(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097433
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 25/08 20060101AFI20230630BHJP
F23K 3/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B65G25/08
F23K3/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209484
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2021212211
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519423828
【氏名又は名称】A-Tech株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄吾
(72)【発明者】
【氏名】有竹 正善
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晃史
【テーマコード(参考)】
3F036
【Fターム(参考)】
3F036DA00
(57)【要約】
【課題】
木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象を、むらのない量、継続して、供給装置内に残すことなく供給する供給装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
供給装置は箱型を成しており、供給対象は箱型の空所に投入される。供給対象は、床部に備えた搬送機構によって供給口に搬送される。搬送機構は、搬送方向と直交する方向に延びる搬送羽根と、搬送羽根と平行する方向に搬送羽根と互い違いに並んで延びる固定羽根を備える。搬送羽根は、床面の際において、搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返す。固定羽根は、床面の際において静止する固定羽根とを備える。搬送羽根と固定羽根は、いずれも搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と側方の壁部が形成する箱型の空所を備えた供給装置であって、
前記箱型の空所に投入された供給対象を前方の供給口に向けて搬送する搬送機構を備え、
搬送機構は床部に設けてあり、
搬送機構は、搬送方向と直交する方向に延びる搬送羽根であって
床面の際において搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返す搬送羽根と、
搬送羽根と平行する方向に搬送羽根と互い違いに並んで延びる固定羽根であって、
床面の際において静止する固定羽根とを備え、
前記搬送羽根又は前記固定羽根は、
搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備える供給装置。
【請求項2】
搬送羽根及び固定羽根の双方が搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備えることを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
固定羽根として機能した羽根が搬送羽根のごとく搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返し、
搬送羽根として機能した羽根が固定羽根のごとく床面の際において静止するよう、固定羽根と搬送羽根の動きを切り替える機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項4】
搬送羽根で成る横棒と
搬送方向に延びる縦捧であって複数の横棒を一定間隔で固定する縦棒で構成されるはしご状の搬送羽根ユニットを備え、
固定羽根は隣り合う二つの搬送羽根との間に一つずつ搬送羽根と平行な向きに並んで床面に配置され、
隣り合う固定羽根間の距離は、隣り合う搬送羽根間の距離と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項5】
搬送羽根ユニットを複数備え、
複数の搬送羽根ユニットは搬送方向と直交する方向に並列に配置され、
搬送羽根ユニットは、搬送羽根ユニット毎に搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返し、
各搬送羽根ユニットは、互いに独立した速さで互いに独立した距離を移動する
ことを特徴とする請求項4に記載の供給装置。
【請求項6】
