(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097138
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】エアポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 13/00 20060101AFI20230630BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F04B13/00 A
F04B39/00 104C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213316
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 優
(72)【発明者】
【氏名】青木 正和
(72)【発明者】
【氏名】杉坂 賢一
【テーマコード(参考)】
3H003
3H075
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC02
3H003BC02
3H003CD03
3H075AA18
3H075BB03
3H075CC16
3H075CC23
3H075CC36
3H075DA03
3H075DB42
(57)【要約】
【課題】シリンダ内のピストンより一側の負圧を低減する。
【解決手段】エアポンプ10では、ピストン本体26が後側に移動される際に、Oリング38がピストン本体26の前板32によって後側に移動される。ここで、シリンダ24の吸入孔24CがOリング38の最も後側への移動位置より前側に配置されており、Oリング38が最も後側に移動される際に、吸入孔24Cを介してシリンダ24内のOリング38より前側にエアが吸入される。このため、シリンダ24の加圧室28の負圧を低減できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に排出孔が設けられるシリンダと、
前記シリンダ内を一側及び他側に移動可能にされ、一側に移動されて前記排出孔からエアが排出されるピストンと、
前記シリンダに設けられると共に、前記ピストンの最も他側への移動位置より一側に配置され、前記ピストンが最も他側に移動される際に前記シリンダ内の前記ピストンより一側にエアが吸入される吸入部と、
を備えるエアポンプ。
【請求項2】
前記吸入部が前記ピストンの移動範囲の一側部分に配置されない請求項1記載のエアポンプ。
【請求項3】
前記吸入部が前記ピストンの最も他側への移動位置より他側に連続配置される請求項1又は請求項2記載のエアポンプ。
【請求項4】
前記吸入部が前記ピストンの移動方向に沿って配置される請求項1~請求項3の何れか1項記載のエアポンプ。
【請求項5】
前記ピストンに設けられ、前記ピストンが他側に移動される際に前記ピストンの一側と他側とを連通させると共に前記吸入部と連通される流路を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のエアポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダの排出孔からエアが排出されるエアポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の電動エアポンプでは、シリンダの一方側に排出口が設けられており、シリンダ内をピストンが一方側に移動されて、排出口からエアが排出される。
【0003】
ここで、このような電動エアポンプでは、シリンダ内をピストンが他方側に移動される際に、シリンダ内のピストンより一方側の負圧を低減できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シリンダ内のピストンより一側の負圧を低減できるエアポンプを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のエアポンプは、一側に排出孔が設けられるシリンダと、前記シリンダ内を一側及び他側に移動可能にされ、一側に移動されて前記排出孔からエアが排出されるピストンと、前記シリンダに設けられると共に、前記ピストンの最も他側への移動位置より一側に配置され、前記ピストンが最も他側に移動される際に前記シリンダ内の前記ピストンより一側にエアが吸入される吸入部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のエアポンプは、本発明の第1態様のエアポンプにおいて、前記吸入部が前記ピストンの移動範囲の一側部分に配置されない。
