(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097278
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】重量計測装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20230630BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213543
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】楠 健志
(72)【発明者】
【氏名】福成 英俊
(72)【発明者】
【氏名】西尾 崇志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB63
(57)【要約】
【課題】 計測した重量に関する情報を、重量の計測時に、リアルタイムで送信できるとともに、電力消費を低減できる重量計測装置の提供。
【解決手段】 重量計測システム100は、重量計測装置110、及び、通信中継装置130を有している。重量計測装置110は、置配ボックスの底面に沿って配置される一方、通信中継装置130は、宅配の配達員Hによって保持される。配達員Hが荷物Lを配達しに来ると、重量計測装置110は、配達員Hを検知する。重量計測装置110は、配達員Hの検知を重量計測開始情報として、重量計測の準備に入る。重量計測装置110は、荷物Lの重量を計測すると、配達員Hが保持する通信中継装置130に、省電力無線通信を用いて、重量計測情報を送信する。配達員Hの通信中継装置130は、重量計測情報を取得すると、携帯電話通信を用いて、重量計測情報を所定の通信装置へ送信し、配達が完了したことを知らせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を検知する人検知部、
計測対象物載置部に載置される計測対象物の重量を計測する重量計測部、
前記計測対象物が計測した前記計測対象物の重量に基づき生成される計測対象物検知情報を送信する送信部、
前記人検知部が前記人を検知すると、前記重量計測部における重量の計測を開始し、前記重量計測部において重量が計測されると、計測した前記重量に基づき計測対象物検知情報を生成し、前記重量計測部において重量が計測された後、前記計測対象物重量計測部の重量の計測を終了し、生成した前記計測対象物検知情報を、前記送信部を介して、所定の通信装置へ送信する制御部、
を有する重量計測装置。
【請求項2】
計測対象物載置部に載置される計測対象物の重量を計測する重量計測部、
前記計測対象物を前記計測対象物載置部に載置した際に生ずる重量の微分変化を検知する重量微分検知部、
前記計測対象物が計測した前記計測対象物の重量に基づき生成される計測対象物検知情報を送信する送信部、
前記重量変化検知部が前記重量の微分変化を検知すると、前記重量計測部における重量の計測を開始し、前記重量計測部において重量が計測されると、前記計測対象物検知情報を生成し、前記重量計測部において重量が計測された後、前記計測対象物重量計測部の重量の計測を終了し、生成した前記計測対象物検知情報を、前記送信部を介して、所定の通信装置へ送信する制御部、
を有する重量計測装置。
【請求項3】
請求項1、又は、請求項2に係る重量計測装置において、
前記制御部は、
前記計測対象物検知情報を、前記所定の通信装置へ送信する通信中継装置であって、周囲に存在するものに、前記計測対象物検知情報を送信すること、
を特徴とする重量計測装置。
【請求項4】
請求項3に係る重量計測装置において、
前記送信部は、
前記人検知部が検知した前記人が有する前記通信中継装置に対して、前記計測対象物検知情報を送信すること、
を特徴とする重量計測装置。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれかに係る重量計測装置において、
前記送信部は、
省電力無線を用いて、前記計測対象物検知情報を送信すること、
を特徴とする重量計測装置。
【請求項6】
計測対象物の重量を計測し、計測した重量に関する計測対象物検知情報を送信する重量計測装置から、省電力無線通信を用いて、前記計測対象物検知情報を受信する省電力無線通信部、
受信した前記計測対象物検知情報を、予め定められた通信装置に対して、中継送信する通信部、
を有する通信中継装置。
【請求項7】
請求項6に係る通信中継装置において、さらに、
