(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097384
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】振り出し容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
B65D83/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195845
(22)【出願日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2021211937
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】715011078
【氏名又は名称】アサヒグループ食品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000211514
【氏名又は名称】中山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】栗山 幸治
(72)【発明者】
【氏名】中山 透
(57)【要約】
【課題】合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能な振り出し容器を提供する。
【解決手段】振り出し容器1は、合成樹脂によって形成された第1及び第2フレーム10、20と、紙を基材とする第1及び第2壁部30、40と、を備え、第1及び第2フレーム10、20のそれぞれは、容器の輪郭を形成する連続する周壁11、21と、周壁11、21の内側に向かって延びる接着部12、22と、周壁11、21の一部に形成された切欠部11a、21aと、を有し、第2フレーム20は、周壁21の一部に一体的に形成された開閉可能な蓋部25を有し、第1及び第2フレーム10、20が結合されることによって、互いの切欠部11a、21aが一致し、蓋部25によって開閉される取出口を構成し、第1及び第2壁部30、40の裏面の周縁部が、第1及び第2フレーム10、20のそれぞれの接着部12、22の表面に接着される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取出口から内容物を振り出すことが可能な振り出し容器であって、
合成樹脂によって形成された第1及び第2フレームと、
紙を基材とする第1及び第2壁部と、を備え、
前記第1及び第2フレームのそれぞれは、容器の輪郭を形成する連続する周壁と、前記周壁の内側に向かって延びる接着部と、前記周壁の一部に形成された切欠部と、を有し、
前記第1及び第2フレームのいずれか一方は、前記周壁の一部に一体的に形成された開閉可能な蓋部を有し、
前記第1及び第2フレームが結合されることによって、互いの前記切欠部が一致し、前記蓋部によって開閉される前記取出口を構成し、
前記第1及び第2壁部の裏面の周縁部が、前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記接着部の表面に接着される、振り出し容器。
【請求項2】
前記接着部が、前記周壁の内側の略全周にわたって形成される、請求項1に記載の振り出し容器。
【請求項3】
前記接着部の表面が、前記周壁の表面よりも低い段差を形成し、前記第1及び第2壁部の裏面の周縁部が、前記接着部の表面に接着される、請求項1又は2に記載の振り出し容器。
【請求項4】
前記第1及び第2フレームの少なくとも一方の前記接着部に、ビーム部が一体的に形成され、前記ビーム部は、前記接着部の一の部分から他の部分に架け渡される、請求項1~3のいずれか1項に記載の振り出し容器。
【請求項5】
前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記接着部に、前記ビーム部が一体的に形成され、一方の前記ビーム部の裏面に第1支柱が一体的に形成され、他方の前記ビーム部の裏面に第2支柱が一体的に形成され、前記第1支柱の端部には、嵌合軸が一体的に形成され、前記第2支柱の内部には、前記嵌合軸が挿入される嵌合孔が形成され、前記第1及び第2フレームが結合されるときに、前記嵌合軸が前記嵌合孔に嵌合され、前記第1支柱及び前記第2支柱が、2つの前記ビーム部を支持する1つの支柱を構成する、請求項4に記載の振り出し容器。
【請求項6】
前記第1及び第2フレームの少なくとも一方の前記周壁の一部に凹部が形成され、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方の裏面の周縁部が、前記凹部によって部分的に接着されない、請求項1~5のいずれか1項に記載の振り出し容器。
【請求項7】
前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記周壁の一部に凹部が形成され、前記第1及び第2フレームが結合されることによって、互いの前記凹部が一致して単一凹部を構成し、前記第1及び第2壁部のそれぞれの裏面の周縁部が、前記単一凹部によって部分的に接着されない、請求項6に記載の振り出し容器。
【請求項8】
前記第1及び第2壁部の少なくとも一方に、前記接着部を超える輪郭を有する把持部を設け、前記把持部の裏面の周縁部の少なくとも一部が、前記接着部に接着されない、請求項1~7のいずれか1項に記載の振り出し容器。
【請求項9】
前記第1及び第2壁部の少なくとも一方の基材が、カップ原紙、コートボール及びバージンパルプのうちから選択されるいずれか1つである、請求項1~8のいずれか1項に記載の振り出し容器。
【請求項10】
前記第1及び第2壁部の少なくとも一方の表面側に印刷が施されることによって、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方がラベルを構成する、請求項1~9のいずれか1項に記載の振り出し容器。
【請求項11】
取出口から内容物を振り出すことが可能な振り出し容器であって、
合成樹脂によって形成された第1及び第2フレームと、
合成樹脂を基材とする第1及び第2壁部と、を備え、
前記第1及び第2フレームのそれぞれは、容器の輪郭を形成する連続する周壁と、前記周壁の内側に向かって延びる接着部と、前記周壁の一部に形成された切欠部と、を有し、
前記第1及び第2フレームのいずれか一方は、前記周壁の一部に一体的に形成された開閉可能な蓋部を有し、
前記第1及び第2フレームが結合されることによって、互いの前記切欠部が一致し、前記蓋部によって開閉される前記取出口を構成し、
