(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097131
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】電子機器、コンテンツ試用プログラム及びコンテンツ試用方法
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20230630BHJP
G10H 1/18 20060101ALI20230630BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G10H1/00 Z
G10H1/18 Z
G10K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213304
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】永田 晃弘
【テーマコード(参考)】
5D208
5D478
【Fターム(参考)】
5D208BA03
5D208BD02
5D208BD03
5D478HH15
5D478MM06
(57)【要約】
【課題】未購入コンテンツの内容を余すところなく試用できると共に、未購入コンテンツが不正に利用され続けるのを防止できる電子機器、コンテンツ試用プログラム及びコンテンツ試用方法を提供すること。
【解決手段】音色データリスト36aから選択された未購入音色データがサーバ70から取得され、揮発性を有するワークメモリ33aに記憶される。試用においては、ワークメモリ33aに記憶された未購入音色データの内容を無制限に利用できる。その一方で、未購入音色データを試用した後に、電子楽器30の電源がオフにされると、ワークメモリ33aから未購入音色データが消去される。これにより、その後の電子楽器30の電源投入後は、当該未購入音色データを利用することができないので、ユーザHがサーバ70から取得後においても購入していない未購入音色データが繰り返し不正利用されるのを防止できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入されていない未購入のコンテンツである未購入コンテンツを取得する未購入コンテンツ取得手段と、
その未購入コンテンツ取得手段で取得された未購入コンテンツの内容を無制限に利用させる試用手段と、
所定の操作を取得する操作取得手段と、
その操作取得手段で所定の操作を取得した場合に、前記未購入コンテンツであって、前記未購入コンテンツ取得手段による取得後においても購入されていない未購入コンテンツの、前記試用手段による利用を禁止する禁止手段とを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記未購入コンテンツ取得手段で取得した未購入コンテンツを記憶する一時記憶手段を備え、
前記試用手段は、前記一時記憶手段に記憶された未購入コンテンツの内容を無制限に利用させるものであり、
前記禁止手段は、前記操作取得手段によって所定の操作が取得された場合に前記一時記憶手段に記憶される未購入コンテンツを消去することで、前記試用手段による未購入コンテンツの無制限の利用を禁止するものであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記一時記憶手段は、揮発性を有するものであり、
前記操作取得手段は、所定の操作として当該電子機器の電源をオフにする操作を取得するものであり、
前記禁止手段は、前記操作取得手段で取得された操作により当該電子機器の電源がオフにされることに伴って前記一時記憶手段に記憶される未購入コンテンツが消去されることで、前記試用手段による未購入コンテンツの無制限の利用を禁止するものであることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
不揮発性を有し、購入済みのコンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、
そのコンテンツ記憶手段に記憶された購入済みのコンテンツの内容を無制限に利用させる利用手段と、
前記未購入コンテンツが購入されたか否かの購入情報を取得する購入状態取得手段と、
その購入状態取得手段で取得された購入情報において、購入したとされた前記未購入コンテンツを購入済みのコンテンツとして前記コンテンツ記憶手段に記憶するコンテンツ保存手段とを備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
少なくとも1回以上前記未購入コンテンツ取得手段で取得された未購入コンテンツが所定条件を満たす場合に、当該未購入コンテンツの再取得を禁止する再取得禁止手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記所定条件は、当該未購入コンテンツが未購入かつ当該未購入コンテンツを所定の回数以上取得したことであることを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記所定条件は、当該未購入コンテンツが未購入かつ当該未購入コンテンツを最初に取得してから所定の期間以上を経過したことであることを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項8】
前記未購入コンテンツの一覧を表示する一覧表示手段を備え、
前記未購入コンテンツ取得手段は、前記一覧表示手段によって表示された一覧から選択された未購入コンテンツを取得するものであり、
前記再取得禁止手段は、前記所定条件を満たす少なくとも1回以上前記未購入コンテンツ取得手段で取得された未購入コンテンツを、前記一覧表示手段で表示される一覧から除外するものであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
当該電子機器は、電子楽器であり、
前記コンテンツは、前記電子楽器で使用される音色データであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
コンピュータに、購入処理されていない未購入のコンテンツである未購入コンテンツを試用させる試用処理を実行するコンテンツ試用プログラムであって、
前記未購入コンテンツを取得する未購入コンテンツ取得ステップと、
その未購入コンテンツ取得ステップで取得された未購入コンテンツの内容を無制限に利用させる試用ステップと、
所定の操作を取得する操作取得ステップと、
その操作取得ステップで所定の操作を取得した場合に、前記未購入コンテンツであって、購入処理が未実施の未購入コンテンツの前記試用ステップによる無制限の利用を禁止する禁止ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするコンテンツ試用プログラム。
【請求項11】
コンテンツを取得するコンテンツ取得ステップと、
そのコンテンツ取得ステップで取得されたコンテンツが購入済みか未購入かに関わらず、当該コンテンツの内容を同等に利用させる利用ステップと、
所定の操作を取得する操作取得ステップと、
