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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097353
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ロール体
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/14 20060101AFI20230630BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20230630BHJP
   B32B 5/16 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B65H75/14
G01L5/00 101A
B32B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176499
(22)【出願日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2021213321
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 知仁
【テーマコード(参考)】
2F051
3F058
4F100
【Fターム(参考)】
2F051AB03
3F058AA02
3F058AA03
3F058AB01
3F058AC00
3F058BB17
3F058CA00
3F058DA05
3F058DB03
3F058DB05
3F058DC03
4F100AA08B
4F100AJ06B
4F100AJ09D
4F100AK42A
4F100AK51B
4F100AK73C
4F100AL09B
4F100AN00B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA44B
4F100DC22B
4F100DE04B
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EH46D
4F100JK12B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】マイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率に優れる、ロール体の提供。
【解決手段】芯と、芯に巻き回される長尺シートと、を備えるロール体であって、長尺シートは、基材シートと、基材シートの一方の面又は両面の少なくとも一部にスペーサ及びマイクロカプセルと、を有し、スペーサが、長尺シートの巻回方向に沿って設けられ、スペーサの厚みが2.5mm未満であり、且つロール体の断面直径が15cm以下である、ロール体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯と、前記芯に巻き回される長尺シートと、を備えるロール体であって、
前記長尺シートは、基材シートと、前記基材シートの一方の面又は両面の少なくとも一部にスペーサ及びマイクロカプセルと、を有し、
前記スペーサが、前記長尺シートの巻回方向に沿って設けられ、
前記スペーサの厚みが2.5mm未満であり、且つ
前記ロール体の断面直径が15cm以下である、
ロール体。
【請求項2】
前記スペーサが、ゴム材料を含む、請求項1に記載のロール体。
【請求項3】
前記スペーサの厚みが0.5mm以上である、請求項1又は請求項2に記載のロール体。
【請求項4】
前記スペーサのショア硬度が35HS以上である、請求項1又は請求項2に記載のロール体。
【請求項5】
前記スペーサが、前記基材シートの前記巻回方向と直交する方向の両端部に設けられる、請求項1又は請求項2に記載のロール体。
【請求項6】
前記スペーサの厚みの前記巻回方向のばらつきが、10%以下である、請求項1又は請求項2に記載のロール体。
【請求項7】
前記長尺シートが、圧力測定シートに用いられる、請求項1又は請求項2に記載のロール体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロール体に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力測定用材料は、液晶ガラスの貼合せ工程、プリント基板へのハンダ印刷、ローラ間の圧力調整などの用途に使われている。このような圧力測定用材料には、例えば、富士フイルム株式会社から提供されているプレスケール(商品名;登録商標)に代表される圧力測定シートがある。圧力測定シートは、測定部位に合わせてシートを任意の大きさに裁断して使用できる特徴を有する。また、筆圧による高い線圧によって発色反応を起こさせる、いわゆる感圧複写紙とは異なり、圧力測定シートは、面圧を測定することができる特徴を有している。
【0003】
圧力測定シートの表面は、ロイコ染料、ジアゾ化合物等の発色剤又はこの発色剤を発色させる顕色剤が内包されたマイクロカプセルを有している。所定の圧力をマイクロカプセルに加えることにより、マイクロカプセルが破壊され、例えば、発色剤がマイクロカプセル外に放出されて、マイクロカプセル外に配置されていた顕色剤と発色反応を起こす。
【0004】
圧力測定前にマイクロカプセルが破壊されてしまった場合、圧力の測定ができなくなるため、圧力測定シートの取り扱いには注意が必要とされる。
