(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097098
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ランドリー機器
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20230630BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20230630BHJP
D06F 33/54 20200101ALI20230630BHJP
D06F 33/56 20200101ALI20230630BHJP
D06F 33/62 20200101ALI20230630BHJP
D06F 33/65 20200101ALI20230630BHJP
D06F 33/69 20200101ALI20230630BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
D06F39/08 301A
D06F39/08 301C
D06F39/08 301H
D06F39/08 311E
D06F39/08 341
D06F33/54
D06F33/56
D06F33/62
D06F33/65
D06F33/69
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213255
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳶 幸生
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純也
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】処理水を生成するための水溶性のビーズが洗浄対象物に付着することを防止できるランドリー機器を提供する。
【解決手段】ランドリー機器の一例である洗濯機1は、洗濯物Lを収容するドラム6と、ドラム6内の洗濯物Lを処理するための水溶性のビーズBを収容して水が溜められるタンク21と、タンク21内に給水する流入弁23と、タンク21内においてビーズBが溶けた水である処理水をドラム6内に供給する供給部25と、タンク21内に配置されてビーズBを包むメッシュ部材28とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物を収容する収容槽と、
前記収容槽内の洗浄対象物を処理するための水溶性のビーズを収容し、水が溜められるタンクと、
前記タンク内に給水する給水部と、
前記タンク内において前記ビーズが溶けた水である処理水を前記収容槽内に供給する供給部と、
前記タンク内に配置され、前記ビーズを包むメッシュ部材とを含む、ランドリー機器。
【請求項2】
前記メッシュ部材は、不織布によって構成される、請求項1に記載のランドリー機器。
【請求項3】
前記メッシュ部材は、吸水性を有する、請求項1又は2に記載のランドリー機器。
【請求項4】
前記メッシュ部材を前記タンクの内面部に押さえ付ける押え部材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のランドリー機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機などのランドリー機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された洗濯機は、本体と、本体内に配置された外槽と、外槽内に配置されて洗濯物を収容する回転ドラムと、本体内において外槽の後方に配置された給水弁と、外槽と給水弁とをつなぐ給水経路と、給水経路に設けられた金属イオン発生手段と、外槽の下部に接続された循環ポンプと、循環ポンプから外槽の上部に延びる循環ホースとを含む。この洗濯機では、最終すすぎ工程の後に、給水弁が開いて循環ポンプが作動して、回転ドラムがゆっくり回転する。すると、金属イオン発生手段で発生した金属イオンが、給水経路を流れる水に溶けて処理水となって外槽に供給された後に、循環ホースを流れて外槽の上部から回転ドラム内の洗濯物に噴きかけられる。これにより、洗浄対象物である洗濯物が除菌及び消臭される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の金属イオン発生手段として、金属イオンの元となるビーズを水に溶かして処理水を生成する構成が考えられる。この構成では、水に溶けたり劣化したり洗濯機の振動を受けたりすることによって、ビーズが細かい破片となると、ビーズの破片が水に乗って回転ドラム内に流入して洗濯物に付着するおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、処理水を生成するための水溶性のビーズが洗浄対象物に付着することを防止できるランドリー機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗浄対象物を収容する収容槽と、前記収容槽内の洗浄対象物を処理するための水溶性のビーズを収容し、水が溜められるタンクと、前記タンク内に給水する給水部と、前記タンク内において前記ビーズが溶けた水である処理水を前記収容槽内に供給する供給部と、前記タンク内に配置され、前記ビーズを包むメッシュ部材とを含む、ランドリー機器である。
