IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-防振装置 図1
  • 特開-防振装置 図2
  • 特開-防振装置 図3
  • 特開-防振装置 図4
  • 特開-防振装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097159
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/08 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
F16F15/08 F
F16F15/08 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213349
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】市原 勲己
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA04
3J048DA01
3J048EA01
(57)【要約】
【課題】遮熱性能を向上できる防振装置を提供すること。
【解決手段】弾性体製のストッパ20の第1挿入孔21aと遮熱カバー30の第2挿入孔31bとにそれぞれ第1部材11が挿入されることで、ストッパ20が第2部材15の取付端14d側に配置され、そのストッパ20の取付端14d側の一部に遮熱カバー30が重なる。この重なった部分により相手部材2側から防振基体18へ向かう熱を遮断し易くでき、遮熱性能を向上できる。更に、第1部材11の外周面に遮熱カバー30の第2挿入孔31bの内周面が弾性嵌合するので、第1部材11から遮熱カバー30及びストッパ20を脱落し難くできる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端である取付端が相手部材に取り付けられる軸状の第1部材と、
前記第1部材を囲む筒状の第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の内周面とを連結する弾性体製の防振基体と、
前記第1部材が挿入される第1挿入孔を有し、前記第2部材の前記取付端側に配置されて前記相手部材の移動を規制する弾性体製のストッパと、
前記第1部材が挿入される第2挿入孔を有し、前記ストッパの前記取付端側の一部に重なる遮熱カバーと、を備え、
前記第1部材の外周面に前記第2挿入孔の内周面が弾性嵌合することを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記第1部材の外周面に前記第1挿入孔の内周面がすきまばめで嵌合することを特徴とする請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記第1部材は、前記取付端に稜線を介して連なる外周面が円柱面状に形成されて前記第1挿入孔および前記第2挿入孔に挿入される挿入部を備え、
前記挿入部および前記第1挿入孔のいずれか一方には、周方向の一部を凹ませた第1凹部が軸方向に延びて形成され、
前記挿入部および前記第1挿入孔のいずれか他方には、前記第1凹部に嵌合する第1凸部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記相手部材へ向けて突出する厚肉部を備え、
前記第1凹部および前記第1凸部は、前記挿入部の軸心を挟んで前記厚肉部の反対側で嵌合することを特徴とする請求項3記載の防振装置。
【請求項5】
前記遮熱カバーは、軸方向の前記取付端側を向いた外端面と、
前記外端面から立ち上がって前記第1部材に対し周方向の少なくとも一部に配置される壁と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防振装置。
【請求項6】
前記遮熱カバーは、前記外端面および前記壁から立ち上がって前記壁を補強するリブを備えることを特徴とする請求項5記載の防振装置。
【請求項7】
前記リブは、前記第1部材とは反対側の前記壁の外面から立ち上がることを特徴とする請求項6記載の防振装置。
【請求項8】
前記ストッパは、前記相手部材へ向けて突出する厚肉部を備え、
前記厚肉部は、前記第1部材を挟んで前記壁とは反対側に位置することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の防振装置。
【請求項9】
前記第1部材は、前記取付端に稜線を介して連なる外周面が円柱面状に形成されて前記第1挿入孔および前記第2挿入孔に挿入される挿入部を備え、
前記挿入部および前記第2挿入孔のいずれか一方には、周方向の一部を凹ませた第2凹部が軸方向に延びて形成され、
前記挿入部および前記第2挿入孔のいずれか他方には、前記第2凹部に嵌合する第2凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の防振装置。
