(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097283
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置の異常検知装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/18 20140101AFI20230630BHJP
E05B 77/04 20140101ALI20230630BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230630BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20230630BHJP
E05B 81/64 20140101ALI20230630BHJP
【FI】
E05B85/18 D
E05B77/04
B60J5/04 H
B60J5/00 H
E05B81/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213548
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳留 尚希
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250JJ32
2E250PP02
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で車両ドアの意図しない開放を防止する機構の信頼性を向上させること。
【解決手段】車両ドアの内方側に配置され、所定解除位置まで移動した場合に車両ドアのラッチを解除するラッチ解除ハンドルと、車両ドアの開口を閉じる閉位置と開放する開位置との間で移動するリッド部材と、リッド部材を移動させる駆動装置と、リッド部材の移動に伴って移動し、リッド部材が閉位置に位置するときに所定解除位置へのラッチ解除ハンドルの到達を規制する規制部材と、を備える車両用ドアハンドル装置の異常検知装置は、規制部材が所定解除位置へのラッチ解除ハンドルの到達を規制可能であることを検知するセンサ部と、駆動装置がリッド部材を閉位置まで移動させた状態でセンサ部による検知がされない場合に、異常を判定する異常判定部と、を備える。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアの内方側に配置され、前記車両ドアの外方側から前記車両ドアに設けられた開口を通じて操作可能であり、基準位置側から所定解除位置まで移動した場合に前記車両ドアのラッチを解除するラッチ解除ハンドルと、
前記開口を開閉可能であり、前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動するリッド部材と、
前記リッド部材を前記閉位置と前記開位置との間で移動させる駆動装置と、
前記リッド部材の移動に伴って移動し、前記リッド部材が前記閉位置に位置するときに前記所定解除位置への前記ラッチ解除ハンドルの到達を規制する規制部材と、
を備える車両用ドアハンドル装置の異常を検知する装置であって、
前記規制部材が前記到達を規制可能であることを検知するセンサ部と、
前記駆動装置が前記リッド部材を前記閉位置まで移動させた状態で、前記センサ部による検知がなされない場合に、異常を判定する異常判定部と、
を備える、車両用ドアハンドル装置の異常検知装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記リッド部材に一体に設けられており、
前記センサ部は、前記リッド部材が前記閉位置に位置したことを検知することにより、前記規制部材が前記到達を規制可能であることを検知する、請求項1に記載された車両用ドアハンドル装置の異常検知装置。
【請求項3】
前記リッド部材は、前記開口を閉塞する閉塞部と、前記閉塞部の周縁から周縁外方へ板状に広がる周縁部と、を有し、
前記センサ部は、前記リッド部材が前記閉位置に位置したときの前記周縁部を検知可能な箇所に配置されている、請求項2に記載された車両用ドアハンドル装置の異常検知装置。
【請求項4】
前記車両用ドアハンドル装置は、前記閉位置と前記開位置との間で移動する前記リッド部材をガイドするガイド機構を有し、
前記ガイド機構は、前記リッド部材に設けられたガイド部と、前記車両ドア側に設けられて前記ガイド部が嵌るガイド溝と、を有し、
前記センサ部は、前記リッド部材が前記閉位置に位置したときの前記ガイド部を検知可能な箇所に配置されている、請求項2又は3に記載された車両用ドアハンドル装置の異常検知装置。
【請求項5】
前記異常判定部により前記異常が判定された場合に、車両運転者に異常を知らせる通知部を備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載された車両用ドアハンドル装置の異常検知装置。
【請求項6】
前記通知部は、車両のインストルメントパネル内で発光する警告灯を有する、請求項5に記載された車両用ドアハンドル装置の異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置の異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラッチ解除ハンドルが操作者により所定解除位置まで操作された場合に車両ドアのラッチを解除する車両用ドアハンドル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の車両用ドアハンドル装置は、慣性ストッパを備えている。慣性ストッパは、車両に側方衝突が生じた際に負荷される慣性力により待機位置から規制位置まで回転する部材である。慣性ストッパは、車両ドアに固定されたハンドルベースに設けられている。慣性ストッパは、規制位置まで回転すると、ラッチ解除ハンドルが所定解除位置に至る前にそのラッチ解除ハンドルの作動を規制する。このため、車両側突時の慣性力が生じても、慣性ストッパとの当接によりラッチ解除ハンドルが所定解除位置まで移動するのを防止することができ、車両ドアが意図せずに開放されるのを防止することができる。
【0003】
また、車両ドアに開口を設け、その開口を開閉するリッド部材を車両ドアの内方側に配置すると共に、ラッチ解除ハンドルを車両ドアの内方に配置して開口を通じて操作可能とした車両用ドアハンドル装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この装置は、開口を閉じる閉位置と開口を開放する開位置との間でリッド部材を移動させるモータを備えている。リッド部材は、通常は閉位置にあり、ラッチ解除ハンドル操作時にモータの回転駆動により開位置へ移動する。リッド部材は、開口の開閉時に車両ドアよりも外方に突出せず、車両ドアの内方側において移動する。このため、車両ドアの意匠性や車体の空力特性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-125612号公報
【特許文献2】特表2019-512623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献2記載の装置では、ラッチ解除ハンドルやリッド部材を車両ドアの内方側に配置する必要があるので、車両ドアの内方側のスペースに制約がある。また、上記した特許文献1記載の慣性ストッパは、車両ドアの意図しない開放を防止するための専用部品であるので、この慣性ストッパを車両ドアの内方側に配置するものとすると、更に車両ドアの内方側のスペースが逼迫する。また、慣性ストッパは、構造上、金属バネや摺動部品を有するが、経年劣化や摩耗に起因して正常に機能しなくなるおそれがある。そこで、ドア開放防止機構の信頼性確保のため、慣性ストッパが慣性力によって規制位置まで回転することにより、ラッチ解除ハンドルが所定解除位置まで移動するのを規制可能であることを、センサなどを用いて検知することが考えられる。
【0006】
また、ドア開放防止機構として、上記した専用の慣性ストッパに代えて、既存部品であるリッド部材を用いることが考えられる。具体的には、リッド部材が開位置に位置する状態では、ラッチ解除ハンドルがそのリッド部材に干渉することなく所定解除位置まで移動することを許容する一方、リッド部材が閉位置に位置する状態では、ラッチ解除ハンドルがそのリッド部材に干渉して所定解除位置まで移動するのを規制する構造が考えられる。
【0007】
このドア開放防止機構において、車両への側方衝突時に車両ドアの意図しない開放を防止するためには、リッド部材が閉位置に位置していることが必要である。そこで、ドア開放防止機構の信頼性確保のため、リッド部材が閉位置に位置していることの検知を行う検知装置を設けることが考えられる。例えば、リッド部材が閉位置と開位置との間で移動する際のモータ回転数は予め定められているので、リッド開位置からのモータ回転数を測定することにより、モータがリッド部材を閉位置まで移動させたか否かを判定することはできる。
【0008】
しかしながら、モータ回転数の測定だけでは、例えばモータが故障している場合やリッド部材におけるラッチ解除ハンドルと干渉し得る箇所が破損している場合など、実際にはリッド部材が解除位置へのラッチ解除ハンドルの移動を規制できない事態が生じ得るので、車両ドアの意図しない開放を防止することができないことが起こり得る。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で車両ドアの意図しない開放を防止する機構の信頼性を向上させた車両用ドアハンドル装置の異常検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、車両ドアの内方側に配置され、前記車両ドアの外方側から前記車両ドアに設けられた開口を通じて操作可能であり、基準位置側から所定解除位置まで移動した場合に前記車両ドアのラッチを解除するラッチ解除ハンドルと、前記開口を開閉可能であり、前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開放する開位置との間で移動するリッド部材と、前記リッド部材を前記閉位置と前記開位置との間で移動させる駆動装置と、前記リッド部材の移動に伴って移動し、前記リッド部材が前記閉位置に位置するときに前記所定解除位置への前記ラッチ解除ハンドルの到達を規制する規制部材と、を備える車両用ドアハンドル装置の異常を検知する装置であって、前記規制部材が前記到達を規制可能であることを検知するセンサ部と、前記駆動装置が前記リッド部材を前記閉位置まで移動させた状態で、前記センサ部による検知がなされない場合に、異常を判定する異常判定部と、を備える、車両用ドアハンドル装置の異常検知装置である。
