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特開2023-97346プログラム、情報処理装置、物品保護ユニット、方法、および情報処理システム
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  • 特開-プログラム、情報処理装置、物品保護ユニット、方法、および情報処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097346
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、物品保護ユニット、方法、および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20230630BHJP
【FI】
G06Q30/06 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158720
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2021211768の分割
【原出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】521567871
【氏名又は名称】株式会社PLUSIDEA
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 隆太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB22
(57)【要約】
【課題】物品に関する証明を容易にするための技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、物品を購入する手段、当該物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを、当該物品の購入後に獲得する手段、として機能させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
物品を購入する手段、
前記物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを、当該物品の購入後に獲得する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記スマートロックの解錠に応じて、当該スマートロックの解錠履歴に関する解錠履歴情報を前記トークンに追記する手段、として機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記解錠履歴情報は、前記スマートロックが解錠された日時に関する情報を含む、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記獲得する手段は、前記物品の詳細に関する物品情報が記載されたトークンを、前記物品の購入後に獲得する、
請求項1~請求項3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記物品情報は、前記物品の証明書、保証書、または鑑定書に相当する情報を含む、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記獲得する手段は、前記物品の取引条件に関する取引条件情報が記載されたトークンを、前記物品の購入後に獲得する、
請求項1~請求項5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
前記取引条件情報は、前記物品の流通に伴うロイヤリティの徴収条件に関する情報を含む、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記物品を売却する手段と、
前記物品の売却に応じて前記トークンを当該物品の買い手に譲渡する手段、
としてさらに機能させる、請求項1~請求項7のいずれかに記載のプログラム。
【請求項9】
物品の購入要求を受け付ける手段と、
前記物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを前記物品の購入者に発行する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項10】
内部空間および外部空間を連通可能な扉を備え、かつ物品を前記外部空間から隔離した状態で前記内部空間に収容可能に構成された箱と、
前記扉を施錠可能に設置され、かつ前記物品の購入者に発行されたトークンに記載された鍵情報の受け付けに応じて解錠するスマートロックと
を具備する、物品保護ユニット。
【請求項11】
コンピュータが、
物品を購入するステップと、
前記物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを、当該物品の購入に応じて獲得するステップと
を具備する、方法。
【請求項12】
コンピュータが、
物品の購入要求を受け付けるステップと、
前記物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを前記物品の購入者に発行するステップと
を具備する、方法。
【請求項13】
ユーザ端末と、サーバとを具備し、
前記ユーザ端末は、
物品を購入する手段と、
前記物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを、当該物品の購入後に獲得する手段とを備え、
前記サーバは、
前記物品の購入要求を受け付ける手段と、