【0008】
本発明の第3態様のエアポンプは、本発明の第1態様又は第2態様のエアポンプにおいて、前記吸入部が前記ピストンの最も他側への移動位置より他側に連続配置される。
【0009】
本発明の第4態様のエアポンプは、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのエアポンプにおいて、前記吸入部が前記ピストンの移動方向に沿って配置される。
【0010】
本発明の第5態様のエアポンプは、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのエアポンプにおいて、前記ピストンに設けられ、前記ピストンが他側に移動される際に前記ピストンの一側と他側とを連通させると共に前記吸入部と連通される連通孔を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様のエアポンプでは、シリンダの一側に排出孔が設けられており、シリンダ内をピストンが一側に移動されて、排出孔からエアが排出される。
【0012】
ここで、シリンダの吸入部がピストンの最も他側への移動位置より一側に配置されており、ピストンが最も他側に移動される際に、吸入部を介してシリンダ内のピストンより一側にエアが吸入される。このため、シリンダ内のピストンより一側の負圧を低減できる。
【0013】
本発明の第2態様のエアポンプでは、吸入部がピストンの移動範囲の一側部分に配置されない。このため、ピストンが一側に移動される際に、シリンダ内のピストンより一側のエアが吸入部を介して流出することを抑制できる。
【0014】
本発明の第3態様のエアポンプでは、吸入部がピストンの最も他側への移動位置より他側に連続配置される。このため、ピストンが最も他側に移動される際に、吸入部を介してシリンダ内のピストンより一側にエアを効果的に吸入できる。
【0015】
本発明の第4態様のエアポンプでは、吸入部がピストンの移動方向に沿って配置される。このため、ピストンの吸入部に対する摺動抵抗を低減できる。
【0016】
本発明の第5態様のエアポンプでは、ピストンが他側に移動される際に、ピストンの一側と他側とを連通させる流路が吸入部と連通される。このため、流路及び吸入部を介してシリンダ内のピストンより一側にエアを良好に吸入できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るエアポンプを示す前斜め左方から見た分解斜視図である。
【
図2】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るエアポンプの内部を示す図であり、(A)は、上方から見た上面図であり、(B)は、後斜め左方から見た斜視図である。
【
図3】(A)~(F)は、本発明の実施形態に係るエアポンプの内部を示す上方から見た上面図であり、(A)は、ピストンが上死点に配置される際を示し、(B)は、ピストンが後側に移動される第1段階を示し、(C)は、ピストンが後側に移動される第2段階を示し、(D)は、ピストンが下死点に配置される際を示し、(E)は、ピストンが前側に移動される第1段階を示し、(F)は、ピストンが前側に移動される第2段階を示している。
【
図4】(A)は、本発明の実施形態に係るエアポンプにおいてピストンが下死点に配置される際を示す上側から見た斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るエアポンプにおけるシリンダを示す後側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の変形例に係るエアポンプにおけるシリンダを示す後側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の実施形態に係るエアポンプ10が前斜め左方から見た分解斜視図にて示されている。さらに、
図2(A)には、エアポンプ10の内部が上方から見た上面図にて示されており、
図2(B)には、エアポンプ10の内部が後斜め左方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、エアポンプ10の前方を矢印FRで示し、エアポンプ10の右方を矢印RHで示し、エアポンプ10の上方を矢印UPで示している。
【0019】
