(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097451
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】心電図の分析のためのユーザインターフェース
(51)【国際特許分類】
A61B 5/339 20210101AFI20230630BHJP
A61B 5/349 20210101ALI20230630BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20230630BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20230630BHJP
【FI】
A61B5/339
A61B5/349
A61B5/332
A61B5/33
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069451
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2020531819の分割
【原出願日】2018-08-24
(31)【優先権主張番号】62/549,994
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520060450
【氏名又は名称】カーディオログス テクノロジーズ エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】スカベローネ, キアラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴドフロア, シリル
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジア
(72)【発明者】
【氏名】バール, バンジャマン
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127GG16
4C127HH16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正確な診断を保証するために、利用可能な大量のデータの広範な分析が要求される。
【解決手段】心電図分析のための複数フィールドディスプレイ1が、第1の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である主要プロット42と、第2の時間窓内のECG信号の局所的視点であって、第1の時間窓は第2の時間窓を含む局所的視点と、第3の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、第3の時間窓は第2の時間窓を含み、第1の時間窓の持続時間と第2の時間窓の持続時間との間に含まれる持続時間を有する、中間視点と、時間バー上でスライドさせることによって主要プロット上の基準時間を選択することが可能であるカーソル備える少なくとも1つの双方向手段とを含み、時間バー上のカーソルの位置に対応する選択される時点に基づいて、局所的視点及び中間視点内のECG信号のグラフィカル表現の同時適合を生じさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図分析のためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのECG信号を受信するステップと、
前記ECG信号を分析し、特徴を提供する、かつ/または、少なくとも1つのエピソードおよび/または事象を識別するステップであって、エピソードは、開始時間、持続時間、および前記ECG信号の分析の間に取得される標識によって定義される前記ECG信号のセグメントであり、事象は、開始時間および前記ECG信号の分析の間に取得される標識によって定義される所定の持続時間の前記ECG信号のストリップである、ステップと、
複数フィールドディスプレイを表示するステップであって、前記複数フィールドディスプレイは、少なくとも、
第1の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である主要プロットと、
第2の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の局所的視点であって、前記第1の時間窓は、前記第2の時間窓を含む、局所的視点と、
第3の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、前記第3の時間窓は、前記第2の時間窓を含み、前記第1の時間窓の持続時間と前記第2の時間窓の持続時間との間に含まれる持続時間を有する、中間視点と、
少なくとも1つの双方向手段であって、前記少なくとも1つの双方向手段は、時間バー上でスライドさせることによって前記主要プロット上の基準時間を選択することが可能であるカーソルであり、前記時間バーは、エピソードおよび/または事象に対応する時間セグメントを前記時間バー上でハイライトする視覚的手段を備える、少なくとも1つの双方向手段と
を含む、ステップと、
を含み、
前記時間バー上でカーソルをスライドさせることが、前記時間バー上の前記カーソルの位置に対応する前記時間バー上の選択される時点に基づいて、前記局所的視点、および前記中間視点内の前記ECG信号のグラフィカル表現の同時適合を生じさせる、
方法。
【請求項2】
前記主要プロット、局所的視点、および中間視点における前記ECG信号のグラフィカル表現は、ECG信号のストリップまたは時間の関数として前記ECG信号と関連付けられた特徴のプロットである、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記複数フィールドディスプレイは、前記心電図の分析のための直接編集可能な情報を含む、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
ECG信号の少なくとも1つのストリップおよび/または前記直接編集可能な情報のうちの少なくとも1つを選択するように構成される少なくとも1つの双方向手段をさらに含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記双方向手段はさらに、
i.前記主要プロットをズームインおよびアウトするというアクションと、
ii.前記主要プロット上の時間窓を選択することによって、新しいエピソードを定義するというアクションと、
iii.前記主要プロット上で少なくとも1つの標識と関連付けられた事象および/またはエピソードの存在をハイライトするというアクションと
のうちの少なくとも1つを実行するように構成される、請求項1乃至4の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記複数フィールドディスプレイはさらに、1つのエピソードと関連付けられた少なくとも1つのECGストリップおよび/または1つの事象と関連付けられた少なくとも1つのECGセグメントを表示される、請求項1乃至5の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記分析ステップは、前記エピソードおよび/または前記事象を識別するために、前記ECG信号の境界ステップと、前記境界ステップの結果に基づく前記少なくとも1つのECGセグメントの分類ステップとを含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記ECG信号の分析から提供される特徴は、前記分析ステップの間に前記ECG信号から導出される任意の測定値を含み、分類ステップによって前記少なくとも1つのECGセグメントまたはストリップと関連付けられる標識は、臨床条件または信号雑音に対応する前記ECG信号内の異常と関連付けられる、請求項6または7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのECG信号は、ホルタである、請求項1乃至8の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
双方向心電図分析システムであって、前記双方向心電図分析システムは、遠隔サーバであって、前記遠隔サーバは、患者の少なくとも1つのECG信号記録を備える医療データベースへのアクセスを有し、該ECG信号記録の分析および双方向表示を可能にする、遠隔サーバと、少なくとも1つのコンピュータデバイスであって、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、少なくとも一時的に、前記遠隔サーバと通信し、ECGデータおよび表示可能情報を交換することが可能である、少なくとも1つのコンピュータデバイスとを備え、前記遠隔サーバは、
プロセッサと、
メモリと、
データ交換モジュールと、
分析モジュールであって、前記分析モジュールは、前記ECG信号を分析し、前記ECG信号内の特徴を提供する、かつ/または、少なくとも1つのエピソードおよび/または事象を識別するように構成される、分析モジュールと、
グラフィカル表現モジュールであって、前記グラフィカル表現モジュールは、前記ECG信号のグラフィカル表現を生成するように構成される、グラフィカル表現モジュールと、
ウィンドウ生成モジュールであって、前記ウィンドウ生成モジュールは、ディスプレイ画面上における複数フィールドディスプレイの双方向可視化のための複数の連続ディスプレイウィンドウを生成するように構成され、前記複数フィールドディスプレイは、少なくとも、
