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特開2023-97490振れ補正機能付き光学ユニットおよび振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097490
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニットおよび振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230703BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230703BHJP
   H04N 23/57 20230101ALN20230703BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/02
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213628
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【テーマコード(参考)】
2H100
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB06
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA44
2K005CA45
2K005CA53
5C122EA41
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】カメラモジュールを有する可動体の、所定の基準位置から被写体側への移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、カメラモジュールの光軸方向で小型化することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供する。
【解決手段】この振れ補正機能付き光学ユニットでは、固定体に対する中間部材4の回動の支点となる第2支点部13は、固定体の第2配置穴形成部材17に固定される第2支持部材21を備えており、第2配置穴形成部材17において、第2支持部材21が配置されて固定される第2配置穴17aは、第2配置穴形成部材17を被写体側から反被写体側まで貫通する貫通穴となっている。第2配置穴17aは、第2配置穴17aの貫通方向であるZ方向において、第2配置穴17aに固定される前の第2支持部材21の第2配置穴17aの中での位置調整が可能となる形状に形成されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する中間部材と、前記中間部材を回動可能に保持する固定体と、前記カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように前記固定体に対して前記可動体を回動させるための磁気駆動機構と、前記中間部材に対する前記可動体の回動の支点となる第1支点部と、前記固定体に対する前記中間部材の回動の支点となる第2支点部とを備え、
前記可動体は、前記カメラモジュールの光軸に交差する第1交差方向を回動の軸方向として前記中間部材に対して回動可能となっており、
前記中間部材は、前記第1交差方向に交差するとともに前記カメラモジュールの光軸に交差する第2交差方向を回動の軸方向として前記固定体に対して回動可能になっており、
前記第1支点部は、前記第1交差方向における前記中間部材の両端側に配置され、
前記第2支点部は、前記第2交差方向における前記中間部材の両端側に配置され、
前記中間部材は、前記第1交差方向における前記中間部材の端部を構成する2個の第1腕部と、前記第2交差方向における前記中間部材の端部を構成する2個の第2腕部とを備え、
前記第1支点部は、前記可動体に固定される第1支持部材と、前記第1腕部と前記第1支持部材との間に配置される第1球体とを備え、
前記第2支点部は、前記固定体に固定される第2支持部材と、前記第2腕部と前記第2支持部材との間に配置される第2球体とを備え、
前記可動体は、前記第1支持部材が配置されて固定される第1配置穴が形成される第1配置穴形成部材を備え、
前記固定体は、前記第2支持部材が配置されて固定される第2配置穴が形成される第2配置穴形成部材を備え、
前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向の一方側を被写体側とし、前記被写体側の反対側を反被写体側とすると、
前記第1配置穴が前記第1配置穴形成部材を前記被写体側から前記反被写体側まで貫通する第1貫通穴となっているか、または、前記第2配置穴が前記第2配置穴形成部材を前記被写体側から前記反被写体側まで貫通する第2貫通穴となっており、
前記第1配置穴が前記第1貫通穴となっている場合には、
前記第1貫通穴は、前記第1貫通穴の貫通方向である第1貫通方向において、前記第1貫通穴に固定される前の前記第1支持部材の前記第1貫通穴の中での位置調整が可能となる形状に形成され、
前記第1貫通方向の一方側である第1貫通方向一方側から見たときに、前記第1支持部材の前記第1貫通方向一方側の端部の全体は、前記第1貫通穴の縁よりも前記第1貫通穴の内側に配置されるとともに、前記第1貫通方向の他方側である第1貫通方向他方側から見たときに、前記第1支持部材の前記第1貫通方向他方側の端部の全体は、前記第1貫通穴の縁よりも前記第1貫通穴の内側に配置され、
前記第2配置穴が前記第2貫通穴となっている場合には、
前記第2貫通穴は、前記第2貫通穴の貫通方向である第2貫通方向において、前記第2貫通穴に固定される前の前記第2支持部材の前記第2貫通穴の中での位置調整が可能となる形状に形成され、
前記第2貫通方向の一方側である第2貫通方向一方側から見たときに、前記第2支持部材の前記第2貫通方向一方側の端部の全体は、前記第2貫通穴の縁よりも前記第2貫通穴の内側に配置されるとともに、前記第2貫通方向の他方側である第2貫通方向他方側から見たときに、前記第2支持部材の前記第2貫通方向他方側の端部の全体は、前記第2貫通穴の縁よりも前記第2貫通穴の内側に配置されていることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記第2配置穴が前記第2貫通穴となっていることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記第2支持部材の前記第2貫通方向一方側の端部は、平板状に形成される第1平板部となっており、
前記第2支持部材の前記第2貫通方向他方側の端部は、平板状に形成される第2平板部となっていることを特徴とする請求項2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記第1平板部の前記第2貫通方向一方側の面は、前記第2貫通方向に直交する平面となっており、
前記第2平板部の前記第2貫通方向他方側の面は、前記第2貫通方向に直交する平面となっていることを特徴とする請求項3記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記第2貫通方向一方側から見たときに、前記第2球体は、前記第1平板部に覆われており、
前記第2貫通方向他方側から見たときに、前記第2球体は、前記第2平板部に覆われていることを特徴とする請求項3または4記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記第2腕部は、前記第2球体が接触する腕部側球体接触部を備え、
前記第2支持部材は、前記第2球体が接触する支持部材側球体接触部を備え、
前記支持部材側球体接触部は、前記第2交差方向において前記腕部側球体接触部の外側に配置され、
前記第2配置穴形成部材には、前記第2配置穴形成部材に対する前記腕部側球体接触部の、前記第2交差方向の内側への移動を規制するための規制面が形成され、
前記第2支持部材には、前記第2支持部材に対する前記第2貫通方向一方側への前記腕部側球体接触部の移動を規制するための第1規制部と、前記第2支持部材に対する前記第2貫通方向他方側への前記腕部側球体接触部の移動を規制するための第2規制部とが形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記第2腕部は、前記第2球体が接触する腕部側球体接触部を備え、
前記第2支持部材は、前記第2球体が接触する支持部材側球体接触部を備え、
前記支持部材側球体接触部は、前記第2交差方向において前記腕部側球体接触部の外側に配置され、
前記中間部材は、バネ性を有する金属部材を所定形状に折り曲げることで形成された板バネであり、
前記第2腕部は、前記第2交差方向の外側に前記支持部材側球体接触部を付勢し、
前記第2支持部材は、前記第2配置穴に接着固定されていることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
カメラモジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する中間部材と、前記中間部材を回動可能に保持する固定体と、前記カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように前記固定体に対して前記可動体を回動させるための磁気駆動機構と、前記中間部材に対する前記可動体の回動の支点となる第1支点部と、前記固定体に対する前記中間部材の回動の支点となる第2支点部とを備え、
前記可動体は、前記カメラモジュールの光軸に交差する第1交差方向を回動の軸方向として前記中間部材に対して回動可能となっており、
前記中間部材は、前記第1交差方向に交差するとともに前記カメラモジュールの光軸に交差する第2交差方向を回動の軸方向として前記固定体に対して回動可能になっており、
前記第1支点部は、前記第1交差方向における前記中間部材の両端側に配置され、
前記第2支点部は、前記第2交差方向における前記中間部材の両端側に配置され、
前記中間部材は、前記第1交差方向における前記中間部材の端部を構成する2個の第1腕部と、前記第2交差方向における前記中間部材の端部を構成する2個の第2腕部とを備え、
前記第1支点部は、前記可動体に固定される第1支持部材と、前記第1腕部と前記第1支持部材との間に配置される第1球体とを備え、
前記第2支点部は、前記固定体に固定される第2支持部材と、前記第2腕部と前記第2支持部材との間に配置される第2球体とを備え、
前記可動体は、前記第1支持部材が配置されて固定される第1配置穴が形成される第1配置穴形成部材を備え、
前記固定体は、前記第2支持部材が配置されて固定される第2配置穴が形成される第2配置穴形成部材を備える振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法であって、
前記第1配置穴に対する前記第1支持部材の位置を調整する第1位置調整工程と、前記第1位置調整工程後に前記第1配置穴に前記第1支持部材を固定する第1固定工程とを備えているか、または、