搬送羽根ユニットの移動速度を上げることによって又は複数の搬送羽根ユニットのうち移動する搬送羽根ユニットを増やすことによって搬送量を増やし、
搬送羽根ユニットの移動速度を下げることによって又は複数の搬送羽根ユニットのうち移動する搬送羽根ユニットを減らすことによって搬送量を減らすことを特徴とする請求項5に記載の供給装置。
【請求項7】
供給口に解砕機構を備えており、
解砕機構は、
回転する軸体と、軸体に取り付けた複数の解砕棒でなり、
軸体の回転により解砕棒が供給対象を下方から掻き起して解砕することを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項8】
供給口の上方を塞ぐ壁であって、過剰に積み上がった搬送物の供給を抑制する壁を備えることを特徴とする
請求項1に記載の供給装置。
【請求項9】
供給装置内の供給対象の重量に応じて
時間当たりの供給量を調整する供給量調整機構を備えることを特徴とする
請求項1に記載の供給装置。
【請求項10】
前記箱型の空所は後方に後方壁を備え、
前記後方壁は凹凸面を備えた凹凸板Aをその下端に備え、
前記はしご状の搬送羽根ユニットは凹凸面を備えた凹凸板Bを備え、
凹凸板Aと凹凸板Bは、前記搬送羽根ユニットが搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返す際、それぞれの凹凸面が噛み合い凹凸板Aと凹凸板Bがすり動くように配置されることを特徴とする
請求項4に記載の供給装置。
【請求項11】
供給対象が木質バイオマスであることを特徴とする
請求項1から請求項10のいずれかに記載の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
植物を破砕機で破砕して得た木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象を供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木質バイオマスを用いた発電のためのプラントにおいて、木質バイオマスは、通常、次のような手段で炉に供給される。
【0003】
まず、草、葉、茎、根といった原料の植物を、破砕機でランダムに破砕し、10cm以下程度の大きさにする。プラントの入口に漏斗のような形状のホッパーを設け、破壊した植物をホッパーに投入する。その後、木質バイオマスを、コンベアを介してサイロに運んで乾燥させ、引き続きコンベアで炉に運び、炉に投入する。効率よく発電させるためには、木質バイオマスを24時間継続してむらのない量でプラントに供給することが望ましい。しかし、木質バイオマスは、様々な形状の根や茎を含むために絡み合ってつまりが生じることが多く、機械で行うことは困難であり、人力で、昼夜を問わず少量ずつ一定量の原料をプラントに投入し続ける必要があった。
【0004】
上記のように、プラントにおいて、10cm程度またはそれ以下の大きさの原料等供給物を、少量ずつ一定の量で供給することを求められることはよくみられ、人の手によらずに成す装置の開発が待たれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象を、むらのない量供給する供給装置を提供することを課題とする。
【0006】
木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象を、継続して供給する供給装置を提供することを課題とする。
【0007】
木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象を、供給装置内に残すことなく供給する供給装置を提供することを課題とする。
【0008】
木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象を、作業者の負担を最小限に供給する供給装置を提供することを課題とする。
【0009】
なお、発明が解決しようとする課題における供給対象は、木質バイオマスに限らない。木質バイオマス程度の大きさで成る供給対象には、共通の解決課題があり、この発明はそのような共通の課題を解決しようとする。木質バイオマスは単に供給対象の大きさを示すために例示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)床部と側方の壁部が形成する箱型の空所を備えた供給装置であって、前記箱型の空所に投入された供給対象を前方の供給口に向けて搬送する搬送機構を備え、搬送機構は床部に設けてあり、搬送機構は、搬送方向と直交する方向に延びる搬送羽根であって床面の際において搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返す搬送羽根と、搬送羽根と平行する方向に搬送羽根と互い違いに並んで延びる固定羽根であって、床面の際において静止する固定羽根とを備え、前記搬送羽根又は前記固定羽根は、搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備える供給装置によって課題を解決する。