前記第1及び第2壁部の肉厚は、前記第1及び第2フレームの最も大きい肉厚よりも薄く、前記第1及び第2壁部の裏面の周縁部が、前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記接着部の表面に接着される、振り出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取出口から内容物を振り出すことが可能な振り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から錠剤形に成形されたタブレット菓子が広く普及している。タブレット菓子の包装容器として、振り出し容器が知られている。従来の振り出し容器は、上容器部材及び下容器部材の2つの部品で構成される。上容器部材及び下容器部材のそれぞれは、合成樹脂によって一体的に形成された薄いトレイ状の部品である。上容器部材及び下容器部材のそれぞれの側壁の一部には、切欠部が形成される。下容器部材には、蓋部が一体的に形成される。蓋部は、薄い合成樹脂の膜からなるヒンジを介して、下容器部材の側壁に接続される。蓋部は、ヒンジによって開閉することが可能である。蓋部の内側には、四方を壁で囲まれた受容部が一体的に形成される。受容部は、1つのタブレット菓子の一部を受け入れる。上容器部材と下容器部材とを嵌合させると、互いの切欠部が一致して、1つの取出口が構成される。この取出口は、受容部の外形に対応する四角形状を有し、蓋部によって開閉される。蓋部を閉じた状態にすると、取出口の中に受容部が入る。
【0003】
このような振り出し容器の中には、多数の小さなタブレット菓子が収容される。ユーザーは、蓋部を閉じた状態にし、蓋部を下にして振り出し容器を振るか又は傾ける。すると、振り出し容器内で、1つのタブレット菓子が受容部の中に入る。ユーザーは、蓋部を開けた状態にすることによって、受容部の中に入った1つのタブレット菓子を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-098784号公報
【特許文献2】特開2011-126605号公報
【特許文献3】特開2011-131939号公報
【特許文献4】特開2011-126604号公報
【特許文献5】特開2011-140354号公報
【特許文献6】特開2005-187077号公報
【特許文献7】特開2005-047626号公報
【特許文献8】特開2002-293387号公報
【特許文献9】特開平10-329877号公報
【特許文献10】特開平9-315468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、世界各国が地球温暖化の防止に取り組んでいる。地球温暖化は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減少させることによって防止される。二酸化炭素は、主として石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させることによって発生する。地球温暖化を防止するために、化石燃料の消費量を大幅に削減することが熱望される。
【0006】
従来の振り出し容器は、石油を原料とする合成樹脂によって形成される。振り出し容器の原料となる合成樹脂の使用量を減少させることができれば、化石燃料の消費量及び二酸化炭素の排出量を削減することができ、地球温暖化の防止に寄与する。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、包装容器としての高品質及び高性能を維持しつつ、合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能な振り出し容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明の第1の振り出し容器は、取出口から内容物を振り出すことが可能な振り出し容器であって、合成樹脂によって形成された第1及び第2フレームと、紙を基材とする第1及び第2壁部と、を備え、前記第1及び第2フレームのそれぞれは、容器の輪郭を形成する連続する周壁と、前記周壁の内側に向かって延びる接着部と、前記周壁の一部に形成された切欠部と、を有し、前記第1及び第2フレームのいずれか一方は、前記周壁の一部に一体的に形成された開閉可能な蓋部を有し、前記第1及び第2フレームが結合されることによって、互いの前記切欠部が一致し、前記蓋部によって開閉される前記取出口を構成し、前記第1及び第2壁部の裏面の周縁部が、前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記接着部の表面に接着される。
【0009】
(2)好ましくは、上記(1)の振り出し容器において、前記接着部が、前記周壁の内側の略全周にわたって形成される。
【0010】
(3)好ましくは、上記(1)又は(2)の振り出し容器において、前記接着部の表面が、前記周壁の表面よりも低い段差を形成し、前記第1及び第2壁部の裏面の周縁部が、前記接着部の表面に接着される。
【0011】
(4)好ましくは、上記(1)~(3)のいずれかの振り出し容器において、前記第1及び第2フレームの少なくとも一方の前記接着部に、ビーム部が一体的に形成され、前記ビーム部は、前記接着部の一の部分から他の部分に架け渡される。
【0012】
(5)好ましくは、上記(4)の振り出し容器において、前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記接着部に、前記ビーム部が一体的に形成され、一方の前記ビーム部の裏面に第1支柱が一体的に形成され、他方の前記ビーム部の裏面に第2支柱が一体的に形成され、前記第1支柱の端部には、嵌合軸が一体的に形成され、前記第2支柱の内部には、前記嵌合軸が挿入される嵌合孔が形成され、前記第1及び第2フレームが結合されるときに、前記嵌合軸が前記嵌合孔に嵌合され、前記第1支柱及び前記第2支柱が、2つの前記ビーム部を支持する1つの支柱を構成する。
【0013】
(6)好ましくは、上記(1)~(5)のいずれかの振り出し容器において、前記第1及び第2フレームの少なくとも一方の前記周壁の一部に凹部が形成され、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方の裏面の周縁部が、前記凹部によって部分的に接着されない。
【0014】
(7)好ましくは、上記(6)の振り出し容器において、前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記周壁の一部に凹部が形成され、前記第1及び第2フレームが結合されることによって、互いの前記凹部が一致して単一凹部を構成し、前記第1及び第2壁部のそれぞれの裏面の周縁部が、前記単一凹部によって部分的に接着されない。
