(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097125
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】製品情報管理装置、製品情報管理方法、及び製品情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20230630BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213298
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】ファン,フエン・ティタン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】製品の材料に関する情報を適切に管理できるようにする。
【解決手段】材料を用いて作成される製品に関する情報を管理するトレースシステム10において、メモリと、プロセッサとを備え、メモリは、製品に含まれる材料の量を特定可能な部品情報22及び製品構成情報23と、製品を処理して得られた材料の量を特定可能な処分材料情報25と、を記憶し、プロセッサは、部品情報22、製品構成情報23、及び処分材料情報25とに基づいて、製品の処理後における材料の回収率を算出するように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を用いて作成される製品に関する情報を管理する製品情報管理装置であって、
メモリ部と、プロセッサ部とを備え、
前記メモリ部は、
前記製品に含まれる前記材料の量を特定可能な第1材料情報と、
前記製品を処理して得られた前記材料の量を特定可能な第2材料情報と、を記憶し、
前記プロセッサ部は、
前記第1材料情報と、前記第2材料情報とに基づいて、前記製品の処理後における前記材料の回収率を算出する
製品情報管理装置。
【請求項2】
前記プロセッサ部は、
前記製品の前記材料の回収率を表示させる
請求項1に記載の製品情報管理装置。
【請求項3】
前記第1材料情報と、前記第2材料情報とは、複数の材料の量を特定可能な情報を含み、
前記プロセッサ部は、
前記製品の前記材料のそれぞれの回収率を算出する
請求項1に記載の製品情報管理装置。
【請求項4】
前記メモリ部は、
製品の処理において得られる材料による環境貢献量を特定可能な環境貢献基準情報を記憶し、
前記プロセッサ部は、
前記環境貢献基準情報に基づいて、前記製品を処理して得られる材料の環境貢献量を算出する
請求項1に記載の製品情報管理装置。
【請求項5】
前記プロセッサ部は、
前記製品の前記材料の環境貢献量を表示させる
請求項4に記載の製品情報管理装置。
【請求項6】
前記プロセッサ部は、
複数の製品を処理して得られる前記材料についての前記環境貢献量を合計する
請求項4に記載の製品情報管理装置。
【請求項7】
前記第1材料情報は、
前記製品と前記製品を構成する部品との対応関係を示す製品構成情報と、前記部品に使用される前記材料の量を特定可能な部品情報とを含み、
前記プロセッサ部は、
前記製品構成情報と前記部品情報とに基づいて、前記製品に含まれる前記材料の量を算出する
請求項1に記載の製品情報管理装置。
【請求項8】
前記メモリ部は、
所定の標準規格の判定内容を含む標準判定情報を記憶し、
前記プロセッサは、
前記製品が前記判定内容を満たすかを判定し、判定した結果を出力させる
請求項1に記載の製品情報管理装置。
【請求項9】
材料を用いて作成される製品に関する情報を管理する製品情報管理装置による製品情報管理方法であって、
前記製品情報管理装置は、メモリ部を備え、
前記メモリ部は、
前記製品に含まれる前記材料の量を特定可能な第1材料情報と、
前記製品を処理して得られた前記材料の量を特定可能な第2材料情報と、を記憶し、
前記製品情報管理装置は、
前記第1材料情報と、前記第2材料情報とに基づいて、前記製品の処理後における前記材料の回収率を算出する
製品情報管理方法。
【請求項10】
材料を用いて作成される製品に関する情報を管理する製品情報管理装置を構成するコンピュータに実行させるための製品情報管理プログラムであって、
前記コンピュータは、メモリ部を備え、
前記メモリ部は、
前記製品に含まれる前記材料の量を特定可能な第1材料情報と、
前記製品を処理して得られた前記材料の量を特定可能な第2材料情報と、を記憶し、
前記コンピュータに、
前記第1材料情報と、前記第2材料情報とに基づいて、前記製品の処理後における前記材料の回収率を算出させる