前記省電力無線通信部が、前記計測対象物検知情報を受信した際に、前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できない状態であるとき、受信した前記計測対象物検知情報を、一時的に保存し、
前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できる状態になると、一時的に保存した前記計測対象物検知情報を、前記通信装置に中継送信すること、
を特徴とする通信中継装置。
【請求項8】
人を検知する人検知部、計測対象物に関する所定の物理量を計測する計測部、及び、省電力無線通信を用いて、前記物理量に基づき生成される計測対象物物理量情報を送信する省電力送信部を有する物理量検知装置、及び、省電力無線通信を用いて、前記計測対象物検知情報を受信する省電力無線通信部、及び、受信した前記計測対象物検知情報を、予め定められた通信装置に対して、中継送信する通信部を有する通信中継装置を用いて前記物理量計測する物理量計測システムであって、
前記物理量検知装置は、
前記人検知部が前記人を検知すると、前記計測部における前記物理量の計測を開始し、
前記計測部において前記物理量が計測されると、前記計測対象物物理量情報を生成し、
前記計測部において前記物理量が計測された後、前記計測対象物物理量の計測を終了し、
生成した前記計測対象物物理量情報を、前記通信中継装置へ送信し、
前記通信中継装置は、
前記省電力無線通信部が、前記計測対象物検知情報を受信した際に、前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できない状態であるとき、受信した前記計測対象物検知情報を、一時的に保存し、
前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できる状態になると、一時的に保存した前記計測対象物検知情報を、前記通信装置に中継送信すること、
を特徴とする物理量計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量計測装置に関し、特に、重量計測を通知するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の重量計測装置について、
図9に示す重量計測マット2bを用いて説明する。重量計測マット2bは、汎用性の重量計測手段であって、在庫管理に使用可能である。重量計測マット2bとサーバ3と端末装置5とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。サーバは、各商品の在庫管理者の端末装置から送信される当該商品の発注依頼を受け付ける発注依頼受付部と、前記発注依頼受付部が商品の発注依頼を受け付けると、記憶部に記憶された当該商品の発注先に対して当該商品を発注する商品発注部を備える。これにより、在庫管理に使用できる汎用性の重量計測手段および重量計測手段を備えた在庫管理システムを提供する。
【0003】
ここで、重量計測マット2bは、各々が独立した重量計測手段として利用可能な可搬型のフラットパネル形態を有し、通信網を介して外部の情報機器と連携しながら、物品の在庫管理を支援するマット制御部22と、外部の通信網とマット制御部22の間でデータのやり取りを仲介するマット通信部21と、載置された物品の重量計測値をマット制御部22に出力可能な重量センサ24と、を備え、フラットパネル形態は、互いに隙間なく並べて整列することが可能な2次元形状を有し、一つ以上のフラットパネル形態を跨って形成される天面上に載置された任意の寸法形状の物品の重量を、在庫管理の支援のために情報機器にて集計および変動追跡させるものである。
【0004】
マット制御部22は、計測頻度の設定値231で設定された計測頻度(たとえば、1時間に1回)で、重量センサ24から商品の重量の計測データを取得し、通信先IPアドレスの設定値232で特定されるサーバ3へと、取得した計測データを、マット毎に固有のID情報とともに送信する。また、マット制御部22は、所定の頻度(たとえば1日に1回)で、バッテリ収容部27に収容されたバッテリの残量を電圧に基づいて把握し、バッテリの残量情報をID情報とともにサーバ3へと送信してもよい。また、マット制御部22は、所定の頻度(たとえば、1日に1回)で、サーバ3に接続し、サーバ3内の時計の時刻情報に基づいて、重量計測マット2a内の時計を補正するとともに、サーバ3上の最新ファームウェアを確認してもよい。また、マット制御部22は、上記動作時以外は、消費電流をたとえば500μAh以下まで低下させるスリープ状態に入ってもよい。これにより、バッテリ収容部27に収容されたバッテリを電源として使用していても、1年以上支障なく安定して稼働させることができる。