(2)搬送羽根及び固定羽根の双方が搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備えることを特徴とする(1)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(3)固定羽根として機能した羽根が搬送羽根のごとく搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返し、搬送羽根として機能した羽根が固定羽根のごとく床面の際において静止するよう、固定羽根と搬送羽根の動きを切り替える機構を備えることを特徴とする(1)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(4)搬送羽根で成る横棒と搬送方向に延びる縦捧であって複数の横棒を一定間隔で固定する縦棒で構成されるはしご状の搬送羽根ユニットを備え、固定羽根は隣り合う二つの搬送羽根との間に一つずつ搬送羽根と平行な向きに並んで床面に配置され、隣り合う固定羽根間の距離は、隣り合う搬送羽根間の距離と同じであることを特徴とする(1)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(5)搬送羽根ユニットを複数備え、複数の搬送羽根ユニットは搬送方向と直交する方向に並列に配置され、搬送羽根ユニットは、搬送羽根ユニット毎に搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返し、各搬送羽根ユニットは、互いに独立した速さで互いに独立した距離を移動することを特徴とする(4)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(6)搬送羽根ユニットの移動速度を上げることによって又は複数の搬送羽根ユニットのうち移動する搬送羽根ユニットを増やすことによって搬送量を増やし、搬送羽根ユニットの移動速度を下げることによって又は複数の搬送羽根ユニットのうち移動する搬送羽根ユニットを減らすことによって搬送量を減らすことを特徴とする(5)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(7)供給口に解砕機構を備えており、解砕機構は、回転する軸体と、軸体に取り付けた複数の解砕棒でなり、軸体の回転により解砕棒が供給対象を下方から掻き起して解砕することを特徴とする(1)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(8)給口の上方を塞ぐ壁であって、過剰に積み上がった搬送物の供給を抑制する壁を備えることを特徴とする(1)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(9)供給装置内の供給対象の重量に応じて時間当たりの供給量を調整する供給量調整機構を備えることを特徴とする(1)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(10)前記箱型の空所は後方に後方壁を備え、前記後方壁は凹凸面を備えた凹凸板Aをその下端に備え、前記はしご状の搬送羽根ユニットは凹凸面を備えた凹凸板Bを備え、凹凸板Aと凹凸板Bは、前記搬送羽根ユニットが搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返す際、それぞれの凹凸面が噛み合い凹凸板Aと凹凸板Bがすり動くように配置されることを特徴とする(4)に記載の供給装置によって課題を解決する。
(11)供給対象が木質バイオマスであることを特徴とする(1)から(10)のいずれかに記載の供給装置によって課題を解決する。
【0011】
供給対象は、床部と側方の壁部が形成する箱型の空所に投入される。箱型の空所は例えば直方体の形体を成しており、供給対象が例えば枝分かれした植物の太い根であっても絡み合うことが少ない。供給対象は、10cm程度、またはそれ以下の大きさのものであればよく、ペレット状のもの、粒状物や粉状物を含めこの出願に係る供給装置における供給対象となる。
【0012】
箱型の空所の側方には壁が設けてあり、前方には供給のための開口が設けてある。供給対象は、空所の上方から投入されるのでもよいし、空所の後方から投入されるのでもよい。例えば、空所の後方から箱型の空所に向けて貨物自動車が入り込むことができるようにすれば、供給対象を貨物自動車から直接空所に投入することができる。
【0013】
投入した供給対象は、搬送機構によって前方の供給口に搬送される。
【0014】
