(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097373
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】シゾフィランの組成物及びその調製方法および応用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20230630BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230630BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230630BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/49
A61K8/44
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190727
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】202111615861.7
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520317240
【氏名又は名称】広東丸美生物技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】孫雲起
(72)【発明者】
【氏名】胡露
(72)【発明者】
【氏名】裴運林
(72)【発明者】
【氏名】郭朝万
(72)【発明者】
【氏名】江川霞
(72)【発明者】
【氏名】蒲艶
(72)【発明者】
【氏名】劉涵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD211
4C083AD212
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】皮膚組織の抗酸化能力を高め、皮膚組織細胞内のフリーラジカルの含有量を減らし、皮膚の光老化を遅らせる役割を果す、組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、シゾフィランとエルゴチオネインを含む。好ましくは、シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(0.1~10):(0.5~2)である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シゾフィランの組成物であって、
前記シゾフィランの組成物は、シゾフィランとエルゴチオネインを含むことを特徴とする、シゾフィランの組成物。
【請求項2】
前記シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(0.1~10):(0.5~2)であることを特徴とする、請求項1に記載のシゾフィランの組成物。
【請求項3】
前記シゾフィランは、低重合シゾフィラン、低分子シゾフィラン、中分子シゾフィランまたは高分子シゾフィランのうちいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、
前記低重合シゾフィランの分子量は、10kDより低く、
前記低分子シゾフィランの分子量は、10~100kDであり、
前記中分子シゾフィランの分子量は、100~1000kDであり、
前記高分子シゾフィランの分子量は、1000~2000kDであることを特徴とする、請求項1または2に記載のシゾフィランの組成物。
【請求項4】
前記シゾフィランは、低重合シゾフィランであり、前記低重合シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(2~4):1であり、
前記シゾフィランは、低分子シゾフィランであり、前記低分子シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(5~10):1であり、
前記シゾフィランは、中分子シゾフィランであり、前記中分子シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(1~2):1であり、
前記シゾフィランは、高分子シゾフィランであり、前記高分子シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(0.5~2):1であることを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のシゾフィランの組成物。
【請求項5】
前記シゾフィランの組成物は、さらに溶媒を含み、
前記溶媒は、水を含み、
前記シゾフィランの組成物は、質量百分率でシゾフィラン0.01~10%とエルゴチオネイン0.05~2%、残量は水から構成されることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のシゾフィランの組成物。