その操作取得ステップで所定の操作を取得した場合に、前記コンテンツ取得ステップで取得されたコンテンツであって、購入処理が未実施のコンテンツの前記利用ステップによる利用を禁止する禁止ステップとを備えていることを特徴とするコンテンツ試用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、コンテンツ試用プログラム及びコンテンツ試用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、未購入の音楽データ、映像データ、文字データ等のコンテンツを、試用条件の範囲内で利用できるコンテンツ情報記録装置3が開示されている。試用条件として再生回数の制限が示されており、コンテンツ情報記録装置3において再生回数が制限されたコンテンツが再生することで、利用者は当該コンテンツを購入する前にその内容の一端を把握でき、当該コンテンツを購入するか否かをより具体的に判断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンテンツが電子楽器での楽音に用いられる音色データや、映像処理装置で用いられる映像の素材データ等、コンテンツを繰り返し使用しないと利用者がその内容を把握できないものも存在する。このようなコンテンツに上記の試用条件を課すと、利用者が当該コンテンツを購入するか否かを十分に判断できない虞がある。一方で、未購入のコンテンツに試用条件を課すことなく試用を許可すると、当該コンテンツが未購入のまま不正に利用され続けてしまう虞があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、未購入コンテンツの内容を余すところなく試用できると共に、未購入コンテンツが不正に利用され続けるのを防止できる電子機器、コンテンツ試用プログラム及びコンテンツ試用方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の電子機器は、購入されていない未購入のコンテンツである未購入コンテンツを取得する未購入コンテンツ取得手段と、その未購入コンテンツ取得手段で取得された未購入コンテンツの内容を無制限に利用させる試用手段と、所定の操作を取得する操作取得手段と、その操作取得手段で所定の操作を取得した場合に、前記未購入コンテンツであって、前記未購入コンテンツ取得手段による取得後においても購入されていない未購入コンテンツの、前記試用手段による利用を禁止する禁止手段とを備えている。
【0007】
本発明のコンテンツ試用プログラムは、コンピュータに、購入処理されていない未購入のコンテンツである未購入コンテンツを試用させる試用処理を実行するプログラムであって、前記未購入コンテンツを取得する未購入コンテンツ取得ステップと、その未購入コンテンツ取得ステップで取得された未購入コンテンツの内容を無制限に利用させる試用ステップと、所定の操作を取得する操作取得ステップと、その操作取得ステップで所定の操作を取得した場合に、前記未購入コンテンツであって、購入処理が未実施の未購入コンテンツの前記試用ステップによる無制限の利用を禁止する禁止ステップと、を前記コンピュータに実行させるものである。
【0008】
また本発明のコンテンツ試用方法は、コンテンツを取得するコンテンツ取得ステップと、そのコンテンツ取得ステップで取得されたコンテンツが購入済みか未購入かに関わらず、当該コンテンツの内容を同等に利用させる利用ステップと、所定の操作を取得する操作取得ステップと、その操作取得ステップで所定の操作を取得した場合に、前記コンテンツ取得ステップで取得されたコンテンツであって、購入処理が未実施のコンテンツの前記利用ステップによる利用を禁止する禁止ステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】コンテンツ試用システムの概要を表す図である。
【
図3】コンテンツ試用システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)は、保存禁止データを模式的に表す図であり、(b)は、管理情報を模式的に表す図である。
【
図5】電子楽器メイン処理のフローチャートである。
【
図7】第2実施形態におけるコンテンツ試用システムの概要を表す図である。
【
図8】第2実施形態におけるコンテンツ試用システムの電子楽器および記録メディアの電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態におけるコンテンツ試用システムのサーバ及びPCの電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】第2実施形態におけるPCメイン処理のフローチャートである。
【
図11】第2実施形態における電子楽器メイン処理のフローチャートである。
【
図12】第2実施形態における音色保存処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1を参照して本実施形態のコンテンツ試用システムSの概要を説明する。
図1は、コンテンツ試用システムSの概要を表す図である。
図1に示す通り、コンテンツ試用システムSは、電子楽器30と、携帯端末50と、サーバ70とで構成される。電子楽器30とサーバ70とは通信可能に構成され、携帯端末50とサーバ70とも通信可能に構成される。
【0011】
電子楽器30は、ユーザHの演奏に基づいて楽音を発音する装置(電子機器)である。電子楽器30には、ユーザHの演奏による演奏情報を取得する鍵盤34と、ユーザHが各種設定を入力する設定キー35と、電子楽器30の設定等を表示するLCD36が設けられる。設定キー35には、更にLCD36に表示される選択項目を選択する後述の選択カーソル36xを移動させる上キー35a及び下キー35bと、選択カーソル36xで選択された選択項目の選択を確定するための選択キー35cとが設けられる。
【0012】
また、電子楽器30には、音色の情報を有する音色データが設けられ、ユーザHの選択に応じた音色を音色データから取得し楽音として出力される。音色データは、音色に関する複数の変数値(アタック、ディケイ、サスティン及びリリースのエンベロープの情報等)からなるデータ(コンテンツ)である。電子楽器30は、ユーザHにより選択された音色データに設定された各変数値に応じて音を加工し、加工された音色を発音する。音色データは、電子楽器30の工場出荷時に組み込まれているものの他にサーバ70からも取得される。
【0013】
サーバ70の音色データは、ユーザHに販売されており、ユーザHが購入した音色データが電子楽器30に送信され、電子楽器30において当該音色データの内容が無制限に利用できる。ここで本実施形態において「音色データの無制限の利用」とは、電子楽器30において楽音を発音するために読み込まれた音色データに含まれる音色の全てを、他の音色データが読み込まれるまで又は電子楽器30の電源をオフにするまで制限なく利用できることをいう。
【0014】
また「音色データの購入」には、ユーザHが利用を希望する単品の音色データや複数の音色データをパッケージングしたものを永続的に利用する権利を購入することと、ユーザHが音色データのサブスクリプション権限(以下「サブスク権限」と略す。)を購入することとが含まれる。
【0015】