第1の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である主要プロットと、
第2の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の局所的視点であって、前記第1の時間窓は、前記第2の時間窓を含む、局所的視点と、
第3の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、前記第3の時間窓は、前記第2の時間窓を含み、前記第1の時間窓の持続時間と前記第2の時間窓の持続時間との間に含まれる持続時間を有する、中間視点と、
少なくとも1つの双方向手段であって、前記少なくとも1つの双方向手段は、時間バー上でスライドさせることによって前記主要プロット上の基準時間を選択するように構成されるカーソルであり、前記時間バーは、前記時間バー上でエピソードおよび/または事象に対応する時間セグメントをハイライトする視覚的手段を備える、少なくとも1つの双方向手段と
を含む、ウィンドウ生成モジュールと、
を備え、
前記時間バー上でカーソルをスライドさせることが、前記時間バー上の前記カーソルの位置に対応する前記時間バー上の選択される時点に基づいて、前記局所的視点、および前記中間視点内の前記ECG信号のグラフィカル表現の同時適応を生じさせ、
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、ディスプレイ画面と、マイクロプロセッサと、メモリと、データ交換モジュールとを備える、双方向心電図分析システム。
【請求項11】
少なくとも1つの選択されたECGストリップおよび/またはECGセグメントを備える報告を編集するように構成される編集モジュールをさらに備える、請求項10に記載の双方向心電図分析システム。
【請求項12】
前記ECG信号のグラフィカル表現は、ECG信号のストリップまたは時間の関数として前記ECG信号と関連付けられた特徴のプロットである、請求項10または11に記載の双方向心電図分析システム。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、命令を備え、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法のステップを行わせる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、命令を備え、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法のステップを行わせる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓学の分野に関する。特に、本発明は、グラフィカルユーザインターフェースを使用した心電図データの分析に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓ホルタ監視デバイス(多くの場合、単に、ホルタ)は、長時間の経過(数分~数週間に及ぶ)にわたる心臓監視(心血管系の電気活動の監視)のためのポータブル心電図デバイスである。これらのデバイスによって記録されるデータは、心房細動等の不整脈を含む、心臓活動異常の診断のために、専門家によって分析される。正確な診断を保証することは、利用可能な大量のデータの広範な分析を要求する。長い持続時間の心電図(ECG)記録のためのインターフェースの狙いは、分析の効率性を改良し、そのようなタスクの時間消費を減少させることである。標準的携行用使用におけるホルタデバイスによって収集されたデータの量は、大規模であって、心電図(ECG)記録の全体的持続時間を視覚的に分析する必要がある臨床医によって実施される、古典的分析は、非効率的かつ時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近、いくつかのプラットフォームが、このそうでなければ時間がかかるタスクを促進するために、臨床医に利用可能になっている。該プラットフォームは、ECG信号のより容易な可視化、時として、ECG信号上のいくつかの臨床上関連するECGパターンの検出および可視化を可能にする。プラットフォームはさらに、臨床医が、ECG信号を通してナビゲートし、複数のプロットを同時に表すことを可能にし得る。
【0004】
しかしながら、医師が、作業時間を有意に低減させ、ECG分析およびその作成された報告の品質を改良することを可能にするために、アップグレードされた双方向解決策を伴う、プラットフォームを開発する必要性が存在する。双方向プラットフォームの効率性をさらに改良するために、また、信号の特性をより包括的かつより合成的にの両方において
まとめる、プロットをもたらすことが必要とされる。
【0005】
さらに、これらのタイプのプラットフォームは、概して、高算出力を要求し、これは、非実践的であって、分析の結果は、分析を作成したプラットフォーム上でのみローカルで利用可能である。
【0006】
定義
本発明では、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0007】
「ECG」は、皮膚上に設置された電極を使用して、ある時間周期にわたって、心臓の電気活動を記録するプロセスを指す。
【0008】
「ECG信号」は、心臓内の電気伝導の記録から生じる、信号を指す。該心臓信号は、例えば、心電図(ECG)であり得る。そのような信号は、リードと呼ばれる、1つ以上のチャネルを有してもよい。これは、短期間(標準的ECGでは10秒)または長期(ホルタ内で数日)であってもよい。
【0009】
「主要プロット」は、時間(x-軸は、時間である)を通してECG信号から計算され得る任意の種類の測定値(R-Rプロット、平均心拍数プロット等)に対応する、全体的信号の簡略化された視点を表す、プロットを指す。
【0010】
「R-R間隔」は、2つのQRS波(より単純には、R波と呼ばれる)間の間隔を指し、QRS波は、心拍動の最も顕著な部分であると見なされる。
【0011】
「R-Rプロット」は、時間を通したECG信号のR-R間隔のプロットを指し、R-R間隔は、2つの連続心拍動間の時間間隔である。
【0012】
「カーソル」は、信号の特定の時間点を選択するために使用される、ディスプレイの要素を指す。
【0013】
「標識」は、心臓異常(心房細動、心室性期外収縮等)、心臓の説明(正常洞調律)または信号自体の説明(雑音の存在)、または患者事象(例えば、試験の間に押下されるボタン)の場合の信号の任意の仕様を指す。
【0014】
「エピソード」は、標識と関連付けられた時間周期内に含まれる、ECG信号のセグメントを指す。エピソードは、エピソードの開始を表す、始まりの時間点、エピソードの終了を表す、オフセット時間点、および標識によって特徴付けられる。同一標識は、ECG信号上のいくつかのエピソードに現れ得る。
【0015】
「ストリップ」は、所定の固定持続時間の信号の表示される抽出を指し、ストリップの開始と関連付けられた時点によって定義される。ストリップは、信号の1つまたはいくつかのリードを一度に示すことができる。
【0016】
「負荷」は、所与の異常の持続時間対全体的信号持続時間の比またはECG信号内の所与の異常の発生数を指す。
【0017】
「報告」は、ユーザがホルタについて記録として保つことを所望する情報を要約する、文書またはウェブページを指す。これは、典型的には、異常負荷およびストリップの選択を含む。
【0018】
「ホルタ」は、少なくとも24時間(多くの場合、1回に2週間にわたる)の間の心臓監視(心血管系の電気活動の監視)のためのポータブルデバイスである、携行用心電図デバイスのタイプを指す。
【0019】
「複数フィールドディスプレイ」は、少なくとも2つの明確に異なるプロットを備える、全体的効果を指す。
【0020】
「事象」は、波形の始まり等のECG信号上の特性変動に対応する時点を指す。
【0021】
「分類」は、オブジェクトを群のリストにカテゴリ化するタスクを指す。そのようなタスクは、例えば、動物を写真から認識するステップ(群のリストは、したがって、動物のリストである)またはECGが正常または異常であるかどうかを認識するステップを含む。これは、1つのオブジェクトが、群の所与のリストの1つまたはいくつかの群の一部であり得るように、多標識分類であることができる。ECGの場合の多標識分類の実施例は、ECG信号の一部を正常として、またはいくつかの可能性として考えられる異常のうちの1つとして分類するステップである。
【0022】
「境界」は、心臓信号の波のそれぞれの時間的局所化の識別を指す。境界はまた、随意に、波のそれぞれのより精密な特性評価を提供することができる。
【0023】
「リアルタイム」は、出力が、変調の下層タスクを適正に実施するために要求される時間遅延より小さいと見なされる時間遅延内に与えられる、プロセスを指す。したがって、自己ペース変調に関して、リアルタイムは、700ms未満、好ましくは、500ms未満、より好ましくは、400ms未満、さらにより好ましくは、250ms未満に実装される、プロセスを指す。
【0024】
本発明は、心電図分析のためのコンピュータ実装方法であって、
少なくとも1つのECG信号を受信するステップと、
ECG信号を分析し、特徴を提供する、かつ/または、少なくとも1つのエピソードおよび/または事象を識別するステップであって、エピソードは、開始時間、持続時間、およびECG信号の分析の間に取得される標識によって定義される、ECG信号のセグメントであって、事象は、開始時間およびECG信号の分析の間に取得される標識によって定義される、所定の持続時間のECG信号のストリップである、ステップと、
複数フィールドディスプレイを表示するステップと、
