(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097491
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】有機物処理材熱分解処理装置用有機物処理材投入装置
(51)【国際特許分類】
C08J 11/00 20060101AFI20230703BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20230703BHJP
【FI】
C08J11/00 ZAB
B09B3/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213630
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504216077
【氏名又は名称】高橋 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100167645
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢三
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004CA04
4D004CA25
4D004CB13
4F401AA27
4F401BA02
4F401CA14
4F401CA59
4F401CA69
4F401CA79
4F401CA82
4F401CB18
4F401CB21
4F401CB25
4F401DA12
(57)【要約】
【課題】 有機物処理材を圧縮固化することなく、直接プラスチック熱分解装置に供給できる投入装置を提供する。
【解決手段】 有機物処理材を貯留する貯留部と、貯留部の下方に配置され前記貯留部から投入された有機物処理材を粉砕する粉砕部と、粉砕部の下方に配置され粉砕部で粉砕された有機物処理材を熱分解装置に供給する供給部とからなる有機物処理材投入装置である。粉砕部は、不活性ガス注入口を備え、供給部は、駆動機構により同心的に軸支される回転軸の外周面に螺旋翼を配設したスクリューフィーダーで構成される移送部と、スクリューフィーダー、スクリューフィーダーを挿設する圧縮胴及び圧縮胴を挿設する鞘管で構成される圧縮移送部とからなる。スクリューフィーダーの螺旋翼のピッチが移送方向側に向けて漸減している。圧縮胴は、複数のガス抜き孔を、鞘管は、排液口をそれぞれ有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物処理材を貯留する貯留部と、
前記貯留部の下方に配置され前記貯留部から投入された有機物処理材を粉砕する粉砕部と、
前記粉砕部の下方に配置され前記粉砕部で粉砕された有機物処理材を熱分解装置に供給する供給部と、
からなる有機物処理材投入装置であって、
前記粉砕部は、不活性ガス注入口を備え、
前記供給部は、駆動機構により同心的に軸支される回転軸の外周面に螺旋翼を配設したスクリューフィーダーで構成される移送部と、前記スクリューフィーダー、前記スクリューフィーダーを挿設する圧縮胴及び前記圧縮胴を挿設する鞘管で構成される圧縮移送部とからなることを特徴とする有機物処理材投入装置。
【請求項2】
前記スクリューフィーダーの螺旋翼のピッチが移送方向側に向けて漸減していることを特徴とする請求項1に記載する有機物処理材投入装置。
【請求項3】
前記圧縮胴は、複数のガス抜き孔を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載する有機物処理材投入装置。
【請求項4】
前記鞘管は、排液口を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する有機物処理材投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、廃プラスチック等の有機物処理材を熱分解して分解ガスを油化する有機物処理材熱分解処理装置に用いる有機物処理材の投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチック等の可燃性有機物処理材をそのまま焼却処理や埋め立て処理をすると、省資源、環境汚染の観点から好ましくないため、可燃性有機物処理材を熱分解処理して油化することにより再利用する熱分解装置が開発されている。
特許文献1には、プラスチック廃棄物を粉砕、分離、分別後、脱塩素化処理を行うプラスチック廃棄物の処理方法が開示されている。
特許文献2には、連続式熱分解炉の入口に開閉が容易な遮断弁を設け、それに直結した与圧室を配し、熱分解炉の液面が低下した場合、自動的に有機物処理材ブロックを与圧室内に取り込み、与圧室内の空気を窒素ガスにより排除して熱分解炉と同じにしてから遮断弁を開き、熱分解炉に投入する連続キルン型有機物処理材熱分解装置が開示されている。
【0003】
特許文献3には、廃プラスチック等の有機物処理材料を熱分解炉に投入して熱分解処理し、熱分解ガスと残渣とを生成する熱分解処理装置であって、内部にスクリューフィーダーを設け、スクリューフィーダーの一端が熱分解炉を貫通して内部に突出する材料投入装置が開示されている。しかしながら、投入される廃プラスチックは、嵩密度を高める必要があり、造粒処理、圧縮処理などを行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-323002号公報
【特許文献2】特開2019-127578号公報
【特許文献3】特開2007-3322225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、廃プラスチック等の有機物処理材を圧縮固化することなく、直接、熱分解装置に供給できる投入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の課題は、以下の態様(1)乃至(4)により解決できる。具体的には、
【0007】
(態様1) 有機物処理材を貯留する貯留部と、前記貯留部の下方に配置され前記貯留部から投入された有機物処理材を粉砕する粉砕部と、前記粉砕部の下方に配置され前記粉砕部で粉砕された有機物処理材を熱分解装置に供給する供給部と、からなる有機物処理材投入装置であって、前記粉砕部は、不活性ガス注入口を備え、前記供給部は、駆動機構により同心的に軸支される回転軸の外周面に螺旋翼を配設したスクリューフィーダーで構成される移送部と、前記スクリューフィーダー、前記スクリューフィーダーを挿設する圧縮胴及び前記圧縮胴を挿設する鞘管で構成される圧縮移送部とからなることを特徴とする有機物処理材投入装置である。
