第二ペン先部材17と第二インキ吸蔵体7の連結部分となる。
なお、ここでいう連結部分とは、塗布体(ペン先部材)をインキ吸蔵体に差し込んだ際、塗布体の差し込み部分のうちの前端(差し込み対象となる中綿の前端)が位置する部分とする。
このように、第一ペン先部材16側の連結部分と、第二ペン先部材17側の連結部分の間に仕切壁部73が配された(介在する)構造によると、第一インキと第二インキの意図しないインキの混ざりを防止できる。
【0111】
また、本実施形態の塗布具1は、上記したように、第一ペン先部3による二重線(複数線)の一筆での描画と、第二ペン先部4による線の描画が可能である。
【0112】
第一ペン先部3によって紙面等の塗布対象物Aに目的とする二重線を引く際には、
図19で示されるように、第一ペン先部材16、第二ペン先部材17のそれぞれを塗布対象物Aに接触した状態(複数接触状態)とする。すなわち、先端面部28を塗布対象物Aに向けた姿勢で、第一ペン先部3を塗布対象物Aに近接させていき、第一ペン先部3の先端部分(ペン先側部分)を塗布対象物Aに接触させる。このことにより、塗布具1が複数接触状態となる。
【0113】
そして、第一ペン先部材16、第二ペン先部材17が共に塗布対象物Aに接触した状態で、
図20で示されるように、塗布具1(本体筒2)を塗布方向Xの進行方向に水平移動(スライド移動)させると、目的とする二重線を描くことができる。
この目的とする二重線は、例えば、
図21示されるように、第一ペン先部材16からインキが塗布されることで形成される線である第一の線210と、第二ペン先部材17からインキが塗布されることで形成される線である第二の線211によって形成される。具体的には、この二重線は、第一の線210が第二の線211よりも太い幅広線であり、第二の線211は第一の線210の線よりも細い幅狭線である。
【0114】
ここで、本実施形態の塗布具1は、筆記角度を変更して使用することで、第一の線210と第二の線211の間に隙間が形成される二重線(
図20(a)参照)と、これらの間に隙間が形成されない二重線(
図20(b)参照)のそれぞれを描画可能となる。また、第一の線210と第二の線211の間に隙間を有する二重線を描画する場合、筆記角度を変更することで隙間の大きさを変更できる。このことにつき、以下で詳細に説明する。
【0115】
すなわち、上記した複数接触状態(
図19参照)とすると、
図22で示されるように、側方湾曲面部30側からみた平面視において、塗布具1の中心軸(塗布具1の長手方向に延びる仮想線)と、塗布対象物Aの表面とのなす角が所定角度θBとなる。このなす角は、塗布具1の中心軸と、塗布方向Xに延びる仮想線のなす角でもある。
そして、この所定角度θBが筆記角度となる。すなわち、所定角度θBを可変させることで筆記角度が変更される。例えば、所定角度θBを90度とすることで、筆記角度が90度となり、所定角度θBを45度とすることで、筆記角度が45度となるといった具合である。
【0116】
したがって、所定角度θBが90度となる姿勢から、塗布方向Xの進行方向側(
図20参照)に塗布具1を傾けていくと、所定角度θBが小さくなっていく。このことにより、筆記角度が小さくなっていく。なお、筆記角度の最大値は90度となる。
【0117】
本実施形態の塗布具1は、所定角度θBを90度とすることで、
図21(a)で示されるように、第一の線210aと第二の線211aの間に隙間を有する二重線の一筆での描画が可能となる。
対して、所定角度θBを45度とすることで、
図21(b)で示されるように、第一の線210bと第二の線211bの間に隙間が無い二重線の一筆での描画が可能となる。
【0118】
すなわち、所定角度θB(筆記角度)を小さくし、塗布具1をより寝かせた姿勢としていくと、
図21で示されるように、第一ペン先部材16のうちで塗布対象物Aと接触する部分の面積が大きくなる。
ここで、本実施形態の塗布具1は、筆圧により、使用時に第一ペン先部材16の一部(塗布対象物Aと接触する先端側の一部)が微細に変形することとなる。すなわち、塗布具1を塗布対象物A側に押圧することで、第一ペン先部材16の一部が一時的にあたかも押しつぶれて広がるように微細に変形することとなる。