【0011】
この構成によれば、簡易な構造で車両ドアの意図しない開放を防止する機構の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用ドアハンドル装置をドア外方側から見た正面図である。
【
図2】実施形態の車両用ドアハンドル装置をドア内方側から見た斜視図である。
【
図3】実施形態の車両用ドアハンドル装置(但し、ベース部材のアッパ部材が取り外されている状態)をドア内方側から見た斜視図である。
【
図4】実施形態の車両用ドアハンドル装置の収容空間におけるリッド部材と駆動用回転部材との配置関係(但し、一部分がカットされている状態)を表した斜視図である。
【
図6】実施形態の車両用ドアハンドル装置を正面側から見た斜視図である。
【
図7】実施形態の車両用ドアハンドル装置(但し、ベース部材のロア部材が取り外されている状態)を正面側から見た斜視図である。
【
図8】実施形態の車両用ドアハンドル装置(但し、ベース部材が取り外されている状態)を正面側から見た斜視図である。
【
図9】実施形態の車両用ドアハンドル装置が車両ドアのドア内方側に配置された状態でかつリッド部材が開位置に位置する状態での断面斜視図である。
【
図10】実施形態の車両用ドアハンドル装置の要部を、リッド部材が閉位置近傍及び閉位置に位置するときにドア内方側から見た斜視図である。
【
図11】実施形態の車両用ドアハンドル装置におけるリッド部材の開閉動作を説明するための断面図である。
【
図12】実施形態の車両用ドアハンドル装置(但し、ベース部材のアッパ部材が取り外されている状態)におけるリッド部材の開閉動作を説明するためのドア内方側からの斜視図である。
【
図13】実施形態の車両用ドアハンドル装置を、リッド部材が閉位置近傍及び閉位置に位置するときに内外方向及び上下方向を含む面で切断した断面図である。
【
図14】実施形態の車両用ドアハンドル装置を、リッド部材が閉位置近傍及び閉位置に位置するときに内外方向及び前後方向を含む面で切断した断面図である。
【
図15】実施形態の車両用ドアハンドル装置においてリッド部材が開位置に位置しかつラッチ解除ハンドルがラッチ解除操作されたときの断面図である。
【
図16】実施形態の車両用ドアハンドル装置においてリッド部材が閉位置に位置する状態で車両ドアに衝撃荷重が入力されたときのラッチ解除ハンドルの位置規制を説明するための断面図である。
【
図17】実施形態の車両用ドアハンドル装置の異常検知装置の構成図である。
【
図18】実施形態の車両用ドアハンドル装置の異常検知装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る車両用ドアハンドル装置の異常検知装置の具体的な実施形態について説明する。
本施形態の車両用ドアハンドル装置1は、車両に設けられた車両ドア3のラッチを制御する装置である。具体的には、車両用ドアハンドル装置1は、車両ドア3に設けられたラッチ解除ハンドルに対して所定操作が行われることにより車両ドア3のラッチを解除する。
【0014】
車両ドア3は、車体に対して開閉可能なドアである。車両ドア3は、車両乗員が乗降する乗降ドア、荷物が出し入れされるリアドア、エンジンルームなどを開閉するボンネット、又は給油口や充電口を開閉するドア蓋などである。車両ドア3は、車体に対して閉じられた状態で車両用ドアハンドル装置1によりラッチされると共に、所定操作によりラッチ解除されて車体に対して開放されることが可能である。尚、車両ドア3は、ラッチされている状態で、ロック装置(図示せず)により施錠(ロック)されると共に、所定のロック解除操作により解錠(アンロック)されることが可能であってよい。また、
図1、
図2、
図3、及び
図12などにおいては、車両ドア3の一部が示されている。
【0015】
尚、車両ドア3は、特に開閉可能なウィンドウを内蔵する乗降ドアであるときは、車内側のインナパネル(図示せず)と、車外側のアウタパネル3aと、インナパネルとアウタパネル3aとに挟まれる隙間空間3bと、を有するものであってよい。この隙間空間3bには、車両用ドアハンドル装置1が収容される。
【0016】
以下、車両ドア3は、アウタパネル3a及び隙間空間3bを有する乗降ドアであるものとし、車体左右の側部に設けられているものとする。そして、便宜上、車体に取り付けられた車両ドア3において広がるドア面に直交する方向を内外方向I/Oと、その車両ドア3において広がるドア面のうち水平方向に延びる方向を前後方向F/Bと、それぞれ称す。また、基準となる部品や部位よりも内方向側の位置や領域をその部品や部位のドア内方I側と称し、同様に、外方向側の位置や領域をドア外方O側と、前方側の位置や領域をドア前方F側と、後方側の位置や領域をドア後方B側と、それぞれ称す。
【0017】
車両用ドアハンドル装置1は、車両に設けられた車両ドア3ごとに設けられている。尚、車両用ドアハンドル装置1は、例えば車両ドア3が車両における複数の乗降ドアに適用されるときは、各車両ドア3に対して共通の形状乃至構造を有するものであってもよいし、また、車体左右の車両ドア3に対して対称の形状乃至構造を有するものであってもよい。以下の説明では、車両用ドアハンドル装置1は、車体右側に設けられているものとする。
【0018】
車両用ドアハンドル装置1は、
図1~
図8に示す如く、ベース部材10と、ラッチ解除ハンドル20と、リッド部材30と、駆動装置40と、を備えている。
【0019】
ベース部材10は、車両用ドアハンドル装置1を構成するラッチ解除ハンドル20及びリッド部材30を収容すると共に、駆動装置40の全部又は一部を収容する部材である。ベース部材10は、インナパネルとアウタパネル3aとの間の隙間空間3bに対応した大きさに形成されており、その隙間空間3bに収容されている。ベース部材10は、アウタパネル3aの裏面側に設けられた取付部(図示せず)に取り付け固定される。この取付固定は、例えばボルト締結や溶接などにより行われる。ベース部材10は、直方体形状に形成されており、ロア部材11と、アッパ部材12と、を有している。
【0020】
ロア部材11は、ラッチ解除ハンドル20及びリッド部材30を収容する収容空間13を形成する収容ボックスである。ロア部材11は、
図3及び
図5に示す如く、底壁11aと、底壁11aの四辺から立設する四つの側壁11bと、を有している。底壁11a及び各側壁11bはそれぞれ、矩形状に形成されている。底壁11aと四つの側壁11bとは、収容空間13を形成している。収容空間13は、ラッチ解除ハンドル20及びリッド部材30がそれぞれ所定の軌跡で移動できるのに必要十分な大きさ(容量)を有している。
【0021】
底壁11aは、アウタパネル3aの裏面に隣接して対向している。四つの側壁11bのうち二つの側壁11bは、それぞれ上下方向U/Dに向いており、互いに対向している。また、残り二つの側壁11bは、それぞれ前後方向F/Bに向いており、互いに対向している。ロア部材11における収容空間13を挟んで底壁11aと対向するドア内方I側の部分は、開口している。
【0022】
アッパ部材12は、ロア部材11のドア内方I側の開口を閉塞するカバー部材である。アッパ部材12は、略板状に形成されている。アッパ部材12は、ロア部材11に取り付け固定されている。アッパ部材12とロア部材11との取付固定は、例えばボルト締結や溶接などにより行われる。アッパ部材12は、板状のカバー板部12aを有している。
【0023】
車両ドア3(具体的には、アウタパネル3a)は、隙間空間3bを車両ドア3のドア外方側に露出させる開口3dを有している。ベース部材10は、車両ドア3の開口3d近傍に配置される。ロア部材11の底壁11aは、ベース部材10の収容空間13をベース部材10の外側に露出させる開口11cを有している。ロア部材11の開口11cは、アウタパネル3aの開口3dと略同じ大きさに形成されている。開口3d,11cの大きさは、操作者の手を挿入できる大きさである。ロア部材11ひいてはベース部材10は、底壁11aの開口11cがアウタパネル3aの開口3dに連通するように車両ドア3の取付部に取り付け固定される。ベース部材10の収容空間13は、開口3d,11cを通じて車両ドア3のドア外方側に露出されることが可能である。
【0024】
ラッチ解除ハンドル20は、車両ドア3が閉じられているときにその車両ドア3のラッチを解除する入力操作(以下、ラッチ解除操作と称す。)が行われる操作部である。ラッチ解除ハンドル20は、車両ドア3の外方側に位置する操作者によりラッチ解除操作されることが可能である。ラッチ解除ハンドル20のラッチ解除操作が行われると、車両ドア3の車体に対するラッチが解除されて車両ドア3が開放される。
【0025】
ラッチ解除ハンドル20は、ベース部材10の収容空間13に収容されており、車両ドア3(具体的には、アウタパネル3a)のドア内方I側において開口11cよりもドア上方Uに配置されている。ラッチ解除ハンドル20は、ハンドル状又はレバー状に形成されており、前後方向F/Bに延びている。ラッチ解除ハンドル20は、ベース部材10(具体的には、ロア部材11の前後二つの側壁11b側)に回動可能に支持されている。ラッチ解除ハンドル20は、水平な軸(具体的には、前後方向F/Bに延在する軸)を中心にして回動することが可能である。ラッチ解除ハンドル20は、ハンドル本体部21と、回動軸22と、を有している。
【0026】
ハンドル本体部21は、操作者の手により触れられて回動操作(ラッチ解除操作)される操作部位である。ハンドル本体部21は、板状に形成されている。ハンドル本体部21は、前後方向F/Bに延びている。回動軸22は、回動軸22の自転によりハンドル本体部21をベース部材10に対して回動させる軸部位である。回動軸22は、円柱状又は円筒状に形成されている。回動軸22は、ハンドル本体部21に一体化されている。回動軸22は、ハンドル本体部21を貫通してハンドル本体部21の前端部からドア前方Fに突出すると共にハンドル本体部21の後端部からドア後方Bに突出するように設けられている。
【0027】