前記第2配置穴に対する前記第2支持部材の位置を調整する第2位置調整工程と、前記第2位置調整工程後に前記第2配置穴に前記第2支持部材を固定する第2固定工程とを備えていることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法。
【請求項9】
前記第2位置調整工程と前記第2固定工程とを備え、
前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向の一方側を被写体側とし、前記被写体側の反対側を反被写体側とすると、
前記第2配置穴は、前記第2配置穴形成部材を前記被写体側から前記反被写体側まで貫通する第2貫通穴となっており、
前記第2位置調整工程では、前記第2貫通穴の貫通方向である第2貫通方向において、前記第2配置穴に対する前記第2支持部材の位置を調整することを特徴とする請求項8記載の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法。
【請求項10】
前記第2貫通方向の一方側を第2貫通方向一方側とし、前記第2貫通方向の他方側を第2貫通方向他方側とすると、
前記第2支持部材の前記第2貫通方向一方側の端部は、平板状に形成される第1平板部となっており、
前記第2支持部材の前記第2貫通方向他方側の端部は、平板状に形成される第2平板部となっており、
前記第2位置調整工程では、前記第2貫通方向一方側から前記第1平板部に突き当てられる第1治具と、前記第2貫通方向他方側から前記第2平板部に突き当てられる第2治具とを用いて、前記第2貫通方向において前記第2配置穴に対する前記第2支持部材の位置を調整することを特徴とする請求項9記載の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。また、本発明は、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付きの光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持するジンバルフレーム部と、ジンバルフレーム部を回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体をピッチング方向およびヨーイング方向に駆動する回転駆動機構とを備えている。可動体は、光学モジュールが固定されるホルダ枠を備えている。固定体は、可動体を被写体側で囲む第1前面カバー部と、ホルダ枠の4面を囲む側面カバー部と、可動体の反被写体側(被写体側の反対側)を覆う後面カバー部とを有する固定枠を備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載の光学ユニットは、ジンバルフレーム部の第1支持部用延設部と固定体の側面カバー部との間に配置される第1スラスト受け部材と、可動体のホルダ枠とジンバルフレーム部の第2支持部用延設部との間に配置される第2スラスト受け部材とを備えている。第1支持部用延設部と第1スラスト受け部材との間には、第1スラスト受け部材に固定される球体が配置され、第2支持部用延設部と第2スラスト受け部材との間には、第2スラスト受け部材に固定される球体が配置されている。
【0004】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、第1支持部用延設部に、第1スラスト受け部材に固定される球体の一部が配置される凹部が形成されている。第2支持部用延設部には、第2スラスト受け部材に固定される球体の一部が配置される凹部が形成されている。ジンバルフレーム部は、バネ性を有する金属材料を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。そのため、第1スラスト受け部材に固定される球体は、第1支持部用延設部に形成される凹部の底面に所定の接触圧で接触し、第2スラスト受け部材に固定される球体は、第2支持部用延設部に形成される凹部の底面に所定の接触圧で接触している。
【0005】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、側面カバー部に、第1スラスト受け部材が押し込まれて固定される第1押込み経路が形成されている。第1スラスト受け部材は、第1押込み経路に被写体側から押し込まれている。第1スラスト受け部材は、第1押込み経路の底面に接触しており、第1押込み経路の底面に接触することで固定体に対して光学モジュールの光軸方向で位置決めされている。第1スラスト受け部材は、側面カバー部に接着固定されている。
【0006】
また、特許文献1に記載の光学ユニットでは、ホルダ枠に、第2スラスト受け部材が押し込まれて固定される第2押込み経路が形成されている。第2スラスト受け部材は、第2押込み経路に被写体側から押し込まれている。第2スラスト受け部材は、第2押込み経路の底面に接触しており、第2押込み経路の底面に接触することで可動体に対して光学モジュールの光軸方向で位置決めされている。第2スラスト受け部材は、ホルダ枠に接着固定されている。
【0007】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、光学モジュールの振れ補正が行われておらず、可動体が所定の基準位置に配置されているときには、光学モジュールの光軸方向において、ホルダ枠の被写体側の端面と第1前面カバー部との間に隙間が形成され、ホルダ枠の反被写体側の端面と後面カバー部との間に隙間が形成されている。基準位置に配置される可動体は、ホルダ枠が第1前面カバー部に接触するまで被写体側に移動可能になっているとともに、ホルダ枠が後面カバー部に接触するまで被写体側に移動可能になっている。この光学ユニットで適切な振れ補正を行うためには、基準位置に配置される可動体の基準位置から被写体側への移動可能量と、基準位置に配置される可動体の基準位置から反被写体側への移動可能量とが所定量以上、確保されていることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-166011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、第1スラスト受け部材が、第1押込み経路の底面に接触することで固定体に対して光軸方向で位置決めされ、かつ、第2スラスト受け部材が、第2押込み経路の底面に接触することで可動体に対して光軸方向で位置決めされているため、固定体に対する可動体の光軸方向における位置は、最大で、第1スラスト受け部材、ジンバルフレーム、第2スラスト受け部材およびホルダ枠等の各種の部品の寸法公差の積み上げ分ばらつく可能性がある。したがって、この光学ユニットでは、可動体が基準位置に配置されているときの、ホルダ枠の被写体側の端面と第1前面カバー部との間の光軸方向の隙間、および、ホルダ枠の反被写体側の端面と後面カバー部との間の光軸方向の隙間も、最大で各種の部品の寸法公差の積み上げ分ばらつく可能性がある。
【0010】
特許文献1に記載の光学ユニットにおいて、ホルダ枠の被写体側の端面と第1前面カバー部との間の光軸方向の設計上の隙間、および、ホルダ枠の反被写体側の端面と後面カバー部との間の光軸方向の設計上の隙間を広くしておけば、これらの隙間がばらついても、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することは可能である。しかしながら、この場合には、光学モジュールの光軸方向において光学ユニットが大型化するおそれがある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、カメラモジュールを有する可動体の、所定の基準位置から被写体側への移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、カメラモジュールの光軸方向で小型化することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【0012】
また、本発明の課題は、振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、カメラモジュールを有する可動体の、所定の基準位置から被写体側への移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、カメラモジュールの光軸方向で小型化することが可能となる振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する中間部材と、中間部材を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように固定体に対して可動体を回動させるための磁気駆動機構と、中間部材に対する可動体の回動の支点となる第1支点部と、固定体に対する中間部材の回動の支点となる第2支点部とを備え、可動体は、カメラモジュールの光軸に交差する第1交差方向を回動の軸方向として中間部材に対して回動可能となっており、中間部材は、第1交差方向に交差するとともにカメラモジュールの光軸に交差する第2交差方向を回動の軸方向として固定体に対して回動可能になっており、第1支点部は、第1交差方向における中間部材の両端側に配置され、第2支点部は、第2交差方向における中間部材の両端側に配置され、中間部材は、第1交差方向における中間部材の端部を構成する2個の第1腕部と、第2交差方向における中間部材の端部を構成する2個の第2腕部とを備え、第1支点部は、可動体に固定される第1支持部材と、第1腕部と第1支持部材との間に配置される第1球体とを備え、第2支点部は、固定体に固定される第2支持部材と、第2腕部と第2支持部材との間に配置される第2球体とを備え、可動体は、第1支持部材が配置されて固定される第1配置穴が形成される第1配置穴形成部材を備え、固定体は、第2支持部材が配置されて固定される第2配置穴が形成される第2配置穴形成部材を備え、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向の一方側を被写体側とし、被写体側の反対側を反被写体側とすると、第1配置穴が第1配置穴形成部材を被写体側から反被写体側まで貫通する第1貫通穴となっているか、または、第2配置穴が第2配置穴形成部材を被写体側から反被写体側まで貫通する第2貫通穴となっており、第1配置穴が第1貫通穴となっている場合には、第1貫通穴は、第1貫通穴の貫通方向である第1貫通方向において、第1貫通穴に固定される前の第1支持部材の第1貫通穴の中での位置調整が可能となる形状に形成され、第1貫通方向の一方側である第1貫通方向一方側から見たときに、第1支持部材の第1貫通方向一方側の端部の全体は、第1貫通穴の縁よりも第1貫通穴の内側に配置されるとともに、第1貫通方向の他方側である第1貫通方向他方側から見たときに、第1支持部材の第1貫通方向他方側の端部の全体は、第1貫通穴の縁よりも第1貫通穴の内側に配置され、第2配置穴が第2貫通穴となっている場合には、第2貫通穴は、第2貫通穴の貫通方向である第2貫通方向において、第2貫通穴に固定される前の第2支持部材の第2貫通穴の中での位置調整が可能となる形状に形成され、第2貫通方向の一方側である第2貫通方向一方側から見たときに、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部の全体は、第2貫通穴の縁よりも第2貫通穴の内側に配置されるとともに、第2貫通方向の他方側である第2貫通方向他方側から見たときに、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部の全体は、第2貫通穴の縁よりも第2貫通穴の内側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットでは、中間部材に対する可動体の回動の支点となる第1支点部は、可動体の第1配置穴形成部材に固定される第1支持部材を備え、固定体に対する中間部材の回動の支点となる第2支点部は、固定体の第2配置穴形成部材に固定される第2支持部材を備えている。また、本発明では、第1配置穴形成部材において、第1支持部材が配置されて固定される第1配置穴が第1配置穴形成部材を被写体側から反被写体側まで貫通する第1貫通穴となっているか、または、第2配置穴形成部材において、第2支持部材が配置されて固定される第2配置穴が第2配置穴形成部材を被写体側から反被写体側まで貫通する第2貫通穴となっている。