【請求項10】
前記ストッパは、前記相手部材へ向けて突出する厚肉部を備え、
前記厚肉部は、第1厚肉部と、前記第1厚肉部よりも高さが低い第2厚肉部とを備え、
前記第2凹部と前記第2凸部とが嵌合した状態で、前記遮熱カバーは、前記第2厚肉部の周方向に隣接して配置されることを特徴とする請求項9記載の防振装置。
【請求項11】
前記遮熱カバーは、軸方向の前記取付端側を向いた外端面と、
前記外端面から立ち上がって前記第1部材に対し周方向の少なくとも一部に配置される壁と、を備え、
前記第2凹部および前記第2凸部は、前記第2挿入孔と前記壁との間で嵌合することを特徴とする請求項9又は10に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防振装置に関し、特に遮熱性能を向上できる防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸状の第1部材と筒状の第2部材の内周面とを弾性体製の防振基体で連結した防振装置において、第1部材の軸方向の一端が取り付けられる相手部材と第2部材との間に弾性体製のストッパが配置されることが記載されている。特許文献1では、ストッパに設けた挿入孔の内周面に第1部材の外周面を弾性嵌合(締め代を持たせて嵌合)することで、ストッパを第1部材に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-193700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術における防振装置が相手部材側から輻射熱などを受けるとき、防振基体へ向かう熱をストッパによってある程度遮断して防振基体の熱劣化を抑制できるが、その熱の熱量によっては遮熱性能が不十分となるおそれがある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遮熱性能を向上できる防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の防振装置は、軸方向の一端である取付端が相手部材に取り付けられる軸状の第1部材と、前記第1部材を囲む筒状の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の内周面とを連結する弾性体製の防振基体と、前記第1部材が挿入される第1挿入孔を有し、前記第2部材の前記取付端側に配置されて前記相手部材の移動を規制する弾性体製のストッパと、前記第1部材が挿入される第2挿入孔を有し、前記ストッパの前記取付端側の一部に重なる遮熱カバーと、を備え、前記第1部材の外周面に前記第2挿入孔の内周面が弾性嵌合する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の防振装置によれば、弾性体製のストッパの第1挿入孔と遮熱カバーの第2挿入孔とにそれぞれ第1部材が挿入されることで、ストッパが第2部材の取付端側に配置され、そのストッパの取付端側の一部に遮熱カバーが重なる。この重なった部分により相手部材側から防振基体へ向かう熱を遮断し易くできる。更に、ストッパと遮熱カバーとが別部材なので、例えば相手部材の移動を規制するのに適した素材からストッパを構成しつつ、遮熱性能が高い素材から遮熱カバーを構成することができる。これらの結果、相手部材側から防振基体に向かう熱に対する遮熱性能を向上できる。
【0008】
更に、第1部材の外周面に遮熱カバーの第2挿入孔の内周面が弾性嵌合(締め代を持たせて嵌合)するので、第1部材から遮熱カバーを脱落し難くできると共に、遮熱カバーの第2部材側に重なったストッパも第1部材から脱落し難くできる。これにより、取付端を相手部材に取り付けるまでの輸送中などにおいて防振装置の部品管理をし易くできる。
【0009】
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1部材の外周面に第1挿入孔の内周面がすきまばめで(締め代を持たないで)嵌合する。これにより、第1挿入孔に第1部材を挿入し易くでき、即ち第1部材にストッパを装着し易くできる。
【0010】
請求項3記載の防振装置によれば、請求項1又は2に記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1挿入孔および第2挿入孔に挿入される第1部材の挿入部は、外周面が取付端に稜線を介して連なり円柱面状に形成される。挿入部および第1挿入孔のいずれか一方には、周方向の一部を凹ませた第1凹部が軸方向に延びて形成され、それらの他方には第1凸部が形成されている。第1凹部と第1凸部との嵌合によって第1部材(挿入部)に対するストッパの回転を規制できる。
【0011】