【請求項6】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含むことを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のシゾフィランの組成物の調製方法:
シゾフィランとエルゴチオネインを混合し、前記シゾフィランの組成物を得る。
【請求項7】
前記混合は溶媒中で行われ、
前記混合温度は50~90℃であり、前記混合時間は10~50minであることを特徴とする、請求項6に記載のシゾフィランの組成物の調製方法。
【請求項8】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載のシゾフィランの組成物の抗酸化製品の調製への応用。
【請求項9】
化粧品であって、
前記化粧品は、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のシゾフィランの組成物を含むことを特徴とする、化粧品。
【請求項10】
前記シゾフィランの組成物の添加量は、前記化粧品全質量の0.01~50%であり、好ましくは0.05~20%であることを特徴とする、請求項9に記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野に属し、具体的には、シゾフィランの組成物及びその調製方法および応用に関する。
【背景技術】
【0002】
人体は、呼吸(酸化反応)、外部汚染、放射線被爆などの要因を含む外部との継続的な接触により、体内でフリーラジカルを継続的に生成する。研究によると、フリーラジカルは人間の老化につながる重要な要因の1つである。人体には、スーパーオキシドアニオンフリーラジカル、ヒドロキシルフリーラジカル、DPPHフリーラジカルなど、細胞や組織を分解し、代謝機能に影響を与えるさまざまなフリーラジカルが存在する。通常の代謝に加えて、人体内のフリーラジカル濃度は、太陽光線、汚染、運動レベル、精神状態などの要因によっても影響される。
【0003】
抗酸化物質は、低濃度の存在下でフリーラジカルの酸化反応を効果的に阻害できる物質ですあり、その作用メカニズムは、フリーラジカルに直接作用すること、または、フリーラジカルになりやすい物質を間接的に消費してさらなる反応を防ぐことである。抗酸化物質は、過剰なフリーラジカルを排除し、体の退化を遅らせ、皮膚の老化を遅らせ、フリーラジカルが引き起こす疾患や老化に関連する疾患を予防する効果を有する。
【0004】
人体は、フリーラジカルを生成すると共に、フリーラジカルに抵抗する抗酸化物質も生成するが、人体の老化に伴い、自然保護システム中のスーパーオキシドジスムターゼとカタラーゼ等の量が減少し、除去できないフリーラジカルがコラーゲンの架橋、老化、皮膚の弾力の喪失や明らかなシワ、さらには細胞膜や細胞外脂質の構造や機能を変化させるなど、皮膚に悪影響を与える可能性がある。
【0005】
CN112353800A9は、エルゴチオネインを安定化するためのヒアルロン酸またはその塩および/またはトレハロースの使用、エルゴチオネインを安定化するための添加剤を開示しており、前記添加剤は、ヒアルロン酸またはその塩および/または海藻糖及び組成物を含み、前記組成物は、エルゴチオネイン、ヒアルロン酸またはその塩、およびトレハロースを含む。本発明が提供するヒアルロン酸またはその塩、およびトレハロースは、他の補助材料と比較して、高温によって引き起こされるエルゴチオネインの損傷を明らかに緩和し、エルゴチオネイン粉末製品の収率を改善することができるが、当該組成物はフリーラジカルの除去力と抗酸化力を高める必要がある。
【0006】
CN110327242Aは、エルゴチオネインの光分解を阻害する方法およびその応用を開示しており、下記のステップを含む:エルゴチオネインを含む溶液にヒアルロン酸を添加する。エルゴチオネインの含有量は0.0005~0.01wt%である。ヒアルロン酸の含有量は0.1wt%以上である。この方法では、分子量分布の異なるヒアルロン酸を組み合わせて添加することで、エルゴチオネインの光分解を抑制するという目的を達成しているが、この分子量の組み合わせのヒアルロン酸の抗酸化効果は良いとは言えなく、エルゴチオネインのみで全体的な抗酸化効果をさらに改善することは困難である。
【0007】
CN112535644Aは、ポリマー材料の技術分野に属し、エルゴチオネイン脂質複合体ゲルおよびその調製方法を開示している。本発明の複合ゲルは、下記重量部の原材料から調製される:エルゴチオネイン1部、リン脂質8~20部、ポリオールエステル0.2~1.5部、カルボマー10~20部、およびグリセリン60~150部、プロピレングリコール10~50部、N-トリメチルキトサン5~20部、カッソン0.1~0.2部。本発明は、活性物質であるエルゴチオネインをポリオールエステルとリン脂質で被覆することにより安定なエルゴチオネイン脂質複合体を形成して最終生成物を得る。エルゴチオネインの安定性は改善されますが、組成物のフリーラジカルと抗酸化物質を除去する能力は改善する必要がある。
【0008】