サブスク権限とは、ユーザHのサーバ70上の音色データ等のサービス利用における契約種別を表すものであり、複数段階の権限(具体的には「ノーマル」、「コア」、「プロ」及び「アルティメット」)が設定される。ユーザHは、所望の段階のサブスク権限を購入することで、その段階で利用が許可されている音色データ等をサーバ70から取得して利用できる。以下、永続的に利用する権利を購入する音色データのことを「永続的な音色データ」といい、サブスク権限を購入して利用可能になる音色データのことを「サブスク権限の音色データ」という。
【0016】
本実施形態において電子楽器30は、購入処理がされていない未購入の音色データである未購入音色データも電子楽器30の電源をオフにするまでは、その内容を無制限に利用、即ち試用できるように構成される。かかる電子楽器30における未購入音色データの試用については後述する。
【0017】
携帯端末50は、ユーザHから入力される指示に応じた処理を行う端末(情報処理装置、コンピュータ)である。携帯端末50には、表示装置であるLCD56が設けられる。携帯端末50はユーザHからの指示に応じて、サーバ70上の音色データの購入する指示を送信したり、サーバ70上の未購入音色データの電子楽器30での試用の指示を送信することができる。
【0018】
ここで、電子楽器30における未購入音色データの試用を説明する。電子楽器30のLCD36には、サーバ70上の音色データの名称が一覧表示される音色データリスト36aが表示される。音色データリスト36aには、ユーザHが購入した購入済みの音色データと、ユーザHが購入していない未購入音色データとが表示される。
【0019】
LCD36には、LCD36内に表示される項目を選択する選択カーソル36xが表示される。ユーザHは、設定キー35の上キー35a又は下キー35bを操作することで、選択カーソル36xを音色データリスト36aにおける所望の音色データの名称に移動させる。そして、ユーザHが設定キー35の選択キー35cを操作することで、音色データリスト36aからの音色データの選択が確定される。以下、LCD36に表示されるキー等の選択項目に選択カーソル36xを移動させ、選択キー35cを操作によって選択を確定させることを、単に「選択」という。
【0020】
LCD36には、更に試用キー36bが表示される。試用キー36bは、音色データリスト36aで選択された未購入音色データによる試用を開始させるキーである。試用キー36bは、音色データリスト36aで選択されたものが未購入音色データである場合には、操作できるように表示される(例えば、実線で表示)。一方で、音色データリスト36aで選択されたものが購入済みの音色データである場合には、試用キー36bは操作できないように表示される(例えば、点線で表示)。
【0021】
音色データリスト36aから未購入音色データが選択され、試用キー36bが操作された場合に、サーバ70から選択が確定された未購入音色データが取得され、電子楽器30で実際に(現在)発音に用いられる音色データに設定(ロード)される。
【0022】
この際、サーバ70から取得された未購入音色データは、揮発性を有するメモリであるワークメモリ33a(
図3参照)に記憶される。試用においては、ワークメモリ33aに記憶された未購入音色データの内容が無制限に利用できる。音色データには複数の音色が含まれ、更に鍵盤34から取得された演奏情報に基づいて様々な楽音が出力される。
【0023】
そのため、音色データの音色がユーザHが演奏する曲調に合致しているかをユーザH自身が判断するには、音色データの複数の音色を組み合わせて発音することを繰り返す等、音色データの比較的長時間の利用が必要とされる。このような音色データの試用において、音色データの音色の読み出し回数が制限されたり、音色データにおいて発音可能な音色が制限されると、ユーザHは音色データを十分に評価することができない。
【0024】
そこで、サーバ70から取得された未購入音色データを無制限に利用可能とすることで、ユーザHは未購入音色データに含まれる音色を余すところなく試用することができ、当該未購入音色データを購入するか否かを好適に判断することができる。
【0025】
その一方で、サーバ70から取得された未購入音色データが揮発性を有するワークメモリ33aに記憶される。未購入音色データを試用した後に、ユーザHの電子楽器30の電源をオフにする操作が入力され、電子楽器30の電源がオフにされると、当該未購入音色データがワークメモリ33aから消去される。これにより、その後に電子楽器30の電源を投入した後は、当該未購入音色データを利用することができないので、購入されていない未購入音色データが継続的に、又は繰り返し不正利用されるのを防止できる。
【0026】
次に、未購入音色データを購入した後の、当該音色データの電子楽器30の継続的な利用を説明する。LCD36には、更に保存キー36cが表示される。保存キー36cは、購入が完了した音色データを、電子楽器30における不揮発性を有する音色メモリ32b(
図3参照)に保存するためのキーである。
【0027】
保存キー36cは、音色データリスト36aで選択された音色データが音色メモリ32bに保存されていない場合には、操作できるように表示され(例えば、実線で表示)、音色メモリ32bに保存されている場合には、保存キー36cは操作できないように表示される(例えば、点線で表示)。
【0028】
音色データリスト36aから音色データが選択され、保存キー36cが操作された場合に、サーバ70から選択された音色データが購入済みかが確認される。そして、当該音色データが購入済みの場合は、当該音色データを音色メモリ32bに記憶される。その後、音色メモリ32bに記憶された音色データは、ユーザHの指示によりワークメモリ33aにコピーされ、電子楽器30で実際に発音に用いられる音色データに設定される。
【0029】
このように、購入済みの音色データが不揮発性を有する音色メモリ32bに記憶されるので、電子楽器30の電源をオフにし、その後電源をオンにしても当該音色データが音色メモリ32bに記憶されている状態を維持できる。これにより、上記の試用を行った未購入音色データをユーザHが気に入り、その音色データを購入した後は、その音色データを電子楽器30で継続して繰り返し利用できる。
【0030】
一方で、音色データリスト36aで選択された音色データが未購入であり、その状態で保存キー36cが操作された場合、LCD36aには「音色データBBBBを購入してください」等の当該音色データの購入を促すメッセージが表示される(図示せず)。これにより、ユーザHに当該音色データが未購入で保存できないことを把握させ、ユーザHに当該音色データを購入する動機付けを与えることができる。
【0031】
ところで、本実施形態において音色データの購入は、携帯端末50において行われる。携帯端末50のLCD56には、音色データリスト56aと、選択カーソル56xと、試用キー56bと、保存キー56cと、購入キー56dとが設けられる。
【0032】
音色データリスト56aには、上記の電子楽器30の音色データリスト36aと同様に、サーバ70上の音色データの名称が一覧表示される。選択カーソル56xは、電子楽器30の選択カーソル36xと同様に、LCD56に表示される音色データリスト56aの音色の名称等の、選択項目を選択するものである。選択カーソル56xを移動させ、選択項目の選択を確定させることを、単に「選択」という。
【0033】