【0015】
(8)好ましくは、上記(1)~(7)のいずれかの振り出し容器において、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方に、前記接着部を超える輪郭を有する把持部を設け、前記把持部の裏面の周縁部の少なくとも一部が、前記接着部に接着されない。
【0016】
(9)好ましくは、上記(1)~(8)のいずれかの振り出し容器において、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方の基材が、カップ原紙、コートボール及びバージンパルプのうちから選択されるいずれか1つである。
【0017】
(10)好ましくは、上記(1)~(9)のいずれかの振り出し容器において、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方の表面側に印刷が施されることによって、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方がラベルを構成する。
【0018】
(11)上記目的を達成するために、本発明の第2の振り出し容器は、取出口から内容物を振り出すことが可能な振り出し容器であって、合成樹脂によって形成された第1及び第2フレームと、合成樹脂を基材とする第1及び第2壁部と、を備え、前記第1及び第2フレームのそれぞれは、容器の輪郭を形成する連続する周壁と、前記周壁の内側に向かって延びる接着部と、前記周壁の一部に形成された切欠部と、を有し、前記第1及び第2フレームのいずれか一方は、前記周壁の一部に一体的に形成された開閉可能な蓋部を有し、 前記第1及び第2フレームが結合されることによって、互いの前記切欠部が一致し、前記蓋部によって開閉される前記取出口を構成し、前記第1及び第2壁部の肉厚は、前記第1及び第2フレームの最も大きい肉厚よりも薄く、前記第1及び第2壁部の裏面の周縁部が、前記第1及び第2フレームのそれぞれの前記接着部の表面に接着される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の振り出し容器によれば、包装容器としての高品質及び高性能を維持しつつ、合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る振り出し容器を示す斜視図である。
【
図3】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図4】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図5】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図6】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図7】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図8】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図9】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図10】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図11】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図12】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図13】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図14】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図16】上記振り出し容器の第1フレームを示す正面図である。
【
図19】上記振り出し容器の第2フレームを示す正面図である。
【
図22】上記振り出し容器の第1壁部を示す正面図である。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る振り出し容器を示す斜視図である。
【
図24】上記振り出し容器を示す分解斜視図である。
【
図25】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図26】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図27】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図28】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図29】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図30】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図31】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図32】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図33】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図34】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図35】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図36】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図38】上記振り出し容器の第1フレームを示す正面図である。
【
図41】上記振り出し容器の第2フレームを示す正面図である。
【
図44】上記振り出し容器の第1壁部を示す正面図である。
【
図45】本発明の第4実施形態に係る振り出し容器を示す斜視図である。
【
図46】上記振り出し容器を示す分解斜視図である。
【