本実施形態に係るエアポンプ10は、例えば、車両(自動車)に設置されており、エアポンプ10は、下記排出孔24Bから排出(圧出)したエアを、チューブを介してチューブ先端のノズルから車両のカメラのレンズ又はミラーに噴射して、レンズ又はミラーを洗浄する。
【0020】
図1、
図2の(A)及び(B)に示す如く、エアポンプ10には、略直方体形箱状のケース12が設けられており、ケース12は、上側の上ケース12Aと下側の下ケース12Bとが組付けられて構成されている。ケース12は、上面視略L字状にされて、後側部分が左側に突出されており、ケース12の左側部分内は、前側に開放されている。
【0021】
ケース12の右側部分内には、駆動装置としてのモータ14が固定されており、モータ14の出力軸14Aは、後方に延出されている。出力軸14Aには、第1ギアとしてのウォーム16が同軸上に固定されており、モータ14が駆動されて、出力軸14Aと一体にウォーム16が回転される。ウォーム16の左側には、第2ギアとしてのウォームホイール18が配置されており、ウォームホイール18は、ケース12内に軸方向が上下方向にされて回転可能に支持されている。ウォームホイール18は、ウォーム16に噛合されて、回転を規制されており、ウォーム16が回転されて、ウォームホイール18が回転される。
【0022】
ウォームホイール18の左側には、第3ギア及び駆動部材としてのヘリカルギア20が配置されており、ヘリカルギア20は、ケース12の左側部分内に軸方向が上下方向にされて回転可能に支持されている。ヘリカルギア20は、ウォームホイール18に噛合されており、ウォームホイール18が回転されて、ヘリカルギア20が回転される。ヘリカルギア20の径方向中間部には、円柱状の支持軸20Aが一体に設けられており、支持軸20Aは、ヘリカルギア20から上方に突出されている。
【0023】
ヘリカルギア20の上側には、接続部材としての長尺板状のロッド22が配置されている。ロッド22の後端部は、ヘリカルギア20の支持軸20Aに回転可能に支持されており、ロッド22の前端部には、略円状の接続孔22Aが貫通形成されている。
【0024】
ケース12の左側部分の前側には、略有底円筒状のシリンダ24が組付けられており、シリンダ24の軸方向は、前後方向にされている。シリンダ24内は、後方に開放されており、シリンダ24内は、ケース12の左側部分内に連通されている。シリンダ24の前壁(底壁)には、略円筒状の排出筒24Aが同軸上に一体形成されており、排出筒24Aは、シリンダ24から前方に延出されている。排出筒24A内は、排出孔24Bにされて、シリンダ24内に連通されており、排出筒24Aには、上記チューブが接続されている。
【0025】
シリンダ24の内周面の後側部分には、吸入部としての凹状の吸入孔24C(
図4の(A)及び(B)参照)が所定数形成されており、所定数の吸入孔24Cは、それぞれシリンダ24の軸方向に長尺にされると共に、シリンダ24の周方向に等間隔に配置されている。吸入孔24Cは、シリンダ24の軸方向に垂直な断面が半円状にされると共に、後側に開放されており、シリンダ24の内周面と吸入孔24Cの周面との角部(境界部)は、凸状に湾曲されている。
【0026】
シリンダ24内には、ピストンを構成する本体部材としての略円柱状のピストン本体26が同軸上に略嵌合されており、ピストン本体26は、シリンダ24内を前側(一側)及び後側(他側)に移動可能にされると共に、シリンダ24内の前側に加圧室28を形成する。
【0027】
ピストン本体26の後側には、断面L字状の接続片30(
図4(A)参照)が一体に設けられており、接続片30の下側部分は、ピストン本体26から後側に突出されている。接続片30の後側部分は、略円柱状の接続軸30Aにされており、接続軸30Aは、上方に突出されている。接続軸30Aには、ロッド22の接続孔22Aが回転可能に嵌合されており、接続軸30Aには、ロッド22が回転可能に支持されている。このため、ロッド22がヘリカルギア20(支持軸20A)とピストン本体26(接続軸30A)とを接続しており、ヘリカルギア20が回転されることで、ロッド22が支持軸20A及び接続軸30Aに対し回転されつつ前側及び後側に往復移動されて、ピストン本体26がシリンダ24内を前側及び後側に往復移動される(
図3の(A)~(F)参照)。なお、ピストン本体26が最も前側に移動される位置がピストン本体26の上死点(
図3(A)の位置)にされており、ピストン本体26が最も後側に移動される位置がピストン本体26の下死点(
図3(D)の位置)にされている。
