(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097363
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】接合部材、ジャケット構造体及び洋上風車
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20230630BHJP
E02D 27/42 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F03D13/20
E02D27/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187389
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2021213407の分割
【原出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】竹山 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】入江 敬
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
【テーマコード(参考)】
2D046
3H178
【Fターム(参考)】
2D046DA62
3H178AA20
3H178AA22
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB35
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】洋上風車を支持するジャケット構造体及び基礎杭に付加される転倒モーメント、ねじりモーメント及び軸力等に対して十分な強度を確保できる。
【解決手段】接合部材40は、複数のレグ20のうちの1つに設けられた複数のスリーブ41を備え、複数のスリーブ41のそれぞれは、複数の杭のうちこの1つに対応する杭が挿入され、前記1つと複数のスリーブ41との間は、接続部材42で接続され、接続部材42は、板部材を含み、板部材は、前記1つ及び複数のスリーブ41のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、前記1つと複数のスリーブ41との間を接続し、板部材は、複数のスリーブ41それぞれの上方に設けられる上方板部材42aと、複数のスリーブ41それぞれの下方に設けられる下方板部材42bと、を含み、接続部材42は、前記1つと複数のスリーブ41との間を接続するウェブ42cを更に備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレグを含み、洋上風車が設置されるジャケット構造体を複数の杭に接合する接合部材であって、
前記複数のレグのうちの1つに設けられた複数のスリーブを備え、
前記複数のスリーブのそれぞれは、前記複数の杭のうち前記1つに対応する杭が挿入され、
前記1つと前記複数のスリーブとの間は、接続部材で接続され、
前記接続部材は、板部材を含み、
前記板部材は、前記1つ及び前記複数のスリーブ、のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続し、
前記板部材は、前記複数のスリーブそれぞれの上方に設けられる上方板部材と、前記複数のスリーブそれぞれの下方に設けられる下方板部材と、を含み、
前記接続部材は、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続するウェブを更に備える、
ことを特徴とする接合部材。
【請求項2】
前記1つ及び前記複数のスリーブ、のそれぞれは、鉛直方向に沿って伸びる直線部を含み、
前記1つの前記直線部と、前記1つ及び前記複数のスリーブとを接続する接続部材とを接続するための第1リブを更に備え、
前記第1リブの辺のうち、前記上方板部材と接する辺は、前記上方板部材の下に位置する前記ウェブに沿って配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の接合部材。
【請求項3】
前記上方板部材は、水平方向に沿って見て、前記1つの前記直線部の上端と一致する、
ことを特徴とする請求項2に記載の接合部材。
【請求項4】
前記1つは、屈曲部を含み、
前記上方板部材は、水平方向に沿って見て、前記屈曲部と重なる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項5】
前記ウェブは、第2リブが設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項6】
複数のレグを含み、洋上風車が設置されるジャケット構造体を複数の杭に接合する接合部材であって、
前記複数のレグのうちの1つに設けられた複数のスリーブを備え、
