(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097218
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法、コンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法、および炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリート
(51)【国際特許分類】
B28B 11/24 20060101AFI20230630BHJP
C04B 28/04 20060101ALI20230630BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20230630BHJP
C04B 40/02 20060101ALI20230630BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20230630BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B28B11/24
C04B28/04
C04B18/14 A
C04B40/02
C04B22/08 Z
C04B18/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213464
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】関 健吾
(72)【発明者】
【氏名】田口 翔也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢三
(72)【発明者】
【氏名】取違 剛
(72)【発明者】
【氏名】向 俊成
(72)【発明者】
【氏名】小野 かよこ
【テーマコード(参考)】
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
4G055AA01
4G055BA02
4G112MB00
4G112MB01
4G112PA27
4G112PB03
4G112PB06
4G112RA02
(57)【要約】
【課題】炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持を達成できる炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法等の提供。
【解決手段】炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法は、水と、セメントと、骨材と、アルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートを製造するフレッシュコンクリート製造工程と、フレッシュコンクリートに炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設して硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得る、又は、前記フレッシュコンクリートを打設後の硬化前フレッシュコンクリート及び/又は前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートに対して、炭酸ガス源を供給し炭酸ガス固定化コンクリートを得る、炭酸ガス固定化工程と、前記アルカリ供給材からのアルカリ成分で前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する再アルカリ化工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートを製造するフレッシュコンクリート製造工程と、
打設前の前記フレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得る、または、前記フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前の前記フレッシュコンクリートおよび前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートの少なくとも一方に対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得る、炭酸ガス固定化工程と、
前記アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する再アルカリ化工程と、
を有する、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項2】
前記アルカリ供給材は細骨材を含む、請求項1に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ供給材は、ポルトランドセメントペーストまたは混合セメントペーストの硬化物である、請求項1または2に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ供給材は、高炉スラグ微粉末、γ-C2S、消石灰、高炉水砕スラグ、膨張材、およびフライアッシュからなる群より選択される1種以上の混和材を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項5】
前記フレッシュコンクリートに含まれる前記アルカリ供給材の含有割合は、10%以上50%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項6】
前記フレッシュコンクリートに含まれる前記アルカリ供給材は、前記フレッシュコンクリート1m3あたり、セメント成分を10kg/m3以上72kg/m3以下含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ供給材は、水/結合材比が18質量%以上50質量%以下のセメントペーストの硬化物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項8】
前記アルカリ供給材は、篩目開き5.0mmの篩を通過し、篩目開き0.15mmの篩を通過しない、請求項1~7のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項9】
前記再アルカリ化工程において、前記炭酸ガス固定化コンクリートに水分を供給する、請求項1~8のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項10】
前記再アルカリ化工程において、前記炭酸ガス固定化コンクリートを封緘養生する、請求項1~9のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項11】
前記炭酸ガス固定化工程において、鉄筋が設置された枠体に前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートまたは前記フレッシュコンクリートを打設し、
前記炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの内部に前記鉄筋が設けられている、請求項1~10のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項12】
前記炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートは、かぶり厚と前記鉄筋の外径との合計長さ以上が炭酸ガスを固定しかつアルカリ性を示す、請求項11に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
【請求項13】
水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートについて、