を含む、方法に関する。
【0025】
複数フィールドディスプレイは、少なくとも、
第1の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である、主要プロットと、
第2の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の局所的視点であって、第1の時間窓は、第2の時間窓を含む、局所的視点と、
第3の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、第3の時間窓は、第2の時間窓を含み、第1の時間窓の持続時間と第2の時間窓の持続時間との間に含まれる、持続時間を有する、中間視点と、
時間バー上でスライドさせることによって、主要プロット上の基準時間を選択することが可能である、カーソルである、少なくとも1つの双方向手段であって、該時間バーは、時間バー上のエピソードおよび/または事象に対応する時間セグメントをハイライトする、視覚的手段を備える、少なくとも1つの双方向手段と、
を含む。
【0026】
そのような複数フィールドディスプレイは、有利には、医師に、ともに、コンテキスト情報を提供し、診断正確度を改良する、関連する局所的視点および大域的視点を含む、フォーマットにおいて、ECGデータを提示する。特に、これは、ユーザの視野内に、ECG信号の少なくとも3つの表現を異なる時間スケールにおいて提供し、ユーザが、主要プロット内の長時間窓内の大域的情報と、同時に、より短い持続時間の第2および第3の時間窓内のECG信号に関する詳細な情報とにアクセスすることを可能にする、利点を有する。
【0027】
短持続時間視点は、医師に既知の様式において、ECGの古典的視点を従来の記録速度で提供する。大域的視点または中間視点は、中間/より低い分解能視点を提供する。異なる時間スケールプロットの本組み合わせは、ユーザに、ECG信号のより容易およびより高速の解釈をもたらす。有利には、分析ステップの間に検出された着目事象およびエピソードは、ハイライト手段を用いて時間バー上で可視化される、貴重な情報を提供する。時間バー上のこれらの視覚的目印は、ユーザが、カーソルを時間バー上でスライドさせることによって、所望の時間セグメントを標的化することを可能にし、これは、大域的視点、中間視点、および局所的視点におけるECG信号のグラフィカル表現の同時適合を生じさせる。
【0028】
一実施形態によると、主要プロット、局所的視点、および中間視点における、ECG信号のグラフィカル表現は、ECG信号のストリップまたは時間の関数としてECG信号と関連付けられた特徴のプロットである。
【0029】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、心電図の分析のための直接編集可能な情報を含む。
【0030】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、ECG信号の少なくとも1つのストリップおよび/または直接編集可能な情報のうちの少なくとも1つを選択するように構成される、少なくとも1つの双方向手段を備える。
【0031】
そのような双方向手段は、有利には、ユーザが、患者に関する最も関連する情報を備える、臨床報告を生成するために、その選択肢の編集可能情報を選択することを可能にする。
【0032】
一実施形態によると、双方向手段はさらに、以下のアクション、すなわち、
主要プロットをズームインおよびアウトするステップと、
主要プロット上の時間窓を選択することによって、新しいエピソードを定義するステップと、
主要プロット上で少なくとも1つの標識と関連付けられた事象および/またはエピソードの存在をハイライトするステップと、
のうちの少なくとも1つを実行するように構成される。
【0033】
主要プロット上(すなわち、ECG信号の複数日にわたる表現上)の着目事象およびエピソードをハイライトすることは、有利には、ECG信号のグラフィカル表現のより容易
かつより効率的ナビゲーションを可能にするように、ユーザを誘導する。主要プロット内のハイライトされた事象およびエピソードのうちの1つを選択することによって、中間視点および局所的視点におけるECG信号の関連グラフィカル表現が、自動的に、表示される。これは、有利には、事象およびエピソードのハイライトの指針のおかげで、ユーザが主要プロット上で選択した大域的パターンと関連付けられたECG信号のクリック詳細視点を提供する。
【0034】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイにはさらに、1つのエピソードと関連付けられた少なくとも1つのECGストリップおよび/または1つの事象と関連付けられた少なくとも1つのECGセグメントを表示される。
【0035】
一実施形態によると、分析ステップは、エピソードおよび/または事象を識別するために、ECG信号の境界ステップと、境界ステップの結果に基づくECGセグメントの分類ステップとを含む。
【0036】
境界ステップおよび分類ステップは、ユーザ(例えば、医師)が患者の健康条件のより良好な評価を可能にするための有用な情報を提供する。
【0037】
一実施形態によると、ECG信号の分析から提供される特徴は、分析ステップの間にECG信号から導出される任意の測定値を含み、分類ステップによってECGセグメントまたはストリップと関連付けられる標識は、臨床条件または信号雑音に対応するECG信号内の異常と関連付けられる。
【0038】
一実施形態によると、少なくとも1つのECG信号は、ホルタである。
【0039】
別の側面によると、本発明は、患者の少なくとも1つのECG信号記録を備える、医療データベースへのアクセスを有し、該ECG信号記録の分析および双方向表示を可能にする、遠隔サーバと、少なくとも一時的に、遠隔サーバと通信し、ECGデータおよび表示可能情報を交換することが可能である、少なくとも1つのコンピュータデバイスとを備える、双方向心電図分析システムであって、遠隔サーバは、
プロセッサと、
メモリと、
データ交換モジュールと、
ECG信号を分析し、ECG信号内の特徴を提供する、かつ/または、少なくとも1つのエピソードおよび/または事象を識別するように構成される、分析モジュールと、
ECG信号のグラフィカル表現を生成するように構成される、グラフィカル表現モジュールと、
ディスプレイ画面上への複数フィールドディスプレイの双方向可視化のための複数の連続固定ディスプレイウィンドウにフォーマット化するように構成される、ウィンドウ生成モジュールであって、該複数フィールドディスプレイは、少なくとも、
第1の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である、主要プロットと、
第2の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の局所的視点であって、第1の時間窓は、第2の時間窓を含む、局所的視点と、
第3の時間窓内のECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、第3の時間窓は、第2の時間窓を含み、第1の時間窓の持続時間と第2の時間窓の持続時間との間に含まれる、持続時間を有する、中間視点と、
時間バー上でスライドさせることによって、主要プロット上の基準時間を選択するように構成される、カーソルである、少なくとも1つの双方向手段であって、該時間バーは、時間バー上でエピソードおよび/または事象に対応する時間セグメントをハイライトする視覚的手段を備える、少なくとも1つの双方向手段と、
を含む、ウィンドウ生成モジュールと、
主要プロット、局所的視点、および中間視点におけるECG信号のグラフィカル表現の時間に沿った診査のために、複数フィールドディスプレイのディスプレイウィンドウの双方向可視化を可能にする、双方向手段を制御するように構成される、相互作用モジュールと、
を備え、少なくとも1つのコンピュータデバイスは、ディスプレイ画面、マイクロプロセッサ、メモリおよびデータ交換モジュールを備える、双方向心電図分析システムに関する。
【0040】
一実施形態によると、本システムはさらに、編集モジュールであって、少なくとも1つの選択されたECGストリップおよび/またはECGセグメントを備える、報告を編集するように構成される、編集モジュールを備える。
【0041】
別の側面によると、本発明は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、本明細書の上記に説明される実施形態のうちの任意の1つに従って方法のステップを行わせる、命令を備える、コンピュータプログラムに関する。
【0042】
さらに別の側面によると、本発明は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、本明細書の上記に説明される実施形態のうちの任意の1つに従って方法のステップを行わせる、命令を備える、コンピュータ可読媒体に関する。
【0043】
以下の詳細な説明は、図面と併せて熟読されることによって、より深く理解されるであろう。例証目的のために、本方法は、好ましい実施形態において示される。しかしながら、本願は、示される精密な配列、構造、特徴、実施形態、および側面に限定されないことを理解されたい。
【0044】
本発明は、心電図分析のためのコンピュータ実装方法に関する。そのような分析は、分析されるECGに見出される異常の詳細かつ精密な考慮を提供することを狙いとする。本方法は、したがって、異常を見出し、選択し、保存し、それらを報告内に集めるための方法を提供する。
【0045】
一実施形態によると、本分析においてユーザを支援するために、本方法は、