CN107674129Aは、シゾフィランのリン酸化誘導体、およびその調製方法、用途を開示しており、これは下記の質量百分率の原料から調製される:シゾフィラン1~10%、リン酸化試薬1.5~20%、残りは溶媒である。
シゾフィランのリン酸化誘導体の調製方法:(1)シゾフィランとリン酸化試薬を溶媒に加え、混合攪拌して反応させる;(2)反応液を分離、精製してシゾフィランのリン酸化誘導体を得る。この方法は、シゾフィランをリン酸化することによりその抗酸化活性をさらに改善し、当該調製プロセスは複雑であり、通常5時間以上の反応が必要であり、後処理では沈殿物を繰り返し再溶解および精製する必要がある。また、調製されたシゾフィランのリン酸化誘導体の保湿性は良好であるが、抗酸化効果を改善する必要がある。
【0009】
そのため、スキンケア製品の抗酸化活性成分として使用できる、より包括的な抗酸化効果を有するシゾフィラン組成物の開発が求められている。
【発明の概要】
【0010】
従来技術の欠点を考慮して、本発明の目的は、シゾフィランの組成物及びその調製方法および応用を提供することである。前記シゾフィランの組成物は、皮膚組織の抗酸化能力を高め、皮膚組織細胞内のフリーラジカルの含有量を減らし、皮膚の光老化を遅らせる役割を果す。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の実施形態を採用する。
【0012】
第1実施形態において、本発明はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、シゾフィランとエルゴチオネインを含む
【0013】
本発明において、前記シゾフィランとエルゴチオネインが互いに協力し合い、相乗効果を発揮し、前記組成物がDPPHフリーラジカル、ヒドロキシラジカル及びスーパーオキシドアニオンフリーラジカルに対する除去効果を改善し、皮膚組織の抗酸化効果を高め、皮膚組織のフリーラジカルの含有量を減らし、皮膚の光老化を遅らせる役割を果たす。
【0014】
そこで、シゾフィランはスエヒロタケ由来の天然由来のβ-D-グルカンであり、(1-3)結合したβD-グルコピラノース残基の主鎖と(1-6)結合したグルコピラノース残基の側鎖からなり、抗酸化性と耐放射線性を有する。シゾフィランは、オキシダーゼ系を阻害し、酸化を誘発する遷移金属イオンを錯化することにより、フリーラジカルの生成を阻害することができる。しかし、フリーラジカルの除去、遺伝子発現とタンパク質合成の調節等により抗放射線効果を発揮して、放射線で損傷した細胞のアポトーシス時間を延長し、脂質過酸化を阻害することができる。しかし、シゾフィランの水への溶解度は低く、その溶解度は通常化学的または物理的修飾によって改善することができる。本発明は、エルゴチオネインを添加した後、シゾフィランとエルゴチオネインが相乗効果を発揮するだけでなく、組成物の抗酸化能力をさらに改善し、エルゴチオネインはシゾフィランの安定性を大幅に改善し、シゾフィランの粘度も改善し、その溶解度もさらに改善することを偶然見出した。
【0015】
そこで、エルゴチオネインは天然の低分子アミノ酸であり、化学名は2-メルカプト-L-ヒスチジントリメチル分子内塩またはメルカプトヒスチジントリメチル分子内塩であり、正常な機能または病気の炎症部位の好中球から赤血球を保護する強力な次亜塩素酸捕捉剤(HOCl)である。さらに、ペルオキシニトロソアニオンメディエーターによるアミノ酸酸化も阻害する。活性酸素の生成を最小限に抑え、紫外線やガンマ線による損傷から保護し、放射線による損傷から細胞を保護する。一方、エルゴチオネインは低分子水溶性アミノ酸であり、エルゴチオネインは分解しやすく、光による安定性に劣るという欠点も有する。本発明は、シゾフィランとエルゴチオネインを配合すると、シゾフィランがエルゴチオネインの安定性を顕著に改善し、それが光分解されることを阻害することを偶然見出した。
【0016】
好ましくは、前記シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は、(0.1~10):(0.5~2)である。
【0017】
そこで、「0.1~10」は、例えば0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等でもよい。
【0018】
そこで、「0.5~2」は、例えば0.5、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、2等でもよい。
【0019】
好ましくは、前記シゾフィランは、低重合シゾフィラン、低分子シゾフィラン、中分子シゾフィランまたは高分子シゾフィランのうちいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む。
【0020】
好ましくは、前記低重合シゾフィランの分子量は、10kDより低く、例えば9.9kD、9kD、8kD、7kD、6kD、5kD、4kD、3kD、2kD、1kD、0.5kD、0.1kD等でもよい。
【0021】