製品情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品に関する情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SDGs(Sustinable Development Goals)を背景に環境法制やグリーン調達において法規制強化・企業のコンプライアンス需要が増加しておりこの傾向は今後も継続する見通しである。
【0003】
企業が開発する製品には、環境的な付加価値が認められるようになってきている。また、消費者の関心だけでなく法的な規制や国際標準への準拠など様々な場面でリサイクルの品質が求められる。
【0004】
これにより、素材のリサイクルではこれまでのようなカスケードサイクル(リサイクルするごとに品質が下がるサイクル)の容易さや実績だけでなく、製品にリサイクル材がどの程度含まれているか、リサイクルの品質(例えば、リサイクル率)はどの程度かといった情報が価値を持つようになる。
【0005】
例えば、リサイクル資源の近未来における回収量を比較的正確に算出可能な技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された技術においては、リサイクル資源の回収量の算出を予測することができるが、製品における材料がどのようにリサイクルされているのかということや、製品においてどのような材料の部品が使用されているのかということを容易に把握することができない。また、製品や部品がどのように環境貢献しているかの情報等を把握することもできない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、製品の材料に関する情報を適切に管理することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、一観点に係る製品情報管理装置は、材料を用いて作成される製品に関する情報を管理する製品情報管理装置であって、メモリ部と、プロセッサ部とを備え、前記メモリ部は、前記製品に含まれる前記材料の量を特定可能な第1材料情報と、前記製品を処理して得られた前記材料の量を特定可能な第2材料情報と、を記憶し、前記プロセッサ部は、前記第1材料情報と、前記第2材料情報とに基づいて、前記製品の処理後における前記材料の回収率を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品の材料に関する情報を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るトレースシステムの機能構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るトレースシステムのハードウェア構成図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る原材料情報の構成図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る部品情報の構成図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る製品構成情報の構成図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る製造元情報の構成図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る処分材料情報の構成図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る処分事業情報の構成図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る環境貢献基準情報の構成図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る標準判定情報の構成図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る環境貢献情報の構成図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係るリサイクル率情報の構成図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る標準判定結果情報の構成図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係るリサイクル率算出処理のフローチャートである。
【
図15】
図15は、一実施形態に係る環境貢献算出処理のフローチャートである。
【
図16】
図16は、一実施形態に係る製品情報画面の構成図である。
【
図17】
図17は、一実施形態に係る環境貢献画面の構成図である。
【
図18】