図47】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図48】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図49】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図50】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図51】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図52】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図53】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図54】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図55】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図56】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図57】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図58】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図60】上記振り出し容器の第1フレームを示す正面図である。
【
図63】上記振り出し容器の第2フレームを示す正面図である。
【
図66】上記振り出し容器の第1壁部を示す正面図である。
【
図67】本発明の第5実施形態に係る振り出し容器を示す斜視図である。
【
図68】上記振り出し容器を示す分解斜視図である。
【
図69】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図70】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図71】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図72】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図73】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図74】蓋部を閉じた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図75】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す正面図である。
【
図76】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す背面図である。
【
図77】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す左側面図である。
【
図78】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す右側面図である。
【
図79】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す平面図である。
【
図80】蓋部を開いた状態の上記振り出し容器を示す底面図である。
【
図82】上記振り出し容器の第1フレームを示す正面図である。
【
図85】上記振り出し容器の第2フレームを示す正面図である。
【
図88】上記振り出し容器の第1壁部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態に係る振り出し容器について、
図1~
図22を参照しつつ説明する。
【0022】
1.1 振り出し容器の概要
図1~
図15は、いずれも第1実施形態の振り出し容器1の全体の構成を示す。振り出し容器1の中には、例えば、錠剤形に成形された多数のタブレット菓子が収容される。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、振り出し容器1は、合成樹脂によって形成された第1及び第2フレーム10、20と、紙を基材とする第1及び第2壁部30、40と、を備える。第1及び第2フレーム10、20のそれぞれは、容器の輪郭を形成する連続する周壁11、21を有する。周壁11、21の内側の略全周にわたって、接着部12、22が一体的に形成される。接着部12、22の表面には、第1及び第2壁部30、40の裏面の周縁部が接着される。
【0024】
第1及び第2フレーム10、20の周壁11、21の一部には、切欠部11a、21aが形成される。第2フレーム20の周壁21には、切欠部21aの手前に、開閉可能な蓋部25が一体的に形成される。
図14に示されるように、第1及び第2フレーム10、20が結合されることによって、互いの切欠部11a、21aが一致し、1つの取出口が形成される。この取出口は、蓋部25によって開閉される。
【0025】
以下、振り出し容器1を構成する第1フレーム10、第2フレーム20、第1及び第2壁部30、40のそれぞれについて、詳細に説明する。
【0026】
1.2 第1フレーム
図16~
図18は、いずれも第1フレーム10の構成を示す。第1フレーム10は、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂によって一体的に成形される。
図16に示されるように、第1フレーム10の主たる外形は、周壁11によって形成される。周壁11の全体は、略長方形の輪郭を形成する。周壁11の外面の主な部分は、角のない曲面で構成される(
図18を参照)。周壁11は、
図17に示される切欠部11aが形成された部分を除き、略長方形の輪郭に沿って連続する。切欠部11aの両側において互いに対向する、周壁11の2つの端面のそれぞれには、上下方向に延びる微小突起11dが一体的に形成される(
図1及び
図2を参照)。
【0027】
周壁11の内側には、周壁11と相似形の略長方形の輪郭を有する接着部12が一体的に形成される。接着部12の表面は、周壁11の表面よりも低い段差を形成する(
図18を参照)。接着部12の略中央には、1つのビーム部13が一体的に形成される。ビーム部13は、接着部12の略中央において、一の部分から他の部分に架け渡される。ビーム部13の表面は、接着部12の表面と同じ高さであり、周壁11の表面よりも低い段差を形成する(
図18を参照)。
図2に示されるように、接着部12の表面には、第1壁部30の裏面の周縁部が接着される。なお、本実施形態では、第1壁部30の裏面は、ビーム部13の表面に接着されていない。但し、第1壁部30の裏面の略中央における一部を、第1壁部30の裏面に接着してもよい。
【0028】