好ましくは、前記低分子シゾフィランの分子量は10~100kDであり、例えば10kD、20kD、30kD、40kD、50kD、60kD、70kD、80kD、90kD、99kD、99.9kD等でもよいが、100kDを含まない。
【0022】
好ましくは、前記中分子シゾフィランの分子量は100~1000kDであり、例えば100kD、200kD、300kD、400kD、500kD、600kD、700kD、800kD、900kD、999kD、999.9kD等でもよいが、1000kDを含まない。
【0023】
好ましくは、前記高分子シゾフィランの分子量は1000~2000kDであり、例えば1000kD、1100kD、1200kD、1300kD、1400kD、1500kD、1600kD、1700kD、1800kD、1900kD、2000kD等でもよい。
【0024】
好ましくは、前記シゾフィランは低重合シゾフィランであり、前記低重合シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(2~4):1であり、例えば2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1等でもよい。
【0025】
好ましくは、前記シゾフィランは、低分子シゾフィランであり、前記低分子シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(5~10):1であり、例えば5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1等でもよい。
【0026】
好ましくは、前記シゾフィランは、中分子シゾフィランであり、前記中分子シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(1~2):1であり、例えば1:1、1.2:1、1.4:1、1.6:1、1.8:1、2:1等でもよい。
【0027】
好ましくは、前記シゾフィランは、高分子シゾフィランであり、前記高分子シゾフィランとエルゴチオネインの質量比は(0.5~2):1であり、例えば0.5:1、0.6:1、0.8:1、1:1、1.2:1、1.4:1、1.6:1、1.8:1、2:1等でもよい。
【0028】
好ましくは、前記シゾフィランの組成物は、さらに溶媒を含む。
【0029】
好ましくは、前記溶媒は、水を含む。
【0030】
好ましくは、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率でシゾフィラン0.01~10%(例えば、0.01%、0.05%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%等でもよい)及びエルゴチオネイン0.05~2%(例えば0.05%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%等)、残量は水から構成される。
【0031】
第2実施形態において、本発明は第1実施形態の前記シゾフィランの組成物の調製方法を提供し、前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:シゾフィランとエルゴチオネインを混合し、前記シゾフィランの組成物を得る。
【0032】
好ましくは、前記混合は溶媒中で行われる。
【0033】
好ましくは、前記混合温度は50~90℃であり、例えば50℃、60℃、70℃、80℃、82℃、84℃、86℃、88℃、90℃等でもよく、前記混合時間は10~50minであり、例えば10min、20min、25min、30min、35min、40min、45min、50min等でもよい。
【0034】
第3実施形態において、本発明は第1実施形態の前記シゾフィランの組成物の抗酸化製品の調製への応用を提供する。
【0035】
好ましくは、前記抗酸化製品は抗酸化化粧品である。
【0036】
好ましくは、前記化粧品は、クリーム、化粧水、乳液、美容液、美容オイルまたはマスクのいずれかを含む。
【0037】
第4実施形態において、本発明は第1実施形態の前記化粧品を提供し、前記化粧品は第1実施形態の前記シゾフィランの組成物を含む。
【0038】
好ましくは、前記シゾフィランの組成物の添加量は、前記化粧品全質量の0.01~50%であり、例えば0.01%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%等でもよく、好ましくは0.05~20%である。
【0039】
従来技術に比べて、本発明は以下のような有利な効果を有する。
【0040】
(1)本発明におけるシゾフィランとエルゴチオネインが互いに協力し合い、相乗効果を発揮し、前記組成物がDPPHフリーラジカル、ヒドロキシラジカル及びスーパーオキシドアニオンフリーラジカルに対する除去効果を改善し、皮膚組織の抗酸化効果を高め、皮膚組織のフリーラジカルの含有量を減らし、皮膚の光老化を遅らせる役割を果たす。
【0041】
