(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097493
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】物流倉庫設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213636
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】506254879
【氏名又は名称】株式会社PAL
(71)【出願人】
【識別番号】522000566
【氏名又は名称】横矢 重治
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 亮介
(72)【発明者】
【氏名】横矢 重治
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ09
3F022JJ11
3F022KK01
3F022LL07
3F022MM03
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】ピッキング作業の作業効率が低い点を課題とする。
【解決手段】本発明の物流倉庫設備1は、ケースを格納するために上下方向に多段設けられた格納棚が設けられ、多段の格納棚に向けて昇降可能とされると共に多段棚2との間でケースCの受け渡しを行うハンドリング機構を有した自走運搬装置3と、ピックアップエリアL2に到着する際に、ハンドリング機構をオフとして、格納棚を該ピックアップエリアL2側に向けて停止するよう制御する制御部1Aを有する構成である。
を備えた物流倉庫設備。
【効果】自走運搬装置3が運搬してきたケースCから商品を取り出す際にハンドリング機構を用いないので、機械動作の時間が大幅に短縮できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を保管したケースを収納しておく、上下方向及び左右方向に多数の棚が形成された複数の多段棚が通路を設けて配備されたとストックエリアと、前記ストックエリアから搬送されたケースから商品を個別に取り出すピックアップエリアとでレイアウトされた物流倉庫において、前記ストックエリアと前記ピックアップエリアとの間を制御されて走行し、基台と、この基台下部に設けた搬送機構と、該基台上に設けられた昇降機構を備えた支柱と、この支柱の一方面側に、前記多段棚から取り出したケース又は前記多段棚へ戻すケースを載置する上下方向に多段設けられた格納棚と、該支柱の他方面側に、制御されて昇降可能でかつ多段の前記格納棚にケースを挿入したり、ケースを前記格納棚から前記多段棚に戻したりするハンドリング機構と、を有した自走運搬装置と、前記自走運搬装置を、前記ピックアップエリアに到着する際に、前記ハンドリング機構をオフとして、格納棚を該ピックアップエリア側に向けて停止するよう制御する制御部を有した物流倉庫設備。
【請求項2】
前記自走運搬装置から取り出すべき商品が収納されたケースを格納した前記格納棚と、その格納棚から取り出す商品の数量と、を表示する表示手段を有した請求項1記載の物流倉庫設備。
【請求項3】
前記自走運搬装置に、前記格納棚に格納されたケースを昇降方向とは略直交する方向に引き出す引出機構と、この引出機構におけるケースの引き出しの可能状態と不可能状態とを行うロック機構と、を設けた請求項1又は2記載の物流倉庫設備。
【請求項4】
前記ピックアップエリアに設けられ、ケースから商品を取り出す作業員を、該ピックアップエリアに走行してきた自走運搬装置と制御により連動して昇降させる昇降機構を有したピッキング昇降装置を備えた請求項1~3のいずれかに記載の物流倉庫設備。
【請求項5】
前記ピッキング昇降装置に、前記自走運搬装置と制御により連動して水平方向に移動する走行手段を設けた請求項4記載の物流倉庫設備。
【請求項6】
前記ピッキング昇降装置に、ケース内に収納された商品を取り出すピッキング機構を配備したことを特徴とする請求項4又は5に記載の物流倉庫設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流倉庫内での作業効率を向上させることができる物流倉庫設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型の物流倉庫のレイアウトは、概ね、倉庫内に商品を受け入れるデリバリーエリアと、デリバリーエリアから納入した商品を保管しておくストックエリアと、ストックエリアから移載された商品を個別に取り出すピックアップエリアと、ピックアップエリアで取り出された商品を出荷するシッピングエリアで構成されている。
【0003】
昨今の物流産業全体は、省人化・省力化、高効率化が加速的に進み、上記物流倉庫内のレイアウトにおける各エリアでも、省人化・省力化、高効率化に寄与できる設備が導入されている。例えばストックエリアにおいては、上下方向及び左右方向に多数の棚が形成された多段棚が移動通路を開けて配置されている。多段棚は、物流倉庫全体の各設備を管理制御する制御部において、各棚の位置管理がなされている。そして、この多段棚の各棚には、納入された商品を収納したケースが収納されている。制御部は、商品とケースと棚を関連付けて記憶して位置管理を行う。
【0004】
例えばストックエリアとピックアップエリアとの間では、には、多段棚が配置された通路を無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を走行させている。AGVは、制御部により必要な商品のケースが収納されている多段棚まで走行し、該多段棚からケースを取り出してピックアップエリアへケースを移載する。
【0005】
本願の前提となるAGVは、ストックエリアとピックアップエリアの往復の処理効率を図るため、ケースを多段棚から取り出す無人搬送車(CTU:Container Transfer Unit )であり、昨今では作業員によるストックエリアとピックアップエリアの往復という身体的作業負担を無くすために多く採用されるようになってきている。
【0006】
CTUは、例えば、特許文献1(実用新案登録第3226837号公報)に示されるような構成とされ、同じ又は他の多段棚における高い位置から低い位置にいたる棚からケースをストックエリアにおいて取り出して、取り出した複数のケースをピックアップエリアに運ぶ。
【0007】