図18は、一実施形態に係るトレース画面の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、一実施形態に係るトレースシステムの機能構成図である。
【0014】
本実施形態に係る製品情報管理装置の一例であるトレースシステム10は、情報受付部11と、トレース情報データベース12と、リサイクル率算出部13と、環境貢献算出部14と、標準適合判定部15と、トレース部16と、分析結果データベース17とを備える。
【0015】
情報受付部11は、トレース情報データベース12に格納する各種情報の入力を受け付ける。情報受付部11は、例えば、図示しないネットワークを介して、図示しない記録媒体から、又は、ユーザインタフェース41(
図2参照)を介して各種情報を受け付けてもよい。
【0016】
トレース情報データベース12は、原材料情報21と、部品情報22と、製品構成情報23と、製造元情報24と、処分材料情報25と、処分事業情報26と、環境貢献基準情報27と、標準判定情報28とを格納する。なお、これら情報については後述する。ここで、例えば、部品情報22と製品構成情報23とが第1材料情報に対応し、例えば、処分材料情報25が第2材料情報に対応する。
【0017】
リサイクル率算出部13は、製品を処分した際の材料のリサイクル率を算出する。環境貢献算出部14は、製品及び部品についての環境貢献に関する情報を算出する。標準適合判定部15は、国際標準化機構等の標準規格に適合するか否かを判定する。トレース部16は、製品、部品、製品の材料等の環境貢献に関する情報や、製品や部品のリサイクルに関する情報や、製品に関わる部品や材料のトレースに関わる処理を行う。
【0018】
分析結果データベース17は、リサイクル率算出部13、環境貢献算出部14、標準適合判定部15による判定結果や、トレース部16環境貢献情報31と、リサイクル率情報32と、標準判定結果情報33とを格納する。なお、これら情報については後述する。
【0019】
図2は、一実施形態に係るトレースシステムのハードウェア構成図である。
【0020】
トレースシステム10は、例えば、PC(Personal Computer)等のコンピュータにより構成され、ユーザインタフェース41と、ネットワークインタフェース42と、メモリ部の一例としてのメモリ43と、プロセッサ部の一例としてのCPU(Central Processing Unit)44と、記憶装置45とを備える。
【0021】
ユーザインタフェース41は、例えば、マウス、キーボード等を含み、利用者(ユーザ)による情報の入力を受け付ける。また、ユーザインタフェース41は、例えば、ディスプレイを含み、各種情報を表示出力する。
【0022】
ネットワークインタフェース42は、例えば、有線LAN(Local Area Network)カードや無線LANカードなどのインターフェースであり、図示しないネットワークを介して他の装置と通信する。
【0023】
CPU44は、メモリ43及び/又は記憶装置45に格納されているプログラムに従って各種処理を実行する。
【0024】
メモリ43は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、CPU44で実行されるプログラムや、必要な情報を記憶する。本実施形態では、メモリ43は、情報受付部11と、リサイクル率算出部13と、環境貢献算出部14と、標準適合判定部15と、トレース部16とを構成するプログラム(製品情報管理プログラムの一例)を記憶する。本実施形態では、このプログラムをCPU44が実行することにより、情報受付部11と、リサイクル率算出部13と、環境貢献算出部14と、標準適合判定部15と、トレース部16とが構成される。また、メモリ43は、トレース情報データベース12と、分析結果データベース17とを格納する。なお、トレース情報データベース12と分析結果データベース17との少なくとも一部を記憶装置45に格納してもよい。
【0025】
記憶装置45は、例えば、ハードディスクドライブや、SSD(Solid State Drive)などであり、CPU44で実行されるプログラムや、CPU44に利用されるデータを記憶する。
【0026】
次に、トレース情報データベース12と、分析結果データベース17とに格納される各種情報について詳細に説明する。
【0027】
図3は、一実施形態に係る原材料情報の構成図である。
【0028】
原材料情報21は、製品(製品の部品)に使用される材料(原材料)に関する情報を含む。原材料情報21は、例えば、テーブルとして構成され、原材料毎のエントリを格納する。原材料情報21のエントリは、材料番号21aと、材料種別21bと、量21cと、処理種別21dと、環境貢献21eとのフィールドを含む。