また、マット通信部21は、重量計測マット2aとネットワーク4との間の通信インターフェースである。本実施の形態では、マット通信部21は、無線通信によりネットワーク4に接続可能であり、重量計測マット2aとサーバ3との間で情報を送受信する。無線通信の規格としては、たとえば、Wi-Fi、LTE/5G、Cat.M1、NB-IoTなどが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の重量計測マット2bには、以下に示すような改善すべき点がある。重量計測マット2bは、所定時刻に、重量を計測し、計測した重量を送信する物である。したがって、重量が変化した時に、例えば、商品が運び込まれた時や、商品が取り出された時に、計測した重量を送信する物ではなく、いわゆるリアルタイム性を有していない、という改善すべき点がある。
【0007】
また、計測した重量を送信する際に、Wi-Fiを用いる場合には、予めWi-Fiの通信網が形成されている通信環境でなければならない。また、LTE/5G、Cat.M1、NB-IoT等のLTEを用いる場合には、LTEの電波を受信できる通信環境でなければならない。つまり、重量計測マット2bは、配置する場所が限定される、という改善すべき点がある。
【0008】
そこで、本発明は、計測対象物の重量が変化し、計測が必要な時に、計測対象の重量をリアルタイムで計測、送信できるとともに、必要時以外の計測や通信などを行わないことで電力消費を低減できる重量計測装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0010】
本発明に係る重量計測装置は、人を検知する人検知部、計測対象物載置部に載置される計測対象物の重量を計測する重量計測部、前記計測対象物が計測した前記計測対象物の重量に基づき生成される計測対象物検知情報を送信する送信部、前記人検知部が前記人を検知すると、前記重量計測部における重量の計測を開始し、前記重量計測部において重量が計測されると、前記計測対象物検知情報を生成し、前記重量計測部において重量が計測された後、前記計測対象物重量計測部の重量の計測を終了し、生成した前記計測対象物検知情報を、前記送信部を介して、所定の通信装置へ送信する制御部、を有する。
【0011】
これにより、計測した重量に関する情報を、計測対象物の重量の計測時に、リアルタイムで、送信できるとともに、電力消費を低減できる。
【0012】
本発明に係る重量計測装置は、計測対象物載置部に載置される計測対象物の重量を計測する重量計測部、前記計測対象物を前記計測対象物載置部に載置した際に生ずる重量の微分変化を検知する重量微分検知部、前記計測対象物が計測した前記計測対象物の重量に基づき生成される計測対象物検知情報を送信する送信部、前記重量変化検知部が前記重量の微分変化を検知すると、前記重量計測部における重量の計測を開始し、前記重量計測部において重量が計測されると、前記計測対象物検知情報を生成し、前記重量計測部において重量が計測された後、前記計測対象物重量計測部の重量の計測を終了し、生成した前記計測対象物検知情報を、前記送信部を介して、所定の通信装置へ送信する制御部、を有する。
【0013】
これにより、計測した重量に関する情報を、計測対象物の重量の計測時に、リアルタイムで、送信できるとともに、電力消費を低減できる。
【0014】
本発明に係る重量計測装置では、前記制御部は、前記計測対象物検知情報を、前記所定の通信装置へ送信する通信中継装置であって、周囲に存在するものに、前記計測対象物検知情報を送信すること、を特徴とする。
【0015】
これにより、通信環境に限定されることなく、計測した重量に関する情報を送信できる。
【0016】
本発明に係る重量計測装置では、前記送信部は、前記人検知部が検知した前記人が有する前記通信中継装置に対して、前記計測対象物検知情報を送信すること、を特徴とする。
【0017】
これにより、通信環境に限定されることなく、計測した重量に関する情報を送信できるとともに、消費電力を低減できる。
【0018】
本発明に係る重量計測装置では、前記送信部は、省電力無線を用いて、前記計測対象物検知情報を送信すること、を特徴とする。
【0019】
これにより、通信環境に限定されることなく、計測した重量に関する情報を送信できるとともに、消費電力を低減できる。
【0020】
本発明に係る通信中継装置は、計測対象物の重量を計測し、計測した重量に関する計測対象物検知情報を送信する重量計測装置から、省電力無線通信を用いて、前記計測対象物検知情報を受信する省電力無線通信部、受信した前記計測対象物検知情報を、予め定められた通信装置に対して、中継送信する通信部、を有する。
