(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097222
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】電着塗装用塗料、電着塗装用塗料の製造方法、絶縁材、及び絶縁材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 179/08 20060101AFI20230630BHJP
C09D 5/44 20060101ALI20230630BHJP
C09D 101/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
C09D179/08
C09D5/44 B
C09D101/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213468
(22)【出願日】2021-12-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、林野庁 木材のマテリアル利用技術開発のうち新素材製造・利用技術開発事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501186173
【氏名又は名称】国立研究開発法人森林研究・整備機構
(71)【出願人】
【識別番号】521166319
【氏名又は名称】株式会社リグノマテリア
(71)【出願人】
【識別番号】518314464
【氏名又は名称】合同会社Hide Technology
(71)【出願人】
【識別番号】521568580
【氏名又は名称】山下 俊
(71)【出願人】
【識別番号】521568904
【氏名又は名称】小林 亜由美
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見正 大祐
(72)【発明者】
【氏名】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】山下 俊
(72)【発明者】
【氏名】小林 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】菊池 英行
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜彦
(72)【発明者】
【氏名】大橋 康典
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038BA252
4J038DJ021
4J038JB01
4J038MA07
4J038MA10
4J038NA01
4J038PA04
4J038PA19
4J038PB07
4J038PC02
(57)【要約】
【課題】均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる、電着塗装用塗料、電着塗装用塗料の製造方法、絶縁体、及び絶縁体の製造方法の提供。
【解決手段】リグニン系化合物と、有機溶剤と、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有する電着塗装用塗料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグニン系化合物と、
有機溶剤と、
ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有する電着塗装用塗料。
【請求項2】
前記ポリイミド前駆体系化合物が、ポリイミド前駆体、ポリエステルイミド前駆体、ポリエーテルイミド前駆体、及びポリアミドイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の電着塗装用塗料。
【請求項3】
前記ポリイミド系化合物が、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の電着塗装用塗料。
【請求項4】
前記ポリイミド前駆体系化合物を粒子として含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電着塗装用塗料。
【請求項5】
前記リグニン系化合物の含有量が、全固形分に対して、5質量%以上75質量%以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電着塗装用塗料。
【請求項6】
ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、リグニン系化合物並びに有機溶剤Aを含有する溶液と、有機溶剤Bと、を混合して、前記ポリイミド前駆体系化合物、及び前記ポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子を含有する粒子分散液を得る工程と、
前記粒子分散液と、アミン化合物と、を混合する工程と、を含む電着塗装用塗料の製造方法。
【請求項7】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電着塗装用塗料の硬化膜を含む絶縁材。
【請求項8】
リグニン系化合物、及びポリイミド系化合物を含有する絶縁材。
【請求項9】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電着塗装用塗料を電着塗装して塗膜を形成する第1の工程と、
前記塗膜を焼成する第2の工程と、を有する絶縁材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着塗装用塗料、電着塗装用塗料の製造方法、絶縁材、及び絶縁材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、第5世代(5G)移動通信システム等で用いられる絶縁材は、高温条件下で使用されることがあり、耐熱性が要求されることがある。そして、近年、例えば複雑な形状を有する導体の表面に対して、絶縁材を塗工する技術も要求されている。
これらの要求に応じて、耐熱性を有する樹脂を電着塗装する技術が開発されている。
【0003】
例えば、ポリイミド前駆体を含有する溶液に、ポリイミド前駆体の貧溶媒及び水を添加して得られた水系電着塗装用塗料を用いて電着塗装を行うことで塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することでポリイミド膜とする方法が開示されている。(例えば、特許文献1~3を参照)。
【0004】
例えば、ポリイミド前駆体に変えて、シロキサン結合を有するアニオン性のポリイミドなどを含有する電着塗装用塗料を用いた方法が開示されている(例えば、特許文献4~6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49-52252号公報
【特許文献2】特開昭52-032943号公報
【特許文献3】特許第2037962号公報
【特許文献4】特許第3089195号公報
【特許文献5】特開2005-162954号公報
【特許文献6】特許第5555063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、電気自動車、第5世代(5G)移動通信システム等の技術の発展に伴い耐熱性を有する樹脂を用いて、均一性が高く、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる電着塗装用塗料の開発が求められている。
【0007】
そこで本発明の課題は、均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる、電着塗装用塗料、及び電着塗装用塗料の製造方法、並びに当該電着塗装用塗料を用いて得られる絶縁材、及び当該電着塗装用塗料を用いる絶縁材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち
<1> リグニン系化合物と、
有機溶剤と、
ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有する電着塗装用塗料。
<2> 前記ポリイミド前駆体系化合物が、ポリイミド前駆体、ポリエステルイミド前駆体、ポリエーテルイミド前駆体、及びポリアミドイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種である<1>に記載の電着塗装用塗料。
<3> 前記ポリイミド系化合物が、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種である<1>又は<2>に記載の電着塗装用塗料。
<4> 前記ポリイミド前駆体系化合物を粒子として含む<1>~<3>のいずれか1つに記載の電着塗装用塗料。