【0029】
材料番号21aには、エントリに対応する材料を識別する番号(材料番号)が格納される。材料種別21bには、エントリに対応する材料の種別が格納される。材料の種別としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、銅等がある。量21cには、エントリに対応する原材料の量が格納される。なお、現在量は、複数の製品の原材料として使用されてもよい。処理種別21dには、エントリに対応する処理種別が格納される。処理種別としては、未使用材又は再利用材とがある。環境貢献21eには、エントリに対応する原材料の環境貢献の情報が格納される。環境貢献21eは、環境貢献内容21fと貢献量21gとのフィールドを含むエントリが格納される。環境貢献内容21fには、エントリに対応する原材料についての環境貢献の内容、例えば、CO2排出、CH4排出、NO2排出等が格納される。貢献量21gには、エントリに対応する環境貢献に関する量が格納される。例えば、環境貢献の内容がCO2排出の場合には、貢献量21gには、排出が削減されるCO2の量が格納される。
【0030】
【0031】
部品情報22は、製品に使用される部品に関する情報を含む。部品情報22は、例えば、テーブルとして構成され、部品ごとのエントリを格納する。部品情報22のエントリは、部品番号22aと、材料番号22bと、量22cとのフィールドを含む。
【0032】
部品番号22aには、エントリに対応する部品を識別する番号(部品番号)が格納される。材料番号22bには、エントリに対応する部品に含まれる材料の材料番号が格納される。量22cには、エントリに対応する部品に含まれる材料の量が格納される。
【0033】
図5は、一実施形態に係る製品構成情報の構成図である。
【0034】
製品構成情報23は、製品の構成に関する情報、例えば、製品と部品との対応関係の情報を含む。製品構成情報23は、例えば、テーブルとして構成され、製品毎のエントリを格納する。製品構成情報23のエントリは、製品番号23aと、製品種別23bと、部品番号23cとのフィールドを含む。製品番号23aには、エントリに対応する製品の製品番号が格納される。製品種別23bには、エントリに対応する製品の種別を示す番号が格納される。部品番号23cには、エントリに対応する製品を構成する1以上の部品の部品番号が格納される。
【0035】
図6は、一実施形態に係る製造元情報の構成図である。
【0036】
製造元情報24は、製品の製造元に関する情報を含む。製造元情報24は、例えば、テーブルとして構成され、製品種別ごとのエントリを格納する。製造元情報24のエントリは、製品種別24aと、製品情報24bとのフィールドを含む。製品種別24aには、エントリに対応する製品種別の番号が格納される。製品情報24bには、エントリに対応する製品種別の製品についての製品情報が格納される。製品情報は、例えば、製品の製造年や、製造元名を含んでもよい。
【0037】
図7は、一実施形態に係る処分材料情報の構成図である。
【0038】
処分材料情報25は、製品の処分における材料に関する情報を含む。処分材料情報25は、製品毎の処分に関する情報である製品毎処分材料情報25aを含む。製品毎処分材料情報25aは、製品番号25bと、処分番号25cと、処分詳細情報25dとを含む。製品番号25bは、製品毎処分材料情報25aに対応する製品(処分対象製品)の製品番号が格納される。処分番号25cには、処分対象製品の処分を識別する番号(処分番号)が格納される。処分詳細情報25dは、処分における材料に対する処理毎のエントリを含む。
【0039】
処分詳細情報25dのエントリは、材料種別25eと、処理内容25fと、部品番号25gと、投入量25hと、リサイクル量25iと、リサイクル後原材料情報25jとのフィールドを含む。
【0040】
材料種別25eには、エントリに対応する処理の対象の材料の種別が格納される。処理内容25fには、エントリに対応する処理の内容(処理内容)が格納される。処理内容としては、選別や、焼却等がある。部品番号25gには、エントリに対応する処理を行った部品の部品番号が格納される。投入量25hには、エントリに対応する処理における材料の投入量が格納される。リサイクル量25iには、エントリに対応する処理で再生された材料の量(リサイクル量)が格納される。リサイクル後原材料情報25jには、エントリに対応する処理により再生された後の材料に対応する材料番号が格納される。
【0041】
図8は、一実施形態に係る処分事業情報の構成図である。
【0042】
処分事業情報26は、処分に関する情報を含む。処分事業情報26は、処分毎の処分に関する情報である処分毎処分事業情報26aを含む。処分毎処分事業情報26aは、製品番号26bと、処分番号26cと、処分日26dと、事業者番号26eと、X認定26fとのフィールドを含む。