前記トークンを前記物品の購入者に発行する手段とを備える、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、物品保護ユニット、方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
著名人ゆかりの物品は、その著名人のファンにとって魅力的な商品である。従来、かかる商品は、例えばオークションに出品され、商品の出所、状態または来歴を元に価格付けがなされる。しかしながら、かかる商品が一旦著名人の手を離れると、当該商品の真贋(例えば、商品が流通の過程で偽造品または模造品にすり替えられていないか)、または購入者が当該商品をどのように扱ってきたか(例えば、商品が最初に販売されてから誰も使用していない状態が維持されてきたか)、を証明することが困難となる。このような証明困難性は、商品の価値が過小評価される要因となるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品の新製品または中古品を購入したユーザが信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる鑑定証明システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6894033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、製品に付属する記録媒体に記録された秘密鍵と、ギャランティカードに付属する記録媒体に記録された秘密鍵とを使用することで、製品の製品情報および取引情報を読み込むことができる。しかしながら、この技術によれば、製品の真贋を証明することはできるかもしれないが、購入者が当該製品をどのように扱ってきたかを証明することができない。加えて、購入者が、製品に付属する記録媒体を邪魔に感じて取り除く可能性があるが、仮に当該記録媒体が紛失すれば、製品の真贋を証明することが困難となり、当該製品の転売時に不便を被るおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、物品に関する証明を容易にするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、物品を購入する手段、当該物品に付属するスマートロックを解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを、当該物品の購入後に獲得する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態の分散型台帳システムの構成を示す図である。
図5】本実施形態の物品保護ユニットを示す図である。
図6】本実施形態の一態様の説明図である。
図7】本実施形態の一態様の説明図である。
図8】本実施形態のトークンのデータ構造を示す図である。
図9】本実施形態の物品購入処理のフローチャートである。
図10】本実施形態のユーザ端末に表示される物品管理用の画面例を示す図である。
図11】本実施形態の開封処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
以降の説明において、複数の同種の要素について共通の説明を述べる場合に、例えば「99」のような共通の符号を用いることがある。他方、これらの要素について個別に説明を述べる場合に、「99-1」、または「99-2」のように共通の符号に添え字を付した符号を用いることがある。
【0011】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、情報処理システム1は、ユーザ端末10と、サーバ30と、分散型台帳システム50とを備える。
ユーザ端末10、サーバ30、および分散型台帳システム50は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0013】
ユーザ端末10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0014】
サーバ30は、ユーザ端末10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをユーザ端末10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、ウェブサーバである。
【0015】
分散型台帳システム50は、ユーザ端末10またはサーバ30からの要求に応じて、分散型台帳を管理する。
【0016】
(1-1)ユーザ端末の構成
ユーザ端末の構成について説明する。図2は、本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、ユーザ端末10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。ユーザ端末10は、ディスプレイ21に接続される。
【0018】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0019】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、または後述する物品管理アプリケーション)のプログラム
【0020】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0021】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、ユーザ端末10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0022】