【0021】
これにより、通信環境に限定されることなく、計測した重量に関する情報を送信できるとともに、消費電力を低減できる。
【0022】
本発明に係る通信中継装置では、さらに、前記省電力無線通信部が、前記計測対象物検知情報を受信した際に、前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できない状態であるとき、受信した前記計測対象物検知情報を、一時的に保存し、前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できる状態になると、一時的に保存した前記計測対象物検知情報を、前記通信装置に中継送信すること、を特徴とする。
【0023】
これにより、通信環境に限定されることなく、計測した重量に関する情報を送信できるとともに、消費電力を低減できる。
【0024】
本発明に係る物理量計測システムは、人を検知する人検知部、計測対象物に関する所定の物理量を計測する計測部、及び、省電力無線通信を用いて、前記物理量に基づき生成される計測対象物物理量情報を送信する省電力送信部を有する物理量検知装置、及び、省電力無線通信を用いて、前記計測対象物検知情報を受信する省電力無線通信部、及び、受信した前記計測対象物検知情報を、予め定められた通信装置に対して、中継送信する通信部を有する通信中継装置を用いて前記物理量計測する物理量計測システムであって、前記物理量検知装置は、前記人検知部が前記人を検知すると、前記計測部における前記物理量の計測を開始し、前記計測部において前記物理量が計測されると、前記計測対象物物理量情報を生成し、前記計測部において前記物理量が計測された後、前記計測対象物物理量の計測を終了し、生成した前記計測対象物物理量情報を、前記通信中継装置へ送信し、前記通信中継装置は、前記省電力無線通信部が、前記計測対象物検知情報を受信した際に、前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できない状態であるとき、受信した前記計測対象物検知情報を、一時的に保存し、前記通信部が、受信した前記計測対象物検知情報を、中継送信できる状態になると、一時的に保存した前記計測対象物検知情報を、前記通信装置に中継送信すること、を特徴とする。
【0025】
これにより、通信環境に限定されることなく、物理量に関する情報を送信できるとともに、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る重量計測装置の一実施例である重量計測装置110を有する重量計測システム100を示す図である。
【
図3】重量計測装置110を底面から見た図である。
【
図4】制御部115のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】通信中継装置130のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例0028】
本発明に係る重量計測装置について、一実施例である重量計測装置110を例に説明する。
【0029】
第1 重量計測システム100の構成
図1に示すように、重量計測システム100は、重量計測装置110を用いて、所定の物の重量を計測し、計測した重量に関する情報を、重量計測装置110から所定の通信中継装置を介して、送信するものである。重量計測システム100は、例えば、いわゆる置配ボックスを用いた宅配システムに用いることができる。
【0030】
重量計測システム100は、重量計測装置110、及び、通信中継装置130を有している。重量計測装置110は、置配ボックスの底面に沿って配置される一方、通信中継装置130は、宅配の配達員Hによって保持される。配達員Hが、計測対象物である荷物Lを配達しに来ると、重量計測装置110は、配達員Hを検知する。重量計測装置110は、配達員Hの検知を重量計測開始情報として、重量計測の準備に入る。重量計測装置110は、荷物Lの重量を計測すると、配達員Hが保持する通信中継装置130に、省電力無線通信を用いて、重量計測情報を送信する。配達員Hの通信中継装置130は、重量計測情報を取得すると、携帯電話通信を用いて、重量計測情報を所定の通信装置へ送信し、配達が完了したことを知らせる。
【0031】
1.重量計測装置110の構成
重量計測装置110の構成について、
図2を用いて説明する。
図2に、重量計測装置110の斜視図を示す。重量計測装置110は、重量計測部111(図示せず)、人検知部113、制御部115、及び、電源部117を有している。
【0032】