<5> 前記リグニン系化合物の含有量が、全固形分に対して、5質量%以上75質量%以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の電着塗装用塗料。
<6> ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、リグニン系化合物並びに有機溶剤Aを含有する溶液と、有機溶剤Bと、を混合して、前記ポリイミド前駆体系化合物、及び前記ポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子を含有する粒子分散液を得る工程と、
前記粒子分散液と、アミン化合物と、を混合する工程と、を含む電着塗装用塗料の製造方法。
<7> <1>~<5>のいずれか1つに記載の電着塗装用塗料の硬化膜を含む絶縁材。
<8> リグニン系化合物、及びポリイミド系化合物を含有する絶縁材。
<9> <1>~<5>のいずれか1つに記載の電着塗装用塗料を電着塗装して塗膜を形成する第1の工程と、
前記塗膜を焼成する第2の工程と、を有する絶縁材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる、電着塗装用塗料、及び電着塗装用塗料の製造方法、並びに当該電着塗装用塗料を用いて得られる絶縁材、及び当該電着塗装用塗料を用いる絶縁材の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例及び比較例に使用した電着装置例を示す模式的図である。
【
図2】本発明の実施例及び比較例で得られた電着サンプルの塗膜の10%質量減少温度の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
<電着塗装用塗料>
本実施形態に係る電着塗装用塗料(以下、「本実施形態に係る塗料」ともいう)は、リグニン系化合物と、有機溶剤と、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有する。
【0014】
本実施形態に係る塗料は、上記構成により、均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる、電着塗装用塗料となる。その理由は、次の通り推測される。
【0015】
本実施形態に係る塗料は、リグニン系化合物と、有機溶剤と、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有する。ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物は電気的に陰性となりやすい。具体的には、例えば、ポリイミド前駆体系化合物が含有するカルボキシ基が、プロトンを失うことでポリイミド前駆体化合物は負電荷を帯びる。そのため、電着塗装の際、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物は正極に向かって電気泳動する。そして、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物が正極で酸化されることで電荷を失うと、正極上でポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の凝集が起こり、塗膜が形成される。
また、リグニン系化合物は、電着塗装の際、正極の表面の濡れ性を向上する。そのため、正極上でポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の凝集が生じやすくなり、そして正極上でのポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の凝集が促進される。
【0016】
そのため、本実施形態に係る電着塗装用塗料は均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られると推測される。
【0017】
(リグニン系化合物)
リグニン系化合物とは、自然界に存在する天然のリグニン(以下、単にリグニンと称する)に対して、何らかの化学修飾を施して構造を変化させたものをいう。
【0018】
リグニン系化合物としては、例えば、グリコールリグニン等が挙げられる。
【0019】
-グリコールリグニン-
グリコールリグニンとは、リグニンの少なくとも一部が、後述するグリコール化合物から少なくとも1つのヒドロキシ基を除いた残基で置換されている化合物をいう。
つまり、グリコールリグニンは、後述のグリコール化合物で誘導体化された化合物である。
【0020】
グリコールリグニンの誘導体化に用いられるグリコール化合物としては、グリコールのみに限定されず、1分子内にヒドロキシ基を1個以上有するアルコールを含む。
グリコール化合物としては、例えば、1分子内にヒドロキシ基を1個以上有するアルコールが挙げられる。
1分子内にヒドロキシ基を1個以上3個以下有するアルコールであることが好ましく、1分子内にヒドロキシ基を2個以上3個以下有するアルコールであることが好ましく、1分子内にヒドロキシ基を2個有するアルコールであることがより好ましい。
【0021】
1分子内にヒドロキシ基を1個有するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。
グリコール化合物としては、1分子内にヒドロキシ基を2個有するアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール;ポリアルキレングリコール;ポリグリセリン;等が挙げられる。
1分子内にヒドロキシ基を3個有するアルコールとしては、例えば、グリセリン;グリセリンにアルキレンオキサイドを付加重合した化合物等が挙げられる。
また、グリコール化合物としては、例えば、ポリグリセリンを用いてもよい。
【0022】
得られるグリコールリグニンの特性およびグリコール化合物としての取り扱いの容易性の観点から、グリコール化合物としてはポリアルキレングリコールを用いることが好ましい。
ここで、ポリアルキレングリコールとは、アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合した化合物である。
【0023】
ポリアルキレングリコールとしては、アルコールに炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイドを付加重合した化合物であることが好ましく、アルコールに炭素数2以上3以下のアルキレンオキサイドを付加重合した化合物であることがより好ましく、アルコールに炭素数2のアルキレンオキサイドを付加重合した化合物であることが更に好ましい。
【0024】
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられ、得られるグリコールリグニンの特性およびグリコール化合物としての取り扱いの容易性の観点から、ポリエチレングリコールであることが好ましい。
【0025】
ポリアルキレングリコールの分子量としては、200以上2000以下であることが好ましく、200以上1000以下であることが好ましく、200以上700以下であることがさらに好ましい。
【0026】
グリコールリグニンは耐熱性を有していることが好ましい。
ここで、耐熱性を有しているとは、TG-DTAなどの重量熱分析装置で10℃/minの昇温速度で加熱していき、10%質量減少を示した温度が200℃以上であることを指す。
【0027】
グリコールリグニンは、例えば、グリコール化合物を溶媒として用い、リグノセルロースを触媒の存在下で加溶媒分解した後、得られた反応溶液からグリコールリグニンを分離することで得られる。
【0028】
加溶媒分解時の反応条件としては特に限定されないが、例えば、110℃~180℃の反応温度で、60分間~240分間撹拌することが好ましい。
ここで、リグノセルロースとは、セルロース、ヘミセルロース、及びリグニンを含有する有機物である。
触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの酸が挙げられる。
【0029】
グリコールリグニンを分離する方法としては、例えば、加溶媒分解後の反応溶液をアルカリ性とすることで、固形分を析出させ、グリコールリグニンを含む溶液である上澄みを回収した後、回収した上澄みを酸性とすることでグリコールリグニンを沈殿させ、グリコールリグニンが沈殿した溶液をろ過することでグリコールリグニンを得る方法が挙げられる。
【0030】
グリコールリグニンの製造方法としては、例えば、特開2017-197517号公報に記載された方法が挙げられる。
【0031】