打設前の前記フレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得た後、または、
前記フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前の前記フレッシュコンクリートおよび前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートの少なくとも一方に対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得た後に、
前記アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する、コンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法。
【請求項14】
水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含む、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法、コンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法、および炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートに使用されているセメントは、製造時に原料の脱炭酸および焼成時の燃料より多量の炭酸ガス(二酸化炭素、CO2)を排出する。近年の気候変動抑制に対する関心の高まりを受けて、コンクリートの製造時における炭酸ガスの排出量を大きく削減することが求められている。
【0003】
炭酸ガスの排出量を削減する方法の一つとして、コンクリートの炭酸化反応によって、炭酸ガスをコンクリート中に固定化する方法がある。しかしながら、コンクリートの炭酸化反応の程度によっては、コンクリートのアルカリ性が失われて、コンクリートが全体的に中性化してしまう可能性がある。コンクリートが中性化すると、コンクリート内では、鉄筋を保護していた不働態皮膜が失われ、鉄筋が腐食しやすくなる。
【0004】
このようなコンクリートの中性化に伴う鉄筋腐食の問題に対して、鉄筋をエポキシ樹脂塗装鉄筋やステンレス鉄筋に変更するなど、鉄筋に着目した対策が考えられる。しかしながら、鉄筋側の対策は、非常に高価になるという課題がある。
【0005】
また、コンクリートに着目した対策として、電気化学的に強アルカリをコンクリートの中性化部分に導入し、コンクリートのアルカリ性を回復させる(コンクリートの再アルカリ化)手法が挙げられる。しかしながら、この手法は、アルカリをコンクリート中に導入するための設備が必要であること、アルカリをコンクリート中に導入させるのに長期間を要することなど、様々な課題がある。
【0006】
また、特許文献1には、水、セメント、骨材を含むように配合され、打設後に水和反応によって硬化するコンクリートであって、打設後に硬化した時点において、セメントを含む粉体の未反応部分が残存するように構成し、粉体を膨張材を含むように構成するとともに、水の粉体に対する重量比を25%~40%に設定し、膨張材の重量を15~120kg/m3に設定したコンクリートが記載されている。特許文献1のコンクリートは、ひび割れが発生した場合に、ひび割れを自己治癒することを目的としており、炭酸ガスをコンクリートに固定化することや、中性化したコンクリートを再アルカリ化することについて、何ら言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、炭酸ガスを強制的に固定化し、かつ、炭酸ガスを固定化したコンクリートを簡便な方法で再アルカリ化して、炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法、コンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法、および炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートを製造するフレッシュコンクリート製造工程と、打設前の前記フレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得る、または、前記フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前の前記フレッシュコンクリートおよび前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートの少なくとも一方に対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得る、炭酸ガス固定化工程と、前記アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する再アルカリ化工程と、を有する、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[2] 前記アルカリ供給材は細骨材を含む、上記[1]に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[3] 前記アルカリ供給材は、ポルトランドセメントペーストまたは混合セメントペーストの硬化物である、上記[1]または[2]に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[4] 前記アルカリ供給材は、高炉スラグ微粉末、γ-C2S、消石灰、高炉水砕スラグ、膨張材、およびフライアッシュからなる群より選択される1種以上の混和材を含む、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[5] 前記フレッシュコンクリートに含まれる前記アルカリ供給材の含有割合は、10%以上50%以下である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[6] 前記フレッシュコンクリートに含まれる前記アルカリ供給材は、前記フレッシュコンクリート1m3あたり、セメント成分を10kg/m3以上72kg/m3以下含む、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[7] 前記アルカリ供給材は、水/結合材比が18質量%以上50質量%以下のセメントペーストの硬化物である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[8] 前記アルカリ供給材は、篩目開き5.0mmの篩を通過し、篩目開き0.15mmの篩を通過しない、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[9] 前記再アルカリ化工程において、前記炭酸ガス固定化コンクリートに水分を供給する、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[10] 前記再アルカリ化工程において、前記炭酸ガス固定化コンクリートを封緘養生する、上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[11] 前記炭酸ガス固定化工程において、鉄筋が設置された枠体に前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートまたは前記フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの内部に前記鉄筋が設けられている、上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[12] 前記炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートは、かぶり厚と前記鉄筋の外径との合計長さ以上が炭酸ガスを固定しかつアルカリ性を示す、上記[11]に記載の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法。