(2)本発明におけるシゾフィランの組成物は、優れた抗酸化作用とDPPHフリーラジカルの除去能力を有し、スーパーオキシドアニオンのフリーラジカルに対する除去率が50%以上であり、ヒドロキシルラジカルに対する除去率は50%以上であり、DPPHフリーラジカルに対する阻害率が80%以上である。
【0042】
(3)本発明におけるシゾフィランの組成物は、優れた抗光老化効果があり、光老化モデルマウスの皮膚組織中のHyp含有量と血液中のSOD活性の増加を抑え、SOD活性は105U/mL以上を維持し、HYP含有量は8μg/mg以上にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、具体的な実施形態を通じて本発明の技術的解決策をさらに説明する。前記実施形態は、本発明の理解を高めるためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0044】
以下の実施例および比較例において、技術または条件が記載されていないものは、この分野の文献に記載された技術、条件、または製品仕様に従って実施することができる。使用される試薬または機器は、メーカーが記載されていないが、通常の経路で入手できる市販品、従来技術によって調製できるものである。
【0045】
実施例1
【0046】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が8kDである低重合シゾフィラン0.3%及びエルゴチオネイン0.1%、残量は水から構成される。
【0047】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量のシゾフィランとエルゴチオネインを50℃の水中で15min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0048】
実施例2
【0049】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が5kDである低重合シゾフィラン0.4%及びエルゴチオネイン0.2%、残量は水から構成される。
【0050】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量のシゾフィランとエルゴチオネインを60℃の水中で10min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0051】
実施例3
【0052】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が2kDである低重合シゾフィラン0.4%及びエルゴチオネイン0.1%、残量は水から構成される。
【0053】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量のシゾフィランとエルゴチオネインを55℃の水中で20min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0054】
実施例4
【0055】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が80kDである低分子シゾフィラン0.5%及びエルゴチオネイン0.05%、残量は水から構成される。
【0056】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量の低分子シゾフィランとエルゴチオネインを70℃の水中で10min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0057】
実施例5
【0058】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が60kDである低分子シゾフィラン0.6%及びエルゴチオネイン0.1%、残量は水から構成される。
【0059】
前記シゾフィランの組成物の調製方法、下記のステップを含む:上記配合量の低分子シゾフィランとエルゴチオネインを65℃の水中で12min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0060】
実施例6
【0061】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が30kDである低分子シゾフィラン0.4%及びエルゴチオネイン0.08%、残量は水から構成される。
【0062】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量の低分子シゾフィランとエルゴチオネインを70℃の水中で10min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0063】
実施例7
【0064】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が800kDである中分子シゾフィラン0.6%及びエルゴチオネイン0.6%、残量は水から構成される。
