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特開2023-97111フート弁組立体およびサブマージドポンプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097111
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】フート弁組立体およびサブマージドポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20230630BHJP
   F04D 7/02 20060101ALI20230630BHJP
   F04D 13/08 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F16K17/04 Z
F16K17/04 A
F04D7/02 A
F04D13/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213272
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】富田 恭雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 元康
(72)【発明者】
【氏名】江口 真右
【テーマコード(参考)】
3H059
3H130
【Fターム(参考)】
3H059AA02
3H059BB04
3H059CA02
3H059CA12
3H059CA29
3H059CB27
3H059CD05
3H059EE01
3H059FF01
3H059FF12
3H130AA06
3H130AA23
3H130AB13
3H130AB23
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC01
3H130BA53J
3H130DA02Z
3H130DG08Z
(57)【要約】
【課題】サブマージドポンプシステムにおいて、フート弁組立体のシール性を向上させる。
【解決手段】本発明に係るフート弁組立体6,6Aは、取扱液Lg内に浸漬されるポンプ5が収容される筒状のポンプコラム2の下部開口端2bに取り付けられ、ポンプの吸込口5aが収容される筒状のアダプタ10,10Aと、アダプタの下端面10aの下方に位置し、取扱液をポンプに向けて流入させる流入路FLを下端面との間に形成する流路形成面21を有し、アダプタの下部開口11aを開閉する円板状の弁体20,20Aと、弁体をアダプタ側に向けて付勢する付勢部材62と、流入路に配置され、弁体の閉弁時、下部開口から放出される流体に対しては流体の圧力に応じて開き、下部開口へと向かう取扱液に対しては閉じる一方向弁50と、を有してなる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取扱液内に浸漬されるポンプが収容される筒状のポンプコラムの下部開口端に取り付けられ、前記ポンプの吸込口が収容される筒状のアダプタと、
前記アダプタの下端面の下方に位置し、前記取扱液を前記ポンプに向けて流入させる流入路を前記下端面との間に形成する流路形成面を有し、前記アダプタの下部開口を開閉する円板状の弁体と、
前記弁体を前記アダプタ側に向けて付勢する付勢部材と、
前記流入路に配置され、前記弁体の閉弁時、前記下部開口から放出される流体に対しては前記流体の圧力に応じて開き、前記下部開口へと向かう前記取扱液に対しては閉じる一方向弁と、
を有してなる、
フート弁組立体。
【請求項2】
前記アダプタの前記下端面に取り付けられるリング状の第1シール部材を有してなり、
前記弁体は、前記第1シール部材に対向して配置され、前記流路形成面から前記第1シール部材に向けて突出するリング状の突起部を備え、
前記弁体の閉弁時、前記突起部は、前記付勢部材の付勢力により、前記第1シール部材に押し付けられる、
請求項1に記載のフート弁組立体。
【請求項3】
前記弁体の径方向において、前記一方向弁は、前記突起部よりも外方に配置される、
請求項2に記載のフート弁組立体。
【請求項4】
前記一方向弁は、前記アダプタまたは前記弁体のいずれか一方に取り付けられ、
前記弁体の径方向において、前記一方向弁が取り付けられる前記アダプタまたは前記弁体は、前記一方向弁の移動を規制する移動規制部を備える、
請求項1乃至3のいずれかに記載のフート弁組立体。
【請求項5】
前記一方向弁は、リング状の弾性材で構成され、前記流体の前記圧力に応じて変形する変形部を備える、
請求項1乃至4のいずれかに記載のフート弁組立体。
【請求項6】
前記弁体の閉弁時に、前記下端面および前記流路形成面に当接する環状の第2シール部材を有してなる、
請求項1乃至5のいずれかに記載のフート弁組立体。
【請求項7】
前記アダプタの径方向において、前記第2シール部材は、前記流入路の前記一方向弁よりも外方に配置される、
請求項6に記載のフート弁組立体。
【請求項8】
前記第2シール部材は、前記アダプタまたは前記弁体のいずれか一方に取り付けられ、
前記アダプタまたは前記弁体の少なくとも一方は、閉弁時に前記第2シール部材が当接する凹部を備える、
請求項6または7に記載のフート弁組立体。
【請求項9】
取扱液に浸漬されるポンプと、
前記ポンプを収容する筒状のポンプコラムと、
請求項1乃至8のいずれかに記載のフート弁組立体と、
を有してなる、
サブマージドポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フート弁組立体およびサブマージドポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サブマージドポンプシステムは、液化ガス(液化天然ガス、液化アンモニアなど)が貯蔵されている貯蔵タンクから液化ガスを取り出すために用いられている。ポンプ(サブマージドポンプ)は、貯蔵タンクの天井から液化ガス内に延設されているポンプコラムに収容され、液化ガス内に浸漬されている。ポンプコラムの下部開口端は、フート弁組立体により開閉される。
【0003】
サブマージドポンプシステムでは、ポンプは、例えば、メンテナンスのために貯蔵タンクの外部に取り出される。ポンプ停止時、ポンプコラム内には、残留した液化ガスおよび気化した液化ガス(気化ガス)が充満している。この状態でヘッドプレートが取り外されると、液化ガスおよび気化ガス(以下まとめて「残留ガス」という。)が外部に漏洩する。残留ガスの多くは可燃性や毒性を有するため、ヘッドプレートが取り外される前に、残留ガスの除去が必要となる。残留ガスの除去には、フート弁組立体の弁体が閉じられた状態で窒素などの不活性ガスをポンプコラム内へ導入する手法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
弁体は、スプリングにより上方、すなわち閉弁方向に付勢されており、ポンプ稼働時はポンプの自重により開いている(例えば、特許文献2参照)。したがって、ポンプが持ち上げられると、弁体は、スプリングの付勢力により閉じられる。この状態でポンプコラム内に不活性ガスが導入されると、残留ガスは弁体を僅かに開きながら貯蔵タンク内に戻され、ポンプコラム内は不活性ガスにより除去(パージ)される。
【0005】
パージ後の弁体には、スプリングによる付勢力、および貯蔵タンク内の液化ガスの液量(液レベル)に応じた液圧が、閉弁方向に加えられている。その結果、弁体は閉じられ、弁体の突起部が対向する弾性材に押し付けられることにより、フート弁組立体はシールされる。すなわち、フート弁組立体のシール性は、付勢力および液圧に依存している。フート弁組立体のシール性を向上させるために付勢力を増加させると、弁体はポンプの自重だけでは開かなくなるため、付勢力の増加には限界がある。また、貯蔵タンク内の液化ガスの液量(液レベル)が減少すると、液圧は減少し、フート弁組立体のシール性は低下し得る。その結果、メンテナンス作業中に、フート弁組立体内(ポンプコラム内)に少量の液化ガスが漏洩し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-132619号公報
