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特開2023-97311液状洗浄剤組成物及び硬化性組成物の洗浄方法
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  • 特開-液状洗浄剤組成物及び硬化性組成物の洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097311
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】液状洗浄剤組成物及び硬化性組成物の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230630BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20230630BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20230630BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
C11D17/08
C08G59/50
C11D7/26
C11D7/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064848
(22)【出願日】2022-04-09
(31)【優先権主張番号】P 2021212893
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000162434
【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 一郎
【テーマコード(参考)】
4H003
4J036
【Fターム(参考)】
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA09
4H003DA12
4H003EA16
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB14
4H003ED28
4H003ED29
4H003ED30
4H003FA04
4J036AD04
4J036AD08
4J036AD15
4J036DC02
4J036HA02
4J036JA07
4J036JA15
4J036KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シール剤等の硬化性樹脂組成物を使用して、硬化性樹脂組成物と接触した器具や基材の表面の硬化性樹脂組成物残渣又は硬化性樹脂組成物硬化体の洗浄性を向上する液状洗浄剤組成物と当該液状洗浄剤組成物を使用した特定の硬化性樹脂組成物の洗浄方法を提供する。
【解決手段】脂肪族多価アルコール(化合物A)、有機溶剤(化合物A)及び水に溶けると塩基を放出する化合物(化合物A)を含む液状洗浄剤組成物;及び、
硬化性化合物(化合物B)及びアミン系硬化剤化合物(化合物B)を含む硬化性樹脂組成物を、前記液状洗浄剤組成物で洗浄する硬化性樹脂組成物の洗浄方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族多価アルコール(化合物A)、有機溶剤(化合物A)(但し、前記化合物Aを除く)及び水に溶けると塩基を放出する化合物(化合物A)を含む液状洗浄剤組成物。
【請求項2】
硬化性化合物(化合物B)及びアミン系硬化剤化合物(化合部B)を含む硬化性樹脂組成物を洗浄するための請求項1記載の液状洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記硬化性樹脂組成物が、さらにフィラー(化合物B)を含む請求項2記載の液状洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記硬化性樹脂組成物がシール剤である請求項2記載の液状洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記硬化性樹脂組成物が液晶表示素子用シール剤である請求項4記載の液状洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項2~4のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物が接触した基材を、請求項1記載の液状洗浄剤組成物で洗浄する硬化性樹脂組成物接触基材の洗浄方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状洗浄剤組成物と、当該液状洗浄剤組成物を使用した特定の硬化性樹脂組成物の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、硬化性樹脂組成物である場合がある工業用シール剤は、基材表面の一定の領域に粘性流体を含む液体や気体の通過を防ぐために基材表面の一部又は全部を密封するために使用される。
【0003】
シール剤が流動し易い粘性流体の場合、シリンジにシール剤を充填してディスペンサを用いて基材に塗工される場合があり、シリンジは使用後にシリンジヘッド、ノズル、その他の部品に分解され、アセトン等有機溶剤で洗浄して繰り返して使用される。
【0004】
シール剤としては、例えば、液晶表示セルの製造において用いられるシール剤である、エポキシ化合物を含む滴下シール剤組成物が開示されている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-095795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、シール剤を充填した後のシリンジは、洗浄して繰り返して使用する場合、シール剤によってはアセトン等有機溶剤による洗浄性が悪いという課題がある。
【0007】
また、シール剤が硬化性樹脂組成物である場合、基材上に塗工され硬化した後のシール剤硬化体が基材に固着して洗浄し難いという課題がある。
【0008】
洗浄が十分になされないシール剤の残渣は、シール剤を使用する工程における歩留まりの悪化の原因となっている。
【0009】