【0065】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量の中分子シゾフィランとエルゴチオネインを72℃の水中で15min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0066】
実施例8
【0067】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が400kDである中分子シゾフィラン0.8%及びエルゴチオネイン0.4%、残量は水から構成される。
【0068】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量中分子シゾフィランとエルゴチオネインを75℃の水中で20min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0069】
実施例9
【0070】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が1200kDである高分子シゾフィラン0.5%及びエルゴチオネイン1%、残量は水から構成される。
【0071】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量高分子シゾフィランとエルゴチオネインを80℃の水中で20min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0072】
実施例10
【0073】
本実施例はシゾフィランの組成物を提供し、前記シゾフィランの組成物は、質量百分率で平均分子量が1000kDである高分子シゾフィラン1.0%及びエルゴチオネイン0.5%、残量は水から構成される。
【0074】
前記シゾフィランの組成物の調製方法は、下記のステップを含む:上記配合量高分子シゾフィランとエルゴチオネインを82℃の水中で25min間混合して、前記シゾフィランの組成物を得た。
【0075】
比較例1
【0076】
本比較例はエルゴチオネインの水溶液を提供し、前記エルゴチオネインの水溶液におけるエルゴチオネインの質量百分率は0.4%である。
【0077】
比較例2
【0078】
本比較例は低重合シゾフィランの水溶液を提供し、前記低重合シゾフィランの水溶液における低重合シゾフィランの質量百分率は0.4%であり、低重合シゾフィランの平均分子量は8kDである。
【0079】
比較例3
【0080】
本比較例は低分子シゾフィランの水溶液を提供し、前記低分子シゾフィランの水溶液における低分子シゾフィランの質量百分率は0.55%であり、低分子シゾフィランの平均分子量は80kDである。
【0081】
比較例4
【0082】
本比較例は中分子シゾフィランの水溶液を提供し、前記中分子シゾフィランの水溶液における中分子シゾフィランの質量百分率は1.2%であり、中分子シゾフィランの平均分子量は800kDである。
【0083】
比較例5
【0084】
本比較例は高分子シゾフィランの水溶液を提供し、前記高分子シゾフィランの水溶液における高分子シゾフィランの質量百分率は1.5%であり、高分子シゾフィランの平均分子量は1200kDである。
【0085】
試験例1
【0086】
過敏性テスターの評価方法(皮膚アレルギーパッチテスト)
【0087】
サンプル:実施例1~10が提供するシゾフィラン組成物と比較例1~5が提供する水溶液
【0088】
測定方法:
1、試験の参加者を30人選択する。
2、サンプルをパッチテスターのチャンバー内に入れ、1つのチャンバーをブランクコントロールとして選択し、パッチテスターを被験者の前腕の湾曲した側に24時間テープで貼り付ける。
3、試験片を取り出してから48時間後に皮膚反応を観察する。閉鎖型パッチテストの皮膚反応の評価基準を表1に示し、具体的な測定結果を表2に示す。
【0089】
【0090】
【0091】
表2の測定結果から見えるように、皮膚アレルギーパッチ試験において、本発明の実施例1~10が提供するシゾフィラン組成物を添加したパッチを48時間貼り付けた後、紅斑、灼熱感またはかゆみ等の症状のような反応および副反応が見えた被験者はいなかった。閉鎖型パッチテストから、本発明のシゾフィラン組成物は、肌に対する刺激がないことがわかる。
【0092】
試験例2
【0093】
フリーラジカルの除去試験
【0094】
サンプル:実施例1~10が提供するシゾフィラン組成物と比較例1~5が提供する水溶液
【0095】
測定方法:
【0096】
1、スーパーオキシドアニオンフリーラジカルの除去能力に対する評価
【0097】
0.05mol/LpH=8.2のTris-HClバッファー4.5mLを取り、25℃のウォーターバスで20分間予熱した。サンプル1mLと25mmol/Lのピロガロール溶液0.4mLを加えてよく混合し、25℃のウォーターバスで5分間反応させた後、8mol/LのHClを1.0mL加えて反応を停止させた。Tris-HClバッファーを基準として、299nmで吸光度を測定した。ブランクコントロールは、1mLのサンプルの溶媒をサンプルの代わりに使用した。
【0098】