均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる塗料とする観点から、リグニン系化合物の含有量は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物の合計に対し、5質量%以上200質量%以下であることが好ましく、10質量%以上150質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上75質量%以下であることが更に好ましい。
【0032】
均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる塗料とする観点から、リグニン系化合物の含有量は、全固形分に対して、5質量%以上75質量%以下であることが好ましく、10質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上50質量%以下であることが更に好ましい。
【0033】
(有機溶剤)
有機溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、非プロトン性極性溶剤、芳香族炭化水素、石油系溶剤等が挙げられる。
【0034】
エーテル系溶剤は、一分子中にエーテル結合を持つ溶剤である。
エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0035】
ケトン系溶剤は、一分子中にケトン基を持つ溶剤である。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0036】
アルコール系溶剤は、一分子中にアルコール性水酸基を持つ溶剤である。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールのモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールのモノアルキルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、グリセリン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0037】
非プロトン性極性溶剤は、極性が高く酸性水素をもたない溶媒のことである。
非プロトン性極性溶剤として、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチレンホスホルアミド(HMPA)、N-メチルカプロラクタム、N-アセチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N,N’-ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が挙げられる。
【0038】
芳香族炭化水素は、芳香族環を有する炭化水素化合物である。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。
【0039】
石油系溶剤は、芳香族炭化水素以外の炭化水素化合物である。
石油系溶剤としては、ペンタン、オクタン、ヘキサン、デカン等が挙げられる。
【0040】
有機溶媒としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
有機溶剤の含有量は、電着塗装用塗料全体に対して、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上85質量%以下であることが更に好ましい。
【0042】
有機溶剤は、2種以上を混合した混合溶液であることが好ましい。
有機溶剤は、後述する、有機溶剤Aと、有機溶剤Bと、の混合溶液であることが好ましい。
有機溶剤中の、有機溶剤Aに対する有機溶剤Bの比(有機溶剤B/有機溶剤A)は、質量基準で、1.0以上4.0以下であることが好ましく、2.0以上4.0以下であることがより好ましく、3.0以上3.75以下であることが更に好ましい。
【0043】
(ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物)
塗料は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する。
ここで、ポリイミド前駆体系化合物とは、-CO-NH-結合および-COOH基を有する構成単位を含み、熱イミド化又は化学イミド化することにより、-CO-NH-結合および-COOH基を閉環してポリイミドとすることができる重合体をいう。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。
また、ポリイミド系化合物とは、構成単位にイミド結合を有する重合体をいう。
【0044】
-ポリイミド前駆体系化合物-
ポリイミド前駆体系化合物は、具体的には、ポリイミド前駆体、ポリエステルイミド前駆体、ポリエーテルイミド前駆体、及びポリアミドイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ここで、ポリエステルイミド前駆体とは、ポリイミド前駆体系化合物のうち、-CO-NH-結合および-COOH基を有する構成単位にエステル基を含むものをいう。
ポリエーテルイミド前駆体とは、ポリイミド前駆体系化合物のうち、-CO-NH-結合および-COOH基を有する構成単位にエーテル基を含むものをいう。
ポリアミドイミド前駆体とは、ポリイミド前駆体系化合物のうち、-CO-NH-結合および-COOH基を有する構成単位にアミド基を含むものをいう。
【0045】
・ポリイミド前駆体
ポリイミド前駆体について説明する。
ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。
【0046】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。
芳香族系テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
【0047】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-8-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0048】
ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。
【0049】
ジアミン化合物としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、4,4
’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,5-ジアミノ-3’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5-ジアミノ-4’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,7-ジアミノフルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノ-5,5’-ジメトキシビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)-ビフェニル、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1-メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4-ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]-ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
【0050】
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
【0051】
・ポリエステルイミド前駆体
ポリエステルイミド前駆体について説明する。
ポリエステルイミド前駆体は、エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。
テトラカルボン酸二無水物が含有するエステル基の数は、特に限定されないが、1つ以上4つ以下であることが好ましく、2つ以上3つ以下であることがより好ましく、2つであることが更に好ましい。
【0052】
エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物は、トリカルボン酸無水物及びジオールを反応させて得たものであることが好ましい。
具体的には、例えば、下記式(1)で示されるものであることが好ましい。
【0053】
【0054】
式(1)中、Xはそれぞれ独立に3価の有機基を示し、Yは2価の有機基を示す。
【0055】
式中、Xはトリカルボン酸無水物よりカルボキシ基、及び1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基を除いたその残基であり、Yはジオールから2つのヒドロキシル基を除いたその残基である。