例えば、圧力測定シートを芯に巻き回しロール体とする際に、圧力測定シートが備える基材シートとマイクロカプセルとが接触することにより、マイクロカプセルへ圧力が加わり、マイクロカプセルが破壊されてしまう場合、ロール体の搬送時における衝撃により、マイクロカプセルが破壊されてしまう場合等があった。
【0005】
上記マイクロカプセルの破壊を抑制することを目的として、特許文献1においては、発色剤と顕色剤との発色反応を利用した圧力測定用材料であって、基体と、発色剤を内包するマイクロカプセルを含み基体上に設けられた発色剤層と、基体の縁部に設けられたスペーサと、を有する圧力測定シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2021/171867号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、搬送効率の観点から、圧力測定シート等を芯に巻き回したロール体のコンパクト化には、一定のニーズがある。本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、マイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率に優れる、ロール体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 芯と、上記芯に巻き回される長尺シートと、を備えるロール体であって、上記長尺シートは、基材シートと、上記基材シートの一方の面又は両面の少なくとも一部にスペーサ及びマイクロカプセルと、を有し、上記スペーサが、上記長尺シートの巻回方向に沿って設けられ、上記スペーサの厚みが2.5mm未満であり、且つ上記ロール体の断面直径が15cm以下である、ロール体。
<2> 上記スペーサが、ゴム材料を含む、上記<1>に記載のロール体。
<3> 上記スペーサの厚みが0.5mm以上である、上記<1>又は<2>に記載のロール体。
<4> 上記スペーサのショア硬度が35HS以上である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載のロール体。
<5> 上記スペーサが、上記基材シートの上記巻回方向と直交する方向の両端部に設けられる、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のロール体。
<6> 上記スペーサの厚みの上記巻回方向のばらつきが、10%以下である、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載のロール体。
<7> 上記長尺シートが、圧力測定シートに用いられる、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載のロール体。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、マイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率に優れる、ロール体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示のロール体の一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すロール体が備える長尺シートのA-A線断面図である。
図3図3は、図1に示すロール体のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
本開示において「層」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
【0013】
本開示において、長尺シートとは、長手方向の長さが、短手方向の長さよりも長いシートを指す。
【0014】
本開示において、ロール体の断面直径とは、芯に巻き回される長尺シートの外周上の2点と、芯の中点とを結ぶ直線の長さを指す。
【0015】
本開示において、ゴム材料とは、25℃にてゴム弾性を有する化合物を指す。
また、ゴム弾性を有する化合物とは、金属と比較して、力に対する変位量が大きい化合物を指す。
ゴム弾性を有する化合物のショア硬度は、20HS以上であることが好ましく、35HS以上であることがより好ましく、40HS以上であることがより好ましく、55HS以上であることがさらに好ましい。なお、ショア硬度の上限は、100HS以下とすることができる。
本開示において、ショア硬度は、JIS Z 2246(2000)に準拠して測定する。
【0016】
本開示において、スペーサ等の厚みは、以下のようにして測定する。
スペーサ等の一方の端部から長手方向に15cm、35cm及び55cmの3箇所において、3点ずつ厚みを測定し、計9点の厚みの平均値を算出し、この平均値を小数点第2位で四捨五入した値を厚みとする。
また、スペーサの厚みのばらつきは、以下のようにして測定する。
スペーサの端部から長手方向に15cm、35cm及び55cmの3箇所において、3点ずつ厚みを測定する。計9点の厚みの最大値と最小値との差を求め、これを計9点の厚みの平均値により除し、100倍し、小数点第2位で四捨五入することにより、スペーサの厚みのばらつきを測定する。
なお、スペーサの厚みのばらつきとは、長尺シートの巻回方向における厚みの変動を指す。
上記厚みの測定には、デジタルダイヤルゲージ式厚み測定器を使用する。
【0017】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0018】
[ロール体]