【0043】
製品番号26bには、処分毎処分事業情報26aに対応する処分の対象となった製品の製品番号が格納される。処分番号26cには、処分毎処分事業情報26aに対応する処分の処分番号が格納される。処分日26dには、処分毎処分事業情報26aに対応する処分が行われた日付(処分日)が格納される。事業者番号26eには、処分毎処分事業情報26aに対応する処分を行った事業者の番号(事業者番号)が格納される。X認定26fには、処分毎処分事業情報26aに対応する処分を行った事業者が所定の認定(ここでは、所定の認定をX認定とする)を保持しているか否かの情報が格納される。
【0044】
図9は、一実施形態に係る環境貢献基準情報の構成図である。
【0045】
環境貢献基準情報27は、環境貢献に関する値(環境貢献量)を計算するのに必要な基準となる情報を格納する。環境貢献基準情報27は、材料に対する処分の処理内容毎のエントリを格納する。環境貢献基準情報27のエントリは、貢献情報番号27aと、材料種別27bと、処理内容27cと、環境貢献種別27dと、環境貢献係数27eとのフィールドを含む。貢献情報番号27aには、エントリに対応する処理内容を識別する番号(貢献情報番号)が格納される。材料種別27bには、エントリに対応する処理で対象とする材料の種別が格納される。処理内容27cには、エントリに対応する処理内容が格納される。処理内容としては、選別、焼却、リサイクル等がある。環境貢献種別27dには、エントリに対応する処理内容が貢献する環境貢献の種別が格納される。環境貢献係数27eには、エントリに対応する処理内容が環境に貢献する係数(環境貢献係数)が格納される。環境貢献係数は、例えば、エントリに対応する処理内容で得られる所定量の材料に対する環境貢献量である。
【0046】
図10は、一実施形態に係る標準判定情報の構成図である。
【0047】
標準判定情報28は、標準における規格(標準規格)の判定に関する情報を格納する。標準判定情報28は、標準規格毎の規格毎標準判定情報28aを含む。規格毎標準判定情報28aは、標準種別28bと、判定内容28cとを含む。標準種別28bには、規格毎標準判定情報28aに対応する標準規格の種別が格納される。判定内容28cには、規格毎標準判定情報28aに対応する標準規格における1以上の判定内容が格納される。
【0048】
図11は、一実施形態に係る環境貢献情報の構成図である。
【0049】
環境貢献情報31は、環境貢献算出部14により生成される情報であり、製品に対する処分による環境貢献に関する情報を含む。環境貢献情報31は、製品に対する処分毎に処分毎環境貢献情報31aを格納する。処分毎環境貢献情報31aは、製品番号31bと、処分番号31cと、環境貢献内容31dと、貢献量31eとのフィールドを含む。処分毎環境貢献情報31aにおいては、環境貢献内容31dと貢献量31eとのフィールドの組を1以上含む。製品番号31bには、処分毎環境貢献情報31aに対応する製品の製品番号が格納される。処分番号31cには、処分毎環境貢献情報31aに対応する処分の処分番号が格納される。環境貢献内容31dには、処分毎環境貢献情報31aに対応する処分における環境貢献の内容が格納される。貢献量31eには、処分毎環境貢献情報31aに対応する製品の処分における環境貢献量が格納される。
【0050】
図12は、一実施形態に係るリサイクル率情報の構成図である。
【0051】
リサイクル率情報32は、リサイクル率算出部13により生成される情報であり、製品に対する処分によるリサイクルに関する情報を含む。リサイクル率情報32は、製品に対する処分毎に処分毎リサイクル率情報32aを格納する。処分毎リサイクル率情報32aは、製品番号32bと、処分番号32cと、リサイクル詳細情報32dとを含む。製品番号32bには、処分毎リサイクル率情報32aに対応する製品の製品番号が格納される。処分番号32cには、処分毎リサイクル率情報32aに対応する処分の処分番号が格納される。リサイクル詳細情報32dは、材料毎のエントリを含む。リサイクル詳細情報32dのエントリは、材料32eと、含有量32fと、回収量32gと、回収率32hとのフィールドを含む。
【0052】
材料32eには、エントリに対応する材料名が格納される。含有量32fは、エントリに対応する材料の製品における含有量が格納される。回収量32gには、エントリに対応する材料における処分での回収量が格納される。回収率32hには、エントリに対応する材料の処分での回収率(リサイクル率:回収量/含有量×100)が格納される。
【0053】
図13は、一実施形態に係る標準判定結果情報の構成図である。
【0054】