ロア部材11は、断面半円状の支持溝11dを有している。支持溝11dは、ロア部材11の底壁11aからドア内方Iへ突出する突出壁11eのドア内方I側の端部に設けられている。突出壁11eは、前後二つの側壁11bそれぞれの内側に隣接して設けられている。尚、突出壁11eは、側壁11bの一部であってよい。突出壁11eは、ドア内方I側の端部が上下方向位置に応じて変化するように階段状に設けられている。支持溝11dは、突出壁11eの上部に設けられている。
【0028】
また、アッパ部材12は、断面半円状の支持溝12dを有している。支持溝12dは、アッパ部材12におけるカバー板部12aからドア外方Oへ突出する突出壁12eのドア外方O側の端部に設けられている。突出壁12eは、ロア部材11の前後二つの側壁11bそれぞれの内側に隣接しかつロア部材11の突出壁11eと内外方向I/Oで対向するように設けられている。突出壁12eは、ドア外方O側の端部がロア部材11の突出壁11eに対応して上下方向位置に応じて変化するように階段状に設けられている。支持溝12dは、突出壁12eの上部に設けられている。
【0029】
ロア部材11の支持溝11dとアッパ部材12の支持溝12dとは、アッパ部材12がロア部材11に取り付け固定された状態で、回動軸22を支持する一つの円形支持孔を形成する。回動軸22は、ロア部材11の支持溝11dとアッパ部材12の支持溝12dとに嵌った状態でベース部材10に回動可能に支持される。
【0030】
ラッチ解除ハンドル20は、
図5に示す如く、ハンドル本体部21が回動軸22から径方向外方へ延びるように構成されている。ラッチ解除ハンドル20は、例えばトーションスプリングなどの付勢部材によりハンドル本体部21がラッチ解除位置からラッチ位置に向けて回動するように付勢されている。尚、この付勢方向は、回動軸22を中心にして
図5における右回り方向である。ラッチ解除ハンドル20は、付勢部材の付勢力に抗してラッチ位置からラッチ解除位置に向けて回動操作(ラッチ解除操作)されることが可能である。尚、この回動操作方向は、回動軸22を中心にして
図5における左回り方向である。
【0031】
ラッチ解除ハンドル20は、ハンドル本体部21の径方向先端部が操作者によりラッチ位置から回動軸22を中心にしてドア外方O側(尚、車両外側の操作者にとって手前側)に引かれることによりラッチ解除操作される。
【0032】
回動軸22は、収容空間13内においてドア外方O側に配置されている。回動軸22は、ドアラッチ装置(図示せず)に接続されている。ドアラッチ装置は、回動軸22に対して一端側(例えば、ベース部材10の表面側から見て左側)に配置されている。上記のラッチ位置は、ドアラッチ装置により車両ドア3のラッチが実行される位置のことである。上記のラッチ解除位置は、ドアラッチ装置により車両ドア3のラッチが解除される位置のことである。
【0033】
ハンドル本体部21は、ラッチ位置では、回動軸22から斜め下方(具体的には、ドア内方Iかつドア下方D)に延びる(
図5に示す状態)。ハンドル本体部21がラッチ位置で回動軸22の軸心を通る鉛直線に対してなす角度は、0°を超えかつ90°未満であって、操作者が手を開口3d,11cを通して収容空間13に差し込んでハンドル本体部21をラッチ解除操作し易くなるように例えば30°に設定されている。
【0034】
また、ハンドル本体部21は、ラッチ解除位置では、回動軸22から略ドア下方Dに延びる。ハンドル本体部21がラッチ解除位置で回動軸22の軸心を通る鉛直線に対してなす角度は、ラッチ位置でなす角度に比べて小さくなるように設定されている。ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置に向けて移動する過程においては、ラッチ解除位置の直前で、ハンドル本体部21の径方向先端部がドア外方Oへ移動する。
【0035】
リッド部材30は、ベース部材10の開口11c及び車両ドア3の開口3dを開閉させるパネルカバーである。リッド部材30は、全体的に開口3d,11cよりも大きくなるように板状に形成されている。リッド部材30は、収容空間13に収容されている。リッド部材30は、開口3d,11cに嵌って開口3d,11cを閉塞することが可能であると共に、開口3d,11cから退いて開口3d,11cを開放することが可能である。リッド部材30は、車両ドア3のドア内方側空間(具体的には、収容空間13内)において開口3d,11cを閉じる閉位置と開口3d,11cを開放する開位置との間で移動する。
【0036】
ベース部材10の収容空間13は、開口11cよりもドア下方Dにおいて大きく広がっている。収容空間13の下側領域は、閉位置と開位置との間で移動するリッド部材30の収容することが可能である。リッド部材30の開位置は、開口11cの高さ位置すなわちリッド部材30の閉位置よりもドア下方Dにある。リッド部材30は、閉位置から開位置に向けて主に下方に移動する。具体的には、リッド部材30は、閉位置と開位置との間で上下方向U/Dに移動すると共に、閉位置近傍でアウタパネル3a及びベース部材10との干渉防止のために内外方向I/Oに移動する。
【0037】
収容空間13内において、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置とラッチ解除位置との間で移動する移動軌跡と、リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する移動軌跡と、は互いに重なり合う範囲を有している。このため、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とは互いに干渉する事態が生じ得る。
【0038】
上記の互いに重なり合う範囲は、ラッチ解除ハンドル20の移動軌跡の一部に限られると共に、リッド部材30の移動軌跡の一部に限られる。具体的には、ラッチ解除ハンドル20のラッチ解除位置近傍の領域とリッド部材30の閉位置近傍の領域とが互いに重なり合う。すなわち、ラッチ解除ハンドル20がラッチ解除位置近傍に位置しかつリッド部材30が閉位置近傍に位置するときに、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とが互いに干渉し得る。尚、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とを互いに干渉させるタイミングは後に詳述する。
【0039】
ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置に位置している状態では、リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する過程で、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とが干渉することは無い。また、リッド部材30が開位置に位置している状態では、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置とラッチ解除位置との間で移動する過程で、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とが干渉することは無い。
【0040】
リッド部材30は、閉塞部31と、周縁部32と、ガイド部33と、干渉部34と、を有している。閉塞部31は、開口3d,11cに嵌って開口3d,11cを閉塞する部位である。閉塞部31は、リッド部材30のドア外方O側の部分に設けられている。閉塞部31は、開口3d,11cの大きさ(面積)に対応した大きさ(面積)と、所定の内外方向厚さと、を有している。
【0041】
上記の所定の内外方向厚さは、リッド部材30の周縁部32が底壁11aに当接した状態すなわちリッド部材30が閉位置に位置する状態で、閉塞部31のドア外方O側の表面がアウタパネル3aの表面と面一になるように設定されている。例えば、この閉塞部31の内外方向厚さは、アウタパネル3aにおける開口3d近傍の内外方向厚さと底壁11aにおける開口11c近傍の内外方向厚さとの加算値に一致している。閉塞部31のドア外方O側の表面は、リッド部材30の閉位置状態で、アウタパネル3aの表面と面一になる。
【0042】
周縁部32は、閉塞部31の周縁から外側に板状に広がるフランジ部位である。周縁部32は、閉塞部31を囲うように全周に亘って設けられている。周縁部32は、リッド部材30の外縁部をなしている。周縁部32は、ベース部材10のロア部材11の底壁11a及びアッパ部材12のカバー板部12aに対向して配置されている。周縁部32は、リッド部材30が閉位置に位置する状態でロア部材11の底壁11aに当接してリッド部材30の位置規制を行う。
【0043】
尚、リッド部材30が閉位置に位置する状態では、リッド部材30の周縁部32とベース部材10の底壁11aとの間にシール部材50が配置されていてよい(
図5参照)。シール部材50は、リッド部材30の閉位置状態で収容空間13のシール性を確保するためのOリングなどである。シール部材50は、リッド部材30が閉位置に位置する状態で周縁部32の外面(すなわち、周縁部32のドア外方に向いた面)とアウタパネル3aの内面(より具体的には、ベース部材10の底壁11aのドア内方に向いた内面)との間に介在している。シール部材50は、底壁11aにおける開口3d,11cの周縁部に環状に形成されており、底壁11aに取り付けられている。
【0044】
周縁部32は、平面板状の平面部32aと、湾曲板状の湾曲部32bと、を有している。平面部32aは、閉塞部31の周縁に設けられている。湾曲部32bは、平面部32aのドア下方Dに平面部32aと一体に形成されている。湾曲部32bは、一端(すなわち、平面部32aとの接続端)から他端にかけてドア下方D側かつドア内方I側に位置するように湾曲している。すなわち、湾曲部32bは、前後方向F/Bに延びる軸線を中心にして他端がドア下方D側かつドア内方I側に位置するように湾曲している。
【0045】
湾曲部32bは、収容空間13の下側領域に配置されており、リッド部材30が開位置に位置するときだけでなく閉位置に位置するときにも、収容空間13内において開口3d,11cよりもドア下方Dに位置する。湾曲部32bの他端近傍は、内外方向I/Oに向けて直線状に延びている。尚、この部分の直線距離は、少なくとも閉塞部31の内外方向厚さに設定されていることが、閉塞部31が開口3d,11cの周縁部と干渉するのを防止するうえでは望ましい。