【0056】
エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、トリカルボン酸無水物としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0057】
エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコール、等の脂環式ジオール;キシリレングリコール等の芳香族ジオール;2価のアルコールにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)を付加重合させたポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0058】
エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、ジアミン化合物の例示は、既述のものと同一である。
【0059】
・ポリエーテルイミド前駆体
ポリエーテルイミド前駆体について説明する。
ポリエーテルイミド前駆体は、エーテル結合を有するテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。
テトラカルボン酸二無水物が含有するエーテル基の数は、特に限定されないが、1つ以上4つ以下であることが好ましく、2つ以上3つ以下であることがより好ましく、2つであることが更に好ましい。
エーテル結合を有するテトラカルボン酸二無水物は、例えば、下記式(2)で示されるものであることが好ましい。
【0060】
【0061】
式(2)中、Zは-O-又は式-O-A-O-であり、-O-または-O-A-O-は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位置にある。Aは下記式(3-1)~(3-3)で示されるもののうちいずれか1つである。
【0062】
【0063】
式(3-1)~(3-3)中、R1~R16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲノ基、又は炭素数1以上4以下の直鎖若しくは分枝の炭化水素基であり、Dは-O-、-S-、-C(O)-、-SO2-、-SO-、又は炭素数1以上5以下の直鎖若しくは分枝鎖アルキレン基であり、*は結合を示す。
【0064】
エーテル結合を有するテトラカルボン酸二無水物としては、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル-2,2-プロパン二無水物、4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物および4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)-4’-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物等が挙げられる。
【0065】
エーテル結合を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、ジアミン化合物の例示は、既述のものと同一である。
【0066】
・ポリアミドイミド前駆体
ポリアミドイミド前駆体について説明する。
ポリアミドイミド前駆体は、アミド結合を有するテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。
テトラカルボン酸二無水物が含有するアミド基の数は、特に限定されないが、1つ以上4つ以下であることが好ましく、2つ以上3つ以下であることがより好ましく、2つであることが更に好ましい。
【0067】
アミド基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、ジアミン化合物としては、既述のものと同一であることが好ましい。
アミド基を有するテトラカルボン酸二無水物は、(1)トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを反応、又は(2)トリメリット酸無水物クロライド等のトリカルボン酸無水物の酸塩化物とジアミン化合物とを反応させて得たものであることが好ましい。
具体的には、例えば、下記式(4)で示されるものであることが好ましい。
【0068】
【0069】
式(4)中、X2はそれぞれ独立に3価の有機基を示し、Y2は2価の有機基を示す。
【0070】
式中、X2はトリカルボン酸無水物よりカルボキシ基、及び1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基を除いたその残基、又はトリカルボン酸無水物の酸塩化物より-COOCl基、及び1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基を除いたその残基であり、Yはジイソシアネートから2つのイソシアネート基を除いたその残基、又はジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
【0071】
アミド基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、トリカルボン酸無水物としては、例えば、上述のエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられるトリカルボン酸無水物と同様のものが挙げられる。
また、トリカルボン酸無水物の酸塩化物としては、例えば、上述のエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられるトリカルボン酸無水物の酸塩化物が挙げられる。
【0072】
アミド基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられる、ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、o-トリジンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、4,4’-オキシビス(フェニルイソシアネート)、4,4’-ジイソシアネートジフェニルメタン、ビス[4-(4-イソシアネートフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2′-ビス[4-(4-イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
アミド基を有するテトラカルボン酸二無水物の合成に用いられるジアミン化合物としては、例えば、上述のポリイミド前駆体の合成に用いられるジアミン化合物と同一のものが挙げられる。
【0073】
-ポリイミド系化合物-
ポリイミド系化合物は、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、及びポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ポリイミド系化合物としては、上記ポリイミド前駆体系化合物をイミド化させて得られるポリイミドが挙げられる。
【0074】
-ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の分子量-
ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の数平均分子量は、5000以上100000以下であることがよく、より好ましくは10000以上70000以下、更に好ましくは20000以上50000以下である。
ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の数平均分子量を5000以上では、形成された皮膜の強度が向上しやすい。一方100000以下とすると塗料の高粘度化が抑制される。上記範囲とすると、柔軟性などの機械的物性が向上し、絶縁電線、絶縁部品の加工がしやすく、塗料化も容易である。
【0075】
ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法で測定される値である。
・カラム:Shodex LF-804
・カラム温度:50℃
・溶離液:NMPまたはDMFに臭化リチウムおよびリン酸を添加
・流速:1mL/min
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
【0076】
ポリイミド前駆体系化合物又はポリイミド系化合物の含有量は、電着塗装用塗料全体に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0077】