【特許文献2】実開平05-78992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、サブマージドポンプシステムにおいて、フート弁組立体のシール性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様におけるフート弁組立体は、取扱液内に浸漬されるポンプが収容される筒状のポンプコラムの下部開口端に取り付けられ、前記ポンプの吸込口が収容される筒状のアダプタと、前記アダプタの下端面の下方に位置し、前記取扱液を前記ポンプに向けて流入させる流入路を前記下端面との間に形成する流路形成面を有し、前記アダプタの下部開口を開閉する円板状の弁体と、前記弁体を前記アダプタ側に向けて付勢する付勢部材と、前記流入路に配置され、前記弁体の閉弁時、前記下部開口から放出される流体に対しては前記流体の圧力に応じて開き、前記下部開口へと向かう前記取扱液に対しては閉じる一方向弁と、を有してなる。
【0009】
本発明の一実施形態におけるサブマージドポンプシステムは、取扱液に浸漬されるポンプと、前記ポンプを収容する筒状のポンプコラムと、上記フート弁組立体と、を有してなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サブマージドポンプシステムにおいて、フート弁組立体のシール性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るサブマージドポンプシステムの実施の形態を示す模式断面図である。
図2】本発明に係るフート弁組立体の実施の形態を示す断面図である。
図3図2のフート弁組立体のA部を拡大した模式拡大断面図である。
図4図2のフート弁組立体の閉弁時における、A部を拡大した模式拡大断面図である。
図5】不活性ガス導入時における、図2のフート弁組立体のA部を拡大した模式拡大断面図である。
図6】不活性ガス導入終了後における、図2のフート弁組立体のA部を拡大した模式拡大断面図である。
図7】本発明に係るサブマージドポンプシステムの第2実施形態を示す模式断面図である。
図8】本発明に係るフート弁組立体の第2実施形態を示す断面図である。
図9図8のフート弁組立体のB部を拡大した模式拡大断面図である。
図10図8のフート弁組立体の閉弁時における、B部を拡大した模式拡大断面図である。
図11】不活性ガス導入時における、図8のフート弁組立体のB部を拡大した模式拡大断面図である。
図12】不活性ガス導入終了後における、図8のフート弁組立体のB部を拡大した模式拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る封止部材およびサブマージドポンプシステムおよびフート弁組立体の実施の形態について説明する。各図において、同一の部材および要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略する。また、各図において、各部材の構成を明確にするため、各部材の形状、大きさは、実寸法よりも意図的に強調して図示されている。
【0013】
以下の説明および図面において、「下方」は重力方向であり、「上方」は下方の反対方向である。
【0014】
●サブマージドポンプシステム(1)●
先ず、本発明に係るサブマージドポンプシステムの実施の形態について説明する。
【0015】
●サブマージドポンプシステム(1)の構成
図1は、本発明に係るサブマージドポンプシステムの実施の形態を示す模式断面図である。
【0016】
サブマージドポンプシステム1は、液化ガスLgが貯蔵されている貯蔵タンクTに取り付けられ、液化ガスLgを貯蔵タンクTから外部へ送液する。サブマージドポンプシステム1は、ポンプコラム2、封止部材3、サポートケーブル4、サブマージドポンプ(以下「ポンプ」という。)5、およびフート弁組立体6を備える。本実施の形態において、液化ガスLgは、液体アンモニアである。液化アンモニアは、本発明における取扱液の一例である。
【0017】
なお、本発明において、取扱液は、液化アンモニアに限定されない。すなわち、例えば、取扱液は、液化天然ガスでもよい。
【0018】
ポンプコラム2は、ポンプ5を収容すると共に、ポンプ5から吐出された液化ガスLgの送液路として機能する。ポンプコラム2の形状は、円筒状である。ポンプコラム2は、貯蔵タンクTの天井T1を貫通して配置され、天井T1から液化ガスLg内に延設されている。ポンプコラム2の上部外周面には、液化ガスLgの送液路R1が接続されている。ポンプコラム2の径方向において、ポンプコラム2の下端部は、外方に突出していて、下部フランジ部2cを構成している。
【0019】
封止部材3は、ポンプコラム2の上部開口端2aを液密に封止すると共に、ポンプコラム2内においてポンプ5を昇降させるとき、サポートケーブル4を介してポンプ5を吊り下げ支持する。封止部材3は、ポンプコラム2の上部開口端2aを塞ぐヘッドプレート3a、およびヘッドプレート3aを貫通して配置されるリフトシャフト3bを備える。リフトシャフト3bは、ポンプ5の昇降時に昇降されて、サポートケーブル4を介してポンプ5を支持する。
【0020】
サポートケーブル4は、ポンプコラム2内においてポンプ5を昇降させるとき、ポンプ5を吊り下げ支持する。サポートケーブル4は、例えば、金属ワイヤにより構成されている。サポートケーブル4は、リフトシャフト3bとポンプ5とに連結されている。
【0021】
ポンプ5は、フート弁組立体6から流入した液化ガスLgをポンプコラム2内へ吐出する。ポンプ5は、例えば、多段遠心ポンプおよび多段遠心ポンプを駆動するモータにより構成されている公知のサブマージドポンプである。ポンプ5の動力は、封止部材3に接続されている動力ケーブル(不図示)を介して供給される。ポンプ5は、ポンプコラム2の下部に収容され、液化ガスLgに浸漬されている。ポンプ5は、リフトシャフト3bの昇降に応じて、下降位置と昇降位置との間でポンプコラム2内を昇降される。
【0022】
「下降位置」は、ポンプ5がリフトシャフト3bに持ち上げられておらず、フート弁組立体6の後述する傾斜面14に支持されている位置である。「上昇位置」は、リフトシャフト3bが所定の高さまで持ち上げられたとき、ポンプ5がサポートケーブル4を介してリフトシャフト3bに吊り下げられている(持ち上げられている)位置である。
【0023】
フート弁組立体6は、ポンプコラム2の下部開口端2bを開閉する。フート弁組立体6の具体的な構成は、後述される。
【0024】
●フート弁組立体(1)の構成
次に、フート弁組立体6(本発明に係るフート弁組立体)の具体的な構成について説明する。
【0025】
図2は、フート弁組立体6の実施の形態を示す断面図である。
図3は、図2のフート弁組立体6のA部を拡大した模式拡大断面図である。
図2および図3は、ポンプ5が下降位置に位置しているときのフート弁組立体6を示す。また、図2は、説明の便宜上、ポンプコラム2およびポンプ5の下部も図示している。また、以下の説明において、後述する第1取付ボルトB1に対応するボルト孔は周知技術であるため、その説明は省略される。以下の説明において、図1は適宜参照される。
【0026】
フート弁組立体6は、アダプタ10、弁体20、シール部材30、押さえ板40、シール弁50、複数の付勢ユニット60、複数の第1取付ボルトB1、複数の第2取付ボルトB2、および取付ナットNを備える。
