(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097465
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20230703BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230703BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230703BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/891
A61K8/37
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213588
(22)【出願日】2021-12-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイト掲載日:2021年8月18日 ウェブサイトのアドレス:https://www.kracie.co.jp/release/10170556_3833.html 販売日:2021年9月28日 販売店:株式会社ツルハホールディングス、株式会社サンドラッグ、株式会社クスリのアオキ他
(71)【出願人】
【識別番号】306018365
【氏名又は名称】クラシエホームプロダクツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真樹子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB052
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC262
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC692
4C083AC842
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD202
4C083AD282
4C083BB11
4C083BB13
4C083BB53
4C083CC33
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】
ツヤ・なめらかさ・滑り性・しっとり感の付与といったヘアトリートメント効果とともにまとまりや束感などのスタイリング効果が得られるだけでなく、時間が経った後でも再度手櫛を通すことでまとまりを取り戻す、再整髪効果のある毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする毛髪化粧料により上記課題を解決する。好ましくは、前記(A)成分が2種以上配合されている毛髪化粧料である。
(A)ヨウ素価が145以上の乾性油、
(B)ジメチコン、
(C)20℃で液状のエステル油
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
(A)ヨウ素価が145以上の乾性油、
(B)ジメチコン、
(C)20℃で液状のエステル油
【請求項2】
前記(A)成分が2種以上配合されている毛髪化粧料。
【請求項3】
毛髪化粧料全体質量中、(B)成分が5.5~28質量%、(C)成分が0.1質量%~2.5質量%配合されている請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関し、詳しくは、ヘアトリートメント効果とともにまとまりといったスタイリング効果が得られるだけでなく再整髪効果のある毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪になめらかさやツヤを付与し、くし通りをよくするために、洗い流さないタイプのコンディショニング効果を持つ毛髪化粧料が用いられ、一般にヘアエッセンス、ヘアクリーム、ヘアミルク、ヘアオイル、ヘアウォーター等の名称のヘアトリートメントが市販されている。さらに、近年はナチュラルやグリーン志向の高まりから、植物油を配合したヘアケア製品が好まれている。
【0003】
毛髪に滑りやツヤを与える目的でシリコーン油、高分子のジメチルポリシロキサン、高分子のメチルフェニルポリシロキサン等の油分が、可溶化、乳化、溶解されて用いられている。特にシリコーン油は、表面張力が低く毛髪へのなじみに優れ、良好なツヤを与えられることから、シリコーン油を含有する毛髪化粧料が多く提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、べたつきがなく、さらっと軽い仕上がりを実現するために、二塩基酸のエステル化合物と、揮発性油、エステル油、炭化水素油、動植物油及びシリコーン油からなる群から選択される1種又は2種以上の油剤を含有する毛髪化粧料が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-290820号公報
【特許文献2】特許第5763922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のようなオイルタイプの毛髪化粧料では、ヘアトリートメント効果は充分にあるが、スタイリング効果は得られるものではなかった。