本開示のロール体は、芯と、芯に巻き回される長尺シートと、を備えるロール体であって、長尺シートは、基材シートと、基材シートの一方の面又は両面の少なくとも一部にスペーサ及びマイクロカプセルとを有し、スペーサが、長尺シートの巻回方向に沿って設けられ、スペーサの厚みが2.5mm未満であり、且つロール体の断面直径が15cm以下である。
【0019】
本開示のロール体は、マイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率に優れる。上記効果が奏される理由は以下のように推測されるが、これに限定されない。
本開示のロール体が備える長尺シートが有するスペーサは、厚みが2.5mm未満である。スペーサの厚みが2.5mm未満であることにより、芯に長尺シートを巻き回したロール体の断面直径が小さくなり、一定面積により多くのロール体を収容することが可能となり、搬送効率が向上すると推測される。
また、ロール体の断面直径が15cm以下であることにより、ロール体の表面付近の長尺シートの曲率半径が小さくなり、強度が向上するため、外から加えられる力によるマイクロカプセルの破壊が抑制されると推測される。
【0020】
ロール体の断面直径は、14cm以下であることが好ましく、13cm以下であることがより好ましい。
搬送効率を向上する観点から、ロール体の断面直径は、10cm以上であることが好ましく、11cm以上であることがより好ましい。
優れたマイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率を両立させる観点から、ロール体の断面直径は、5cm~15cmであることが好ましい。
ロール体の断面直径の下限は、特に限定されず、例えば、1cm以上とすることができる。
【0021】
(長尺シート)
長尺シートは、基材シートと、基材シートの一方の面又は両面の少なくとも一部にスペーサ及びマイクロカプセルと、を有する。
【0022】
基材シートの材質は、特に限定されず、パルプ紙、樹脂シート、合成紙、これらの積層体等が挙げられる。
パルプ紙としては、上質紙、中質紙、更紙、中性紙、酸性紙、コート紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、微塗工紙、トレーシングペーパー、再生紙、樹脂を含浸させた紙等を挙げることができる。
樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレートシート等のポリエステルシート、三酢酸セルロース等のセルロースシート、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンシート、ポリスチレンシート等を挙げることができる。
合成紙の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を二軸延伸してミクロボイドを多数形成したもの(ユポ等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の合成繊維からなるものなどが挙げられる。
長尺シートが圧力測定シートである場合には、発色濃度を向上する観点から、樹脂シート、合成紙又はこれらの積層体が好ましく、樹脂シートがより好ましい。
基材シートは、コロナ放電処理等の表面処理が施されていることが好ましく、これにより、マイクロカプセル、スペーサ等との密着性を向上することができる。
【0023】
マイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率を向上する観点から、基材シートの厚みは、10μm~300μmであることが好ましく、30μm~250μmであることがより好ましく、50μm~150μmであることがさらに好ましい。
【0024】
本開示の長尺シートは、スペーサを有する。
スペーサは、基材シートの一方の面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。製造コストの観点からは、スペーサは、基材シートの一方の面に設けられていることが好ましい。
スペーサは、基材シート上に、基材シートと接するように設けられていてもよく、マイクロカプセル、密着層等の上に設けられていてもよい。
スペーサは、基材シートの巻回方向に沿って設けられ、巻回方向の一部に設けられていてもよく、巻回方向の全体に設けられていてもよい。マイクロカプセルの破壊抑制性を向上する観点からは、スペーサは、長尺シートの巻回方向の全体に設けられていることが好ましい。
スペーサが巻回方向の一部に設けられている場合、帯状(連続して)設けられていてもよく、断続的に設けられていてもよい。
マイクロカプセルの破壊抑制性を向上する観点から、スペーサは、基材シートの巻回方向と直交する方向の一方の端部又は両端部に設けられることが好ましく、両端部に設けられることがより好ましい。
なお、「一方の端部又は両端部に設けられる」とは、スペーサの端部が基材シートの端部と重なる場合や超える場合のみならず、スペーサの端部及び基材シートの端部の距離が50mm以下の場合も包含される。
なお、「直交」とは、基材シートの巻回方向に対し60°~120°となる方向を指し、70°~110°が好ましく、80°~100°がより好ましく、85°~95°がさらに好ましい。
【0025】
スペーサは、バインダーを含むことができる。バインダーとしては、ゴム材料、発泡ポリマー等が挙げられる。
ゴム材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ポリオレフィンゴム(エチレンプロピレンジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン等)、ニトリルゴム、ブタジエンゴム(アクリロニトリルブタジエンゴム等)、クロロプレン(ネオプレン)ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、これらの発泡物等が挙げられる。