【0028】
ピストン本体26の前端部には、一側部としての略円板状の前板32が同軸上に設けられており、前板32は、外径がシリンダ24の内径に比し僅かに小さくされると共に、シリンダ24の内周面に接触可能にされている。前板32の外周部には、流路を構成する略長尺矩形状の通過孔32Aが所定数貫通形成されており、所定数の通過孔32Aは、前板32の周方向に等間隔に配置されている。通過孔32Aの長手方向は、前板32の径方向にされており、通過孔32Aは、前板32径方向内側端面が凸状に湾曲されると共に、前板32の径方向外側に開放されている。通過孔32Aの前板32径方向最大寸法は、シリンダ24における吸入孔24Cのシリンダ24径方向最大寸法に比し大きくされており、通過孔32Aの前板32周方向最大寸法は、吸入孔24Cのシリンダ24周方向最大寸法に比し大きくされている。通過孔32Aの数は、吸入孔24Cの数に比し少なくされており、通過孔32Aの前板32周方向における配置間隔は、吸入孔24Cのシリンダ24周方向における配置間隔に比し大きくされている。
【0029】
ピストン本体26の後端部には、他側部としての略円板状の後板34が同軸上に設けられており、後板34の外径は、前板32の外径と同一にされている。このため、後板34の外径は、シリンダ24の内径に比し僅かに小さくされており、後板34は、シリンダ24の内周面に接触可能にされている。後板34の外周部には、流路を構成する略半円状の連通孔34Aが所定数貫通形成されており、所定数の連通孔34Aは、後板34の周方向に等間隔に配置されている。連通孔34Aの周面は、凸状に湾曲されており、連通孔34Aは、後板34の径方向外側に開放されている。連通孔34Aの後板34径方向最大寸法は、シリンダ24における吸入孔24Cのシリンダ24径方向最大寸法に比し大きくされると共に、前板32における通過孔32Aの前板32径方向最大寸法に比し小さくされている。連通孔34Aの後板34周方向最大寸法は、吸入孔24Cのシリンダ24周方向最大寸法に比し大きくされると共に、通過孔32Aの前板32周方向最大寸法に比し小さくされている。連通孔34Aの数は、吸入孔24Cの数に比し少なくされると共に、通過孔32Aの数に比し多くされている。連通孔34Aの後板34周方向における配置間隔は、吸入孔24Cのシリンダ24周方向における配置間隔に比し大きくされると共に、通過孔32Aの前板32周方向における配置間隔に比し小さくされている。
【0030】
ピストン本体26の前板32と後板34との間には、中間部としての略円柱状の中間軸36(
図4(A)参照)が同軸上に設けられており、中間軸36の径(最小径)は、通過孔32Aの前板32径方向内側端が配置される位置における前板32の径と同一にされている。中間軸36の外周には、円環状の突出部36Aが同軸上に一体形成されており、突出部36Aは、中間軸36の前端部近傍から後端まで配置されて、後板34と一体にされている。突出部36Aの断面(周方向に垂直な断面)は、略三角形状にされており、突出部36Aの外周面は、後方へ向かうに従い径方向外側へ向かう方向に傾斜されて、突出部36Aの外周面後端は、後板34の連通孔34A近傍における径方向位置に配置されている。突出部36Aの外周面は、中間軸36の軸方向(前後方向)において凹状に湾曲されており、突出部36Aの外周面は、前側(径方向内側)において中間軸36の周面に滑らかに接続されると共に、後側(径方向外側)において後板34の前面に滑らかに接続されている。
【0031】
ピストン本体26の前板32と後板34との間には、ピストンを構成するシール部材としての円環状のOリング38が配置されており、Oリング38は、ゴム製にされて弾性及びシール性を有すると共に、断面(周方向に垂直な断面)が円状にされている。Oリング38の外径(シリンダ24内に配置される前の外径)は、シリンダ24の内径に比し大きくされており、Oリング38は、シリンダ24の内周面に圧接されて、径方向内側に弾性収縮されている。このため、Oリング38が前側及び後側に移動される際には、Oリング38がシリンダ24の内周面に対し摺動される。
【0032】
Oリング38の前後方向寸法(周方向に垂直な断面の径)は、前板32と後板34との前後方向における離間距離に比し小さくされている。ピストン本体26が前側に移動される際には、Oリング38が後板34に当接されて後板34によってシリンダ24の内周面に対し摺動されつつ前側に移動される(
図3の(D)~(F)及び(A)参照)。ピストン本体26が後側に移動される際には、Oリング38が前板32に当接されて前板32によってシリンダ24の内周面に対し摺動されつつ後側に移動される(