【0007】
一方で、特許文献2に記載のような毛髪化粧料は時間が経った後のスタイリング効果に課題があり、再整髪がしづらいという課題があった。
【0008】
したがって本発明は、ツヤ・なめらかさ・滑り性・しっとり感の付与といったヘアトリートメント効果とともにまとまりや束感などのスタイリング効果が得られるだけでなく、時間が経った後でも再度手櫛を通すことでまとまりを取り戻す、再整髪効果のある毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、毛髪化粧料の全体質量に基づいて、
(A)ヨウ素価が145以上の乾性油、
(B)ジメチコン、
(C)20℃で液状のエステル油
を含むことを特徴とする毛髪化粧料を提供することで、上記課題が解決することを見出し
たものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
(A)ヨウ素価が145以上の乾性油、
(B)ジメチコン、
(C)20℃で液状のエステル油
を含むことを特徴とする、毛髪化粧料である。
【0011】
さらに、本発明の一態様において、(A)ヨウ素価が145以上の乾性油は2種以上配合することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の一態様において、(B)ジメチコンを5.5質量%~28質量%、(C)25℃で液状のエステル油を0.1質量%~2.5質量%配合することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪化粧料によれば、毛髪へなめらかさ、しっとり感、ツヤ等のヘアトリートメント効果を付与しながら、スタイリング効果が得られるだけでなく再整髪効果を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明において、「再整髪効果」とは、時間経過や風・行動などにより乱れてしまった髪型を手櫛や櫛通しで簡単にもとに戻せる効果を意味する。
【0016】
[毛髪化粧料]
本発明において毛髪化粧料とは、毛髪化粧料の全体質量に基づいて、(A)ヨウ素価が145以上の乾性油、(B)ジメチコン、(C)20℃で液状のエステル化合物を含むことを特徴とする、洗い流さないタイプの毛髪化粧料である。これらの成分(A)~(C)を特定の割合で配合することにより、本発明による効果を発揮することができる。ここで、「洗い流さないタイプの毛髪化粧料」とは、洗い流さず毛髪へ塗布したままにする、いわゆるアウトバスタイプの毛髪化粧料である。
【0017】
アウトバスタイプの毛髪化粧料としては、例えば、洗い流さないトリートメントや、ヘアフォーム、ヘアワックス、ヘアクリーム、ヘアミルク、ヘアポマード、ヘアジェル、ヘアクリーム、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアウォーター、ヘアリキッド、ヘアオイル等の整髪剤や、ヘアカラースプレー等の一時染毛剤や、ヘアトニック、養毛剤等が挙げられる。
【0018】
本発明において毛髪化粧料の剤型は、公知の剤型の中から、その用途や使用目的等に応じて任意に選択することができる。例えば、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、泡状、霧状等とすることができ、泡状や霧状の場合、エアゾール形態、ノンエアゾール形態のいずれでもよい。
【0019】
以下、本発明の毛髪化粧料の各成分について詳細に説明する。
【0020】
[(A)ヨウ素価が145以上の乾性油]
植物から得られる油のヨウ素価は様々であり、目的に応じて固化の速度や程度の適切な油を選択する必要がある。
【0021】
例えば、ヨウ素価が100以下の植物油は不乾性油に分類され、空気中で固まらない性質を有する。不乾性油にはオリーブ油・扁桃油・落花生油・椰子油・椿油・菜種油などが該当する。
【0022】
また、ヨウ素価が130から100程度の植物油は半乾性油に分類され、空気中で反応して流動性は低下するものの、完全には固まらない。半乾性油にはコーン油・綿実油・胡麻油・大豆油などが該当する。
【0023】
さらに、ヨウ素価が130以上の植物油は乾性油に分類される。乾性油は空気中で完全に固まる油であり、菜種油・大豆油・亜麻仁油・桐油・芥子油・石榴油・ローズヒップ油・紫蘇油・胡桃油・荏油・月見草油・紅花油・向日葵油などが該当する。
【0024】
本発明における(A)ヨウ素価が145以上の乾性油は乾性油の中でもより高いヨウ素価を有し、より固化の程度が高い特徴を有する植物油であり、菜種油・大豆油・亜麻仁油・石榴油・ローズヒップ油・胡桃油・月見草油・紅花油などが該当する。このようなヨウ素価が145以上の植物油類は、それぞれ単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。
【0025】
本発明の毛髪化粧料における(A)ヨウ素価が145以上の乾性油の含有量は、毛髪化粧料の全体質量に基づき、0.01質量%~10質量%であり、好ましくは0.05質量%~5質量%であり、より好ましくは0.1質量%~1質量%である。本発明の毛髪化粧料における(A)ヨウ素価が145以上の乾性油の含有量がこの範囲内であれば、毛髪へ適度な再整髪効果を得ることができる。
【0026】