入出力インタフェース13は、ユーザ端末10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、ユーザ端末10に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0023】
通信インタフェース14は、ユーザ端末10と外部装置(例えば、サーバ30または分散型台帳システム50)との間の通信を制御するように構成される。
【0024】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0025】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0026】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0027】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0028】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0029】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0030】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0031】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0032】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、ユーザ端末10、または分散型台帳システム50)との間の通信を制御するように構成される。
【0033】
(1-3)分散型台帳システムの構成
分散型台帳システムの構成について説明する。図4は、本実施形態の分散型台帳システムの構成を示す図である。
【0034】
図4に示すように、分散型台帳システム50は、複数のノードコンピュータ55-1~55-4を備える。
【0035】
ノードコンピュータ55は、ネットワーク(図1のネットワークNWを含み得る)を介して互いに接続される。本実施形態では、ネットワークは、公衆網、プライベートネットワーク、専用線、VPN(Virtual Private Network)、またはそれらの組み合わせを含み得る。ノードコンピュータ55は、ネットワークと、例えば、有線または無線により接続されている。ノードコンピュータ55は、ピア・ツー・ピア方式で互いに通信する。
【0036】
ノードコンピュータ55は、例えばブロックチェーン技術を用いて分散型台帳を管理する。
具体的には、いずれかのノードコンピュータ55は、記録すべきトークンの取引に関するデータを取得する。ノードコンピュータ55は、取得したデータを含むブロックを作成し、ブロックチェーンに追加する。ノードコンピュータ55は、追加したブロックの情報を他のノードコンピュータ55へ送信する。他のノードコンピュータ55は、受信したブロックの正しさを検証し、検証に成功すると、ブロックチェーンに当該ブロックを追加する。ノードコンピュータ55は、例えば、連結されるブロックの数(承認数)に従ってブロックチェーンを確定する。これにより、分散型台帳システム50を構成する複数のノードコンピュータ55に亘って、同一の分散型台帳が保存されることになる。なお、保存されるデータは、適宜に暗号化される。
【0037】
分散型台帳システム50の構成は、図4に示されるものに限定されない。例えば、分散型台帳システム50は、5台以上のノードコンピュータ55を備えていてもよいし、2台または3台のノードコンピュータ55を備えていてもよい。また、分散型台帳システム50を構成するノードコンピュータ55の数は、時間とともに変動してもよい。
【0038】
ノードコンピュータ55のハードウェア構成は、ユーザ端末10またはサーバ30と同一または類似であってよいので詳細な説明を省略する。一例として、ノードコンピュータ55は、プロセッサ、記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース、入力デバイス、出力デバイス、またはそれらの組み合わせを備える。
【0039】
(1-4)物品保護ユニットの構成
物品保護ユニットの構成について説明する。図5は、本実施形態の物品保護ユニットを示す図である。
【0040】
図5に示すように、物品保護ユニット70は、箱71と、スマートロック72とを備える。
【0041】
箱71は、内部空間および外部空間を連通可能な扉を備える。箱71は、物品80を外部空間から隔離した状態で内部空間に収容可能に構成される。具体的には、扉が閉じている時に、箱71は、物品80を外部空間から隔離した状態で内部空間に収容する。他方、扉が開いている時に、箱71の内部空間および外部空間は連通し、内部空間に収容された物品80に外部空間から例えば人間の手により接触することが可能となる。
【0042】
スマートロック72は、箱71の扉を施錠可能に設置される。スマートロック72が施錠状態にある間、箱71の扉を開けることはできない。つまり、物品80は、箱71の外部空間からの接触を受けないように保護される。スマートロック72は、物品80の購入者に発行されたトークンに記載された情報(後述する鍵情報)の受け付けに応じて解錠される。スマートロック72は、例えば、ユーザ端末10から無線(一例としてBluetooth(登録商標)、またはNFC(Near-field communication))で鍵情報を受信し、当該鍵情報の内容が適正であるか否かを判定する。鍵情報の内容が適切である場合に、スマートロック72は解錠される。スマートロック72は、無線信号以外の手段により鍵情報を受け付けてもよい。スマートロック72は、解錠または施錠状態をユーザ端末10に通知してもよい。スマートロック72は、手動または自動で施錠されてもよいし、鍵情報またはその他の情報の受け付けに応じて施錠されてもよい。