【0007】
また、本発明は、前記メッシュ部材が、不織布によって構成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記メッシュ部材が、吸水性を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記ランドリー機器が、前記メッシュ部材を前記タンクの内面部に押さえ付ける押え部材を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランドリー機器では、水溶性のビーズを収容したタンク内に給水されると、ビーズが水に溶けることによって処理水が生成されてタンク内に溜まるので、タンク内の処理水を給水部によって収容槽内に供給すれば、処理水によって収容槽内の洗浄対象物を処理することができる。タンク内のビーズは、メッシュ部材によって包まれた状態にあるので、水に溶けたり劣化したりするなどによって小さくなって破片になってもタンクの外に流出しない。そのため、ビーズが収容槽内の洗浄対象物に付着することを防止できる。また、ビーズをメッシュ部材で包むことによってメッシュ部材の内側の処理水の濃度が速やかに高くなるので、この処理水がタンク内におけるメッシュ部材の外の水に混ざることによって、タンク全体で高濃度の処理水を速やかに生成することができる。つまり、メッシュ部材が存在しない場合よりも、高濃度の処理水の生成について時短を図れる。
【0011】
また、本発明によれば、不織布によって構成されたメッシュ部材であれば、破片になったビーズをタンクの外に流出しないように内側に留めておくことができる。
【0012】
また、本発明によれば、吸水性を有するメッシュ部材は、湿った状態にあるので、内側のビーズを積極的に濡らすことによって、タンク内の水に効果的に溶かして高濃度の処理水を生成することができる。
【0013】
また、本発明によれば、押え部材が、メッシュ部材をタンクの内面部に押さえ付けることにより、メッシュ部材の内側のビーズを位置決めするので、ビーズがタンクの外に流出することを一層防止できる。そのため、ビーズが収容槽内の洗浄対象物に付着することを一層防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るランドリー機器の縦断面右側面図である。
【
図2】ランドリー機器に含まれる処理水ユニットの模式的な縦断面正面図である。
【
図3】ランドリー機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】ランドリー機器において実行される洗浄運転を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明のランドリー機器の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。
【0016】
左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を左方X1といい、
図1の紙面における手前側を右方X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前方Y1といい、
図1における右側を後方Y2という。上下方向Zのうち、上側を上方Z1といい、下側を下方Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。横方向は、水平方向Hであってもよいし、水平方向Hに対して若干傾斜した略水平方向であってもよい。
【0017】
洗濯機1として、本実施形態では、乾燥機能を有するドラム式の洗濯乾燥機について説明するが、洗濯機1では、乾燥機能が省略されてもよい。洗濯機1は、筐体2と、筐体2内に配置された水槽3と、水槽3に接続された給水路4及び排水路5と、水槽3内に収容された収容槽の一例としてのドラム6と、ドラム6を回転させる駆動部の一例としてのモータ7とを含む。洗濯機1は、ドラム6内に収容される洗浄対象物の一例としての洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット8と、ドラム6内における乾燥状態の洗濯物Lに洗浄用の処理水を供給する処理水ユニット9とをさらに含む。