【0015】
さらに、本発明では、第1配置穴が第1貫通穴となっている場合には、第1貫通穴は、第1貫通穴の貫通方向である第1貫通方向において、第1貫通穴に固定される前の第1支持部材の第1貫通穴の中での位置調整が可能となる形状に形成され、第2配置穴が第2貫通穴となっている場合には、第2貫通穴は、第2貫通穴の貫通方向である第2貫通方向において、第2貫通穴に固定される前の第2支持部材の第2貫通穴の中での位置調整が可能となる形状に形成されている。そのため、本発明では、第1貫通方向において、第1配置穴に固定される前の第1支持部材の第1貫通穴の中での位置調整が可能になるか、または、第2貫通方向において、第2配置穴に固定される前の第2支持部材の第2貫通穴の中での位置調整が可能になる。
【0016】
したがって、本発明では、基準位置に配置される可動体と可動体の被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の隙間、および、基準位置に配置される可動体と可動体の反被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の隙間が、第1支持部材、中間部材および第2支持部材等の各種の部品のばらつきに起因してばらついても、第1支持部材の位置調整または第2支持部材の位置調整を行うことで、可動体の被写体側への移動を規制する部材と可動体との光軸方向の隙間、および、可動体の反被写体側への移動を規制する部材と可動体との光軸方向の隙間を所定量以上、確保して、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能になる。
【0017】
そのため、本発明では、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、基準位置に配置される可動体と可動体の被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の設計上の隙間、および、基準位置に配置される可動体と可動体の反被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の設計上の隙間を狭くすることが可能になり、その結果、カメラモジュールの光軸方向で振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。
【0018】
また、本発明では、第1支持部材の位置調整または第2支持部材の位置調整を行うことで、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能になるため、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量や基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量が規格外の値になる不良品の発生を防止することが可能になる。
【0019】
また、本発明では、第1配置穴が第1貫通穴となっている場合には、第1貫通方向の一方側である第1貫通方向一方側から見たときに、第1支持部材の第1貫通方向一方側の端部の全体は、第1貫通穴の縁よりも第1貫通穴の内側に配置されるとともに、第1貫通方向の他方側である第1貫通方向他方側から見たときに、第1支持部材の第1貫通方向他方側の端部の全体は、第1貫通穴の縁よりも第1貫通穴の内側に配置されている。そのため、本発明では、第1支持部材の位置調整を行うときに、たとえば、第1支持部材の第1貫通方向一方側の端部に第1貫通方向一方側から所定の治具を容易に突き当てることが可能になるとともに、第1支持部材の第1貫通方向他方側の端部に第1貫通方向他方側から所定の治具を容易に突き当てることが可能になる。したがって、本発明では、第1配置穴が第1貫通穴となっている場合には、第1支持部材の位置調整を容易に行うことが可能になる。
【0020】
同様に、本発明では、第2配置穴が第2貫通穴となっている場合には、第2貫通方向の一方側である第2貫通方向一方側から見たときに、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部の全体は、第2貫通穴の縁よりも第2貫通穴の内側に配置されるとともに、第2貫通方向の他方側である第2貫通方向他方側から見たときに、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部の全体は、第2貫通穴の縁よりも第2貫通穴の内側に配置されているため、第2支持部材の位置調整を行うときに、たとえば、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部に第2貫通方向一方側から所定の治具を容易に突き当てることが可能になるとともに、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部に第2貫通方向他方側から所定の治具を容易に突き当てることが可能になる。したがって、本発明では、第2配置穴が第2貫通穴となっている場合には、第2支持部材の位置調整を容易に行うことが可能になる。
【0021】
本発明において、第2配置穴が第2貫通穴となっていることが好ましい。すなわち、本発明において、固定体の第2配置穴形成部材に対する第2支持部材の位置調整が可能になっていることが好ましい。このように構成すると、固定体に対して回動可能になっている可動体の第1配置穴形成部材に対して第1支持部材の位置調整を行う場合と比較して、第2配置穴形成部材に対する第2支持部材の位置調整を容易に行うことが可能になる。
【0022】
本発明において、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部は、平板状に形成される第1平板部となっており、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部は、平板状に形成される第2平板部となっていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部に所定の治具を突き当てるとともに、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部に所定の治具を突き当てて、第2支持部材の位置調整を行うときに、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部に突き当てられる治具の状態、および、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部に突き当てられる治具の状態を安定させることが可能になる。
【0023】
本発明において、第1平板部の第2貫通方向一方側の面は、第2貫通方向に直交する平面となっており、第2平板部の第2貫通方向他方側の面は、第2貫通方向に直交する平面となっていることが好ましい。このように構成すると、第2支持部材の位置調整を行うときに、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部に突き当てられる治具の状態、および、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部に突き当てられる治具の状態をより安定させることが可能になる。
【0024】
本発明において、第2貫通方向一方側から見たときに、第2球体は、第1平板部に覆われており、第2貫通方向他方側から見たときに、第2球体は、第2平板部に覆われていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、第2貫通方向の両側から第2貫通穴の中に接着剤を入れて第2貫通穴に第2支持部材を接着固定する場合であっても、第2球体が配置された箇所に接着剤が流れ込むのを第1平板部および第2平板部によって防止することが可能になる。したがって、第2支持部材に対する第2腕部の動きが接着剤によって阻害されるのを防止することが可能になる。
【0025】
本発明において、第2腕部は、第2球体が接触する腕部側球体接触部を備え、第2支持部材は、第2球体が接触する支持部材側球体接触部を備え、支持部材側球体接触部は、第2交差方向において腕部側球体接触部の外側に配置され、第2配置穴形成部材には、第2配置穴形成部材に対する腕部側球体接触部の、第2交差方向の内側への移動を規制するための規制面が形成され、第2支持部材には、第2支持部材に対する第2貫通方向一方側への腕部側球体接触部の移動を規制するための第1規制部と、第2支持部材に対する第2貫通方向他方側への腕部側球体接触部の移動を規制するための第2規制部とが形成されていることが好ましい。このように構成すると、第2支持部材に対する第2交差方向の両側および第2貫通方向の両側への腕部側球体接触部の移動を規制することが可能になる。したがって、第2支持部材の位置調整を行っても、第2支持部材に対する腕部側球体接触部の相対位置のずれを防止することが可能になる。
【0026】
本発明において、第2腕部は、第2球体が接触する腕部側球体接触部を備え、第2支持部材は、第2球体が接触する支持部材側球体接触部を備え、支持部材側球体接触部は、第2交差方向において腕部側球体接触部の外側に配置され、第2支持部材は、第2配置穴に接着固定され、中間部材は、バネ性を有する金属部材を所定形状に折り曲げることで形成された板バネであり、第2腕部は、第2交差方向の外側に支持部材側球体接触部を付勢していることが好ましい。このように構成すると、位置調整が行われた後、第2配置穴に接着固定される前の第2支持部材を、接着剤等で仮固定しなくても、第2腕部の付勢力によって第2配置穴の中の所定の位置で保持することが可能になる。したがって、第2配置穴への第2支持部材の固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0027】