[13] 水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートについて、打設前の前記フレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得た後、または、前記フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前の前記フレッシュコンクリートおよび前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートの少なくとも一方に対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得た後に、前記アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する、コンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法。
[14] 水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含む、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリート。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、炭酸ガスを強制的に固定化し、かつ、炭酸ガスを固定化したコンクリートを簡便な方法で再アルカリ化して、炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法、コンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法、および炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法における炭酸ガス固定化工程の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法における炭酸ガス固定化工程の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第3実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法における炭酸ガス固定化工程の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、アルカリ性の評価結果を示すデジカメ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に基づき詳細に説明する。
【0013】
本発明者らは、炭酸ガスによる環境問題を改善するために、コンクリートに炭酸ガスを強制的に固定化した結果、炭酸ガスを固定化したコンクリートが中性化することに着目し、さらには炭酸ガスを固定化する前のフレッシュコンクリートの含有成分に着目することによって、炭酸ガスの強制的な固定化によってコンクリートが中性化しても、炭酸ガスを固定化したコンクリートを容易に再アルカリ化でき、炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0014】
本発明の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法は、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートを製造するフレッシュコンクリート製造工程と、打設前の前記フレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得る、または、前記フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前の前記フレッシュコンクリートおよび前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートの少なくとも一方に対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得る、炭酸ガス固定化工程と、前記アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する再アルカリ化工程と、を有する。
【0015】
また、本発明のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法は、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートについて、打設前の前記フレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、前記炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得た後、または、前記フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前の前記フレッシュコンクリートおよび前記フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートの少なくとも一方に対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得た後に、前記アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、前記炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。
【0016】
また、本発明の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートは、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含む。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2は、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法における炭酸ガス固定化工程の一例を示すフローチャートである。
図1に示すように、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法は、フレッシュコンクリート製造工程S1と、炭酸ガス固定化工程S2と、再アルカリ化工程S3とを有する。
【0018】
炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法を構成するフレッシュコンクリート製造工程S1では、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートを製造する。フレッシュコンクリートは、水硬性組成物である。フレッシュコンクリート製造工程S1で製造するフレッシュコンクリートにアルカリ供給材が含まれると、後述するように、再アルカリ化工程S3で炭酸ガス固定化コンクリートを容易に再アルカリ化できる。
【0019】
フレッシュコンクリートに含まれるセメントは、ポルトランドセメントであることが好ましい。ポルトランドセメントには、普通ポルトランドセメントの他、早強、超早強、中庸熱、低熱耐硫酸塩等の種類があり、これらはJIS R 5210:2019に規定されている。フレッシュコンクリートにおいては、これら種々のポルトランドセメントの1種又は2種以上を配合するものを用いることができる。
【0020】
また、セメントとして、高炉スラグ微粉末とセメント材とを含む高炉セメント(混合セメント)を用いてもよい。高炉セメントは、JIS R 5211:2009に規定されているものを用いることができる。
【0021】