本発明の課題は、シール剤等の硬化性樹脂組成物を使用して、硬化性樹脂組成物と接触した器具や基材の表面の硬化性樹脂組成物残渣又は硬化性樹脂組成物硬化体の洗浄性を向上する液状洗浄剤組成物と当該液状洗浄剤組成物を使用した特定の硬化性樹脂組成物の洗浄方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
〔1〕脂肪族多価アルコール(化合物A)、有機溶剤(化合物A)及び水に溶けると塩基を放出する化合物(化合物A)を含む液状洗浄剤組成物(以下「本発明1」ともいう);
及び、
〔2〕硬化性化合物(化合物B)及びアミン系硬化剤化合物(化合部B)を含む硬化性樹脂組成物を、前項〔1〕記載の液状洗浄剤組成物で洗浄する硬化性樹脂組成物の洗浄方法(以下「本発明2」ともいう)に関する。
【0011】
なお、以下では、本発明1及び2をまとめて「本発明」ともいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シール剤等の硬化性樹脂組成物を使用して、硬化性樹脂組成物と接触した器具や基材の表面の硬化性樹脂組成物残渣又は硬化性樹脂組成物硬化体の洗浄性を向上する液状洗浄剤組成物と当該液状洗浄剤組成物を使用した特定の硬化性樹脂組成物の洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】洗浄試験1での洗浄実施例1-2を使用した液晶シール剤塗布SUS板である。
図2】洗浄試験1のStep1の模式図である。
図3】洗浄試験1での観察2-2、観察2-1A及び観察2-2Aの結果例である。
図4】洗浄試験2での観察2-2及び観察2-2Aの結果例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《本発明1》
本発明1は、脂肪族多価アルコール(化合物A)、有機溶剤(化合物A)(但し、前記化合物Aを除く)、水に溶けると塩基を放出する化合物(化合物A)及び水を含む液状洗浄剤組成物である。
【0015】
〔化合物A
脂肪族多価アルコールである化合物Aとしては、炭素数2~20の2価アルコール(脂肪族ジオール)、炭素数3~20の3価アルコール(脂肪族トリオール)、炭素数5~20の4~8価またはそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール)が挙げられる。
【0016】
脂肪族ジオールとしては、例えば、
トリグリセリン等のポリグリセリン;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-および1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;及び
脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコールが挙げられる。
【0017】
脂肪族トリオールとしては、例えば、グリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオールが挙げられる。
【0018】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどの、アルカンポリオール及びそれら若しくはアルカントリオールの分子内若しくは分子間脱水物;及び
ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)が挙げられる
【0019】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル等の脂肪族多価アルコールが挙げられる。
【0020】
〔化合物A
本発明1における有機溶剤である化合物Aとは、化合物Aを溶解できる有機溶剤をいい、好ましくは、
メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、ベンジルアルコールなどの1価アルコール類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン、スチレンなどの炭化水素類;
ジエチルエーテルなどのエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどの窒素類;
ブチルグリコール、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、テトラヒドロフランなどのグリコールエーテル類;
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどの塩素類;及び
ジメチルスルホキシド;アセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
より好ましくは、1価アルコール類、炭化水素類及びケトン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
更に好ましくは、1価アルコール類及び/又はアセトンから選ぶことができる。
【0021】
〔化合物A
水に溶けると塩基を放出する化合物(化合物A)は、本発明1の液状洗浄剤組成物の液性を弱アルカリ性に調整するために添加する。
【0022】
化合物Aとしては、NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物や強酸の塩も使用できるが、pHが安定し添加量の調整の容易性の観点から、弱塩基性の2価以上の金属の水酸化物、有機化合物、酸性塩及び正塩が好ましい。
【0023】
弱塩基性の2価以上の金属の水酸化物としては水酸化マンガン、水酸化鉄(II)、水酸化亜鉛、水酸化ランタン等が挙げられ、
弱塩基性の有機化合物としてはアンモニア水、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールが挙げられ
弱酸の塩として、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、蟻酸塩、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウム等)、プロピオン酸塩、クエン酸塩等が挙げられ、
取扱時の安全性及び廃液処理の観点から、弱酸の塩が好ましく、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0024】