【0046】
ガイド部33は、閉位置と開位置との間で移動するリッド部材30をガイドする部位である。ガイド部33は、円柱状又は円筒状に形成されている。ガイド部33は、周縁部32の上端部及び下端部それぞれに設けられていると共に、周縁部32の前方側端部及び後方側端部それぞれに設けられている。ドア前方F側の二つのガイド部33はそれぞれ、周縁部32の前方側端部からドア前方Fへ突出している。また、ドア後方B側の二つのガイド部33はそれぞれ、周縁部32の後方側端部からドア後方Bへ突出している。
【0047】
ベース部材10は、リッド部材30をガイドするガイド溝14を有している。ガイド溝14は、リッド部材30のガイド部33が摺動可能に嵌る溝である。ガイド部33とガイド溝14とは、リッド部材30をガイドするガイド機構を構成する。ガイド溝14は、四つのガイド部33に合わせて四箇所設けられている。すなわち、ガイド溝14は、ベース部材10の前側において上下二箇所に設けられていると共に、ベース部材10の後側において上下二箇所に設けられている。四つのガイド部33は一つずつ、四つのガイド溝14に嵌っている。
【0048】
上下二箇所のガイド溝14同士は、略同じ形状に形成されている。また、前後のガイド溝14同士は、略同じ形状に形成されている。各ガイド溝14は、周縁部32の前後方向端部における形状に対応して形成されており、線状に延びている。各ガイド溝14は、周縁部32の平面部32aに対応して上下方向U/Dに直線状に延びる直線部14aと、周縁部32の湾曲部32bに対応して所定曲率で湾曲状に延びる曲線部14bと、を有している。
【0049】
直線部14aと曲線部14bとは、互いに連続して接続するように一体化されている。曲線部14bは、一端(すなわち、直線部14aとの接続端)からその接続端とは反対側の他端にかけてドア上方U側かつドア外方O側に位置するように湾曲している。すなわち、曲線部14bは、前後方向F/Bに延びる軸線を中心にして他端がドア上方U側かつドア外方O側に位置するように湾曲している。曲線部14bの他端近傍は、内外方向I/Oに向けて直線状に延びている。
【0050】
四つのガイド溝14はそれぞれ、アッパ部材12がロア部材11に取り付け固定された状態で、ロア部材11の突出壁11eのドア内方I側の端部とアッパ部材12の突出壁12eのドア外方O側の端部との間に形成される。四つのガイド部33は、駆動装置40の駆動によって四つのガイド溝14に沿って摺動することによりリッド部材30を閉位置と開位置との間で移動させる。
【0051】
リッド部材30が閉位置に位置する状態では、ガイド部33は、
図5及び
図11(A)に示す如く、曲線部14bにおける直線部14aとの接続部から最遠箇所に位置する。また、リッド部材30が開位置に位置する状態では、ガイド部33は、
図11(C)に示す如く、直線部14aにおける曲線部14bとの接続部から最遠箇所に位置する。
【0052】
上記の閉塞部31は、周縁部32からドア外方Oへ突出している。周縁部32からの閉塞部31の突出長は、閉塞部31の厚さ分に相当し、アウタパネル3aにおける開口3d近傍の内外方向厚さと底壁11aにおける開口11c近傍の内外方向厚さとの加算値に略一致している。閉塞部31と周縁部32とは、ドア外方O側の表面に開口3d,11cに応じた段差が形成されるように構成されている。
【0053】
尚、閉塞部31のドア外方O側の表面は、リッド部材30が閉位置に位置する状態でドア外方O側に露出する。そこで、閉塞部31は、ドア外方O側の表面の外観意匠性や視認性確保のため、アウタパネル3aと同じ素材により形成され、或いは、光沢若しくは艶消しなどの表面処理が施された部位であってよい。
【0054】
干渉部34は、ラッチ解除ハンドル20に干渉し得る規制部位である。干渉部34は、リッド部材30の閉位置と開位置との間での移動に伴って移動する。干渉部34は、リッド部材30が閉位置に位置する状態でラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置に到達するのを規制する。干渉部34は、リッド部材30におけるラッチ解除ハンドル20の移動軌跡内を通過し得る箇所に設けられている。具体的には、干渉部34は、周縁部32(具体的には、そのドア内方に向いた内面)に一体に設けられている。干渉部34は、リッド部材30が閉位置に位置する状態でラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置へ向けて移動する過程でそのラッチ解除位置に至る前にラッチ解除ハンドル20に干渉してそのラッチ解除ハンドル20を位置規制する。
【0055】
尚、干渉部34は、リッド部材30の周縁部32の内面からドア内方Iへ突出していてもよく、また、周縁部32の内面に沿って前後方向F/Bに延在していてもよい。この場合、周縁部32からの干渉部34の突出長は、ラッチ解除ハンドル20のラッチ解除位置到達前の位置規制を確保するために必要な大きさに設定されていればよい。また、干渉部34の前後方向F/Bの長さは、ラッチ解除ハンドル20の前後方向F/Bの長さに対応していればよい。更に、干渉部34は、前後方向F/Bに隙間なく延在していてもよいが、前後方向F/Bに隙間を空けて点在していてもよい。更に、干渉部34は、リッド部材30の移動に伴って移動すればよく、リッド部材30に一体に設けられていてもよく、別体でリッド部材30に取り付けられていてもよい。
【0056】
駆動装置40は、リッド部材30を閉位置と開位置との間で移動させる装置である。駆動装置40は、電動アクチュエータ41と、駆動用回転部材42と、を有している。駆動装置40は、電動アクチュエータ41の駆動により駆動用回転部材42を回転させてリッド部材30を移動させる。
【0057】
電動アクチュエータ41は、駆動用回転部材42を回転駆動するアクチュエータである。電動アクチュエータ41は、電力供給により作動するモータである。電動アクチュエータ41は、正転方向及び逆転方向の双方に回転可能である。電動アクチュエータ41は、ベース部材10に収容されている。尚、電動アクチュエータ41は、ベース部材10の外方において隙間空間3bに収容され、ベース部材10に隣接して配置されていてもよい。電動アクチュエータ41は、ベース部材10に取り付けられている。電動アクチュエータ41の出力軸は、直接に或いは減速機を介して駆動用回転部材42に連結されている。
【0058】
電動アクチュエータ41の作動は、マイクロコンピュータを主体に構成された制御部により制御される。この制御部は、車両ドア3の開放を要求する操作が行われた場合に、リッド部材30が閉位置から開位置に向けて移動するように電動アクチュエータ41を作動させる。リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する際の電動アクチュエータ41の作動量は、予め定められている。制御部は、電動アクチュエータ41の作動を開始させた後、その作動量がリッド部材30の開位置相当に達した場合にその作動を停止させる。
【0059】
尚、上記の開放要求操作は、例えば、リッド部材30がアウタパネル3aに対してドア内方Iへ押込み操作されたこと、リッド部材30の外面に設けられたスイッチが押下されたこと、操作者の携帯する携帯機との間で無線通信による照合が完了したこと、その携帯機に設けられたロック解除スイッチやラッチ解除スイッチが押下されたこと、又はこれらの組み合わせ操作などである。
【0060】
また、制御部は、車両ドア3の閉塞を要求する操作が行われた場合に、リッド部材30が開位置から閉位置に向けて移動するように電動アクチュエータ41を作動させる。制御部は、電動アクチュエータ41の作動を開始させた後、その作動量がリッド部材30の閉位置相当に達した場合にその作動を停止させる。
【0061】
尚、この閉塞要求操作は、例えば、操作者の手が収容空間13から引き抜かれたことが検知されたこと、リッド部材30の外面に設けられたスイッチが押下されたこと、操作者の携帯する携帯機との間の無線通信が成立しなくなったこと、その携帯機に設けられたロックスイッチやラッチスイッチが押下されたこと、又はこれらの組み合わせ操作などである。
【0062】
尚、制御部は、リッド部材30が閉位置に位置する際は電動アクチュエータ41によりリッド部材30を閉位置に保持するトルクを駆動用回転部材42に発生させることとするのが、リッド部材30が車両振れなどにより閉位置において小刻みに振動して異音などが発生するのを防止するうえでは好適である。
【0063】
また、制御部は、後述のセンサ部91(
図10及び
図17参照)を用いてリッド部材30が閉位置に位置することを検知し、例えば、電動アクチュエータ41の作動によるリッド部材30の開位置から閉位置への移動制御中においてリッド部材30の閉位置検知がなされた場合にその電動アクチュエータ41の作動をリッド部材30の閉位置保持用に切り替えることとしてもよい。尚、制御部は、センサ部91の検知情報に依ることなく、電動アクチュエータ41の作動によるリッド部材30の開位置から閉位置への移動制御を予め定められたタイミングだけ行い、その後に、電動アクチュエータ41の作動をリッド部材30の閉位置保持用に切り替えることとしてもよい。
【0064】
駆動用回転部材42は、前後方向F/Bすなわちリッド部材30の面部に平行に延びる軸線を中心にして回転駆動される軸体である。駆動用回転部材42は、円柱状又は円筒状に形成されている。駆動用回転部材42は、電動アクチュエータ41の発生する駆動力により回転駆動される。駆動用回転部材42は、収容空間13に収容されている。駆動用回転部材42は、ベース部材10(具体的には、ロア部材11の前後二つの側壁11b側)に回転可能に支持されている。駆動用回転部材42の一端部((例えば、ベース部材10の表面側から見て左側の端部)は、ロア部材11の側壁11bを貫通する電動アクチュエータ41の出力軸に連結されている。
【0065】
ロア部材11は、突出壁11eのドア内方側の端部に設けられた断面半円状の支持溝(図示せず)を有している。この支持溝は、突出壁11eの中部に設けられている。また、アッパ部材12は、突出壁12eのドア外方側の端部に設けられた断面半円状の支持溝(図示せず)を有している。この支持溝は、突出壁12eの中部に設けられている。これらのロア部材11の支持溝とアッパ部材12の支持溝とは、アッパ部材12がロア部材11に取り付け固定された状態で、駆動用回転部材42を支持する一つの円形支持孔を形成する。駆動用回転部材42は、ロア部材11の支持溝とアッパ部材12の支持溝とに嵌った状態でベース部材10に回動可能に支持される。