また、上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法は、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する中間部材と、中間部材を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように固定体に対して可動体を回動させるための磁気駆動機構と、中間部材に対する可動体の回動の支点となる第1支点部と、固定体に対する中間部材の回動の支点となる第2支点部とを備え、可動体は、カメラモジュールの光軸に交差する第1交差方向を回動の軸方向として中間部材に対して回動可能となっており、中間部材は、第1交差方向に交差するとともにカメラモジュールの光軸に交差する第2交差方向を回動の軸方向として固定体に対して回動可能になっており、第1支点部は、第1交差方向における中間部材の両端側に配置され、第2支点部は、第2交差方向における中間部材の両端側に配置され、中間部材は、第1交差方向における中間部材の端部を構成する2個の第1腕部と、第2交差方向における中間部材の端部を構成する2個の第2腕部とを備え、第1支点部は、可動体に固定される第1支持部材と、第1腕部と第1支持部材との間に配置される第1球体とを備え、第2支点部は、固定体に固定される第2支持部材と、第2腕部と第2支持部材との間に配置される第2球体とを備え、可動体は、第1支持部材が配置されて固定される第1配置穴が形成される第1配置穴形成部材を備え、固定体は、第2支持部材が配置されて固定される第2配置穴が形成される第2配置穴形成部材を備える振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法であって、第1配置穴に対する第1支持部材の位置を調整する第1位置調整工程と、第1位置調整工程後に第1配置穴に第1支持部材を固定する第1固定工程とを備えているか、または、第2配置穴に対する第2支持部材の位置を調整する第2位置調整工程と、第2位置調整工程後に第2配置穴に第2支持部材を固定する第2固定工程とを備えていることを特徴とする。
【0028】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法では、第1位置調整工程において、第1配置穴に対する第1支持部材の位置を調整しているか、または、第2位置調整工程において、第2配置穴に対する第2支持部材の位置を調整している。そのため、本発明では、基準位置に配置される可動体と可動体の被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の隙間、および、基準位置に配置される可動体と可動体の反被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の隙間が、各種の部品のばらつきに起因してばらついても、第1支持部材の位置調整または第2支持部材の位置調整を行うことで、可動体の被写体側への移動を規制する部材と可動体との光軸方向の隙間、および、可動体の反被写体側への移動を規制する部材と可動体との光軸方向の隙間を所定量以上、確保して、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能になる。
【0029】
したがって、本発明の製造方法で振れ補正機能付き光学ユニットを製造すれば、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、基準位置に配置される可動体と可動体の被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の設計上の隙間、および、基準位置に配置される可動体と可動体の反被写体側への移動を規制する部材との光軸方向の設計上の隙間を狭くすることが可能になり、その結果、カメラモジュールの光軸方向で振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。
【0030】
また、本発明の製造方法で振れ補正機能付き光学ユニットを製造すれば、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能になるため、基準位置から被写体側への可動体の移動可能量や基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量が規格外の値になる不良品の発生を防止することが可能になる。
【0031】
本発明において、振れ補正機能付き光学ユニットの製造方法は、第2位置調整工程と第2固定工程とを備え、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向の一方側を被写体側とし、被写体側の反対側を反被写体側とすると、第2配置穴は、第2配置穴形成部材を被写体側から反被写体側まで貫通する第2貫通穴となっており、第2位置調整工程では、第2貫通穴の貫通方向である第2貫通方向において、第2配置穴に対する第2支持部材の位置を調整することが好ましい。このように構成すると、固定体に対して回動可能になっている可動体の第1配置穴形成部材に対して第1支持部材の位置調整を行う場合と比較して、第2配置穴形成部材に対する第2支持部材の位置調整を容易に行うことが可能になる。
【0032】
本発明において、第2貫通方向の一方側を第2貫通方向一方側とし、第2貫通方向の他方側を第2貫通方向他方側とすると、第2支持部材の第2貫通方向一方側の端部は、平板状に形成される第1平板部となっており、第2支持部材の第2貫通方向他方側の端部は、平板状に形成される第2平板部となっており、第2位置調整工程では、第2貫通方向一方側から第1平板部に突き当てられる第1治具と、第2貫通方向他方側から第2平板部に突き当てられる第2治具とを用いて、第2貫通方向において第2配置穴に対する第2支持部材の位置を調整することが好ましい。このように構成すると、第1治具と第2治具とを用いて、第2支持部材の位置調整を容易に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明では、振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、カメラモジュールを有する可動体の、所定の基準位置から被写体側への移動可能量と、基準位置から反被写体側への可動体の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、カメラモジュールの光軸方向で振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットからカメラモジュール、配線基板およびカバー部材を取り外した状態の平面図である。
図4】(A)は、図1に示す中間部材の平面図であり、(B)は、図1に示す中間部材の正面図である。
図5図2に示す第1支点部の斜視図である。
図6】(A)は、図2のE部の構成を説明するための拡大平面図であり、(B)は、図2のE部の構成を説明するための拡大底面図である。
図7】(A)は、図2に示す第2支点部の斜視図であり、(B)は、図2に示す第2支点部の正面図である。
図8】(A)は、図2のF部の構成を説明するための拡大平面図であり、(B)は、図2のF部の構成を説明するための拡大底面図である。
図9図2のF部の構成を説明するための拡大斜視図である。
図10図3のG-G断面の構成を説明するための断面図である。
図11図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットを製造するときの、光軸方向における第2支持部材の位置の調整方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1からカメラモジュール2、配線基板10、11およびカバー部材18、19を取り外した状態の平面図である。図4(A)は、図1に示す中間部材4の平面図であり、図4(B)は、図1に示す中間部材4の正面図である。
【0037】
以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である図1等のX1方向側を「右」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「左」側とし、前後方向の一方側である図1等のY1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「後ろ」側とし、上下方向の一方側である図1等のZ1方向側を「上」側とし、その反対側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0038】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、「光学ユニット1」とする。)は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。光学ユニット1は、撮影時に振れが発生した場合の撮像画像に乱れが発生することを回避するための振れ補正機能を備えている。光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な直方体状に形成されている。本形態の光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lの方向である光軸方向から見たときの形状が正方形状となるように形成されている。光学ユニット1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成されるZX平面または前後方向と上下方向とから構成されるYZ平面と平行になっている。
【0039】
光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3(図1参照)と、可動体3を回動可能に保持する中間部材4と、中間部材4を回動可能に保持する固定体5(図1参照)とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lに交差する第1交差方向(図3等のV方向)を回動の軸方向として中間部材4に対して回動可能となっている。すなわち、可動体3は、第1交差方向を軸線方向とする第1軸線L1(図3参照)を回動中心にして中間部材4に対して回動可能となっている。本形態の第1交差方向は、光軸Lに直交している。
【0040】
中間部材4は、第1交差方向に交差するとともにカメラモジュール2の光軸Lに交差する第2交差方向(図3等のW方向)を回動の軸方向として固定体5に対して回動可能となっている。すなわち、中間部材4は、第2交差方向を軸線方向とする第2軸線L2(図3参照)を回動中心にして固定体5に対して回動可能となっている。本形態では、第2交差方向は、第1交差方向に直交している。このように、可動体3と固定体5との間には、2軸のジンバル機構が構成されている。
【0041】
本形態では、後述の第1駆動用コイル25および第2駆動用コイル27に電流が供給されていないときに、可動体3が所定の基準位置に配置されており、カメラモジュール2の光軸Lが所定の基準位置に配置されている。可動体3が基準位置に配置されていてカメラモジュール2の光軸Lが基準位置にあるときには、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向と一致している。なお、振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかである。そのため、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向とほぼ一致している。