〔任意成分〕
本発明の効果を損なわない範囲で種々化合物を任意成分として配合してもよい。
例えば、
硬化性樹脂組成物の配合成分の速やかな分散の観点から、必要に応じて配合される、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレンなどのエステル類
安定化剤(カルバジド系硬化剤(例えば、4,4’-ヘキサメチレンビス(セミカルバジド)、変性アミン化合物系硬化剤(例えば、FXR-1020(T&K TOKA社製)など);
酸化防止剤(フェノール化合物(例えば2,6-ジ-t-ブチル-4- メチルフェノールなど)、含硫化合物(例えばジラウリルチオジプロピオネートなど)、リン化合物(例えばトリフェニルホスファイトなど)など);及び
金属イオン封鎖剤(例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなど)などが挙げられる。
【0025】
〔液状洗剤組成物〕
本発明1における化合物A及び化合物Aの配合重量比(A/A)は、流動性と洗浄性の観点から、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~80/20、更に好ましくは15/85~70/30、更に好ましくは20/80~65/35、更に好ましくは30/70~55/45、更に好ましくは40/60~50/50である。
【0026】
本発明1における化合物Aの配合重量部は、溶解性と洗浄性の観点から、化合物A及び化合物Aの合計100重量部に対して、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは0.02~10重量部、更に好ましくは0.05~5重量部、更に好ましくは0.10~5重量部、更好ましくは0.12~3重量部である。
【0027】
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明1は、光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、シール剤(好ましくは液晶シール剤)、コート剤、遮光剤、ギャップ剤、耐衝撃吸収剤等の用途に使用される硬化性樹脂組成物及びその硬化体の洗浄に好適に使用でき、如何に説明する本発明2である硬化性樹脂組成物及びその硬化体の洗浄により好適に使用できる。
【0028】
《本発明2》
本発明2は、硬化性化合物(化合物B)及びアミン系硬化剤化合物(化合部B)を含む硬化性樹脂組成物を、本発明1の液状洗浄剤組成物で洗浄する硬化性樹脂組成物の洗浄方法である。
【0029】
〔硬化性化合物(化合物B)〕
化合物Bとしては、好ましくは熱硬化し得る化合物であり、より好ましくは光硬化及び熱硬化し得る化合物であり、具体的には、熱硬化性の観点から、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂及び(メタ)アクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましく、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂がより好ましい。
【0030】
なお、本明細書において、
(メタ)アクリルとは、メタクリル及び/又はアクリルを意味し、
(メタ)アクリレートは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中の全てのエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応した樹脂を意味し、
部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂中の一部のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応した樹脂、すなわち、樹脂中にエポキシ基と(メタ)アクリル基を有する樹脂を意味する。
【0031】
エポキシ樹脂としては、好ましくは、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂;
二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物及びそれらのハロゲン化物、水素添加物;
多官能エポキシ樹脂として、三官能及び四官能エポキシ樹脂等;さらに、
また、特開2012-077202号公報記載のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応により得ることができる。具体的には、エポキシ樹脂に所定の当量比の(メタ)アクリル酸と触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)と、重合禁止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)を添加して、例えば80~110℃でエステル化反応を行うことにより、エポキシ基の全部又は一部を(メタ)アクリル化することができる。原料となるエポキシ樹脂は、特に限定されず、上記に例示したエポキシ樹脂が挙げられる。
【0033】
部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、樹脂中の(メタ)アクリル基とエポキシ基との合計モル数に対して、好ましくは(メタ)アクリル基の割合が10~90モル%、より好ましくは40~60モル% である。
【0034】
部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂は、好ましくは一分子中にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを、それぞれ1個以上含有する化合物を含む。
【0035】
(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル及び/又はアクリル基を有する樹脂であれば、特に限定されず、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル樹脂として、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを使用でき、