重量計測部111は、計測対象物載置部111a、及び、重量計測部111b(
図3参照)を有している。計測対象物載置部111aは、重量計測の対象である荷物L(計測対象物)を安定的に載置できるような所定の大きさの平面により形成されている。なお、
図2の重量計測装置110では、計測対象物載置部111aは、制御部115等を内部空間に内包する筐体部C110の一部として形成されている。
【0033】
図3に、重量計測装置110を底面側から見た状態を示す。重量計測部111bは、計測対象物載置部111a(
図2参照)に載置された荷物Lの重量を検知する、いわゆる、重量センサである。重量計測部111bは、計測対象物載置部111aの所定の位置に配置され、荷物Lの重量を計測する。重量計測部111bは、例えば、歪みセンサを有し、計測対象物載置部111aの歪みを計測する。重量計測部111bは、荷物Lの重量を検知すると、重量検知情報として、制御部115へ送信する。なお、歪みセンサは、増幅回路や高精度分解能を有するADコンバータを使用するため、消費電力が大きくなる傾向がある。
【0034】
人検知部113は、人を検知すると、重量計測の開始を指示する重量計測開始情報を制御部115へ送信する。人検知部113には、例えば、焦電センサを用いる。焦電センサは、人が放射する熱エネルギー、すなわち、赤外線を取得すると、重量計測開始情報を送信する。人検知部113として焦電センサを用いる場合、
図2に示すように、人検知部113は、筐体部C110に外部から人が照射する赤外線を取得できる位置に配置される。
【0035】
図3に示すように、制御部115は、筐体部C110の内部空間に配置される。制御部115の構成について
図4を用いて説明する。制御部115は、CPU115a、メモリ115b、省電力無線通信部115c、情報取得インターフェイス115d、及び、電力受給インターフェイス115eを有している。
【0036】
CPU115aは、メモリ115bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、又は、ファームウェア、重量計測プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ115bは、CPU115aに対して作業領域を提供する。メモリ115bは、OS、重量計測プログラム等その他のアプリケーション、及び、各種データを記録保持する。
【0037】
省電力無線通信部115cは、省電力近距離無線通信の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)を用いて、通信中継装置130と通信し、計測対象物検知情報等、各種の情報を送受信する。なお、BLEは、無線通信技術の一つであるBluetooth(商標)の一部に相当する。
【0038】
情報取得インターフェイス115dは、重量計測部111b、及び、人検知部113に接続される。CPU115aは、情報取得インターフェイス115dを介して、重量計測部111b、及び、人検知部113との間で、所定の情報を送受信する。
【0039】
電力受給インターフェイス115eは、電源部117に接続される。電力受給インターフェイス115eを介して取得された電力は、CPU115a等、各構成要素に供給される。
【0040】
図3に示すように、電源部117は、筐体部C110の内部空間に配置される。電源部117は、人検知部113、制御部115等に、所定の電力を供給する。電源部117には、例えば、電池が用いられる。
【0041】
2.通信中継装置130の構成
通信中継装置130の構成について、
図5を用いて説明する。通信中継装置130は、重量計測装置110から取得した重量計測情報を所定の装置に中継送信する通信中継プログラムを実行できる装置である。通信中継装置130としては、例えば、スマートフォンを用いる。
【0042】
通信中継装置130は、制御部131、省電力無線通信部133、携帯電話通信部135、電源部137、及び、ディスプレイ部139を有している。
【0043】
制御部131は、通信中継装置130の各構成要素の動作を制御する。制御部131は、CPU131a、メモリ131b、及び、インターフェイス部131cを有している。
【0044】
CPU131aは、メモリ131bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、通信中継ログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ131bは、CPU131aに対して作業領域を提供する。メモリ131bは、OS、通信中継プログラム等その他のアプリケーション及び各種データを記録保持する。