フレッシュコンクリートに含まれる骨材は、細骨材および粗骨材の少なくとも一方を含む。
【0022】
フレッシュコンクリートに含まれる細骨材とは、JIS A 5308、JIS A 5005、JIS A 5002及びJIS A 5011で定義される骨材である。細骨材としては、例えば砕砂、砂、川砂、海砂、石灰砕砂、再生骨材、軽量骨材、重量骨材等が挙げられる。
【0023】
フレッシュコンクリートに含まれる粗骨材とは、JIS A 5308、JIS A 5005、JIS A 5002及びJIS A 5011で定義される骨材であり、粒の大きさにより上記の細骨材と区別されるもので、5mm篩を通るか否かで区分する。実用上、10mm篩をすべて通り5mm篩を重量で85%以上通るものを細骨材、5mm篩に重量で85%以上とどまるものを粗骨材としている。
【0024】
フレッシュコンクリートに含まれるアルカリ供給材は、粒状であり、セメント材料の硬化物から構成される。セメント材料は、水硬性組成物であり、例えば、水と、セメントと、細骨材とを含有する。この場合、アルカリ供給材は、モルタル材料の硬化物から構成される。また、セメント材料は、さらに粗骨材を有するものであってもよい。この場合、アルカリ供給材は、コンクリート材料の硬化物から構成される。
【0025】
アルカリ供給材に含まれるセメント、細骨材、粗骨材は、上記フレッシュコンクリートに含まれるセメント、細骨材、粗骨材と同様である。
【0026】
フレッシュコンクリートは、上記成分に加えて、各種の機能性成分を含んでもよい。
【0027】
図1に示すように、フレッシュコンクリート製造工程S1の後に実施される炭酸ガス固定化工程S2は、
図2に示すように、強制炭酸化工程S2-1-1と、打設工程S2-1-2と、硬化工程S2-1-3とを有する。
【0028】
炭酸ガス固定化工程S2における強制炭酸化工程S2-1-1では、フレッシュコンクリート製造工程S1で製造した打設前のフレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給し、フレッシュコンクリートに炭酸ガスを固定化した炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを得る。炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートは、フレッシュコンクリート中に炭酸ガスを強制的に固定化したものであり、いわゆるフレッシュコンクリートを強制的に炭酸化したものである。短時間で炭酸ガスを固定化する観点から、撹拌しているフレッシュコンクリートに炭酸ガス源を供給することが好ましい。
【0029】
強制炭酸化工程S2-1-1では、アルカリ供給材の全体は、炭酸ガスを固定化していない。すなわち、少なくともアルカリ供給材の内部は、炭酸ガスを固定化していない。アルカリ供給材の部分を除く炭酸ガス固定化フレッシュコンクリート内の炭酸ガスの固定化状態について、アルカリ供給材内の炭酸ガス固定化量に比べて、炭酸ガス固定化フレッシュコンクリート内の炭酸ガス固定化量は大幅に多い。
【0030】
炭酸ガス源としては、気体状、液体状、固体状のいずれの炭酸ガス源でもよい。取り扱い容易性、供給容易性、入手容易性などの観点から、炭酸ガス源は、気体状の炭酸ガス源であることが好ましく、炭酸ガス、炭酸ガス含有ガスであることがより好ましい。そのなかでも、環境浄化性を向上する観点から、炭酸ガス含有ガスは、火力発電所の排ガス、ボイラーからの排ガス、他の製品の製造工程で排出される二酸化炭素を含む排ガスなどであることが好ましい。また、これらの排ガスは、湿度や温度を調整してもよい。
【0031】
図2に示すように、強制炭酸化工程S2-1-1の後に実施される打設工程S2-1-2では、強制炭酸化工程S2-1-1で得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設する。炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートは、炭酸ガスを固定化している状態で、所定の場所に打設される。
【0032】
図2に示すように、打設工程S2-1-2の後に実施される硬化工程S2-1-3では、打設工程S2-1-2で打設された炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化して、炭酸ガス固定化コンクリートを得る。炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートは、コンクリート中に炭酸ガスを強制的に固定化したものであり、いわゆるコンクリートを強制的に炭酸化したものである。
【0033】
炭酸ガス固定化工程S2では、既に強制炭酸化工程S2-1-1で得られる炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートにおいて、炭酸ガスを強制的に固定化している。そのため、硬化工程S2-1-3では、打設後の炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを雰囲気制御しない空気中で養生することによって、炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートに対して強制的に炭酸ガス源を供給しなくても、炭酸ガス固定化コンクリートを得ることができる。硬化工程S2-1-3を経て得られた炭酸ガス固定化コンクリートは、表面から内部に亘って、全体的に炭酸ガスを固定化している。
【0034】
図1に示すように、炭酸ガス固定化工程S2の後に実施される再アルカリ化工程S3では、炭酸ガス固定化工程S2で得られた炭酸ガス固定化コンクリート内のアルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。
【0035】
炭酸ガス固定化工程S2で得られた炭酸ガス固定化コンクリートは強制的に炭酸化されているため、炭酸ガス固定化コンクリートにおける炭酸化している部分では、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している。
【0036】
一方、炭酸ガス固定化コンクリートの内部には、セメント材料の硬化物から構成されるアルカリ供給材が存在している。アルカリ供給材には、セメント材料から硬化物を生成するための水和反応に参加しなかった未反応のカルシウム成分や、水和反応に無関係のナトリウム成分、カリウム成分など、水と反応するとアルカリ成分である水酸化物イオンを放出する様々な成分が含まれている。
【0037】
そして、アルカリ供給材に含まれる上記成分が炭酸ガス固定化コンクリート内の水分と反応することで、アルカリ供給材からアルカリ成分である水酸化物イオンが放出される。アルカリ供給材から放出された水酸化物イオンは、炭酸ガス固定化コンクリートの中性化部分を再アルカリ化する。こうして、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートが製造される。
【0038】
また、アルカリ供給材中に上記成分が存在する限り、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート中の水との反応によって、水酸化物イオンがアルカリ供給材から放出し続けることができる。このように、アルカリ供給材は、長期間に亘ってアルカリ成分を炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート内に放出できる。そのため、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートは、長期間に亘って、再アルカリ化に伴うアルカリ性を維持できる。こうして、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートは、炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0039】