図17及び
図18に示されるように、第1フレーム10の裏面には、第2フレーム20と結合するための嵌合溝11b、係止爪11c及び嵌合軸14aが一体的に形成される。嵌合溝11bは、周壁11の下縁の近傍に位置する。嵌合溝11bは、切欠部11aが形成された部分を除き、周壁11の裏面の略全周にわたって連続する。複数の係止爪11cのそれぞれは、周壁11の裏面に、間隔をおいて形成される。係止爪11cは、嵌合溝11bに達する長さを有する。係止爪11cの下端は、僅かな隙間をあけて嵌合溝11bと対向する。複数の嵌合軸14aのそれぞれは、周壁11の裏面から下方に向かって突出する。ここで、第1フレーム10の裏面の略中心に位置する嵌合軸14aだけは、大径の第1支柱14に一体的に形成される。第1支柱14は、ビーム部13の裏面の中心に一体的に形成される。
【0029】
1.3 第2フレーム
図19~
図21は、いずれも第2フレーム20の構成を示す。第2フレーム20もまた、第1フレーム10と同様に、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂によって一体的に成形される。
図20に示されるように、第2フレーム20の主たる外形は、周壁21によって形成される。周壁21の全体は、略長方形の輪郭を形成する。周壁21の外面の主な部分は、角のない曲面で構成される(
図21を参照)。周壁21は、
図19に示される切欠部21a及び蓋部25が形成された部分を除き、略長方形の輪郭に沿って連続する。
【0030】
図19に示されるように、蓋部25は、薄い合成樹脂の膜からなるヒンジを介して、周壁21に接続される。蓋部25は、ヒンジによって開閉することが可能である。蓋部25の内側には、四方を壁で囲まれた受容部25aが一体的に形成される。また、蓋部25の両側面のそれぞれには、
図19中の水平方向に延びる微小突起25bが一体的に形成される(
図1及び
図2を参照)。
【0031】
図20に示されるように、周壁21の内側には、周壁21と相似形の略長方形の輪郭を有する接着部22が一体的に形成される。接着部22の表面は、周壁21の表面よりも低い段差を形成する(
図21を参照)。
図19に示されるように、接着部22の略中央には、1つのビーム部23が一体的に形成される。ビーム部23は、接着部22の略中央において、一の部分から他の部分に架け渡される。ビーム部23の表面は、接着部22の表面と同じ高さであり、周壁21の表面よりも低い段差を形成する(
図21を参照)。
図2に示されるように、接着部22の表面には、第2壁部40の裏面の周縁部が接着される。なお、本実施形態では、第1壁部30の裏面は、ビーム部23の表面に接着されていない。但し、第2壁部40の裏面の略中央における一部を、第1壁部30の裏面に接着してもよい。
【0032】
図19及び
図21に示されるように、第2フレーム20の裏面には、第1フレーム10と結合するための嵌合爪21b及び第2支柱24が一体的に形成される。嵌合爪21bは、周壁21の上縁の近傍に位置する。嵌合爪21bは、切欠部21aが形成された部分を除き、周壁21の表面の略全周にわたって連続する。複数の第2支柱24のそれぞれは、周壁21の裏面から上方に向かって突出する。第2支柱24の直径は、上述した第1支柱14の直径と同一である。第2支柱24の中心には、嵌合孔24aが形成される。
【0033】
ここで、第2フレーム20のビーム部23の裏面の中心には、上述した第1フレーム10の第1支柱14に対応する1つの第2支柱24が一体的に形成される。この第2支柱24に形成された嵌合孔24aには、第1支柱14に形成された嵌合軸14aが挿入される。
【0034】
1.4 第1及び第2壁部
第1及び第2壁部30、40は、同一の構成である。このため、第1壁部30の構成について説明し、第2壁部40の構成についての説明は省略する。
【0035】
図22に示されるように、第1壁部30の全体は、上述した第1フレーム10の接着部12に対応する略長方形の輪郭を有する。第1壁部30の略長方形の一方の短辺の中央には、半円形の把持部31が設けられる。第1壁部30は、十分な強度を有する紙を基材とする。紙の表面は、ニスによってコーティングされる。紙の裏面には、接着剤によってプラスチックフィルムが貼付される。さらに、紙の表面には、印刷が施される。第1壁部30の表面に印刷を施した場合、第1壁部30は、振り出し容器1の壁を構成するとともに、従来のラベルの役割を果たす。したがって、第1壁部30の表面に印刷を施した場合、従来の振り出し容器の表面に貼付していたラベルシールが不要となる。
【0036】
第1壁部30の基材となる紙は、カップ原紙、コートボール及びバージンパルプのうちから選択されるいずれか1つが好ましい。紙の米坪量は、50~500g/m2の範囲内、特に、150~300g/m2の範囲内が好ましい。
【0037】
なお、「基材」の用語は、第1及び第2壁部30、40を構成する主たる材料を意味する。第1及び第2壁部30、40は、紙が主たる材料であるが、次に述べるように、紙以外の材料、例えば、ニスやプラスチックフィルムと組み合わされる場合もある。逆に、第1及び第2壁部30、40は、紙だけで構成されてもよい。
【0038】
紙の表面にコーティングされるニスは、例えば、紙の表面をUVニス(紫外線硬化ニス)でコーティングしてもよい。また、紙の表面をOPニス(オーバープリントニス)でコーティングしてもよい。紙の裏面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましい。紙の裏面に貼付されるプラスチックフィルムは、例えば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)、ヒートシールOP(Oriented Polypropylene)が好ましい。プラスチックフィルムの厚さは、10~100μmの範囲内、特に、15~40μmの範囲内が好ましい。このようなプラスチックフィルムは、第1壁部30の裏面を、第1フレーム10の接着部12の表面及びビーム13の表面に溶着するために貼付される。
【0039】
第1壁部30の半円形の把持部31は、第1フレーム10の接着部12に溶着された第1壁部30を剥離するために使用される。半円形の把持部31の直径は、例えば、8~18mmの範囲内とし、半円の曲率半径を4~9mmの範囲内とする。このような寸法とすることにより、ユーザーが指で摘みやすい把持部31の面積が得られる。第1壁部30の裏面を第1フレーム10の接着部12の表面に溶着したときに、把持部31の裏面の周縁部の一部は、接着部12に接着されない。ユーザーは、振り出し容器1を廃棄する際に、把持部31を指で摘み、第1壁部30を第1フレーム10から剥離することができる。互いに分離した第1壁部30と第1フレーム10とを、それぞれリサイクルすることが可能である。なお、把持部31の形状は、半円形に限定されるものではなく、ユーザーが指で摘むことが可能な他の形状に変更してもよい。