【0066】
駆動装置40は、駆動用回転部材42の回転をリッド部材30の移動に変換する変換機構44を有している。変換機構44は、ラックアンドピニオン方式で駆動用回転部材42の回転をリッド部材30の閉位置と開位置との間の移動に変換する。具体的には、変換機構44は、所定間隔で並んだ複数の歯を有し線状に延びるラック部45と、円形歯車からなるピニオン部46と、を有している。ラック部45とピニオン部46とは、互いに係合して、駆動用回転部材42の回転をリッド部材30の移動に変換する。
【0067】
ラック部45は、リッド部材30に設けられている。ラック部45は、
図4に示す如く、第一ラック部45aと、第二ラック部45bと、を含む。すなわち、リッド部材30は、第一ラック部45aと、第二ラック部45bと、を有している。第一ラック部45aは、リッド部材30に所定距離離れて一対設けられている。第二ラック部45bは、リッド部材30に所定距離離れて一対設けられている。
【0068】
第一ラック部45aは、直線状に延びる部位である。第一ラック部45aは、周縁部32のドア内方側の面に形成されており、平面部32aに配置されている。第一ラック部45aは、上下方向に直線状に延びている。第一ラック部45aの長さは、リッド部材30を閉位置と開位置との間で移動させるうえで必要な大きさに設定されており、例えばリッド部材30の開位置状態で開口3d,11cを完全に開放するのに必要な大きさであることが好ましい。この第一ラック部45aの長さは、例えば、駆動用回転部材42が1.5回転する程度の長さであってよい。第一ラック部45aの歯は、ドア内方に向けて突出しつつ前後方向に延びた形状を有し、第一間隔で上下方向に並んでいる。一対の第一ラック部45aは、周縁部32における閉塞部31に対する前後箇所に配置されている。
【0069】
第二ラック部45bは、所定曲率で湾曲状に延びる部位である。第二ラック部45bは、周縁部32のドア内方側の面に形成されており、湾曲部32bに配置されている。第二ラック部45bは、前後方向に延びる軸線を中心にして湾曲している。第二ラック部45bの曲率は、リッド部材30の閉位置近傍での移動によってリッド部材30をベース部材10やアウタパネル3aに干渉させることなくリッド部材30の内外方向I/Oへの移動と上下方向U/Dへの移動とをスムースに移行させるうえで必要な大きさに設定されている。第二ラック部45bの歯は、湾曲中心に向けて突出しつつ前後方向F/Bに延びた形状を有し、第二間隔で湾曲面に沿って略上下方向U/Dに並んでいる。
【0070】
第二ラック部45bは、第一ラック部45aに対して下方に配置されている。第二ラック部45bは、一端(すなわち、第一ラック部45aとの接続端)から他端にかけて下方側かつドア内方側に位置するように湾曲している。第二ラック部45bの他端近傍は、内外方向に向けて直線状に延びている。この部分の直線距離は、少なくとも閉塞部31の内外方向厚さに設定されている。一対の第二ラック部45bは、周縁部32における閉塞部31に対する前後箇所に配置されている。
【0071】
第一ラック部45aと第二ラック部45bとは、前後方向すなわち駆動用回転部材42の軸線が延びる方向に互いにずれて配置されている。すなわち、第一ラック部45aと第二ラック部45bとは、端部同士が互いに同じ前後方向位置で直接的に繋がる状態には配置されておらず、周縁部32において斜に配置されている。尚、第一ラック部45aと第二ラック部45bとは、リッド部材30の閉位置と開位置との間のスムースな移動を確保できるのであれば、例えば歯の一山同士が重なるように配置されていてもよいし、歯が全く重ならないように斜に配置されていてもよい。
【0072】
ピニオン部46は、駆動用回転部材42に設けられている。ピニオン部46は、
図4に示す如く、第一ピニオン部46aと、第二ピニオン部46bと、を含む。すなわち、駆動用回転部材42は、第一ピニオン部46aと、第二ピニオン部46bと、を有している。第一ピニオン部46aは、駆動用回転部材42に所定距離離れて一対設けられている。第二ピニオン部46bは、駆動用回転部材42に所定距離離れて一対設けられている。
【0073】
第一ピニオン部46aは、第一ラック部45aに係合する部位である。第二ピニオン部46bは、第二ラック部45bに係合する部位である。第一ピニオン部46a及び第二ピニオン部46bはそれぞれ、駆動用回転部材42の外面に形成され或いは取り付けられており、駆動用回転部材42の両端に配置されている。一対の第一ピニオン部46aは、一対の第一ラック部45aに対応した箇所に配置されている。一対の第二ピニオン部46bは、一対の第二ラック部45bに対応した箇所に配置されている。
【0074】
第一ピニオン部46aと第二ピニオン部46bとは、駆動用回転部材42の外面において前後方向すなわち駆動用回転部材42の軸線が延びる方向に互いにずれて配置されている。
【0075】
リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する過程で、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合と、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとの係合と、は所定順に連続して生じる。具体的には、リッド部材30が閉位置から開位置へ移動するときは、当初は第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合し、その後、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが非係合になった以後に、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが係合する。また、リッド部材30が開位置から閉位置へ移動するときは、当初は第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが係合し、その後、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが非係合になった以後に、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合する。
【0076】
尚、駆動用回転部材42が一回転する間に第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが係合しながら相対移動する距離(以下、第一ピッチ長と称す。)と、駆動用回転部材42が一回転する間に第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合しながら相対移動する距離(以下、第二ピッチ長と称す。)と、は互いに同じであってもよいが、互いに異なっていてもよい。例えば、リッド部材30がベース部材10の底壁11aに当接して閉位置に達する際のリッド部材30とロア部材11との衝撃を緩和するうえでは、或いは、リッド部材30が開位置に向けてドア下方Dに移動する際及び開位置からドア上方Uに移動する際の移動速度を高めるうえでは、第二ピッチ長が第一ピッチ長に比べて短いのが好適である。
【0077】
以下、車両用ドアハンドル装置1の動作について説明する。
まず、車両用ドアハンドル装置1の通常動作について説明する。
車両ドア3が車体に対して閉じられているときは、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置に位置しておりかつリッド部材30が閉位置に位置している(
図11(A)及び
図12(A))。
【0078】
このとき、リッド部材30のラック部45と駆動用回転部材42のピニオン部46とは、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが非係合となりかつ第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合するように位置している。具体的には、第二ピニオン部46bは、湾曲部32bの他端近傍で第二ラック部45bに係合している。また、リッド部材30のガイド部33は、ベース部材10のガイド溝14のうち曲線部14bの他端近傍に位置している。尚、このとき、リッド部材30(すなわち、閉塞部31)のドア外方側の表面は、アウタパネル3aの表面と面一であるので、車両ドア3の外観意匠性は確保されている。
【0079】
また、車両ドア3の開放を要求する操作が行われると、リッド部材30が閉位置から開位置に向けて移動するように電動アクチュエータ41が作動される。この電動アクチュエータ41の作動が行われると、駆動用回転部材42が
図5、
図11、及び
図13に示す右回り方向に回転駆動される。
【0080】
リッド部材30が閉位置に位置する状態では、上記の如く、湾曲部32bの他端近傍すなわち第二ラック部45bの他端近傍で第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合しかつガイド部33が曲線部14bの他端近傍に位置している。湾曲部32bの他端近傍、第二ラック部45bの他端近傍、及び曲線部14bの他端近傍は、内外方向に向けて直線状に延びている。このため、駆動用回転部材42が上記の右回り方向に回転駆動される当初は、リッド部材30がベース部材10に対してドア内方に移動する。そしてその後は、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合しながらガイド部33が曲線部14bに嵌る(
図11(B))。この場合には、リッド部材30が第二ラック部45bの曲率に応じてベース部材10に対してドア内方を含む斜め下方に旋回移動する。
【0081】