また、再アルカリ化工程S3において、炭酸ガス固定化コンクリートに水分を供給してもよい。作業容易性の観点から、炭酸ガス固定化コンクリートを水中養生する、炭酸ガス固定化コンクリートに水をかけることが好ましい。このように、炭酸ガス固定化コンクリートに外部から水分を強制的に供給すると、炭酸ガス固定化コンクリートに浸入した水分は、炭酸ガス固定化コンクリートの内部全体に短時間で行き渡る。その結果、アルカリ供給材による再アルカリ化が促進される。そのため、炭酸ガス固定化コンクリートを全体的に短時間で再アルカリ化できる。
【0040】
また、再アルカリ化工程S3において、炭酸ガス固定化コンクリートを封緘養生してもよい。炭酸ガス固定化コンクリートを封緘養生すると、炭酸ガス固定化コンクリート内の水分が炭酸ガス固定化コンクリートの外部に逸散することを抑制できる。すなわち、炭酸ガス固定化コンクリートの内部には、アルカリ供給材がアルカリ成分を放出できる十分な水分量の分布状態を維持できる。そのため、炭酸ガス固定化コンクリートを十分に再アルカリ化できる。
【0041】
また、アルカリ供給材は、高炉スラグ微粉末、γ-C2S、消石灰、高炉水砕スラグ、膨張材、およびフライアッシュからなる群より選択される1種以上の混和材を含むことが好ましい。アルカリ供給材が上記の混和材を含むと、アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分の量が増加する。そのため、再アルカリに伴うアルカリ性をさらに長期間に亘って維持できる。
【0042】
アルカリ供給材に含まれる高炉スラグ微粉末は、JIS A 6206:2013「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に規定される微粉末である。高炉で、せん鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグ微粉末を水によって急冷したものが高炉水砕スラグであり、その塩基度は1.60以上である。この高炉水砕スラグを乾燥・粉砕したもの、又はこれに、石膏を添加したものが、高炉スラグ微粉末である。
【0043】
高炉スラグ微粉末の種類は、比表面積(cm2/g)によって下記の4種類が存在するが、いずれを用いてもよい。
a)高炉スラグ微粉末3000:比表面積が2750以上3500未満
b)高炉スラグ微粉末4000:比表面積が3500以上5000未満
c)高炉スラグ微粉末6000:比表面積が5000以上7000未満
d)高炉スラグ微粉末8000:比表面積が7000以上10000未満
【0044】
混和材を含むアルカリ供給材は、混和材を含むセメント材料を硬化した硬化物から構成される。また、混和材について、1種のみがアルカリ供給材内に存在してもよいし、2種以上がアルカリ供給材内に混在してもよい。
【0045】
また、アルカリ供給材は、セメントペーストの硬化物であり、セメントペーストの水/結合材比について、下限値は、好ましくは18質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、上限値は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。アルカリ供給材が混和材を含む場合には、水/結合材比の結合材に混和材を含める。
【0046】
アルカリ供給材について、水/結合材比が18質量%以上のセメントペーストの硬化物であると、一般的なミキサーで製造が可能となる。また、アルカリ供給材について、水/結合材比が50質量%以下のセメントペーストの硬化物であると、アルカリ供給材自体の強度がコンクリートの強度を下回らない優位性がある。
【0047】
また、アルカリ供給材は、ポルトランドセメントペーストまたは混合セメントペーストの硬化物であることが好ましい。アルカリ供給材が上記ペーストの硬化物であると、アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分の量が増加する。そのため、再アルカリに伴うアルカリ性をさらに長期間に亘って維持できる。
【0048】
また、アルカリ供給材の大きさは、篩目開き5.0mmの篩を通過し、篩目開き0.15mmの篩を通過しないことが好ましく、篩目開き5.0mmの篩を通過し、篩目開き1.2mmの篩を通過しないことがより好ましく、篩目開き5.0mmの篩を通過し、篩目開き2.5mmの篩を通過しないことがさらに好ましい。
【0049】
上記範囲内の大きさを有するアルカリ供給材は、炭酸ガス固定化コンクリートおよび炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの全体に亘って均一的に存在し、再アルカリ化に必要なアルカリ成分量を十分に放出できる。そのため、炭酸ガス固定化コンクリートを全体的に効率よく再アルカリ化できると共に、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの再アルカリ化を全体的に効率よく維持できる。上記範囲内の大きさを有するアルカリ供給材は、例えば所定の篩目開きを有する篩を用いた篩分けによって、得られることができる。
【0050】
また、フレッシュコンクリートに含まれるアルカリ供給材の含有割合について、下限値は、好ましくは10%以上、より好ましくは25%以上であり、上限値は、好ましくは50%以下である。
【0051】
アルカリ供給材の含有割合がフレッシュコンクリートに対して10%以上であると、強制炭酸化後にコンクリート全体が再アルカリ化しやすい。また、アルカリ供給材の含有割合がフレッシュコンクリートに対して50%以下であると、コンクリートの収縮量が過大とならない。
【0052】
また、フレッシュコンクリートに含まれるアルカリ供給材は、フレッシュコンクリート1m3あたり、セメント成分を、10kg/m3以上含むことが好ましく、36kg/m3以上含むことがより好ましい。フレッシュコンクリートに含まれる、アルカリ供給材中のセメント成分の含有量が10kg/m3以上であると、強制炭酸化後にコンクリート全体が再アルカリ化しやすい。
【0053】
また、炭酸ガス固定化工程S2において、鉄筋が設置された枠体に炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの内部に鉄筋が設けられてもよい。上記のように、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートは、再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持を達成できる。そのため、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを鉄筋コンクリート用のコンクリートに用いると、コンクリートの中性化に伴う鉄筋の腐食を長期間に亘って抑制できる。さらには、こうした炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを用いた鉄筋コンクリートは、炭酸ガスを固定化しているため、環境浄化性に優れている。
【0054】
このような鉄筋を内部に備える炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートは、かぶり厚と鉄筋の外径との合計長さ以上が炭酸ガスを固定しかつアルカリ性を示す。すなわち、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートについて、表面から内部に亘って、かぶり厚と鉄筋の外径との合計長さ以上が、炭酸ガスを固定しかつアルカリ性を示す。このように、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートにおける鉄筋が設けられている部分では、アルカリ供給材による再アルカリ化に伴うアルカリ性を長期間に亘って維持できる。そのため、鉄筋の腐食を長期間に亘って抑制できる。