[(B)ジメチコン]
本発明における(B)ジメチコンは、ジメチルポリシロキサン構造の末端をトリメチルシロキシ基で封鎖した直鎖状重合物であり、重合度の大きさにより、粘性の低いものから非常に高粘度の水飴状の外観を示すものまである。低重合度・低分子のジメチコンは粘度が低く、油分のベタつき感を抑え、サラッとした軽い質感で、すべりや伸びに優れており、さらに他の成分が毛髪上に広がるのを助ける働きをすることから、油分を配合するあらゆる製品に感触調整剤として汎用される。一方で、高重合度・高分子のジメチコンは粘度が高く、しっとり重い感触やしっかりとしたダメージケア効果が演出できるため、コンディショニング剤として汎用される。このようなジメチコン類は、それぞれ単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。
【0027】
本発明の毛髪化粧料における(B)ジメチコンの含有量は、毛髪化粧料の全体質量に基づき、5質量%~28質量%であり、好ましくは10質量%~25質量%であり、より好ましくは15質量%~20質量%である。本発明の毛髪化粧料における(B)ジメチコンの含有量がこの範囲内であれば、毛髪へ毛髪化粧料を均一に塗布し、ヘアトリートメント効果を得ることができる。
【0028】
[(C)20℃で液状のエステル化合物]
本発明における(C)20℃で液状のエステル油は、脂肪酸とアルコールとのエステル体を主成分としたエステル油であり、一般的にはヘアコンディショニング剤として毛髪にまとまりを与える目的で配合される。
【0029】
本発明における(C)20℃で液状のエステル油としては、これらに限定されるものではないが、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル等の直鎖高級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、カプリル酸セチル、ラウリン酸
ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、等の直鎖高級脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチルドデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル等の直鎖脂肪酸と分枝アルコールとのエステル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル等の分枝脂肪酸と低級アルコールとのエステル、オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル等の分枝脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット等の脂肪酸と多価アルコールとのエステル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソペラルゴン酸オクチル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル等の分枝脂肪酸と分枝アルコールとのエステル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル等の乳酸エステル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル等の二塩基酸のエステル、等が挙げられる。また、天然由来のものとしては、ホホバ油、オリーブ油、アルガニアスピノサ核油、等が挙げられる。また、本発明においては、(C)20℃で液状のエステル油は市販品を用いてもよい。このようなエステル油は、それぞれ単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。
【0030】
本発明の毛髪化粧料における(C)成分の配合量は、毛髪化粧料の全体質量に基づき、0.1質量%~2.5質量%であり、好ましくは0.5質量%~2質量%であり、より好ましくは1質量%~1.5質量%である。本発明の毛髪化粧料における(C)20℃で液状のエステル油の含有量がこの範囲内であれば、毛髪へ過度なべたつきや重さなどを与えることなく、まとまり感といったスタイリング効果を付与することができる。
【0031】
[その他の成分]
本発明の毛髪化粧料は、上記成分(A)~(C)を必須成分とし、溶剤などを加えた液にこれらを含有させることによって調製されるが、これらの必須成分以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、通常毛髪化粧料に一般的に配合されるその他の成分を目的に応じて配合することができる。
【0032】