次に、ガイド部33の曲線部14bでの移動が進行すると、やがて、リッド部材30のラック部45と駆動用回転部材42のピニオン部46との係合が、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとの係合から第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合に切り替わり、ガイド部33が直線部14aに嵌る。第一ラック部45a及び直線部14aは、上下方向に直線状に延びている。このため、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが係合する際は、リッド部材30がベース部材10に対して下方に移動する。そして、第一ラック部45aの上端部が第一ピニオン部46aに係合しかつガイド部33が直線部14aの下端部に達すると、リッド部材30の移動が停止され、リッド部材30が開位置に至る(
図9、
図11(C)、及び
図12(B))。そして、リッド部材30が開位置に達すると、電動アクチュエータ41の作動がリッド部材30を開位置に保持するための制御に切り替わる。
【0082】
リッド部材30が開位置に位置する状態では、操作者は、手を車両ドア3のドア外方O側から開口3d,11cを通じて収容空間13に挿入することが可能であり、収容空間13内のラッチ解除ハンドル20を付勢部材の付勢力に抗してラッチ解除位置までラッチ解除操作することが可能である。ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除操作されて
図15に示す如くラッチ解除位置に達すると、ドアラッチ装置により車両ドア3の車体に対するラッチが解除され、そのラッチ解除状態で更に、操作者によりラッチ解除ハンドル20と一緒に車両ドア3がドア外方側に引っ張り操作されることにより車両ドア3が開放される。
【0083】
ラッチ解除ハンドル20への操作者によるラッチ解除操作が解除されると、ラッチ解除ハンドル20が付勢部材の付勢力によりラッチ位置に向けて移動する。そして、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置に達すると、ドアラッチ装置により車両ドア3の車体に対するラッチの実行が可能になる。そして、かかるラッチ可能な状態で車両ドア3が開放側から押されて閉じられることにより、車両ドア3が閉じた状態でラッチされる。
【0084】
また、操作者の手が収容空間13から引き抜かれた後、所定条件が成立すると、リッド部材30が開位置から閉位置に向けて移動するように電動アクチュエータ41が作動される。この電動アクチュエータ41の作動が行われると、駆動用回転部材42が
図5、
図11、及び
図13に示す左回り方向に回転駆動される。
【0085】
リッド部材30が開位置に位置する状態では、第一ラック部45aの上端近傍で第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが係合しかつガイド部33が直線部14aの下端近傍に位置している。第一ラック部45a及び直線部14aは、上下方向に直線状に延びている。このため、駆動用回転部材42が上記の左回り方向に回転駆動されると、リッド部材30がベース部材10に対して上方に移動する。
【0086】
次に、ガイド部33の直線部14aでの移動が進行すると、やがて、リッド部材30のラック部45と駆動用回転部材42のピニオン部46との係合が、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合から第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとの係合に切り替わり、ガイド部33が曲線部14bに嵌る(
図11(B))。この場合には、リッド部材30が第二ラック部45bの曲率に応じてベース部材10に対してドア外方を含む斜め上方に旋回移動する。
【0087】
そして、第二ラック部45bの他端近傍で第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合しかつガイド部33が曲線部14bの他端近傍に達する(
図13(A)及び
図14(A))。第二ラック部45bの他端近傍及び曲線部14bの他端近傍は、内外方向に向けて直線状に延びている。このため、第二ラック部45bの他端近傍で第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合しかつガイド部33が曲線部14bの他端近傍に達すると、リッド部材30がベース部材10に対してドア外方に移動する。
【0088】
そして最後に、第二ラック部45bの他端部が第二ピニオン部46bに係合しかつガイド部33が曲線部14bの他端部に達すると、リッド部材30の移動が停止され、リッド部材30が閉位置に至る(
図11(A)、
図12(A)、
図13(B)、及び
図14(B))。そして、リッド部材30が閉位置に達すると、電動アクチュエータ41の作動がリッド部材30を閉位置に保持するための制御に切り替わる。
【0089】
このように、車両用ドアハンドル装置1においては、ラックアンドピニオン方式でリッド部材30を、アウタパネル3aの開口3dを閉じる閉位置とその開口3dを開放する開位置との間で二方向に移動させることができる。具体的には、リッド部材30が閉位置近傍に位置するときは、そのリッド部材30を内外方向に移動させ、リッド部材30が閉位置近傍を外れたときは、そのリッド部材30を上下方向に移動させることができる。
【0090】
この構成によれば、リッド部材30が閉位置近傍で内外方向I/Oに移動するので、リッド部材30がアウタパネル3aやベース部材10における開口3d,11cに干渉することを防止することができると共に、リッド部材30が閉位置近傍以外では車両ドア3に沿って上下方向U/Dに移動するので、開口3d,11cを開閉させて収容空間13をドア外方側に露出させることができる。
【0091】
また、車両用ドアハンドル装置1において、上記の如くリッド部材30を閉位置近傍で内外方向I/Oに移動させかつ閉位置近傍以外で上下方向U/Dに移動させる移動機構が、ラック部45とピニオン部46とを用いたラックアンドピニオン方式である。リッド部材30の閉位置近傍での内外方向I/Oへの移動は、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合により実現されると共に、リッド部材30の閉位置近傍以外での上下方向U/Dへの移動は第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合により実現される。そして、リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する過程で、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合と、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとの係合と、は所定順に連続して生じる。
【0092】
この構成によれば、リッド部材30を、車両ドア3に平行に保ちつつ、閉位置近傍で内外方向I/Oに移動させると共に、閉位置近傍以外で上下方向U/Dに移動させ、更に、内外方向I/Oへの移動と上下方向U/Dへの移動との切り替え箇所でそれらの方向I/O,U/Dの移動成分が共に含まれるように旋回移動させることができる。このため、リッド部材30の閉位置と開位置との間の移動をスムースに行うことができる。
【0093】
また、ラック部45は、上下方向U/Dに直線状に延びる第一ラック部45aと、前後方向F/Bに延びる軸線を中心にして所定曲率で湾曲状に延びる第二ラック部45bと、を有する。ピニオン部46は、第一ラック部45aに係合する第一ピニオン部46aと、第二ラック部45bに係合する第二ピニオン部46bと、を有する。この構成においては、リッド部材30を内外方向I/Oに移動させると共に上下方向U/Dに移動させて閉位置と開位置との間で移動させる構造を簡易なものとすることができる。
【0094】
従って、車両用ドアハンドル装置1によれば、ラックアンドピニオン方式でのリッド部材30の閉位置と開位置との間での移動(具体的には、内外方向I/O及び上下方向U/Dの二方向移動)をスムースにかつ簡易な構造で実現することができる。
【0095】
また、第一ラック部45aと第二ラック部45bとは、リッド部材30において軸線の延びる前後方向F/Bに互いにずれて配置されている。また、第一ピニオン部46aと第二ピニオン部46bとは、駆動用回転部材42の外面に前後方向F/Bに互いにずれて配置されている。このため、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合によるリッド部材30の内外方向I/Oへの移動と、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとの係合によるリッド部材30の上下方向U/Dへの移動と、をそれぞれ個別にパラメータ設定することができ、これにより、リッド部材30を閉位置と開位置との間で移動させるうえでの設計自由度を上げることができる。
【0096】
また、リッド部材30は、閉位置と開位置との間での移動時、ガイド機構によりガイドされる。リッド部材30は、ガイド部33を有する。そして、ベース部材10は、ガイド部33が摺動可能に嵌ってリッド部材30がガイドされるガイド溝14を有する。このガイド溝14は、周縁部32の平面部32aに対応して上下方向U/Dに直線状に延びる直線部14aと、周縁部32の湾曲部32bに対応して所定曲率で湾曲状に延びる曲線部14bと、を有する。このため、リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する際に、リッド部材30の姿勢を予め定められた姿勢に保つことができる。
【0097】
特に、ガイド部33は、板状のリッド部材30に合わせて四箇所設けられており、ガイド溝14は、それらのガイド部33に合わせて四箇所設けられている。このため、リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する際に、リッド部材30の姿勢を車両ドア3に平行な姿勢に保つことができる。
【0098】