【0040】
1.5 第1及び第2フレームの結合
次に、第1フレーム10と第2フレーム20とを結合させるための構成について、
図14、
図15、
図17~
図19及び
図21を参照しつつ説明する。
【0041】
第1フレーム10と第2フレーム20とは、
図17及び
図19に示される互いの裏面を対向させて、第1フレーム10又は第2フレーム20の一方を他方に押し込むことによって結合される。
【0042】
図18に示されるように、第1フレーム10の複数の嵌合軸14aは、いずれも周壁11の下端を超えて下方に突出する。これらの嵌合軸14aが、第1フレーム10と第2フレーム20と結合させる際のガイドの役割を果たす。すなわち、第1フレーム10と第2フレーム20と結合させる際には、まず、第1フレーム10の複数の嵌合軸14aのそれぞれの先端を、第2フレーム20の第2支柱24に形成された嵌合孔24aに挿入させる。複数の嵌合軸14aのそれぞれの先端が嵌合孔24aに挿入されることにより、第1フレーム10と第2フレーム20とが正確に位置決めされる。
【0043】
その後、第1フレーム10又は第2フレーム20の一方を他方に押し込むことによって、第1フレーム10の下端の略全周に形成された嵌合溝11bに、第2フレーム20の上端の略全周に形成された嵌合爪21bが嵌合する。
図15に示されるように、嵌合溝11bに嵌合された嵌合爪21bは、第1フレーム10の複数の係止爪11cによって、嵌合溝11bの方向に押圧される。これにより、第1フレーム10及び第2フレーム20の略全周にわたる嵌合溝11bと嵌合爪21bとの嵌合が強固に保持される。
【0044】
一方、
図15に示されるように、第1フレーム10と第2フレーム20とが結合されたときに、第1支柱14と第2支柱24とが、2つのビーム部13、23を支持する1つの支柱を構成する。すなわち、第1支柱14に形成された嵌合軸14aは、第2支柱24に形成された嵌合孔24aに挿入される。嵌合軸14aが嵌合孔24aに完全に挿入されたとき、第1支柱14の下端面が、第2支柱24の上端面に当接する。これにより、第1支柱14と第2支柱24とは、振り出し容器1の中心方向に動かない1つの支柱となる。この1つの支柱によって、2つのビーム部13、23の中心が支持され、2つのビーム13、23の撓みが防止される。この結果、2つのビーム13、23の表面に溶着される第1及び第2壁部の中央の強度が高くなる。
【0045】
図14に示されるように、第1フレーム10と第2フレーム20とが結合されることによって、互いの切欠部11a、21aが一致し、蓋部25によって開閉される取出口が構成される。蓋部25を閉じた状態にしたときに、蓋部25の両側面に形成された2つの微小突起25bが、第1フレーム10に形成された2つの微小突起11dに係止する。また、蓋部25を閉じた状態にしたときに、蓋部25の内側に形成された受容部25aが、取出口の中に入る。
【0046】
1.6 第1及び第2壁部の溶着
第1及び第2壁部30、40の裏面の周縁部は、第1及び第2フレーム10、20のそれぞれの接着部12、22の表面に溶着される。また、第1及び第2壁部30、40の裏面の略中央における一部は、第1及び第2フレーム10、20のそれぞれのビーム部13、23の表面に溶着される。第1及び第2壁部30、40を溶着する方法として、例えば、熱板溶着、ホットメルト及び超音波溶着を挙げることができる。
【0047】
熱板溶着は、比較的安価な設備によって大きな熱量が得られる長所がある。ホットメルトは、接着剤としての有機溶剤を使用せず、接着剤の乾燥工程も不要であるため、接着剤と比較して地球環境に優しいという長所がある。超音波溶着は、特定の部位のみを発熱させて瞬間的に溶着することが可能であり、また、溶着を連続して行う場合でも熱量が安定しているという長所がある。
【0048】
ここで、合成樹脂の使用量を減少させる観点から、第1及び第2フレーム10、20の接着部12、22の短手方向の幅は0.5mm~5mmの範囲内とし、特に、2mm~3mmの範囲内とすることが好ましい。第1及び第2壁部30、40の裏面は、接着部12、22の短手方向の幅と同じ幅で溶着してもよいし、接着部12、22の短手方向の幅未満の幅で溶着してもよい。
【0049】
なお、第1及び第2壁部30、40の接着部12、22への接着方法は、上述した溶着に限定されるものではなく、例えば、接着剤を使用した接着方法であってもよい。
【0050】
1.7 タブレット菓子製品の製造方法
次に、振り出し容器1の中に所定量のタブレット菓子を収容したタブレット菓子製品の製造方法について説明する。タブレット菓子製品は、以下に述べる2つの方法のいずれかによって製造することができる。
【0051】
第1の製造方法として、まず、第1フレーム10に第1壁部30を溶着することによって、振り出し容器1の第1半製品を構成する。次に、第2フレーム20に第2壁部40を溶着することによって、振り出し容器1の第2半製品を構成する。次に、第1又は第2半製品のいずれか一方の裏面に、所定量のタブレット菓子を載置する。その後、第1半製品の第1フレーム10と、第2半製品の第2フレーム20とを結合させる。これにより、所定量のタブレット菓子が収容された振り出し容器1が完成する。
【0052】
第2の製造方法として、まず、第2フレーム20に第2壁部40を溶着することによって、振り出し容器1の第1半製品を構成する。次に、第1半製品の第2フレーム20に第1フレーム10を結合させて第2半製品を構成する。次に、第1フレーム10の表面の開口を介して、第2半製品の中に、所定量のタブレット菓子を収容する。その後、第2半製品の第1フレーム10に第1壁部30を溶着する。これにより、所定量のタブレット菓子が収容された振り出し容器1が完成する。
【0053】
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る振り出し容器2について説明する。なお、以下に説明する第2実施形態の構成は例示であり、本発明の振り出し容器は、以下に説明する第2実施形態の構成に限定されるものではない。
【0054】
図23~
図37は、いずれも第2実施形態の振り出し容器2の全体の構成を示す。
図38~
図40は、いずれも振り出し容器2の第1フレーム10の構成を示す。
図41~
図43は、いずれも振り出し容器2の第2フレーム20の構成を示す。
図44は、振り出し容器2の第1及び第2壁部30、40の構成を示す。