例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等)、ポリオール(メタ)アクリレート(グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等)、アルキレンオキサイド付加ポリオール(メタ)アクリレート(例えば、アルキレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリル樹脂として、脂環式(メタ)アクリレートを使用でき、
例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の単環式(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等の2環式(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の3環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
(メタ)アクリル樹脂として、ポリイソプレン、ポリブタジエン及びポリウレタンから選択される少なくとも1種を骨格に含む(メタ)アクリレートを使用することができる。
【0039】
ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品として、例えば、クラレ社製の「UC-203M」(重量平均分子35000)が挙げられ、ポリブタジエンを骨格に含む(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品として、例えば、日本曹達社製の「T E 2000」(重量平均分子量2500)が挙げられる。
【0040】
化合物Bは、これらの硬化性化合物を単独でも、2種以上を併用してもよく、光及び熱の両方で硬化し得る観点から、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を含むことが好ましく、例えば部分(メタ)アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0041】
〔アミン系硬化剤化合物(化合部B)〕
本発明2における硬化性樹脂組成物には、熱硬化後の皮膜の破断強度等の機械強度を付与する観点から、硬化性樹脂組成物には熱硬化剤として化合部Bが含まれる。
【0042】
アミン系硬化剤化合物(化合部B2)は、有機溶媒への溶解性や分散性が悪く、膨潤してしまうことで基材に粘着しやすくなる性質を帯びる傾向があり、これを含む硬化性樹脂組成物の洗浄性をし難くする傾向がある。
【0043】
化合部Bは、分子内に少なくとも1個の活性水素を有するものであればよく、
分子内に1個以上の第1級アミノ基を有する第1級モノ、ジ及びポリアミン化合物、
分子内に1個以上の第2級アミノ基を有する第2級モノ、ジ及びポリアミン化合物、
ヒドラジド化合物、カルバジド化合物、並びにイミダゾール化合物;
分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する第1級ジもしくはポリアミン化合物、
分子内に2個以上の第2級アミノ基を有する第2級ジもしくはポリアミン化合物、
ヒドラジド化合物、又はイミダゾール化合物と、エポキシ樹脂、尿素とのアダクト化合物;
ポリアミン化合物とポリアミン化合物のような同種の混合結晶;
ポリアミン化合物とヒドラジド化合物のような異種の混合結晶;ヒドラジド化合物とヒドラジド化合物の混合結晶が挙げられる。
【0044】
分子内に1個以上の1級アミノ基又は2級アミノ基を有する、モノ、ジ及びポリアミン化合物として、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等の脂肪族第1級アミン;シクロヘキシルアミン等の脂環式第1級モノアミン;アニリン、トルイジン等の芳香族第1級アミン;エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン、カダベリン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-エチル4’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物等の1位の窒素原子が置換されたイミダゾリル基を有する第1級ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン;1,3 ジアミノメチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類などが挙げられ、好ましくは、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミンである。
【0045】
ヒドラジド化合物として、分子内に1個のヒドラジド基を有する一塩基酸ヒドラジド、分子内に2個のヒドラジド基を有する二塩基酸ヒドラジド、分子内に3個のヒドラジド基を有する三塩基酸ヒドラジド、分子内に4 個以上のヒドラジド基を有する多官能ヒドラジドが挙げられる。
【0046】
一塩基酸ヒドラジドとして、具体的には、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、ペンタン酸ヒドラジド、ラウリル酸ヒドラジド、シクロヘキサンカルボヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、p-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、ベンゼンスルホノヒドラジドが挙げられる。
【0047】
二塩基酸ヒドラジドとしては、具体的には、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデンカンニ酸ジヒドラジド、ヘキサデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド、1,4-ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’-ビスベンゼンジヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、カテコールジグリコール酸ジヒドラジド、4,4’-エチリデンビスフェノール-ジグリコール酸ジヒドラジド、4,4’ ビニリデンビスフェノール-ジグリコール酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0048】