【0042】
また、可動体3が基準位置に配置されているときには、第2交差方向(W方向)は、光軸Lに直交している。すなわち、可動体3が基準位置に配置されていて中間部材4に対して回動していないときには、第2交差方向は、光軸Lに直交している。一方、可動体3が中間部材4に対して回動しているときには、第2交差方向は、光軸Lに交差してはいるが、直角には交わっていない。第2交差方向(W方向)は、上側から見たときに、前後方向に対して図3の時計回りの方向へ約45°ずれた方向となっている。
【0043】
光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lが任意の方向に傾くように固定体5に対して可動体3を回動させるための磁気駆動機構8、9を備えている(図3参照)。また、光学ユニット1は、カメラモジュール2から引き出される配線基板10と、磁気駆動機構8の一部を構成する後述の第1駆動用コイル25および磁気駆動機構9の一部を構成する後述の第2駆動用コイル27が実装される配線基板11と、中間部材4に対する可動体3の回動の支点となる第1支点部12と、固定体5に対する中間部材4の回動の支点となる第2支点部13とを備えている。第1支点部12は、第1交差方向における中間部材4の両端側に配置され、第2支点部13は、第2交差方向における中間部材4の両端側に配置されている。
【0044】
可動体3は、全体として光軸方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2が固定されるホルダ16を備えている。ホルダ16は、樹脂材料で形成されている。ホルダ16は、正方形の枠状に形成されており、可動体3が基準位置に配置されている状態で光軸方向から見たときのホルダ16の外形は、正方形状となっている。また、可動体3が基準位置に配置されているときには、外形が正方形状をなすホルダ16の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。また、可動体3が基準位置に配置されているときには、ホルダ16の上端面および下端面は、上下方向に直交する平面となっている。
【0045】
ホルダ16には、第1支点部12の一部を構成する後述の第1支持部材20が配置されて固定される第1配置穴16aが形成されている。第1配置穴16aは、第1交差方向におけるホルダ16の両端部に形成されている。すなわち、第1配置穴16aは、ホルダ16の右前端の角部と左後端の角部との2箇所に形成されている。本形態のホルダ16は、第1配置穴16aが形成される第1配置穴形成部材である。第1配置穴16aの具体的な構成については後述する。
【0046】
カメラモジュール2は、ホルダ16によってカメラモジュール2の下端部の外周側が覆われるように、ホルダ16の内周面に固定されている。上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の下端側に配置されており、カメラモジュール2の上側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。
【0047】
上述のように、振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかであり、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向とほぼ一致している。そのため、カメラモジュール2の光軸方向の一方側(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向において被写体が配置される側)を被写体側とし、被写体側の反対側(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向において撮像素子が配置される側)を反被写体側とすると、被写体側は、上側とほぼ一致し、反被写体側は、下側とほぼ一致している。
【0048】
中間部材4は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、中間部材4は、バネ性を有する金属板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。中間部材4は、ホルダ16よりも上側に配置される基部4aと、基部4aから第1交差方向の両側に向かって伸びる2個の第1腕部4bと、基部4aから第2交差方向の両側に向かって伸びる2個の第2腕部4cとによって構成されている。基部4aは、略正方形の枠状に形成されている。基部4aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0049】
第1腕部4bは、第1交差方向における基部4aの両端部に繋がっている。第1腕部4bは、第1交差方向における中間部材4の端部を構成している。第1腕部4bは、第1交差方向における基部4aの端部から第1交差方向の外側に向かって斜め下側に伸びる傾斜部4dと、傾斜部4dの下端から下側に向かって伸びる先端部4eとから構成されている。先端部4eは、第1交差方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。
【0050】
先端部4eの下端側部分は、第1配置穴16aの中に配置されている。先端部4eの下端部には、第1支点部12の一部を構成する後述の第1球体22の一部が配置される半球状の凹部4fが形成されている(図4(B)参照)。凹部4fは、第1交差方向の内側に向かって窪んでいる。先端部4eには、第2交差方向の両側から第2交差方向の内側に向かって切り欠かれた切欠き部4gが形成されている(図4(B)参照)。切欠き部4gは、凹部4fよりも上側に形成されている。
【0051】
第2腕部4cは、第2交差方向における基部4aの両端部に繋がっている。第2腕部4cは、第2交差方向における中間部材4の端部を構成している。第2腕部4cは、第2交差方向における基部4aの端部から第2交差方向の外側に向かって斜め下側に伸びる傾斜部4hと、傾斜部4hの下端から第2交差方向の外側に伸びる接続部4jと、第2交差方向における接続部4jの外側端から下側に向かって伸びる先端部4kとから構成されている。先端部4kは、第2交差方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。
【0052】
接続部4jおよび先端部4kは、ホルダ16の外周側に配置されている。また、接続部4jおよび先端部4kは、後述の第2配置穴17aの中に配置されている。先端部4kの下端部には、第2支点部13の一部を構成する後述の第2球体23の一部が配置される半球状の凹部4pが形成されている(図4(B)参照)。凹部4pは、第2交差方向の内側に向かって窪んでいる。第1交差方向における先端部4kの下端部の幅は、第1交差方向における先端部4kの上端部の幅よりも広くなっており、先端部4kの下端部と先端部4kの上端部との境界には、上下方向に略直交する段差面4rが形成されている。段差面4rは、凹部4pよりも上側に形成されている。
【0053】
固定体5は、可動体3および中間部材4の外周側に配置される枠状のケース体17と、ケース体17の側面および下面を覆うカバー部材18と、ケース体17の上面を覆うカバー部材19とを備えている。中間部材4は、ケース体17に回動可能に保持されている。ケース体17は、樹脂材料で形成されている。ケース体17は、上下方向の両端が開口する扁平な四角筒状に形成されている。ケース体17の上端面および下端面は、上下方向に直交する平面となっている。
【0054】
上下方向から見たときのケース体17の形状は、正方形の枠状となっている。上下方向から見たときに、外形が正方形状をなすケース体17の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。すなわち、上下方向から見たときに、ケース体17の外周面を構成する4辺は、前後方向または左右方向と平行になっている。
【0055】
ケース体17には、第2支点部13の一部を構成する後述の第2支持部材21が配置されて固定される第2配置穴17aが形成されている。第2配置穴17aは、第2交差方向におけるケース体17の両端部に形成されている。すなわち、第2配置穴17aは、ケース体17の左前端の角部と右後端の角部との2箇所に形成されている。本形態のケース体17は、第2配置穴17aが形成される第2配置穴形成部材である。第2配置穴17aの具体的な構成については後述する。
【0056】
カバー部材18は、正方形の平板状に形成される底部18aと、底部18aから上側に向かって立ち上がる四角筒状の筒部18bとを有する有底四角筒状に形成されている。上下方向から見たときのカバー部材18の外形は、正方形となっている。上下方向から見たときに、外形が正方形状をなすカバー部材18の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。底部18aは、光学ユニット1の底面を構成している。底部18aの上面は、上下方向に直交する平面となっている。底部18aの上面は、ケース体17の下端面に接触している。底部18aは、ホルダ16よりも下側に配置されている。筒部18bは、光学ユニット1の側面を構成している。筒部18bは、ケース体17の外周側を覆っている。
【0057】
カバー部材19は、主としてケース体17の上端面を覆う略平板状の覆部19aによって構成されている。カバー部材19は、ケース体17の上端部に固定されている。覆部19aは、正方形の枠状に形成されている。上下方向から見たときのカバー部材19の外形は、正方形となっている。上下方向から見たときに、外形が正方形状をなすカバー部材19の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。覆部19aの内周側には、カメラモジュール2および中間部材4の一部が配置されている。覆部19aの下面は、ケース体17の上端面に接触している。覆部19aは、ホルダ16よりも上側に配置されている。
【0058】
第1支点部12は、可動体3に固定される第1支持部材20と、第1腕部4bと第1支持部材20との間に配置される球状の第1球体22(図5参照)とを備えている。第1支持部材20は、ホルダ16に固定されている。第1球体22は、第1支持部材20に固定されている。第2支点部13は、固定体5に固定される第2支持部材21と、第2腕部4cと第2支持部材21との間に配置される球状の第2球体23(図7参照)とを備えている。第2支持部材21は、ケース体17に固定されている。第2球体23は、第2支持部材21に固定されている。第1支点部12および第2支点部13のより具体的な構成については後述する。
【0059】
磁気駆動機構8は、左右方向で対向配置される第1駆動用磁石24および第1駆動用コイル25を備えている。磁気駆動機構9は、前後方向で対向配置される第2駆動用磁石26および第2駆動用コイル27を備えている。第1駆動用磁石24および第2駆動用磁石26は、長方形の平板状に形成されている。第1駆動用コイル25および第2駆動用コイル27は、たとえば、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。