【0055】
次に、第1実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法について説明する。
【0056】
第1実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法では、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートについて、打設前のフレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給して得られた炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設し、炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートを得た後、アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。
【0057】
炭酸ガス固定化コンクリートは強制的に炭酸化されているため、炭酸ガス固定化コンクリートにおける炭酸化している部分では、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している。一方、炭酸ガス固定化コンクリート内のアルカリ供給材には、セメント材料から硬化物を生成するための水和反応に参加しなかった未反応のカルシウム成分や、水和反応に無関係のナトリウム成分、カリウム成分など、水と反応するとアルカリ成分である水酸化物イオンを放出する様々な成分が含まれている。
【0058】
そして、アルカリ供給材に含まれるこれら成分が炭酸ガス固定化コンクリート内の水分と反応することで、アルカリ供給材からアルカリ成分である水酸化物イオンが放出される。炭酸ガス固定化コンクリート中に存在するアルカリ供給材から放出された水酸化物イオンは、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している部分を再アルカリ化する。
【0059】
また、アルカリ供給材中に上記の成分が存在する限り、水との反応によって、アルカリ供給材から水酸化物イオンを放出し続けることができる。このように、アルカリ供給材は、長期間に亘ってアルカリ成分を放出できる。そのため、長期間に亘って、再アルカリ化に伴うアルカリ性を維持できる。
【0060】
このように、本実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法によって、コンクリートに対する炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0061】
次に、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートについて説明する。
【0062】
第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートは、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含む。炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートは、例えば、原材料をかき混ぜることによって製造される。
【0063】
炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートの構成成分および組成比は、上記炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法で説明したフレッシュコンクリートの構成成分および組成比と同様である。
【0064】
炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート用のフレッシュコンクリートは、上記実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法に好適に用いられる。
【0065】
以上説明した第1実施形態によれば、炭酸ガスを固定化したコンクリートが中性化することに着目し、さらには炭酸ガスを固定化する前のフレッシュコンクリートの含有成分に着目することによって、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化しても、中性化した炭酸ガス固定化コンクリートを簡便な方法で再アルカリ化して、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの炭酸ガス固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0066】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法における炭酸ガス固定化工程の一例を示すフローチャートである。
【0067】
なお、以下に示す実施形態では、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法およびコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0068】
第2実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法において、主に炭酸ガス固定化工程が異なる以外は、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
【0069】
フレッシュコンクリート製造工程S1の後に実施される炭酸ガス固定化工程S2は、
図3に示すように、打設工程S2-2-1と、強制炭酸化工程S2-2-2と、硬化工程S2-2-3とを有する。
【0070】
炭酸ガス固定化工程S2における打設工程S2-2-1では、
図1に示すフレッシュコンクリート製造工程S1で得られたフレッシュコンクリートを打設する。フレッシュコンクリートは強制的に炭酸ガスを固定化していない。フレッシュコンクリートは、炭酸ガスを強制的に固定化していない状態で、所定の場所に打設される。
【0071】
図3に示すように、打設工程S2-2-1の後に実施される強制炭酸化工程S2-2-2では、打設工程S2-2-1で打設した硬化前のフレッシュコンクリートに対して外部から炭酸ガス源を強制的に供給し、フレッシュコンクリートに炭酸ガスを強制的に固定化させる。
【0072】
強制炭酸化工程S2-2-2では、アルカリ供給材の全体は、炭酸ガスを固定化していない。すなわち、少なくともアルカリ供給材の内部は、炭酸ガスを固定化していない。炭酸ガス源としては、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法と同様である。
【0073】
図3に示すように、強制炭酸化工程S2-2-2の後に実施される硬化工程S2-2-3では、炭酸ガスを固定化させたフレッシュコンクリートを硬化して、炭酸ガス固定化コンクリートを得る。炭酸ガス固定化コンクリートは、コンクリート中に炭酸ガスを強制的に固定化したものであり、いわゆるコンクリートを強制的に炭酸化したものである。
【0074】
第2実施形態では、既に強制炭酸化工程S2-2-2において、フレッシュコンクリートに対して炭酸ガスを強制的に固定化している。そのため、硬化工程S2-2-3では、炭酸ガスを強制的に固定化したフレッシュコンクリートに対して、雰囲気制御しない空気中で養生することによって、当該フレッシュコンクリートに強制的に炭酸ガス源を供給しなくても、炭酸ガス固定化コンクリートを得ることができる。硬化工程S2-2-3を経て得られた炭酸ガス固定化コンクリートは、主に表面から所定深さに亘って、炭酸ガスを固定化している。
【0075】