搬送機構は、搬送羽根と固定羽根を備える。搬送羽根と固定羽根は、いずれも箱型の空所の床面において、搬送方向と直行する方向に延びて並んでいる。搬送羽根と固定羽根は、搬送方向に向けて一つずつ交互に並んでいる。
【0015】
搬送羽根は、搬送方向への移動と搬送方向と反対の方向への移動を交互に繰り返し、床面の際をすり動く。固定羽根は床面に静止している。すなわち、「固定」は静止状態にあることを意味している。固定羽根は床面に固着されていても、固着されていなくてもよい。供給対象は、搬送羽根が床面の際をこのように擦り動くことにより、搬送方向に運ばれる。また、固定羽根があるために、搬送方向に運ばれた供給対象が搬送方向と反対の方向に戻ることが抑えとどめられている。
【0016】
搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備える形状とは、例えば直角三角形である。すなわち、搬送羽根又は固定羽根は、例えば断面が直角三角形の三角柱である。断面が直角三角形の三角柱の、直角を形成する面が床面に向くように床に配置することにより、上記形状となる。搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面により、供給対象物の搬送方向に向けた移動が促進される。搬送方向に直交する垂直面により、供給対象物の搬送方向と反対方向に向けた移動が妨げられる。
【0017】
搬送羽根及び固定羽根の双方が搬送方向に向けて昇る方向に傾斜した傾斜面と搬送方向に直交する垂直面を備えることにより、供給対象物の、搬送方向に向けた移動はいっそう促進される。
【0018】
固定羽根として機能した羽根、すなわち静止していた羽根の周囲の供給対象物は、羽根が静止していたために搬送方向に移動せず、羽根の周囲に残存して溜まりやすい。固定羽根として機能していた羽根を、搬送羽根と同様に動かすことにより。固定羽根として機能した羽根の周囲の供給対象物を搬送方向に移動させることができる。羽根の周囲に残存して溜まった供給対象物を、搬送方向に移動させることは、供給対象物に腐敗が問題になる場合等に、特に必要になる機能である。
【0019】
搬送羽根で成る横棒とするはしご状の搬送羽根ユニットとしてもよい。搬送羽根は縦棒により一定間隔で固定される。搬送羽根をそのようなユニット等することにより、搬送羽根の動きを、ユニット単位で行うことができる。複数の搬送羽根は、はしごの横棒として同じ間隔で搬送方向に向けて並列に並ぶ。固定羽根は、並びあう搬送羽根の間に一つずつ、並びあう搬送羽根の成す間隔と同じ間隔で、搬送方向に向けて並列に並ぶように配置する。搬送羽根と固定羽根のそのような配置下において、搬送羽根は、搬送羽根を挟む二つの固定羽根の間を、搬送方向に向けた移動と搬送方向と反対方向に向けた移動を繰り返す。搬送羽根と、隣り合う固定羽根とは衝突することはない。固定羽根と衝突する前に移動の方向を反対に向けるようにして、繰り返す。その結果、供給対象は、搬送方向に運ばれる。
【0020】
搬送羽根の、このような動きは、油圧シリンダ等を用いて行われる。
【0021】
固定羽根は、床面に固着されてもよい。固定羽根が床部に固着されることにより、床上を動かす必要があるのは搬送羽根のみとなる。
【0022】
また、固定羽根は、搬送羽根と同様、はしごの横棒として並ぶユニットとしてもよい。固定羽根を、はしごの横棒としてはしご状に並ぶユニットとすることにより、固定羽根であった羽根を搬送羽根と同様に移動させることができる。これにより、固定羽根の周辺に残り溜まった供給対象物を搬送方向に運ぶことができる。この場合、固定羽根であった羽根が運動する際には、搬送羽根であった羽根が静止する。
【0023】
搬送羽根ユニットを複数備えるようにし、各搬送羽根ユニットが互いに独立した速さで互いに独立した距離を移動することにより、搬送するべき供給対象物の存する位置に応じた対応が可能となる。すなわち、例えば、空所内のある個所で大きな根が絡み合い、その個所での搬送に滞りがみられた場合に、滞りがみられる個所のみ、運動はユニットに、根の絡み合いがほどけるような動きを施す、といった対応である。
【0024】
供給装置内原料の貯留量に応じ、搬送羽根ユニットの速度及び稼働させる搬送羽根ユニットの数を変化させることで、一定量の供給を可能とし、むらのない供給量を維持できる。
【0025】
搬送羽根ユニットの移動速度を上げることによって又は複数の搬送羽根ユニットのうち移動する搬送羽根ユニットを増やすことによって搬送量を増やし、搬送羽根ユニットの移動速度を下げることによって又は複数の搬送羽根ユニットのうち移動する搬送**る原料の量に応じた定量的な原料供給が可能となる。
【0026】
供給口に解砕機構を備えており、解砕機構は、回転する軸体と、軸体に取り付けた複数の解砕棒でなり、軸体の回転により解砕棒が供給対象を下方から掻き起して解砕する。これにより、搬送装置に投入する原料の定量化及び塊を解砕催することでの形状の均一化ができる。