なお、スマートロック72は、箱71に内蔵されてもよいし、箱71に外付けされてもよい。
【0043】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。図6は、本実施形態の一態様の説明図である。図7は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0044】
図6に示すように、ユーザUS1は、ユーザ端末10-1を操作して、自らの所望する物品80を購入する。サーバ30は、物品80の購入に応じて、トークンの発行を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50がトークンの発行を完了すると、ユーザUS1はユーザ端末10-1を用いて当該トークンを獲得できる。トークンは、その持ち主による物品80の使用を可能とするとともに、物品80に関する各種の証明を可能とする。
【0045】
他方、サーバ30の運営者に属するオペレータOP1は、物品保護ユニット70に封入された物品80をユーザUS1へ発送する。ユーザUS1は、トークンに記載された情報により、物品80が真正品であること、および当該ユーザUS1が当該物品80の持ち主であることを証明できる。また、ユーザUS1は、トークンを用いて物品保護ユニット70のスマートロック72を解錠することで、物品80を使用(例えば、触る)ことができる。他方、スマートロック72を全く解錠しなければ、ユーザUS1は、トークンに記載された情報により、物品80が未使用品(つまり、物品80が最初に販売されてから誰も使用していない状態が維持されていること)を証明できる。したがって、ユーザUS1が物品80を第三者に売却する場合に、当該第三者は当該物品80の価値を適切に評価できるので、当該物品80の価値が過小評価されるのを抑制できる。
【0046】
物品80の持ち主であるユーザUS1は、図7に示すように当該物品80を二次流通させることができる。具体的には、ユーザUS1は、ユーザ端末10-1を操作して、自らの所望する物品80を他のユーザUS2に売却する。ユーザ端末10-1は、物品80の売却に応じて、当該物品80に付属し、かつ当該物品80の使用を制約するスマートロック72に対応するトークンを当該物品80の買い手であるユーザUS2へ譲渡する。具体的には、ユーザ端末10-1は、ユーザUS1の所持するトークンのユーザUS2への譲渡を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50がトークンの譲渡を完了すると、ユーザUS2はユーザ端末10-2を用いて当該トークンを獲得する。
【0047】
また、トークンの流通に伴うロイヤリティの徴収条件が当該トークンに(例えば、後述する取引条件情報として)記載されている場合に、分散型台帳システム50は、トークンを譲渡するとともにロイヤリティを徴収し、徴収したロイヤリティを権利者RH1に分配する。ロイヤリティは、ユーザUS2が支払う物品80の対価から徴収されてもよいし、かかる対価とは独立してユーザUS1またはユーザUS2から徴収されてもよい。
【0048】
他方、ユーザUS1は、物品保護ユニット70に封入された物品80をユーザUS2へ発送する。ユーザUS2は、トークンに記載された情報により、物品80に関する各種の証明を行うことができる。したがって、ユーザUS2が物品80をさらなる第三者に売却する場合に、当該第三者は当該物品80の価値を適切に評価できるので、当該物品80の価値が過小評価されるのを抑制できる。
【0049】
(3)データ構造
トークンのデータ構造について説明する。図8は、本実施形態のトークンのデータ構造を示す図である。
【0050】
図8に示すように、トークンは、トークンIDと、所有者アドレス情報と、鍵情報と、解錠履歴情報と、物品情報と、取引条件情報とを含む。
【0051】
トークンIDは、トークンを識別する情報である。トークンIDは、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。
【0052】
所有者アドレス情報は、トークンの所有者のアドレスに関する情報である。一例として、所有者アドレス情報は、トークンの所有者のウォレットを示す情報である。所有者アドレス情報は、トークンの発行時、および譲渡時に、分散型台帳システム50によって更新される。
【0053】
鍵情報は、トークンに対応するスマートロック72を解錠可能とする情報である。鍵情報は、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。
【0054】
解錠履歴情報は、トークンに対応するスマートロック72の解錠の履歴に関する情報である。解錠履歴情報は、トークンの持ち主のユーザ端末10からの要求に応じて、分散型台帳システム50によって更新される。
【0055】
解錠履歴情報の第1例は、スマートロック72が解錠されたことがあるか否かを示すフラグである。解錠履歴情報の第1例は、スマートロック72の累計解錠回数に関する情報である。解錠履歴情報の第3例は、スマートロック72が解錠された事象のそれぞれについて、当該出来事の詳細に関する情報を含む。例えば、解錠履歴情報の第3例は、解錠された日時、解錠した人物(つまり、当時の持ち主)、解錠状態の継続時間、またはそれらの組み合わせに関する情報を含む。
【0056】
物品情報は、対象物品の詳細に関する情報である。対象物品は、トークンに対応するスマートロック72が付属する物品であって、当該トークンとともに売買される目的物である。対象物品は、任意の有体物であるが、例えば以下のいずれかであってよい。