少なくとも1つのECG信号を受信するステップと、
少なくとも1つのアルゴリズムを使用して、ECG信号の自動化された分析を実施し、次のステップにおいてユーザに提示される、ECG信号部分と関連付けられた特徴および/または記述子を提供するステップと、
ユーザが、本方法の第2のステップによって提供される分析を修正および保存し得るように、双方向方法において、ECG信号の少なくとも1つのグラフィカル表現および/または少なくとも1つの特徴および/またはECG信号の少なくとも1つのストリップおよび/または少なくとも1つの記述子を複数のフィールドディスプレイ内に表示するステップと、
を含む。
【0046】
一実施形態によると、表示するステップは、複数フィールドディスプレイ内に、ECG信号のグラフィカル表現および/またはECG信号の特徴および/またはストリップおよび/またはECG信号の一部と関連付けられた記述子を双方向に表示するように構成される、双方向手段を含む。
【0047】
一実施形態によると、該双方向手段は、関連情報を含有するストリップの選択のための手段を含む。
【0048】
一実施形態によると、ディスプレイは、標識が存在するエピソードと関連付けられた事前に選択されたストリップを含む、心電図分析のための直接編集可能な関連情報を含む。
【0049】
一実施形態によると、少なくとも1つのECG信号は、ホルタである。
【0050】
一実施形態によると、分析ステップは、エピソードおよび/または事象を識別するために、ECG信号の境界の第1の位相と、境界ステップの結果に基づくECGセグメントの分類の第2の位相とを含む。境界ステップは、RR間隔、心拍数、最大心拍数、および同等物等の心拍動レベル特徴の算出を可能にする。そのような心拍動レベル特徴は、次いで、主要プロットに表示される集約された表現のために使用される。
【0051】
一実施形態によると、標識は、ある時点における、またはある時間窓内のECG信号の特性の仕様を提供する。特に、標識は、心房細動、心室頻脈、洞性頻脈等の本時間セグメントと関連付けられた調律異常として、信号の時間セグメント上に置かれることができる。一実施例では、標識は、例えば、異なる心臓異常を区別することを可能にする分類アルゴリズムを使用して、ECG信号の自動化された分析によって取得されてもよい。一実施例では、標識は、計算された変数がある所定の閾値を超えるときの時点または時間窓に起因してもよい。例えば、時間窓は、雑音対信号比が閾値を超える場合、雑音として標識されてもよく、時間窓は、心拍数が具体的閾値を超える場合、洞性頻脈として標識されてもよい。標識は、それが関連付けられるECG信号の特性を簡潔に説明する、文字列と関連付けられてもよい。
【0052】
一実施形態によると、特徴は、分析ステップの間に信号から導出される、任意の測定値を含む。非限定的実施例として、特徴は、心拍動の回数、心拍数、心拍数周波数、R-R間隔、およびそれらの組み合わせであってもよい。
【0053】
一実施形態によると、記述子は、エピソードまたは事象と関連付けられた標識を含む。
【0054】
一実施形態によると、受信ステップはさらに、電子医療記録データの受信を含む。一実施例では、該医療記録データは、医療データベースから読み出される、またはユーザによって装着されるホルタモニタからリアルタイムで受信される。
【0055】
一実施形態によると、患者は、ECG監視デバイスと相互作用することによって、ECG記録内の所定の持続時間の時間窓をタグ付けする可能性を有し、これは、「患者アラー
ト」として標識された新しい事象の定義を生成する。着目すべきこととして、患者は、例えば、心臓の非典型的挙動の感覚と同時に、アラートボタンを押すことによって、ECG監視デバイスと相互作用してもよい。
【0056】
一実施例では、事象時間窓の開始は、患者がアラートボタンを押した瞬間に先行する時点(特に、患者がアラートボタンを押した時点よりも10分前まで)として選定される。
【0057】
一実施形態によると、分析は、例えば、ECG信号の雑音除去またはECG波形からの測定値のセットの抽出のための処理の予備ステップを含む。
【0058】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、少なくとも2つのディスプレイフィールドを含む。
【0059】
別の実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、可変長時間窓内のECG信号の少なくとも1つの双方向グラフィカル表現を含む。時間窓の長さは、1秒~数週間まで変動してもよく、好ましくは、時間窓の長さは、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒、1.5分、2分、2.5分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、5.5分、6分、6.5分、7分、7.5分、8分、8.5分、9分、9.5分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、31分、32分、33分、34分、35分、36分、37分、38分、39分、40分、41分、42分、43分、44分、45分、46分、47分、48分、49分、50分、51分、52分、53分、54分、55分、56分、57分、58分、59分、1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、66時間、72時間、78時間、84時間、90時間、96時間、102時間、108時間、114時間、120時間、126時間、132時間、138時間、144時間、150時間、156時間、162時間、168時間、174時間、180時間、186時間、192時間、198時間、204時間、210時間、216時間、222時間、228時間、234、240時間、246時間、252時間、258時間、264時間、270時間、276時間、282時間、288時間、294時間、300時間、306時間、312時間、318時間、324時間、330時間、336時間、342時間、348時間、354時間、360時間、366時間、372時間、378時間、384時間、390時間、396時間、402時間、408時間、414時間、420時間、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日であってもよい。
【0060】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、少なくとも、第1の時間窓内のECG信号の大域的視点と、第2の時間窓内の関連ECGデータを備える局所的視点とのグラフィカル表現を含み、第1の時間窓は、第2の時間窓を含む。これは、ユーザの視野内に、ECG信号の2つの表現を異なる時間スケールにおいて提供し、ユーザが、主要プロット内のより大きい時間窓内の大域的情報と、第1のECGストリップ内のより短い時間窓内の詳細な情報とにアクセスすることを可能にする、利点を有する。
【0061】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、ディスプレイの第1の側に、主要プロットと、少なくとも1つのECGストリップと、ディスプレイの第2の側に、少なくとも1つのECGストリップとを含む。
【0062】
一実施形態によると、主要プロットは、ECG信号のグラフィカル表現である。主要プ
ロットは、時間の関数として瞬間心拍数(HR)を表す、心拍数傾向プロットであってもよい。瞬間心拍数は、固定持続時間にわたる心拍数の平均として計算され、持続時間は、例えば、2、5、または10秒である。本構成では、HR傾向プロットは、例えば、2、5、または10秒毎に算出された瞬間心拍数の値を通過する線を引く。
【0063】
一実施形態によると、主要プロットは、主要プロットの時間軸上で基準時間を選択することが可能なカーソルを備える、全体的ECG信号の双方向グラフィカル表現である。
【0064】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、ディスプレイの第1の側に、主要プロットと、主要プロット内のカーソルによって選択された基準時間を含む、第1の時間窓内の第1のECGストリップと、第1のECGストリップと比較してより広範な第2の時間窓を有し、該第1のECGストリップを含む、第2のECGストリップとを含む。本第2のECGストリップの使用は、第1のECGストリップの周囲の小コンテキスト窓を提供し、ECG信号の中間視点を提供することである。有利には、主要プロットの大域的視点と同時に表示される、ECG信号の本中間視点は、医師が、臨床上有意義な事象および/またはエピソード(すなわち、不整脈)、患者懸念、または他の印に先立った、およびその後の心拍数コンテキストおよび挙動のパターンを比較的して概観し、それによって、心臓調律障害の診断特異性を向上させ、生理学的コンテキストを提供し、診断能力を改良することを可能にする。
【0065】
一実施形態によると、第2のECGストリップは、第2のカーソルを備え、第2のECGストリップは、該第2のカーソルのためのスクロールバーとして使用される。これは、ユーザが、主要プロット内で局所的視点として可視化されるべき基準時間を選定することを可能にする、付加的双方向手段を提供する。本実施形態では、第2のカーソルを移動させることは、主要プロットの時間バー上のカーソルの変位を生じさせる。