図3の(A)~(D)参照)。
【0033】
ピストン本体26が上死点に移動された際には、Oリング38が最も前側に移動される(
図3(A)参照)と共に、ピストン本体26が下死点に移動された際には、Oリング38が最も後側に移動される(
図3(D)及び
図4(A)参照)。シリンダ24の吸入孔24Cは、Oリング38の最も前側への移動位置と最も後側への移動位置との前後方向中央よりも後側に配置されている。ピストン本体26が上死点に移動された際には、ピストン本体26の後面(後板34の後面)が吸入孔24Cよりも前側に移動されて、Oリング38がシリンダ24内周面の吸入孔24Cよりも前側に圧接される。ピストン本体26が下死点に移動された際には、ピストン本体26の前面(前板32の前面)が吸入孔24Cの前端よりも後側に移動されて、Oリング38がシリンダ24内周面における吸入孔24C配置範囲の前後方向中間に圧接される。
【0034】
Oリング38の断面(周方向に垂直な断面)の半径は、シリンダ24の内周面と連通孔34Aの後板34径方向内側端との距離に比し大きくされており、ピストン本体26が前側に移動される際には、Oリング38が後板34の連通孔34Aより径方向内側に当接される。このため、Oリング38がシリンダ24の吸入孔24Cよりも前側を移動(摺動)される際に、Oリング38がシリンダ24と後板34との間(シリンダ24と後板34との隙間及び連通孔34A)をシールする。
【0035】
Oリング38の断面(周方向に垂直な断面)の半径は、シリンダ24の内周面と通過孔32Aの前板32径方向内側端との距離に比し小さくされており、ピストン本体26が後側に移動される際には、Oリング38が、通過孔32Aの前板32径方向内側端より前板32の径方向外側に当接される。このため、Oリング38がシリンダ24の吸入孔24Cよりも前側を移動(摺動)される際でも、Oリング38がシリンダ24と前板32との間(シリンダ24と前板32との隙間及び通過孔32A)をシールしない。
【0036】
Oリング38の内径は、ピストン本体26の中間軸36における突出部36Aの最小径(前端の径)に比し大きくされると共に、突出部36Aの最大径(後端の外径)に比し小さくされており、ピストン本体26が後側に移動される際には、Oリング38と中間軸36の周面(突出部36Aの外周面を含む)及び後板34の前面との間に流路を構成する連通路40が形成される。
【0037】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0038】
以上の構成のエアポンプ10では、モータ14が駆動されて、出力軸14A、ウォーム16、ウォームホイール18及びヘリカルギア20が回転されることで、ロッド22が前側及び後側に往復移動されて、ピストン本体26がシリンダ24内を前側及び後側に往復移動される(
図3の(A)~(F)参照)。
【0039】
ピストン本体26が上死点から下死点へ後側に移動される際(
図3の(A)~(D)参照)には、Oリング38がピストン本体26の前板32に当接されて前板32によってシリンダ24の内周面に対し摺動されつつ後側に移動される。また、Oリング38がピストン本体26における通過孔32Aの前板32径方向内側端より前板32の径方向外側に当接される。このため、Oリング38が、シリンダ24の吸入孔24Cよりも前側を移動されても、シリンダ24と前板32との間(通過孔32A及び前板32とシリンダ24との隙間)をシールしないことで、ピストン本体26における後板34の連通孔34A及び後板34とシリンダ24との隙間から連通路40、通過孔32A及び前板32とシリンダ24との隙間を介してシリンダ24の加圧室28(ピストン本体26より前側)にエアが吸入される。
【0040】
そして、ピストン本体26が下死点から上死点へ前側に移動される際(
図3の(D)~(F)及び(A)参照)には、Oリング38がピストン本体26の後板34に当接されて後板34によってシリンダ24の内周面に対し摺動されつつ前側に移動される。また、Oリング38が後板34の連通孔34Aより径方向内側に当接される。このため、Oリング38が、シリンダ24の吸入孔24Cよりも前側を移動されて、シリンダ24と後板34との間(連通孔34A及びシリンダ24と後板34との隙間)をシールすることで、シリンダ24の加圧室28のエアの圧力が上昇されて、加圧室28のエアがシリンダ24の排出筒24A内(排出孔24B)から排出(圧出)される。