発泡ポリマーとしては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、ポリビニル(ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等)などのポリマーの発泡物が挙げられる。
マイクロカプセルの破壊抑制性を向上する観点から、ゴム材料が好ましく、ポリオレフィンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム又はこれらの発泡物がより好ましい。
【0026】
スペーサは、1種又は2種以上の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、顔料、染料、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、ワックス、臭気抑制剤等が挙げられる。
【0027】
搬送効率を向上する観点から、スペーサの厚みは、2.3mm以下であることが好ましく、2.1mm以下であることがより好ましい。また、スペーサの厚みを2.3mm以下とすることにより、製造コストを低減することができ、且つ環境保全の観点から好ましい。
マイクロカプセルの破壊抑制性を向上する観点から、スペーサの厚みは、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、1.0mm以上であることがさらに好ましく、1.2mm以上であることがさらに好ましい。
優れたマイクロカプセルの破壊抑制性及び搬送効率を両立させる観点から、スペーサの厚みは、0.5mm以上2.5mm未満が好ましく、0.5mm~2.3mmがより好ましく、0.6mm~2.0mmがさらに好ましい。
【0028】
スペーサの厚みの巻回方向のばらつきが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。上記ばらつきの下限は、特に限定されず、0%とすることができる。
スペーサの厚みの巻回方向のばらつきが、10%以下であることにより、ロール体の断面直径の調整が容易となる。
【0029】
スペーサが、基材シートの巻回方向と直交する方向の両端部に設けられる場合等、スペーサが複数設けられる場合、複数のスペーサの巻回方向のばらつき、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。上記ばらつきの下限は、特に限定されず、0%とすることができる。
スペーサの厚みの巻回方向のばらつきが、10%以下であることにより、ロール体の断面直径の調整が容易となる。
【0030】
マイクロカプセルの破壊抑制性を向上する観点から、スペーサのショア硬度は、20HS以上であることが好ましく、35HS以上であることがより好ましく、40HS以上であることがより好ましく、55HS以上であることがさらに好ましい。
スペーサのショア硬度の上限は特に限定されず、例えば、100HS以下とすることができる。
【0031】
スペーサを設ける方法は特に限定されず、ゴム材料等を含有する部材を、両面テープ、接着剤等を使用し貼り付けることにより、基材シート表面にスペーサを設けることができる。
【0032】
長尺シートは、基材シートのスペーサが設けられる面の一部にマイクロカプセルを有する。マイクロカプセルとは、加圧により破壊されるカプセルとしてもよい。
マイクロカプセルは、基材シートの一方の面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。製造コストの観点からは、マイクロカプセルは、基材シートの一方の面に設けられていることが好ましい。
また、マイクロカプセルは、基材シートの面の一部に設けられていてもよく、全体に設けられていてもよい。マイクロカプセルは、基材シートのスペーサが設けられた部分を除く全体に設けられていてもよく、マイクロカプセルが基材シートの全体に設けられ、マイクロカプセル上にスペーサが設けられていてもよい。
マイクロカプセルは、ロイコ染料、ジアゾ化合物等の発色剤を1種又は2種以上内包することができる。発色剤を使用することにより、長尺シートを加圧により発色する発色シートとしてもよい。発色シートとして使用する場合には、通常、顕色シートと共に使用される。
【0033】
発色剤は、顕色剤との反応により発色する染料であり、無色状態から有色状態に変色する染料だけではなく、有色状態から他の色相の有色状態に変色する染料も含まれる。
ロイコ染料としては、感圧複写紙又は感熱記録紙の用途において公知の化合物を使用することができ、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物等が挙げられる。
より具体的には、ロイコ染料としては、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-[2,2-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)ビニル]-3-(4-ジエチルアミノフェニル)-フタリド、9-[エチル(3-メチルブチル)アミノ]スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1’(3’H)イソベンゾフラン]-3’-オン、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン、6-ジエチルアミノ-3-メチル-2-(2,6-キシリジノ)-フルオラン、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、2-アニリノ-6-ジエチルアミノ-3-メチルフルオラン等が挙げられる。