【0018】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉11が設けられる。以下の説明では、扉11が開口2Bを閉じた状態を基準とする。
【0019】
水槽3は、筐体2の底壁2Cから上方Z1へ延びるダンパ12によって支えられ、ばね(図示せず)によって吊り下げられる。これにより、水槽3及びその内側のドラム6の全体が、筐体2によって弾性支持される。水槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後方Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。
【0020】
背面壁3Bは、上下方向Zに沿って垂直に配置される。背面壁3Bの中心には、軸線Jに沿って背面壁3Bを前後方向Yに貫通した貫通穴3Dが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Eと、第1部3Eの内周縁から前方Y1へ突出した円筒状の第2部3Fと、第2部3Fの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Gとを有する。第3部3Gの内側には、円周壁3Aの中空部分に前方Y1から連通した出入口3Hが形成される。出入口3Hは、筐体2の開口2Bに対して後方Y2から対向して連通した状態にある。
【0021】
給水路4は、蛇口(図示せず)に接続される一端4Aと、水槽3における例えば背面壁3Bの上部に接続された他端4Bとを有する。排水路5は、水槽3の下端部、例えば円周壁3Aの下端部に接続される。
【0022】
洗濯機1は、給水路4に設けられた開閉可能な給水弁13と、排水路5に設けられた開閉可能な排水弁14とを含む。開状態の給水弁13は、給水路4を開いたON状態にあり、閉状態の給水弁13は、給水路4を閉じたOFF状態にある。開状態の排水弁14は、排水路5を開いたON状態にあり、閉状態の排水弁14は、排水路5を閉じたOFF状態にある。
【0023】
排水弁14が閉じた状態で給水弁13が開くと、蛇口からの水道水が給水路4を流れる。水道水を、以下では単に「水」ということがある。給水路4を流れた水は、給水路4の他端4Bから水槽3内に流入して溜まる。水槽3に水が溜まった状態で排水弁14が開くと、水槽3内の水は、排水路5から筐体2の外、つまり機外に排出される。
【0024】
ドラム6は、軸線Jと一致した中心軸線を有する円筒体であって、水槽3よりも一回り小さい。ドラム6は、本実施形態では中心軸線が水平方向Hに沿うように水平に配置されるが、ドラム6の中心軸線が水平方向Hに対して傾斜するように斜めに配置されてもよい。ドラム6は、水槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁6Aと、円周壁6Aの中空部分を後方Y2から塞いだ円盤状の背面壁6Bと、円周壁6Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁6Cとを有する。
【0025】
ドラム6において少なくとも円周壁6Aには、複数の貫通穴6Dが形成され、水槽3内の水は、貫通穴6Dを介して、水槽3とドラム6との間で行き来してドラム6内にも溜まる。そのため、水槽3内の水位とドラム6内の水位とは、一致する。
【0026】
円周壁6Aの内周面は、ドラム6の内周面部6Eを構成する。内周面部6Eは、背面壁6Bの前面における外周部も含んでもよい。ドラム6の背面壁6Bの中心には、軸線Jに沿って後方Y2へ延びる支持軸6Fが設けられる。支持軸6Fの後端部は、水槽3の背面壁3Bの貫通穴3Dを通って背面壁3Bよりも後方Y2に配置される。
【0027】
環状壁6Cの内側には、円周壁6Aの中空部分に前方Y1から連通した出入口6Gが形成される。出入口6Gは、水槽3の出入口3H及び筐体2の開口2Bに対して後方Y2から対向して連通した状態にある。出入口3H及び出入口6Gは、開口2Bとともに、扉11によって一括開閉される。使用者は、開放された開口2B、出入口3H及び出入口6Gを介して、ドラム6内に洗濯物Lを出し入れする。扉11には、扉11が開口2B、出入口3H及び出入口6Gを閉じたときに水槽3の正面壁3Cの第3部3Gに密着するパッキン15が設けられる。
【0028】