尚、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとが係合する第二ピッチ長は、第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとが係合する第一ピッチ長に比べて短く設定されていてもよい。第一ラック部45aと第一ピニオン部46aとの係合は、リッド部材30の上下方向U/Dの移動に寄与し、第二ラック部45bと第二ピニオン部46bとの係合は、リッド部材30の内外方向I/Oの移動に寄与する。このため、この構成によれば、リッド部材30が閉位置に達する際におけるリッド部材30の内外方向I/Oへの移動速度を抑制しつつ、リッド部材30が上下方向U/Dに移動する際の移動速度を高めることができるので、リッド部材30が閉位置に達する際のリッド部材30とロア部材11との衝撃を緩和しつつ、リッド部材30の上下方向U/Dへの移動を速やかに実現することができる。
【0099】
また、このように第一ピッチ長と第二ピッチ長とが互いに異なることが許容される構成によれば、第二ラック部45bをできるだけ小さい曲率半径で形成して第二ピッチ長をできるだけ短くすることができる。このため、リッド部材30の移動を内外方向I/Oへの移動と上下方向U/Dへの移動との間で切り替えるうえで、ラックアンドピニオンの歯車同士を干渉させることなく急激な角度変化を実現することができるので、その実現のために開口3d,11cの形状などが制限されるのを回避することができる。
【0100】
また、車両用ドアハンドル装置1においては、リッド部材30がアウタパネル3aの開口3dを閉じる閉位置からその開口3dを開放する開位置に向けてドア内方Iへ移動した後、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置までドア外方O側に引かれてラッチ解除操作されることにより、車両ドア3のラッチが解除される。
【0101】
この構成においては、ラッチ解除ハンドル20がラッチ解除操作されて車両ドア3のラッチを解除するうえで、リッド部材30などの部品が車両ドア3のアウタパネル3aよりもドア外方O側に突出することが無い。このため、車両ドア3のラッチ解除操作時に車両ドア3の外観意匠性が損なわれるのを抑えることができる。
【0102】
また、上記の構成においては、リッド部材30の閉位置と開位置との間の移動が収容空間13内に限定されるので、駆動装置40などに故障が生じても、車両走行中などにリッド部材30などの部品が車両ドア3のアウタパネル3aよりもドア外方O側に突出したままになることが無い。このため、駆動装置40などの故障時に車両ドア3の外観意匠性が損なわれるのを抑えることができると共に、車両走行中の空力特性が低下するのを抑えることができる。
【0103】
ところで、ラッチ解除ハンドル20は、付勢部材によりラッチ位置側に付勢されており、ラッチ解除操作が入力されない状態ではラッチ位置に維持される。また、ラッチ解除ハンドル20は、ラッチ位置では回動軸22からドア下方Dを含む斜め下方に延びている。このため、この構造では、自車両ドア3側への車両側突などでドア内方Iへ衝撃荷重が入力されると、その自車両ドア3のラッチ解除ハンドル20が慣性力によりラッチ解除位置側へ回動し、その自車両ドア3が意図せずにラッチ解除位置に達してラッチ解除されるおそれがある。
【0104】
これに対して、車両用ドアハンドル装置1において、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置とラッチ解除位置との間で移動する移動軌跡と、リッド部材30が閉位置と開位置との間で移動する移動軌跡と、は互いに重なり合う範囲を有している。具体的には、ラッチ解除ハンドル20のラッチ解除位置近傍の領域とリッド部材30の閉位置近傍の領域とが互いに重なり合う。このため、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とは、互いに干渉し得る。
【0105】
また、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置に向けて移動する移動方向と、リッド部材30の閉位置から開位置に向けて移動する移動方向と、は相対する方向である。具体的には、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置に向けて移動する過程でのラッチ解除位置の直前にはラッチ解除ハンドル20の径方向先端部がドア外方Oへ移動し、一方、リッド部材30が閉位置から開位置に向けて移動する際にはそのリッド部材30がベース部材10に対してドア内方Iへ移動する。
【0106】
上記の構成においては、リッド部材30が閉位置に位置する状態で、車両ドア3のドア内方Iへ衝撃荷重が入力されると、ラッチ解除ハンドル20が慣性力によりラッチ解除位置側へ移動すると共に、リッド部材30が閉位置に位置しつつ慣性力によりベース部材10の底壁11a側に押し付けられる。また、リッド部材30は、閉位置では電動アクチュエータ41によるトルクにより閉位置保持される。
【0107】
そして、リッド部材30が開位置に位置する(より詳細には、リッド部材30が移動軌跡における上記の重なり合う範囲を外れている)状態では、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置とラッチ解除位置との間で移動するのにラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とが干渉することは無い。一方、
図16に示す如く、リッド部材30が閉位置に位置する(より詳細には、リッド部材30が移動軌跡における上記の重なり合う範囲内に位置している)状態では、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置に至る前にリッド部材30の干渉部34と干渉して位置規制される。このため、リッド部材30が閉位置に位置する状態では、ラッチ解除ハンドル20が移動してもラッチ解除位置に到達することは規制される。
【0108】
従って、リッド部材30の閉位置状態では、車両ドア3のドア内方Iへの衝撃荷重の入力による慣性力によりラッチ解除ハンドル20がラッチ解除位置側へ移動しても、車両ドア3のラッチが解除されるのを回避することができるので、車両ドア3の意図しない開放を防止することができる。
【0109】
更に、車両ドア3の意図しない開放を防止するうえでは、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とを互いに干渉させれば十分であるので、慣性ストッパなどの別途専用の部品などを配置することは不要であり、部品点数の削減及び収容スペースの削減を図ることができる。従って、簡易な構造で、車両ドア3の意図しない開放を防止することができる。
【0110】
尚、車体左右反対側の車両ドア3側への車両側突などで自車両ドア3のドア外方Oへ衝撃荷重が入力された場合は、一旦、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置から更にラッチ解除位置から離れる方向へ回動するが、その後、反動でラッチ解除位置側へ回動してラッチ解除位置に達する可能性がある。また、この衝撃荷重入力時は、リッド部材30がまず慣性力によりベース部材10に対して閉位置から離れるドア内方Iへ移動し得るので、ラッチ解除ハンドル20がラッチ解除位置に至る前にリッド部材30に干渉できず、自車両ドア3のラッチが意図せずに解除されるおそれがある。
【0111】
車両用ドアハンドル装置1において、駆動装置40は、駆動用回転部材42を回転駆動する電動アクチュエータ41を有する。この構成において、駆動用回転部材42は、電動アクチュエータ41による回転駆動時以外はその電動アクチュエータ41との摩擦抵抗により回転規制され、更に、リッド部材30が閉位置に位置する際は電動アクチュエータ41によりそのリッド部材30を閉位置に保持するトルクを発生する。このため、上記した車両ドア3へのドア内方への側突時及びドア外方への側突時の何れでラッチ解除ハンドル20やリッド部材30に慣性力が加わっても、リッド部材30が閉位置から開位置に向けて移動するのを抑えることができる。
【0112】
従って、リッド部材30の閉位置状態で上記した何れの側突が生じても、ラッチ解除ハンドル20とリッド部材30との干渉が生じる前にリッド部材30が移動軌跡における上記の重なり合う範囲から外れるのを防止することができ、ラッチ解除ハンドル20がラッチ位置からラッチ解除位置に至る前に確実に上記の干渉を生じさせてラッチ解除ハンドル20の位置規制を行うことができるので、車両ドア3の意図しない開放の防止機能を向上させることができる。
【0113】
車両用ドアハンドル装置1において、車両ドア3の意図しない開放を防止させるためには、閉位置にあるリッド部材30にラッチ解除ハンドル20を干渉させることが必要であるので、ラッチ解除ハンドル20の意図しない移動が発生したときに、リッド部材30が現に閉位置に位置していること及びリッド部材30におけるラッチ解除ハンドル20が干渉し得る箇所が現に存在していることが要求される。
【0114】
そこで、車両ドア3の上記干渉防止機能の信頼性を確保するため、以下のように、異常検知装置90により、車両用ドアハンドル装置1における車両ドア3の意図しない開放の防止機能に異常ないし故障が生じているか否かの検知が行われると共に、その異常が検知される時には車両運転者にその異常が知らされる。
【0115】
異常検知装置90は、
図17に示す如く、センサ部91と、判別部92と、異常判定部93と、指令部94と、通知部95と、を有している。
【0116】
センサ部91は、リッド部材30の干渉部34がラッチ解除位置へのラッチ解除ハンドル20の到達を規制可能であることを検知するセンサである。具体的には、センサ部91は、干渉部34が一体となって移動するリッド部材30が閉位置に位置していることを検知する。尚、センサ部91は、閉位置にあるリッド部材30を検知可能なものであれば、接触式、感圧式、電磁式、光学式、又は超音波式の何れであってもよく、例えば、リミットスイッチやマイクロスイッチ,近接スイッチなどであってもよい。センサ部91は、リッド部材30の位置(特に、リッド部材30が閉位置に位置するか否か)に応じた信号を出力する。
【0117】
また、センサ部91は、閉位置にあるリッド部材30を検知可能なものであれば、ベース部材10とリッド部材30との何れに配置されていてもよい。例えば