【0045】
インターフェイス部131cは、接続線を介して、省電力無線通信部133、携帯電話通信部135、ディスプレイ部139、及び、電源部137と接続される。CPU131aは、インターフェイス部131cを介して接続された各構成要素の動作を制御する。
【0046】
省電力無線通信部133は、BLEを用いて、重量計測装置110と省電力無線通信する。
【0047】
携帯電話通信部135は、携帯電話網を用いて、所定のデータを無線通信する。
【0048】
電源部137は、制御部131、省電力無線通信部133、携帯電話通信部135、及び、ディスプレイ部139に、所定の電力を供給する。電源部137には、例えば、充電可能なリチウムイオン電池を用いる。
【0049】
ディスプレイ部139は、所定の情報を表示するとともに、ディスプレイを介して外部からの操作を操作情報として取得する。
【0050】
第2 重量計測処理
重量計測装置110のCPU115aが重量計測プログラムに基づき実行する重量計測処理、及び、通信中継装置130のCPU131aが通信中継プログラムに基づき実行する通信中継処理について、それぞれ、
図6、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
1.重量計測処理
図6に示すように、重量計測装置110のCPU115aは、電源が入ると(S601)、人検知部113に電力を供給し、人検知を開始するとともに、人検知部113以外の構成要素については待機状態、いわゆる、スリープ状態とする(S603)。
【0052】
これにより、CPU115aは、重量計測装置110における消費電力を低減する。このような重量計測装置110における消費電力の低減は、荷物Lが計測対象物載置部111aへ載置される前には、人による荷物Lの運搬が存在することが想定されるため、人を検知した場合のみ、重量計測部111b等を動作させる電力を提供することによって実現できるに至った。
【0053】
人検知部113は、人を検知すると、制御部115に対して、人検知情報を送信する。
【0054】
CPU115aは、人検知部113から人検知情報を取得すると(S605)、重量計測部111bに電力を供給し、重量計測部111bにおける重量計測を開始する(S607)。
【0055】
重量計測部111bは、計測対象物載置部111aに荷物Lが載置されると、荷物Lの重量を計測し、計測した荷物Lの重量を、計測重量情報として、制御部115へ送信する。
【0056】
CPU115aは、重量計測部111bから計測重量情報を取得すると(S609)、荷物Lが計測対象物載置部111aに載置されたことを示す計測対象物検知情報を生成する(S611)。CPU115aは、計測重量情報から取得した荷物Lの重量、荷物Lの重量を計測した時間、重量計測装置110を一意に特定する重量計測装置ID等を有する計測対象物検知情報を生成する。
【0057】
CPU115aは、生成した計測対象物検知情報を、省電力通信部115cを介して、BLEを用いて、送信する(S613)。
【0058】
CPU115aは、電源がオフになるまで、ステップS603~S613の処理を繰り返す(S615)。
【0059】
このように、計測対象物検知情報を、直接的に、所定の通信装置に送信するのではなく、省電力無線通信を用いて。通信中継装置130に送信することによって、従来に比して、通信による電力消費を大きく低減できる。
【0060】
2.通信中継処理
図7に示すように、通信中継装置130のCPU131aは、電源オンの後(S701)、省電力無線通信部133を介して、計測対象物検知情報を取得すると(S703)、取得した計測対象物検知情報を、携帯電話通信部135を介して、予め定められた通信装置へ送信する(S705)。
【0061】
CPU131aは、電源がオフになるまで、ステップS703~S705の処理を繰り返す(S707)。
【0062】
このように、配達員Hに通信中継装置130を保持させることによって、荷物Lを配達したその時に、リアルタイムで、計測対象物検知情報を送信できる。
【0063】
[その他の実施形態]
(1)重量計測部111b:前述の実施例1において、重量計測部111bは、ひずみゲージを用いるとしたが、計測対象物の重量を計測できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、圧力センサやピエゾ式センサであってもよい。
【0064】
(2)人検知部113:前述の実施例1において、人検知部113は、焦電センサを用いるとしたが、人を検知できるものであれば例示のものに限定されない。例えば、光学式センサや静電容量変化式センサであってもよい。