試用キー56bは、上記の電子楽器30の試用キー36bと同様に、音色データリスト56aで選択された未購入音色データを、サーバ70を介して電子楽器30に試用させるキーである。保存キー56cは、上記の電子楽器30の保存キー36cと同様に、音色データリスト36aで選択された購入済み又はサブスク権限が有効な音色データを、サーバ70を介して電子楽器30の音色メモリ32bに記憶させるキーである。
【0034】
購入キー56dは、音色データリスト36aで選択された未購入音色データを購入するためのキーである。購入キー56dは、音色データリスト56aで選択されたものが未購入音色データである場合には、操作できるように表示される(例えば、実線で表示)。一方で、音色データリスト36aで選択されたものが購入済みの音色データである場合には、購入キー56dは操作できないように表示される(例えば、点線で表示)。
【0035】
購入キー56dを操作することで、音色データリスト56aで選択された未購入音色データが永続的な音色データである場合は、その音色データの購入処理が行われる。また、音色データリスト56a選択された未購入音色データがサブスク権限の音色データである場合は、当該音色データを利用する権限を有するサブスク権限の段階が表示され、ユーザHによって選択された段階のサブスク権限の購入処理が行われる。これにより、未購入音色データが購入済みに変更され、当該音色データを保存キー36c等の操作によって音色メモリ32bに保存できる。
【0036】
次に、
図2を参照して電子楽器30の機能を説明する。
図2は、電子楽器30の機能ブロック図である。
図2に示すように、電子楽器30は、未購入コンテンツ取得手段400と、試用手段401と、操作取得手段402と、禁止手段403とを有する。
【0037】
未購入コンテンツ取得手段400は、購入されていない未購入のコンテンツである未購入コンテンツを取得する手段であり、
図3で後述のCPU31で実現される。試用手段401は、未購入コンテンツ取得手段400で取得された未購入コンテンツの内容を無制限に利用させる手段であり、CPU31で実現される。操作取得手段402は、所定の操作を取得する手段であり、CPU31で実現される。禁止手段403は、操作取得手段402で所定の操作を取得した場合に、未購入コンテンツであって、未購入コンテンツ取得手段400による取得後においても購入されていない未購入コンテンツの、試用手段401による利用を禁止する手段であり、CPU31で実現される。
【0038】
電子楽器30においては、未購入コンテンツの内容を無制限に利用できるので、ユーザHは当該コンテンツの内容を余すところなく試用でき、購入の可否を判断することができる。一方で、所定の操作が取得された場合は、購入処理が未実施の未購入コンテンツの無制限の利用が禁止される。これにより、未購入コンテンツが購入処理がされないまま不正に使用され続けるのを防止できる。
【0039】
次に、
図3,4を参照してコンテンツ試用システムSの電気的構成を説明する。
図3は、コンテンツ試用システムSの電気的構成を示すブロック図である。電子楽器30は、CPU31と、フラッシュROM32と、RAM33と、上記した鍵盤34、設定キー35及びLCD36と、サーバ70と通信する通信装置37と、音源38と、Digital Signal Processor39(以下「DSP39」と称す)とを有し、それぞれバスライン40を介して接続される。
【0040】
CPU31は、バスライン40により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM32は、CPU31により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム32aと、上記した音色メモリ32bと、保存禁止データ32cとが含まれる。CPU31によって制御プログラム32aが実行されると、
図5の電子楽器メイン処理が実行される。保存禁止データ32cは、音色データごとに音色メモリ32bへの保存できるか否かが設定されるデータテーブルである。
図4(a)を参照して、保存禁止データ32cを説明する。
【0041】
図4(a)は、保存禁止データ32cを模式的に表す図である。保存禁止データ32cには、音色データに固有に割り振られる識別子である音色識別子ごとに、当該音色データが購入済みで音色メモリ32bに保存できる場合はその旨を表す保存許可(図中「〇」)が設定され、当該音色データが未購入で音色メモリ32bに保存できない場合はその旨を表す保存禁止「×」が設定される。以下、このような音色識別子とその音色識別子の音色データに該当する保存許可または保存禁止とが設定された情報のことを「保存禁止データ」という。
【0042】
図3に戻る。RAM33は、CPU31がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するための揮発性のメモリであり、上記したワークメモリ33aが含まれる。
【0043】
音源38は、鍵盤34から入力される演奏情報に応じてワークメモリ33aのカレントの音色データに基づく波形データを出力する装置である。DSP39は、音源38から入力された波形データを演算処理するための演算装置である。DSP39には、音源38とデジタルアナログコンバータ(DAC)41とが接続され、そのDAC41にはアンプ42が接続され、そのアンプ42にはスピーカ43が接続される。
【0044】
次に、携帯端末50の電気的構成を説明する。携帯端末50は、CPU51と、フラッシュROM52と、揮発性のメモリであるRAM53とを有し、これらはバスライン54を介して入出力ポート55にそれぞれ接続されている。入出力ポート55には更に、サーバ70と通信する通信装置61と、上記したLCD56と、ユーザHからの指示が入力されるタッチパネル57とが接続される。
【0045】
フラッシュROM52は、CPU51により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、携帯プログラム52aが記憶される。CPU51によって携帯プログラム52aが実行されると、
図1で上記したサーバ70上の音色データの表示処理や音色データの購入処理等が実行される。
【0046】
次に、サーバ70の電気的構成を説明する。サーバ70は、CPU71と、ハードディスク・ドライブ72(以下「HDD72」と略す)と、CPU71がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するための揮発性のメモリであるRAM73とを有し、これらはバスライン74を介して入出力ポート75にそれぞれ接続されている。入出力ポート75には更に、電子楽器30及び携帯端末50と通信する通信装置76が接続される。
【0047】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。HDD72は、CPU71により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、サーバプログラム72aと、複数の音色データが記憶される音色DB72bと、管理情報72cとが含まれる。CPU71によってサーバプログラム72aが実行されると、電子楽器30への音色データの送信や、携帯端末50から受信した音色データの購入指示に対する購入処理等が実行される。