モータ7は、筐体2内において、水槽3の背面壁3Bの後方Y2に配置される。モータ7の一例として、DD(ダイレクトドライブ)モータを採用できる。モータ7は、ドラム6に設けられた支持軸6Fに連結される。モータ7が発生したトルクは、支持軸6Fに伝達されるので、モータ7のトルクを受けたドラム6が、支持軸6Fを伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ7と支持軸6Fと間には、モータ7のトルクを支持軸6Fに伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0029】
乾燥ユニット8は、水槽3内の空気を循環させるための循環路16及び送風部17と、循環する空気を加熱する加熱部18とを含む。
【0030】
循環路16は、筐体2内において水槽3の上方Z1に配置された流路である。循環路16は、前後方向Yに延びる途中部分16Aと、途中部分16Aの後端から下方Z2へ延びる後部分16Bと、途中部分16Aの前端から下方Z2へ延びる前部分16Cとを有する。後部分16Bの下端部の前端には、取出口16Dが形成される。取出口16Dは、水槽3の背面壁3Bに接続され、水槽3内に後方Y2から連通する。前部分16Cの下端には、戻し口16Eが形成される。戻し口16Eは、水槽3の正面壁3Cの第2部3Fの上端部に接続され、水槽3内に上方Z1から連通する。
【0031】
送風部17は、いわゆるブロアであり、循環路16内に配置された回転羽根17Aと、回転羽根17Aを回転させるモータ(図示せず)とを含む。回転羽根17Aが回転すると、水槽3内の空気、つまり水槽3内及びドラム6内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口16Dから循環路16内に取り出された後に、戻し口16Eから水槽3内に戻される。これにより、水槽3内の空気は、水槽3と循環路16とを順に流れるように循環する。
【0032】
加熱部18は、ヒートポンプにおける熱交換器又は一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路16内に設けられる。加熱部18において循環路16内に設けられた部分は、放熱部18Aを有する。加熱部18が作動すると放熱部18Aが高温になるので、循環路16内を流れる空気が放熱部18Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。
【0033】
処理水ユニット9は、筐体2内において水槽3よりも上方Z1に配置されたタンク21と、給水路4において給水弁13よりも一端4Aに近い上流部分から分岐してタンク21につながった流入路22と、流入路22に設けられて開閉可能な流入弁23とを含む。処理水ユニット9は、タンク21から下方Z2へ延びて下端部が水槽3内に配置された供給路24と、供給路24の下端部に設けられた供給部25と、タンク21から下方Z2へ延びて水槽3に接続された流出路26と、流出路26に設けられて開閉可能な流出弁27とを含む。
【0034】
処理水ユニット9の模式的な縦断面正面図である
図2を参照して、タンク21は、底壁21Aと、底壁21Aの外縁の全域から立ち上がった環状の側壁21Bと、底壁21A及び側壁21Bによって囲まれたタンク21の内部空間21Cを上方Z1から塞ぐ天壁21Dとを含む。底壁21Aの上面及び側壁21Bの内周面は、タンク21の内面部を構成する。
【0035】
天壁21Dには、天壁21Dを上下方向Zに貫通した装填口21Eと、装填口21Eを開閉するカバー21Fとが設けられる。カバー21Fの下面には、下方Z2に突出したリブ状の押え部材21Gが設けられる。筐体2の天壁2Dには、カバー21Fにアクセスするための開口2Eが設けられる(
図1参照)。
【0036】
流入路22は、例えば途中で上方Z1へ折れ曲がってからタンク21の側壁21B又は天壁21Dに接続されることによって、タンク21の内部空間21Cに連通する。流入弁23が開くと、蛇口からの水道水が給水路4及び流入路22を流れてタンク21の内部空間21Cに流入する。そのため、流入弁23は、タンク21内に給水する給水部として機能する。流入弁23が閉じると、タンク21内への給水が停止する。
【0037】
供給路24の上端部は、タンク21の底壁21Aに接続され、供給路24の下端部は、水槽3の正面壁3Cの第2部3Fを貫通して後方Y2へ折れ曲がり、ドラム6の出入口6Gからドラム6内に臨む(
図1参照)。供給部25の一例は、超音波振動子であり、供給路24の下端部に取り付けられる。供給部25の機能については、後で説明する。
【0038】
流出路26は、タンク21の底壁21Aから下方Z2へ延びて、水槽3の正面壁3Cの第2部3Fに接続される(