標準判定結果情報33は、標準適合判定部15により生成される情報であり、製品の処分に関する標準規格に対する判定結果に関する情報を含む。標準判定結果情報33は、製品に対する処分についての標準規格毎に標準毎判定結果情報33aを格納する。標準毎判定結果情報33aは、製品番号33bと、処分番号33cと、標準種別33dと、判定結果33eとを含む。製品番号33bには、標準毎判定結果情報33aに対応する製品の製品番号が格納される。処分番号33cには、標準毎判定結果情報33aに対応する処分の処分番号が格納される。標準種別33dには、標準毎判定結果情報33aに対応する標準の種別が格納される。判定結果33eは、判定内容毎のエントリを含む。判定結果33eのエントリは、判定内容33fと、判定結果33gとのフィールドを含む。判定内容33fには、標準種別の規格の判定内容が格納される。判定結果33gには、エントリに対応する判定内容に対する判定結果が格納される。
【0055】
次に、トレースシステム10の処理動作について説明する。
【0056】
まず、リサイクル率算出処理について説明する。
【0057】
図14は、一実施形態に係るリサイクル率算出処理のフローチャートである。
【0058】
トレースシステム10のリサイクル率算出部13は、情報受付部11を介して、リサイクル率を算出する対象とする製品(対象製品)の指定を受け付ける(ステップS1)。ここで、対象製品の指定としては、本例では、対象製品の製品種別を受け付ける例を説明するが、対象製品の製品番号を受け付けるようにしてもよい。
【0059】
次いで、リサイクル率算出部13は、トレース情報データベース12を参照し、対象製品を構成する部品(構成部品)を特定し、構成部品の部品情報を取り出す(ステップS2)。具体的には、リサイクル率算出部13は、製品構成情報23を参照し、製品種別に対応する対象製品の部品番号を特定する。
【0060】
次いで、リサイクル率算出部13は、対象製品の各構成部品について、ループ1の処理(ステップS3)を行う。ここで、ループ1の処理対象の構成部品を対象部品という。具体的には、リサイクル率算出部13は、対象部品の部品番号を用いて部品情報22を参照し、対象部品における各材料の量を特定し、特定した各材料の量を対象製品における材料毎の量に合算し(ステップS3)、未処理の構成部品を次の対象部品としてループ1の処理を行い、全ての構成部品についてループ1の処理を実行した後に、処理をステップS4に進める。
【0061】
ステップS4では、リサイクル率算出部13は、処分材料情報25における対象製品に対応する製品毎処分材料情報25aを取り出す(ステップS4)。
【0062】
次いで、リサイクル率算出部13は、対象製品の各構成部品について、ループ2の処理(ステップS5)を行う。ここで、ループ2の処理対象の構成部品を対象部品という。具体的には、リサイクル率算出部13は、製品毎処分材料情報25aを参照し、対象部品における各材料のリサイクル量を特定し、特定した各材料のリサイクル量を対象製品における材料毎のリサイクル量に合算し(ステップS5)、未処理の構成部品を次の対象部品としてループ2の処理を行い、全ての構成部品についてループ2の処理を実行した後に、ループ2を抜ける。
【0063】
次いで、リサイクル率算出部13は、材料の各種類について、ループ3の処理(ステップS6)を行う。ここで、ループ3の処理対象の材料の種類を対象材料種類という。具体的には、リサイクル率算出部13は、ループ1で算出された対象材料種類の材料の量と、ループ2で算出された対象材料種類の材料のリサイクル量とに基づいて、リサイクル率(材料の量/材料のリサイクル量)を算出し(ステップS6)、未処理の材料種類を次の対象材料種類としてループ3の処理を行い、全ての材料種類についてループ3の処理を実行した後に、算出した結果をリサイクル率情報32として、分析結果データベース17に格納し、リサイクル率算出処理を終了する。
【0064】
このリサイクル率算出処理によると、製品における各材料のリサイクル率を適切に算出することができる。なお、対象製品について既にリサイクル率算出処理を行っている場合には、分析結果データベース17に対象製品についてのリサイクル率情報32が既に存在するので、リサイクル率算出処理を行わなくてもよい。
【0065】
次に、環境貢献算出処理について説明する。
【0066】
図15は、一実施形態に係る環境貢献算出処理のフローチャートである。
【0067】
環境貢献算出処理は、例えば、リサイクル率算出処理が終了した後に実行される。
【0068】
まず、トレースシステム10の環境貢献算出部14は、処分材料情報25から対象製品に該当する製品毎処分材料情報25aを取り出す(ステップS11)。
【0069】