このため、第一ペン先部材16では、塗布対象物Aと接触する部分の面積が大きくなると、上記した一時的に変形する部分、すなわち、塗布具1を押圧することで一時的に変形する部分の面積が大きくなる。このことにより、第一ペン先部材16の一部がより第二ペン先部材17側に広がるように変形する。以上のことから、所定角度θBを小さくしていくことで、第一の線210の線幅が変化していき、それぞれ異なる二重線の描画可能となる。
なお、付言しておくと、塗布具1をより寝かせた姿勢としていくことで、第二ペン先部材17(先端接触体部53a)の塗布対象物Aと接触する部分もまた変化していく。しかしながら、第二ペン先部材17は、先端接触体部53aの突端周辺にインキの導出口(スリット)が形成される一方で、側方側にインキの導出口が形成されない構造となっている。このため、塗布具1をより寝かせた姿勢とし、先端接触体部53aの突端部分の一部と側方側の部分とが塗布対象物Aに接触する状態に移行しても、第二の線211の線幅は変化しない(大きく変化しない)こととなる。
【0119】
より詳細には、所定角度θBが一定角度(本実施形態では50度)より大きい場合には、塗布具1をより寝かせた姿勢として所定角度θBをより小さくしていくにつれ、第一の線210aと第二の線211aの間に形成される隙間が小さくなっていく。
特に限定されるものではないが、本実施形態では、所定角度θBが90度であるとき、第一の線210aと第二の線211aの間に形成される隙間の幅が0.41mmとなり、所定角度θBが70度であるとき、この隙間の幅が0.32mmとなる。また、所定角度θBが60度であるとき、この隙間の幅が0.23mmとなり、所定角度θBが55度であるとき、この隙間の幅が0.14mmとなる、といった具合である。
そして、所定角度θBが一定角度以下であるとき、描画される二重線は、第一の線210bと第二の線211bの間に隙間が無い二重線となる。
すなわち、本実施形態の塗布具1は、第一の線210と第二の線211の間に隙間の有る二重線と、隙間の無い二重線のそれぞれの描画が可能であり、隙間の有る二重線を描画する場合には、隙間の幅の大きさが異なる複数種類の二重線の描画が可能となっている。
【0120】
上記した実施形態では、第一インキ吸蔵体6に含侵された第一インキと、第二インキ吸蔵体7に含侵された第二インキを異なるインキとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第一インキと第二インキを同じインキとすることも考えられる。
【0121】
上記した実施形態の塗布具1は、二つのペン先部の一方である第一ペン先部3により、目的とする二重線を一筆で描画可能なものとした。しかしながら、本発明の塗布具によって形成される目的とする線(多重線)は、二重線に限らず、三重線、四重線等、2以上の複数の線を含んで構成されるものでもよい。例えば、第一ペン先部材16のペン先側に一又は複数の溝を形成する等により、多重線を三重線、四重線等にすることが考えられる。
【0122】
上記した実施形態の塗布具1は、上記した先栓部材5を有している。すなわち、塗布具1は、軸筒と塗布体部を有し、前記塗布体部を塗布対象物に接触させて塗布液を塗布する塗布具であって、前記塗布体部の少なくとも一つは、並設された第一塗布体部と第二塗布体部を含んで形成されており、前記第一塗布体部によって塗布される塗布液が吸蔵された第一塗布液吸蔵体と、前記第二塗布体部によって塗布される塗布液が吸蔵された第二塗布液吸蔵体と、先栓部材を有し、前記先栓部材は、内部空間の少なくとも一部を区画する仕切壁部を備え、前記仕切壁部は、前記内部空間の一部である被区画空間を、前記第一塗布液吸蔵体の少なくとも一部が収容される第一収容部と、前記第二塗布液吸蔵体の少なくとも一部が収容される第二収容部に区画しており、前記仕切壁部が、前記被区画空間の中心から離れた位置に形成されているものである。
【符号の説明】
【0123】
1 塗布具
2 本体筒(軸筒)
3 第一ペン先部(塗布体部)
4 第二ペン先部(塗布体部)
5 先栓部材
16 第一ペン先部材(第一塗布体部)
17 第二ペン先部材(第二塗布体部)
23a 中間湾曲面部(第一塗布体側湾曲部)
28 先端面部(先端側曲面部)
30 側方湾曲面部(第一塗布体側湾曲部)
35 収容溝部
37 収容溝内段差部(溝側段差部)
53c 先端側細軸部(細軸部)
54 太軸部
55 基端側部(基端側軸部)
57 第一段差部
58 第二段差部
64 第一支持突起部(第一突起部)
65 第二支持突起部(第二突起部)
70 前側収容部
89 先栓側段差部(段差部分)
131 内側面部(第一突起側湾曲部)
A 塗布対象物