【0034】
マイクロカプセルは、溶媒を1種又は2種以上内包することができる。
溶媒としては、感圧複写紙又は感熱記録紙の用途において公知の化合物を使用することができ、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン系溶媒、1-フェニル-1-キシリルエタン等のジアリールアルカン系溶媒、イソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル系溶媒、トリアリールメタン系溶媒、アルキルベンゼン系溶媒、ベンジルナフタレン系溶媒、ジアリールアルキレン系溶媒、アリールインダン系溶媒などの芳香族炭化水素系溶媒、フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系溶媒、大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油系溶媒、鉱物油系溶媒などが挙げられる。
【0035】
マイクロカプセルは、1種又は2種以上の添加剤を内包してもよい。添加剤としては、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、ワックス、臭気抑制剤等が挙げられる。
【0036】
マイクロカプセルの壁材としては、従来から感圧記録材料のロイコ染料含有のマイクロカプセルの壁材として使用されている水不溶性ポリマー及び油不溶性のポリマーの中から、特に限定されることなく使用でき、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、ゼラチン等が挙げられる。
【0037】
マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(以下、平均粒径ともいう。)は、発色濃度を向上させる観点からは、1μm以上であることが好ましく、1μm~100μmであることがより好ましく、1μm~50μmであることがより好ましい。
【0038】
本開示において、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径とは、マイクロカプセル全体を、体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けたときに、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径である。つまり、メジアン径は、いわゆるD50に該当する。
本開示において、マイクロカプセルのメジアン径は、長尺シートのマイクロカプセルが設けられた表面を光学顕微鏡により1000倍で撮影し、500μm×500μmの範囲にある全てのマイクロカプセルの大きさを計測した平均値である。
なお、後述する実施例においても、上記方法によりマイクロカプセルのメジアン径(平均粒径)を測定した。
【0039】
マイクロカプセルを、水、従来公知の溶媒等に分散させた分散液を基材シートの表面に塗布し、乾燥することにより、基材シートの表面にマイクロカプセルを設けることができる。基材上に設けられたマイクロカプセルの群を総じてマイクロカプセル含有層ともいう。また、マイクロカプセルに発色剤が内包される場合、上記マイクロカプセル含有層を発色剤層ともいう。
上記マイクロカプセルは、界面重合法、内部重合法、相分離法、外部重合法、コアセルベーション法等の従来公知の方法により製造したものを使用してもよく、分散液等の状態で市販されるものを使用してもよい。
また、マイクロカプセルの分散液等は、バインダーを含有していてもよく、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、アクリル酸エステル系ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、無水マレイン酸-スチレン-共重合体、デンプン、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
塗布方法は、特に限定されず、エアーナイフコーター、ロッドコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコータ-、エクストルージョンコーター、ダイコーター、スライドビードコーター、ブレードコーター等を使用することができる。
【0040】
長尺シートは、基材シートとマイクロカプセル含有層との間に密着層を備えていてもよい。これにより、長尺シートへのマイクロカプセルの密着性を向上することができる。長尺シートが密着層を備える場合、マイクロカプセルは密着層の表面に設けられる。長尺シートは、密着層を2層以上備えていてもよい。
【0041】
密着層は樹脂を含有してもよい。樹脂としては、スチレンブタジエン樹脂、スチレン(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。なお、本開示において、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
また、密着層は、上記添加剤を含有してもよい。
【0042】
密着層の厚みは特に制限されず、例えば、0.01μm~2μmとすることができる。