【0055】
第2実施形態の振り出し容器2は、主として、
図38に示される第1フレーム10に形成された第1凹部16と、
図42に示される第2フレーム20に形成された第2凹部26とに特徴がある。したがって、以下に説明する第2実施形態の振り出し容器2において、第1実施形態の振り出し容器1と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
図38~
図40に示されるように、第1フレーム10の周壁11の図中右側には、断面が略半円形の第1凹部16が形成される。
図38に示されるように、第1フレーム10の接着部12の図中右側の部分は、第1凹部16の形状に対応する略半円形に形成される。これと同様に、
図41~
図43に示されるように、第2フレーム20の周壁21の図中右側には、断面が略半円形の第2凹部26が形成される。
図42に示されるように、第2フレーム20の接着部22の図中右側の部分は、第2凹部26の形状に対応する略半円形に形成される。
【0057】
図23及び
図24に示されるように、第1及び第2フレーム10、20が結合されることによって、第1及び第2凹部16、26が一致して単一凹部を構成する。これにより、
図37に示されるように、第1及び第2壁部30、40のそれぞれの右側中央の裏面が、単一凹部によって部分的に溶着されない。
【0058】
ユーザーは、振り出し容器2を廃棄する際に、第1及び第2凹部16、26で構成される単一凹部に指先を入れ、第1及び第2壁部30、40のそれぞれの右側中央の非溶着部分を摘み、第1及び第2壁部30、40のそれぞれを、第1及び第2フレーム10、20から剥離することができる。第1及び第2フレーム10、20は、再生プラスチックとしてリサイクルすることが可能である。第1及び第2壁部30、40は、再生紙としてリサイクルすることが可能である。
【0059】
略半円形の第1及び第2凹部16、26の直径は、例えば、8~18mmの範囲内とし、半円の曲率半径を4~9mmの範囲内とする。このような寸法とすることにより、ユーザーの指先が入りやすい大きさの凹みが形成される。なお、第1及び第2凹部16、26の形状は、半円形に限定されるものではなく、ユーザーの指先を入れることが可能な他の形状に変更してもよい。
【0060】
3.作用効果
上述した本実施形態の振り出し容器1、2によれば、包装容器としての高品質及び高性能を維持しつつ、合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能となる。振り出し容器1、2が、本出願人の製品名「ミンティア(登録商標)ブリーズ」の実際の振り出し容器と同一の縦幅及び横幅を有すると仮定する。この場合、振り出し容器1、2は、製品名「ミンティア(登録商標)ブリーズ」の実際の振り出し容器と比較して、ポリプロピレンの使用量を約40%減少させることができる。
【0061】
4.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係る振り出し容器1、2について説明する。なお、以下に説明する第3実施形態の構成は例示であり、本発明の振り出し容器は、以下に説明する第3実施形態の構成に限定されるものではない。
【0062】
4.1 第1及び第2壁部の基材
上述した第1及び第2実施形態の振り出し容器1、2において、第1及び第2壁部30、40の基材は、薄い合成樹脂製の板又はフィルムであってもよい。合成樹脂製の板又はフィルムの肉厚は、第1及び第2フレーム10、20の最も大きい肉厚よりも薄くする。例えば、
図15及び
図37に示されるように、第1及び第2フレーム10、20の肉厚は、周壁11、21の部分で最大となる。第1及び第2壁部30、40の基材となる合成樹脂製の板又はフィルムの肉厚は、例えば、周壁11、21の肉厚の2/3以下、好ましくは1/2以下にする。
【0063】
薄い合成樹脂製の板又はフィルムを基材とする第1及び第2壁部30、40は、第1及び第2実施形態と同様に、第1及び第2フレーム10、20の接着部12、22に溶着される。
【0064】
さらに、第1及び第2壁部30、40の基材となる合成樹脂製の板又はフィルムの表面には、直接に印刷が施される。この場合、合成樹脂製の板又はフィルムは、振り出し容器1の壁を構成するとともに、従来のラベルの役割を果たす。したがって、第1及び第2壁部30、40の基材となる合成樹脂製の板又はフィルムの表面に印刷を施した場合、従来の振り出し容器の表面に貼付していたラベルシールが不要となる。
【0065】
4.2 作用効果
第1及び第2壁部30、40の基材を、薄い合成樹脂製の板又はフィルムとすることによって、包装容器としての高品質及び高性能を維持しつつ、合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能となる。
【0066】
例えば、本出願人の製品名「ミンティア(登録商標)ブリーズ」の実際の振り出し容器において、第1及び第2壁部30、40に相当する部分を、振り出し容器の周壁の肉厚の2/3以下のポリプロピレン製の板に置き換えた場合、振り出し容器全体のポリプロピレンの使用量を約10%減少させることができる。また、第1及び第2壁部30、40に相当する部分を、振り出し容器の周壁の肉厚の1/2以下のポリプロピレン製の板に置き換えた場合、振り出し容器全体のポリプロピレンの使用量を約20%減少させることができる。
【0067】
さらに、第3実施形態の振り出し容器1、2は、従来の振り出し容器の肉厚を単純に薄くすることと比較しても、顕著な効果を奏する。すなわち、従来の振り出し容器において壁部の肉厚を薄くするためには、金型のキャビティ(隙間)を狭くする必要がある。このため、振り出し容器を成形するときに、狭いキャビティに合成樹脂を行き渡らせることが困難になる。この結果、成形された薄い壁部の肉厚が不均一となり、振り出し容器の不良品の発生件数が増大する。つまり、振り出し容器の肉厚を薄くするほど、振り出し容器の生産性は低下する。
【0068】
これに対し、第3実施形態の振り出し容器1、2においては、第1及び第2壁部30、40を、第1及び第2フレーム10、20と独立して製造することが可能である。このため、第1及び第2壁部30、40の肉厚を極めて薄くすることが可能である。また、第1及び第2壁部30、40の肉厚を薄くした場合でも、これを原因として、不良品の発生件数が増大することはない。
【0069】