【0066】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、標識と関連付けられる、少なくとも1つの双方向グラフィカルオブジェクトを含み、これは、主要プロット上への双方向グラフィカルオブジェクト自体と関連付けられた標識で標識された少なくとも1つのエピソードまたは事象の存在を示すグラフィカル手段の表示をアクティブ化するように構成される。該双方向グラフィカルオブジェクトは、ボタンの側面を有してもよく、本説明では、標識ボタンと称されるであろう。複数フィールドディスプレイは、コンピュータ実装方法が計算するように構成される、標識のタイプの数と同数の標識ボタンを備えてもよい。これらのボタンによってアクティブ化される標識は、限定ではないが、心臓調律異常であってもよく、その実施例は、心房細動、房室ブロック、心室頻脈、および上室性期外収縮および心室性期外収縮等の期外収縮である。一実施例では、エピソードの存在を示す、グラフィカル手段は、主要プロットのセグメントの色の変化(その場合、エピソードは、エピソードと関連付けられた時間窓にわたって延在する色帯によって示される)、または主要プロットがエピソードと関連付けられた時間窓内に含まれる、点の色の変化であってもよい。本実施例では、色は、心室性期外収縮(PVC)または上室性期外収縮(PSVC)等の拍動標識のタイプと関連付けられる。色帯および点は両方とも、複数フィールドディスプレイに表示される凡例内の関連ボタンをクリックすることによって隠蔽されることができる。第2の実施例では、1つの事象をハイライトする、グラフィカル手段は、事象と関連付けられた時点の色の変化であってもよい。ECG信号の具体的特性と関連付けられた所望の標識ボタンの選択を通した着目事象およびエピソードのハイライトは、有利には、ユーザが、ユーザが詳しく調べるように求められたECGの少数のセグメント(不整脈のエピソード等)である、複数日上のECG信号の表現を容易かつ急速に識別し、短および長エピソードの両方のコンテキストを容易にナビゲートすることを可能にする。
【0067】
前述のアプローチは、識別された事象に先立った、およびその後のECGベースの背景
情報の提示を促進することによって、心臓病専門医の診断作業を支援する。
【0068】
一実施形態によると、ディスプレイの第2の側には、少なくとも1つのエピソードから抽出される、少なくとも1つのECGストリップを表示され、エピソードは、選択された標識に対応する。
【0069】
一実施形態によると、双方向手段は、該多プロットディスプレイフィールドの診査のために構成され、診査は、以下、すなわち、
1.主要プロット時間軸に沿って基準時間を選択するステップ、
2.主要プロットをズームインおよびアウトするステップ、
3.完全記録時間に対応する時間間隔内の時間軸に沿って、ECG信号および/またはECG特徴のグラフィカル表現を診査するステップ、
4. 主要プロット内の時間窓を選択することによって、新しいエピソードを定義するステップ、および/または
5.少なくとも1つの記述子と関連付けられたエピソードを示すための少なくとも1つの標識ボタンを選択するステップ、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
一実施形態によると、ディスプレイの第1の側内の第1のECGストリップはさらに、基準時間が時間窓内に含まれるように、ECGストリップの時間窓、故に、主要プロット上の基準時間を移動させることが可能な第2の双方向手段を備える。
【0071】
一実施形態によると、ディスプレイの第2の側内の少なくとも1つのECGストリップは、エピソードの抽出を表す、エピソードプロットである。主要プロットおよびECGストリッププロットに加え、エピソードプロットを表示する利点は、ユーザの視野内に、ECG信号の複数の表現を異なる時間スケールにおいて提供することである。これは、ユーザが、主要プロット内のより大きい時間窓内の大域的情報と、第1のECGストリップ内およびエピソードプロット内のより短い時間窓内の詳細な情報とにアクセスすることを可能にする。異なる時間スケールプロットの本組み合わせは、ユーザが、主要プロット上のエピソードの周囲の異なる時点においてナビゲートし、ストリッププロット上の対応する信号を分析し、診断を確認する、またはエピソードに注釈を付けることができるため、ユーザに、ECG信号のより容易かつより高速の解釈をもたらす。
【0072】
一実施形態によると、標識ボタンによって選択されたエピソードプロットは、該標識でエピソードとして分類される、ECG信号の少なくとも一部から抽出されるECGのストリップを備える。
【0073】
一実施形態によると、第2のディスプレイ側は、少なくとも1つの代表的エピソードプロットを選択し、少なくとも1つの非代表的エピソードプロットを削除するための第3の双方向手段を備える。
【0074】
代替実施形態によると、第2のディスプレイ側は、各エピソードプロット内に、編集可能報告に追加されるためのエピソードプロットと関連付けられたエピソードを選択するための第3の双方向手段と、エピソードプロットのエピソードを第2のディスプレイ側から削除するための第4の双方向手段とを備える。
【0075】
一実施形態によると、本方法はさらに、新しいエピソードが定義されると、1つのエピ
ソードプロットを生成し、好ましくは、エピソードプロットを第2のディスプレイ側に表示するように構成される、双方向手段を含む。
【0076】
一実施形態によると、第3の双方向手段はさらに、カーソルをエピソードプロットと関連付けられる、主要プロット上の関連時点に自動的に移動させるように構成される。関連エピソードは、非限定的実施例として、エピソードの開始またはエピソードの終了であってもよい。
【0077】
複数フィールドディスプレイの第2の側内のエピソードプロットは、可変持続時間を有し得る、1つ以上のECGストリップを同時に表すために使用される。エピソードプロット内のECGストリップの容易かつ均一表現を可能にするために、所定の閾値、例えば、10秒を上回る持続時間のECGストリップを有する、全てのエピソードプロットは、所定の時間窓内のECGストリップのセグメントを表示してもよい。一実施形態によると、10秒または数十秒より長い時間間隔上に登録されたECGストリップを表す、エピソードプロットはさらに、エピソードプロット内に、エピソードの開始の時間から開始する所定の時間窓内のECGストリップのセグメントを表すように構成される、双方向手段を備える。該所定の時間窓は、例えば、10~60秒続いてもよい。
【0078】
一実施形態によると、本発明の方法はさらに、時間的負荷を同一標識と関連付けられた全ての時間周期の総和とECG信号入手の総時間との間の比として計算するステップを含む。
【0079】
一実施形態によると、本発明の方法はさらに、例えば、心室性期外収縮および心房性期外収縮等の事象の負荷カウントを、事象のタイプと関連付けられたカウントとECG信号の全体において測定された合計心拍動との間の比として計算するステップを含む。代替実施形態によると、負荷カウントは、直接、例えば、心室性期外収縮および心房性期外収縮等の事象のカウントの数として計算されることができる。
【0080】
一実施形態によると、本発明の方法はさらに、少なくとも1つのエピソードプロット、電子医療記録データから抽出される情報の選択、および負荷を備える、報告を編集するステップを含む。
【0081】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイの少なくとも1つのフィールドは、R-Rプロットである。
【0082】
本発明はまた、本明細書に説明される上記の実施形態に従ってECG分析のための方法を実装するための、双方向心電図分析システムに関する。該システムは、該ECG信号記録の分析および双方向表示を可能にする。
【0083】
一実施形態によると、双方向心電図分析システムは、遠隔サーバと、少なくとも1つのコンピュータデバイスとを備える。遠隔サーバは、患者の少なくともECG信号記録を備える、医療データベースにアクセスしてもよい。少なくとも1つのコンピュータデバイスは、少なくとも一時的に、遠隔サーバと通信し、ECGデータおよび表示可能情報を交換することが可能である。
【0084】
一実施形態によると、遠隔サーバは、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つの作業メモリと、
データ交換モジュールと、
ECG信号を分析し、ECG信号部分と関連付けられた特徴および/または記述子を提供する、分析モジュールと、
を備える。
【0085】
一実施形態によると、少なくとも1つのコンピュータデバイスは、
ディスプレイ画面と、
少なくとも1つのマイクロプロセッサと、
少なくとも1つの作業メモリと、
データ交換モジュールと、
複数の連続固定ディスプレイウィンドウの中にフォーマット化されるべきECG信号、特徴、および/または記述子のグラフィカル表現を可能にし、グラフィカル表現の少なくとも一部を備え、ディスプレイ画面上に表示する、ディスプレイウィンドウ生成モジュールと、
ディスプレイウィンドウの双方向可視化を可能にし、ユーザが代表的エピソードプロットを備えるディスプレイウィンドウを選択することを可能にする双方向手段を制御する、相互作用モジュールと、
選択されたエピソードプロットのうちの少なくとも1つを備える、報告を編集する、編集モジュールと、
を備える。
【0086】
一実施形態によると、新しいディスプレイウィンドウの可視化は、リアルタイムで実施される。
【0087】
一実施形態によると、遠隔サーバはさらに、ECG信号、ECG特徴、および/または記述子のグラフィカル表現を生成し、コンピュータデバイスに転送する、グラフィカル表現モジュールを備える。
【0088】
本発明の第2の側面は、心電図分析のためのコンピュータ実装方法であって、
少なくとも1つのECG信号を受信するステップと、