図4(b)を参照して、管理情報72cを説明する。
【0048】
図4(b)は、管理情報72cを模式的に表す図である。管理情報72cには、電子楽器30を利用するユーザHを示すユーザ識別子毎に、音色DB72bに記憶される音色データの情報が記憶される。音色データの情報として、音色データの音色識別子と、サブスク権限の音色データ(図中では「サブスク」)又は永続的な音色データ(図中では「永続」)を表す音色データのタイプと、該当するユーザHの当該音色データの購入状態(購入済み(図中では「購入」)又は未購入(図中では「未」))とが対応付けられて記憶される。
【0049】
図3に戻る。RAM73は、CPU71がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するための揮発性のメモリである。
【0050】
次に
図5,6を参照して、電子楽器30のCPU31で実行される処理を説明する。
図5は、電子楽器メイン処理のフローチャートである。電子楽器メイン処理は、電子楽器30の電源が投入された場合に実行される処理である。電子楽器メイン処理はまず、音色データをロードするロード指示を受信したかを確認する(S1)。ロード指示は、
図1で上記した電子楽器30の試用キー36bや携帯端末50の試用キー56bが操作された場合や、音色メモリ32bに記憶される購入済みの音色データをワークメモリ33aにコピーする指示を受信した場合、ロード指示を受信したと判断する。
【0051】
S1の処理において、ロード指示がされた場合は(S1:Yes)、ロード指示された音色データを取得し、ワークメモリ33aにコピーすることで、ロードを行う(S2)。S2の処理において、未購入音色データをロードして試用する場合は、サーバ70から当該音色データをロードし、購入済みの音色データをロードする場合は、サーバ70又は音色メモリ32bから当該音色データをロードする。
【0052】
S2の処理の後、ロードした音色データが購入済みか、即ち当該音色データの購入状態をサーバ70に問い合わせる(S3)。サーバ70は、電子楽器30からの問い合わせを受信した場合に、電子楽器30のユーザHのユーザ識別子と問い合わせの対象の音色データの音色識別子とを、管理情報72cで参照し、当該音色データの購入状態を取得する。そして、サーバ70は取得された購入状態を電子楽器30に送信する。
【0053】
S3の処理の後、サーバ70に問い合わせた購入状態が未購入かどうかを確認する(S4)。S4の処理において、購入状態が未購入である場合は(S4:Yes)、保存禁止データ32cにおける、S2の処理でロードされた音色データに保存禁止(即ち
図4(a)における「×」)を設定する(S5)。一方で、S4の処理において、購入状態が購入済みである場合は(S4:No)、保存禁止データ32cにおける、S2の処理でロードされた音色データに保存許可(即ち
図4(a)における「〇」)を設定する(S6)。
【0054】
S1の処理において、ロード指示がされなかった場合は(S1:No)、S2~S6の処理をスキップする。
【0055】
S1,S5,S6の処理の後、ワークメモリ33aにロードしている音色データを保存する指示があったかを確認する(S7)。具体的に、S7の処理においては、
図1で上記した保存キー36c又は保存キー56cが操作されたかが確認される。S7の処理において、音色データを保存する指示があった場合は(S7:Yes)、音色保存処理(S8)を実行する。ここで、
図6を参照して音色保存処理を説明する。
【0056】
図6は、音色保存処理のフローチャートである。音色保存処理はまず、保存禁止データ32cにおける、
図5のS7の処理で保存が指示された対象の音色データ(以下「対象の音色データ」と略す)が保存禁止かを確認する(S20)。S20の処理において、対象の音色データが保存禁止の場合は(S20:Yes)、LCD36に対象の音色データの購入を促すメッセージを表示する(S21)。ユーザHが携帯端末50から保存する操作をした場合は、対象の音色データの購入を促すメッセージを携帯端末50のLCD56に表示しても良い。
【0057】
S21の処理の後、S21の処理で表示されたメッセージを受けて、ユーザHが対象の音色データを購入したかを確認するため、対象の音色データの購入状態をサーバ70に問い合わせる(S22)。サーバ70は、電子楽器30からの問い合わせを受信した場合に、電子楽器30のユーザHのユーザ識別子と対象の音色データの音色識別子とを、管理情報72cで参照し、当該音色データの購入状態を取得する。そして、サーバ70は取得された購入状態を電子楽器30に送信する。
【0058】
なお、S22の処理によるサーバ70への問い合わせは、ユーザHの携帯端末50への購入指示に要する時間を考慮して、S21の処理でメッセージが表示されてから所定時間後(例えば、3分後)に行っても良い。
【0059】
S22の処理の後、対象の音色データの購入状態が購入済みであるかを確認する(S23)。S23の処理において対象の音色データの購入状態が購入済みである場合は(S23:Yes)、対象の音色データを音色メモリ32bに保存すると共に、保存禁止データ32cにおける、S2の処理でロードされた音色データに保存許可(即ち
図4(a)における「〇」)を設定する(S24)。
【0060】
以上により、ユーザHは、対象の未購入音色データを継続的に利用するために音色メモリ32bに保存しようとした際、S21の処理によるメッセージで当該音色データが未購入であることを把握できる。そして、ユーザHが携帯端末50で当該音色データを購入することで当該音色データが購入済みとなり、当該音色データが音色メモリ32bに保存される。これにより、未購入だった対象の音色データを購入済みの音色データとして音色メモリ32bに記憶されるので、当該音色データを電子楽器30で繰り返し利用できる。
【0061】
一方でS23の処理において対象の音色データが未購入である場合は(S23:No)、LCD36に対象の音色データが保存できない旨のメッセージを表示する(S25)。この場合も、ユーザHが携帯端末50から保存する操作をした場合は、対象の音色データが保存できない旨のメッセージを携帯端末50のLCD56に表示しても良い。
【0062】
S20の処理において、対象の音色データが保存許可の場合は(S20:No)、上記のS24の処理によって対象の音色データを音色メモリ32bに保存する(S24)。これらS20,S24の処理による音色データの保存は、未購入の状態で取得した音色データを電子楽器30で試用し、その後にユーザHが携帯端末50で当該音色データの購入した後に、当該音色データを音色メモリ32bに保存させる場合と、元々購入済みの音色データをサーバ70から取得して電子楽器30の演奏に利用し、その後当該音色データを音色メモリ32bに保存させる場合とが挙げられる。
【0063】
S24,S25の処理の後、音色保存処理を終了する。
【0064】
図5に戻る。S7の処理において、音色データを保存する指示がなかった場合は(S7:No)、S8の音色保存処理をスキップする。S7,S8の処理の後、電子楽器30のその他の処理を実行し(S9)、S1以下の処理を繰り返す。
【0065】
次に、