【0027】
アダプタ10は、ポンプコラム2に対して弁体20を取り付け、フート弁組立体6の筐体として機能する部材である。アダプタ10は、筒体部11、第1フランジ部12、第2フランジ部13、傾斜面14、複数の挿通孔15、第1凹部16、および第2凹部17を備える。
【0028】
筒体部11は、ポンプ5の下端部に配置されている吸込口(サクションマニホールド)5aを収容する。筒体部11の形状は、ほぼ円筒状である。以下のアダプタ10の説明において、「径方向」は筒体部11の径方向を意味し、「周方向」は筒体部11の周方向を意味する。
【0029】
径方向において、筒体部11の上端部は、外方に突出していてリング板状の第1フランジ部12を構成している。径方向において、筒体部11の下端部は、外方に突出していてリング板状の第2フランジ部13を構成している。すなわち、筒体部11は、第1フランジ部12および第2フランジ部13と一体に成形されている。
【0030】
上下方向において、筒体部11の内周面の上半部は、中央から上端に向けて連続的に拡径していて傾斜面14を構成している。
【0031】
挿通孔15は、第2フランジ部13を上下方向に貫通している貫通孔である。周方向において、挿通孔15は、第2フランジ部13の外縁部に等間隔で配置されている。
【0032】
アダプタ10の下端面10a(筒体部11および第2フランジ部13の下面。以下同じ。)のうち、内縁部側の領域は、上方に向けてリング板状に凹んでいて第1凹部16を構成している。第1凹部16は、複数の雌ねじ孔16aを備える。周方向において、雌ねじ孔16aは、第1凹部16に等間隔に配置されている。
【0033】
アダプタ10の下端面10aのうち、外縁部側の領域は、上方に向けてリング板状に凹んでいて第2凹部17を構成している。第2凹部17は、第2凹部17の内縁端に位置し、上下方向に沿う側面17aを備える。第2凹部17の外縁部には、挿通孔15が配置されている。径方向において、第2凹部17は、第1凹部16よりも外方に、第1凹部16と同心状に配置されている。側面17aは、本発明における移動規制部の一例である。
【0034】
アダプタ10は、第1フランジ部12が第1取付ボルトB1および取付ナットNによりポンプコラム2の下部フランジ部2cに締結されることにより、ポンプコラム2の下部開口端2bに取り付けられている。
【0035】
弁体20は、筒体部11の下部開口11a(すなわち、アダプタ10の下部開口)を開閉する。弁体20の形状は、円板状である。弁体20の直径は、アダプタ10の第2フランジ部13の外径とほぼ同じである。弁体20は、流路形成面21、凸部22、複数の渦消板23、突起部24、および複数の嵌入孔25を備える。以下の弁体20の説明において、「径方向」は弁体20の径方向を意味し、「周方向」は弁体20の周方向を意味する。
【0036】
流路形成面21は、弁体20の上面20aのうち、アダプタ10の下端面10aの下方に位置している面である。後述のとおり、流路形成面21は、弁体20が開いているとき(開弁時)、液化ガスLgをポンプ5に向けて流入させる流入路FLを下端面10aとの間に形成している。
【0037】
弁体20の中央部は、上方に向けてほぼ円錐台状(山状)に突出していて、凸部22を構成している。凸部22は、弁体20を補強すると共に、流入路FLから流入した液化ガスLgをポンプ5へと案内する。
【0038】
渦消板23は、流入路FLから流入した液化ガスLgにおける渦の発生を抑制する。渦消板23の形状は、ほぼ台形板状である。渦消板23は、両面が径方向に沿うように、弁体20の上面20aにおける流路形成面21よりも内側から凸部22の外縁部までの領域に配置されている。また、周方向において、渦消板23は、等間隔に配置されている。渦消板23の上面23aは、凸部22の頂面22aよりも上方に位置している。
【0039】
突起部24は、弁体20が閉じているとき(閉弁時)、シール部材30と共に流入路FLを封止する。流路形成面21のうち、第1凹部16の下方に位置する一部の領域は、上方に向けてリング状に突出していて突起部24を構成している。径方向において、突起部24の断面形状は、上方に凸の三角形である。
【0040】
嵌入孔25は、弁体20を上下方向に貫通している貫通孔である。周方向において、嵌入孔25は、挿通孔15に対向する位置に等間隔に配置されている。
【0041】
弁体20は、付勢ユニット60により、筒体部11の下部開口11aを開閉可能に、アダプタ10に取り付けられている。このとき、突起部24は、シール部材30に対向して配置され、流路形成面21からシール部材30に向けて突出している。弁体20の取り付けの詳細は、後述される。
【0042】
シール部材30は、閉弁時、突起部24と共に流入路FLを封止する。シール部材30は、例えば、リング板状のガスケットである。シール部材30の材質は、例えば、PTFE(polytetrafluoroethylene)などのフッ素樹脂である。シール部材30は、第1凹部16に配置されている。シール部材30は、複数の挿通孔30aを備える。シール部材30の周方向において、挿通孔30aは、雌ねじ孔16aに対向する位置に等間隔に配置されている。シール部材30は、本発明における第1シール部材の一例である。
【0043】
押さえ板40は、シール部材30を第1凹部16に固定する。押さえ板40の形状は、例えば、リング板状である。押さえ板40は、第1凹部16に配置されている。押さえ板40は、複数の挿通孔40aを備える。押さえ板40の周方向において、挿通孔40aは、シール部材30の挿通孔30aに対向する位置に等間隔で配置されている。
【0044】
シール部材30および押さえ板40は、2つの挿通孔30a,40aに挿通された第2取付ボルトB2が雌ねじ孔16aに螺合されることにより、第1凹部16に取り付けられている。このとき、シール部材30は、第1凹部16と押さえ板40との間に挟持されている。
【0045】
シール弁50は、閉弁時、筒体部11の下部開口11aから放出される流体に対しては流体の圧力に応じて開き、下部開口11aへと向かう液化ガスLgに対しては閉じる一方向弁として機能する。シール弁50は、例えば、リング状のパッキンにより構成されている。本実施の形態において、シール弁50の断面形状は、2つのアーム部51,52を有する「V」字状としているが、シール弁50はこのような断面形状を有するVパッキンに限定されない。シール弁50の材質は、例えば、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)などのゴムである。すなわち、シール弁50は、1つの弾性材で構成されている。シール弁50の内径は、第2凹部17の側面17aの直径よりも僅かに小さい。アーム部51,52の長さは、第2凹部17の深さ(上下方向の長さ)よりも長い。
【0046】
シール弁50は、第2凹部17に嵌入されることにより、アダプタ10に取り付けられている。アーム部51,52の先端は、アダプタ10の外縁側に向けられている。すなわち、アダプタ10に取り付けられたシール弁50の断面形状は、2つの先端が外縁側に向けられた「<」または「>」状である。アーム部51,52のうち、一方のアーム部51は第2凹部17に当接し、他方のアーム部52は斜め下方に向けられている。アーム部52の先端部は第2凹部17から下方に僅かに突出している。アーム部52は、本発明における変形部の一例である。
【0047】
付勢ユニット60は、弁体20をアダプタ10に取り付けると共に、弁体20をアダプタ10側に向けて付勢する。付勢ユニット60は、軸部材61、スプリング62、およびリテーナ63を備える。
【0048】