前記複数のスリーブのそれぞれは、前記複数の杭のうち前記1つに対応する杭が挿入され、
前記1つと前記複数のスリーブとの間は、接続部材で接続され、
前記接続部材は、板部材を含み、
前記板部材は、前記1つ及び前記複数のスリーブ、のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続し、
前記接続部材は、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続する第1ウェブを更に備える、
ことを特徴とする接合部材。
【請求項7】
前記複数のスリーブの間を接続する複数の第2ウェブを更に備え、
前記第1ウェブ及び前記複数の第2ウェブは、鉛直方向に沿って見て、多角形状に配置
される、
ことを特徴とする請求項6に記載の接合部材。
【請求項8】
前記1つと、前記複数のスリーブのうち1つとを接続する前記第1ウェブは、1つである、
ことを特徴とする請求項7に記載の接合部材。
【請求項9】
前記多角形は、三角形又は四角形である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項10】
前記接続部材は、梁部材を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項11】
前記梁部材は、鋼管梁である、
ことを特徴とする請求項10に記載の接合部材。
【請求項12】
前記1つ及び前記複数のスリーブ、のそれぞれは、鉛直方向に沿って伸びる直線部を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項13】
前記複数のスリーブそれぞれは、鉛直方向に沿って見て、前記洋上風車のタワーからの距離が前記タワーから前記1つまでの距離より大きくなるよう、配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項14】
前記複数のスリーブは、2つ以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項15】
前記複数のスリーブは、3つ以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項16】
前記複数のレグは、5つ以上である、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の接合部材。
【請求項17】
複数のレグと、
洋上風車が設置されるトランジションピースと、
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の接合部材と、
を備えるジャケット構造体。
【請求項18】
前記複数のレグは、5つ以上である、
ことを特徴とする請求項17に記載のジャケット構造体。
【請求項19】
複数のレグと、
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の接合部材と、
トランジションピースと、
を含むジャケット構造体に設置される洋上風車。
【請求項20】
前記複数のレグは、5つ以上である、
ことを特徴とする請求項19に記載の洋上風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合部材、ジャケット構造体及び洋上風車に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等を洋上に配置(洋上風車)するために、海底等に打ち込まれた基礎杭に基礎構造を接続することがある(ジャケット構造体)。
特許文献1では、水中構造体における共振の発生を回避する技術が開示されている。具体的には、固有周期を自由に決定するために、支持部材に充填材を充填した水中構造体が開示されている。
特許文献2では、杭式構造物の撤去作業を容易化するために、鋼管杭と外挿鋼管との間におけるグラウトの充填位置を限定した接合構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/068152号
【特許文献2】特開2020-7728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洋上風車が風を受けることによって、洋上風車を支持するジャケット構造体には大きな転倒モーメントが作用する。これにより、ジャケット構造体を支持する基礎杭に対して大きな引抜軸力が作用することがある。このため、引抜支持力の確保の方法が課題である。