・特定の人物(例えば、アイドルなどの有名人)が私的にまたは公的に使用したことのある物品(例えば、衣装、または道具)
・特定の人物(例えば、芸術家などの有名人)の著作物(例えば、美術品)
・特定の出来事(例えば、歴史的な事象)を象徴する物品
・骨董品(特に、専門家によって真贋を鑑定された骨董品)
・希少品
・高級品
【0057】
物品情報は、例えば、対象物品の名称、もしくは来歴、当該対象物品にゆかりのある人物もしくは出来事、またはそれらの組み合わせに関する情報である。物品情報は、対象物品の証明書、保証書、または鑑定書に相当する情報を含んでもよい。物品情報の内容は、例えば対象物品を最初に販売する者(例えば、対象物品にゆかりのある人物、または当該人物の所属する組織)によって決定されてよい。さらに、物品情報は、対象物品を保護する物品保護ユニット70または対象物品に付属するスマートロック72に関する情報を含んでもよい。一例として、物品情報は、物品保護ユニット70またはスマートロック72のID(例えばシリアルナンバー)に関する情報を含んでもよい。
【0058】
物品情報は、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。或いは、外部装置(例えばサーバ30)に保存された対象物品の詳細に関する情報を参照するための情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator))がトークンに記載されてもよい。
【0059】
取引条件情報は、対象物品の取引条件に関する情報である。一例として、取引条件情報は、対象物品の流通に伴うロイヤリティの徴収条件に関する情報(例えば、ロイヤリティの算定法、ロイヤリティの支払先、またはそれらの組み合わせに関する情報)を含むことができる。取引条件情報は、例えば対象物品を最初に販売する者によって決定されてよい。取引条件情報は、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。或いは、取引条件情報は、対象物品の転売先、転売時期、または転売価格の制約に関する情報であってもよい。
【0060】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
【0061】
(4-1)物品購入処理
本実施形態の物品購入処理について説明する。図9は、本実施形態の物品購入処理のフローチャートである。図10は、本実施形態のユーザ端末に表示される物品管理用の画面例を示す図である。
【0062】
図9の物品購入処理は、一例として、ユーザ端末10に所定のWebページが表示された状態、またはユーザ端末10上で所定のアプリケーションが実行されている状態で、ユーザが物品80の購入を指示する操作を行うことで開始する。所定のWebページは、例えば物品80を購入可能なWebページである。所定のアプリケーションは、例えば物品80を購入可能なアプリケーションである。
【0063】
図9に示すように、ユーザ端末10は、物品の購入要求(S110)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ユーザの操作に応じて、物品80の購入要求を発行する。ユーザ端末10は、購入要求をサーバ30へ送信する。購入要求は、例えば以下の情報を含むことができる。
・購入対象となる物品80を特定可能な情報
・購入者(つまりユーザ)に関する情報(以下、「購入者情報」という)
【0064】
ステップS110の後に、サーバ30は、決済処理(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS110において送信された購入要求を受信する。サーバ30は、取得した購入要求に応じて、物品80の購入対価を決済する。つまり、サーバ30は、物品80の購入対価をユーザから徴収する。
【0065】
ユーザの決済情報は、例えば購入要求において指定されてもよいし、購入要求に含まれる情報(例えばユーザID)からユーザデータベースを用いて特定可能であってもよい。ここで、ユーザIDはユーザを識別する情報であり、ユーザデータベースはユーザに関する情報を管理するデータベースである。決済情報は、例えば、暗号資産のウォレット情報であってもよいし、クレジットカード情報であってもよい。決済処理(S130)が正しく完了した場合に、サーバ30は次のステップを実行する。他方、決済処理(S130)が正しく完了しなかった場合に、サーバ30は所定のエラー処理を行う。
【0066】
ステップS130の後に、サーバ30は、購入完了応答(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において取得した購入要求に応じて実行した決済処理が正しく完了したことを示す応答(以下、「購入完了応答」という)を発行する。サーバ30は、購入完了応答をユーザ端末10へ送信する。
【0067】
ステップS131の後に、ユーザ端末10は、ユーザへの通知(S111)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS131において送信された購入完了応答を受信する。ユーザ端末10は、取得した購入完了応答の内容をユーザに通知する。一例として、ユーザ端末10は、ディスプレイ21の画面を更新する。或いは、ユーザ端末10は、通知メッセージをディスプレイ21に表示し、または通知音をユーザ端末10のスピーカから出力する。
【0068】
他方、ステップS131の後に、サーバ30は、トークンの発行(S132)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ユーザが購入した物品80に付属するスマートロック72を解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンの発行を分散型台帳システム50に要求する。