上記のような他の成分としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリコシルトレハロース等の湿潤剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2-エチルヘキサン酸などの高級脂肪酸;アボカド油、アンズ油、オリーブ油、グレープ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、サフラワー油、マカデミアナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、クランベアビシニカ油、ツバキ油、アルガン油、ヤシ油、セサミ油、ヒマワリ油、クルミ油、植物性スクワラン等の植物油;流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ成分;エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;l-メントール、ハッカ油等の冷感剤;L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム、DL-アラニン、L-アルギニン、グリシン、L-グルタミ
ン酸、L-システイン、Lスレオニン等のアミノ酸;液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射ガス;12-ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール、アミノ酸誘導体等の低分子化合物、あるいはポリアクリル酸誘導体、デキストリン誘導体等のオイルゲル化剤;その他、紫外線吸収剤、防腐剤、糖類、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤、等が挙げられる。
【0033】
本発明の毛髪化粧料は、好ましくは洗い流さないトリートメントや、ヘアワックス、ヘアクリーム、ヘアミルク、ヘアジェル、ヘアミスト、ヘアウォーター、ヘアオイル等に用いることができる。
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
[試料の調製]
以下の試料を下表1~2に記載の成分・配合量で、常法により調製した。その他成分については、ヘアオイルには、その他シリコーン類や揮発性炭化水素および香料を適宜配合した。
【0036】
[毛髪サンプルの調製]
本発明の毛髪化粧料の有用性を評価するために、まず、次の方法で毛髪を処理した。市販の毛髪(10g、30cm、ビューラックス社製)を濃度10質量%のポリオキシエチレン(2E.O.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液2gでシャンプー洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、タオルドライを行い、ドライヤーで毛髪を乾燥させた。次に、下表1~2に示した実施例及び比較例の毛髪化粧料0.5gを均一に塗布し、自然乾燥させた後、トリートメント効果、スタイリング効果及び再整髪効果なめらかさやしっとり感、ツヤなど毛髪へのダメージケア効果を評価した。また、毛髪化粧料を毛束に塗布した後の手のべたつき感を評価した。
【0037】
[毛髪サンプルの評価]
上記のように調製した毛髪サンプルを用いて、以下の指標について評価した。
【0038】
(1)トリートメント効果
動摩擦係数を測定することにより毛髪のなめらかさを評価した。毛髪の動摩擦係数は、摩擦感テスター(KES-SE型、カトーテック株式会社製)を使用し、摩擦子としてシリコンシートを取り付け、荷重50g、移動スピード1mm/secの条件で動摩擦係数(MIU値)の測定を行い、20本の毛束の平均値を求めた。尚、動摩擦係数が低いほど、なめらかであることを示すものであり、評価基準は以下の通りである。
○:良好 動摩擦係数が0.3以下である
△:やや悪い 動摩擦係数が0.3~0.45である
×:悪い 動摩擦係数が0.45以上である
【0039】
(2)スタイリング効果
特開2021-78867記載の毛髪状態の評価方法を用いて塗布直後の浮き毛が占める割合(FAF率)、つまりまとまり感を評価した。FAF率は低いほど、浮き毛がなくまとまりが良いことを示すものである。尚、評価基準は以下の通りである。
○:良好 FAF率が30~35%である
△:やや悪い FAF率が35~40%である
×:悪い FAF率が40%以上である
【0040】
(3)再整髪効果
特開2021-78867記載の毛髪状態の評価方法を用いて塗布直後の毛束の面積値、及び、持上部14が動作させ、乱れた状態を作った上で、手櫛で整髪した後の毛束の面積値をそれぞれ測定した。さらに塗布直後と整髪後での面積値の変化率を算出した。尚、面積値の変化率が小さいほど、塗布直後の毛髪状態を再整髪後にも得られており、再整髪効果があることを示すものであり、評価基準は以下の通りである。
○:良好 変化率が105%以下である
△:やや悪い 変化率が105~125%である
×:悪い 変化率が125%以上である
【0041】
実施例1~27及び比較例1~8の配合及び評価結果を、下表1及び2に記載する。
【0042】
【0043】
【0044】
表1~2から明らかなように、本発明の毛髪化粧料に関する実施例1~27は、比較例1~8の組成物に比べていずれも優れた性能を示した。比較例1~5は、A成分の1種にヨウ素価が145以下であるブドウ種子油を、比較例6~8は、C成分の代わりに20℃でペースト状のエステル油を含む現行品の例であるが、これらと比較してもなめらかさ、スタイリング効果については同等以上であり、再整髪効果については優れた結果を示した。したがって、本発明の毛髪化粧料は、毛髪へヘアトリートメント効果とともにスタイリング効果が得られるだけでなく再整髪効果があるという優れた性能を示すことが分かった。