請求項4記載の防振装置によれば、請求項3記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ストッパは、相手部材へ向けて突出する厚肉部を備える。ストッパによる相手部材の移動の規制時に厚肉部の変形量は大きくなるが、挿入部の軸心を挟んで厚肉部の反対側の領域では厚肉部の変形による影響を受け難い。この領域で第1凹部および第1凸部が嵌合するので、厚肉部の変形に伴って第1凹部と第1凸部との嵌合が外れることを抑制できる。
【0012】
請求項5記載の防振装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。遮熱カバーは、軸方向の取付端側を向いた外端面と、外端面から立ち上がって第1部材に対し周方向の少なくとも一部に配置される壁と、を備える。この壁によって径方向外側から第1部材へ向かう熱を遮断できるので、その熱が第1部材を介して防振基体へ伝達されることを抑制できる。その結果、相手部材側および径方向外側から防振基体に向かう熱に対する遮熱性能をより向上できる。
【0013】
請求項6記載の防振装置によれば、請求項5記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。遮熱カバーは、外端面および壁から立ち上がって壁を補強するリブを備える。このリブにより壁を倒れ難くできるので、壁による遮熱性能の向上の効果を発揮させ易くできる。
【0014】
請求項7記載の防振装置によれば、請求項6記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。リブは、第1部材とは反対側の壁の外面から立ち上がる。第1部材側の壁の内面にリブを設ける場合と比べて第1部材の近くに壁を配置でき、第1部材へ向かう熱を壁でより遮断し易くできる。その結果、相手部材側および径方向外側から防振基体に向かう熱に対する遮熱性能を更に向上できる。
【0015】
請求項8記載の防振装置によれば、請求項5から7のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ストッパは、相手部材へ向けて突出する厚肉部を備える。厚肉部は、第1部材を挟んで壁とは反対側に位置する。厚肉部と壁とによって第1部材の周囲の大部分または全部を取り囲むことができるので、第1部材へ向かう熱をより効果的に遮断できる。その結果、相手部材側および径方向外側から防振基体に向かう熱に対する遮熱性能をより一層向上できる。
【0016】
請求項9記載の防振装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1挿入孔および第2挿入孔に挿入される第1部材の挿入部は、外周面が取付端に稜線を介して連なり円柱面状に形成される。挿入部および第2挿入孔のいずれか一方には、周方向の一部を凹ませた第2凹部が軸方向に延びて形成され、それらの他方には第2凸部が形成されている。第2凹部と第2凸部との嵌合によって第1部材(挿入部)に対する遮熱カバーの回転を規制できる。
【0017】
なお、挿入部に第2凹部が形成されると共に、請求項3の通り挿入部に第1凹部が形成される場合には、それら第1凹部と第2凹部とを同一のものとしても良い。同様に、挿入部に第2凸部が形成されると共に、請求項3の通り挿入部に第1凸部が形成される場合には、それら第1凸部と第2凸部とを同一のものとしても良い。
【0018】
請求項10記載の防振装置によれば、請求項9記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ストッパは、相手部材へ向けて突出する厚肉部を備える。厚肉部は、第1厚肉部と、第1厚肉部よりも高さが低い第2厚肉部とを備える。第2凹部と第2凸部とが嵌合した状態で、遮熱カバーは、第2厚肉部の周方向に隣接して配置される。ここで、第1部材に対して遮熱カバーが回転すると、低い第2厚肉部に遮熱カバーが被さってしまうことがある。しかし、第2凹部と第2凸部との嵌合によって遮熱カバーの回転が規制されているので、第2厚肉部に遮熱カバーを被さり難くできる。
【0019】
請求項11記載の防振装置によれば、請求項9又は10に記載の防振装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。遮熱カバーは、軸方向の取付端側を向いた外端面と、外端面から立ち上がって第1部材に対し周方向の少なくとも一部に配置される壁と、を備える。この壁によって第1部材へ向かう熱を遮断できるので、その熱が第1部材を介して防振基体へ伝達されることを抑制できる。その結果、相手部材側および径方向外側から防振基体に向かう熱に対する遮熱性能をより向上できる。
【0020】
更に、外端面からの壁の立ち上がりによって、壁と第2挿入孔との間における遮熱カバーの剛性が高くなる。この剛性が高くなった領域で第2凹部および第2凸部が嵌合するので、遮熱カバーに設けられた第2凹部または第2凸部の近傍の変形を抑制でき、第2凹部と第2凸部との嵌合を外れ難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態における防振装置の斜視図である。