5.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係る振り出し容器3について説明する。なお、以下に説明する第4実施形態の構成は例示であり、本発明の振り出し容器は、以下に説明する第4実施形態の構成に限定されるものではない。また、上述した第1及び第2実施形態の振り出し容器1、2と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
図45~
図59は、いずれも第4実施形態の振り出し容器3の全体の構成を示す。
図60~
図62は、いずれも振り出し容器3の第1フレーム10の構成を示す。
図63~
図65は、いずれも振り出し容器3の第2フレーム20の構成を示す。
図66は、振り出し容器3の第1及び第2壁部30、40の構成を示す。第4実施形態の振り出し容器3は、第1及び第2実施形態の振り出し容器1、2と比較して、シンプルな構成となっている。
【0071】
第1実施形態の振り出し容器1との比較において、第4実施形態の振り出し容器3の第1及び第2壁部30、40は、
図46に示されるような四隅を面取りした長方形であり、
図2に示される把持部31、41が設けられていない。そして、第4実施形態の振り出し容器3の第1及び第2フレーム10、20は、周壁11、21の右側の表面に、把持部31、41に対応する窪みが形成されていない。
【0072】
一方、第2実施形態の振り出し容器1との比較において、第4実施形態の振り出し容器3の第1及び第2フレーム10、20は、周壁11、21の右側面に、
図24に示される第1及び第2凹部16、26が形成されていない。
【0073】
この結果、第4実施形態の振り出し容器3は、蓋部25を除き、正面と背面、左側面と右側面、平面と底面がいずれも対称形となっている。このような第4実施形態の振り出し容器3は、合成樹脂の使用量を大幅に減少させた第1及び第2フレーム10、20と、ラベルの役割を果たす第1及び第2壁部30、40とで構成される。したがって、第1及び第2実施形態の振り出し容器1、2と同様に、第4実施形態の振り出し容器3によれば、包装容器としての高品質及び高性能を維持しつつ、合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能となる。
【0074】
6.第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態に係る振り出し容器4について説明する。なお、以下に説明する第5実施形態の構成は例示であり、本発明の振り出し容器は、以下に説明する第5実施形態の構成に限定されるものではない。また、上述した第1、第2及び第3実施形態の振り出し容器1~3と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
図67~
図81は、いずれも第5実施形態の振り出し容器4の全体の構成を示す。
図82~
図84は、いずれも振り出し容器4の第1フレーム10の構成を示す。
図85~
図87は、いずれも振り出し容器4の第2フレーム20の構成を示す。
図88は、振り出し容器4の第1及び第2壁部30、40の構成を示す。
【0076】
上述した第1、第2及び第4実施形態の振り出し容器1~3は、比較的に厚みの大きい箱形の容器である。一方、第5実施形態の振り出し容器4は、カードタイプの薄型容器となっている。さらに、第5実施形態の振り出し容器4は、第3実施形態の振り出し容器3と同様に、蓋部25を除き、正面と背面、左側面と右側面、平面と底面がいずれも対称形となっており、第1及び第2実施形態の振り出し容器1、2と比較して、シンプルな構成となっている。
【0077】
ここで、
図68に示されるように、第1フレーム10のビーム部13の中央には、円形の窪みが形成される。
図81に示されるように、このビーム部13の中央の円形の窪みは、第1フレーム10の裏側に突出する。一方、
図68に示されるように、第2フレーム20のビーム部23の中央には、第2支柱24が一体的に形成される。
図81に示されるように、第1フレーム10と第2フレーム20とを結合させると、ビーム部23の中央の第2支柱24が、ビーム部13の中央の円形の窪みの裏面に当接する。これにより、2つのビーム部13、23の撓み変形が阻止される。この結果、第1及び第2フレーム10、20の接着部12、22及びビーム部13、23に溶着された第1及び第2壁部30、40の中央が、2つのビーム部13、23にしっかりと支持される。これにより、ユーザーが、第1及び第2壁部30、40の中央を指で把持しても、第1及び第2壁部30、40が凹まない。
【0078】
このような第5実施形態の振り出し容器4もまた、合成樹脂の使用量を大幅に減少させた第1及び第2フレーム10、20と、ラベルの役割を果たす第1及び第2壁部30、40とで構成される。したがって、第1、第2及び第4実施形態の振り出し容器1~3と同様に、第5実施形態の振り出し容器4によれば、包装容器としての高品質及び高性能を維持しつつ、合成樹脂の使用量を大幅に減少させることができ、地球温暖化の防止に大いに寄与することが可能となる。
【0079】
7.その他
なお、上述した第1~第5実施形態の構成は例示であり、本発明の振り出し容器は、第1~第5実施形態の構成に限定されるものではない。
【0080】
例えば、第1及び第2フレーム10、20の輪郭は、略長方形に限定されるものではない。長方形以外の多角形、円形又は楕円形にしてもよい。例えば、第1及び第2フレーム10、20の接着部12、22の表面は、周壁11、21の表面と同じ高さであってもよい。つまり、周壁11、21の内縁を、第1及び第2壁部30、40の接着しろとしての接着部12、22としてもよい。例えば、ビーム13、23は、図面に示された形状及び位置に限定されるものではない。また、第1及び第2壁部30、40が十分な強度を有する場合は、ビーム13、23を省略してもよい。例えば、第1及び第2壁部30、40の基材となる紙は、カップ原紙、コートボール及びバージンパルプに限定されるものではない。例えば、蓋部25は、ヒンジを介して開閉する構成に限定されるものではない。蓋部25は、スライドすることによって開閉する構成、第1及び第2フレーム10、20に着脱される構成などに変更してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1、2、3、4 振り出し容器
10 第1フレーム
11 周壁
11a 切欠部
11b 嵌合溝
11c 係止爪
11d 微小突起
12 接着部
13 ビーム部
14 第1支柱
14a 嵌合軸
16 第1凹部
20 第2フレーム
21 周壁
21a 切欠部
21b 嵌合爪
22 接着部
23 ビーム部
24 第2支柱
24a 嵌合孔
25 蓋部
25a 受容部
25b 微小突起
26 第2凹部
30 第1壁部
31 把持部
40 第2壁部
41 把持部