スーパーオキシドアニオンフリーラジカルの除去率(%)=[1-(A2/A1)]×100%
【0099】
式において、
A1:ブランクコントロールの吸光度
A2:サンプルの吸光度
【0100】
2、ヒドロキシルラジカルの除去能力に対する評価
【0101】
3mLの2mmol/LのFeSO4、3mLの1mmol/LのH2O2を25mLの比色管に順に加え、よく振った後、3mLの6mmol/Lのサリチル酸を加えてよく振った後、37℃のウォーターバスで15 分間加熱し、取り出して吸光度を測定した。一定濃度の被検液を加えてよく振り、ウォーターバスで15分間加熱を続けた後、取り出して吸光度を測定する。下記の式は、測定する液体のヒドロキシルラジカル(OH)の除去率である。
【0102】
ヒドロキシルラジカルの除去率(%)=[A1-A2-(A1-A3)]/A1×100%
【0103】
式において、
A1:薬物添加前の反応系の吸光度値;
A2:サンプルからOHを除去した後の反応系の吸光度値;
A3:ブランクコントロールからOHを除去した後の反応系の吸光度値
【0104】
3、DPPHフリーラジカルの除去能力に対する評価
【0105】
試験はLarrauri JAで指定された方法に従い、20mmol/LのDPPH溶液を調製する。
試験サンプル溶液:実施例1~10が提供するシゾフィラン組成物と比較例1~5が提供する組成物を超純水で希釈し、質量濃度0.1%の溶液を得る。試験管に2.0mLの試験サンプル溶液及び2.0mLの20mmol/LのDPPH溶液を取り、よく混ぜ合わせて30min間反応させ、517nmで吸光度を測定する。無水エタノールをブランクコントロールとし、吸光度に基づいてDPPH阻害率を算出する。
【0106】
DPPHフリーラジカルの阻害率(%)=[1―(A1―A2)/A3]×100%;
【0107】
式において、A1は2.0mLのDPPH溶液と2.0mLの試験サンプル溶液の吸光度であり、A2は2.0mLの試験サンプル溶液と2.0mLの無水エタノールの吸光度であり、A3は2.0mLのDPPH溶液と2.0mLの無水エタノールの吸光度であり、3回測定分の平均値を取る。
【0108】
具体的な測定結果は、表3に示す。
【0109】
【0110】
表3の測定データから見えるように、本発明のシゾフィランの組成物は、優れた抗酸化性とDPPHフリーラジカルの除去能力を有し、スーパーオキシドアニオンフリーラジカルに対する除去率は50%以上であり、ヒドロキシラジカルに対する除去率は50%以上であり、DPPHフリーラジカルに対する阻害率は80%以上である。以上より、本発明のシゾフィランとエルゴチオネインが互いに協力し合い、相乗効果を発揮し、前記組成物がDPPHフリーラジカル、ヒドロキシラジカル及びスーパーオキシドアニオンフリーラジカルに対する除去効果を改善し、皮膚組織の抗酸化効果を高め、皮膚組織のフリーラジカルの含有量を減らし、皮膚の光老化を遅らせる役割を果たすことがわかる。
【0111】
試験例3
【0112】
耐放射線試験
【0113】
サンプル:実施例1~10が提供するシゾフィラン組成物と比較例1~5が提供する水溶液
【0114】
測定方法:
マウスモデルの確立:6~8週齢のメスのICRマウスを1週間給餌後、体重に応じてランダムに17つのグループに分ける(モデル群、通常群、サンプル群1~15を含み、そこで、サンプル群1~15は、実施例1~10が提供するシゾフィラン組成物と比較例1~5が提供する組成物に対応し、モデル群と通常群には同量の蒸留水を与えた)。
【0115】
通常群以外の残りの群は背中を剃毛し、擬似太陽光照射装置(UVA、80~100W、波長320~400nm、長さ120cm;UVB、80~100W、波長290~320nm、長さ120cm)を使用して光源から10cmの距離でUVAとUVBを同時に8週間、1日3時間照射し、マウス光老化モデルを作成した。8週間後、動物を殺し、背部脱毛部位の全層皮膚を取り除き、SOD活性とHYP含有量を測定した。
【0116】
具体的な測定結果は、表4に示す。
【0117】
【0118】
表3の測定データから見えるように、本発明のシゾフィランの組成物は、光老化モデルマウスの皮膚組織中のHyp含有量と血液中のSOD活性を高めることができ、SOD活性は105U/mL以上に維持され、HYP 含有量は8μg/mg以上に維持され、マウスの皮膚に保護効果がある。以上より、本発明のシゾフィランとエルゴチオネインが互いに協力し合い、相乗効果を発揮し、光老化による皮膚の日焼けなど、さまざまな皮膚の問題をさらに効果的に予防、緩和、治療することができることがわかる。
【0119】
出願人は、本発明が上記の実施例を通じて、本発明によるシゾフィランの組成物及びその調製方法および応用を説明することを宣言するが、本発明は上記の実施例に限定されるとはいえなく、本発明を実施するために上記の実施例に依存しなければならないことを意味するものではない。当業者は、本発明のいかなる改良、本発明の製品の各原材料の同等の置換、補助成分の追加、特定の方法の選択なども、本発明の保護の範囲内にあることを理解されたい。