三塩基酸ヒドラジドとしては、例えば、1,3,5-トリス(2-ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等の1,3,5-トリス(2-ヒドラジノカルボニルアルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0049】
多官能ヒドラジドとしては、例えば、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0050】
有機酸ジヒドラジドは、市販品として、例えば、VDH(1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)、ADH(アジピン酸ジヒドラジド)、UDH(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)及びLDH(オクタデカン-1,18-ジカルボン酸ジヒドラジド)が挙げられる。
【0051】
イミダゾール化合物は、分子内に第1級アミノ基を有さないイミダゾール化合物であり、例えば、
1位の窒素原子が非置換であるイミダゾール環を含む化合物、例えば2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2- フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、及び2- メチルイミダゾリン;
1位の窒素原子が置換されたイミダゾール化合物、例えば1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2- メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、及び1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト等が挙げられる。
【0052】
アミン化合物とエポキシ樹脂のアダクト化合物は、前述した分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する第1級ジもしくはポリアミン化合物、分子内に2個以上の第2級アミノ基を有する第2級ジもしくはポリアミン化合物、ヒドラジド化合物、又はイミダゾール化合物をエポキシ樹脂にアダクトさせたアミンアダクト化合物又はアミンアダクト化合物誘導体である(以下、これらの化合物を含む硬化剤を(「〇〇〇化合物」の場合)「〇〇〇系硬化剤」(例えば「アミンアダクト系硬化剤」)ともいう)。
【0053】
アミンアダクト系硬化剤の市販品としては、ADEKA社のアデカハードナーEH5030S、味の素ファインテクノ社のアミキュアPN-23、アミキュアPN-30、アミキュアMY-24、アミキュアMY-H等が挙げられる。
【0054】
化合物Bは、特許文献1に開示されるアミン化合物とイソシアネート化合物の反応物も好ましく使用できる。
【0055】
化合物Bは、上述の化合物単独で用いても、複数で用いてもよい。
【0056】
〔任意成分〕
(フィラー(化合物B))
本発明1は、本発明2における硬化性樹脂組成物に、さらにその中で、洗浄し難いフィラーである化合部Bが含まれる場合についても好適に機能する。
【0057】
化合部Bは、硬化性樹脂組成物の粘度制御や硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物の強度向上、または線膨張性を抑えることによって硬化性樹脂組成物の接着信頼性を向上させる等の目的で添加される。
【0058】
化合部Bとして、公知の無機フィラー及び有機フィラーが挙げられ、応力緩和の観点から有機フィラーが好ましい。
【0059】
無機フィラーとして、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素が挙げられる。
【0060】
有機フィラーとして、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、これらを構成するモノマーと他のモノマーとを共重合させて得られる共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、及びゴム微粒子が挙げられる。
【0061】
(光重合開始剤)
本発明2における硬化性樹脂組成物が光硬化する場合、併用される光重合開始剤は、光によって、ラジカル又はカチオンを生じ、重合反応を開始させる化合物であればよい。
製造プロセスや使用部材に応じて最適な硬化波長を選択でき、例えば、紫外線によって重合反応を開始させる化合物の場合、好ましくは100~500nm、より好ましくは340超400nm未満の波長の光によって重合反応を開始させる化合物であり、可視光線によって重合反応を開始させる化合物の場合、好ましくは350~800nm、より好ましくは400~600nm、更に好ましくは400~500nmの波長の光によって、重合反応を開始させる化合物である。
硬化性樹脂組成物を基材上に塗工した際に、塗工したされた硬化性樹脂組成物と接触する物質(例えば、液体、粘性流体、液晶等)への溶解性が低く、また、それ自身で光照射時に分解物が発生しない、又は分解物がガス化しないような構造を有するものが好ましい。
【0062】
本発明2における硬化性樹脂組成物では、光増感作用があり、且つ光重合開始剤として機能するものは、一般に可視光増感性化合物に分類されるものであっても、光重合開始剤とする。
【0063】
光重合開始剤は、光開始性化合物(可視光増感性化合物によって光励起され、重合開始種となる化合物)と可視光増感性化合物の組み合わせであってもよい。
【0064】
光重合開始剤において、光開始性化合物と可視光増感性化合物とのモル比(光開始性化合物/可視光増感性化合物)は、安定で十分なラジカルを供給する観点から、好ましくは1/5~5/1、より好ましくは1/3~3/1、更に好ましくは1/2~2/1である。
【0065】
光重合開始剤は、具体的には、
ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、α-アシロキシムエステル類、フェニルグリオキシレート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、ジアルキルアミノベンゾイル基を有するポリエーテル化合物、ベンゾインエーテル類及びアントラキノン類、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。
【0066】
光重合開始剤は、
好ましくは、光開始性化合物であるジアルキルアミノベンゾイル基を有するポリエーテル化合物を含み、
より好ましくは、可視光増感性化合物であるチオキサントン類化合物を含み、
更に好ましくは、ジアルキルアミノベンゾイル基を有するポリエーテル化合物とチオキサントン類化合物とを組み合わせて用いることである。
【0067】
ジアルキルアミノベンゾイル基を有するポリエーテル化合物としては、下記式(1):
【化1】

(式(1)中、n1は、0~50であり、好ましくは1~45である)で表される化合物が好ましく、下記式(2):
【化2】

(式(2)中、n2は、0~50であり、好ましくは1~45である)で表されるチオキサントン類化合物が好ましい。
【0068】
光重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
(カップリング剤)
本発明2における硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでいてもよい。
【0070】
カップリング剤は、硬化性樹脂組成物の基材(例えば液晶表示基板)との接着性をさらに良好とすることを目的として添加される。
【0071】
カップリング剤は、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0072】
カップリング剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0073】
(重合禁止剤)
本発明に使用される重合禁止剤としては、例えば、フェノール系重合禁止剤及びフェノチアジン系重合禁止剤が挙げられる。
【0074】
フェノール系重合禁止剤としては、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)(BHT)、カテコール、ピクリン酸、ターシャリーブチルカテコール、2,6-ジターシャリーブチル-p-クレゾール、及び4,4’-チオビス[エチレン(オキシ)(カルボニル)(エチレン)]ビス[2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール]が挙げられる。
【0075】
フェノチアジン系重合禁止剤としては、フェノチアジン、ビス(α-メチルベンジル)フェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、及びビス(α、α-ジメチルベンジル)フェノチアジンが挙げられる。
【0076】
なお、BHT等のフェノール系重合禁止剤は、酸化防止剤としても使用することができる。
【0077】
(その他)
本発明2における硬化性樹脂組成物は、分散剤、顔料、染料等の着色成分、保存安定剤、可塑剤、粘弾性調整剤、界面活性調整剤(濡れ剤や消泡剤)を含んでいてもよい。
【0078】
本発明2における硬化性樹脂組成物の光硬化性を利用する場合は、顔料、染料等の着色成分は、紫外線透過性に影響を与えない範囲で使用することが好ましい。
【0079】
〔硬化性樹脂組成物〕
硬化性樹脂組成物中の化合物Bの配合量は、シール剤として取り扱える粘性と硬化物の機械強度、粘弾性等の機械特性の観点から、
好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~85重量%、更に好ましくは30~80重量%である。
【0080】
硬化性樹脂組成物中の化合物Bの配合量は、硬化物の機械強度、粘弾性等の機械特性の観点から、
化合物B100重量部に対して、
好ましくは1~40重量部、より好ましくは5~35重量部である。
【0081】
硬化性樹脂組成物中の化合物Bの配合量は、線膨張係数の制御、シール塗布後の形状維持の観点から、化合物B100重量部に対して、
好ましくは2~40重量部、より好ましくは5~30重量部である。
【0082】
硬化性樹脂組成物中の光重合開始剤の配合量は、例えば、光硬化による仮固定性の観点から、化合物B100重量部に対して、
好ましくは0.1~10.0重量部、より好ましくは0.5~5.0重量部である。
【0083】
硬化性樹脂組成物中のカップリング剤の配合量は、必要に応じて、
化合物B100重量部に対して、
好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。
【0084】
〔硬化性樹脂組成物の洗浄方法〕
本発明2は、上述した硬化性樹脂組成物(以下「硬化性樹脂組成物」という)が接触した基材を、請求項1記載の液状洗浄剤組成物で洗浄する硬化性樹脂組成物接触基材の洗浄方法である。
【0085】
本発明2において、硬化性樹脂組成物が接触した基材とは、例えば、硬化性樹脂組成物を塗工するために、硬化性樹脂組成物を充填した、例えば、シリンジ管・シリンジヘッド・ノズルなどシリンジを構成又はシリンジに付属する部材や、容器、硬化性樹脂組成物を吐出するディスペンサ、硬化性樹脂組成物が通過したチューブや管、それらを固定する冶具・部品、樹脂組成物を掬うために使用したヘラ等が挙げられる。
【0086】
基材の材質としては、SUS等の金属;ガラス、陶器等のセラミックス;プラスチック、テフロン、シリコン等が挙げられる。
【0087】
本発明2の硬化性樹脂組成物が接触した基材の洗浄方法としては、以下が挙げられる。
(1)硬化性樹脂組成物が接触した基材を、付着した樹脂の硬化状態や有機溶剤の揮発性に応じて、本発明1の液状洗浄剤組成物に、
好ましくは5~50℃、より好ましくは10~40℃、更に好ましくは15~30℃で、
好ましくは10分~10日、より好ましくは15分~5日、更に好ましくは30分~24時間、更に好ましくは1~6時間、更に好ましくは1~3時間、更に好ましくは1~2時間浸漬した後、必要に応じて、水、又はアセトン若しくは水を5%以上含むアセトン等の有機溶剤で濯いで、室温で自然乾燥又はエアブロー等をして乾燥する。