図1に示すように、炭酸ガス固定化工程S2の後に実施される再アルカリ化工程S3では、炭酸ガス固定化工程S2で得られた炭酸ガス固定化コンクリート内のアルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。こうして、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを製造できる。
【0076】
また、第1実施形態における鉄筋コンクリートの製造では、炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設するが、第2実施形態における鉄筋コンクリートの製造では、フレッシュコンクリートを打設する。すなわち、炭酸ガス固定化工程S2の打設工程S2-2-1において、鉄筋が設置された枠体にフレッシュコンクリートを打設し、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの内部に鉄筋が設けられる。第1実施形態と同様に、第2実施形態でも、炭酸ガスを固定化しているため、環境浄化性に優れていることに加えて、コンクリートの中性化に伴う鉄筋の腐食を長期間に亘って抑制できる。
【0077】
次に、第2実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法について説明する。
【0078】
第2実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法では、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートについて、フレッシュコンクリートを打設後に、硬化前のフレッシュコンクリートに対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得た後、アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。
【0079】
炭酸ガスを強制的に固定化したフレッシュコンクリートを硬化してなる炭酸ガス固定化コンクリートは強制的に炭酸化されているため、炭酸ガス固定化コンクリートにおける炭酸化している部分では、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している。一方、炭酸ガス固定化コンクリート内のアルカリ供給材には、セメント材料から硬化物を生成するための水和反応に参加しなかった未反応のカルシウム成分や、水和反応に無関係のナトリウム成分、カリウム成分など、水と反応するとアルカリ成分である水酸化物イオンを放出する様々な成分が含まれている。
【0080】
そして、アルカリ供給材に含まれるこれら成分が炭酸ガス固定化コンクリート内の水分と反応することで、アルカリ供給材からアルカリ成分である水酸化物イオンが放出される。炭酸ガス固定化コンクリート中に存在するアルカリ供給材から放出された水酸化物イオンは、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している部分を再アルカリ化する。
【0081】
また、アルカリ供給材中に上記の成分が存在する限り、水との反応によって、アルカリ供給材から水酸化物イオンを放出し続けることができる。このように、アルカリ供給材は、長期間に亘ってアルカリ成分を放出できる。そのため、長期間に亘って、再アルカリ化に伴うアルカリ性を維持できる。
【0082】
このように、本実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法によって、コンクリートに対する炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0083】
以上説明した第2実施形態によれば、炭酸ガス固定化工程S2において、打設工程後に強制炭酸化工程を行っても、炭酸ガスを強制的に固定化し、かつ、炭酸ガスを固定化したコンクリートを簡便な方法で再アルカリ化して、炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0084】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法における炭酸ガス固定化工程の一例を示すフローチャートである。第3実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法において、主に炭酸ガス固定化工程が異なる以外は、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法と基本的に同じである。そのため、ここでは、その異なる構成について主に説明する。
【0085】
フレッシュコンクリート製造工程S1の後に実施される炭酸ガス固定化工程S2は、
図4に示すように、打設工程S2-3-1と、硬化工程S2-3-2と、強制炭酸化工程S2-3-3とを有する。
【0086】
炭酸ガス固定化工程S2における打設工程S2-3-1では、
図1に示すフレッシュコンクリート製造工程S1で得られたフレッシュコンクリートを打設する。フレッシュコンクリートは強制的に炭酸ガスを固定化していない。フレッシュコンクリートは、炭酸ガスを強制的に固定化していない状態で、所定の場所に打設される。
【0087】
図4に示すように、打設工程S2-3-1の後に実施される硬化工程S2-3-2では、フレッシュコンクリートを硬化して、コンクリートを得る。フレッシュコンクリートは強制的に炭酸ガスを固定化していないため、フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートは、強制的に炭酸ガスを固定化していない。
【0088】
図4に示すように、硬化工程S2-3-2の後に実施される強制炭酸化工程S2-3-3では、硬化工程S2-3-2で得られたコンクリートに対して外部から炭酸ガス源を供給し、コンクリートに炭酸ガスを固定化させる。こうして、内部に炭酸ガスを強制的に固定化した炭酸ガス固定化コンクリートを得ることができる。炭酸ガス固定化コンクリートは、コンクリート中に炭酸ガスを強制的に固定化したものであり、いわゆるコンクリートを強制的に炭酸化したものである。
【0089】
強制炭酸化工程S2-3-3では、アルカリ供給材の全体は、炭酸ガスを固定化していない。すなわち、少なくともアルカリ供給材の内部は、炭酸ガスを固定化していない。炭酸ガス源としては、第1実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法と同様である。強制炭酸化工程S2-3-3を経て得られた炭酸ガス固定化コンクリートは、主に表面から所定深さに亘って、炭酸ガスを固定化している。
【0090】
図1に示すように、炭酸ガス固定化工程S2の後に実施される再アルカリ化工程S3では、炭酸ガス固定化工程S2で得られた炭酸ガス固定化コンクリート内のアルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。こうして、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを製造できる。
【0091】
また、第1実施形態における鉄筋コンクリートの製造では、炭酸ガス固定化フレッシュコンクリートを打設するが、第3実施形態における鉄筋コンクリートの製造では、フレッシュコンクリートを打設する。すなわち、炭酸ガス固定化工程S2の打設工程S2-3-1において、鉄筋が設置された枠体にフレッシュコンクリートを打設し、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの内部に鉄筋が設けられる。第1実施形態と同様に、第3実施形態でも、炭酸ガスを固定化しているため、環境浄化性に優れていることに加えて、コンクリートの中性化に伴う鉄筋の腐食を長期間に亘って抑制できる。
【0092】
次に、第3実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法について説明する。
【0093】