図2】防振装置の平面図である。
図3図2のIII-III線における防振装置の断面図である。
図4】ストッパの平面図である。
図5】遮熱カバーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態における防振装置10の斜視図である。図2は、防振装置10の平面図である。図3は、図2のIII-III線における防振装置10の断面図である。なお、本実施形態では、防振装置10の適用対象として、エンジンマウントを例に説明する。
【0023】
図3に示すように、防振装置10は、エンジン側の相手部材2に取り付けられる軸状の第1部材11と、車体側に取り付けられる筒状の第2部材15と、第1部材11と第2部材15とを連結する弾性体製の防振基体18と、第1部材11に装着されるストッパ20及び遮熱カバー30と、を備える。
【0024】
第1部材11は、鉄鋼やアルミニウム合金などの金属により形成されたボス金具であり、軸心Cに沿って形成される。なお、説明を簡略化するために、軸心C方向のうち図3紙面上側を防振装置10の上側(上方向U)とし、図3紙面下側を防振装置10の下側(下方向D)として説明するが、これらの上下は、防振装置10が取り付けられる車両の上下と必ずしも一致しない。
【0025】
第1部材11は、防振基体18が連結される連結部12と、連結部12の上端から径方向外側に張り出すフランジ13と、フランジ13よりも上方へ突出する挿入部14と、を備える。連結部12は第1部材11の下端側を構成し、挿入部14は第1部材11の上端側を構成する。
【0026】
図1,2に示すように、挿入部14の外周面は、軸心Cを中心とした円柱面状に形成されている。この挿入部14には、外周面の一部から突出する外周凸部(第1凸部および第2凸部)14bと、外周面の一部を径方向内側へ削った規制外面14cとがそれぞれ形成されている。
【0027】
外周凸部14bは、上下方向U-Dに延びて形成される直方体状の部位であり、挿入部14の外周面の1か所から突出する。軸心Cに垂直な径方向のうち、外周凸部14bが突出する方向(図2紙面右側)を右方向R(防振装置10の右側)、右方向Rとは反対側(図2紙面左側)を左方向L(左側)、図2紙面上側を前方向F(前側)、図2紙面下側を後方向B(後側)とする。これらの左右前後は、防振装置10が取り付けられる車両の左右前後と必ずしも一致しない。
【0028】
規制外面14cは、挿入部14の外周面の前後両側にそれぞれ設けられ、挿入部14の上下方向U-Dの略全長に亘って延びる。規制外面14cは、前後方向F-Bと垂直に形成された平坦面であり、左右方向L-Rの両縁がそれぞれ円柱状の挿入部14の外周面に連なる。
【0029】
挿入部14の上端である取付端14dは、挿入部14の外周面に稜線を介して連なり、軸心Cと垂直な平坦面によって形成される。取付端14dには、ボルト孔14eが形成されている。
【0030】
図3に示すように、ボルト孔14eに取り付けられるボルト4を介して取付端14dが相手部材2に取り付けられる。相手部材2は、取付端14dから左方向Lへ延びている。相手部材2の下面には、防振装置10に振動が入力されていない状態(振動の未入力時)で、ストッパ20に当たらないように凹部2aが形成されている。防振装置10への振動の入力時には、この凹部2aの底面が主にストッパ20に当たる。
【0031】
第2部材15は、主に鉄鋼などの金属により形成される円筒状の部材である。本実施形態では、第2部材15の軸心は第1部材11の軸心Cと一致する。第2部材15は、防振基体18が連結される円筒状の本体部16と、本体部16を車体側に支持固定する固定部17と、を備える。
【0032】
本体部16及び固定部17は、いずれも軸心Cを中心とした円筒状に形成される。本体部16は、上下方向U-Dの中央部から下端へ向かうにつれて内外径が徐々に小さくなっている。これにより、本体部16は、防振基体18を下方から支持し易くできる。
【0033】
固定部17は、下端側の大径部17aと、大径部17aの上端に連なり上方へ向かって徐々に内外径が小さくなる縮径部17bと、縮径部17bの上端に連なり大径部17aよりも内外径が小さい小径部17cと、小径部17cの上端を塞ぐ端面部17dと、を備える。
【0034】
大径部17aは、外周面に溶接などによって取り付けられた金具などを介して車体側に固定される。更に、大径部17aに本体部16が圧入されることで、固定部17に本体部16が固定され、第2部材15が車体側に固定される。小径部17cは、第1部材11のフランジ13を囲む。
【0035】
端面部17dは、軸心Cに垂直な円板状の部位である。端面部17dの径方向中央には、フランジ13から上方へ突出する挿入部14が貫通するように貫通孔17eが形成されている。この貫通孔17eの内径は、挿入部14の外径よりも十分に大きいため、第2部材15に対する第1部材11の径方向の移動を許容できる。
【0036】