図7~12を参照して、第2実施形態を説明する。上記した第1実施形態の照明制御装置1では、電子楽器30は、未購入音色データをサーバ70から通信によって直接取得した。これに対して第2実施形態の電子楽器300では、サーバ700からの未購入音色データを記録メディア100を介して取得する。第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0066】
図7は、第2実施形態におけるコンテンツ試用システムS’の概要を表す図である。コンテンツ試用システムS’は、第1実施形態のコンテンツ試用システムSから携帯端末50が省略される一方で、PC80と記録メディア100とが設けられる。
【0067】
PC80は、ユーザHから入力される指示に応じた処理を行う情報処理装置(コンピュータ)であり、サーバ700と通信可能に構成される。PC80には、表示装置であるLCD86が設けられる。LCD86には、サーバ700上の音色データの名称が一覧表示される音色データリスト86aと、選択カーソル86xと、音色データリスト86aで選択された未購入音色データを購入するための購入キー86dと、転送キー86eとが設けられる。
【0068】
選択カーソル86xは、電子楽器300の選択カーソル36xと同様に、LCD86に表示される音色データリスト86aの音色の名称等の、選択項目を選択するものである。選択カーソル86xを移動させ、選択項目の選択を確定させることを、単に「選択」という。
【0069】
転送キー86eは、音色データリスト86aで選択された音色データを記録メディア100に転送するためのキーである。転送キー86eの操作によって、音色データリスト86aで選択された音色データと共に、サーバ700で作成された保存禁止データも記録メディア100に転送される。
【0070】
その記録メディア100は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、PC80と電子楽器300とのそれぞれに着脱可能に構成される。記録メディア100を介して、PC80にサーバ700から取得された音色データ及び保存禁止データが電子楽器300に転送される。
【0071】
電子楽器300においては、音色データリスト36aには、音色メモリ32bに含まれる音色データと、記録メディア100に記憶される音色データとが表示される。記録メディア100から取得される音色データには未購入音色データも含まれるので、その未購入音色データを、第1実施形態と同様に試用することができる。
【0072】
また、記録メディア100に記憶される音色データを保存キー36cの操作により保存させる際に、記録メディア100に記憶される保存禁止データが参照される。記録メディア100に記憶される保存禁止データは、予めサーバ700の管理情報72cに基づき、電子楽器300を利用するユーザHの音色データ毎の保存許可または保存禁止が設定されている。よって、記録メディア100に記憶される保存禁止データを参照することで、電子楽器300はサーバ700と直接通信することなく、音色データの音色メモリ32bへの保存の可否を判断できる。
【0073】
これにより、電子楽器300は、通信環境が不十分でサーバ700と直接通信できない状況であっても、記録メディア100を介することで未購入音色データの試用や、購入済みの音色メモリ32bへの保存をすることができる。
【0074】
次に、
図8,9を参照して第2実施形態におけるコンテンツ試用システムS’の電気的構成を説明する。
図8は、第2実施形態におけるコンテンツ試用システムS’の電子楽器300及び記録メディア100の電気的構成を示すブロック図である。電子楽器300には、第1実施形態の電子楽器300から通信装置36を省略し、その代わりに外部の装置と接続するための外部端子44が設けられる。本実施形態において外部端子44は、USB(登録商標)規格に基づく装置であり、記録メディア100と着脱可能に構成される。
【0075】
記録メディア100には、PC80から取得された音色データが記憶される音色データ100aと、PC80から取得された保存禁止データが記憶される保存禁止データ100bとが含まれる。
【0076】
次に、
図9を参照して第2実施形態におけるサーバ700及びPC80の電気的構成を説明する。
図9は、第2実施形態におけるコンテンツ試用システムS’のサーバ700及びPC80の電気的構成を表す図である。サーバ700のHDD72には、第1実施形態のサーバ70のHDD72に加え、管理情報72cの購入状態に基づいてサーバ700で作成された保存禁止データが記憶される保存禁止データ72dが含まれる。
【0077】
PC80は、CPU81と、HDD82と、RAM83とを有し、これらはバスライン84を介して入出力ポート85にそれぞれ接続されている。入出力ポート85には更に、上記したLCD86と、ユーザHからの指示が入力装置87と、外部端子88と、サーバ70と通信する通信装置89とが接続される。
【0078】
CPU81は、バスライン84により接続された各部を制御する演算装置である。HDD82は、CPU81により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、PCプログラム82aが含まれる。CPU81によってPCプログラム82aが実行されると、
図9で上記したサーバ70上の音色データの表示処理や音色データの購入処理等が実行される。
【0079】
RAM83は、CPU81がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するための揮発性のメモリであり、サーバ70から取得した音色データが記憶される音色データ83aと、サーバ70から取得した保存禁止データが記憶される保存禁止データ83bとが含まれる。
【0080】
外部端子88は、外部の装置と接続するための装置である。本実施形態において外部端子88はUSB規格に基づく装置であり、記録メディア100と着脱可能に構成される。
【0081】
次に、
図10~12を参照してPC80のCPU81で実行される処理と、電子楽器300のCPU31で実行される処理とを説明する。
図10は、PCメイン処理のフローチャートである。PCメイン処理は、PC80の電源が投入された場合に実行される処理である。
【0082】
PCメイン処理はまず、転送キー86e(
図7参照)が操作され、音色データを記録メディア100に転送させる転送指示があったかを確認する(S40)。S40の処理において、転送指示があった場合は(S40:Yes)、サーバ700から転送指示された音色データと保存禁止データとを取得し、それぞれ音色データ83aと保存禁止データ83bとに保存する(S41)。
【0083】
サーバ700において転送指示を受信した場合は、指示された音色データを取得する共に、転送指示された電子楽器300を利用するユーザHに対応する保存禁止データを管理情報72cに基づいて作成する。そして、取得された音色データと、作成された保存禁止データとを転送指示が送信されたPC80に送信する。
【0084】
S41の処理の後、音色データ83aと保存禁止データ83bとの音色データと保存禁止データとを、外部端子88を介して記録メディア100に転送する(S42)。記録メディア100においては、PC80から転送された音色データと保存禁止データとが、音色データ100aと保存禁止データ100bとにそれぞれ保存される。