【0065】
(3)人検知部113の配置:前述の実施例1においては、人検知部113は、筐体部C110に配置するとしたが、筐体部C110とは別体とし、筐体部C110から離れた位置に、接続線を介して、配置するようにしてもよい。
【0066】
(4)重量計測部111の配置:前述の実施例1においては、重量計測部111は、重量計測部111と制御部115とを一体として、筐体部C110に配置するとしたが、両者を別体として、互いに接続線を介して、接続するようにしてもよい。
【0067】
(5)重量計測の開始:前述の実施例1では、人検知部113における人の検知によって、重量計測部111bを動作させ、重量計測を開始したが、重量計測部111bの動作を開始できる物であれば、例示のものに限定されない。例えば、人検知部113の代わりに、荷物Lを計測対象物載置部111aに載置した際に重量計測装置110に生ずる重量の微分変化を検知する重量微分検知部を配置するようにしてもよい。重量微分検知部としては、例えば、3軸加速度センサを利用できる。なお、加速センサは、所定の閾値を超える重力変化を垂直軸、つまり、載置方向で検知すると、即座に、制御部115に対して割り込み信号を発生させる事ができる一方、低電力で待機できるという特徴を有している。重量微分検知部は、重量計測装置110に生ずる重量の微分変化を検知すると、制御部115に対して、重量微分変化検知情報を制御部115のCPU115aに送信する。CPU115aは、重量微分変化検知情報を取得すると、重量計測部111bに電力を供給し、重量計測部111bにおける重量計測を開始する(
図6:S607参照)。
【0068】
また、重量計測装置は、人の代わりに搬送型ロボット等の搬送装置が荷物等の計測対象物を取り出し、また、配置する場合、搬送装置を検知する搬送装置検出部を有するようにしてもよい。この場合、搬送装置に、総電力通信部や、携帯電話回線、又は、無線中継できる通信部を配置するようにしてもよい。
【0069】
(6)省電力通信部115c、省電力通信部133:前述の実施例1においては、省電力通信部115c、省電力通信部133は、BLEを用いるとしたが、省電力で、計測重量情報を送信できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、サブギガ通信などのローカル無線であってもよい。
【0070】
また、Wi-Fiや携帯電話回線の受信等、無線中継機として所定の通信環境が確保されている場合には、無線通信部として、無線LANや携帯電話回線等を用いるものを配置するようにしてもよい。その際には、省電力とすべく、通信回数や、通信時間を限定してもよい。また、Sigfox(登録商標)等、いわゆるLPWA (Low Power, Wide Area)に対応した「低消費電流」で「長距離のデータ通信」ができる通信方式を用いてもよい。また、無線通信ではなく、EthernetやMobBusのような有線通信を用いるようにしてもよい。
【0071】
さらに、省電力無線通信部を有し、それぞれ異なる通信規格で通信するようにしてもよい。さらに、省電力無線通信部に加えて、EthernetやMobBusのような有線通信部を用いるようにしてもよい。
【0072】
(7)電源部117:前述の実施例1においては、重量計測装置110の電源部117は、筐体部C110に内包される電池としたが、所定の電力を供給できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、ACコンセントから電力を受給する常時電源であってもよい。このような常時電源であっても、消費電力を軽減できる。また、電池については、ボタン電池、乾電池、太陽電池等の所定の充電池を用いるようにしてもよい。
【0073】
(8)計測対象物検知情報:前述の実施例1においては、計測対象物検知情報は、計測重量情報から取得した荷物Lの重量、荷物Lの重量を計測した時間、重量計測装置110を一意に特定する重量計測装置ID等を有するとしたが、計測した重量に基づき生成される物であれば、例示のものに限定されない。例えば、増減した重量や、計測した重量から算出される計測対象物の数等を、計測対象物検知情報に含めるようにしてもよい。
【0074】