図1参照)。流出弁27が閉じた状態で流入弁23が開くと、タンク21の内部空間21Cに水が溜まる。このとき、タンク21内の水の一部は、流出路26において流出弁27よりも上方Z1の上流領域にも存在する。そのため、当該上流領域を、タンク21の内部空間21Cの一部とみなしてもよい。流出弁27が開くと、タンク21内の水が流出路26を通って水槽3内に流出した後に、排水路5から機外に排出される(
図1参照)。そのため、流出弁27は、タンク21内の水を排出する排水部として機能する。
【0039】
処理水ユニット9は、タンク21内に配置されたメッシュ部材28、水位センサ29、振動子30及びヒータ31をさらに含む。
【0040】
メッシュ部材28は、不織布によって袋状に構成され、吸水性を有する。メッシュ部材28の材料として、100%ポリエステル繊維を用いることができる。また、メッシュ部材28として適切な商品の一例として、入手が容易であり、耐久性、耐薬性、抗菌性及び加工性に優れた東洋紡株式会社製の「ジャームガード」を用いることができる。メッシュ部材28には、ドラム6内の洗濯物Lを処理するための水溶性のビーズBが収容される。ビーズBは、本実施形態では銀を練り込んだガラスのビーズであるが、光触媒に用いられる酸化チタンのビーズや、次亜塩素酸のビーズであってもよい。メッシュ部材28の網目は、使用などに応じて小さくなったビーズBを通さないものの、タンク21内の水を行き来させる程度の大きさに設定される。
【0041】
使用者は、筐体2の天壁2Dの開口2Eからタンク21のカバー21Fにアクセスして装填口21Eを開き、多数のビーズBを包んだメッシュ部材28を装填口21Eからタンク21の内部空間21Cに装填する。その後、使用者がカバー21Fによって装填口21Eを閉じると、
図1及び2に示すようにビーズBのセットが完了し、メッシュ部材28内のビーズBがタンク21内に収容される。ビーズBを包んだメッシュ部材28は、タンク21に対して着脱可能なカートリッジを構成してもよい。
【0042】
メッシュ部材28は、タンク21内においてカバー21Fの押え部材21Gによってタンク21の底壁21Aの上面に対して上方Z1から押え付けられる。この状態でタンク21内に水が溜まると、タンク21内には、ビーズBの成分である銀イオンが溶けた水である処理水が生成される。処理水は、除菌効果や抗菌効果や消臭効果などの洗浄効果、特に抗菌効果を有する。なお、他の洗浄効果として、芳香効果も挙げられ、その場合のビーズBは、芳香剤によって構成されてもよい。
【0043】
水位センサ29は、タンク21内の水位を検出するセンサである。水位センサ29として、フロートスイッチを用いてもよい。振動子30は、タンク21内において水に浸かる位置に配置され、タンク21内の水を振動させる。ヒータ31は、タンク21内において水に浸かる位置に配置され、タンク21内の水を加熱する。タンク21内の水が振動されたり加熱されたりすることによって、タンク21内の処理水における銀イオンの濃度を速やかに高めることができるので、高濃度の処理水を短時間で生成することができる。
【0044】
図3は、洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。洗濯機1は、制御部32をさらに含む。制御部32は、例えば、CPUと、ROMやRAMなどのメモリと、計時用のタイマとを含むマイコンとして構成され、筐体2内に内蔵される(
図1参照)。モータ7、給水弁13、排水弁14、送風部17、加熱部18、流入弁23、供給部25、流出弁27、水位センサ29、振動子30及びヒータ31のそれぞれは、制御部32に対して電気的に接続される。
【0045】
制御部32は、ドラム6が所望の回転数で回転するようにモータ7を制御する。制御部32は、給水弁13、排水弁14、流入弁23及び流出弁27のそれぞれの開閉を制御する。制御部32は、送風部17、加熱部18、供給部25、振動子30及びヒータ31のそれぞれの動作を制御する。水位センサ29の検出結果は、リアルタイムで制御部32に入力される。
【0046】
制御部32は、洗濯運転を実行する。洗濯運転は、最初の準備工程と、準備工程の後の洗い工程と、洗い工程の後に1回又は複数回実行されるすすぎ工程と、最後のすすぎ工程の後に実行される脱水工程とを含む。洗濯運転は、脱水工程後に実行される乾燥工程も含む洗濯乾燥運転であってもよい。
【0047】
制御部32は、準備工程では、モータ7を作動させて、例えば100rpmでドラム6を回転させ、その際のモータ7の電流の抵抗値などに基いて、ドラム6内の洗濯物Lによる負荷量を検出する。負荷量は、ドラム6内の洗濯物Lの収容量に相当する。洗濯物Lの収容量の一例は、洗濯物Lの重量である。
【0048】
制御部32は、検出した負荷量に基いて、洗剤及び柔軟剤のそれぞれの必要量と、洗い工程及びすすぎ工程における水槽3内の目標水位とを決定する。負荷量毎の洗剤及び柔軟剤のそれぞれの必要量と、負荷量毎の目標水位とは、予め定められて制御部32のメモリに記憶される。