防振基体18は、略傘状に形成されるゴムや熱可塑性エラストマ等の弾性体製の部材である。防振基体18は、第1部材11の連結部12と、第2部材15の本体部16の内周面とにそれぞれ全周に亘って加硫接着され、これらを連結する。
【0037】
防振装置10に上下方向U-Dの振動が入力されて防振基体18が弾性変形すると、第2部材15に対し第1部材11及び相手部材2が上下方向U-Dに移動(振動)する。ストッパ20は、この移動によって相手部材2が第2部材15の端面部17dに衝突しないように、相手部材2の移動を規制するためのものである。
【0038】
ストッパ20は、第2部材15の上側に配置される弾性体(ゴムや熱可塑性エラストマ等)製の部材である。ストッパ20は、第2部材15の端面部17dの上側を覆う板部21と、板部21の外周縁から下方へ垂れ下がって小径部17cの外周側を覆う筒部22と、板部21から上方(相手部材2)へ向けて突出する厚肉部23と、を備える。
【0039】
板部21は、軸心Cと垂直な円板である。板部21の径方向中央には、挿入部14が挿入される第1挿入孔21aが貫通形成されている。挿入部14を第1挿入孔21aに挿入することで、挿入部14と端面部17dの貫通孔17eの縁との隙間が板部21によって塞がれるので、その隙間から塵や埃などが防振装置10の内部へ入り込むことを抑制できる。
【0040】
板部21には、第1挿入孔21aの縁の全周を下方へ突出させた補強部21dが形成されている。この補強部21dによって第1挿入孔21aを起点とした亀裂が板部21に生じることを抑制できる。また、補強部21dは、板部21から下方へ突出しているので、板部21の上に遮熱カバー30を重ねたときに、補強部21dと遮熱カバー30との干渉を抑制できる。
【0041】
筒部22は、軸心Cを中心とした円筒状の部位である。この筒部22によって板部21と第2部材15の端面部17dとの間へ塵や埃などが入り込み難くなり、塵や埃などが防振装置10の内部へ入り込むことをより抑制できる。
【0042】
図4は、ストッパ20の平面図である。第1挿入孔21aは、軸心Cを中心とした円形状に縁が形成されている。第1挿入孔21aには、周方向の一部を段差状に凹ませた第1凹部21bと、周方向の一部を径方向内側へ膨らませた第1膨出部21cとがそれぞれ形成されている。これらの第1凹部21b及び第1膨出部21cを含む第1挿入孔21aは、図2に示す挿入部14と同一形状に形成されている。
【0043】
第1凹部21bは、第1挿入孔21aの縁の右側に形成され、上下方向U-Dに延びて板部21の上下両面に開口している。第1凹部21bは、挿入部14の外周凸部14bと嵌合する。
【0044】
第1膨出部21cは、第1挿入孔21aの縁の前後両側に形成されている。第1膨出部21cは、平面視において前後方向F-Bと垂直な直線状に形成され、左右両端が円形状の第1挿入孔21aの縁に連なる。この第1膨出部21cが挿入部14の規制外面14cと嵌合する。
【0045】
これら第1凹部21b及び第1膨出部21cと、外周凸部14b及び規制外面14cとの嵌合によって、挿入部14に対するストッパ20の回転を規制できる。これにより、挿入部14に取り付けられた相手部材2とストッパ20の厚肉部23との位置が周方向にずれることを抑制できる。
【0046】
なお、円形の一部を径方向内側へ削ったような第1膨出部21cと規制外面14cとの嵌合よりも、円形の一部を径方向外側へ段差状に張り出させたような第1凹部21bと外周凸部14bとの嵌合の方が、挿入部14に対するストッパ20の回転を強い力で規制できる。
【0047】
第1挿入孔21aに挿入部14が挿入されていない状態において、第1凹部21b及び第1膨出部21cを除いた部分の第1挿入孔21aの内径R2は、外周凸部14b及び規制外面14cを除いた部分の挿入部14の外径R1(図2参照)よりも若干大きい。これにより、第1挿入孔21aに挿入部14を挿入すると、挿入部14の外周面に第1挿入孔21aの内周面がすきまばめ(締め代が無く、隙間が有る状態)で嵌合する。その結果、第1挿入孔21aに挿入部14を挿入し易くでき、即ち第1部材11にストッパ20を装着し易くできる。
【0048】
厚肉部23は、防振装置10への上下方向U-Dの振動の入力時に主に相手部材2と接触して弾性変形する部位である。厚肉部23は、第1挿入孔21aに対し左側に配置される第1厚肉部23aと、第1厚肉部23aの周方向の両側に連なって配置される第2厚肉部23bと、を備える。図1に示すように、第1厚肉部23aの高さよりも第2厚肉部23bの高さが低い。
【0049】
図3に示すように、第1厚肉部23aの先端(上端)は、挿入部14の取付端14dと略同一の位置(取付端14dよりも若干高い位置)にある。第1厚肉部23aの先端は、振動の未入力時に、相手部材2の下面の凹部2a内に配置される。これにより、第1厚肉部23aと相手部材2とを周方向に位置決めし易くできる。
【0050】