【0060】
第1駆動用磁石24は、ホルダ16の左側面に形成される凹部の中に配置されており、ホルダ16の左面側に固定されている。第1駆動用コイル25は、ケース体17の左面部に形成される貫通穴の中に配置されている。また、第1駆動用コイル25は、配線基板11に取り付けられている。磁気駆動機構8は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに前後方向に平行な軸線を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0061】
第2駆動用磁石26は、ホルダ16の後側面に形成される凹部の中に配置されており、ホルダ16の後面側に固定されている。第2駆動用コイル27は、ケース体17の後面部に形成される貫通穴の中に配置されている。また、第2駆動用コイル27は、配線基板11に取り付けられている。磁気駆動機構9は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに左右方向に平行な軸線を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0062】
配線基板10は、たとえば、フレキシブルプリント基板とリジッド基板とが一体化されたリジッドフレキシブル基板である。配線基板10は、カメラモジュール2から右側に向かって引き出された後、ケース体17の右側面および前面に沿って引き回されている。また、配線基板10は、カバー部材18の前面の中心部から前側に向かって引き出されている。配線基板11は、フレキシブルプリント基板である。配線基板11は、ケース体17の後面、左側面および前面に沿って引き回されている。また、配線基板11は、カバー部材18の前面の左端部から前側に向かって引き出されている。配線基板11は、ケース体17の外周面に固定されている。
【0063】
光学ユニット1では、可動体3の傾きの変化を検知するための所定の検知機構によって可動体3の傾きの変化が検知されると、この検知機構の検知結果に基づいて、第1駆動用コイル25および第2駆動用コイル27の少なくともいずれか一方に電流が供給されて、振れが補正される。磁気駆動機構8および磁気駆動機構9は、第1軸線L1および第2軸線L2の少なくともいずれか一方を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0064】
(第1支点部および第1配置穴の構成)
図5は、図2に示す第1支点部12の斜視図である。図6(A)は、図2のE部の構成を説明するための拡大平面図であり、図6(B)は、図2のE部の構成を説明するための拡大底面図である。
【0065】
第1支持部材20は、平板状の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。第1支持部材20は、主として略長方形の平板状に形成される基部20aによって構成されている。基部20aは、基部20aの厚さ方向と第1交差方向とが一致するように配置されている。基部20aの中心部には、第1球体22の一部が配置される貫通穴が形成されている。第1球体22は、第1交差方向の内側から基部20aに固定されており、第1球体22の大半部分は、第1交差方向において基部20aの内側に配置されている。
【0066】
第1支持部材20は、基部20aの上端部に繋がる2個の腕部20bと、基部20aの下端に繋がる底板部20cと、底板部20cに繋がる2個の抜止め部20dとを備えている。本形態の第1支持部材20は、基部20aと2個の腕部20bと底板部20cと2個の抜止め部20dによって構成されている。第1支持部材20は、第1配置穴16aの中に配置されている。また、第1支持部材20は、接着剤によって第1配置穴16aに固定されている。すなわち、第1支持部材20は、第1配置穴16aに接着固定されている。
【0067】
腕部20bは、第2交差方向の両側で基部20aの上端部に繋がっている。腕部20bは、基部20aから第1交差方向の内側に伸びる部分と、第1交差方向におけるこの部分の内側端から、第2交差方向の外側に伸びる部分とによって構成されており、略L形状に形成されている。底板部20cは、長方形の平板状に形成されている。可動体3が基準位置に配置されているときには、底板部20cの厚さ方向は、上下方向と一致している。底板部20cは、基部20aの下端から第1交差方向の内側に伸びている。抜止め部20dは、第2交差方向における底板部20cの両端から、第2交差方向の外側かつ上側に向かって斜め方向に伸びている。抜止め部20dは、第2交差方向の内側に弾性変形可能となっている。
【0068】
第1配置穴16aは、ホルダ16の上面から下側に向かって窪むように形成されている。また、第1配置穴16aは、ホルダ16の内周側に通じるように形成されている。第1配置穴16aの下側は、第1配置穴16aの下側を塞ぐ底部16bとなっている。底部16bには、底部16bを貫通する2個の開口部16cが形成されている。開口部16cは、抜止め部20dの上端部が接触可能な係合面16dを下側から形成するための穴である。係合面16dは、ホルダ16の上面から下側に向かって窪むように形成される第1配置穴16aの形成方向に直交する平面となっている。
【0069】
第1交差方向における第1配置穴16aの外側の面は、基部20aが当接する当接面16eとなっている。当接面16eは、第1交差方向に直交する平面となっている。当接面16eには、接着剤を流すための溝16fが形成されている。底部16bの上面にも、接着剤を流すための溝16gが形成されている。当接面16eの上側には、接着剤を溜めるための凹部16hが形成されている。第1交差方向における第1配置穴16aの内側部分には、ホルダ16に対する第1支持部材20の、第1交差方向の内側への移動を規制するための規制面16jが形成されている。規制面16jは、第1交差方向に直交する平面となっている。
【0070】
第1配置穴16aの中に配置される第1支持部材20では、第1交差方向における基部20aの外側の面が当接面16eに当接し、底部16bの上面に底板部20cの下面が当接している。また、腕部20bが第1交差方向において規制面16jの外側に配置され、抜止め部20dが係合面16dの下側に配置されている。第1配置穴16aの中に配置される第1腕部4bの先端部4eの下端側部分は、第1交差方向において基部20aの内側に配置されるとともに底板部20cの上側に配置されている。腕部20bの一部は、切欠き部4gの中に配置されている。2個の腕部20bの間には、先端部4eの一部が配置されている。
【0071】
腕部20bは、第1支持部材20に対する先端部4eの上側への移動を規制する機能を果たしている。底板部20cは、第1支持部材20に対する先端部4eの下側への移動を規制する機能を果たしている。第1球体22の一部は、凹部4fの中に配置されている。第1球体22は、第1交差方向の外側から凹部4fに接触している。基部20aおよび第1球体22は、第1腕部4bのバネ性によって、第1交差方向における外側に付勢されている。すなわち、第1腕部4bは、第1交差方向の外側に基部20aおよび第1球体22を付勢している。
【0072】
(第2支点部および第2配置穴の構成)
図7(A)は、図2に示す第2支点部13の斜視図であり、図7(B)は、図2に示す第2支点部13の正面図である。図8(A)は、図2のF部の構成を説明するための拡大平面図であり、図8(B)は、図2のF部の構成を説明するための拡大底面図である。図9は、図2のF部の構成を説明するための拡大斜視図である。図10は、図3のG-G断面の構成を説明するための断面図である。
【0073】
第2支持部材21は、平板状の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。第2支持部材21は、主として略長方形の平板状に形成される基部21aによって構成されている。基部21aは、基部21aの厚さ方向と第2交差方向とが一致するように配置されている。基部21aの中心部には、第2球体23の一部が配置される貫通穴が形成されている。第2球体23は、第2交差方向の内側から基部21aに固定されており、第2球体23の大半部分は、第2交差方向において基部21aの内側に配置されている。第2球体23は、基部21aの中心部に形成される貫通穴の縁に接触している。本形態の基部21aは、第2球体23が接触する支持部材側球体接触部となっている。
【0074】
第2支持部材21は、基部21aに繋がる2個の腕部21bと、基部21aの上端に繋がる天板部21cと、基部21aの下端に繋がる底板部21dとを備えている。本形態の第2支持部材21は、基部21aと2個の腕部21bと天板部21cと底板部21dによって構成されている。第2支持部材21は、第2配置穴17aの中に配置されている。また、第2支持部材21は、接着剤によって第2配置穴17aに固定されている。すなわち、第2支持部材21は、第2配置穴17aに接着固定されている。
【0075】
腕部21bは、第1交差方向の両側で基部21aに繋がっている。また、腕部21bは、第2球体23の上側において基部21aに繋がっている。腕部21bは、基部21aから第2交差方向の内側に伸びる部分と、第2交差方向におけるこの部分の内側端から、第1交差方向の外側に伸びる部分とによって構成されており、略L形状に形成されている。
【0076】
天板部21cおよび底板部21dは、長方形の平板状に形成されている。天板部21cの厚さ方向および底板部21dの厚さ方向は、上下方向と一致している。天板部21cの上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。底板部21dの上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。天板部21cは、基部21aの上端から第2交差方向の内側に伸びている。天板部21cは、第2支持部材21の上端部を構成している。長方形状をなす天板部21cの長辺方向は、第1交差方向と一致している。底板部21dは、基部21aの下端から第2交差方向の内側に伸びている。底板部21dは、第2支持部材21の下端部を構成している。長方形状をなす底板部21dの長辺方向は、第1交差方向と一致している。
【0077】
第2交差方向における天板部21cの幅は、第2交差方向における底板部21dの幅よりも広くなっている。第1交差方向における天板部21cの幅は、第1交差方向における底板部21dの幅と等しくなっている。上側から見たときに、第2球体23は、天板部21cに覆われている。下側から見たときに、第2球体23は、底板部21dに覆われている。
【0078】
第2配置穴17aは、被写体側から反被写体側までケース体17を貫通する第2貫通穴となっている。すなわち、第2配置穴17aは、上下方向でケース体17を貫通している。本形態の上下方向(Z方向)は、第2貫通穴である第2配置穴17aの貫通方向である第2貫通方向となっている。また、上側(Z1方向側)は、第2貫通方向の一方側である第2貫通方向一方側となっており、下側(Z2方向側)は、第2貫通方向の他方側である第2貫通方向他方側となっている。
【0079】