【0049】
洗い工程では、制御部32は、まず、排水弁14を閉じた状態で給水弁13を開くことによって給水処理を実行する。これにより、給水路4からの水が水槽3内に流入して溜まるので、水槽3内の水位が上昇する。水槽3内の水位が目標水位まで上昇すると、制御部32は、給水弁13を閉じることによって給水処理を終了する。
【0050】
給水処理の際に、必要量の洗剤を水槽3内に投入する。なお、洗剤は、使用者によって手動投入されてもよいし、洗濯機1が備える自動投入装置(図示せず)によって自動投入されてもよい。いずれの場合にも、洗剤が水道水に溶けることによって生成された洗剤水が、水槽3内に溜まる。
【0051】
制御部32は、給水処理後の洗い処理として、モータ7によってドラム6を正回転させたり反回転させたりする。これにより、ドラム6内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてからドラム6の回転方向の切り替わりなどに応じて水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、ドラム6内に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部32が排水弁14を開いて排水する。
【0052】
洗い工程の最後に、制御部32は、脱水処理を実行する。制御部32は、脱水処理では、排水弁14を開いた状態で、ドラム6を脱水回転させる。ドラム6の脱水回転により生じた遠心力によって、ドラム6内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路5から機外に排出される。
【0053】
次に、制御部32は、すすぎ工程を実行する。制御部32は、すすぎ工程では、排水弁14を閉じた状態で、少なくとも給水弁13を所定時間開いて水槽3に目標水位まで水道水を溜めてから、モータ7によってドラム6を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lがドラム6内の水道水によってすすがれる。なお、タンブリングに先立って、必要量の柔軟剤が自動投入装置によって水槽3内に投入されてもよい。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部32が排水して、前述した脱水処理を実行すると、すすぎ工程が終了する。
【0054】
次に、制御部32は、脱水工程として、排水弁14を開いた状態で、ドラム6を脱水回転させる。つまり、脱水工程の内容は、洗い工程の終盤の脱水処理やすすぎ工程の終盤の脱水処理の内容と、ほぼ同じである。脱水処理を中間脱水工程といって、脱水工程を最終脱水工程といってもよい。最終脱水工程と中間脱水工程とでは、ドラム6の回転数や回転時間などに違いがあってもよい。
【0055】
制御部32は、乾燥工程では、送風部17及び加熱部18を制御することによって熱風を発生させてドラム6と循環路16との間で循環させ、ドラム6内の洗濯物Lに供給する。これにより、洗濯物Lが乾燥する。
【0056】
制御部32は、乾燥状態の洗濯物Lをタンク21内の処理水によって洗浄する洗浄運転も実行することができる。洗浄運転は、洗濯乾燥運転の一部として乾燥運転の後に実行されてもよいし、洗濯運転や洗濯乾燥運転とは独立した運転であってもよい。使用者は、筐体2の前面2Aに設けられた液晶操作パネルなどによる表示操作部(図示せず)を操作することによって、洗浄運転を、洗濯乾燥運転の一部として実行するか単独の運転として実行するかを選択することができる。洗浄運転の対象となる洗濯物Lは、洗濯機1で洗濯できる洗濯物に限らず、洗濯機1で洗濯できないコートやぬいぐるみなどであってもよい。一例として、使用者が、帰宅後に脱いだコートに付いた汚れなどを除去したい場合に、洗浄運転が単独の運転として実行される。
【0057】
図4は、洗浄運転を示すフローチャートである。乾燥状態の洗濯物Lがドラム6内に収容された状態で洗浄運転が始まると、制御部32は、タンク21内において必要な濃度の処理水を生成するのに必要な時間である生成時間と、処理水の必要な水量とを算出する(ステップS1)。
【0058】
生成時間及び水量のそれぞれは、ドラム6内の洗濯物Lの負荷量に応じて異なってもよく、その場合には、制御部32は、前述した準備工程を実行して負荷量を検出して、検出後の負荷量に応じた生成時間及び水量のそれぞれを算出する。負荷量から生成時間及び水量のそれぞれを算出するための式は、予め定められて制御部32のメモリに記憶される。なお、使用者は、表示操作部を操作することによって、洗濯物Lを除菌するか抗菌するかを選択することもでき、除菌の場合には、抗菌の場合よりも高濃度の処理水が必要になるので、制御部32は、除菌及び抗菌のそれぞれに応じた生成時間を算出する。