図10に示す如く、センサ部91は、ベース部材10のロア部材11に配置されており、リッド部材30が閉位置に位置したときにガイド部33に接して変形する接触式のセンサであってもよい。尚、センサ部91は、リッド部材30の有する四つのガイド部33のすべてに対応して設けられていることが好ましいが、何れかのガイド部33に対応して設けられていてもよい。例えば、上方側二つのガイド部33のうちの何れか一つに対応して設けられていてもよい。
【0118】
センサ部91の出力信号は、コントローラ96に供給される。コントローラ96は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、CPUやRAM,ROMなどを有している。コントローラ96は、センサ部91の出力信号を処理して通知部95の作動制御を行う。また、コントローラ96には、駆動装置40の電動アクチュエータ41を作動させる制御部から電動アクチュエータ41の作動量などの情報が供給される。コントローラ96は、駆動装置40側の制御部から供給された情報に基づいて、電動アクチュエータ41の作動により移動するリッド部材30の位置を検知することが可能である。判別部92、異常判定部93、及び指令部94は、コントローラ96に含まれている。
【0119】
判別部92は、駆動装置40側の制御部が電動アクチュエータ41をリッド部材30が閉位置に移動する分だけ作動させた状態で、センサ部91によりリッド部材30の干渉部34がラッチ解除位置へのラッチ解除ハンドル20の到達を規制可能であることが検知されるか否かを判別する部位である。具体的には、判別部92は、まず、駆動装置40側の制御部から供給される情報に基づいて、電動アクチュエータ41の作動により移動するリッド部材30の位置を検知したうえで、その検知位置がリッド部材30の閉位置になったときすなわち電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させたときにセンサ部91によるリッド閉位置の検知が行われるか否かを判別する。
【0120】
異常判定部93は、判別部92の判別結果に基づいて異常を判定する部位である。具体的には、異常判定部93は、電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させたときにセンサ部91によるリッド閉位置の検知が行われない場合に、車両用ドアハンドル装置1に異常が生じていると判定する。尚、この異常とは、制御部によって電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させているにもかかわらずセンサ部91によるリッド閉位置の検知が行われないために、車両ドア3の意図しない開放の防止が機能しない状況にあることである。
【0121】
指令部94は、異常判定部93の判定結果に基づいて通知部95に対して指令を行う部位である。具体的には、指令部94は、異常判定部93により、電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させたときにセンサ部91によるリッド閉位置の検知が行われないと判別された場合に、通知部95に対して作動指令を行う。
【0122】
通知部95は、車両運転者に異常を知らせる部位である。通知部95は、指令部94からの作動指令に従って異常通知を行う。通知部95は、車両運転者に異常を知らせることができればよく、例えば、車両運転者の視覚を刺激する表示装置や車両運転者の聴覚を刺激するブザーやスピーカ,車両運転者の触覚を刺激する振動体などである。表示装置は、例えば、インストルメントパネル内に設けられた警告灯や、センタコンソールに配置されたモニタなどである。また、振動体は、例えば、ステアリングホイールやシートに内蔵されている。尚、通知部95は、車載機器に限らず、車両運転者の所持する携帯端末などであってもよい。
【0123】
次に、
図18に示す如く、異常検知装置90の動作について説明する。
異常検知装置90において、コントローラ96は、判別部92にて、駆動装置40側の制御部から供給される情報に基づいて、電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させたか否かを判別する(ステップS100)。その結果、電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させていないと判別された場合(ステップS100での否定判定時)は、以後、何ら処理が進められることなくこのルーチンが終了される。
【0124】
一方、ステップS100において電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させたと判別された場合(すなわち、ステップS100での肯定判定時)、次に、コントローラ96は、判別部92にて、センサ部91によりリッド閉位置が検知されるか否かを判別する(ステップS101)。その結果、センサ部91によりリッド閉位置の検知が行われたと判別された場合(ステップS101での肯定判定時)は、以後、何ら処理が進められることなくこのルーチンが終了される。
【0125】
一方、ステップS101においてセンサ部91によりリッド閉位置の検知が行われなかったと判別された場合(すなわち、ステップS101での否定判定時)、コントローラ96は、異常判定部93にて異常判定を行う(ステップS102)。そして、コントローラ96は、指令部94にて、通知部95に対して異常の発生を車両運転者に伝えるように指令を発する(ステップS103)。この場合、通知部95は、指令部94からの作動指令に従って異常通知を行う。
【0126】
このように、異常検知装置90においては、駆動装置40側の制御部による制御によって駆動装置40の電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させたときにセンサ部91によりリッド部材30が閉位置に位置することが検知されるか否かが判別され、そのリッド閉位置の検知がなされない場合に異常判定が行われ、通知部95から車両運転者に異常通知がなされる。
【0127】
この構成においては、制御部による制御によって電動アクチュエータ41がリッド部材30を閉位置まで移動させた状況にあるにもかかわらずそのリッド部材30が閉位置に位置しないとき、ラッチ解除ハンドル20がリッド部材30の干渉部34に干渉できずに車両ドア3の意図しない開放の防止が機能しない異常を検知することができる。そして、その異常を通知部95を通じて車両運転者に知らせることができる。
【0128】
例えば、電動アクチュエータ41や駆動用回転部材42の故障などでリッド部材30が閉位置まで移動できない事態や、リッド部材30におけるラッチ解除ハンドル20と干渉し得る干渉部34が破損してラッチ解除ハンドル20とリッド部材30とが干渉できない事態などが生じているときに、その異常を検知して車両運転者に知らせることができる。
【0129】
従って、異常検知装置90によれば、車両ドア3の意図しない開放を防止する機能が損なわれる状況にあることを検知して車両運転者に知らせることができるので、車両運転者に車両用ドアハンドル装置1を構成する部品の交換や修理を促して車両用ドアハンドル装置1の経年劣化による故障リスクを減らして、車両ドア3の意図しない開放防止機構の信頼性を向上させることができる。
【0130】
尚、上記の実施形態においては、干渉部34が特許請求の範囲に記載した「規制部材」に、ラッチ位置が特許請求の範囲に記載した「基準位置」に、ラッチ解除位置が特許請求の範囲に記載した「所定解除位置」に、それぞれ相当している。
【0131】
ところで、上記の実施形態においては、第一ラック部45aと第二ラック部45bとがリッド部材30において前後方向F/Bに互いにずれて配置され、第一ピニオン部46aと第二ピニオン部46bとが駆動用回転部材42において前後方向F/Bに互いにずれて配置されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、駆動用回転部材42が一回転する間にリッド部材30が閉位置と開位置との間で移動できる構造では、第一ラック部45aと第二ラック部45bとがリッド部材30において前後方向F/Bに互いにずれることなく同じ前後方向位置に上下方向U/Dに分かれて配置され、第一ピニオン部46aと第二ピニオン部46bとが駆動用回転部材42において前後方向F/Bに互いにずれることなく同じ前後方向位置に角度領域を分けて配置されていてもよい。
【0132】
また、上記の実施形態においては、
図4などに示す如く、第一ラック部45aが周縁部32の外側に配置され、第二ラック部45bが周縁部32の内側に配置され、第二ラック部45bが第一ラック部45aよりも閉塞部31側に配置されている。また、第一ピニオン部46aが駆動用回転部材42の軸線方向外側に配置され、第二ピニオン部46bが駆動用回転部材42の軸線方向内側に配置されている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、第一ラック部45aと第二ラック部45bとの配置、及び、第一ピニオン部46aと第二ピニオン部46bとの配置それぞれが、逆であってもよい。
【0133】
また、上記の実施形態においては、規制部材としての干渉部34が、リッド部材30に設けられてリッド部材30の移動に伴って移動する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば駆動用回転部材42が一回転する間にリッド部材30が閉位置と開位置との間で移動できる構造においては、規制部材としての干渉部34が、リッド部材30とは異なる例えば駆動用回転部材42に設けられて、リッド部材30の閉位置状態でのラッチ解除ハンドル20の位置規制を行うこととしてもよい。
【0134】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0135】
1:車両用ドアハンドル装置、3:車両ドア、3a:アウタパネル、3d:開口、10:ベース部材、13:収容空間、14:ガイド溝、20:ラッチ解除ハンドル、30:リッド部材、31:閉塞部、32:周縁部、33:ガイド部、34:干渉部、40:駆動装置、41:電動アクチュエータ、42:駆動用回転部材、44:変換機構、45:ラック部、45a:第一ラック部、45b:第二ラック部、46:ピニオン部、46a:第一ピニオン部、46b:第二ピニオン部、50:シール部材、90:異常検知装置、91:センサ部、92:判別部、93:異常判定部、94:指令部、95:通知部、96:コントローラ。