また、本形態では、第2支持部材21の第2貫通方向一方側の端部(上端部)を構成する天板部21cは、第1平板部となっており、第2支持部材21の第2貫通方向他方側の端部(下端部)を構成する底板部21dは、第2平板部となっている。第1平板部である天板部21cの第2貫通方向一方側の面(上面)および第2平板部である底板部21dの第2貫通方向他方側の面(下面)は、第2貫通方向である上下方向に直交する平面となっている。
【0080】
第2配置穴17aの、下端部を除いた上側部分は、ケース体17の内周側に通じている。第2配置穴17aの下端部の、第2交差方向における内側は、平板状に形成される内側壁部17bによって画定されている。内側壁部17bは、内側壁部17bの厚さ方向と第2交差方向とが一致するように配置されている。ケース体17の上端面と内側壁部17bの上端面との間には、切欠き部が形成されており、この切欠き部が形成されているため、第2配置穴17aの、下端部を除いた上側部分は、ケース体17の内周側に通じている。
【0081】
第2交差方向における第2配置穴17aの外側の面は、基部21aが当接する当接面17cとなっている。当接面17cは、第2交差方向に直交する平面となっている。当接面17cには、接着剤を流すための溝17dが形成されている。当接面17cの上側には、接着剤を溜めるための凹部17eが形成されている。第1交差方向における第2配置穴17aの両側の側面17fは、第1交差方向に直交する平面となっている。
【0082】
第2交差方向における内側壁部17bの外側面は、ケース体17に対する第2腕部4cの先端部4kの、第2交差方向の内側への移動を規制するための規制面17gとなっている。すなわち、第2交差方向における第2配置穴17aの内側部分には、ケース体17に対する先端部4kの、第2交差方向の内側への移動を規制するための規制面17gが形成されている。規制面17gは、第2交差方向に直交する平面となっている。規制面17gは、ケース体17に対する第2支持部材21の、第2交差方向の内側への移動を規制する機能も果たしている。
【0083】
なお、第2配置穴17aの上端は、面取り加工されており、第2配置穴17aの上端には、面取り部が形成されている。また、第2配置穴17aの下端の、第2交差方向の外側部分および第1交差方向の両側部分(すなわち、内側壁部17bによって画定される部分を除いた部分)は、面取り加工されており、第2配置穴17aの下端の、第2交差方向の外側部分および第1交差方向の両側部分には、面取り部が形成されている。
【0084】
第2配置穴17aの中に配置される第2支持部材21は、第1交差方向において2個の側面17fの間に配置されている。第2交差方向における基部21aの外側の面は、当接面17cに当接している。第2交差方向における天板部21cの内側部分を除いた第2支持部材21の大半部分は、第1交差方向において、当接面17cと規制面17gとの間に配置されている。第2交差方向における天板部21cの内側部分は、内側壁部17bの上側に配置されている。
【0085】
そのため、第2配置穴17aに接着固定される前の第2支持部材21は、第2交差方向における天板部21cの内側部分が内側壁部17bの上端面に接触するまで、第2配置穴17aの中で上下方向にスライド可能となっており、第2支持部材21が第2配置穴17aに接着固定される前には、第2配置穴17aの中で上下方向において第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置調整が可能となっている。すなわち、本形態では、第2配置穴17aは、上下方向において、第2配置穴17aに固定される前の第2支持部材21の第2配置穴17aの中での位置調整が可能となる形状に形成されている。第2配置穴17aに第2支持部材21が接着固定された状態では、たとえば、天板部21cの上側および底板部21dの下側は接着剤に覆われている。
【0086】
図8(A)に示すように、上側から見たときに、第2支持部材21の上端部を構成する天板部21cの全体は、第2配置穴17aの縁17hよりも第2配置穴17aの内側に配置されている。具体的には、上側から見たときに、天板部21cの全体は、第2配置穴17aの、面取りされた部分を除いた部分の縁17hよりも第2配置穴17aの内側に配置されている。そのため、第2配置穴17aに第2支持部材21が接着固定される前に上側から第2配置穴17aを見ると、天板部21cの全体が見える。第1交差方向における天板部21cの端面は、側面17fと比較的狭い隙間を介して対向している。
【0087】
また、図8(B)に示すように、下側から見たときに、第2支持部材21の下端部を構成する底板部21dの全体は、第2配置穴17aの縁17jよりも第2配置穴17aの内側に配置されている。具体的には、下側から見たときに、底板部21dの全体は、第2配置穴17aの、面取りされた部分を除いた部分の縁17jよりも第2配置穴17aの内側に配置されている。そのため、第2配置穴17aに第2支持部材21が接着固定される前に下側から第2配置穴17aを見ると、底板部21dの全体が見える。第1交差方向における底板部21dの端面は、側面17fと比較的狭い隙間を介して対向している。第2交差方向における底板部21dの内側の端面は、規制面17gと比較的狭い隙間を介して対向している。
【0088】
図10に示すように、第2配置穴17aの中に配置される第2腕部4cの先端部4kは、第2交差方向において基部21aの内側に配置されている。すなわち、基部21aは、第2交差方向において先端部4kの外側に配置されている。また、先端部4kは、第2交差方向において規制面17gの外側に配置されるとともに底板部21dの上側に配置されている。接続部4jは、上下方向において内側壁部17bと天板部21cとの間に配置されている。腕部21bの一部は、先端部4kの段差面4rの上側に配置されている。2個の腕部21bの間には、先端部4kの一部が配置されている。
【0089】
腕部21bは、第2支持部材21に対する先端部4kの上側への移動を規制する機能を果たしている。底板部21dは、第2支持部材21に対する先端部4kの下側への移動を規制する機能を果たしている。すなわち、第2支持部材21には、第2支持部材21に対する先端部4kの上側への移動を規制するための腕部21bと、第2支持部材21に対する先端部4kの下側への移動を規制するための底板部21dとが形成されている。本形態の腕部21bは、第1規制部であり、底板部21dは、第2規制部である。
【0090】
第2球体23の一部は、凹部4pの中に配置されている。第2球体23は、第2交差方向の外側から凹部4pに接触している。基部21aおよび第2球体23は、第2腕部4cのバネ性によって、第2交差方向における外側に付勢されている。すなわち、第2腕部4cは、第2交差方向の外側に基部21aおよび第2球体23を付勢している。本形態の先端部4kは、第2球体23が接触する腕部側球体接触部となっている。
【0091】
(第2支持部材の位置調整方法)
図11は、図1に示す光学ユニット1を製造するときの、第2支持部材21の上下方向の位置の調整方法を説明するための断面図である。
【0092】
光学ユニット1において、可動体3が基準位置に配置されているときには、設計上、上下方向において、ホルダ16の上端面と覆部19aの下面との間に所定の隙間S1が形成され、ホルダ16の下端面と底部18aの上面との間に所定の隙間S2が形成されている。基準位置に配置される可動体3は、ホルダ16の上端面が覆部19aの下面に接触するまで上側(被写体側)に移動可能になっているとともに、ホルダ16の下端面が底部18aの上面に接触するまで下側(反被写体側)に移動可能になっている。すなわち、本形態では、覆部19aと底部18aとによって、上下方向における可動体3の可動範囲が規定されている。
【0093】
本形態では、2個の第2支持部材21を上下方向に動かせば、中間部材4に保持される可動体3が中間部材4と一緒に上下方向に移動する。また、本形態では、第2支持部材21、中間部材4および第1支持部材20等の各種の部品の寸法がばらついても、隙間S1、S2が所定の範囲内に収まるように、光学ユニット1の製造時に、第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置調整を行った後に、第2配置穴17aに第2支持部材21を接着固定する。すなわち、光学ユニット1の製造方法は、第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置を調整する第2位置調整工程と、第2位置調整工程後に第2配置穴17aに第2支持部材21を固定する第2固定工程とを備えている。
【0094】
第2位置調整工程の前には、たとえば、カバー部材18、19以外の部品の組立が完了している。第2位置調整工程および第2固定工程は、ケース体17にカバー部材18、19が取り付けられる前に行われる。第2位置調整工程では、上下方向において第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置を調整する。また、第2位置調整工程では、図11に示すように、上側から天板部21cの上面に突き当てられる第1治具30と、下側から底板部21dの下面に突き当てられる第2治具31とを用いて、上下方向において第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置を調整する。
【0095】
第1治具30および第2治具31には、たとえば、第1治具30および第2治具31を上下動させる駆動機構が連結されている。第2位置調整工程では、第1治具30および第2治具31を駆動機構の動力で押し引きしながら第2支持部材21の位置を調整する。また、第2位置調整工程では、たとえば、変位計を用いて、ケース体17の基準面(たとえば、ケース体17の下端面)に対する可動体3の中心部(光軸Lが通過する部分)の相対位置を確認しながら、第2支持部材21の位置を調整する。この場合には、変位計の検知結果に基づいて駆動機構が自動で動く。すなわち、第2支持部材21の位置調整は自動で行われる。ただし、第2支持部材21の位置調整が手動で行われても良い。
【0096】
第2固定工程では、第2配置穴17aの上側および下側から第2配置穴17aに接着剤を注入して第2配置穴17aに第2支持部材21を固定する。本形態では、第2固定工程で使用される接着剤は、たとえば、熱硬化型の接着剤である。ただし、第2固定工程で使用される接着剤は、紫外線硬化型の接着剤等の、熱硬化型の接着剤以外の接着剤であっても良い。
【0097】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第2支持部材21が第2配置穴17aに接着固定される前に、第2配置穴17aの中で上下方向において第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置調整が可能となっている。また、本形態では、各種の部品の寸法がばらついても、ホルダ16の上端面と覆部19aの下面との間の隙間S1およびホルダ16の下端面と底部18aの上面との間の隙間S2が所定の範囲内に収まるように、第2位置調整工程において、第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置調整を行っている。