ストッパ20による相手部材2の上下方向U-Dの移動の規制時には、厚肉部23(第1厚肉部23a)の変形量は大きくなるが、ストッパ20のうち軸心Cを挟んで厚肉部23の反対側(右側)の領域では厚肉部23の変形による影響を受け難い。この領域で第1凹部21bと外周凸部14bとが嵌合するので、厚肉部23の変形に伴って第1凹部21bと外周凸部14bとの嵌合が外れることを抑制できる。
【0051】
遮熱カバー30は、上方(相手部材2側)から防振基体18へ向かう熱を遮断するための部材であり、ストッパ20の上側に重ねて配置される。ストッパ20だけでも上方から防振基体18へ向かう熱を遮断できるが、遮熱カバー30とストッパ20とが重なった部分によって上側から防振基体18への熱を遮断し易くできる。
【0052】
更に、ストッパ20と遮熱カバー30とが別部材なので、相手部材2の移動を規制するのに適した素材(比較的柔らかい弾性体)からストッパ20を構成しつつ、遮熱性能が高い素材から遮熱カバー30を構成することができる。遮熱カバー30は、ストッパ20の素材よりも遮熱性能が高い弾性体によって形成されているので、遮熱カバー30によって上方から防振基体18への熱をより遮断し易くできる。
【0053】
本実施形態では、防振基体18が第2部材15で覆われている。しかし、第2部材15が主に金属製であり、第2部材15に防振基体18が連結されているので、第2部材15が加熱されると第2部材15から防振基体18へ熱が伝達される。ストッパ20が第2部材15の上端部(端面部17d)を全周に亘って覆い、そのストッパ20の一部に遮熱カバー30が重ねられているので、上方から第2部材15への熱を遮断し易くでき、第2部材15から防振基体18へ熱を伝達し難くできる。
【0054】
遮熱カバー30は、ストッパ20の板部21のうち厚肉部23が無い部位を覆う遮熱板部31と、遮熱板部31の外周縁から下方へ垂れ下がって筒部22の外周側の一部を覆う遮熱筒部32と、遮熱板部31の上面である外端面31aから立ち上がる壁33,34と、壁33,34及び外端面31aから立ち上がる複数のリブ35と、を備える。
【0055】
遮熱板部31は、軸心Cと垂直な板であり、取付端14d側を向いた外端面31aを備える。遮熱板部31に貫通形成された第2挿入孔31bに挿入部14を挿入することで、ストッパ20が第1部材11に装着される。この装着によって遮熱板部31と第2部材15との間にストッパ20の板部21が挟み込まれるため、ストッパ20が上下に位置決めされる。
【0056】
なお、遮熱板部31と板部21とが密着して重なる場合に限らず、遮熱板部31と板部21との間に隙間を設けて両者を重ねても良い。この場合には、遮熱板部31と板部21との間の空気層の体積を大きくでき、その空気層によって上方からの熱に対する遮熱効果を向上できる。遮熱筒部32と筒部22との間や、筒部22と第2部材15との間には隙間ができるように各部材の寸法が設定されているので、それらの間の空気層によって径方向からの熱に対する遮熱効果を向上できる。
【0057】
また、遮熱板部31には、下側に重なるストッパ20に干渉しないように、第2挿入孔31bの縁の全周を上方へ突出させた補強部31eが形成されている。この補強部31eによって第2挿入孔31bを起点とした亀裂が遮熱板部31に生じることを抑制できる。
【0058】
図2に示すように、遮熱板部31は、第2挿入孔31b(補強部31e)から右方向R及び前方向Fへ延びて形成され、厚肉部23を回避して半円形状に形成されている。この半円の外周縁に遮熱筒部32が連なる。即ち、遮熱筒部32が軸心Cを中心とした半円筒状に形成されている。
【0059】
第2挿入孔31bは、軸心Cを中心とした円形状に縁が形成されている。第2挿入孔31bには、周方向の一部を凹ませた第2凹部31cと、周方向の一部を径方向の内側へ膨らませた第2膨出部31dとがそれぞれ形成されている。これらの第2凹部31c及び第2膨出部31dを含む第2挿入孔31bは、挿入部14や第1挿入孔21a(図4参照)と同一形状に形成されている。
【0060】
第2凹部31cは、第2挿入孔31bの縁の右側に形成され、上下に延びて遮熱板部31(補強部31e)の上下両面に開口している。第2凹部31cは、挿入部14の外周凸部14bと嵌合する。
【0061】
第2膨出部31dは、第2挿入孔31bの縁の前後両側に形成されている。第2膨出部31dは、平面視において前後方向F-Bと垂直な直線状に形成され、左右両端が円形状の第2挿入孔31bの縁に連なる。この第2膨出部31dが挿入部14の規制外面14cと嵌合する。
【0062】
これら第2凹部31c及び第2膨出部31dと、外周凸部14b及び規制外面14cとの嵌合によって、挿入部14に対する遮熱カバー30の回転を規制できる。そのため、防振基体18へ向かう熱を遮熱カバー30で遮熱する位置がずれることを抑制できる。
【0063】