次いで、環境貢献算出部14は、処分された各材料について、ループ4の処理(ステップS12~S14)を行う。ここで、ループ4の処理対象の処分された材料を対象材料という。
【0070】
ループ4においては、環境貢献算出部14は、対象材料の材料種別と処理内容とに基づいて、環境貢献基準情報27を参照して環境貢献係数を特定し、対象材料のリサイクル量と、特定した環境貢献係数とにより、環境貢献量を算出する(ステップS12)。ここで、環境貢献算出部14は、部品毎の対象材料のリサイクル量と、特定した環境貢献係数とにより、部品毎の対象材料の環境貢献量を算出し、対象製品の複数の部品の環境貢献量を合算して対象材料の環境貢献量を算出してもよいし、対象製品の複数の部品の対象材料のリサイクル量を合算し、合算したリサイクル量と特定した環境貢献係数とにより、対象材料の環境貢献量を算出してもよい。なお、前者の場合には、算出した部品毎の環境貢献量を部品と対応付けて環境貢献情報31に記憶させるようにしてもよい。
【0071】
次いで、環境貢献算出部14は、対象材料について算出された環境貢献量を、対象製品の環境貢献情報に合算する(ステップS13)。具体的には、環境貢献算出部14は、対象材料について算出された環境貢献量を、環境貢献情報31の対象製品の同一の環境貢献種別の環境貢献量に合算する。
【0072】
次いで、環境貢献算出部14は、対象材料について算出された環境貢献量を、原材料の環境貢献情報に合算する(ステップS14)。具体的には、環境貢献算出部14は、対象材料について算出された環境貢献量を、原材料情報21の対応する原材料の同一の環境貢献種別の環境貢献量に合算する。
【0073】
次いで、環境貢献算出部14は、全ての材料種類についてループ4の処理を実行する。これにより、環境貢献情報31には、対象製品についての環境貢献量が格納され、原材料情報21には、対象製品の環境貢献量が反映された原材料の環境貢献量が格納されることとなる。この後、環境貢献算出部14は、環境貢献算出処理を終了する。
【0074】
この環境貢献算出処理によると、製品についての環境貢献量を適切に算出することができるとともに、製品に使用される材料についての環境貢献量を適切に算出することができる。
【0075】
次に、標準適合判定処理について説明する。
【0076】
標準適合判定処理は、例えば、環境貢献算出処理が行われた後に実行される。
【0077】
トレースシステム10の標準適合判定部15は、標準判定情報28の標準規格の判定内容を取得し、対象製品が判定内容に適合するか否かを判定し、判定内容と、その判定内容の結果とを対応付けて、標準判定結果情報33に格納する。
【0078】
この標準適合判定処理によると、対象製品が標準の判定内容を満たしているか否かを容易且つ適切に判定することができる。
【0079】
次に、製品情報画面100について説明する。
【0080】
図16は、一実施形態に係る製品情報画面の構成図である。
【0081】
製品情報画面100は、利用者から製品情報の表示指示を受け付けて、トレース部16により表示される画面である。製品情報画面100は、製品種別入力領域101と、部品表示ボタン102と、部品情報表示領域103とを含む。
【0082】
製品種別入力領域101は、製品情報を表示させる対象の製品(対象製品)の製品種別が入力される領域である。部品表示ボタン102は、製品種別入力領域101に入力された製品種別に対応する対象製品についての部品情報表示領域103を表示させる指示を受け付けるボタンである。部品表示ボタン102が押下されると、トレース部16は、トレース情報データベース12の情報に基づいて、部品情報表示領域103を表示する。
【0083】
部品情報表示領域103は、部品ごとの行を含む。部品情報表示領域103の行には、対象製品を構成する部品の部品番号と、その部品の材料の材料番号と、その材料の重量と、環境貢献表示ボタン104と、トレース表示ボタン105とが表示される。
【0084】
環境貢献表示ボタン104は、行に対応する部品に関する環境貢献画面200(
図17参照)を表示させる指示を受け付けるボタンである。トレース表示ボタン105は、行に対応する部品に関するトレース画面300(
図18参照)を表示させる指示を受け付けるボタンである。
【0085】
製品情報画面100によると、利用者は、対象製品を構成する部品と、その部品の材料及びその重量を把握することができる。また、利用者は、製品情報画面100から、部品の環境貢献量を把握するための環境貢献画面200や、部品の材料の情報を把握するためにトレース画面300を容易には表示させることができる。
【0086】
次に、環境貢献画面200について説明する。
【0087】
図17は、一実施形態に係る環境貢献画面の構成図である。
【0088】