【0059】
生成時間及び水量を算出した制御部32は、エアウォッシュを開始する(ステップS2)。具体的には、制御部32は、例えば45rpmでドラム6を回転させた状態で送風部17を作動させることによって空気を循環させる。これにより、ドラム6内でタンブリングによって繰り返し落下する洗濯物Lが、循環する空気に晒されることによって、洗濯物Lから埃などが取り除かれる。このような処理を、エアウォッシュという。また、制御部32は、エアウォッシュを開始すると同時に、生成時間に関する時間計測を開始する。
【0060】
エアウォッシュを開始した制御部32は、水位センサ29の検出結果を参照することによって、タンク21内に必要な水量が既にあるか否かを確認する(ステップS3)。タンク21内に必要な水量がなければ(ステップS3でNO)、制御部32は、流出弁27を閉じた状態で流入弁23を開くことによってタンク21に給水する(ステップS4)。なお、タンク21が満水である場合に、タンク21内に必要な水量があると判断してもよい。
【0061】
タンク21内に必要な水量が既にある場合(ステップS3でYES)、又は、給水(ステップS4)によって必要な水量の水がタンク21に溜まると、制御部32は、生成時間が経過したか否か、つまり、タンク21内でビーズBが十分に水に溶けることによって必要な濃度以上の処理水がタンク21内で生成されたか否かを確認する(ステップS5)。
【0062】
生成時間が経過した場合、つまり必要な濃度以上の処理水がタンク21内で生成された場合には(ステップS5でYES)、制御部32は、直近のタンク21への給水時から所定の設定時間が経過したか否か、つまりタンク21内の処理水の濃度が高過ぎるか否かを確認する(ステップS6)。直近のタンク21への給水時についての時刻情報は、制御部32のメモリに一時記憶される。設定時間を経過する位にタンク21内の処理水が放置されると、処理水の濃度が高過ぎるおそれがある。
【0063】
設定時間が経過した場合、つまりタンク21内の処理水の濃度が高過ぎる場合には(ステップS6でYES)、制御部32は、流出弁27を開いてタンク21を空になるまで強制排水する(ステップS7)。その後、制御部32は、生成時間の時間計測を一旦リセットしてから再開し、ステップS3からの処理を繰り返して流入弁23を開くことによって、必要な濃度以上の処理水をタンク21内に生成する(ステップS4及びS5)。
【0064】
このように、制御部32は、流入弁23及び流出弁27のそれぞれを開閉することによってタンク21内の処理水の濃度を調整する。これにより、ビーズBの溶け過ぎを防止することによって、ビーズBの寿命を延ばすことができる。特に、タンク21内へのビーズBの収容量を調整したうえでタンク21内の処理水の濃度を調整すれば、ビーズBの寿命を任意に調整することもできる。ちなみに、ビーズBの寿命は数年である。
【0065】
設定時間が未経過である場合、つまりタンク21内の処理水の濃度が適正である場合には(ステップS6でNO)、制御部32は、現時点が処理水の供給開始タイミングになったか否かを確認する(ステップS8)。供給開始タイミングは、洗浄運転の運転時間内における途中のタイミングであって、予め定められて制御部32のメモリに記憶される。
【0066】
現時点が処理水の供給開始タイミングになると(ステップS8でYES)、制御部32は、タンク21につながった流出路26の下端部に設けられた供給部25を作動させることによってドラム6内への処理水の供給を開始する(ステップS9)。このように、洗浄運転中において供給開始タイミングになるまでの時間を有効利用して、必要な濃度及び水量の処理水をタンク21内に予め準備しておいてから、供給開始タイミングに処理水の供給が開始される。
【0067】
作動中の供給部25は、超音波振動することによって、流出路26内つまりタンク21内の処理水をミスト状にしてドラム6内に供給する。これにより、ドラム6内で処理水のミストが直接浴びせられた洗濯物Lは、処理水によって除菌されたり抗菌されたり消臭されたりすることによって洗浄処理されるだけでなく、汚れや菌が付着しないように処理水によってコーティング処理される。また、エアウォッシュが継続中であるので、処理水のミストが水槽3と循環路16との間で循環することによって、洗濯物Lだけでなく、水槽3と、水槽3内のドラム6と、循環路16とを洗浄することもできる。なお、供給部25は、処理水をシャワー状に供給できるシャワーバルブであってもよい。
【0068】