【0069】
サーバ30は、トークンに記載される鍵情報と、物品情報と、取引条件情報とを指定する。鍵情報は、例えばランダムに生成されたパスワードであってよい。物品情報は、例えば物品80の提供者もしくは販売者によって作成されてもよいし、サーバ30の運営者によって作成されてもよい。取引条件情報は、例えば物品80の提供者もしくは販売者によって決定されてもよいし、情報処理システム1の規約により定められてもよい。
なお、本ステップS130は、ステップS131と並行して、またはステップS131よりも前に実行されてもよい。
【0070】
ステップS132の後、ユーザ端末10は、トークンの獲得(S112)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS132において発行されたトークンを獲得する。
【0071】
他方、ステップS133の後、サーバ30は、物品の発送指示(S133)を実行してもよい。
具体的には、サーバ30は、ユーザが購入した物品80を物品保護ユニット70に封入された状態でユーザへ発送するための発送指示を外部装置へ送信する。外部装置は、例えば、例えばサーバ30の運営者において物品80の発送業務に従事する作業員が操作する端末、またはかかる端末を管理するサーバである。或いは、外部装置は、物品80の発送業務の委託先のコンピュータであってもよい。
ただし、本ステップS133は、例えばサーバ30の運営者に属するオペレータが手動で実施してもよい。いずれにせよ、ユーザが購入した物品80は、物品保護ユニット70に封入された状態(つまり、スマートロック72が付属した状態)で当該ユーザに届けられる。
【0072】
図9の物品購入処理の完了後に、ユーザは、購入した物品80に関する情報を、ユーザが現在所持している物品を管理するためのUI(User Interface)(以下、「物品管理UI」という)に表示させることができる。物品管理UIは、ユーザ端末10のディスプレイ21に表示される。物品管理UIは、例えばユーザ端末10上で実行されるアプリケーションの画面であってもよいし、ユーザ端末10上で実行されるWebブラウザによって表示される特定のSaaS(Software as a Service)の画面であってもよい。
【0073】
図10の物品管理UIは、表示オブジェクトA10a~A10bと、操作オブジェクトB10a~B10fとを含む。
【0074】
表示オブジェクトA10aは、ユーザが所持している物品80のうち選択中の1つ(以下、「選択物品」という)のプレビューを表示する。
表示オブジェクトA10bは、選択物品の補足情報を表示する。補足情報は、トークンに記載された物品情報と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、補足情報は、トークンに記載された解錠履歴情報に基いて作成される、選択物品の状態情報を含んでいてもよい。スマートロック72が一度も解錠されていない場合に、選択物品が「未使用」または「未開封」であることを示す状態情報が表示される。他方、スマートロック72が解錠されたことがある場合に、選択物品が「使用済」もしくは「開封済」であることを示す状態情報、選択物品の使用もしくは開封回数を示す状態情報、または選択物品の使用もしくは開封日時を示す状態情報が表示されてもよい。
【0075】
操作オブジェクトB10aは、選択物品を売却する指示を受け付ける。操作オブジェクトB10aが選択された場合に、ユーザ端末10は選択物品の売却条件に関する情報の指定をさらに受け付けてもよい。売却条件に関する情報は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・売却方法(例えば、物品80を売買するためのプラットフォーム)
・売却先(例えば、物品80の買い手のウォレット情報であるが、物品80の買い手が予め決まっていない場合には指定されない)
・売却価格(売却希望価格を含み得る)
【0076】
操作オブジェクトB10bは、トークンに記載された取引条件情報を閲覧する指示を受け付ける。操作オブジェクトB10bが選択された場合に、ユーザ端末10は取引条件情報をディスプレイ21に表示させる。
【0077】
操作オブジェクトB10cは、選択物品を保護する物品保護ユニット70を開封する指示を受け付ける。操作オブジェクトB10cが選択された場合に、ユーザ端末10は後述する開封処理を行う。なお、開封処理を行う前に、ユーザ端末10は、警告メッセージをディスプレイ21に表示してもよい。警告メッセージは、例えば、開封により選択物品の評価額が下がるおそれがあること、開封の事実はトークンに記録されること、またはそれらの組み合わせを伝える情報を含み得る。
【0078】
操作オブジェクトB10dは、トークンに記載された物品情報に基づく証明書を閲覧する指示を受け付ける。操作オブジェクトB10bが選択された場合に、ユーザ端末10は証明書をディスプレイ21に表示させる。なお、物品管理UIは、証明書の代わりに、または証明書に加えて他の書類(例えば、保証書または鑑定書)を閲覧可能に構成されてもよい。
【0079】
操作オブジェクトB10eは、物品管理UIから所定の画面(例えば、ホーム画面)に戻る指示を受け付ける。操作オブジェクトB10eが選択された場合に、ユーザ端末10は所定の画面をディスプレイ21に表示させる。
【0080】
操作オブジェクトB10fは、選択物品を切り替える指示を受け付ける。操作オブジェクトB10fが選択された場合に、ユーザ端末10は、ユーザが所持している別の物品80を新たな選択物品として扱う。これにより、ユーザ端末10は、表示オブジェクトA10a~A10bの内容を更新する。
【0081】