また、遮熱カバー30の遮熱板部31がストッパ20の第2厚肉部23bの周方向に隣接して配置されると共に、第2厚肉部23bの高さが遮熱板部31の板厚と略同一である。そのため、挿入部14に対して遮熱カバー30やストッパ20が回転してしまうと、第2厚肉部23bに遮熱カバー30が被さってしまうことがある。
【0064】
しかし、本実施形態では、第2凹部31c等により挿入部14に対する遮熱カバー30の回転が規制されているので、第2厚肉部23bに遮熱カバー30を被さり難くできる。同様に、第1凹部21b等により挿入部14に対するストッパ20の回転が規制されているので、第2厚肉部23bに遮熱カバー30を被さり難くできる。
【0065】
図5は、遮熱カバー30の平面図である。第2挿入孔31bに挿入部14が挿入されていない状態において、第2凹部31c及び第2膨出部31dを除いた部分の第2挿入孔31bの内径R3は、図2に示す挿入部14の外径R1よりも若干小さい。これにより、第2挿入孔31bに挿入部14を挿入すると、挿入部14の外周面に第2挿入孔31bの内周面が弾性嵌合する。
【0066】
なお、弾性嵌合とは、所定の締め代で両者(挿入部14の外周面と第2挿入孔31bの内周面と)を密着させることである。本実施形態では、第2挿入孔31bに挿入部14を圧入することで両者が弾性嵌合されるが、焼き嵌めや冷やし嵌め等によって両者を弾性嵌合しても良い。
【0067】
図1に示すように、弾性嵌合によって挿入部14に遮熱カバー30が装着されることで、第1部材11から遮熱カバー30を脱落し難くできる。更に、遮熱カバー30の下側(第2部材15側)にストッパ20が重なっているので、第1部材11から遮熱カバー30が脱落しない限りストッパ20も脱落せず、ストッパ20を第1部材11から脱落し難くできる。これらの結果、第1部材11の取付端14dを相手部材2に取り付けていない状態(例えば防振装置10の輸送中など)において、第1部材11からストッパ20及び遮熱カバー30を脱落し難くでき、防振装置10の部品管理をし易くできる。
【0068】
壁33,34は、遮熱板部31の外端面31aから垂直に立ち上がった平板状の部位であり、挿入部14(第1部材11)に対し周方向の一部に配置される。この壁33,34によって、径方向外側から第1部材11へ向かう熱を遮断できるので、その熱が第1部材11を介して防振基体18へ伝達されることを抑制できる。その結果、上側および径方向外側から防振基体18に向かう熱に対する遮熱性能をより向上できる。
【0069】
壁33は、挿入部14(第2挿入孔31b)の右側に位置し、左右方向L-Rと垂直に形成されている。壁34は、挿入部14の前側に位置し、前後方向F-Bと垂直に形成されている。これにより、右斜め上から防振装置10に向かってきた熱を壁33により遮断し易くできると共に、前斜め上から防振装置10に向かってきた熱を壁34により遮断し易くできる。
【0070】
なお、挿入部14を挟んで壁33,34とは反対側には、厚肉部23が位置するので、厚肉部23と壁33,34とによって挿入部14の周囲の大部分(略全部)を取り囲むことができる。これにより、第1部材11へ向かう熱をより効果的に遮断できるので、上側および径方向外側から防振基体18に向かう熱に対する遮熱性能をより向上できる。
【0071】
特に、厚肉部23の第1厚肉部23aの高さと壁33,34の高さとが同程度であり、第1厚肉部23aが挿入部14の左側の全体を覆っているので、左側から第1部材11へ向かう熱をより効果的に遮断できる。よって、左斜め上から防振基体18に向かう熱に対する遮熱性能をより向上できる。
【0072】
壁33,34は、挿入部14の取付端14dよりも若干低い位置まで設けられている。これにより、取付端14dに取り付ける相手部材2と壁33,34とを干渉させ難くできる。但し、相手部材2の形状によっては、取付端14dより壁33,34を高くしても良い。この場合には、斜め上から防振装置10に向かってきた熱を壁33,34でより遮断し易くできる。
【0073】
壁33の前縁と壁34の右縁とが接続され、壁33,34が互いに垂直に配置されているので、壁33,34を倒れ難くできる。これにより、壁33,34による防振基体18への遮熱性能の向上の効果を発揮させ易くできる。
【0074】
更に、壁33の後縁および壁34の左縁は、遮熱板部31の外周縁に位置するので、右側や前側からの熱が壁33,34を迂回して第1部材11へ伝達されることを抑制できる。その結果、壁33,34による遮熱性能を向上できる。
【0075】
また、遮熱板部31の外端面31aから壁33,34が立ち上がることで、壁33,34と第2挿入孔31bとの間における遮熱カバー30の剛性が高くなる。この剛性が高くなった領域で第2凹部31cと外周凸部14bとが嵌合するので、遮熱カバー30に設けられた第2凹部31cの近傍の変形を抑制でき、第2凹部31cと外周凸部14bとの嵌合を外れ難くできる。
【0076】
リブ35は、壁33,34を更に倒れ難くするための部位である。複数のリブ35が外端面31a及び壁33,34から垂直に立ち上がる。この複数のリブ35により壁33,34が補強されて倒れ難くなるので、壁33,34による防振基体18への遮熱性能の向上の効果をより発揮させ易くできる。