【0008】
(態様2) 前記スクリューフィーダーの螺旋翼のピッチが移送方向側に向けて漸減していることを特徴とする態様1に記載する有機物処理材投入装置である。
【0009】
(態様3) 前記圧縮胴は、複数のガス抜き孔を有することを特徴とする態様1または態様2のいずれかに記載する有機物処理材投入装置である。
【0010】
(態様4) 前記鞘管は、排液口を有することを特徴とする態様1乃至態様3のいずれかに記載する有機物処理材投入装置である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願発明の有機物処理材投入装置の構成を示す側面図である。
【
図2】本願発明の有機物処理材投入装置のA-A断面図である。
【
図3】本願発明の有機物処理材投入装置の圧縮移送部を示す側面図である。
【
図4】本願発明の有機物処理材投入装置の圧縮移送部のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明を実施するための形態を
図1~
図4に基づいて説明する。ただし、
図1~
図4は実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
【0014】
(1)有機物処理材投入装置の構成
図1は、本願発明の有機物処理材投入装置の構成を示す側面図であり、
図2は、本願発明の有機物処理材投入装置のA-Aを示す断面図である。有機物処理材は、大気圧以上(100~200mmH
2O)の熱分解装置200へ圧縮移送される。
本願発明の有機物処理材投入装置100は、有機物処理材を貯留して、下方に配置された粉砕部20に必要に応じて有機物処理材を供給する貯留部10と、貯留部10の下方に配置され貯留部10から投入された有機物処理材を粉砕する粉砕部20と、粉砕部20の下方に配置され粉砕部20で粉砕された有機物処理材を圧縮して有機物処理材熱分解装置200に供給する移送部30及び圧縮移送部40で構成される供給部とからなる。
【0015】
本願発明の有機物処理材投入装置100は、回転式熱分解槽1と回転式熱分解槽1を内包する加熱炉2で構成される熱分解装置200と回転接手3及び支持台8に固定された回転接手係止フランジ4を介して接続される。
回転接手3は、回転式熱分解槽1の軸方向の熱膨張を吸収する機能を有する。このため、回転接手係止フランジ4は、支持台8に固定され、回転接手3の圧縮に伴う反力と内圧に対する抗力を備える。
以下、本願発明の有機物処理材投入装置100について、貯留部10、粉砕部20、供給部30、圧縮供給部40の順で説明する。
【0016】
(2)貯留部
本願発明の貯留部10は、熱分解装置200で熱分解する有機物処理材を一時貯留して、必要な有機物処理材を下方の粉砕部20へ供給する役割を担う。漏斗状の形状で下部に掃き出し口11がある。掃き出し口11の開閉は、回転式熱分解槽1の液面センサー(図示せず。)が計測する溶融した有機物処理材の液面により制御される。
【0017】
(3)粉砕部
本願発明の粉砕部20は、貯留部10から供給される有機物処理材を粉砕し、混合する役割を担う。粉砕混合手段としては、2軸式パドルミキサー23を用いることができる。また、粉砕部20は、不活性ガス注入口21を備え、不活性ガス注入口21から不活性ガス(例、窒素、アルゴン)が注入され、有機物処理材の粉砕混合を不活性ガス下で行うとともに、供給部を不活性ガスで満たす。不活性ガス注入量は、供給部30に設けたガス分析計22が計測した酸素濃度により制御される。これは、熱分解装置200での酸素による爆燃を防ぐためである。なお、不活性ガスは不活性ガス注入口21から供給される。
【0018】
(4)供給部
本願発明の供給部は、駆動機構31により同心的に軸支される回転軸32の外周面に螺旋翼33を配設したスクリューフィーダー34で構成される移送部30と、スクリューフィーダー34とスクリューフィーダー34を挿設する圧縮胴41及び圧縮胴41を挿設する鞘管42で構成される圧縮移送部40とからなる。なお、本願発明の供給部を構成するスクリューフィーダー34は、螺旋翼33のピッチが移送方向側に向けて漸減している。
図3は、本願発明の有機物処理材投入装置の圧縮移送部を示す側面図であり、
図4は、本願発明の有機物処理材投入装置の圧縮移送部のA-A断面を示す断面図である。
【0019】
(4-1)移送部
本願発明の移送部30は、スクリューフィーダー34で構成され、螺旋翼33に載置された破砕有機物処理材が圧縮移送部40へ逐次移送される。
【0020】
(4-2)圧縮移送部
本願発明の圧縮式移送部40は、スクリューフィーダー34を挿設する圧縮胴41及び圧縮胴41を挿設する鞘管42で構成される。スクリューフィーダー34は、圧縮胴41に挿設され、螺旋翼33のピッチを漸減させることで、圧縮胴41とスクリューフィーダー34の作用により有機物処理材は圧縮されながら回転式熱分解槽1に移送される。螺旋翼33及び圧縮胴41の表面は、平滑化処理されて滑らかに仕上げられている。有機物処理材の圧縮率はスクリューフィーダー34の回転数を制御することで適宜最適化できる。圧縮胴41は、複数のガス抜き孔43を周面に穿ってある。ガス抜き孔43は、有機物処理材の圧縮移送で生じたガスを放出して、生成したガスが熱分解槽1に移送されない役割を担う。生成したガスは、鞘管42に設けたガス抜き口45から移送部30へ排気される。また、ガス凝縮により生じた水分等は、鞘管42に設けた排出口44から排出される。圧縮胴41は、耐熱鋼(例、ステンレス鋼)で、鞘管42は炭素鋼で製作する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本願発明により、有機物処理材を熱分解して分解ガスを油化する有機物処理材熱分解装置に用いる有機物処理材投入装置を提供できる。
【符号の説明】
【0022】
100 有機物処理材投入装置
200 有機物処理材熱分解装置
1 熱分解槽
2 加熱炉
3 回転接手
4 回転接手係止フランジ
5 渦巻型フィン
6 圧縮胴取り付けフランジ
7 保温カバー
10 貯留部
11 掃き出し口
12 ローラー
13 ローラー支持台
20 粉砕部
21 不活性ガス注入口
22 ガス分析計端子
23 2軸式パドルミキサー
30 移送部
31 駆動機構
32 回転軸
33 螺旋翼
34 スクリューフィーダー
35 ガス分析計ノズル
40 圧縮移送部
41 圧縮胴
42 鞘管
43 ガス抜き孔
44 排出口
45 ガス抜き口