軸部材61は、スプリング62の伸縮をガイドする。軸部材61の形状は、上下方向に沿う円柱状である。軸部材61は、弁体20の嵌入孔25、およびアダプタ10の挿通孔15に下方から挿通されている。軸部材61の下部は嵌入孔25に嵌入されている。軸部材61の一部は、第2フランジ部13の上方に突出している。
【0049】
スプリング62は、軸部材61に沿って伸縮し、弁体20をアダプタ10側に付勢する。スプリング62は、例えば、コイルスプリングである。スプリング62は、第2フランジ部13の上方に配置されている。スプリング62には、軸部材61のうち、第2フランジ部13の上方に突出している部分が挿通されている。
【0050】
リテーナ63は、軸部材61に対するスプリング62の一端部(上端部)の位置を固定する。リテーナ63の形状は、例えば、リング板状である。リテーナ63は、スプリング62の上端部を下方に押圧した状態で、軸部材61の上端部に取り付けられている。その結果、スプリング62は、リテーナ63と第2フランジ部13との間に配置されている。スプリング62は、リテーナ63を上方に向けて付勢することにより、軸部材61を介して弁体20を上方、すなわち、アダプタ10側に付勢している。
【0051】
●フート弁組立体(1)の動作
次に、フート弁組立体6の動作について説明する。フート弁組立体6の動作のうち、フート弁組立体6の開閉動作(すなわち、弁体20の開閉動作)は公知の動作であるため、その詳細な説明は省略される。以下の説明において、図1図3は、適宜参照される。
【0052】
以下の説明において、流入路FLの「上流側」および「下流側」は、流入路FL内の液化ガスLgの流れの方向に従う。すなわち、例えば、ポンプ5動作時において、流入路FLの「上流側」は弁体20の外縁側(第2フランジ部13の外縁側)を意味し、流入路FLの「下流側」は弁体20の中央側(第2フランジ部13の内縁側)を意味する。
【0053】
●開弁時の動作
フート弁組立体6は、ポンプ5が下降位置に位置しているとき、スプリング62の付勢力(以下単に「付勢力」という。)に抗するポンプ5の自重により開いている。このとき、ポンプ5の下端面は渦消板23の上面23aに当接し、ポンプ5の一部は傾斜面14に当接している。
【0054】
開弁時、アダプタ10の下端面10aと弁体20の流路形成面21との間には、流入路FLが形成されている。その結果、液化ガスLgは、貯蔵タンクTから流入路FLを介して、各渦消板23間の空間に流入する。次いで、液化ガスLgは渦消板23により整流され、凸部22によりポンプ5へと案内される。
【0055】
ここで、第1凹部16および第2凹部17は、下端面10aの一部を構成している。換言すれば、下端面10aは、第1凹部16および第2凹部17を含む。そのため、第1凹部16および第2凹部17は、流入路FLの一部を区画している。したがって、本実施形態において、シール部材30、押さえ板40、およびシール弁50は、流入路FL内に配置されている。
【0056】
シール弁50のアーム部52は、アダプタ10の外縁側であって、斜め下方に向けられている。そのため、アーム部52は、流入路FL内を流れる液化ガスLgにより下流側へと押される。その結果、シール弁50も下流側へと押される。このとき、シール弁50は、第2凹部17の側面17aに支えられているため、下流側へは移動しない。このように、側面17aは、本発明における移動規制部として機能している。
【0057】
●閉弁時の動作
図4は、閉弁時における、図2のA部を拡大した模式拡大断面図である。
【0058】
フート弁組立体6は、ポンプ5の下端面が渦消板23の上面23aから離隔されたとき(例えば、ポンプ5が上昇位置に位置しているとき)、付勢力により閉じている。
【0059】
閉弁時、突起部24は、付勢力によりシール部材30に押し付けられている。その結果、突起部24およびシール部材30は流入路FLを遮断している。一方、弁体20の流路形成面21は、シール弁50のアーム部52の第2凹部17からの突出長さに応じて、付勢力によりアーム部52に押し付けられている。したがって、アーム部51は第2凹部17に当接し、アーム部52は流路形成面21に当接している。その結果、シール弁50は、流入路FLを遮断している。また、アーム部52と流路形成面21との間で成される角度(以下「アーム角」という。)は、アーム部52の下流側において鋭角となり、アーム部52の上流側において鈍角となっている。
【0060】
流入路FLのうち、第2凹部17と流路形成面21との間には、第2凹部17の深さに相当する幅の空間Sが形成されている。この空間Sは、貯蔵タンクT内に連通している。したがって、貯蔵タンクT内の液化ガスLgは、この空間Sに満たされている。
【0061】
●不活性ガス導入時から導入終了後の動作
ポンプ5は、定期的(例えば、数年ごと)にポンプコラム2の外部に取り出され、メンテナンスされる。ポンプ5の取り出しには、フート弁組立体6の閉弁およびポンプコラム2内の残留ガス(液化ガスLgおよび気化した液化ガスLg)の除去(パージ)が必要となる。残留ガスの除去(パージ)は、フート弁組立体6の閉弁後に、ポンプコラム2内に不活性ガスが導入されることにより実行される。
【0062】
図5は、不活性ガス導入時における、図2のフート弁組立体6のA部を拡大した模式拡大断面図である。
同図は、残留ガスの流れを黒塗り矢印で示す。また、同図は、アーム部52の変形する方向を白抜き矢印で示す。
【0063】
ポンプコラム2内に不活性ガスが導入されると、ポンプコラム2内の残留ガスは、不活性ガスの圧力により下方へ押圧され、弁体20は、スプリング62の付勢力に抗して僅かに開く。その結果、突起部24の上端部とシール部材30との間に僅かに隙間が生じ、その隙間を介して、残留ガスが突起部24の下流側へ放出される。このとき、流路形成面21によるアーム部52の押し付けは、緩和される。しかしながら、アーム部52は、図5の破線で示されるように、依然として流路形成面21に当接している。そのため、突起部24の下流側へ放出された残留ガスは、アーム部52により堰き止められる。
【0064】
突起部24の下流側に放出された残留ガスは、アーム部52に対して、下流側に向かう圧力を加える。前述のとおり、アーム部52の先端はアダプタ10の外縁側(すなわち、上流側)に向けられており、アーム部52の上流側におけるアーム角は鋭角である。そのため、アーム部52は、残留ガスにより下流側の上方に向かう圧力を受ける。
【0065】
ここで、アーム部52の上方は液化ガスLgに満たされているが、アーム部52は、ほぼ自身の弾性力によってのみ、その圧力に抗している。したがって、アーム部52に加えられている圧力がアーム部52の弾性力を上回ると、アーム部52は、その圧力により下流側の上方に折り曲げられる(変形する)。その結果、残留ガスは、アーム部52の下流側、すなわち、貯蔵タンクT内に放出される(パージされる)。このように、アーム部52は、本発明における変形部として機能している。
【0066】
図6は、不活性ガス導入終了後における、図2のA部を拡大した模式拡大断面図である。
【0067】
ポンプコラム2内への不活性ガスの導入が終了したとき(残留ガスがパージされたとき)、ポンプコラム2およびフート弁組立体6内は、不活性ガスにより満たされている。このとき、弁体20の下面20bには、貯蔵タンクT内に貯蔵されている液化ガスLgの液量(液レベル)に応じた液圧が加えられている。すなわち、弁体20は、付勢力および液圧により、アダプタ10側に付勢されている。このとき、突起部24は、付勢力および液圧によりシール部材30に押し付けられている。
【0068】