洋上風車は風向に合わせてジャケット構造体の上で向きを変えることがある。つまり、ジャケット構造体との相対的な位置関係が変動する。このため、上述の転倒モーメントに加えて、ジャケット構造体や基礎杭にねじりモーメントや軸力が発生することがある。このように、ジャケット構造体には様々な種類及び方向の荷重が作用する。このため、様々な荷重に対して抵抗できる構造を設計することが課題である。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、洋上風車を支持するジャケット構造体及び基礎杭に付加される転倒モーメント、ねじりモーメント及び軸力等に対して十分な強度を確保できる接合部材、ジャケット構造体及び洋上風車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る接合部材は、複数のレグを含み、洋上風車が設置されるジャケット構造体を複数の杭に接合する接合部材であって、前記複数のレグのうちの1つに設けられた複数のスリーブを備え、前記複数のスリーブのそれぞれは、前記複数の杭のうち前記1つに対応する杭が挿入され、前記1つと前記複数のスリーブとの間は、接続部材で接続され、前記接続部材は、板部材を含み、前記板部材は、前記1つ及び前記複数のスリーブ、のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続し、前記板部材は、前記複数のスリーブそれぞれの上方に設けられる上方板部材と、前記複数のスリーブそれぞれの下方に設けられる下方板部材と、を含み、前記接続部材は、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続するウェブを更に備える。
本発明に係る接合部材は、複数のレグを含み、洋上風車が設置されるジャケット構造体を複数の杭に接合する接合部材であって、前記複数のレグのうちの1つに設けられた複数のスリーブを備え、前記複数のスリーブのそれぞれは、前記複数の杭のうち前記1つに対応する杭が挿入され、前記1つと前記複数のスリーブとの間は、接続部材で接続され、前記接続部材は、板部材を含み、前記板部材は、前記1つ及び前記複数のスリーブ、のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続し、前記接続部材は、前記1つと前記複数のスリーブとの間を接続する第1ウェブを更に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洋上風車を支持するジャケット構造体及び基礎杭に付加される転倒モーメント、ねじりモーメント及び軸力等に対して十分な強度を確保できる接合部材、ジャケット構造体及び洋上風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るジャケット構造体の斜視図である。
【
図2】
図1に示すジャケット構造体の正面図である。
【
図3】
図1に示すジャケット構造体の平面図である。
【
図6】接合部材においてスリーブの数を3とした変形例である。
【
図8】接合部材においてレグに屈曲部を設けない変形例である。
【
図10】スリーブ同士の間に梁部材を設けた第1変形例である。
【
図11】スリーブ同士の間に梁部材を設けた変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る接合部材40を説明する。
接合部材40は、
図1及び
図2に示すジャケット構造体100と杭200とを接続する部材である。ジャケット構造体100には、例えば、
図2に示すように洋上風車300が設置される。この場合、ジャケット構造体100は、洋上に配置される。杭200は、海底の地盤に打設される。
【0010】
ジャケット構造体100は、トランジションピース10と、レグ20と、ブレース30と、接合部材40と、を含む。
トランジションピース10は、ジャケット構造体100の上端に配置され、洋上風車300の下端が接続される部位である。
図3に示すように、トランジションピース10は、平面視において十字状である。トランジションピース10の十字状の各外端には、レグ20が配置される。
【0011】
レグ20は、ジャケット構造体100の鉛直方向に亘って複数設けられる。本実施形態において、鉛直方向とは、洋上風車300が設置される海面に直交する方向をいう。レグ20には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、レグ20は4箇所設けられる。レグ20の上端にはトランジションピース10が接続される。レグ20の下端には接合部材40が接続される。レグ20の詳細形状は、接合部材40の構造と併せて後述する。
【0012】
ブレース30は、トランジションピース10において複数設けられたレグ20同士の間を接続し、ジャケット構造体100を補強する部材である。ブレース30には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、ブレース30は、レグ20とレグ20との間においてX字状に構成される。
図1及び
図2に示すように、前記X字状はジャケット構造体100の鉛直方向において2段設けられる。このような場合、トランジションピース10と繋がり、且つ、トランジションピース10よりも海底に近いX字状のブレース30を第1ブレース構造体31と呼称する。また、第1ブレース構造体31と繋がり、且つ、第1ブレース構造体31よりも海底の地盤に近いX字状のブレース30を第2ブレース構造体32と呼称する。