環境貢献画面200は、環境貢献表示ボタン104が押下された場合にトレース部16により表示される画面である。環境貢献画面200は、製品種別表示領域201と、製品環境貢献情報表示領域202と、部品番号表示領域203と、部品環境貢献情報表示領域204とを含む。
【0089】
製品種別表示領域201には、環境貢献画面200が対象としている製品(対象製品)の製品種別が表示される。製品環境貢献情報表示領域202には、製品種別表示領域201に表示されている対象製品についての環境貢献情報が表示される。環境貢献情報としては、貢献対象と、貢献対象についての環境貢献量との組が1以上表示される。
【0090】
部品番号表示領域203には、環境貢献画面200が対象としている部品(対象部品)の部品番号が表示される。部品環境貢献情報表示領域204には、部品番号表示領域203に表示されている対象部品についての環境貢献情報が表示される。環境貢献情報としては、貢献対象と、貢献対象についての環境貢献量との組が1以上表示される。
【0091】
環境貢献画面200によると、対象部品に関する環境貢献情報と、対象部品を含む製品に関する環境貢献情報と、を容易且つ適切に把握することができる。
【0092】
次に、トレース画面300について説明する。
【0093】
図18は、一実施形態に係るトレース画面の構成図である。
【0094】
トレース画面300は、トレース表示ボタン105が押下された場合、又は利用者から部品情報の表示指示を受け付けた場合に、トレース部16により表示される画面である。トレース画面300は、部品番号入力表示領域301と、表示ボタン302と、材料情報表示領域303と、リサイクル情報表示領域304とを含む。
【0095】
部品番号入力表示領域301は、トレース表示ボタン105が押下された場合において、トレース画面300が対象としている部品(対象部品)の部品番号を表示し、また、利用者から対象部品の部品番号の入力を受け付ける領域である。表示ボタン302は、部品番号入力表示領域301に利用者から入力された部品番号についての材料情報やリサイクル情報を表示させる指示を受け付けるボタンである。表示ボタン302が押下されると、トレース部16は、トレース情報データベース12の情報に基づいて、材料情報表示領域303及びリサイクル情報表示領域304を表示する。なお、トレース表示ボタン105が押下された場合においては、表示ボタン302が押下されされなくても、トレース部16は、トレース情報データベース12の情報に基づいて、材料情報表示領域303及びリサイクル情報表示領域304が表示される。
【0096】
材料情報表示領域303には、部品を構成する材料に関する材料情報が表示される。材料情報は、材料の材料番号と、材料種別と、部品における材料の重量と、材料の全体の重量とを含む。
【0097】
リサイクル情報表示領域304には、部品をリサイクルした場合の材料に関する情報(リサイクル情報)が表示される。リサイクル情報は、材料の材料番号と、材料種別と、部品におけるリサイクルされた材料の重量と、その材料の全体の重量とを含む。
【0098】
トレース画面300によると、製品を構成する部品についてどのような材料により構成されているかや、どのような材料にリサイクルされたかを容易に把握することができる。
【0099】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0100】
例えば、上記実施形態において、トレース部16は、リサイクル率情報32に基づいて、製品の各材料のリサイクル率(回収率)を表示するようにしてもよく、また、標準判定結果情報33に基づいて、標準規格における各判定内容の結果を画面に表示するようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、環境貢献量として、CO2、NO2、CH4等の物質の削減量としていたが、本発明はこれに限られず、例えば、物質の削減量を別の評価量(例えば、金銭価値)としてもよい。
【0102】
また、上記実施形態において、CPUが行っていた処理の一部又は全部を、ハードウェア回路で行うようにしてもよい。また、上記実施形態におけるプログラムは、プログラムソースからインストールされてよい。プログラムソースは、プログラム配布サーバ又は記憶メディア(例えば可搬型の記録メディア)であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…トレースシステム、11…情報受付部、12…トレース情報データベース、13…リサイクル率算出部、14…環境貢献算出部、15…標準適合判定部、16…トレース部、17…分析結果データベース、41…ユーザインタフェース、42…ネットワークインタフェース、43…メモリ、44…CPU、45…記憶装置