タイムスロットと標識を関連付けることによってECG信号内のエピソードを定義するために、少なくとも、境界および分類を通して、ECG信号を分析するステップと、
ECG信号の表現を少なくとも3つの明確に異なるディスプレイフィールドの形態で双方向に表示するステップと、
を含む、方法に関する。
【0089】
一実施形態によると、双方向に表示する方法は、
ECG信号または時間の関数としてECG信号から導出される少なくとも1つの特徴のグラフィカル表現と、該グラフィカル表現のナビゲーションのために構成される、第1の双方向手段とを備える、少なくとも1つの主要プロットであって、ナビゲーションは、
主要プロット時間軸に沿って基準時間を選択するステップと、
主要プロットをズームインおよびアウトするステップと、
完全記録時間に対応する時間間隔に沿った時間軸に沿って、グラフィカル表現を診査するステップと、
少なくとも1つの標識と関連付けられたエピソードを示すための少なくとも1つの標識ボタンを選択するステップと、
を含む、少なくとも1つの主要プロットと、
少なくとも1つのECGストリッププロットであって、
ECG信号のストリップおよび/または時間の関数としてECG信号から導出される少なくとも特徴のグラフィカル表現であって、該ECGストリップグラフィカル表現は、主要プロット上で選択された基準時間を備える、固定時間窓のために表示される、グラフィカル表現と、
時間窓内に含まれるように、ストリップグラフィカル表現の時間窓、故に、主要プロット上の基準時間を移動させることが可能である、第2の双方向手段と、
を備える、少なくとも1つのECGストリッププロットと、
標識ボタンによって選択され、該標識でエピソードとして分類されるECG信号の少なくとも一部から抽出されるECGのストリップを含む、少なくとも1つのエピソードプロットと、
を含む。
【0090】
一実施形態によると、少なくとも1つのECG信号は、ホルタである。
【0091】
一実施形態によると、受信ステップはさらに、電子医療記録データの受信を含む。
【0092】
本発明の第2の側面の一実施形態によると、分析は、例えば、ECG波形の測定値のセットの雑音除去または抽出のための処理の予備ステップを含む。
【0093】
一実施形態によると、特徴は、分析ステップの間に信号から導出される、任意の測定値を含む。非限定的実施例として、特徴は、心拍動の回数、心拍数、RR間隔、心拍数周波数、およびそれらの組み合わせであってもよい。
【0094】
一実施形態によると、標識は、臨床条件または信号雑音に対応するECG信号内の異常と関連付けられる。
【0095】
一実施形態によると、分析ステップは、信号内に含まれる全てのストリップに関する雑音査定の計算を含む。
【0096】
一実施形態によると、第1の双方向手段はさらに、主要プロット内の時間間隔を選択するステップと、該時間間隔を新しいエピソードとして定義するステップとを含む。
【0097】
一実施形態によると、本発明の第2の側面による方法はさらに、少なくとも1つの代表的エピソードプロットを選択し、少なくとも1つの非代表的エピソードプロットを削除するための第3の双方向手段を備える。
【0098】
一実施形態によると、本発明の第2の側面による方法はさらに、負荷を同一標識と関連付けられた全ての時間周期の総和とECG信号入手の総時間との間の比として計算するステップを含む。
【0099】
一実施形態によると、本発明の第2の側面による方法はさらに、選択された代表的エピソードプロット、いくつかの電子医療記録データ、信号および負荷の一般的特性の説明を備える、報告を編集するステップを含む。
【0100】
一実施形態によると、複数フィールドディスプレイのうちの少なくとも1つは、R-Rプロットまたは平均心拍数プロットである。
【0101】
一実施形態によると、第1の双方向手段は、標識ボタンを選択し、主要プロット上の標識に対応する全てのエピソードを可視化し、同時に、標識されたエピソードのそれぞれに対応する少なくとも1つのエピソードプロットを表示し、持続時間、開始時間、心拍数、または関連性基準によって、エピソードプロットをソートすることを可能にする。
【0102】
本発明はまた、本発明の第2の側面に関連する本明細書の上記実施形態に従って方法を実装するための双方向心電図分析システムに関する。該システムは、該ECG信号記録の分析および双方向表示を可能にする。
【0103】
双方向心電図分析システムは、遠隔サーバと、少なくとも1つのコンピュータデバイスとを備える。遠隔サーバは、患者の少なくともECG信号記録を備える、医療データベースへのアクセスを有する。少なくとも1つのコンピュータデバイスは、少なくとも一時的に、遠隔サーバと通信し、ECGデータおよび表示可能情報を交換することが可能である。
【0104】
一実施形態によると、遠隔サーバは、
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つの作業メモリと、
データ交換モジュールと、
ECG信号を分析し、ECG信号部分と関連付けられた特徴および/または記述子を提供する、分析モジュールと、
を備える。
【0105】
一実施形態によると、少なくとも1つのコンピュータデバイスは、
ディスプレイ画面と、
少なくとも1つのマイクロプロセッサと、
少なくとも1つの作業メモリと、
データ交換モジュールと、
複数の連続固定ディスプレイウィンドウの中にフォーマット化されるべきECG信号、特徴、および/または記述子のグラフィカル表現を可能にし、グラフィカル表現の少なくとも一部を備え、ディスプレイ画面上に表示する、ディスプレイウィンドウ生成モジュールと、
ディスプレイウィンドウの双方向可視化を可能にし、ユーザが、代表的エピソードプロットを備えるディスプレイウィンドウを選択することを可能にする、双方向手段を制御する、相互作用モジュールと、
選択されたエピソードプロットのうちの少なくとも1つを備える、報告を編集する、編集モジュールと、
を備える。
【0106】
一実施形態によると、新しいディスプレイウィンドウの可視化は、リアルタイムである。
【0107】
一実施形態によると、遠隔サーバはさらに、ECG信号、ECG特徴、および/または記述子のグラフィカル表現を生成し、コンピュータデバイスに転送する、グラフィカル表現モジュールを備える。
【0108】
本発明の別の側面は、複数のプロットの双方向表現を作成し、編集可能報告の作成を可能にするためのECG信号の分析のためのコンピュータプログラム製品に関し、該コンピュータプログラム製品は、プログラムが、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、本明細書に説明される上記の実施形態のうちの任意の1つに従って方法のステップを自動的に行わせる、命令を備える。
【0109】
本発明のさらに別の側面は、プログラムが、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、本明細書に説明される上記の実施形態のうちの任意の1つに従ってコンピュータ実装方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータ可読記憶媒体に関する。一実施形態によると、コンピュータ可読記憶媒体は、非一過性コンピュータ可読記憶媒体である。
【0110】
本実施形態の方法を実装するコンピュータプログラムは、一般に、限定ではないが、SDカード、外部記憶デバイス、マイクロチップ、フラッシュメモリデバイス、およびポータブルハードドライブ等の配布用コンピュータ可読記憶媒体上においてユーザに配布されることができる。配布用媒体から、コンピュータプログラムは、ハードディスクまたは類似中間記憶媒体にコピーされることができる。コンピュータプログラムは、コンピュータ命令をその配布用媒体またはその中間記憶媒体のいずれかからコンピュータの実行メモリの中にロードし、本発明の方法に従って作用するようにコンピュータを構成することによって起動されることができる。全てのこれらの動作は、コンピュータシステムの当業者に周知である。
【0111】
プロセッサまたはコンピュータを制御し、ハードウェア構成要素を実装し、上記に説明されるような方法を実施するための命令またはソフトウェア、および任意の関連付けられたデータ、データファイル、およびデータ構造は、1つ以上の非一過性コンピュータ可読記憶媒体内または上に記録、記憶、または固定される。非一過性コンピュータ可読記憶媒体の実施例は、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、CD-ROM、CD-R、CD+R、CD-RW、CD+RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、DVD-RAM、BD-ROM、BD-R、BD-RLTH、BD-RE、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気光学データ記憶デバイス、光学データ記憶デバイス、ハードディスク、ソリッドステートディスク、および命令またはソフトウェアおよび任意の関連付けられたデータ、データファイル、およびデータ構造を非一過性様式で記憶し、プロセッサまたはコンピュータが命令を実行し得るように、命令またはソフトウェアおよび任意の関連付けら
れたデータ、データファイル、およびデータ構造をプロセッサまたはコンピュータに提供することが可能である、当業者に公知の任意のデバイスを含む。一実施例では、命令またはソフトウェアおよび任意の関連付けられたデータ、データファイル、およびデータ構造は、命令およびソフトウェアおよび任意の関連付けられたデータ、データファイル、およびデータ構造が、プロセッサまたはコンピュータによって分散方式で記憶、アクセス、実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステムにわたって分散される。