(4-2)開封処理
本実施形態の開封処理について説明する。図11は、本実施形態の開封処理のフローチャートである。
【0082】
図11の開封処理は、一例として、ユーザ端末10のディスプレイ21に物品管理UIが表示されている状態で、ユーザが物品保護ユニット70の開封を指示する操作(例えば、図10の操作オブジェクトB10cの選択)を行うことで開始する。
【0083】
図11に示すように、ユーザ端末10は、解錠指示の受付(S210)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ユーザの操作に応じて解錠指示を受け付ける。解錠指示は、例えば、開封の対象となる物品保護ユニット70の備えるスマートロック72に対応するトークンを特定可能な情報を含む。一例として、解錠指示は、以下の情報の少なくとも1つを含むことができる。
・開封の対象となる物品保護ユニット70の備えるスマートロック72を識別する情報
・開封の対象となる物品保護ユニット70の備えるスマートロック72に対応するトークンを識別する情報
・開封の対象となる物品保護ユニット70に収容された物品80を識別する情報
・開封の対象となる物品保護ユニット70を識別する情報
【0084】
ステップS210の後に、ユーザ端末10は、鍵情報の取得(S211)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS210において取得した解錠指示に基づいて特定されたトークンを分散型台帳システム50から取得し、ユーザのウォレット(秘密鍵)を用いて復号することで、当該トークンに記載された鍵情報を取得する。
【0085】
ステップS211の後に、ユーザ端末10は、鍵情報の送信(S212)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS211において取得した鍵情報を、スマートロック72へ例えば無線で送信する。スマートロック72は鍵情報を受信し、当該鍵情報の内容が適正であるか否かを判定する。スマートロック72は、鍵情報の内容が適正である場合に解錠され、解錠状態に遷移したことをユーザ端末10に通知する。スマートロック72が解錠されることで、ユーザは、箱71の扉を開け、物品80に接触することが可能となる。
【0086】
ステップS212の後に、ユーザ端末10は、解錠の検知(S213)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS212において送信した鍵情報によってスマートロック72が解錠されたことを検知する。一例として、ユーザ端末10は、スマートロック72からの通知に応じて、当該スマートロック72の解錠を検知する。
【0087】
ステップS213の後に、ユーザ端末10は、解錠履歴情報の更新(S214)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、解錠履歴情報の更新を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50は、スマートロック72の解錠の事実が解錠履歴情報に記録されるようにトークンに追記を行う。
ステップS214の完了を以て、図11の開封処理は終了する。
【0088】
(5)小括
以上説明したように、サーバ30は、物品80の購入要求を受け付け、当該物品80に付属するスマートロック72を解錠可能とする鍵情報が記載されたトークンを当該物品80の購入者に発行する。他方、ユーザ端末10は、このトークンを物品80の購入後に獲得する。これにより、ユーザは、スマートロック72の付属した物品80を購入し、当該物品80の持ち主であることをトークンの保有により容易に証明できる。
【0089】
ユーザ端末10は、スマートロック72の解錠に応じて、当該スマートロック72の解錠履歴に関する解錠履歴情報をトークンに追記してもよい。これにより、ユーザがスマートロック72を一度も解錠しなければ、物品80が所定の状態(例えば未使用)であることをトークンに記載された情報によって証明できる。つまり、物品80を二次流通させる場合に、当該物品80がユーザの手に渡ったことのみに起因して当該物品80の価値が過小評価されるのを防ぐことができる。追記される解錠履歴情報は、スマートロックが解錠された日時に関する情報を含んでもよい。これにより、ユーザは、物品80が未使用品でない場合であっても、物品80がどの程度使用されてきたかをトークンに記載された情報によって証明できる。
【0090】
トークンは、物品80の詳細に関する物品情報が記載された状態でユーザ端末10により獲得されてもよい。これにより、ユーザは、物品80の価値をトークンに記載された情報によって証明できる。物品情報は、物品80の証明書、保証書、または鑑定書に相当する情報を含んでもよい。これにより、物品80が真正品であることの確からしさを高めることができる。
【0091】
トークンは、物品80の取引条件に関する取引条件情報が記載された状態でユーザ端末10により獲得されてもよい。これにより、ユーザが物品80を後日転売する場合に、物品80の売り手または買い手に取引条件により予め定められた義務を履行させることができる。取引条件情報は物品80の流通に伴うロイヤリティの徴収条件に関する情報を含んでもよい。これにより、権利者は、物品80の初回販売後もロイヤリティ収入を得ることができる。
【0092】
ユーザ端末10は、物品80の売却に応じてトークンを当該物品80の買い手に譲渡してもよい。これにより、物品80の買い手は、ユーザに代わって当該物品80に関する各種の証明を行えるようになる。つまり、物品80の二次流通を促進することができる。
【0093】