【0027】
供給口に解砕機構の供給棒が、供給対象を下方から掻き起して解砕することにより、供給対象を効率よく解きほぐすことができる。この結果、搬送装置に投入する原料の定量化及び塊を解砕することでの形状の均一化により、むらのない供給量を維持できる。
【0028】
供給口の上方に、供給対象が高く積み上がり、解砕機構の供給棒では届かない位置に達する場合がある。これを放置すると、供給対象が解砕機構を乗り越えて、一度に大量の供給対象がベルトコンベアに落ちる結果となり、供給量にむらが生じる。そこで、供給口の上方を塞ぐ壁を設けて、高く積み上がった供給対象が落下せずに留め置かれるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図10】実施例3の搬送装置に用いる二種類の凹凸板を示す。
【
図11】実施例3の搬送装置に用いる二種類の凹凸版が接合した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照し説明する。
【実施例0031】
[概要]
図1を参照して、供給装置1は、箱型で成り、床となる架台3と側壁11を備える。天井は開放しており、開放天井5となっている。側壁11aと側壁11cは開放天井5に達する。
図1及び
図2を参照して、
図1の符号7で示す箇所に開放天井5に達する高い壁はなく、符号7で示す箇所は供給対象物の供給口となっている。この明細書において、供給口7の方向を供給装置1の前方と称し、供給口7の反対側を供給装置1の後方と称する。供給装置1の後方は、開放していてもよいし、開閉可能な壁があってもよい。供給対象物は、供給装置1の後方や開放天井5から供給装置1に投入され、供給装置1の床に設けた搬送装置10によって供給口7まで搬送され、供給口7からベルトコンベア50を介して、供給される。
【0032】
実施例1では、供給対象物として木質バイオマスを例に説明する。供給装置1の後方から、木質バイオマスを搭載した大型車両が直接乗り入れ、大型車両から直接木質バイオマスを供給装置に投入しても良い(図示せず)。これにより、木質バイオマスは供給装置への投入が容易である。供給された木質バイオマスは、床に設けた搬送装置10によって供給口7に向けて搬送される。供給口7には解砕装置40が設けてある。供給口に搬送された木質バイオマスは解砕装置40によって解砕され、供給口7からベルトコンベア50に向けて排出される。木質バイオマスはベルトコンベア50を介して供給の次の工程へと運ばれる。
【0033】
[搬送装置]
図3から
図5を参照して搬送装置10を説明する。
図3では、固定羽根を実線で示し搬送羽根を点線で示す。
図4では、
図3に示したものと同じ搬送装置の、搬送羽根を実線で示し固定羽根を点線で示す。搬送装置10は固定羽根(15a~15f、16a~16f、17a~17f、18a~18f)と搬送羽根(20a~20e、21a~2.1e、22a~22e、23a~23e、)を備える。
【0034】
図3に実線で示す通り、床12に、固定羽根(15a~15f、16a~16f、17a~17f、18a~18f)が固定されている。固定羽根は搬送方向に向けて並列に等間隔で並び(例えば15a、15b、15c、15d)、また、固定羽根は搬送方向に直交する方向に向けて直列に並ぶ(例えば15a、16a、17a、18a)。
図3(及び
図4)に示す搬送装置10では、固定羽根は合計24個ある。
【0035】
図4に実線で示す通り、搬送羽根(20a~20e)は搬送方向に向けて等間隔で並列に並び、搬送方向に向けて延びる縦棒によって一つのはしご状の搬送羽根ユニット(20u)を形成している。
図4において、説明のために、一つの搬送波ユニット(22u)を黒色で着色して示す。同様に、搬送羽根(21a~21e)を備えた搬送羽根ユニット(21u)、搬送羽根(22a~22e)を備えた搬送羽根ユニット(22u)、及び、搬送羽根(23a~23e)を備えた搬送羽根ユニット(23u)が存する。
図4(及び
図3)に示す搬送装置で10では、搬送羽根は合計24個ある。
【0036】
図4に示す通り、各搬送羽根ユニット(20u~23u)は、各々、Goの矢印で示す方向に80cm動き、次にBackの矢印で示す方向に80cm動き、この動きを繰り返す。
【0037】
搬送羽根(20a~20e、21a~2.1e、22a~22e、23a~23e、)と固定羽根(15a~15f、16a~16f、17a~17f、18a~18f)は、いずれも断面が直角三角形の三角柱でなる。
図5で固定羽根15を例に、断面が直角三角形の三角柱について説明する。直角三角形の鋭角は30度と60度である。いずれの固定羽根も、30度の傾斜を成す面(傾斜面13、