第3実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法では、水と、セメントと、骨材と、セメント材料の硬化物から構成される粒状のアルカリ供給材と、を含むフレッシュコンクリートについて、フレッシュコンクリートを打設後に、フレッシュコンクリートを硬化してなるコンクリートに対して炭酸ガス源を供給し、炭酸ガス固定化コンクリートを得た後、アルカリ供給材から放出されるアルカリ成分によって、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化する。
【0094】
炭酸ガス固定化コンクリートは強制的に炭酸化されているため、炭酸ガス固定化コンクリートにおける炭酸化している部分では、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している。一方、炭酸ガス固定化コンクリート内のアルカリ供給材には、セメント材料から硬化物を生成するための水和反応に参加しなかった未反応のカルシウム成分や、水和反応に無関係のナトリウム成分、カリウム成分など、水と反応するとアルカリ成分である水酸化物イオンを放出する様々な成分が含まれている。
【0095】
そして、アルカリ供給材に含まれるこれら成分が炭酸ガス固定化コンクリート内の水分と反応することで、アルカリ供給材からアルカリ成分である水酸化物イオンが放出される。炭酸ガス固定化コンクリート中に存在するアルカリ供給材から放出された水酸化物イオンは、炭酸ガス固定化コンクリートが中性化している部分を再アルカリ化する。
【0096】
また、アルカリ供給材中に上記の成分が存在する限り、水との反応によって、アルカリ供給材から水酸化物イオンを放出し続けることができる。このように、アルカリ供給材は、長期間に亘ってアルカリ成分を放出できる。そのため、長期間に亘って、再アルカリ化に伴うアルカリ性を維持できる。
【0097】
このように、本実施形態のコンクリートの炭酸ガス固定化再アルカリ化方法によって、コンクリートに対する炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0098】
以上説明した第3実施形態によれば、炭酸ガス固定化工程S2において、硬化工程後に強制炭酸化工程を行っても、炭酸ガスを強制的に固定化し、かつ、炭酸ガスを固定化したコンクリートを簡便な方法で再アルカリ化して、炭酸ガスの固定化と再アルカリ化に伴うアルカリ性の長期間維持とを達成できる。
【0099】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本開示の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例0100】
次に、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0101】
(実施例1~5)
上記した第3実施形態の炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの製造方法に基づいて、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを製造した。具体的には、表1に示すフレッシュコンクリートを打設して脱型後、強制炭酸化工程を行った。強制炭酸化工程の条件は、温度50℃、湿度50%RH、二酸化炭素濃度80%、強制炭酸化時間を脱型後7日間とした。続いて、水中養生にて、再アルカリ化工程を行った。再アルカリ化工程の条件は、温度50℃、水中養生時間を14日、21日、28日間とした。こうして、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを得た。
【0102】
なお、フレッシュコンクリートに含まれるセメントは普通セメント、アルカリ供給材に含まれるセメント成分は普通セメント、アルカリ供給材に含まれる高炉スラグ微粉末はエスメントを用いた。
【0103】
続いて、得られた炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートについて、アルカリ性の評価を行った。具体的には、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを切断して横断面を切り出し、フェノールフタレイン試薬を炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの断面に噴霧した。続いて、フェノールフタレイン試薬を噴霧した断面をデジカメ画像で観察した。
図5は、アルカリ性の評価結果を示すデジカメ画像である。
図5に示すデジカメ画像において、薄い部分は中性化した部分であり、濃い部分(赤色部分)はアルカリ性の部分である。
【0104】
(比較例1)
アルカリ供給材を含まないフレッシュコンクリートを用いたこと以外は上記実施例と同様にして、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを得た。
【0105】
【0106】
上記実施例および比較例において、水中養生で得られた炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートについて、下記の測定および評価を行った。
【0107】
[1] 圧縮強度の評価
炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの圧縮強度を測定した結果を表2に示す。また、圧縮強度について、以下のランク付けをした。その結果を表1に示す。
【0108】
◎:材齢28日後の圧縮強度が24.0N/mm2以上。
×:材齢28日後の圧縮強度が24.0N/mm2未満。
【0109】
【0110】
[2] 収縮量の評価
炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートの収縮量を測定した結果を表3に示す。また、収縮量について、以下のランク付けをした。その結果を表1に示す。
【0111】
◎:材齢182日の収縮量が800×10-6以下。
〇:材齢182日の収縮量が800×10-6超1000×10-6以下。
×:材齢182日の収縮量が1000×10-6超。
【0112】
【0113】
[3] 再アルカリ後の中性化深さ
炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリート表面からの中性化深さを測定した。その結果を表1に示す。
【0114】
[4] 再アルカリ化
アルカリ供給材による再アルカリ化の有無を評価した。その結果を表1に示す。
【0115】
◎:アルカリ供給材による再アルカリ化がみられた。
×:アルカリ供給材による再アルカリ化がみられなかった。
【0116】
[5] 総合評価
上記評価に基づき、総合評価について、以下のランク付けをした。その結果を表1に示す。
【0117】
◎:全ての評価が◎であった。
〇:×がなく、かつ、1つ以上の○があった。
×:1つ以上の×があった。
【0118】
上記のように、実施例1~5では、アルカリ供給材を含むフレッシュコンクリートを用いたため、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化できたことから、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを製造することができた。一方、比較例1では、アルカリ供給材を含まないフレッシュコンクリートを用いたため、アルカリ供給材による再アルカリ化ができなかった。
【0119】
また、上記実施例1~5では、強制炭酸化後に水中養生で再アルカリ化工程を行ったが、強制炭酸化後に封緘養生で再アルカリ化工程を行った場合、強制炭酸化後に水をかけて再アルカリ化工程を行った場合、強制炭酸化後に水をかけ、続いて封緘養生で再アルカリ化工程を行った場合についても、実施例1~5と同様に、炭酸ガス固定化コンクリートを再アルカリ化できたことから、炭酸ガス固定化再アルカリ化コンクリートを製造することができた。