【0085】
S40の処理において、転送指示がなかった場合は(S40:No)、S41,S42の処理をスキップする。
【0086】
S40,S42の処理の後、購入キー86dが操作され、未購入音色データを購入する購入指示があったかを確認する(S43)。S43の処理において、購入指示があった場合は(S43:Yes)、対象の音色データの購入処理をサーバ700に対して行い、その購入処理を反映させた保存禁止データをサーバ700から取得し、保存禁止データ83bに保存する(S44)。
【0087】
S44の処理の後、保存禁止データ83bに記憶された保存禁止データを外部端子88を介して記録メディア100に転送する(S45)。記録メディア100においては、PC80から転送された保存禁止データが保存禁止データ100bに保存される。
【0088】
S43の処理において、購入指示がなかった場合は(S43:No)、S44,S45の処理をスキップする。S43,S45の処理の後、PC80のその他の処理を実行し(S46)、S40以下の処理を繰り返す。
【0089】
次に、電子楽器300の処理を説明する。
図11は、第2実施形態における電子楽器メイン処理のフローチャートである。S1の処理においてロード指示がされた場合は(S1:Yes)、ロード指示された音色データを記録メディア100又は音色メモリ32bから取得し、ワークメモリ33aにコピーすることで、ロードを行う(S70)。S70の処理において、未購入音色データをロードする場合は、外部端子44を介して記録メディア100の音色データ100aから当該音色データを取得し、購入済みの音色データをロードする場合は、音色メモリ32bから当該音色データを取得する。
【0090】
S70の処理の後、外部端子44を介して記録メディア100の保存禁止データ100bから保存禁止データを取得し、電子楽器300の保存禁止データ32cに保存する(S71)。第2実施形態において、電子楽器300は記録メディア100から保存禁止データを取得することで、サーバ70に問い合わせることなく保存禁止データ32cを更新することができる。S71の処理の後、上記したS7以下の処理を実行する。
【0091】
図12は、第2実施形態における音色保存処理のフローチャートである。S21の処理において対象の音色データの購入を促すメッセージを表示した後、外部端子44を介して記録メディア100の保存禁止データ100bから保存禁止データを取得し、電子楽器300の保存禁止データ32cに保存する(S80)。
【0092】
即ちS21の処理によって表示されるメッセージを確認したユーザHが、
図10のS43~S45によって当該音色データを購入し、それに伴って記録メディア100に保存禁止データが保存される。S80の処理においては、その音色データの購入に伴って更新された保存禁止データが取得される。
【0093】
なお、
図6のS22の処理と同様に、S80の処理による記録メディア100からの保存禁止データの取得は、ユーザHのPC80への購入指示およびその後の記録メディア100への保存禁止データの保存に要する時間を考慮して、S21の処理でメッセージが表示されてから所定時間後(例えば、5分後)に行っても良い。
【0094】
S80の処理の後、保存禁止データ32cの保存禁止データにおいて対象の音色データが保存禁止かを確認する(S81)。S81の処理において、対象の音色データが保存許可である場合は(S81:No)、対象の音色データを音色メモリ32bに保存する(S24)。一方で、S81の処理において、対象の音色データが保存禁止である場合は(S81:Yes)、LCD36に対象の音色データが保存できない旨のメッセージを表示する(S25)。
【0095】
このように、音色データが保存できるか否かを、記録メディア100を介してサーバ700から取得される保存禁止データに基づいて判断される。これにより、電子楽器300がサーバ700と直接通信できない場合であっても、音色データの保存の可否を的確に判断でき、音色データの不正な利用を抑制できる。
【0096】
以上、上記実施形態に基づき説明したが、種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0097】
上記実施形態では、未購入音色データをワークメモリ33aに記憶させ、購入し音色メモリ32bに保存しない場合は、電子楽器30,300の電源のオフにより当該未購入音色データがワークメモリ33aから消去されることで、未購入音色データの繰り返しの利用を抑制した。しかし、これに限られず、ワークメモリ33aからの未購入音色データの消去を他の操作によって行っても良い。
【0098】
例えば、電子楽器30,300において、1の未購入音色データの試用中に他の音色データをロードした場合に、先に試用していた1の未購入音色データをワークメモリ33aから消去しても良い。また、設定キー35の所定の操作(例えば、上キー35aと下キー35bとを同時に操作する)に応じて未購入音色データをワークメモリ33aから消去しても良い。或いは、電子楽器30,300において未購入音色データを取得してから所定時間(例えば、3時間)した場合に、当該未購入音色データをワークメモリ33aから消去しても良い。
【0099】
更に第1実施形態においては、未購入音色データをワークメモリ33aから消去する指示をサーバ70や携帯端末50から電子楽器30に送信し、電子楽器30は当該指示を受信した場合に未購入音色データを消去しても良い。
【0100】
また上記実施形態では、取得した未購入音色データをワークメモリ33aに記憶させ、ワークメモリ33a上の未購入音色データを試用させたが、これに限られない。例えば、取得した未購入音色データを音色メモリ32bに記憶させ、音色メモリ32bの未購入音色データをワークメモリ33aにコピーして、ワークメモリ33a上の未購入音色データを試用させても良い。
【0101】
この際、音色メモリ32bに未購入音色データと購入済みの音色データとを区別して記憶させ、取得した未購入音色データが未購入のまま所定期間(例えば、10日間)以上を経過した場合は、その未購入音色データを音色メモリ32bから消去しても良いし、音色メモリ32bに記憶された未購入音色データを消去せずに、音色メモリ32bに未購入音色データが記憶されてから所定期間以上経過した場合に、当該未購入音色データのワークメモリ33aへのコピーを禁止することで当該未購入音色データの利用(試用)を禁止しても良い。
【0102】
上記第1実施形態では、サーバ70の音色データを購入する指示を携帯端末50から行ったが、これに限られない。例えば、電子楽器30から購入する指示を行っても良いし、直接サーバ70に購入する指示を入力しても良い。これらの場合、コンテンツ試用システムSから携帯端末50を省略できる。同様に、第2実施形態では音色データを購入する指示をPC80から行ったが、これに限られず、直接サーバ70に購入する指示を入力しても良い。
【0103】
上記第1実施形態では、サーバ70から取得された未購入音色データを音色データリスト36a,56aに表示し、第2実施形態では、記録メディア100から取得された未購入音色データを音色データリスト36a,86aに表示した。しかし、これに限られず、音色データリスト36a,56a,86aに表示される未購入音色データを制限しても良い。