塗料は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を粒子として含むことが好ましく、ポリイミド前駆体系化合物を粒子(以下、樹脂粒子とも称する)として含むことがより好ましい。
塗料が、上記樹脂粒子を含有することで、電着塗装を行うことがより容易になる。
【0078】
-樹脂粒子中におけるポリイミド前駆体系化合物又はポリイミド系化合物の含有量-
ポリイミド前駆体系化合物又はポリイミド系化合物の含有量(濃度)は、樹脂粒子全体に対して、50質量%以上100質量%以下であることがよく、好ましくは60質量%以上98質量%以下、より好ましくは70質量%以上99質量%以下である。
【0079】
-樹脂粒子の粒径及び形状-
樹脂粒子の粒径としては、特に限定されないが、より保存安定性に優れた電着塗装用塗料とする観点から、0.001μm以上10μm以下であることが好ましく、0.005μm以上1.0μm以下であることがより好ましく、0.02μm以上0.6μm以下であることが更に好ましく、0.02μm以上0.3μm以下であることが特に好ましく、0.02μm以上0.2μm以下であることが最も好ましい。
樹脂粒子の形状については、特に限定されない。球状であっても、平板状であっても良い。
【0080】
樹脂粒子の粒径は、動的光散乱法により測定されるメジアン径(D50)のことであり、例えば、HORIBA社製のナノ粒子解析装置nano Partica SZ-100を用いて測定することができる。
【0081】
-樹脂粒子の含有量-
樹脂粒子の含有量は、電着塗装用塗料全体に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0082】
(アミン化合物)
塗料はアミン化合物を含有してもよい。
アミン化合物としては、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物が挙げられる。
【0083】
1級アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、2-エタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、などが挙げられる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などが挙げられる。
【0084】
アミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0085】
アミン化合物は、電着塗装の効率向上の観点から、電着塗装用塗料に含有される樹脂粒子全体に対して、0.2質量%以上40質量%以下であることがよく、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下である。
【0086】
アミン化合物は、電着塗装用塗料全体に対して、0.05質量%以上1000質量%以下であることがよく、好ましくは1質量%以上200質量%以下である。
【0087】
(その他の成分)
本実施形態に係る塗料は、本願発明の効果を妨げない範囲で、公知慣用の種々の塗料用添加剤を含有することができる。塗料用添加剤としては、例えば、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等が挙げられる。
【0088】
塗料を用いて得られる塗膜の耐放電摩耗性向上の観点からは、塗料はその他の成分として充填剤を含有することが好ましい。
ここで、充填剤としては、例えば、無機質充填剤及び有機質充填剤が挙げられる。無機質充填剤としては例えば、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、酸化チタン、焼成カオリン、アミノシランで表面処理した焼成カオリン、けいそう土、水酸化アルミニウム、微粒状アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ベンガラ、酸化鉄、煙霧状金属酸化物、石英粉末、タルク、ゼオライト、ベントナイト、ガラス繊維、炭素繊維、微粉マイカ、溶融シリカ粉末、シリカ微粉末、煙霧状シリカ、沈降性シリカ、湿式シリカ、乾式シリカあるいはこれらをメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクラメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理した疎水性フュームドシリカ、フタロシアニンブルー、カーボンブラック等が挙げられる。有機質充填剤としては例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリルシリコーンなどの合成樹脂粉末等が挙げられる。
【0089】
(水の含有量)
本実施形態に係る塗料は、塗料全体に対する、水の含有量が3質量%未満であることが好ましい。
より保存安定性に優れた電着塗装用塗料とする観点から、塗料全体に対する、水の含有量は、2質量%未満であることが好ましく、1.5質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることが更に好ましく、0.5質量%未満であることが最も好ましい。
塗料中に水は含有しないことが好ましいが、使用する有機溶剤の種類によっては、吸水作用を有することから、塗料全体に対する、水の含有量は0.1質量%以上であってもよい。
【0090】
水の含有量は、カールフィッシャー水分計を用いて測定される値である。
水の含有量の測定は、例えば、以下の条件で測定される。
カールフィシャー水分計:品名AQ-300、平沼産業株式会社製
カールフィッシャー気化装置:品名EV-2000、平沼産業株式会社製
カールフィッシャー試薬(発生液):品名アクアライト RS-A、平沼産業株式会社製
カールフィッシャー試薬(対極液):品名アクアライト CN、平沼産業株式会社製
測定サンプル投入量:1g
測定温度:23℃
測定時間:5分
【0091】
<電着塗装用塗料の製造方法>
本実施形態に係る塗料の製造方法は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、リグニン系化合物、並びに、有機溶剤Aを含有する溶液と、有機溶剤Bと、を混合して、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子を含有する粒子分散液を得る工程(以下、粒子分散工程とも称する)と、
前記粒子分散液と、アミン化合物と、を混合する工程(以下、仕上げ工程とも称する)と、
を含み、必要に応じて、更に他の工程を有していてもよい。
【0092】
上記他の工程として、粒子分散工程の前に、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに、有機溶剤Aを含有する溶液を調製する工程(以下、原料溶液調製工程とも称する)を含んでもよい。
また、仕上げ工程は、粒子分散工程と同時に行ってもよい。この場合、「ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、リグニン系化合物並びに有機溶剤Aを含有する溶液」又は「有機溶剤B」にアミン化合物を添加することが好ましい。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0093】
(原料溶液調製工程)
原料溶液調製工程は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物並びに有機溶剤Aを含有する溶液(以下、「原料溶液」とも称する)を調製する工程である。
ここで、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物は、既述のものと同一である。
有機溶剤Aは、ポリイミド前駆体系化合物を含有する樹脂粒子を製造する場合、ポリイミド前駆体系化合物を溶解する溶媒であることが好ましく、ポリイミド系化合物を含有する樹脂粒子を製造する場合、ポリイミド系化合物を溶解する溶媒であることが好ましく、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の両方を溶解する溶媒であることがより好ましい。
ここで、本実施形態において、「溶解する」とは、25℃において、ポリイミド前駆体系化合物又はポリイミド系化合物が有機溶剤Aに対して90質量%以上の範囲内で溶解することをいう。
有機溶剤Aは、具体的には、例えば、既述の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
【0094】