【0077】
ここで、挿入部14側の壁33,34の内面からリブ35が立ち上がる場合には、壁33,34を挿入部14から遠ざける必要がある。これに対し本実施形態では、挿入部14と反対側の壁33,34の外面からリブ35が立ち上がるので、挿入部14側の壁33,34の内面にリブ35を設ける場合と比べて、挿入部14の近くに壁33,34を配置できる。その結果、右斜め上や前斜め上から第1部材11へ向かう熱を壁33,34でより遮断し易くできる。
【0078】
また、壁33,34の内面側よりも外面側の方が、リブ35を設けるための空間を広く取り易いので、リブ35の形状や本数の自由度を向上できる。更に、壁33,34の外面側にリブ35が位置することで、挿入部14に取り付けられる相手部材2とリブ35とを干渉し難くでき、リブ35の配置を設計し易くできる。
【0079】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、第1部材11の軸心Cと、第2部材15の軸心とをオフセットして配置しても良い。
【0080】
壁33,34やリブ35、厚肉部23(第1厚肉部23a及び第2厚肉部23b)の位置や寸法、形状などは、防振装置10へ向かう熱の方向や相手部材2の位置に応じて適宜変更しても良い。例えば、厚肉部23の径方向外側にも遮熱カバー30を延ばし、壁33,34で挿入部14の全周を囲んでも良い。
【0081】
上記形態では、挿入部14の外周面にストッパ20の第1挿入孔21aの内周面がすきまばめで嵌合する場合を説明したが、これに限られない。挿入部14の外周面にストッパ20の第1挿入孔21aの内周面を弾性嵌合(しまりばめで嵌合)させても良く、中間ばめで嵌合させても良い。
【0082】
上記形態では、防振装置10の適用対象として、エンジンマウントを例示したが、その適用対象は任意である。他の適用対象としては、例えば、モーターマウント、メンバーマウント、デフマウントが例示される。また、エンジンなどの振動源側に第1部材11を取り付け、車体などの振動受側に第2部材15を取り付ける場合に限らず、振動受側に第1部材11を取り付けて振動源側に第2部材15を取り付けても良い。
【0083】
また、第2部材15の下端をダイヤフラムで塞ぎ、防振基体18とダイヤフラムとの間に形成された液室に液体を封入して防振装置10を液封入式防振装置としても良い。この場合、液室を複数に仕切る仕切体を設けても良く、複数の液室を連通するオリフィスを仕切体に設けても良い。
【0084】
上記形態では、遮熱カバー30が弾性体によって形成される場合を説明したが、これに限られない。例えば、遮熱性能が高い金属やセラミックスなどの素材から遮熱カバー30を形成しても良い。
【0085】
上記形態の一部を省略しても良い。例えば、ストッパ20の筒部22や遮熱カバー30の遮熱筒部32の少なくとも一部を省略しても良い。また、壁33,34の少なくとも一方やリブ35を省略しても良い。また、第2厚肉部23bを省略しても良い。外周凸部14bや規制外面14cを省略し、それに対応する第1凹部21b、第1膨出部21c、第2凹部31c、第2膨出部31dを省略しても良い。
【0086】
なお、挿入部14の外周面の一部を突出させた外周凸部14bの代わりに、挿入部14の外周面の一部を(段差状に)凹ませた外周凹部を設けても良い。外周凹部は、外周凸部14bと同様に上下方向U-Dに延びて形成され、取付端14dに開口する。この場合、外周凹部に嵌合する第1凸部を第1挿入孔21aの周方向の一部から(段差状に)突出させ、外周凹部に嵌合する第2凸部を第2挿入孔31bの周方向の一部から(段差状に)突出させることが好ましい。
【0087】
また、外周凸部14bや外周凹部、第1凹部21b、第1凸部、第2凹部31c、第2凸部の位置や形状、寸法などを適宜変更しても良い。挿入部14に外周凸部14b及び外周凹部の両方を設け、それらの少なくとも一方と嵌合する凹凸を第1挿入孔21aや第2挿入孔31bに設けても良い。
【0088】
更に、挿入部14の外周面は円柱面状である場合に限らず、例えば挿入部の外周面を角柱面状としても良く、挿入部が挿入される第1挿入孔および第2挿入孔を平面視において多角形状としても良い。この場合にも、挿入部の外周面に第1挿入孔の内周面がすきまばめで嵌合し、挿入部の外周面に第2挿入孔の内周面が弾性嵌合するように、各部位の寸法を設定することが好ましい。
【符号の説明】
【0089】
2 相手部材
10 防振装置
11 第1部材
14 挿入部
14b 外周凸部(第1凸部、第2凸部)
14d 取付端
15 第2部材
18 防振基体
20 ストッパ
21a 第1挿入孔
21b 第1凹部
23 厚肉部
23a 第1厚肉部
23b 第2厚肉部
30 遮熱カバー
31a 外端面
31b 第2挿入孔
31c 第2凹部
33,34 壁
35 リブ

図1
図2
図3
図4
図5