【0013】
接合部材40は、ジャケット構造体100を複数の杭200に接合する。
図4に示すように、接合部材40は、レグ20の下端に設けられる。接合部材40は、スリーブ41と、接続部材42と、を含む。
スリーブ41は、ジャケット構造体100の備える複数のレグ20のうちの1つに対して複数設けられる。複数のスリーブ41は、鉛直方向に沿って伸びる直線部41sを含む。複数のスリーブ41のそれぞれには、杭200が挿入される。これにより、ジャケット構造体100と杭200とを接続する。複数のスリーブ41は、
図5に示すように、2つ以上である。あるいは、複数のスリーブ41は、
図6に示すように、3つ以上であってもよい。
複数のスリーブ41のそれぞれは、鉛直方向に沿って見て、洋上風車300のタワーからの距離、より詳細には洋上風車300のタワーの中心線からの距離が洋上風車300のタワーからこの複数のレグの20のうちの1つまでの距離より大きくなるよう、配置される。つまり、スリーブ41は、ジャケット構造体100において、レグ20よりも外側に配置される。
【0014】
また、
図7に示すように、レグ20は、接合部材40に接合される下端について、スリーブ41と平行に鉛直方向に沿って延びるレグ直線部20s(直線部)を含む。この場合、レグ20の下端付近には屈曲部が設けられる。本実施形態において、屈曲部は、水平方向に沿って見て、複数のスリーブ41それぞれの上端に対応する位置に配置される。あるいはこれに限らず、上端に対応する位置に配置されなくてもよい。ここで、スリーブ41の上端は接続部材42との接続部以外の場所に位置する。また、レグ20の屈曲部が接続部材42との接続部の近傍に位置していると、接続部材42に付加された荷重及びモーメントが屈曲部に集中することがある。つまり、屈曲部を接続部材42との接続部以外の場所に設けることで、上述の応力集中を回避して、レグ20の強度を担保する。
【0015】
あるいは、
図8に示すように、レグ20の1つは、鉛直方向に沿って伸びる直線部41sを含まず、接続部材42の内部において傾斜していてもよい。なお、接続部材42の内部とは、後述する接続部材42によってスリーブ41とレグ20とが接続されている領域をいう。この場合、レグ20の1つの下端は、
図9に示すように、複数のスリーブ41のうち2つのスリーブ41の下端の間に配置されてもよい。
【0016】
接続部材42は、レグ20の1つと、レグ20の1つに対して複数設けられたスリーブ41を接続する。すなわち、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41は、接続部材42で接続される。
図4に示すように、接続部材42は、板部材と、リブ42Rと、を含む。板部材は、レグ20の1つと複数のスリーブ41との隙間を面状に接続する。板部材は、上方板部材42aと、下方板部材42bと、ウェブ42cと、を備える。
上方板部材42aは、複数のスリーブ41それぞれの上方に水平方向に設けられる。本実施形態において、水平方向とは、洋上風車300が配置される海面と平行な方向である。
下方板部材42bは、複数のスリーブ41それぞれの下方に水平方向に設けられる。
ウェブ42cは、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41との間に鉛直方向に設けられる。
【0017】
図7に示すように、上方板部材42aと下方板部材42bは、接合部材40において水平方向に1つずつ設けられる。これに対し、ウェブ42cは、接合部材40におけるレグ20とスリーブ41との間に1つずつ設けられる。ここで、
図5に示すように、接合部材40を鉛直方向に沿って見た時、レグ20と2つのスリーブ41とは三角形の各頂点に対応する。あるいは、
図6に示すように、スリーブ41が3つ設けられている時は、四角形状の各頂点に対応する。
【0018】
つまり、板部材は、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、1つ及び複数のスリーブ41を接続する。多角形は、三角形又は四角形である。更に、複数のウェブ42cは、鉛直方向に沿って見て、多角形状を形成するように配置される。このような配置とすることで、接合部材40を一体化構造とする。なお、一体化構造とは、レグ20の1つと複数のスリーブ41との相対移動が、水平方向及び鉛直方向において拘束された構造をいうものとする。
【0019】
リブ42Rは、レグ20の1つにおけるレグ直線部20sと接続部材42とを接続する。リブ42Rは、
図4に示すように、レグ直線部20sと上方板部材42aとを接続する三角形状の板である。このとき、リブ42Rの三角形状について、
図5及び