密着層は、上記樹脂等を含有する組成物を基材シートの表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0043】
一実施形態において、本開示のロール体が備える長尺シートは、圧力測定シートに用いられる。
圧力測定シートの態様としては、モノシートタイプとツーシートタイプとが挙げられる。モノシートタイプとは、発色剤層及び後述する顕色剤層を同一のシートに備えるタイプである。ツーシートタイプとは、発色剤層を備える長尺シートと、後述する顕色剤層を備えるシートとを別々に2種類のシートを用意して、使用時に組み合わせるタイプである。
例えば、本開示のロール体が、マイクロカプセルに発色剤を含む長尺シートを備える場合、顕色剤層を備えるシートとともに、ツーシートタイプの圧力測定シートセットとして使用することができる。一般に、ツーシートタイプは、低圧用であることが多い。
また、例えば、本開示のロール体が、マイクロカプセルに発色剤を含む長尺シートを備える場合、発色剤層と密着層の間に、後述する顕色剤層を設けて、モノシートタイプの圧力測定シートとして、単独で使用することができる。一般に、モノシートタイプは、高圧用であることが多い。
本開示のロール体は、マイクロカプセルの破壊抑制性に優れるため、低い圧力(例えば、0.1MPa以下)によりマイクロカプセルが破壊する低圧測定用圧力測定シートセットとしても好適に用いることができる。
長尺シートが、圧力測定シートに用いられる場合、ロール体から長尺シートを引き出し、所望のサイズに裁断して圧力測定に使用する。
なお、モノシートタイプにおける顕色剤層の構成及びツーシートタイプにおける顕色剤層構成は、好ましい態様が同じである。
【0044】
上記顕色剤層は、顕色剤を含有する層を意味する。顕色剤としては、活性白土、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト、ベントナイト、カオリン等の粘土物質、フェノール系化合物、ヒドロキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。
より具体的には、顕色剤としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔別名:ビスフェノールA〕、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〔別名:ビスフェノールAF〕、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクロロフェニル)プロパン、1,1-(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-(p-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1-(p-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、3,5-ビス(α-メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5-ジ(tert-ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3-α,α-ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸-2-エチルヘキシル、p-フェニルフェノール、p-クミルフェノール等が挙げられる。
【0045】
顕色剤層は、バインダーを含有してもよく、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、アクリル酸エステル系ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、無水マレイン酸-スチレン-共重合体、デンプン、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
【0046】
(芯)
芯の材質は、特に限定されず、パルプ紙、樹脂、合成紙、木材、金属等が挙げられる。
これらの中でも、芯とフランジとの間の固定強度を適切に調整することができる観点からは、パルプ紙が好ましい。
パルプ紙及び合成紙について上記した通りである。樹脂としては、ポリエステル、セルロース、ポリオレフィン、ポリスチレン等が挙げられる。金属としては、銀、銅、ニッケル等が挙げられる。
【0047】
芯の内径は、特に限定されず、例えば、20mm~100mmとすることができる。
【0048】
芯は、一方又は両方の端部にフランジを備えていてもよく、これにより、巻き出し及び巻き回しを容易に行うことができる。
フランジの材質は、特に限定されず、パルプ紙、樹脂、合成紙、木材、金属等が挙げられる。
【0049】
次に、本開示のロール体の一実施形態を図1図3を参照し、説明する。なお、本開示のロール体は、該形態に限定されるものではない。
図1は、本開示のロール体の斜視図である。図2は、図1のロール体が備える長尺シートのA-A線断面図である。図3は、ロール体のB-B線断面図である。
図1に示すように、本開示のロール体10は、芯1と、芯1に巻き回される長尺シート2とを備える。
長尺シート2は、長尺シート2の巻回方向Xに沿って設けられるスペーサ3を有する。
また、図1において、スペーサ3は、長尺シート2の巻回方向Xと直交する方向の両端部に設けられる。
図1において、芯1は、両端にフランジ4を備える。
【0050】
図2に示すように、長尺シート2は、スペーサ3、基材シート5、密着層6及びマイクロカプセル7(マイクロカプセル含有層)を有する。図2においては、スペーサ3が基材シート5と接するように設けられる構成を示したが、密着層6及びマイクロカプセル7上に設けられていてもよい。