【0088】
(2)硬化性樹脂組成物が接触した基材を、本発明1の液状洗浄剤組成物に浸漬した後、さらに浸漬したまま超音波を照射する超音波洗浄(好ましくは脱気超音波洗浄)した後、必要に応じて、水、又はアセトン若しくは水を5%以上含むアセトン等の有機溶剤で濯いで乾燥する。
【0089】
超音波洗浄の際の超音波照射の条件は、
基材の量や洗浄浴槽の大きさ、超音波振動子数、洗浄液の量に応じて、
超音波振動子1つ当たりの出力が、好ましくは15~2000W、より好ましくは20~1200W、更に好ましくは30~600Wで、
基材へ与えるダメージと汚れの種類に応じて、
周波数が、好ましくは15~270kHz、より好ましくは20~150kHz、更に好ましくは30~105kHzで、
液状洗浄剤組成物の揮発に応じて、好ましくは1~120分、より好ましくは10~60分、更に好ましくは30~60分である。
【0090】
超音波洗浄は、複数回繰り返してもよく、複数回繰り返す場合は、適宜、浸漬した液状洗浄剤組成物を未使用の液状洗浄剤組成物に入れ替えることが好ましい。
【0091】
《実施例》
〔洗浄剤組成物実施例1~28及び比較例1~3〕
【0092】
〔1〕原料
(化合物A
(1)エチレングリコール(製造元:関東化学株式会社、品質:鹿1級)
(2)トリエチレングリコール(製造元:関東化学株式会社、品質:鹿1級)
(3)テトラエチレングリコール(製造元:関東化学株式会社、品質:鹿1級)
(4)下記式(3):
で表されるポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(製造元:阪本薬品工業株式会社、製品名:SC-E750、数平均分子量:750、水酸基価:約300)
【0093】
(化合物A
(1)エタノール(製造元:関東化学株式会社、品質:特級)
(2)アセトン(製造元:関東化学株式会社、品質:鹿1級)
【0094】
(化合物A
(1)炭酸水素ナトリウム(製造元:関東化学株式会社、品質:鹿1級)
(2)2-アミノエタノール(製造元:東京化成工業株式会社、液体、pH=12.1(100g/l,HO,20℃)
(3)3-アミノ-1-プロパノール(製造元:関東化学株式会社、液体、pH=11.6(10g/l,HO,20℃)
(4)2-(2-アミノエトキシ)エタノール(製造元:東京化成工業株式会社、液体、pH=10.2(10g/l,HO,20℃)
(5)2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(製造元:京化成工業株式会社、固体)
【0095】
(任意成分)
(1)安定化剤:4,4’-ヘキサメチレンビス(セミカルバジド)(WO2014/010446記載の硬化剤)
【0096】
〔2〕配合条件
化合物A及び化合物Aの合計100重量部(100g)に対して、他の原料が表1に記載の重量部になるように計量して、ビーカー(300ml)に、化合物A及び化合物Aを充填した後、他の原料を添加して、70℃で、スタラ―で300分間攪拌して、揮発性の原料については揮発の程度に応じて追加し、実施例1~28及び比較例1~3の液状洗浄剤組成物を得た。
【0097】
〔3〕液状性(溶解性)
上記配合条件で得られた実施例1~28及び比較例1~3の液状洗浄剤組成物の溶解状態を観察して、
溶け残りなく溶解している場合を〇、
溶け残りが少量視認できる、又は、白く濁っている場合を△、
当初に配合した原料がほぼそのまま残存している場合を×、
と評価した。
【0098】
【表1】
【0099】
〔液晶シール剤〕
(原料)
(1-1)化合物B
(1-1-1)下記式(4):
で表される部分メタクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(WO2014/057871段落0092記載の方法で製造した)
【0100】
(1-2)化合物B
(1-2-1)アデカハードナーEH-5057P(ADEKA社製、アミンアダクト系硬化剤)
(1-2-2)アデカハードナーEH-5030S(ADEKA社製、アミンアダクト系硬化剤)
(1-2-3)アデカハードナーEH-5015S(ADEKA社製、アミンアダクト系硬化剤)
(1-2-4)アデカハードナーEH-4358S(ADEKA社製、アミンアダクト系硬化剤)
(1-2-5)アデカハードナーEH-5011S(ADEKA社製、イミダゾール系硬化剤)
(1-2-6)FXR-1020(T&K TOKA社製、変性アミン化合物系硬化剤)
(1-2-7)FXR-1081(T&K TOKA社製、変性アミン化合物系硬化剤)
【0101】
(1-3)化合物B
(1-3-1)ゼフィアックF-351(アデカ工業社製、コアシェル型アクリル樹脂フィラー)
(1-3-2)シーホスターKE-C050HG(日本触媒社製、シリカ球状微粒子)
【0102】
(1-4)任意成分
(1-4-1)光重合開始剤1:式(1)(但しn1=1)で表される化合物(WO2012/077720段落0058記載の方法で製造した)
(1-4-2)光重合開始剤2:式(2)(但しn2=1)で表される化合物(WO2012/077720段落0060記載の方法で製造した)
(1-4-3)シランカップリング剤:KBM403(信越化学工業社製、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
(1-4-4)重合禁止剤:2,6-ジ-t-ブチル-4-クレゾール(BHT)(東京化成工業社製)
【0103】
(配合条件)
化合物B100重量部(5g)に対して、他の原料を表2に記載の重量部になるように計量して、プラスチック製カップ(20ml)に化合物B及び化合物Bを充填した後、他の原料を添加して混合し、スリーワンモーター(IKA社製RW28basic)によりに25℃で2分間混練し均一に分散させて液晶シール剤1~4を得た。
【0104】
【表2】
【0105】
〔洗浄実施例1-1~1-28及び洗浄比較例1-1~1-2〕
(用具:洗浄条件1~3で共通)
(1)シリンジ(TERUMO社製、1mlツベルクリン用SS-01T)
(2)SUS板(エンジニアリングテストサービス社製SUS304、2.0mm×25mm×200mm)
(3)スライドガラス(松浪硝子工業製、白切板No.2、1.0~1.2mm×26mm×76mm)
(4)超音波洗浄器(アズワン社製卓上超音波洗浄器CUC-O2L)