【0045】
以下、本発明毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の毛髪へのトリートメント効果、スタイリング効果、再整髪効果の各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0046】
実施例28 ヘアオイル
(質量%)
(1)軽質イソパラフィン 45.0
(2)軽質流動イソパラフィン 24.5
(3)イソステアリン酸 5.0
(4)テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 2.0
(6)月見草油 1.0
(7)サフラワー油 1.0
(8)ジメチコン 20.0
(9)パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 1.0
(10)香料 0.5
【0047】
(製法)(1)~(12)を均一に混合溶解し、ヘアオイルを調製した。
【0048】
実施例29 ヘアエッセンス
(質量%)
(1)塩化アルキルトリメチルアンモニウム 1.0
(2)ステアリルアルコール 1.8
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 0.5
(4)セバシン酸ジエチル 2.0
(5)イソステアリン酸 1.0
(6)スクワラン 3.0
(7)ジメチコン 3.0
(8)月見草油 2.0
(9)サフラワー油 0.5
(10)クルミ種子油 0.5
(11)グリコシルトレハロース 0.5
(12)パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 0.5
(13)メチルパラベン 0.2
(14)フェノキシエタノール 0.2
(15)香料 0.2
(16)グリセリン 3.0
(17)ヒドロキシエチルセルロース 0.5
(18)精製水 全量を100とする
【0049】
(製法)(1)~(7)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(16)~(18)を加えて乳化し、ホモミキサーを用いて均一に混合する。混合しながら徐々に冷却を行い、50℃にて(8)~(15)を添加してさらにホモミキサーで混合した後、30℃まで冷却して、ヘアエッセンスを調製した。
【0050】
実施例30 ヘアミスト
(質量%)
(1)エタノール 20.0
(2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
(3)イソステアリン酸 1.0
(4)オレイン酸 0.2
(5)ステアリン酸オクチルドデシル 3.0
(6)ジメチコン 1.5
(7)月見草油 1.0
(8)クルミ種子油 0.2
(9)コメヌカエキス 0.5
(10)エルカラクトンDES(日本精化株式会社製) 1.0
(11)香料 0.2
(12)精製水 全量を100とする
【0051】
(製法)(1)~(12)を均一に混合溶解し、ヘアミストを調製した。
【0052】
実施例31 ヘアクリーム
(質量%)
(1)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
(2)ステアリルアルコール 2.5
(3)イソステアリン酸 2.0
(4)オレイン酸オクチルドデシル 2.0
(5)パラフィン 0.5
(6)ジメチコン 1.5
(7)プロピレングリコール 0.5
(8)月見草油 5.0
(9)サフラワー油 0.5
(10)ジメチルアミノ
(アミノエチルアミノイソブチル)シロキサン 0.2
(11)ヒマワリ種子エキス 1.0
(11)メチルパラベン 0.2
(12)香料 0.2
(13)精製水 全量を100とする
【0053】
(製法)(1)~(7)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(13)にプロペラで攪拌しながら加えて乳化する。徐々に冷却を行い、60℃にて(8)~(12)を添加し、室温まで冷却して、ヘアクリームを調製した。
【0054】
実施例32 ヘアフォーム
(質量%)
(1)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
(2)ステアリルアルコール 1.5
(3)イソステアリン酸 2.0
(4)セバシン酸ジエチル 2.0
(5)パラフィン 0.5
(6)ジメチコン 3.0
(7)1,3-ブチレングリコール 0.5
(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(9)高重合メチルポリシロキサン 0.5
(10)月見草油 2.0
(11)クルミ種子油 2.0
(12)メチルパラベン 0.2
(13)香料 0.2
(14)液化石油ガス 4.0
(14)ジメチルエーテル 1.0
(15)精製水 全量を100とする
【0055】
(製法)(1)~(12)を80℃にて均一に混合溶解させ、80℃に加温した(15)を加えて乳化し、混合分散を行いながら室温まで冷却して、原液を得た。この原液をエアゾール耐圧容器に充填し、バルブ装着後に噴射剤(13)~(14)を充填してヘアフォームを調整した。