【0051】
図3において、符号Lはロール体10の断面直径を示し、符号lは芯1の内径を示す。
ロール体は、その一部を切り出して、シート形態として搬送してもよい。
シート形態に加工された製品を重ねて包装する場合には、輸送中の振動等によるマイクロカプセルの破壊を防ぐ手段(包材と製品との隙間を可能な限りなくす方法、上下に緩衝材を挟む方法など)を実施することができる。
また、低い圧力により破壊する可能性があるマイクロカプセルを含む低圧測定用のシートに対しては、表裏を接触させないような手段(例えば、シートの圧力判別に使用されない部分に、厚紙をスペーサとして、挟んで重ねる)を実施してもよい。
一実施形態において、金型の圧力測定にシートを使用する場合、長尺シートを金型の形状(シート形態)に切り出した状態で搬送する。
このとき、単に金型の形状に切り出してスペーサを設けると、シートとスペーサとが接触した箇所に存在するマイクロカプセルが破壊する可能性がある。
そのため、金型の形状部分と、上記金型の形状部分と連結した、金型の形状部分とは異なる部分(余白部分ともいう。)と、を長尺シートから切り出し、余白部分にスペーサを設けることで、金型の形状部分のシートに存在するマイクロカプセルの破壊を抑制しつつ搬送することができる。
【実施例0052】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
(マイクロカプセル分散液の調製)
ジアリールエタン(70質量部)に、発色剤として、3,3-ビス(2-メチル-1-オクチル-3-インドリル)フタリド(18質量部)を溶解し、溶液Aを得た。
また、メチルエチルケトン(1質量部)に溶解したエチレンジアミンのブチレンオキシド付加物(0.4質量部)を、撹拌している溶液Aに加えて溶液Bを得た。
さらに、メチルエチルケトン(1質量部)に溶解したトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパン付加物(2質量部)を、撹拌している溶液Bに加えて溶液Cを得た。
次に、水(150質量部)にポリビニルアルコール(6質量部)を溶解した溶液(水相)中に上記溶液C(油相)を加えて、乳化分散した。
乳化分散後の乳化液に水(300質量部)を加え、撹拌しながら70℃まで加温し、1時間撹拌後に冷却して、発色剤が内包されたマイクロカプセルが分散された分散液を調製した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は20μmであった。
【0054】
(保護耳層形成用組成物の調製)
水(75質量部)、ポリアクリル酸ナトリウム(5質量部)及び炭酸カルシウム(100質量部)を混合してサンドミルで分散した後、スチレンブタジエンゴムラテックス(固形分15質量部相当)、カルボキシメチルセルロース1質量%水溶液(15質量部)及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25質量%水溶液(1質量部)を添加して混合し、さらに水を加えて固形分濃度を41.5質量%として、保護耳層形成用組成物を調製した。
【0055】
(芯A及び芯Bの作製)
長さ390mm、内径76mmの樹脂を含浸させた紙製の芯を用意し、両端部にフランジを装着し、芯Aを作製した。
長さ390mm、内径30mmの樹脂を含浸させた紙製の芯を用意し、両端部にフランジを装着し、芯Bを作製した。
なお、フランジは、ポリプロピレン製であり、フランジ外周の形状は正八角形とした。
また、フランジのサイズ(八角形の2辺間の距離)は、各実施例及び比較例におけるロール体の断面直径より4cm大きいサイズに調整した。
【0056】
<実施例1>
厚さ75μm、幅450mm、長さ13.1mの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)シートを用意した。
二軸延伸PETシートの一方の表面に、下記組成の密着層形成用組成物Aをバーコーターにより塗布、乾燥して、0.45μm厚の密着層Aを形成した。
【0057】
-密着層形成用組成物A-
・スチレンブタジエン樹脂 14.1質量部
(スチレン:ブタジエン=67:30(質量比)、製品名:LX-407C5、日本ゼオン株式会社製、固形分40質量%)
・2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-s-トリアジン 2.5質量部
(固形分8質量%)
・ポリスチレン粒子 0.04質量部
(製品名:UFN1008、日本ゼオン株式会社製、平均粒子:2μm、固形分20質量%)
・蒸留水 83.4質量部
【0058】
下記組成の密着層形成用組成物Bを、バーコーターにより上記密着層A上に塗布、乾燥して、0.1μmの密着層Bを形成し、二軸延伸PETシート、密着層A及び密着層Bからなる積層体を得た。
【0059】
-密着層形成用組成物B-
・ゼラチン(製品名:761ゼラチン、新田ゼラチン株式会社製、固形分100質量%)の10.4質量%水溶液 10質量部
・1,2-ベンゾチアゾリン-3-オンの3.5質量%メタノール溶液 0.04部・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(製品名:メトローズ(登録商標)TC5R、信越化学工業株式会社製、固形分100質量%)の3質量%水溶液 0.67質量部
・水酸化ナトリウムの1質量%水溶液(製品名:ナロアクティー(登録商標)CL-95、三洋化成工業株式会社製、固形分1質量%) 0.7質量部