(5)超音波洗浄機(エヌエスディ社製超音波洗浄機US-20PS)
(6)ガラス容器(250mlビーカー)
(7)純水(KURITA社製Makuaceで得られた純水)
【0106】
(洗浄条件1:基材がSUSの場合)
(1)25℃の環境で、シリンジに充填した液晶シール剤0.1mlを、ディススペンサーで、SUS板の中央部に長さ2cmに塗布して、1時間放置して液晶シール剤塗布SUS板とする(図1)。
【0107】
(2)液晶シール剤塗布SUS板を、ガラス容器に実施例又は比較例の液状洗浄剤組成物150mLが充填された浸漬槽に、液晶シール部分が全部浸漬するように液晶シール剤塗布SUS板を垂直に沈め(図2)、以下のStepを行う。
【0108】
(Step1)
液晶シール剤塗布SUS板を垂直に沈めたまま5分間放置して、
液晶シール剤塗布SUS板上の液晶シール剤の状態を観察する。
【0109】
(Step2-1)
Step1の後、液晶シール剤塗布SUS板を浸漬槽に沈めたまま、浸漬槽に、
超音波洗浄器(CUC-O2L)で超音波を出力20W、周波数38kHzで5分間照射した後に、
液晶シール剤塗布SUS板を浸漬槽から取り出して、アセトンで濯いでエアブローして乾燥し、液晶シール剤塗布SUS板上の液晶シール剤の状態を観察する(観察2-1)。
【0110】
(Step2-2)
観察2-1の後、浸漬槽の洗浄剤組成物を同一の未使用の洗浄剤組成物に入れ替えて、
Step2-1の作業を繰り返して、液晶シール剤塗布SUS板上の液晶シール剤の状態を観察する(観察2-2)。
【0111】
観察2-2で、基材表面に液晶シール剤の塗布跡である白い痕跡が、
視認できなかった場合は、試験を終了し、
視認できた場合は、同じ液晶シール剤塗布SUS板を、ガラス容器に同じ未使用の液状洗浄剤組成物150mLが充填された浸漬槽に、液晶シール部分が全部浸漬するように液晶シール剤塗布SUS板を垂直に沈め、以下のStep1A、Step2-1A及びStep2-2Aを行う。
【0112】
(Step1A)
液晶シール剤塗布SUS板を垂直に沈めたまま5分間放置する。
【0113】
(Step2-1A)
Step1Aの後、液晶シール剤塗布SUS板を浸漬槽に沈めたまま、浸漬槽に、
超音波洗浄器(US-20PS)で超音波を出力650W、周波数38kHzで1時間照射した後に、 液晶シール剤塗布SUS板を浸漬槽から取り出して、アセトンで濯いでエアブローして乾燥し、液晶シール剤塗布SUS板上の液晶シール剤の状態を観察する(観察2-1A)。
【0114】
(Step2-2A)
観察2-1Aの後、浸漬槽の洗浄剤組成物を同一の未使用の洗浄剤組成物に入れ替えて、
Step2-1Aの作業を繰り返して、液晶シール剤塗布SUS板上の液晶シール剤の状態を観察する(観察2-2A)。
【0115】
(3)洗浄性を以下のように判断する:
【0116】
観察2-2の観察で、
基材表面に液晶シール剤の塗布跡である白い痕跡が視認できなかった場合を「〇」;
【0117】
観察2-2Aの観察で、
基材表面に液晶シール剤の塗布跡である白い痕跡が視認できなかった場合を「△」;
【0118】
観察2-2Aの観察で、
基材表面に液晶シール剤の塗布跡である白い痕跡が視認できた場合を「×」。
【0119】
図3に、洗浄条件1における、
洗浄実施例1-2の液状洗浄剤組成物を使用した場合の観察2-1の場合(〇状態)と
洗浄比較例1-2の液状洗浄剤組成物(アセトン)を使用した場合の観察2-1Aの状態と観察2-2Aの状態(×状態)を示した。
【0120】
(洗浄条件2:基材がガラスの場合)
(1)SUS板をガラス板に置き換えて、液晶シール剤塗布ガラス板とし、洗浄条件1と同じ条件で各Stepの洗浄と観察を行う。
【0121】
(2)比較例2の液状洗浄剤組成物(アセトン)の場合:洗浄条件1と同じ条件でStep2-2及びStep2-2Aの洗浄と観察を行う。
【0122】
(3)比較例2以外の液状洗浄剤組成物の場合:Step2-1又はStep2-1Aの後に、
洗浄条件1のStep2-2及びStep2-2Aの「未使用の洗浄剤組成物」を「未使用の純水」に置き換えて、
浸漬槽の未使用の純水に、液晶シール部分が全部浸漬するように液晶シール剤塗布ガラス板を垂直に沈めたまま、超音波をStep2-2及びStep2-2Aと同じ条件で照射した後に、純水から液晶シール剤塗布ガラス板を取り出してアセトンで濯いでからエアブローして乾燥して観察2-2及び観察2-2Aを行い、洗浄条件1と同様の判断基準で洗浄性を判断した。
【0123】
図4に、洗浄条件2における、
洗浄実施例1-2の液状洗浄剤組成物を使用した場合の観察2-2の場合(〇状態)と
洗浄比較例1-2の液状洗浄剤組成物(アセトン)を使用した場合の観察2-2Aの状態(×状態)を示した。
【0124】
〔洗浄実施例2-1~2-28及び比較例2-1~2-2〕
(洗浄条件3)
(1)ラボランスクリュー管(9cc)に実施例1~7及び比較例1~2の液状洗浄剤組成物をそれぞれ3mL充填し、化合物B(硬化剤)15mgを浸漬して密封して試験用スクリュー管として、以下の超音波洗浄を行う。
【0125】
(2)試験用スクリュー管内の化合物B(硬化剤)が浸漬した液状洗浄剤組成物に、超音波洗浄器(CUC-O2L)で超音波を出力20W、周波数38kHzで5分間照射した後に、ラボランスクリュー管内の液状洗浄剤組成物に浸漬した化合物B(硬化剤)の状態を観察し、洗浄性を以下のように判断する:
【0126】
(3)液状洗浄剤組成物に浸漬した化合物B(硬化剤)が、
ラボランスクリュー管の底又は内壁に付着せず、液状洗浄剤組成物中に分散しているか、
ラボランスクリュー管の底又は内壁に付着していても、ラボランスクリュー管を振盪させると液状洗浄剤組成物中に分散してしまう場合を「〇」、
ラボランスクリュー管の底又は内壁に付着していて、ラボランスクリュー管を振盪させても付着したままである場合を「×」。
【0127】
表3に、洗浄条件1及び2の場合の結果(図3)を、
表4に、洗浄条件3の場合の結果(図4)をまとめた。
【0128】
【表3】
【0129】
【表4】
【0130】
表3及び4によれば、液晶シール剤が接触した基材に付着したアミン系硬化剤化合物を含む液晶シール剤又は液晶シール剤に使用されるアミン系硬化剤化合物は、本発明1の液状洗浄剤組成物で洗浄すると概ね〇又は△のレベルで洗浄できることがわかった。

図1
図2
図3
図4