【0112】
種々の実施形態が、説明および図示されたが、詳細な説明は、それに限定されるように解釈されるべきではない。種々の修正が、請求項によって定義されるような本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施形態に行われることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】
図1は、インターフェースのスクリーンショットであって、主要プロットには、標識ボタン「Afib」を選択することによって、心房細動に対応する信号セグメントがハイライトされ、右側のエピソードプロットは、それらのハイライトされた心房細動エピソードと関連付けられたストリップを示す。
【
図2】
図2は、インターフェースのスクリーンショットであって、ボタン「Afib」に加え、また、ボタン「OtherSVT」も、アクティブ化され、上室頻脈のエピソード内に含まれるエピソードプロットを示し、主要プロット内の信号の対応するセグメントをハイライトし、主要プロットは、R-Rプロットである。
【
図3】
図3は、グラフィカルインターフェースの2つのスクリーンショットを備え、
図3Bの主要プロットは、信号のハイライトされた部分のより良好な可視化を可能にするための
図3Aの主要プロットのズームである。
【
図4】
図4は、主要プロットを示す、グラフィカルインターフェースの2つのスクリーンショットを備え、基準時間を選択するために使用されるカーソルは、1つの初期位置(
図4A)から新しい位置(
図4B)に双方向に移動されており、したがって、そのストリッププロット内に表されるストリップを修正する。
【
図5】
図5は、本発明の方法およびシステムに従って編集される報告の第1および第2のページの実施例である。
【
図6】
図6は、本発明の方法およびシステムに従って編集される報告の第1および第2のページの実施例である。
【
図7】
図7は、
図1に表されるインターフェーススクリーンショットの第1のグラフィカルウィンドウのズームインである。
【
図8】
図8は、新しい事象を定義するアクションの間の複数フィールドディスプレイの第1の側のズームインである。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態による、複数アラート単一化手段を備える、複数フィールドディスプレイのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1および2に示されるように、本発明のコンピュータ実装方法は、複数フィールドディスプレイ1を表示するように構成される。第1の実施形態によると、複数フィールドディスプレイ1は、第1の側2と、第2の側3とを備える。
【0115】
第1の側2は、複数のサブ領域、着目すべきこととして、第1のグラフィカルウィンドウ4と、第2のグラフィカルウィンドウ5とを備える。
【0116】
第1のグラフィカルウィンドウ4は、ECG導出特徴、すなわち、R-R間隔プロットを用いて第1の時間窓内のECGエボリューションの大域的視点を提供する、主要プロット42を備える。本第1の実施形態では、時間窓は、横座標における時間軸によって示されるように、24時間の持続時間を有する。
【0117】
複数のディスプレイプロット1の第2の側3は、複数のエピソードプロット32を備える。各エピソードプロット32は、関連付けられたエピソードのECGストリップの少なくとも1つのセグメントと、持続時間(例えば、「Duration:1h38m」)およびエピソードの開始時間(例えば、「Day3/09:39:30」)に関する情報を提供する、文字列とを表示する。さらに、各エピソードプロット32は、そのグラフィカル表現を編集可能報告内に追加するために、対応するECGストリップを選択するための第3の双方向手段34を備える。各エピソードプロット32はさらに、ユーザが、関連付けられたECGストリップが選択された標識を表さないエピソードプロットを削除することを可能にするように構成される、第4の双方向手段33を備える。第2の側3はさらに、選択された標識と関連付けられた事象および/またはエピソードに関する負荷値を提供する、文字列35を備える。
【0118】
図7は、第1のグラフィカルウィンドウ4に対応する、
図1におけるズームを表す。
図7に示されるように、上側領域には、第1のグラフィカルウィンドウ4は、複数の標識ボタン45を備える。各標識ボタンは、それに近接して表示される、それが関連付けられた標識を説明する文字列と、補助情報、例えば、関連標識に関する負荷値とを有する。各標識ボタン45は、色と関連付けられ、その結果、標識ボタン45が、ユーザによって選択されると、グラフィカル手段46が、選択された標識と関連付けられたエピソードおよび/または事象の存在を視覚的に示すために、主要プロット42上に表示される。これは、視覚的参照をユーザに提供し、事象および/またはエピソードの具体的カテゴリの容易な識別を可能にする。本実施形態によると、第1のグラフィカルウィンドウ4は、拍動標識PVC(心室性期外収縮)およびPSVC(上室性期外収縮)と関連付けられた標識ボタン45を備える。拍動標識PVCおよびPSVCと関連付けられた時間窓内に含まれる、主要プロット42内の点は、
図7に示されるように、黒色と異なる色の点の存在によって着色される。
【0119】
第1のグラフィカルウィンドウ4はさらに、上記の説明において時間軸とも呼ばれる、主要プロット42の時間軸と平行な時間バー41を備える。該時間バー41は、総ECG入手時間の線形表現を提供し、エピソードと関連付けられた時間周期または事象と関連付けられた時点は、着色セグメントとして表される。特に、本実施形態では、時間バー41上のより暗い灰色ゾーンは、雑音信号の時間周期(すなわち、信号が、あまりにアーチファクトが多く、分析アルゴリズムが、境界および適切な検出を提案することができないとき)に対応する。第1のグラフィカルウィンドウ4はさらに、時間バー41に沿って移動させるように構成され、これにより、ECG信号の総入手時間上の時間内で主要プロット42のナビゲーションを可能にする、双方向カーソル43を備える。時間バー41上の色スポットは、エピソードおよび事象の存在を示し、主要プロット42内で観察されるべき時間周期の選択の際、ユーザを誘導し、カーソル43の変位のための容易な目印を与える。
【0120】
右下角には、第1のグラフィカルウィンドウは、主要プロットのズームインおよびアウトを作成するように構成される、第2の双方向手段44を備える。
【0121】
図1および2は、第2のグラフィカルウィンドウ5が、カーソル43によって選択された時点から開始する第2の時間窓内の第1のECGストリップ51を含むことも示す。第2のグラフィカルウィンドウ5はさらに、第3の時間窓内の第2のECGストリップ52を含む。該第3の時間窓は、第2の時間窓より大きく、全体的に、第2の時間窓を含む。
【0122】
図3Aおよび3Bは、第2の双方向手段44とのユーザ相互作用の効果を示し、これは、主要プロット42のズームインを作成する。実際、
図3Bにおける主要プロットは、
図3Aに示される主要プロットのズームインである。
【0123】
図4Aおよび4Bは、カーソル43が2つの異なる時点に対応する時間バー41上に位置付けられる際の、同一時間窓内の同一R-Rプロットを表示する、主要プロット42を示す。したがって、
図4Aおよび4Bにおいて第2のグラフィカルウィンドウ5内に表される第1のECGストリップおよび第2のECGストリップは、同一ではない。
【0124】
図5に示される実施形態によると、本発明の方法を用いて編集される、報告の第1のページには、患者および患者を経過観察している医師に関する情報を備える表が表される。本第1のページはさらに、ユーザ定義時間窓内のECG特徴、着目すべきこととして、R-Rプロットのグラフィカル表現を備える。該時間窓は、通常、着目エピソードおよび/または事象を含むために選定される。第1の報告ページはさらに、ECG記録および抽出された特徴(すなわち、記録の持続時間、最小、最大、および平均心拍数等)に関する情報を備える。
【0125】
図6は、一実施形態による、報告の第2のページを示し、ユーザによって以前に選択されたECGストリップが、ユーザによって追加されるような関連する関連付けられた計測量および注釈とともに表示される。
【0126】
図8に示される実施形態によると、新しいエピソードが、双方向手段を使用して定義され、ユーザと主要プロットの相互作用を可能にする。本双方向手段は、主要プロット上で開始時点(主要プロット上で可視化される:「Day3/06:11:18pm」)および終了時点(主要プロット上で可視化される:「Day3/06:13:26pm」)を選択するように構成される。相互作用手段はさらに、開始時点および終了時点から定義された新しい時間窓と1つの所定の標識またはユーザカスタマイズ標識を関連付けるように構成される。
【0127】
図8の実施形態によると、複数フィールドディスプレイは、小アイコンとして可視化される、付加的双方向手段54を備える。そのような双方向手段は、例えば、最終的に編集可能報告に追加され得る、第1のECGストリップ51内に表されるECG信号の画像を撮影すること、または第1のECGストリップ51のy-軸の電圧スケールを修正すること、または第1のECGストリップ51内で可視化されるR波間の距離を測定すること、および同等物を可能にする。本実施形態によると、第2のECGストリップ52は、第2のカーソル53を備える、スクロールバーである。第2のカーソル53を第2のECGストリップ52に沿ってスライドさせることは、第1のECGストリップ51の第2の時間窓の自動適合を生じさせる。