また、液化ガスLgは、第2凹部17と流路形成面21との間の空間Sを介して、シール弁50まで到達している。このとき、アーム部52は、流路形成面21に当接している。前述のとおり、アーム部52の上流側におけるアーム角は、鈍角である。そのため、アーム部52は、液化ガスLgにより下流側の斜め下方へ向かう液圧を受けている。このとき、アーム部52は流路形成面21に当接しているため、アーム部52は下方へは変形できない。また、アーム部52が下流側へ押されると、アーム部52と流路形成面21との接触部に摩擦力が生じ、アーム部52の下流側への変形は阻害される。このように、アーム部52は下方および下流側へ変形できず、流入路FLはシール弁50により封止されている。このような構造により、シール弁50のシール性は、付勢力にはほぼ依存せず、液圧、弾性力、および摩擦力に依存している。
【0069】
貯蔵タンクT内の液化ガスLgの液量が低下すると、液圧は減少する。その結果、突起部24がシール部材30に押し付けられる力は、液圧の減少量に応じて減少する。この場合であっても、突起部24は、主に付勢力によりシール部材30に押し付けられている。一方、アーム部52に加えられている液圧は減少するが、アーム部52は依然として下流側の下方へ押され、流路形成面21に当接している。したがって、アーム部52の下方および下流側への変形は、液量低下前と同様に阻害されている。その結果、流入路FLは、液量に関係なく、シール弁50により封止されている。
【0070】
このように、不活性ガス導入時、アーム部52は、筒体部11の下部開口11aから流入路FLに向けて放出される流体(残留ガスおよび不活性ガス)に対しては、その圧力に応じて開き(変形し)、流体を上流側に放出する。一方、不活性ガス導入終了後、アーム部52は、上流側から下流側(下部開口11a側)に向かおうとする流体(液化ガスLg)に対しては、その流体の液圧により閉じる(変形しない)。すなわち、シール弁50(具体的にはアーム部52)は、本発明における一方向弁として機能している。
【0071】
また、シール弁50の下流側は、突起部24およびシール部材30により封止されている。すなわち、不活性ガス導入終了後、流入路FLは、シール弁50、および突起部24とシール部材30により二重に封止されている。本実施の形態において、取扱液は液化アンモニアであり、気化ガスは可燃性および生体への強い毒性を有するアンモニアガスである。また、アンモニアガスは空気よりも軽いため、メンテナンス作業者に吸い込まれ易い。本発明に係るフート弁組立体6は、二重の封止構造を有するため、液化アンモニアのような取り扱いの難しい取扱液に対して好適である。
【0072】
●まとめ(1)
以上説明した実施の形態によれば、フート弁組立体6は、アダプタ10、弁体20、スプリング62、およびシール弁50を備える。アダプタ10は、ポンプコラム2の下部開口端2bに取り付けられている。弁体20は、アダプタ10の下端面10aの下方に位置し、下端面10aとの間に流入路FLを形成する流路形成面21を有し、筒体部11の下部開口11aを開閉している。スプリング62は、弁体20をアダプタ10側に向けて付勢している。シール弁50は、流入路FLに配置され、閉弁時、下部開口11aから放出される流体に対しては流体の圧力に応じて開き、下部開口11aへと向かう液化ガスLgに対しては閉じる一方向弁として機能する。この構成によれば、閉弁時、流入路FLは、一方向弁であるシール弁50により封止されている。そのため、フート弁組立体6では、突起部および弾性材のみにより封止される従来のフート弁組立体と比較して、不活性ガスによる残留ガスのパージは容易になり、かつ、パージ後のシール性は向上する。また、シール弁50は、シール弁50に加えられる流体の圧力により開閉する。すなわち、シール弁50は、付勢力に依存することなく開閉する。そのため、シール弁50は、付勢力に関係なくシール性を維持することができる。したがって、本発明によれば、サブマージドポンプシステム1において、フート弁組立体6のシール性は、従来のフート弁組立体のシール性よりも向上する。
【0073】
また、以上説明した実施の形態によれば、フート弁組立体6は、アダプタ10の下端面10a(第1凹部16)に取り付けられているリング状のシール部材30を備える。弁体20は、シール部材30に対向して配置され、流路形成面21からシール部材30に向けて突出している突起部24を備える。閉弁時、突起部24は、付勢力によりシール部材30に押し付けられている。この構成によれば、閉弁時、流入路FLは、突起部24とシール部材30、およびシール弁50により二重に封止されている。したがって、フート弁組立体6のシール性は、突起部24およびシール部材30、またはシール弁50のみによるシール性よりも向上する。
【0074】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、弁体20の径方向において、シール弁50は、突起部24よりも外方に配置されている。この構成によれば、流入路FLにおいて、付勢力に関係なくシール性が維持できるシール弁50が、突起部24よりも上流側(外側)に配置されている。したがって、流入路FLにおいて、貯蔵タンクTからの液化ガスLgは、シール弁50により阻止されて突起部24まで漏洩しない。また、仮に、液化ガスLgがシール弁50の下流側(内側)に到達しても、液化ガスLgは突起部24およびシール部材30により堰き止められる。このように、付勢力に依存しないシール弁50が付勢力および液量に依存する突起部24およびシール部材30よりも上流側に配置されることにより、フート弁組立体6のシール性は、向上する。
【0075】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、弁体20の径方向において、アダプタ10は、シール弁50の移動を規制する側面17aを備える。シール弁50は、第2凹部17に取り付けられている。この構成によれば、弁体20の径方向において、シール弁50は、流入路FLを流れる流体により移動しない。したがって、シール弁50は、安定して流入路FLを封止することができる。その結果、フート弁組立体6のシール性は、安定かつ向上する。
【0076】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、シール弁50は、リング状の弾性材で構成され、流入路FL内を上流側に向けて流れる流体の圧力に応じて変形するアーム部52を備える。この構成によれば、一方向弁は、例えば、Vパッキンのような1つのリング状の弾性材により簡易に構成できる。また、シール弁50は、シール弁50に加えられる圧力、およびアーム部52の弾性力により開閉する。すなわち、シール弁50のシール性は、付勢力ではなく、圧力および弾性力に依存する。そのため、シール弁50は、付勢力に関係なくシール性を維持することができる。したがって、フート弁組立体6のシール性は、簡易な構成により向上する。
【0077】
●サブマージドポンプシステム(2)●
次に、本発明に係るサブマージドポンプシステムおよびフート弁組立体の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)について、先に説明した実施の形態(以下「第1実施形態」という。)とは異なる部分を中心に説明する。第2実施形態は、フート弁組立体が第2シール部材を備えている点が、第1実施形態と異なる。以下の説明について、第1実施形態と共通する要素については、同一の符号が付されると共に、図1図3が適宜参照され、その説明は省略される。
【0078】
●サブマージドポンプシステム(2)の構成
図7は、本発明に係るサブマージドポンプシステムの第2実施形態を示す模式断面図である。
【0079】
サブマージドポンプシステム1Aは、液化ガスLgが貯蔵されている貯蔵タンクTに取り付けられ、液化ガスLgを貯蔵タンクTから外部へ送液する。サブマージドポンプシステム1Aは、ポンプコラム2、封止部材3、サポートケーブル4、ポンプ5、およびフート弁組立体6Aを備える。