【0098】
そのため、本形態では、各種の部品の寸法がばらついても、基準位置から上側への可動体3の移動可能量と、基準位置から下側への可動体3の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能になる。したがって、本形態では、基準位置から上側への可動体3の移動可能量と、基準位置から下側への可動体3の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、設計上の隙間S1、S2を狭くすることが可能になり、その結果、上下方向で光学ユニット1を小型化することが可能になる。
【0099】
また、本形態では、基準位置から上側への可動体3の移動可能量と、基準位置から下側への可動体3の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能になるため、基準位置から上側への可動体3の移動可能量や、基準位置から下側への可動体3の移動可能量が規格外の値になる不良品の発生を防止することが可能になる。また、本形態では、天板部21cに突き当てられる第1治具30と、底板部21dに突き当てられる第2治具31とを用いて、第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置を調整しているため、第1治具30と第2治具31とを用いて、第2支持部材21の位置調整を容易に行うことが可能になる。
【0100】
本形態では、上側から見たときに、第2支持部材21の上端部を構成する天板部21cの全体は、第2配置穴17aの縁17hより第2配置穴17aの内側に配置され、下側から見たときに、第2支持部材21の下端部を構成する底板部21dの全体は、第2配置穴17aの縁17jよりも第2配置穴17aの内側に配置されている。そのため、本形態では、第2位置調整工程において、天板部21cに第1治具30を容易に突き当てることが可能になるとともに、底板部21dに第2治具31を容易に突き当てることが可能になる。
【0101】
本形態では、天板部21cおよび底板部21dは、平板状に形成されており、天板部21cの上面および底板部21dの下面は、上下方向に直交する平面となっている。そのため、本形態では、第2位置調整工程において、天板部21cの上面に突き当てられる第1治具30の状態を安定させることが可能になるとともに、底板部21dの下面に突き当てられる第2治具31の状態を安定させることが可能になる。
【0102】
本形態では、上側から見たときに、第2球体23は、天板部21cに覆われ、下側から見たときに、第2球体23は、底板部21dに覆われている。そのため、本形態では、第2固定工程において、第2配置穴17aの上側および下側から第2配置穴17aに注入される接着剤が、第2球体23が配置された箇所に流れ込むのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、第2支持部材21に対する第2腕部4cの動きが接着剤によって阻害されるのを防止することが可能になる。
【0103】
また、本形態では、第2交差方向における天板部21cの内側部分が内側壁部17bの上側に配置され、第1交差方向における天板部21cの端面は、側面17fと比較的狭い隙間を介して対向しているとともに、第1交差方向における底板部21dの端面は、側面17fと比較的狭い隙間を介して対向し、第2交差方向における底板部21dの内側の端面は、規制面17gと比較的狭い隙間を介して対向している。そのため、本形態では、第2固定工程において、第2配置穴17aの上側および下側から第2配置穴17aに注入される接着剤が、第2球体23が配置された箇所に流れ込むのを効果的に防止することが可能になる。したがって、本形態では、第2支持部材21に対する第2腕部4cの動きが接着剤によって阻害されるのを効果的に防止することが可能になる。
【0104】
本形態では、第2腕部4cの先端部4kは、第2交差方向において基部21aの内側に配置されているとともに、第2交差方向の内側への先端部4kの移動が規制面17gによって規制されている。また、本形態では、第2支持部材21に対する先端部4kの上側への移動が腕部21bによって規制され、第2支持部材21に対する先端部4kの下側への移動が底板部21dによって規制されている。そのため、本形態では、第2支持部材21の位置調整を行っても、第2支持部材21に対する先端部4kの相対位置のずれを防止することが可能になる。
【0105】
本形態では、第2腕部4cは、第2交差方向の外側に基部21aおよび第2球体23を付勢している。そのため、本形態では、第2位置調整工程後、第2配置穴17aに接着固定される前の第2支持部材21を、接着剤等で仮固定しなくても、第2腕部4cの付勢力によって第2配置穴17aの中の所定の位置で保持することが可能になる。したがって、本形態では、第2配置穴17aへの第2支持部材21の固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0106】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0107】
上述した形態において、第1球体22は、第1腕部4bの先端部4eに固定されていても良い。この場合には、第1支持部材20の基部20aに、第1球体22の一部が配置される凹部が形成されている。同様に、第2球体23は、第2腕部4cの先端部4kに固定されていても良い。この場合には、第2支持部材21の基部21aに、第2球体23の一部が配置される凹部が形成されている。
【0108】
上述した形態において、天板部21cの上面は、上下方向に直交していなくても良いし、底板部21dの下面は、上下方向に直交していなくても良い。また、上述した形態において、上側から見たときに、天板部21cの一部が、第2配置穴17aの縁17hより第2配置穴17aの外側に配置されていても良い。また、上述した形態において、下側から見たときに、底板部21dの一部が、第2配置穴17aの縁17jより第2配置穴17aの外側に配置されていても良い。
【0109】
上述した形態において、第2支持部材21は、天板部21cを備えていなくても良い。この場合には、第2位置調整工程において、基部21aの上端面に第1治具30が突き当てられる。また、この場合には、基部21aの上端面は、たとえば、上下方向に直交する平面となっている。また、上述した形態において、第2支持部材21は、底板部21dを備えていなくても良い。この場合には、第2位置調整工程において、基部21aの下端面に第2治具31が突き当てられる。また、この場合には、基部21aの下端面は、たとえば、上下方向に直交する平面となっている。
【0110】
上述した形態において、第2配置穴17aに対する第2支持部材21の位置調整を行う代わりに、隙間S1、S2が所定の範囲内に収まるように、第1配置穴16aに対する第1支持部材20の位置調整を行っても良い。すなわち、上述した形態において、第2位置調整工程と第2固定工程とが行われる代わりに、第1配置穴16aに対する第1支持部材20の位置を調整する第1位置調整工程と、第1位置調整工程後に第1配置穴16aに第1支持部材20を固定する第1固定工程とが行われても良い。
【0111】
この場合には、第1配置穴16aは、たとえば、被写体側から反被写体側までホルダ16を貫通する第1貫通穴となっており、ホルダ16には、底部16bが形成されていない。第1配置穴16aは、第1配置穴16aの貫通方向である第1貫通方向(具体的には、可動体3が基準位置に配置されているときの上下方向)において、第1配置穴16aに固定される前の第1支持部材20の第1配置穴16aの中での位置調整が可能となる形状に形成されている。
【0112】
また、この場合には、上側から見たときに(より具体的には、第1貫通方向の一方側である第1貫通方向一方側から見たときに)、第1支持部材20の上端部である基部20aの上端部の全体は、第1配置穴16aの縁よりも第1配置穴16aの内側に配置されている。また、下側から見たときに(より具体的には、第1貫通方向の他方側である第1貫通方向他方側から見たときに)、第1支持部材20の下端部を構成する底板部20cの全体は、第1配置穴16aの縁よりも第1配置穴16aの内側に配置されている。また、この場合には、たとえば、第2配置穴17aの下側は、第2配置穴17aの下側を塞ぐ底部となっており、この底部の上面に第2支持部材21の底板部21dの下面が当接している。
【0113】
この場合であっても、上述した形態と同様に、基準位置から上側への可動体3の移動可能量と、基準位置から下側への可動体3の移動可能量とを所定量以上、確保することが可能であっても、設計上の隙間S1、S2を狭くすることが可能になり、その結果、上下方向で光学ユニット1を小型化することが可能になる。ただし、この場合には、固定体5および中間部材4に対して回動可能になっているホルダ16の第1配置穴16aに対して第1支持部材20の位置調整を行う必要があるため、ケース体17の第2配置穴17aに対して第2支持部材21の位置調整を行う場合と比較して、第1支持部材20の位置調整が煩雑になる。すなわち、第1支持部材20の位置調整と比較して、第2支持部材21の位置調整の方が容易である。
【0114】
上述した形態において、光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして中間部材4に対してカメラモジュール2を回動させる回動機構を備えていても良い。この場合には、中間部材4は、第1中間部材と第2中間部材とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして第1中間部材に対して回動可能になっており、第1中間部材は、第1軸線L1を回動中心にして第2中間部材に対して回動可能となっている。
【0115】
上述した形態において、第1交差方向(V方向)は、光軸Lに直交していなくても良い。また、上述した形態において、第2交差方向(W方向)は、第1交差方向に直交していなくても良い。また、上述した形態において、光学ユニット1は、携帯機器以外の各種の機器に搭載されても良い。
【符号の説明】
【0116】
1 光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)
2 カメラモジュール
3 可動体
4 中間部材
4b 第1腕部
4c 第2腕部
4k 先端部(腕部側球体接触部)
5 固定体
8、9 磁気駆動機構
12 第1支点部
13 第2支点部
16 ホルダ(第1配置穴形成部材)
16a 第1配置穴
17 ケース体(第2配置穴形成部材)
17a 第2配置穴(第2貫通穴)
17g 規制面
17h、17j 縁(第2貫通穴の縁)
20 第1支持部材
21 第2支持部材
21a 基部(支持部材側球体接触部)
21b 腕部(第1規制部)
21c 天板部(第1平板部)
21d 底板部(第2平板部、第2規制部)
22 第1球体
23 第2球体
30 第1治具
31 第2治具
L 光軸
V 第1交差方向
W 第2交差方向
Z 第2貫通方向
Z1 第2貫通方向一方側
Z2 第2貫通方向他方側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11