【0104】
例えば、ユーザHが所定回数以上(例えば、3回以上)試用した(即ち試用キー36b,56bを所定回数以上選択した)未購入音色データを、音色データリスト36a,56a,86aの表示対象から除外しても良い。
【0105】
また、ユーザHが試用してから所定期間以上(例えば、3日以上)経過した(即ち試用キー36b,56bを選択してから所定期間以上経過した)未購入音色データを、音色データリスト36a,56a,86aの表示対象から除外しても良い。この場合、電子楽器30,300にはリアルタイムクロック(RTC)のような時間や日時を管理するための装置を接続すれば良い。また、上記の所定期間に代えて電子楽器の累積駆動時間を用いても良い。この場合は、リアルタイムクロックの接続を省略できる。これらにより、未購入音色データが繰り返し取得され、(実質的に)永続的に使用され続けるのをより好適に防止できる。
【0106】
これらの場合、音色データリスト36a,56a,86aに表示されるか否か、即ち試用が許可されるか禁止されるかの情報である試用禁止データを、未購入音色データ毎に設定すれば良い。試用禁止データには、試用が許可される未購入音色データには、その旨を表す試用許可が設定され、試用が禁止される未購入音色データにはその旨を表す試用禁止が設定される。
【0107】
この際第1実施形態においては、試用禁止データをサーバ70に記憶させ、サーバ70における電子楽器30又は携帯端末50からの未購入音色データの取得に応じて、試用禁止データに試用許可または試用禁止を設定し、その試用禁止データを電子楽器30又は携帯端末50に送信する。電子楽器30又は携帯端末50において試用禁止データの試用許可または試用禁止に応じて音色データリスト36a,56aに表示させる未購入音色データを決定すれば良い。或いは、試用禁止データにおける試用許可または試用禁止を、電子楽器30又は携帯端末50の試用キー36b,56bの操作に応じて設定しても良い。この場合は、電子楽器30又は携帯端末50で試用禁止データが更新された場合は、最新の試用禁止データを電子楽器30とサーバ70との通信、および、携帯端末50とサーバ70との通信によって、電子楽器30及び携帯端末50で共有させれば良い。
【0108】
或いは、未購入音色データの取得とは無関係に、サーバ70において所定の期間で計画的に、又は、ランダムに試用禁止データの試用許可または試用禁止を設定しても良い。ユーザHは、所望の音色データが常に表示されるわけではないことを経験することで、所望の音色データをロードできたときに、その音色データを保存するために購入する動機付けとなる。
【0109】
また第2実施形態においては、試用禁止データをサーバ70に記憶させ、サーバ70におけるPC80からの未購入音色データの取得に応じて、試用禁止データに試用許可または試用禁止を設定し、その試用禁止データをPC80に送信する。PC80においては、その試用禁止データの試用許可または試用禁止に応じて音色データリスト86aに表示させる未購入音色データを決定する。そして、PC80からの未購入音色データの記録メディア100の転送に伴い、その試用禁止データを記録メディア100に転送し、電子楽器30において転送された試用禁止データの試用許可または試用禁止に応じて音色データリスト36aに表示させる未購入音色データを決定すれば良い。
【0110】
上記第2実施形態では、記録メディア100を介してPC80の音色データ及び保存禁止データを電子楽器300に転送したが、これに限られない。例えば、PC80と電子楽器300とを通信可能に接続し、PC80の音色データ及び保存禁止データを通信によって電子楽器300に送信しても良い。
【0111】
上記第1実施形態では、保存禁止データを電子楽器30の保存禁止データ32cに記憶させ、サーバ70への問い合わせに応じて音色データ毎の保存許可または保存禁止を設定した。しかし、これに限られず、第2実施形態と同様に、サーバ70において管理情報72cに応じて保存禁止データを設定し、携帯端末50及び電子楽器30に送信しても良い。この際、電子楽器30の音色保存処理は、第2実施形態の音色保存処理と同様の処理にすれば良い。
【0112】
また、上記実施形態では、音色データと保存禁止データとを別々に設けたが、これに限られない。例えば、音色データに、自身が保存許可されているか(即ち購入済みか)又は保存禁止されているか(即ち未購入か)の情報を含ませても良い。この際、電子楽器30,300の音色保存処理においては、対象の音色データに保存許可の情報が含まれる場合は、S24の処理と同様に当該音色データの音色メモリ32bへの保存を行えば良い。
【0113】
一方で、対象の音色データに保存禁止の情報が含まれる場合は、まず、S21の処理と同様に当該音色データの購入を促すメッセージを表示させる。その後、対象の音色データの取得を再度行い、取得された音色データに保存許可の情報が含まれる場合は、S24の処理と同様に当該音色データの音色メモリ32bへの保存を行い、取得された音色データにも保存禁止の情報が含まれる場合は、S25の処理と同様に対象の音色データが保存できない旨を表示すれば良い。
【0114】
上記実施形態では、音色データリスト36a,56a,86aに音色データの名称を表示したが、これに限られず、音色データの名称に加え、その音色データの購入状態を表示しても良い(例えば、音色データが購入済みの場合は「購入済み」と表示し、音色データが未購入の場合は「未購入」と表示する)。また、音色データの名称に加え、その音色データが試用できるか又は試用できないかを表示しても良いし、音色データが電子楽器30の音色メモリ32bに保存済みか又は保存していないかを表示しても良い。
【0115】
上記第1実施形態では、ユーザHから指示が入力される端末として携帯端末50を例示したが、これに限られない。例えば、パーソナルコンピュータ(例えば、第2実施形態のPC80)やタブレット端末等をユーザHから指示が入力される端末としても良い。同様に、第2実施形態では、ユーザHから指示が入力される端末としてPC80を例示したが、これに限られない。例えば、携帯端末(例えば、第1実施形態の携帯端末50)やタブレット端末等をユーザHから指示が入力される端末としても良い。この場合、携帯端末やタブレット端末等にも外部端子88と同様の、USB規格に基づく外部の装置と接続するための装置を設ければ良い。
【0116】
上記実施形態では、電子機器として電子楽器30,300を例示したがこれに限られない。例えば、電子機器を、映像の処理を行う映像装置としても良い。この場合、サーバ70,700にコンテンツとして、映像データや音声データ、更には場面切り替え等の編集に関するデータを記憶すれば良い。
【0117】
上記実施形態に挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【符号の説明】
【0118】
30 電子楽器(電子機器)
70 サーバ
32a 制御プログラム(コンテンツ試用プログラム)
32b 音色メモリ(コンテンツ記憶手段)
33a ワークメモリ(一時記憶手段)
36a 音色データリスト(一覧表示手段)
S2 試用手段、未購入コンテンツ取得手段、利用ステップ、コンテンツ取得ステップ
S22,S71 購入状態取得手段
S24 コンテンツ保存手段