【0080】
●フート弁組立体(2)の構成
図8は、フート弁組立体6Aの第2実施形態を示す断面図である。
図9は、図8のフート弁組立体6AのB部を拡大した、模式拡大断面図である。
同図は、ポンプ5が下降位置に位置しているとき(開弁時)のフート弁組立体6Aを示す。また、図8は、説明の便宜上、ポンプコラム2およびポンプ5の下部も図示している。以下の説明において、図7は適宜参照される。
【0081】
フート弁組立体6Aは、アダプタ10A、弁体20A、シール部材(以下、第2実施形態では「第1シール部材」という。)30、押さえ板40、シール弁50、複数の付勢ユニット60、第2シール部材70、複数の第1取付ボルトB1、複数の第2取付ボルトB2、および取付ナットNを備える。
【0082】
アダプタ10Aは、ポンプコラム2に対して弁体20Aを取り付ける部材であり、フート弁組立体6Aの筐体として機能する部材である。アダプタ10Aは、筒体部11、第1フランジ部12、第2フランジ部13、傾斜面14、挿通孔15、第1凹部16、第1シール溝18、および第2シール溝19を備える。以下のアダプタ10Aの説明において、「径方向」は筒体部11の径方向を意味し、「周方向」は筒体部11の周方向を意味する。
【0083】
アダプタ10Aの下端面10aの構成は、第2凹部17に代えて第1シール溝18および第2シール溝19が配置されている点を除き、第1実施形態における下端面10aの構成と共通している。
【0084】
第1シール溝18は、シール弁50が配置されるリング板状の溝である。径方向において、第1シール溝18の断面形状は、矩形状である。第1シール溝18は、第1シール溝18の内縁端に位置し、上下方向に沿う側面18aを備える。径方向において、第1シール溝18は、アダプタ10Aの下端面10aのうち、第1凹部16よりも外方に、第1凹部16と同心状に配置されている。第1シール溝18の深さ(上下方向の長さ)は、アーム部51,52の長さよりも短い。側面18aは、本発明における移動規制部の一例である。
【0085】
第2シール溝19は、第2シール部材70が配置されるリング状の溝である。径方向において、第2シール溝19は、アダプタ10Aの下端面10aのうち、第1シール溝18よりも外方に、第1凹部16と同心状に配置されている。
【0086】
アダプタ10Aは、第1実施形態におけるアダプタ10と同様に、第1取付ボルトB1および取付ナットNにより、ポンプコラム2の下部開口端2bに取り付けられている。
【0087】
弁体20Aは、筒体部11の下部開口11aを開閉する。弁体20Aの形状は、円板状である。弁体20Aの直径は、アダプタ10Aの第2フランジ部13の外径とほぼ同じである。弁体20Aは、流路形成面21、凸部22、複数の渦消板23、突起部24、複数の嵌入孔25、凹部26を備える。以下の弁体20Aの説明において、「径方向」は弁体20Aの径方向を意味し、「周方向」は弁体20Aの周方向を意味する。
【0088】
流路形成面21の構成は、凹部26が配置されている点を除き、第1実施形態の流路形成面21の構成と共通している。
【0089】
凹部26は、閉弁時、第2シール部材70の下端部が当接するリング状の溝である。径方向において、凹部26の断面形状は、矩形状である。凹部26は、流路形成面21のうち、第2シール溝19の下方に、突起部24と同心状に配置されている。
【0090】
弁体20Aは、第1実施形態における弁体20と同様に、付勢ユニット60により、筒体部11の下部開口11aを開閉可能に取り付けられている。
【0091】
第2シール部材70は、閉弁時、アダプタ10Aの下端面10a(第2シール溝19)と流路形成面21(凹部26)とに当接して、流入路FLを遮断する。第2シール部材70は、例えば、リング状のO-リングである。すなわち、第2シール部材70の断面形状は、円形である。第2シール部材70の材質は、例えば、EPDMなどのゴムである。第2シール部材70は、第2シール溝19に嵌入されている。第2シール部材70の下端部は、第2シール溝19から下方に突出している。上下方向において、第2シール部材70が突出している長さは、凹部26の長さ(深さ)よりも長い。
【0092】
●フート弁組立体(2)の動作
次に、フート弁組立体6Aの動作について、第1実施形態におけるフート弁組立体6の動作と異なる部分を中心に説明する。以下の説明において、図7図9は、適宜参照される。以下の説明において、「上流側」「下流側」は、第1実施形態における「上流側」「下流側」と同じ意味を示す。
【0093】
●開弁時の動作
開弁時、アダプタ10Aの下端面10aと弁体20Aの流路形成面21との間には、流入路FLが形成されている。
【0094】
シール弁50は、第1実施形態と同様に、流入路FL内の液化ガスLgにより下流側へと押される。このとき、シール弁50は、第1シール溝18の側面18aに支えられているため、下流側へ移動しない。このように、側面18aは、本発明における移動規制部として機能している。
【0095】
第2シール部材70の下端部は、第2シール溝19よりも下方に突出している。そのため、第2シール部材70は、シール弁50と同様に下流側へと押される。径方向において、第2シール部材70の下端部の断面形状は半円状であり、流入路FLを流れる液化ガスLgが第2シール部材70から受ける抵抗は、シール弁50から受ける抵抗よりも小さい。また、第2シール部材70は、第2シール溝19に嵌入されている。そのため、第2シール部材70は、下流側へ移動しない。
【0096】
ここで、第1凹部16、第1シール溝18、および第2シール溝19は、下端面10aの一部を構成している。換言すれば、下端面10aは、第1凹部16、第1シール溝18、および第2シール溝19を含む。また、凹部26は、流路形成面21の一部を構成している。換言すれば、流路形成面21は、凹部26を含む。そのため、第1凹部16、第1シール溝18、第2シール溝19、および凹部26は、流入路FLの一部を区画している。したがって、第1シール部材30、押さえ板40、シール弁50、および第2シール部材70は、流入路FL内に配置されている。
【0097】
●閉弁時の動作
図10は、閉弁時における、図8のB部を拡大した模式拡大断面図である。
【0098】
閉弁時、突起部24と第1シール部材30、およびシール弁50は、第1実施形態と同様に流入路FLを封止している。
【0099】
弁体20Aの凹部26は、付勢力により第2シール部材70の下端部に押し付けられている。このとき、第2シール部材70は、第2シール溝19および凹部26により上下方向に圧縮され(変形して)、第2シール溝19および流路形成面21(凹部26)に当接している。その結果、第2シール部材70は、流入路FLを遮断している。ここで、上下方向において、第2シール部材70は、第2シール溝19および凹部26の範囲内で圧縮されている。そのため、第2シール溝19(凹部26)の上流側および下流側に隣接する位置において、下端面10aと流路形成面21とは当接している。
【0100】
●不活性ガス導入時から導入終了後の動作
図11は、不活性ガス導入時における、図8のB部を拡大した模式拡大断面図である。
同図は、残留ガスの流れを黒塗り矢印で示す。また、同図は、アーム部52の変形する方向を白抜き矢印で示す。
【0101】
弁体20Aが不活性ガスの圧力により僅かに開いたとき、残留ガスは、第1実施形態と同様に、シール弁50の下流側に放出される。また、下端面10aと流路形成面21との間、および第2シール部材70と流路形成面21との間には、僅かに隙間が生じる。アーム部52の下流側に放出された残留ガスは、この隙間を介して、第2シール部材70の下流側、すなわち、貯蔵タンクTに放出される(パージされる)。
【0102】