図6に示すように、上方板部材42aと接する辺は、上方板部材42aの下に位置するウェブ42cに沿って配置される。これにより、リブ42Rによる接合部材40の補強をウェブ42cと相乗的に行い、効果を顕著なものにする。
【0020】
あるいは、
図10に示すように、接続部材42は、板部材に代えて梁部材42dを含んでもよい。梁部材42dとは、例えば、鋼管梁である。つまり、鋼管をレグ20と複数のスリーブ41との間に配置してトラス構造を形成し、接合部材40を一体化構造としてもよい。
【0021】
また、
図11に示すように、ウェブ42cに対して板状の第2リブ42eや、板状の部材を断面T字状に組み合わせたT字リブ42fを取り付けることで、ウェブ42cを補強してもよい。第2リブ42eを取り付ける際は、ウェブ42cに垂直に取り付けることが好ましい。T字リブ42fを取り付ける際は、断面前記T字状においてT字の横棒に相当する部位がウェブ42cに対して平行となるように、すなわちT字の縦棒に相当する部位をウェブ42cに対して垂直に取り付けることが好ましい。
【0022】
また、
図12に示すように、上方板部材42aを斜めに取り付けることで、レグ20と上方板部材42aとを繋ぐリブ42Rのサイズを大きくしてもよい。前記態様は、接合部材40に付加される荷重が大きく、リブ42Rのサイズを大きくする必要がある場合に好適である。
【0023】
以上説明したように、本実施形態に係る接合部材40によれば、接合部材40は複数のレグ20のうちの1つに設けられた複数のスリーブ41を備え、複数のスリーブ41のそれぞれは、複数の杭200のうちレグ20の1つに対応する杭200が挿入される。これにより、複数のレグ20の1つに対して複数の杭200を設けることができる。よって、支持力を大きくすることができる。
【0024】
また、ジャケット構造体100が含む複数のレグ20の1つと、前記1つに設けられた複数のスリーブ41とは、接続部材42で接続される。つまり、接続部材42によって、互いに隣接するレグ20及びスリーブ同士を接続する。これにより、接合部材40の構造全体が一体化構造となる。よって、ねじりモーメント等を含めた様々な種類及び方向の荷重に対して大きな抵抗力を持つ構造とすることができる。
【0025】
また、接続部材42は板部材を含む。つまり、互いに隣接するレグ20及びスリーブ41の接続部が面状に構成される。よって、接続部材42に付加される荷重及びモーメントは前記面状に適宜分散される。よって、より外部の荷重に対しての抵抗力を大きくすることができる。
【0026】
また、板部材は、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41、のそれぞれが、鉛直方向に沿って見て、多角形の頂点に対応するよう、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41を接続する。つまり、レグ20の1つと、複数のスリーブ41とが多角形状に配置され接続される。これにより、ジャケット構造体100に付加される荷重及びモーメントを複数のスリーブ41に均等に分散することができる。よって、複数のスリーブ41のいずれかに荷重及びモーメントが集中することを防ぐことができる。
【0027】
また、多角形は、三角形又は四角形である。つまり、レグ20の1つと複数のスリーブ41とによって、三角形又は四角形を形成する。ジャケット構造体100に付加される荷重及びモーメントに対してスリーブ41の数を適宜選択することで、レグ20の1つを支持する杭200の数を選択することができる。よって、より確実にジャケット構造体100を支持することができる。
【0028】
また、板部材は、複数のスリーブ41それぞれの上方に設けられる上方板部材42aと、複数のスリーブ41それぞれの下方に設けられる下方板部材42bと、を含む。つまり、レグ20の1つと複数のスリーブ41とは、上方及び下方の2箇所で接続される。これにより、レグ20とスリーブ41との接続強度を向上することができる。
【0029】
また、接続部材42は、梁部材42dを含む。これにより、レグ20とスリーブ41との接続強度を更に向上することができる。
【0030】
また、接続部材42は、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41を接続するウェブ42cを含む。これにより、レグ20とスリーブ41との接続強度を更に向上することができる。
【0031】
また、複数のウェブ42cは、鉛直方向に沿って見て、多角形状に配置される。これにより、ウェブ42cによって接合部材40を一体化構造とすることができる。よって、より接合部材40の強度を向上することができる。
【0032】
また、レグ20の1つ及び複数のスリーブ41のそれぞれは、鉛直方向に沿って伸びる直線部41sを含む。レグ20及びスリーブ41が直線部41sにおいて鉛直方向に平行となることで、接合部材40を鉛直方向に対称な構造とすることができる。よって、荷重及びモーメントの分散を均等に行うことができ、安定した構造とすることができる。