【0041】
ここで、シリンダ24の吸入孔24CがOリング38の最も後側への移動位置(シリンダ24内周面への圧接位置)より前側に配置されており、ピストン本体26が下死点に移動されて、Oリング38が最も後側に移動される際に、吸入孔24Cを介してシリンダ24内のOリング38より前側にエアが吸入される。このため、シリンダ24の加圧室28の負圧を低減でき、シリンダ24の排出孔24Bから加圧室28にエアが吸入されることを抑制できる。これにより、排出孔24Bに逆止弁を設ける必要をなくすことができると共に、ピストン本体26が前側に移動される際に排出孔24Bから排出されるエアに逆止弁による抵抗が作用されることを抑制できる。
【0042】
さらに、シリンダ24の吸入孔24CがOリング38の最も後側への移動位置(シリンダ24内周面への圧接位置)より後側に連続配置されている。このため、ピストン本体26が下死点に移動されて、Oリング38が最も後側に移動される際に、吸入孔24Cを介してシリンダ24内のOリング38より前側にエアを効果的に吸入できて、シリンダ24の加圧室28の負圧を効果的に低減できる。
【0043】
しかも、ピストン本体26が後側に移動される際に、ピストン本体26の後側と前側とを連通させる連通孔34A、連通路40及び通過孔32Aが吸入孔24Cと連通される。このため、連通孔34A、連通路40、通過孔32A及び吸入孔24Cを介してシリンダ24の加圧室28にエアを良好に吸入できて、加圧室28の負圧を良好に低減できる。
【0044】
また、シリンダ24の吸入孔24Cが、Oリング38の最も前側への移動位置と最も後側への移動位置との前後方向中央よりも後側に配置されて、当該前後方向中央よりも前側に配置されていない。このため、ピストン本体26が前側に移動される際に、シリンダ24の加圧室28のエアが吸入孔24Cを介してOリング38より後側に流出することを抑制できて、シリンダ24の排出孔24Bから排出されるエアの量を多くできる。
【0045】
さらに、シリンダ24の吸入孔24Cが前後方向(Oリング38の移動方向)に沿って配置されている。このため、Oリング38の吸入孔24C周面に対する摺動抵抗を低減できる。
【0046】
なお、本実施形態では、吸入孔24Cのシリンダ24軸方向に垂直な断面が半円状にされる。しかしながら、吸入孔24Cのシリンダ24軸方向に垂直な断面が半楕円状又は多角形状にされてもよい。
【0047】
(変形例)
図5には、上記実施形態の変形例に係るエアポンプ50におけるシリンダ24が後側から見た斜視図にて示されている。
【0048】
図5に示す如く、本変形例に係るエアポンプ50では、シリンダ24の周壁に吸入孔24Cが所定数(本変形例では4個)貫通形成されており、吸入孔24Cのシリンダ24軸方向に垂直な断面は、矩形状にされている。
【0049】
ここで、本変形例でも、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0050】
さらに、シリンダ24の周壁に吸入孔24Cが貫通されている。このため、ピストン本体26が後側に移動される際に、シリンダ24の外側から吸入孔24Cを介してシリンダ24内のOリング38より前側にエアを効果的に吸入できて、シリンダ24の加圧室28の負圧を効果的に低減できる。
【0051】
なお、本変形例では、吸入孔24Cが後側に開放される。しかしながら、吸入孔24Cが後側に開放されなくてもよい。
【0052】
また、上記実施形態及び変形例において、吸入孔24Cの数は幾つでもよく、例えば、上記変形例において、上記実施形態と同様に、吸入孔24Cの数が通過孔32Aの数及び連通孔34Aの数に比し多くされてもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態及び変形例では、シリンダ24の内周形状が円状にされる。しかしながら、シリンダ24の内周形状が楕円状又は矩形状にされてもよい。
【0054】
また、上記実施形態及び変形例では、ピストン26の外周形状が円状にされる。しかしながら、ピストン26の外周形状が楕円状又は矩形状にされてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10・・・エアポンプ、24・・・シリンダ、24B・・・排出孔、24C・・・吸入孔(吸入部)、26・・・ピストン本体(ピストン)、32A・・・通過孔(流路)、34A・・・連通孔(流路)、38・・・Oリング(ピストン)、40・・・連通路(流路)、50・・・エアポンプ