図12は、不活性ガス導入終了後における、図8のB部を拡大した模式拡大断面図である。
【0103】
ポンプコラム2内への不活性ガスの導入が終了したとき(残留ガスがパージされたとき)、弁体20Aは、付勢力および液圧により、アダプタ10A側に付勢されている。このとき、付勢力および液圧により、突起部24は第1シール部材30に押し付けられ、凹部26は第2シール部材70に押し付けられ、下端面10aは流路形成面21に当接している。また、アーム部52は、流路形成面21に当接している。このとき、流入路FLは、第2シール部材70により封止されている。
【0104】
貯蔵タンクT内の液化ガスLgの液量が低下すると、液圧は減少する。その結果、突起部24がシール部材30に押し付けられる力、および凹部26が第2シール部材70に押し付けられる力は、液圧の減少量に応じて減少する。この場合であっても、主に付勢力により、突起部24はシール部材30に押し付けられ、凹部26は第2シール部材70に押し付けられ、下端面10aは流路形成面21に当接している。
【0105】
ここで、液圧の減少に伴い、下端面10aと流路形成面21との間、および凹部26と第2シール部材70との間には、液化ガスLgが浸入し得る。その結果、液化ガスLgは第2シール部材70の下流側に到達し得る。しかしながら、第2シール部材70の下流側は、第1実施形態と同様にシール弁50により封止されている。そのため、液化ガスLgは、シール弁50より下流側に漏洩しない。
【0106】
このように、シール弁50は、第1実施形態と同様に一方向弁として機能している。また、不活性ガス導入終了後、流入路FLは、第2シール部材70、シール弁50、および突起部24と第1シール部材30により三重に封止されている。本発明に係るフート弁組立体6Aは、三重の封止構造を有するため、液化アンモニアのような取り扱いの難しい取扱液に対してさらに好適である。
【0107】
●まとめ(2)
以上説明した実施の形態によれば、フート弁組立体6Aは、第1実施形態におけるフート弁組立体6と共通した構成を備える。そのため、フート弁組立体6Aは、第1実施形態におけるフート弁組立体6と同様の効果を奏する。
【0108】
また、以上説明した実施の形態によれば、閉弁時、フート弁組立体6Aは、アダプタ10Aの下端面10aと流路形成面21とに当接する第2シール部材70を備える。この構成によれば、閉弁時、流入路FLは、突起部24と第1シール部材30、シール弁50、および第2シール部材70により三重に封止されている。したがって、フート弁組立体6Aのシール性は、突起部24およびシール部材30、および/または、シール弁50のみによる封止よりもさらに向上する。
【0109】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、アダプタ10Aの径方向において、第2シール部材70は、シール弁50よりも外方(上流側)に配置されている。この構成によれば、流入路FLは、上流側において、シール性が付勢力および液圧に依存する第2シール部材70により封止されている。そして、仮に、液圧の低下により第2シール部材70のシール性が低下し、第2シール部材70の下流側に液化ガスLgが到達しても、流入路FLは、付勢力に依存しないシール弁50により封止されている。このように、流入路FLは、付勢力および液圧が充分なときは第2シール部材70により封止され、付勢力および液圧が低下したときは付勢力に依らないシール弁50により封止される。その結果、フート弁組立体6Aのシール性は、向上する。
【0110】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2シール部材70は、アダプタ10Aの第2シール溝19に取り付けられている。弁体20Aは、閉弁時に第2シール部材70が当接する凹部26を備える。この構成によれば、第2シール部材70を凹部26内で圧縮させることにより、凹部26の上流側および下流側に隣接する位置において、アダプタ10Aの下端面10aが流路形成面21に当接可能となる。その結果、フート弁組立体6Aのシール性は、下端面10aと流路形成面21との間に隙間が生じている状態よりも向上する。
【0111】
●その他の実施形態
なお、以上説明した各実施形態において、シール弁50は、弁体20,20Aに取り付けられていてもよい。この場合、例えば、弁体20,20Aの流路形成面21の外縁部がリング板状に凹んでいて、各実施形態における第2凹部17に相当する凹部を構成していてもよい。
【0112】
また、以上説明した第2実施形態において、第2シール部材70は、弁体20Aに取り付けられていてもよい。この場合、例えば、弁体20Aの凹部26は、第2シール部材70が嵌入されるように構成されていてもよい。この場合、閉弁時、第2シール部材70は、アダプタ10Aの下端面10a(第2シール溝19)に当接していてもよい。
【0113】
さらに、以上説明した各実施形態において、フート弁組立体6,6Aは、突起部24およびシール部材30(第1シール部材30)を備えてなくてもよい。すなわち、例えば、閉弁時、フート弁組立体6,6Aは、シール弁50、または、シール弁50および第2シール部材70のみにより封止されていてもよい。
【0114】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、突起部24の頂部の断面形状は、図示された形状(尖頭状)に限定されない。すなわち、例えば、同断面形状は、半円状でもよく、あるいは、平面状でもよい。
【0115】
さらにまた、以上説明した第1実施形態において、第2凹部17は、リング状の溝でもよい。この場合、閉弁時、第2凹部17の上流側および下流側において、アダプタ10の下端面10aは、流路形成面21と当接していてもよい。
【0116】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、弁体20,20Aは、シール弁50に対向する位置に、変形したアーム部52が当接するように構成されている凹部を備えていてもよい。
【0117】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、シール弁50は、流入路FLにおいて、突起部24よりも下流側に配置されていてもよい。
【0118】
さらにまた、以上説明した第2実施形態において、シール弁50は、流入路FLにおいて、第2シール部材70よりも上流側(外側)に配置されていてもよい。この場合、第1シール溝18は、アダプタ10Aの下端面10aの外縁部がリング板状に凹んで構成されていてもよい。
【0119】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、アーム部52の先端の断面形状は、図示された形状(矩形状)に限定されない。すなわち、例えば、同断面形状は、流路形成面21に接触する面積が大きくなるように、テーパ状に形成されていてもよい。
【0120】
さらにまた、以上説明した第2実施形態において、弁体20Aは、凹部26を備えていなくてもよい。この場合、第2シール部材70は流路形成面21に当接し、第2シール部材70の上流側および下流側においてアダプタ10Aの下端面10aと流路形成面21との間には隙間が生じていてもよい。
【0121】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、第2凹部17(第1シール溝18)は、第1凹部16と連続していてもよい。すなわち、例えば、第1凹部16の上流側(外側)の部分は、第2凹部17(第1シール溝18)として機能していてもよい。この場合、シール弁50が押さえ板40の上流側(外側)の側面に当接して配置されることにより、押さえ板40が移動規制部として機能していてもよい。