・アンチモンドープ酸化スズ分散液(製品名:TDL-S、三菱マテリアル株式会社製、固形分17質量%、帯電防止性を有する無機粒子) 4.9質量部
・蒸留水 83.7質量部
【0060】
上記積層体の密着層Bの両端部に保護耳層形成用組成物を、塗布、乾燥し、両端部に保護耳層を形成した。保護耳層の幅は、片側25mm(両側で50mm)であった。
上記保護耳層に挟まれた領域にマイクロカプセル分散液を塗布、乾燥し、密着層Bの保護耳層が形成された部分を除いた部分に、マイクロカプセルを含むマイクロカプセル含有層を設けた。上述した方法によりマイクロカプセルのメジアン径(平均粒径)を測定したところ、20μmであった。
【0061】
得られたシートの幅方向の両端に位置する保護耳層を取り除くように、シートを加工機により幅360mmに切断した。切断後のシートの幅方向の両端部における、マイクロカプセル含有層上に両面テープを貼り、エチレンプロピレンジエンゴム(株式会社タケチ製、厚み1.0mm、ショア硬度70HS、幅15mm;EPDMゴム1)を貼り付けることによりスペーサを形成し、長尺シートを得た。
スペーサは、長尺シートの巻回方向に沿い、且つ巻回方向と直交する方向の両端部に設けた。
【0062】
長尺シートのスペーサが内側(芯A側)、長尺シートの二軸延伸PETシートが外側となるように、長尺シートを芯Aに巻き回し、断面直径が15cmのロール体を得た。
【0063】
<実施例2~実施例23及び比較例1~比較例4>
ロール体の断面直径、スペーサの材質、厚み及びショア硬度、長尺シートの長さ、並びに芯の種類からなる群より選択される少なくとも1つ条件を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、ロール体を製造した。
【0064】
表1におけるスペーサの材質の詳細は以下の通りである。
・EPDMゴム2~EPDMゴム9:株式会社タケチ製、幅15mm、厚み及びショア硬度は表1に記載の通り。
・シリコーンゴム1~シリコーンゴム2:イノベクト株式会社製、幅15mm、厚み及びショア硬度は表1に記載の通り。
・発泡ゴム1~発泡ゴム3:常磐ゴム株式会社製、ネオロン、幅15mm、厚み及びショア硬度は表1に記載の通り。
・発泡ゴムC1:常磐ゴム株式会社製、ネオプレン発泡ゴム、幅15mm、厚み及びショア硬度は表1に記載の通り。
・発泡ゴムC2:常磐ゴム株式会社製、ネオロン、幅15mm、厚み及びショア硬度は表1に記載の通り。
【0065】
<<スペーサの厚みの巻回方向のばらつきの測定>>
各実施例及び比較例において製造したロール体から長尺シートを巻き出し、長尺シートが備えるスペーサの端部から長手方向に15cm、35cm及び55cmの3箇所において、3点ずつ厚みを測定した。計9点の厚みの最大値と最小値との差を求め、これを計9点の厚みの平均値により除し、100倍することにより、スペーサの厚みのばらつきを測定した。測定結果を表1に示す。
【0066】
<<輸送効率評価>>
各実施例及び比較例において製造したロール体を段ボール箱に収納した。
段ボール箱のサイズは、ロール体が備えるフランジのサイズに応じ変更し、各ロール体がぴったり収まるサイズとした。
ロール体を収納した段ボール箱を1mのスペースに収納した。
比較例2のロール体が収納される段ボール箱の上記スペースへの収納数と、ロール体が備える長尺シートの面積から、長尺シートの収納面積の合計を求め、これを1.0としたときの各実施例及び比較例の長尺シートの収容面積比を求め、結果を表1にまとめた。
収容面積比の数値が大きい場合、面積あたりの長尺シートの輸送量を向上することができるため、輸送効率に優れる。
【0067】
<<マイクロカプセル破壊抑制性評価>>
輸送効率評価と同様にして、各実施例及び比較例において製造したロール体を段ボール箱に収納し、包装体とした。
JIS Z 0202(2017)の流通条件レベルIに準拠して、上記包装体の1角3稜6面落とし(落下高さ40cm)を行った後、段ボール箱からロール体を取り出し、ロール体から長尺シートを巻き出し、全長にわたりマイクロカプセルの破壊の有無を目視により観察した。下記評価基準に基づいて評価し、結果を表1に示す。
(評価基準)
A:基材シートのスペーサが設けられた部分を除く全面積に対する、マイクロカプセル破壊痕(キズ痕)が確認された領域の面積の比が10%以下であった。
B:上記比が10%超、30%以下であった。
C:上記比が30%超であった。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から、スペーサの厚みが2.5mm未満であり、且つロール体の断面直径が15cm以下である、実施例のロール体は、比較例のロール体に比べ、輸送効率及びマイクロカプセルの破壊抑制性に優れることが分かる。
また、実施例2、実施例3、実施例11及び実施例12と、その他の実施例とを比較することにより、スペーサの厚みを0.5mm以上とすることにより、マイクロカプセルの破壊抑制性がさらに向上できることが分かる。
また、実施例20、実施例21及び実施例23を比較することにより、スペーサのショア硬度を35HS以上とすることにより、マイクロカプセルの破壊抑制性がさらに向上できることが分かる。
また、実施例5、実施例14、実施例17及び実施例18を比較することにより、ロール体の断面直径を5cm~15cmとすることにより、輸送効率をさらに向上できることが分かる。
【符号の説明】
【0070】
1:芯、2:長尺シート、3:スペーサ、4:フランジ、5:基材シート、6:密着層、7:マイクロカプセル、10:ロール体、L:ロール体の断面直径、l:芯の内径、X:巻回方向
図1
図2
図3