図5)が搬送方向に向けて昇り坂になるような向きに配置されている。直角を成す面(垂直面14)は、搬送方向と対向するように配置されている。図示しないが、搬送羽根(20a~20e、21a~2.1e、22a~22e、23a~23e、)も同様であり、30度の傾斜を成す面(傾斜面13)が搬送方向に向けて昇り坂になるように配置されており、直角を成す面(垂直面14)が搬送方向に対向するように配置されている。
【0038】
図6を参照して、各搬送羽根ユニットがGoの矢印で示す方向への動きとBackの矢印で示す方向への動きを繰り返した結果、供給装置内に積まれた木質バイオマスはどのような影響を受けるかを説明する。
【0039】
(a)と(b)は搬送羽根20が移動する前の状態を示し、(c)は搬送羽根20がGoの矢印で示す方向に移動した後の状態を示し、(d)は搬送羽根20がBackの矢印の方向に移動した後の状態を示す。説明のために、供給装置内の木質バイオマスに関し、搬送羽根20がGoの矢印で示す方向に移動したことによって搬送方向に移動するものを濃いグレーで示し、それ以外の木質バイオマスを薄いグレーで示した。
【0040】
(a)に示す通り、固定羽根15は静止しており、搬送羽根20は移動する。二つの固定羽根15の間の距離と、二つの搬送羽根20の間の距離は同じである。(b)に示す通り、搬送羽根20はGoの矢印で示す方向に移動する。(c)搬送羽根20はGoの矢印で示す方向に移動し、一つ先の固定羽根15の近くまで行き着くと、搬送羽根20のGoの矢印で示す方向への移動は止まる。この時、濃いグレーで着色した箇所の木質バイオマスは、搬送羽根の垂直面14(
図5)によって強く搬送方向に押され、搬送方向に盛り上がって移動する。そうすると、濃いグレーで着色した箇所にあった木質バイオマスがなくなるために、濃いグレーで着色した箇所の上方にあった、薄いグレーで着色した箇所にあった木質バイオマが下降する。その後引き続き搬送羽根20は、Backの矢印で示す方向に移動する。(d)搬送羽根20がBackの矢印で示す方向に移動する際は、斜面13(
図5)の傾斜により、搬送羽根20は、薄いグレーで着色した箇所の下方において潜るように移動し、周囲の木質バイオマスにあまり影響を与えない。(a)から(d)に示す搬送羽根20の動きを、繰り返し行うことにより、搬送装置に積まれた木質バイオマスは、ほとんどが搬送され、供給口7まで運ばれる。
【0041】
[解砕機構]
図5及び
図7を参照して解砕装置を説明する。
図5では解砕装置40を側方から見て示しており、
図6では解砕装置40を前方から見て示している。解砕装置40は、供給装置1の供給口7に備えてある。解砕軸41の両端を支柱46が支えている。解砕軸41には解砕棒42、43、が取り付けてある。
図5を参照して、二本の解砕棒42が、解砕軸41を介して180度を成して取り付けてある。二本の解砕棒42のある個所から左右方向に離れた位置に、二本の解砕棒42と90度を成して、解砕棒41が取り付けてある。解砕装置42を、側方から見ると、
図7に一点破線で囲んで示すとおり、解砕棒42と解砕棒41が十文字を描いているように見える。
【0042】
図5、
図1等を参照して、供給装置1内に投入された木質バイオマスは、搬送機構によって供給口に向けて搬送され、供給口付近に積み上がる。その後、ベルトコンベア50の上に落ち、ベルトコンベア50を介して供給を受ける装置に運ばれる。供給口に積み上がった木質バイオマスのうち上方のものは、押さえ板45によって押さえられ、ベルトコンベアに落ちない。
【0043】
上方には、押さえパイプ48が取り付けてある。解砕装置40は、
図6に矢印で示す方向に回転する。供給口において、解砕装置40がこのような回転する結果、供給口に到達した木質バイオマスは、掻き起こされ、ほぐれた状態でベルトコンベア50に落下する。
【0044】
[供給装置の過負荷を是正する機構、対象物の位置による不均等を是正する機構]
各搬送羽根ユニットは同時に動くのではなく、個々に動くようにし、動く速さも自在にできるようにする。その結果、供給量の調整ができる。すなわち、全ての搬送羽根ユニットを動かすことにより、最大量の搬送ができるところ、一部の搬送羽根ユニットについて動かすのを止めることにより、搬送量を減らすことができる。これにより、後流設備の負担を軽減することができる。
【0045】
また、供給装置の床の特定の箇所に搬送の滞りが起きた場合に、滞りの起きた箇所のみ搬送羽根ユニットを動かしたり、または速度を上げることにより、搬送の滞りを解消できる。
【0046】
供給量がベルトコンベアの搬送許容量(例えば80kg/1時間)を超える場合、供給装置に故障が生じる。そのような故障が起きないようにするために、供給装置内の供給対象物の重量を測り、搬送許容量を超える場合には搬送装置のスピードを変更し、供給量を調整する。軽量は、計量用ロードセル60を用いて行う。