【0033】
また、レグ20の1つの直線部41sと接続部材42とを接続するためのリブ42Rを更に備える。これにより、接続部材42とレグ20との接続強度を向上することができる。よって、より荷重及びモーメントに対する強度を向上することができる。
【0034】
また、接続部材42は、板部材を含み、リブ42Rは、板部材に設けられる。これにより、接続部材42とレグ20との接続強度を向上することができる。よって、より荷重及びモーメントに対する強度を向上することができる。
【0035】
また、複数のスリーブ41は、鉛直方向に沿って伸びる直線部41sを含み、レグ20の1つは傾斜している。つまり、複数のスリーブ41が鉛直方向に並行であるのに対し、レグ20の1つは、傾斜している。つまり、ジャケット構造体100の含むレグ20が、例えば、その下端側において、スリーブ41と平行な直線部41sを設けるための屈曲部を有さない。これにより、レグ20の形状を簡素にすることができる。
【0036】
また、レグ20の1つは、鉛直方向に沿って伸びる直線部41sを含まない。つまり、ジャケット構造体100の含むレグ20が、例えば、その下端側においてスリーブ41と平行な直線部41sを設けるための屈曲部を有さない。これにより、レグ20の形状を簡素にすることができる。
【0037】
また、レグ20の1つの下端は、複数のスリーブ41のうち2つのスリーブ41の下端の間に配置される。つまり、スリーブ41の下端とレグ20の1つの下端が、一直線上に位置する。これにより、それぞれの下端が一直線上に位置する部位の強度を向上することができる。
【0038】
また、屈曲部は、水平方向に沿って見て、複数のスリーブ41それぞれの上端に対応する。これにより、設計及び寸法の管理を容易にすることができる。ここで、スリーブ41の上端は接続部材42との接続部以外の場所に位置する。また、レグ20の屈曲部が接続部材42との接続部の近傍に位置していると、接続部材42に付加された荷重及びモーメントが屈曲部に集中することがある。つまり、屈曲部を接続部材42との接続部以外の場所に設けることで、上述の応力集中を回避して、レグ20の強度を担保することができる。
【0039】
また、複数のスリーブ41それぞれは、鉛直方向に沿って見て、洋上風車300のタワーからの距離、より詳細には洋上風車のタワーの中心線からの距離が洋上風車300のタワーからレグ20の1つまでの距離より大きくなるよう配置される。つまり、スリーブ41は、ジャケット構造体100において、レグ20よりも外側に配置される。これにより、スリーブ41に接続される杭200の位置を、ジャケット構造体100の中心に対して離れた位置にすることができる。よって、よりジャケット構造体100を中心とした力のモーメントに対しての抵抗力を向上することができる。言い換えれば、海底面まわりの転倒モーメントやねじりモーメント等に対する抵抗モーメントを大きくすることができる。
【0040】
また、スリーブ41は、2つ以上である。このように、レグ20に対してスリーブ41を対称に配置することで、均等に荷重分散させることができる。よって、より効率よく抵抗力を大きくすることができる。
【0041】
また、スリーブ41は、3つ以上である。これにより、3つ以上の杭200に荷重分散させることができる。よって、更に抵抗力を大きくすることができる。
【0042】
また、ジャケット構造体100の含む複数のレグ20のうちの1つに設けられた複数のスリーブ41を含み、複数のスリーブ41のそれぞれに杭200が挿入される。レグ20の1つに対して複数の杭200を設けることで、支持力の大きなジャケット構造体100とすることができる。
【0043】
また、複数のレグ20のうちの1つに設けられた複数のスリーブ41を含み、複数のスリーブ41のそれぞれは、前記1つに対応する杭200が挿入される。レグ20の1つに対して複数の杭200を設けることで、支持力の大きな洋上風車300とすることができる。
【0044】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、板部材は必ずしも面状に設けられなくてもよい。つまり、レグ20の1つと複数のスリーブ41とを接続し、十分な強度を確保できれば、板部材に穴を設けて軽量化及び材料の削減を図ってもよい。
本実施形態において、ジャケット構造体100の備えるレグ20の数は4であるが、これに限らず、例えば、3であってもよいし、5以上あってもよい。
本実施形態において、ジャケット構造体100は海上に設置されると説明したが、これに限らず、例えば地上に設置してもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
20 レグ
40 接合部材
41 スリーブ
41s 直線部
42 接続部材
42a 上方板部材
42b 下方板部材
42c ウェブ
42R リブ
100 ジャケット構造体
200 杭
300 洋上風車