(9)計測対象物検知情報の送信:前述の実施例1においては、重量計測装置110は、人や重量の微分変化を検知し、計測対象物の重量を計測する毎に、計測対象物検知情報を送信するとしたが、計測対象物検知情報を送信するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、複数の計測対象物検知情報を1日に1回、まとめて送信したり、5回分の計測対象物検知情報をまとめて送信したりするようにしてもよい。1日に1回送信する場合、例えば、ある日の最初の人検知、重量計測の後に、前日までに送信できていない計測対象物検知情報をまとめて送信するようにしてもよい。
【0075】
また、前記重量計測部111bが計測した重量が、前回の重量から変化していない場合には、単に人が近づいただけであったり、一時的に計測対象物の重量が変化したりしただけで、最終的に計測対象物の重量が変化しなかったことを意味するので、以降の通信中継装置130との通信を行わないようにしてもよい。これにより、無駄な電力消費や通信を削減できる。
【0076】
(10)通信中継装置130:前述の実施例1においては、通信中継装置130は、荷物Lを運搬する配達員が所有するスマートフォンを利用するとしたが、計測重量情報を中継送信できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、計測重量情報を中継する専用の通信端末としてもよい。
【0077】
(11)重量計測装置110の制御部115、通信中継装置130の制御部131の構成:前述の実施例1においては、重量計測装置110の制御部115は、CPU115aを用いて、明るさ取得処理を実行するとしたが、重量計測処理を実行するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、専用のロジック回路を用いて、重量計測処理を実行するようにしてもよい。通信中継装置130の制御部131についても同様である。
【0078】
(12)重量計測処理、通信中継処理:前述の実施例1においては、重量計測処理として
図6のフローチャートを、通信中継処理として
図7のフローチャートを、それぞれ示したが、例示のフローチャートに限定されない。
【0079】
(13)重量計測システム100の使用状況:前述の実施例1においては、重量計測システム100を、荷物の配達の確認に用いたが、計測重量情報を送信する使用状況であれば、例示のものに限定されない。例えば、ゴミ箱の底面に沿って、重量計測装置110を配置し、ゴミを捨てにくる人を検知すると、ゴミ箱の重量を検知し、捨てたゴミの量を計測重量情報として、送信するようにしてもよい。これにより、廃棄ゴミの量を確認でき、ひいては、ゴミの削減量や、削減量に基づく温室効果ガスの排出抑制効果を取得し、データ化できる。
【0080】
また、ビール等、所定の物のストック場所に配置し、物を取り出す人・運び出す人や重量の微分変化を検知すると、残りの物の重量を検知し、残りの物の重量や、取り出し、取り運んだ物の重量を計測重量情報として、送信できる。
【0081】
(14)通信中継装置130における計測重量情報の送信:前述の実施例1においては、通信中継装置130は、重量計測装置110から重量計測情報を取得すると、所定の通信装置へ、取得した重量計測情報を送信していたが、重量計測情報を送信できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、倉庫、地下シェルター、山の中等、重量計測装置110を設置した場所が、携帯電話回線や無線LAN通信等、省電力無線通信以外の通信回線によって、他の通信装置と通信できない通信環境であれば、通信中継装置130は、BLE等の省電力無線通信を介して取得した重量計測情報を、一時的に、メモリ130b等に記憶保持し、他の通信装置と通信できるようになると、メモリ130b等に記憶保持している重量計測情報を、所定の通信装置に送信するようにしてもよい。これにより、倉庫、地下シェルター、山の中等、携帯電話回線や無線LAN通信等を利用できない通信環境であっても、重量計測情報を送信し、蓄積できる。また、人が近づかない限り、重量計測装置における重量計測も、定期通信も実施しないため、重量計測装置110を、電池運用でも、極めて長期間、使用できる。
【0082】
(15)計測対象物の重量:前述の実施例1では、計測対象物である荷物Lの重量を検知するとしたが、計測対象物に関する所定の物理量であれば、例示のものに限定されない。例えば、二酸化炭素濃度、温度、湿度、地層のズレ量等を、物理量として、計測するようにしてもよい。この場合、蓄積した物理量に関するデータを、人が近づいた際に人検知部で検知して、人が所有するスマートフォン等の通信中継装置に対して送信し、通信中継装置から、クラウド・サーバ等の所定の通信装置へ送信するようにしてもよい。なお、人が近づいたタイミングでのリアルタイムで、物理量を計測するようにしてもよい。