原料溶液中における、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物の含有量は、原料溶液全体に対して、5質量%以上45質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上40質量%以下とすることがより好ましく、15質量%以上35質量%以下とすることが更に好ましい。
【0095】
原料溶液調製工程の具体的な方法としては、例えば、下記(1)又は(2)が挙げられる。
(1)有機溶剤A中において、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を合成する。
(2)有機溶剤A、別途調製されたポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を混合する。
【0096】
先ず、(1)有機溶剤A中において、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を合成する方法について説明する。
有機溶剤Aに対して、テトラカルボン酸二無水物誘導体(本実施形態において、既述の「テトラカルボン酸二無水物」、「エステル基を有するテトラカルボン酸二無水物」、「エーテル結合を有するテトラカルボン酸二無水物」、「アミド結合を有するテトラカルボン酸二無水物」を指す)及びジアミン化合物を加え、撹拌しながら反応させることでポリイミド前駆体系化合物を合成する。ポリイミド系化合物を合成する場合、上記手順で得られたポリイミド前駆体系化合物を撹拌しながらイミド化させることでポリイミド系化合物を合成する。そして、反応後の溶液を原料溶液とする。
【0097】
つづいて、(2)有機溶剤A、別途調製されたポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を混合する方法について説明する。
例えば、有機溶剤Aに対して、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、所望の含有量となる様に添加し、撹拌することで原料溶液を調製してもよい。
【0098】
(粒子分散工程)
粒子分散工程は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、リグニン系化合物並びに有機溶剤Aを含有する溶液と、有機溶剤Bと、を混合して、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子を含有する粒子分散液を得る工程である。
リグニン系化合物の添加により、樹脂粒子の凝集が促進される。
ここでリグニン系化合物は、既述のリグニン系化合物と同一である。
【0099】
有機溶剤Bは、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物を溶解しない溶剤であることが好ましい。
ここで本発明において「溶解しない」とは、25℃において、ポリイミド前駆体系化合物及びポリイミド系化合物が有機溶剤Bに対して3質量%以下の範囲内で溶解することも含む。
有機溶剤Bとしては、例えば、既述のエーテル系溶剤、既述のケトン系溶剤、既述のアルコール系溶剤等が挙げられる。
【0100】
以下、粒子分散工程についてより詳細に説明する。
原料溶液(又は、必要に応じて、原料溶液に対して有機溶剤Aを添加して希釈した原料溶液。以下同様とする。)を0℃以上50℃以下の温度条件下で撹拌しながら、原料溶液に対し、有機溶剤Bを添加する。原料溶液中に溶解している、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が、溶液中で析出し粒状となることでポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子となる。これにより、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子、有機溶剤A、及び有機溶剤Bを含有する粒子分散液を得る。
【0101】
原料溶液の撹拌方法としては、特に限定されず、公知の撹拌装置等を用いて行うことができる。撹拌装置としては、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー等を用いることができる。
原料溶液の撹拌条件としては、例えば、撹拌装置としてマグネチックスターラー(例えば、KPI社製、Mighty Magnetic Stirrer UM-24G)を用いた場合、回転数を120rpm以上、撹拌時間を30分以上とすることが好ましい。また、例えば、撹拌装置としてホモジナイザー(例えば、IKA社製T18 Ultra TurraX)を用いた場合、回転数を2000rpm以上、攪拌時間を10分以上とすることが望ましい。
【0102】
有機溶剤Bの添加量は、樹脂粒子が得られる量であれば特に限定されないが、例えば、粒子分散液中全体に対し、50質量%以上90質量%以下となる様に添加することが好ましく、55質量%以上85質量%以下となる様に添加することがより好ましく、60質量%以上80質量%以下となる様に添加することが更に好ましい。
リグニン系化合物は、樹脂粒子に対するリグニン系化合物の含有量及び全固形分に対するリグニン系化合物の含有量が、既述の量となる様に添加することが好ましい。
【0103】
(仕上げ工程)
仕上げ工程は、粒子分散液と、アミン化合物と、を混合する工程である。アミン化合物の添加により、塗料が含有する樹脂粒子が電気的に陰性となりやすくなる。そのため、本実施形態に係る塗料は、電着塗装を行うことができる。粒子分散液と、アミン化合物と、を混合する方法は特に限定されず、例えば、粒子分散液を撹拌しながらアミン化合物を添加する方法が挙げられる。
ここでアミン化合物は、既述のアミン化合物と同一である。
【0104】
アミン化合物は、電着塗装用塗料全体に対するアミン化合物の含有量及び樹脂粒子全体に対するアミン化合物の含有量が、既述の量となる様に添加することが好ましい。
【0105】
ここで、本実施形態に係る塗料の製造方法は、上述の方法以外の方法でもよい。
例えば、単に、有機溶剤、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子、リグニン系化合物、アミン化合物を混合する方法でもよい。
ただし、より均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる電着塗装用塗料とする観点から、本実施形態に係る塗料の製造方法は、上述の通り、粒子分散工程と、仕上げ工程と、を含む製造方法であることが好ましい。
【0106】
つまり、本実施形態に係る塗料は、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、リグニン系化合物並びに有機溶剤Aを含有する溶液と、有機溶剤Bと、を混合して、ポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する樹脂粒子、リグニン系化合物、有機溶剤A、並びに有機溶剤Bを含有する粒子分散液を得る工程と、粒子分散液と、アミン化合物と、を混合する工程と、を経て得られた塗料であることが好ましい。
【0107】
<絶縁材の製造方法>
本実施形態に係る絶縁材の製造方法は、電着塗装用塗料を電着塗装して塗膜を形成する第1の工程と、塗膜を焼成する第2の工程と、を有し、必要に応じて、更に他の工程を有していてもよい。本実施形態に係る絶縁材の製造方法は、電着塗装用塗料を電着塗装して塗膜を形成する第1の工程と、塗膜を乾燥した後、焼成する第2の工程と、を有することが好ましい。
以下に各工程の詳細について説明する。
【0108】
(第1の工程)
第1の工程は、電着塗装用塗料を電着塗装して塗膜を形成する工程である。
電着塗装の方法は、特に限定されず、公知の電着塗装方法を用いることができる。例えば、被塗物を陽極とし、陰極との間に、1V以上400V以下の電圧を印加して行なうことが好ましい。電着塗装時の塗料の温度は、例えば、10℃以上45℃であることが好ましい。
【0109】
被塗物については、特に限定されないが、例えば、板状の導体、棒状の導体、コイル状の導体、不定形の導体等が挙げられる。
被塗物の材質については、電気を通じるものであれば特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス等の金属、前記金属の合金、カーボン、などが挙げられる。
また、被塗物は、導体の表面にニッケル等のめっきを有するものでもよい。
【0110】
形成される電着塗膜の膜厚は特に限定されるものではなく、用途や被塗装物の種類に応じて5μm以上100μm以下等の範囲で適宜決定することができる。
【0111】
図1に、電着塗装に用いられる電着装置100の一例を示す。
ステンレス製容器10は、塗料11を収容する。
ステンレス製容器10の上部には、ガラス製容器蓋12が備えられている。