【0128】
図9に示される実施形態によると、ECG監視デバイスと相互作用することによって患者によって生成された「患者アラート」事象が、アラートアイコン61として主要プロット42および第1のECGストリップ51内に可視化される。アラートが患者によってトリガされた時間は、第1のECGストリップおよびエピソードプロット32内の垂直ライン62に表される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
心電図分析のためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのECG信号を受信するステップと、
前記ECG信号を分析し、特徴を提供する、かつ/または、少なくとも1つのエピソードおよび/または事象を識別するステップであって、エピソードは、開始時間、持続時間、および前記ECG信号の分析の間に取得される標識によって定義される前記ECG信号のセグメントであり、事象は、開始時間および前記ECG信号の分析の間に取得される標識によって定義される所定の持続時間の前記ECG信号のストリップである、ステップと、
複数フィールドディスプレイ(1)を表示するステップであって、前記複数フィールドディスプレイ(1)は、少なくとも、
第1の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である主要プロット(42)と、
第2の時間窓(51)内の前記ECG信号のグラフィカル表現の局所的視点であって、前記第1の時間窓は、前記第2の時間窓を含む、局所的視点と、
第3の時間窓(52)内の前記ECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、前記第3の時間窓は、前記第2の時間窓を含み、前記第1の時間窓の持続時間と前記第2の時間窓の持続時間との間に含まれる持続時間を有する、中間視点と、
少なくとも1つの双方向手段であって、前記少なくとも1つの双方向手段は、時間バー(41)上でスライドさせることによって前記主要プロット(42)上の基準時間を選択することが可能であるカーソル(43)であり、前記時間バー(41)は、エピソードおよび/または事象に対応する時間セグメントを前記時間バー(41)上でハイライトする視覚的手段を備える、少なくとも1つの双方向手段と
を含む、ステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記主要プロット、局所的視点、および中間視点における前記ECG信号のグラフィカル表現は、ECG信号のストリップまたは時間の関数として前記ECG信号と関連付けられた特徴のプロットである、項目1に記載のコンピュータ実装方法。
(項目3)
前記複数フィールドディスプレイ(1)は、前記心電図の分析のための直接編集可能な情報を含む、項目1または2のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目4)
ECG信号の少なくとも1つのストリップおよび/または前記直接編集可能な情報のうちの少なくとも1つを選択するように構成される少なくとも1つの双方向手段をさらに含む、項目3に記載のコンピュータ実装方法。
(項目5)
前記双方向手段はさらに、
i.前記主要プロット(42)をズームインおよびアウトするというアクションと、
ii.前記主要プロット(42)上の時間窓を選択することによって、新しいエピソードを定義するというアクションと、
iii.前記主要プロット(42)上で少なくとも1つの標識と関連付けられた事象および/またはエピソードの存在をハイライトするというアクションと
のうちの少なくとも1つを実行するように構成される、項目1-4のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目6)
前記複数フィールドディスプレイ(1)はさらに、1つのエピソードと関連付けられた少なくとも1つのECGストリップ(32)および/または1つの事象(32)と関連付けられた少なくとも1つのECGセグメントを表示される、項目1-5のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目7)
前記分析ステップは、前記エピソードおよび/または前記事象を識別するために、前記ECG信号の境界ステップと、前記境界ステップの結果に基づく前記ECGセグメントの分類ステップとを含む、項目1-6のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目8)
前記ECG信号の分析から提供される特徴は、前記分析ステップの間に前記ECG信号から導出される任意の測定値を含み、分類ステップによって前記ECGセグメントまたはストリップと関連付けられる標識は、臨床条件または信号雑音に対応する前記ECG信号内の異常と関連付けられる、項目1-7のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目9)
前記少なくとも1つのECG信号は、ホルタである、項目1-8のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目10)
双方向心電図分析システムであって、前記双方向心電図分析システムは、遠隔サーバであって、前記遠隔サーバは、患者の少なくとも1つのECG信号記録を備える医療データベースへのアクセスを有し、該ECG信号記録の分析および双方向表示を可能にする遠隔サーバと、少なくとも1つのコンピュータデバイスであって、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、少なくとも一時的に、前記遠隔サーバと通信し、ECGデータおよび表示可能情報を交換することが可能である、少なくとも1つのコンピュータデバイスとを備え、前記遠隔サーバは、
プロセッサと、
メモリと、
データ交換モジュールと、
分析モジュールであって、前記分析モジュールは、前記ECG信号を分析し、前記ECG信号内の特徴を提供する、かつ/または、少なくとも1つのエピソードおよび/または事象を識別するように構成される、分析モジュールと、
グラフィカル表現モジュールであって、前記グラフィカル表現モジュールは、前記ECG信号のグラフィカル表現を生成するように構成される、グラフィカル表現モジュールと、
ウィンドウ生成モジュールであって、前記ウィンドウ生成モジュールは、ディスプレイ画面上における複数フィールドディスプレイ(1)の双方向可視化のための複数の連続ディスプレイウィンドウを生成するように構成され、前記複数フィールドディスプレイ(1)は、少なくとも、
第1の時間窓内の前記ECG信号のグラフィカル表現の大域的視点である主要プロット(42)と、
第2の時間窓(51)内の前記ECG信号のグラフィカル表現の局所的視点であって、前記第1の時間窓は、前記第2の時間窓を含む、局所的視点と、
第3の時間窓(52)内の前記ECG信号のグラフィカル表現の中間視点であって、前記第3の時間窓は、前記第2の時間窓を含み、前記第1の時間窓の持続時間と前記第2の時間窓の持続時間との間に含まれる持続時間を有する、中間視点と、
少なくとも1つの双方向手段であって、前記少なくとも1つの双方向手段は、時間バー(41)上でスライドさせることによって前記主要プロット(42)上の基準時間を選択するように構成されるカーソル(43)であり、前記時間バー(41)は、前記時間バー(41)上でエピソードおよび/または事象に対応する時間セグメントをハイライトする視覚的手段を備える、少なくとも1つの双方向手段と
を含む、ウィンドウ生成モジュールと、
相互作用モジュールであって、前記相互作用モジュールは、前記主要プロット(42)、前記局所的視点、および前記中間視点内の前記ECG信号のグラフィカル表現の時間に沿った診査のために、前記複数フィールドディスプレイ(1)のディスプレイウィンドウの双方向可視化を可能にする双方向手段を制御するように構成される、相互作用モジュールと
を備え、
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、ディスプレイ画面と、マイクロプロセッサと、メモリと、データ交換モジュールとを備える、双方向心電図分析システム。
(項目11)
少なくとも1つの選択されたECGストリップおよび/またはECGセグメントを備える報告を編集するように構成される編集モジュールをさらに備える、項目10に記載の双方向心電図分析システム。
(項目12)
前記ECG信号のグラフィカル表現は、ECG信号のストリップまたは時間の関数として前記ECG信号と関連付けられた特徴のプロットである、項目10または11のいずれか1項に記載の双方向心電図分析システム。
(項目13)
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、命令を備え、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、項目1-9のいずれか1項に記載の方法のステップを行わせる、コンピュータプログラム。
(項目14)
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、命令を備え、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、項目1-9のいずれか1項に記載の方法のステップを行わせる、コンピュータ可読媒体。