物品保護ユニット70は、箱71およびスマートロック72を備える。箱71は、内部空間および外部空間を連通可能な扉を備え、かつ物品80を当該外部空間から隔離した状態で当該内部空間に収容可能に構成される。スマートロック72は、箱71の扉を施錠可能に設置され、かつ物品80の購入者に発行されたトークンに記載された鍵情報の受け付けに応じて解錠する。これにより、スマートロック72を解錠しない限り使用できないように物品80を保護し、トークンの保有者が当該物品80の持ち主であることの確からしさを高めることができる
【0094】
(6)変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、ユーザ端末10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、ユーザ端末10に内蔵されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0095】
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。また、上記の情報処理の各ステップは、ユーザ端末10及びサーバ30の何れでも実行可能である。
【0096】
上記説明では、物品保護ユニット70および物品80を当該物品80の購入者(つまり、新たな持ち主)に発送する例を示した。しかしながら、物品80の持ち主の変更に伴って物品保護ユニット70および物品80の移動が生じなくてもよい。例えば、物品保護ユニット70および物品80は、持ち主の変更に関わらず同じ所定の場所(一例として、倉庫、またはミュージアム)に保管されていてもよい。
【0097】
上記説明では、スマートロック72が、箱71の扉を施錠することで、物品80に対する外界からの接触を防ぎ当該物品80の使用を制約する例を示した。しかしながら、スマートロック72は、その他の方法で物品80の使用を制約してもよい。
第1例として、スマートロック72付きのワイヤーを物品80に巻きつけて物品80の可動域を狭めることで、物品80の使用を制約してもよい。本例では、スマートロック72を解錠することで、ワイヤーを物品80から取り除き、当該物品80を自由に動かすことが可能となる。
第2例として、スマートロック72は、物品(例えば、自動車、電子機器)の起動を妨げることで、当該物品80の使用を制約してもよい。本例では、スマートロック72を解錠することで、物品80を起動することが可能となる。
第1例および第2例によれば、スマートロック72が物品80に付属していればよく、箱71は不要となる。
【0098】
また、スマートロック72は、物品80の使用を制約する以外の目的で使用されてもよい。物品80(例えば、高級食材、高級服飾雑貨(例えば、カバン、財布、または時計)、などの高級品)のブランド、品質、またはその他の属性の真正性を示す情報が記載された標識(例えばタグ)を当該物品80に固定するために用いられてもよい。スマートロック72は、当該スマートロック72が解錠されない限り、物品80から標識を取り外すことができないように設置される。この場合に、物品80の購入者は、トークンに記載された解錠履歴情報または物品情報に基づいて当該物品80の真贋または状態を確認したうえで、スマートロック72を必要に応じて解錠して物品80を使用または消費することができる。他方、物品80の流通の過程において当該物品80の購入者が標識を物品80の偽造品ないし模倣品に付け替える偽装行為が発生したとしても、当該行為をトークンに記載された解錠履歴情報から容易に検知することが可能となる。なお、物品80の購入者以外(例えば物流業者)は、スマートロック72を解錠できないので、標識の付け替えを行うことはできない。つまり、本実施形態のトークンおよびスマートロック72は、物品80のすり替え防止またはブランド保護に活用することも可能である。この場合に、スマートロック72は、物品80の使用を制約することは必須でない。
要するに、スマートロック72は、何らかの目的(例えば、使用の制約、すり替えの防止、またはブランドの保護)で物品80に直接または間接的に付属する。ここで、「付属する」とは、例えばスマートロック72が少なくとも施錠状態において物品80と一体となって流通されることを意味する。
【0099】
物品80の購入者は、当該物品80を自ら使用または消費する意思がある場合には、スマートロック72を解錠し、当該物品80からスマートロック72、ならびに箱71、ワイヤー、または標識を物品80から完全に分離することができる。つまり、スマートロック72の存在が、購入者による物品80の使用または消費価値を損なうことはない。
【0100】
上記説明では、トークンが解錠履歴情報を含む例を示した。トークンは、さらに施錠履歴情報を含んでもよい。施錠履歴情報は、例えば、スマートロック72が施錠された出来事のそれぞれについて、施錠された日時に関する情報を含む。
【0101】
上記説明では、物品80の初期購入対価が予め定められている例を示した。しかしながら、物品80の初期購入対価はオークション形式で決定されてもよい。この場合に、サーバ30は、様々なユーザから購入条件(例えば価格)の提示を受け付け最良の購入条件を提示したユーザを選定し、選定したユーザのユーザ端末10から購入要求を受け付けるようにしてもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 :情報処理システム
10 :ユーザ端末
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
50 :分散型台帳システム
55 :ノードコンピュータ
70 :物品保護ユニット
71 :箱
72 :スマートロック
80 :物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11