ガラス製容器蓋12を介して、ステンレス製容器10内に管16及び管17が通されており、管16から、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)が吹き込まれ、管17からステンレス製容器10の外へ流出する。
直流電源13は、負極14及び正極15に接続され、各電極の間に電圧を印加する。
【0112】
各電極の間に電圧を印加することで、塗料11に含有されるポリイミド前駆体系化合物、及びポリイミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、樹脂成分とも称する)が電気泳動し正極15に向かう。樹脂成分が正極15で酸化されることで電荷を失うと、正極15表面で樹脂成分の凝集が起こり、塗膜が形成される。
【0113】
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程を経て得られた塗膜を焼成する工程である。
【0114】
第2工程は、塗膜の焼成前に、塗膜を乾燥させることが好ましい。
塗膜の乾燥は、例えば、加熱乾燥、自然乾燥、真空乾燥等の方法により乾燥させる方法が挙げられ、製造効率化の観点から、加熱乾燥が好ましい。
加熱乾燥の条件は、塗膜の膜厚等に応じて適宜変更することが好ましいが、例えば、70℃以上120℃以下で、20分間以上300分間以下の条件で乾燥させることが好ましく、20分間以上120分間以下の条件で乾燥させることがより好ましい。
【0115】
乾燥後の塗膜の焼成は、150℃以上400℃以下(好ましくは300℃付近以下)で、20分間以上120分間以下焼成することが挙げられる。
ポリイミド前駆体系化合物を含有する樹脂粒子を含む電着塗装用塗料を用いて塗膜を得た場合、当該焼成によりイミド化を進行させることが好ましい。
焼成は、段階的に昇温させて行ってもよい。
焼成における加熱方法は、ヒーター加熱、熱風加熱、誘電加熱などが挙げられる。
【0116】
<絶縁材>
本実施形態に係る絶縁材は、本実施形態に係る電着塗装用塗料の硬化膜を含む。電着塗装用塗料の詳細については上述の通りであるので、ここでの説明を省略する。
本実施形態に係る絶縁材は、任意の方法を選択して製造されてもよく、中でも、以上の工程を経て製造されることが好ましい。
【0117】
本実施形態に係る絶縁材は、リグニン系化合物、及びポリイミド系化合物を含有する。
絶縁材がポリイミド系化合物と共にリグニン系化合物を含有することで、厚さが均一な絶縁材となりやすい。
ここで、リグニン系化合物及びポリイミド系化合物は上述のものと同様のものが挙げられる。
【0118】
リグニン系化合物の含有量は、絶縁材全体に対して、0質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
ポリイミド系化合物含有量は、絶縁材全体に対して、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
【0119】
絶縁材は、リグニン系化合物及びポリイミド系化合物以外の他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、電着塗装用塗料に含有されている成分(ポリイミド前駆体系化合物、有機溶剤、アミン化合物等)、充填剤、可塑剤等が挙げられる。
【0120】
絶縁材の形状は特に限定されないが、本実施形態に係る絶縁材は電着塗装によって製造することが好ましい観点から、被塗物の形状に沿った形状であることが好ましい。
絶縁材の膜厚は特に限定されないが、5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上150μm以下であることがより好ましく、15μm以上100μm以下であることが更に好ましい。
【0121】
上記製造方法で得られる絶縁材は、例えば、絶縁電線、絶縁部品、移動通信機器(第5世代(5G)を含む)、フィルムなどの用途に適用できる。
【実施例0122】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0123】
<実施例1>
(原料溶液調製工程)
撹拌機と温度計を備えた0.3Lの3つ口セパラブルフラスコに、アミン成分として4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)10.01g(0.050mol)と有機溶剤AとしてN-メチルピロリドン(NMP)123.0gを仕込み、窒素を流入させ撹拌しながら溶解させた。次に、酸成分として無水ピロメリット酸(PMDA)10.91g(0.050mol)を徐々に添加しながら撹拌を行い、ポリイミド前駆体溶液全体に対する、ポリイミド前駆体の含有量が14.5質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0124】
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにリグニン系化合物として改質リグニンPEG400(分子量400のポリエチレングリコールで誘導体化されたグリコールリグニン、1gあたり5.99mmolの水酸基を含有(以下同様とする))を0.13g(0.80mmol水酸基当量(「mmol水酸基当量」は、リグニン系化合物1g中に含有される水酸基のモル数から算出した、リグニン系化合物のモル数。以下同様とする。))、ポリイミド前駆体溶液を3.1g(ポリイミド前駆体モル数:1.1mmol)、及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを14g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で激しく撹拌を行った。5分ほど撹拌した後にその他の成分(充填剤)としてエスベンNE(株式会社ホージュン製)0.069gを添加しさらに5分ほど攪拌し、その後有機溶剤Bとしてテトラヒドロフラン(THF)50mLを、シリンジポンプを用いて30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてピリジン0.45g(5.7mmol)及びトリエチルアミン0.11g(1.0mmol)を撹拌しながら加えて、さらに30分間室温で撹拌して塗料を得た。なお、塗料に含有される微粒子の粒径は260nmであった。
【0125】
なお、リグニン系化合物1g中に含有される水酸基のモル数は、JIS K 0070(1992)に準じて測定した。
【0126】
<実施例2>
(原料溶液調製工程)
撹拌機と温度計を備えた0.3Lの3つ口セパラブルフラスコに、アミン成分として4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)18.00g(0.090mol)と有機溶剤AとしてN-メチルピロリドン(NMP)187.0gを仕込み、窒素を流入させ撹拌しながら溶解させた。次に、酸成分として無水ピロメリット酸(PMDA)9.804g(0.045mol)及び3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)13.22g(0.045mol)を徐々に添加しながら撹拌を行い、ポリイミド前駆体溶液全体に対する、ポリイミド前駆体の含有量が18.0質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
【0127】
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにリグニン系化合物として改質リグニンPEG400(分子量400のポリエチレングリコールで誘導体化されたグリコールリグニン)を0.18g(1.08mmol水酸基当量)、ポリイミド前駆体溶液を2.0g(ポリイミド前駆体モル数:0.79mmol)、及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを16.0g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で撹拌を行った。10分ほど撹拌した後に有機溶剤BとしてTHF60mLを、シリンジポンプを用いて流速30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてピリジン0.38g(4.8mmol)及びトリエチルアミン0.035g(0.35mmol)を撹拌しながら加えて、さらに30分間室温で撹拌して塗料を得た。
【0128】
<実施例3>
(原料溶液調製工程)
実施例2と同様の手順にてポリイミド前駆体溶液を得た。