【0122】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、シール弁50の断面形状は、V字状に限定されない。すなわち、例えば、シール弁50の断面形状は、Y字状またはC字状でもよい。また、例えば、シール弁50は、矩形状の断面形状を有する本体部、および本体部から延出される切片(アーム部)を備えていてもよい。
【0123】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、シール弁50の断面形状は、I字状またはL字状でもよい。この場合、流路形成面21は、シール弁50のアーム部(上下方向に延びる部分)の下流側への変形を阻害する凹部をシール弁50と対向する位置に備えていてもよい。
【0124】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、シール弁50の材質は、取扱液に対するシール材として機能する材質であればよく、EPDMに限定されない。すなわち、例えば、シール弁50の材質は、フッ素樹脂でもよい。
【0125】
さらにまた、以上説明した第2実施形態において、第2シール部材70の材質は、取扱液に対するシール材として機能する材質であればよく、EPDMに限定されない。すなわち、例えば、第2シール部材70の材質は、フッ素樹脂でもよい。
【0126】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、シール部材30の材質は、取扱液に対するシール材として機能する材質であればよく、PTFEに限定されない。
【0127】
さらにまた、以上説明した各実施形態において、シール弁50のアーム部52は、第2凹部17(第1シール溝18)から下方に突出していなくてもよい。この場合、アーム部52は、閉弁時および不活性ガス導入中には流路形成面21に当接せず、不活性ガス導入終了後には液化ガスLgにより下流側に引き起こされて、流路形成面21に当接していてもよい。
【0128】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0129】
本発明の第1の実施態様は、取扱液(例えば、液化ガスLg)内に浸漬されるポンプ(例えば、ポンプ5)が収容される筒状のポンプコラム(例えば、ポンプコラム2)の下部開口端(例えば、下部開口端2b)に取り付けられ、前記ポンプの吸込口(例えば、吸込口5a)が収容される筒状のアダプタ(例えば、アダプタ10,10A)と、前記アダプタの下端面(例えば、下端面10a)の下方に位置し、前記取扱液を前記ポンプに向けて流入させる流入路(例えば、流入路FL)を前記下端面との間に形成する流路形成面(例えば、流路形成面21)を有し、前記アダプタの下部開口(例えば、下部開口11a)を開閉する円板状の弁体(例えば、弁体20,20A)と、前記弁体を前記アダプタ側に向けて付勢する付勢部材(例えば、スプリング62)と、前記流入路に配置され、前記弁体の閉弁時、前記下部開口から放出される流体に対しては前記流体の圧力に応じて開き、前記下部開口へと向かう前記取扱液に対しては閉じる一方向弁(例えば、シール弁50)と、を有してなる、フート弁組立体(例えば、フート弁組立体6,6A)である。
この構成によれば、サブマージドポンプシステムにおいて、フート弁組立体のシール性は、従来のフート弁組立体のシール性よりも向上する。
【0130】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記アダプタの下端面に取り付けられるリング状の第1シール部材(例えば、(第1)シール部材30)、を有してなり、前記弁体は、前記第1シール部材に対向して配置され、前記流路形成面から前記第1シール部材に向けて突出するリング状の突起部(例えば、突起部24)を備え、前記弁体の閉弁時、前記突起部は、前記付勢部材の付勢力により、前記第1シール部材に押し付けられる、フート弁組立体である。
この構成によれば、流入路は、二重に封止される。したがって、フート弁組立体のシール性は、突起部およびシール部材、またはシール弁のみによる封止よりも向上する。
【0131】
本発明の第3の実施態様は、第2の実施態様において、前記弁体の径方向において、前記一方向弁は、前記突起部よりも外方に配置される、フート弁組立体である。
この構成によれば、付勢力に依存しないシール弁が付勢力に依存する突起部およびシール部材よりも上流側(外側)に配置されることにより、フート弁組立体のシール性は、向上する。
【0132】
本発明の第4の実施態様は、第1乃至第3のいずれかの実施態様において、前記一方向弁は、前記アダプタまたは前記弁体のいずれか一方に取り付けられ、前記弁体の径方向において、前記一方向弁が取り付けられる前記アダプタまたは前記弁体は、前記一方向弁の移動を規制する移動規制部(側面17a,18a)を備える、フート弁組立体である。
この構成によれば、シール弁は、安定して流入路を封止することができる。その結果、フート弁組立体のシール性は、安定かつ向上する。
【0133】
本発明の第5の実施態様は、第1乃至第4のいずれかの実施態様において、前記一方向弁は、リング状の弾性材で構成され、前記流体の前記圧力に応じて変形する変形部(例えば、アーム部52)を備える、フート弁組立体である。
この構成によれば、フート弁組立体のシール性は、簡易な構成により向上する。
【0134】
本発明の第6の実施態様は、第1乃至第5のいずれかの実施態様において、前記弁体(例えば、弁体20A)の閉弁時に、前記下端面および前記流路形成面に当接する環状の第2シール部材(例えば、第2シール部材70)を有してなる、フート弁組立体(例えば、フート弁組立体6A)である。
この構成によれば、フート弁組立体のシール性は、突起部およびシール部材、および/または、シール弁のみによる封止よりもさらに向上する。
【0135】
本発明の第7の実施態様は、第6の実施態様において、前記アダプタの径方向において、前記第2シール部材は、前記流入路の前記一方向弁よりも外方に配置される、フート弁組立体である。
この構成によれば、フート弁組立体のシール性は、向上する。
【0136】
本発明の第8の実施態様は、第6または第7の実施態様において、前記第2シール部材は、前記アダプタまたは前記弁体のいずれか一方に取り付けられ、前記アダプタまたは前記弁体の少なくとも一方は、閉弁時に前記第2シール部材が当接する凹部(例えば、凹部26)を備える、フート弁組立体である。
この構成によれば、フート弁組立体のシール性は、下端面と流路形成面との間に隙間が生じている状態よりも向上する。
【0137】
本発明の第9の実施態様は、取扱液に浸漬されるポンプと、前記ポンプを収容する筒状のポンプコラムと、第1乃至第8のいずれかの実施態様に記載のフート弁組立体と、を有してなる、サブマージドポンプシステムである。
この構成によれば、サブマージドポンプシステムにおいて、フート弁組立体のシール性は、従来のフート弁組立体のシール性よりも向上する。
【符号の説明】
【0138】
1 サブマージドポンプシステム
2 ポンプコラム
2b 下部開口端
5 ポンプ
5a 吸込口
6 フート弁組立体
10 アダプタ
10a 下端面
11a 下部開口
17a 側面(移動規制部)
20 弁体
21 流路形成面
24 突起部
30 シール部材(第1シール部材)
50 シール弁(一方向弁)
52 アーム部(変形部)
62 スプリング
1A サブマージドポンプシステム
6A フート弁組立体
10A アダプタ
18 第1シール溝
18a 側面(移動規制部)
19 第2シール溝
20A 弁体
26 凹部
70 第2シール部材
FL 流入路
Lg 液化ガス

図1
図2
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