また、処理水の供給開始から例えば2分が経過すると、制御部32は、ドラム6の回転数を、今までの45rpmから、例えば100rpm以上の所定回転数まで上昇させて、モータ7によってドラム6を所定回転数で同一方向に回転させ続ける。これにより、ドラム6内の洗濯物Lは、タンブリングとは異なり、落下することなく、ドラム6の内周面部6E(
図1参照)に張り付いて平べったくなった状態で、同一方向に回転し続ける。この状態で、制御部32は、供給部25によって、タンク21内の処理水をドラム6内に供給する。
【0069】
処理水の供給開始から、例えば3分の設定時間が経過すると(ステップS10でYES)。制御部32は、供給部25を停止させることによってドラム6内への処理水の供給を終了する(ステップS11)。その際、制御部32は、ドラム6の回転を停止させるとともに送風部17も停止させることによって、エアウォッシュも終了する。これにより、洗浄運転が終了する。制御部32は、使用者による設定などに応じて設定時間を調整することによって、処理水による処理効果を調整することができる。例えば、設定時間が長ければ、抗菌効果などの処理効果は高くなる。
【0070】
以上のように、洗濯機1では、ビーズBを収容したタンク21内に給水されると、ビーズBが水に溶けることによって処理水が生成されてタンク21内に溜まる。この構成であれば、処理水をタンク21内で熟成させることによって、処理水におけるビーズBの成分つまり銀イオンの濃度を高めることができる。これにより、タンク21内の高濃度の処理水を供給部25によってドラム6内に供給すれば、高濃度の処理水によってドラム6内の洗濯物Lを効果的に処理することができる。そのため、処理水による処理効果を向上できる。
【0071】
また、供給部25が、タンク21内の処理水をミスト状にしてドラム6内に供給することによって、ドラム6内の洗濯物Lに満遍なく処理水を浴びせることができるので、洗濯物Lを一層効果的に処理することができる。そのため、処理水による処理効果を一層向上できる。
【0072】
また、ドラム6内の洗濯物Lがドラム6の内周面部6Eに張り付くようにドラム6を回転させた状態でタンク21内の処理水をドラム6内に供給することによって、ドラム6内の洗濯物Lに満遍なく処理水を浴びせることができる。これにより、洗濯物Lを一層効果的に処理することができる。そのため、処理水による処理効果を一層向上できる。
【0073】
また、タンク21内に給水する流入弁23と、タンク21内の水を排出する流出弁27とを制御することによってタンク21内の処理水の濃度を調整することにより、適切な濃度の処理水をドラム6内の洗濯物Lに浴びせることができるので、洗濯物Lを一層効果的に処理することができる。そのため、処理水による処理効果を一層向上できる。
【0074】
そして、タンク21内のビーズBは、メッシュ部材28によって包まれた状態にあるので、水に溶けたり劣化したりするなどによって小さくなって破片になってもタンク21の外に流出しない。そのため、ビーズBがドラム6内の洗濯物Lに付着することを防止できる。また、吸水性を有するメッシュ部材28は、湿った状態にあるので、内側のビーズBを積極的に濡らすことによって、タンク21内の水に効果的に溶かして高濃度の処理水を生成することができる。
【0075】
また、ビーズBをメッシュ部材28で包むことによってメッシュ部材28の内側の処理水の濃度が速やかに高くなるので、この処理水がタンク21内におけるメッシュ部材28の外の水に混ざることによって、タンク21全体で高濃度の処理水を速やかに生成することができる。つまり、メッシュ部材28が存在しない場合よりも、高濃度の処理水の生成について時短を図れる。また、不織布によって構成されたメッシュ部材28であれば、破片になったビーズBをタンク21の外に流出しないように内側に留めておくことができる。また、親水性を有する不織布をメッシュ部材28に用いてもよく、この場合には、ビーズBにおける銀イオンの溶融速度を向上することができる。
【0076】
また、押え部材21Gが、メッシュ部材28をタンク21の内面部に押さえ付けることにより、メッシュ部材28の内側のビーズBを位置決めするので(
図2参照)、ビーズBがタンク21の外に流出することを一層防止できる。そのため、ビーズBがドラム6内の洗濯物Lに付着することを一層防止できる。
【0077】
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、本発明に係るランドリー機器は、前述した実施形態では、ドラム式の洗濯機1であるが、縦型の洗濯機であってもよいし、洗濯機能が省略された乾燥機であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 洗濯機
6 ドラム
21 タンク
21G 押え部材
23 流入弁
25 供給部
28 メッシュ部材
B ビーズ
L 洗濯物