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにリグニン系化合物として改質リグニンPEG400(分子量400のポリエチレングリコールで誘導体化されたグリコールリグニン)を0.11g(0.66mmol水酸基当量)、ポリイミド前駆体溶液を2.0g(ポリイミド前駆体モル数:0.79mmol)、及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを16.0g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で撹拌を行った。10分ほど撹拌した後に有機溶剤BとしてTHF60mLを、シリンジポンプを用いて流速30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてピリジン0.38g(4.8mmol)及びトリエチルアミン0.035g(0.35mmol)を撹拌しながら加えて、さらに30分間室温で撹拌して塗料を得た。
【0129】
<実施例4>
(原料溶液調製工程)
実施例2と同様の手順にてポリイミド前駆体溶液を得た。
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにリグニン系化合物として改質リグニンPEG400(分子量400のポリエチレングリコールで誘導体化されたグリコールリグニン)を0.36g(2.16mmol水酸基当量)、ポリイミド前駆体溶液を2.0g(ポリイミド前駆体モル数:0.79mmol)、及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを16.0g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で撹拌を行った。10分ほど撹拌した後に有機溶剤BとしてTHF60mLを、シリンジポンプを用いて流速30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてピリジン0.38g(4.8mmol)及びトリエチルアミン0.035g(0.35mmol)を撹拌しながら加えて、さらに30分間室温で撹拌して塗料を得た。
【0130】
<実施例5>
(原料溶液調製工程)
実施例2と同様の手順にてポリイミド前駆体溶液を得た。
【0131】
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにリグニン系化合物として改質リグニンPEG400(分子量400のポリエチレングリコールで誘導体化されたグリコールリグニン)を0.121g(0.72mmol)、充填剤としてベーマイトアルミナを分散したポリイミド前駆体溶液を4.24g(ポリイミド前駆体モル数:0.50mmol、ベーマイトアルミナ0.081g)、及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを30.1g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で撹拌を行った。10分ほど撹拌した後に有機溶剤BとしてTHF50mLを、シリンジポンプを用いて30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてピリジン0.492g(6.22mmol)、及びトリエチルアミン0.132g(1.30mmol)を撹拌しながら加えて、さらに30分間室温で撹拌して塗料を得た。
【0132】
<比較例1>
(原料溶液調製工程)
実施例1と同様の手順にてポリイミド前駆体溶液を得た。
【0133】
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにポリイミド前駆体溶液を3.1g(ポリイミド前駆体モル数:1.1mmol)及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを18.0g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で撹拌を行った。10分ほど撹拌した後に有機溶剤BとしてTHF30mLを、シリンジポンプを用いて流速30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてトリエチルアミン0.093g(0.92mmol)を撹拌しながら加えて、さらに10分間室温で撹拌して塗料を得た。
【0134】
<比較例2>
(原料溶液調製工程)
実施例2と同様の手順にてポリイミド前駆体溶液を得た。
(粒子分散工程、及び仕上げ工程)
100mLナスフラスコにポリイミド前駆体溶液を2.0g(ポリイミド前駆体モル数:0.79mmol)及び有機溶剤Aとして超脱水NMPを16.0g加えてナスフラスコに撹拌子を入れてマグネティックスターラーを用いて室温で撹拌を行った。10分ほど撹拌した後に有機溶剤BとしてTHF60mLを、シリンジポンプを用いて流速30mL/hで滴下しながら撹拌して微粒子化を行った。THFの滴下が終了した後に微粒子に負の電荷をもたせるためにアミン化合物としてピリジン0.38g(0.48mmol)及びトリエチルアミン0.030g(0.30mmol)を撹拌しながら加えて、さらに10分間室温で撹拌して塗料を得た。
【0135】
<電着及び乾燥・焼成>
ステンレスカップに各例で得た塗料を注ぎ込んだ。ステンレスカップ陰極とし、被塗物である銅板(幅10mm×縦120mm×厚さ0.5mm)を陽極として、直流安定化電源装置TEXIO PA250-0.42Bに接続した。銅板をステンレスカップに満たしてある塗料の中に入れて、下記条件で定電圧を印加し電着を行った。電着完了後は定温乾燥機(山田電機(株)製卓上型マッフル炉 Y-2025-P)に電着後の銅板を入れて60℃から20℃ずつ昇温していき240℃まで各温度で30分間焼成し、更に270℃に昇温し30分間焼成することで電着サンプルを得た。
【0136】
(電着条件)
実施例1及び実施例5:定電圧250Vを印加し2分間電着を行った。
実施例2、実施例3、実施例4、比較例1、及び比較例2:定電圧200Vを印加し5分間電着を行った。
【0137】
各例で得られた塗料又は電着サンプルについて、特性評価を実施した。その結果を表1に示す。
電着サンプルの塗膜の10%質量減少温度の測定結果を示すグラフを
図2に示す。なお、
図2中の「Lignin」は、粉末状の改質リグニンPEG400の10%質量減少温度の測定結果を示す。
【0138】
以下に評価方法を示す。
<評価>
(膜厚)
各例で得られた電着サンプルの塗膜の寸法を下記の通り測定した。
塗膜の膜厚を任意に3点測定し、その算術平均値を算出した。
ここで、塗膜の膜厚の測定はマイクロメータを用いて行った。
【0139】
(膜厚の均一性評価)
膜厚の均一性評価は、電着サンプルの厚さ方向と垂直な面(測定面)における膜厚を測定することによって行った。得られた電着サンプルの測定面の縦方向先端部から、縦方向に10mm離れた位置から15mmおきに5点における膜厚を測定した。その時の最大膜厚をTmax、最小膜厚をTminとし、これらの差ΔT(Tmax-Tmin)を算出した。また、5点の膜厚の測定値の算術平均値Taveを算出した。算術平均値Taveに対する、差ΔT(Tmax-Tmin)の百分率(%)([ΔT(Tmax-Tmin)/Tave]×100)を算出し、下記評価基準により膜厚の均一性評価を行った。
-評価基準-
A(〇):[ΔT(Tmax-Tmin)/Tave]×100<15
B(△):15≦[ΔT(Tmax-Tmin)/Tave]×100<30
C(×):30≦[ΔT(Tmax-Tmin)/Tave]×100
【0140】
(耐熱性評価)
各例で得られた電着サンプルの塗膜の耐熱性を評価した。なお、実施例1及び実施例5については、エスベンNE又はベーマイトアルミナを添加しなかったこと以外は同様の手順にて得られた電着サンプルを用いて評価した。
耐熱性の評価は、電着サンプル(又は、粉末状の改質リグニンPEG400)を加熱した際において、10%質量減少がみられた時の温度(10%質量減少温度)を測定することによって評価した。
10%質量減少温度の測定手順は次の通りである。
熱分析機器(TG-DTAのような精密な質量測定のできるもの)に測定サンプルを加え、室温より10℃/minで昇温し、600℃程度まで昇温し完全にサンプルを炭化させた。そして、昇温する前のサンプルの質量に対して、サンプルの質量が10%減少した温度を読み取って10%質量減少温度とした。
測定サンプルとしては吸湿を避けるためにも絶乾のサンプルを用いて測定、又は110℃で20~30分程度ホールドし、絶乾としたサンプルの質量を基準として測定した。
【0141】
(塗料の保存性の評価)
各例で得られた塗料を25℃で保管し、保存経過時間毎に塗料を取り出して、各例で同一の電着及び乾燥・焼成条件で塗膜を形成し、塗膜の伸びを計測、塗膜の伸び値が初期値の50%以下になった時点の保管時間を測定した。
【0142】
【0143】
これらの結果から、本発明に係る電着塗装用塗料は、均一性の高い膜厚を有し、かつ膜厚の大きい塗膜が得られる、電着塗装用塗料であることが分かる。