特許文献1に記載のCTUは、概略として、基台と、基台下部に設けたAGVと、基台上に設けられた昇降機構を備えた支柱と、この支柱の一方面側に、多段棚から取り出したケース、または多段棚へ戻すケース、を載置可能に設けた上下方向に多段の格納棚と、支柱の他方面側に、多段の格納棚に向けて昇降可能でかつケースを多段棚から格納棚へ取り出したり、ケースを格納棚から多段棚に戻したりするハンドリング機構と、を備えた構成とされている。
【0008】
CTUのハンドリング機構は、格納棚へケースを挿入する際には、多段棚からケースを取り出す際の方向に対して90°ケースを回動する構成となっている。例えて言うと、多段棚からケースを取り出す(又は挿入する)際の方向が0°位置又は180°位置であれば、格納棚へケースを挿入する(又は取り出す)際の方向が90°位置といった具合である。
【0009】
制御部は、プログラムに基づいて、CTUをストックエリアの目的とする多段棚へ向けて走行させ、多段棚から目的とするケースをハンドリング機構により取り出して、ある段における格納棚に載置し、ピックアップエリアにおいて、今ストックエリアの多段棚から搬送してきたケースを順次又は全てCTUの格納棚からハンドリング機構を用いて取り出した後、ピックアップエリアに走行させる。
【0010】
ピックアップエリアでは、当該エリアに走行してきたCTUの格納棚から取り出されたケースから作業員が目的とする商品を取り出し、これをシッピングエリアに向かう出荷ケースに移載する。制御部は、CTUが運んできた全てのケースから商品を取り出した後、例えばハンドリング機構を用いてケースをCTUの格納棚に戻し、全てのケースが格納棚に戻った後、ピックアップエリアからストックエリアに向けて走行し、ケースを元の多段棚へ戻すよう制御される。
【0011】
ここで、従来のCTUでは、特にピックアップエリアでケースを格納棚から取り出す際、上記したように、ハンドリング機構により、格納棚からケースを取り出し、一旦90°回転させて、ケースをピックアップエリアの例えば作業台に載置して、90°逆回転させて、次の格納棚からケースを取り出して、といった作業を繰り返す。このとき、取り出すべきケースが複数あれば、高さの異なる格納棚に向けて昇降機構でハンドリング機構の高さを調整して、前記作業を繰り返すことになる。
【0012】
したがって、従来のCTUは、少なくともケースを格納棚から取り出して、作業台に載置する間のハンドリング機構の90°回転が無駄な時間となっており、全体としての作業効率が向上しない要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする問題は、従来のCTUが配備された物流倉庫設備ではピックアップエリアにおける作業効率が低い点である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の物流倉庫設備は、商品を保管したケースを収納しておく、上下方向及び左右方向に多数の棚が形成された複数の多段棚が通路を設けて配備されたとストックエリアと、前記ストックエリアから搬送されたケースから商品を個別に取り出すピックアップエリアとでレイアウトされた物流倉庫において、前記ストックエリアと前記ピックアップエリアとの間を制御されて走行し、基台と、この基台下部に設けた搬送機構と、該基台上に設けられた昇降機構を備えた支柱と、この支柱の一方面側に、前記多段棚から取り出したケース又は前記多段棚へ戻すケースを載置する上下方向に多段設けられた格納棚と、該支柱の他方面側に、制御されて昇降可能でかつ多段の前記格納棚にケースを挿入したり、ケースを前記格納棚から前記多段棚に戻したりするハンドリング機構と、を有した自走運搬装置と、前記自走運搬装置を、前記ピックアップエリアに到着する際に、前記ハンドリング機構をオフとして、前記格納棚を該ピックアップエリア側に向けて停止するよう制御する制御部を有することとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、自走運搬装置が多数のケースを格納棚に収納してピックアップエリアに走行してきた際に、ピックアップエリアにおいて格納棚からケースを取り出す際には、ハンドリング機構を使わない。つまり、ハンドリング機構が、格納棚からケースを取り出し、一旦90°回転させて、ケースをピックアップエリアの例えば作業台に載置して、90°逆回転させて、次の格納棚からケースを取り出して、といった時間のかかる作業を作業者が行うべく、格納棚をピックアップエリア側に向けて停止するよう制御する制御部を設けたことで、作業者が格納棚に格納されたケースに直接的に到達でき、格納棚にケースが格納された状態で商品を取り出すことができるから大幅な時間短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の物流倉庫設備を採用した物流倉庫のレイアウト図である。
【
図2】本発明の物流倉庫設備における自走運搬装置を示す図である。
【
図3】本発明の物流倉庫設備における自走運搬装置を示す図である。
【
図4】本発明の物流倉庫設備における自走運搬装置を示し、(a)(b)は引出機構、ロック機構を説明するための図である。
【
図5】本発明の物流倉庫設備における自走運搬装置を示し、(a)(b)は引出機構、ロック機構を説明するための図である。
【
図6】本発明の物流倉庫設備におけるピッキング昇降装置を示す図である。
【
図7】本発明の物流倉庫設備におけるピッキング昇降装置及びピッキングアームを示す図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ピックアップエリアにおける作業効率の向上を目的とし、この目的を、商品を保管したケースを収納しておく、上下方向及び左右方向に多数の棚が形成された複数の多段棚が通路を設けて配備されたとストックエリアと、前記ストックエリアから搬送されたケースから商品を個別に取り出すピックアップエリアとでレイアウトされた物流倉庫において、前記ストックエリアと前記ピックアップエリアとの間を制御されて走行し、基台と、この基台下部に設けた搬送機構と、該基台上に設けられた昇降機構を備えた支柱と、この支柱の一方面側に、前記多段棚から取り出したケース又は前記多段棚へ戻すケースを載置する上下方向に多段設けられた格納棚と、該支柱の他方面側に、制御されて昇降可能でかつ多段の前記格納棚にケースを挿入したり、ケースを前記格納棚から前記多段棚に戻したりするハンドリング機構と、を有した自走運搬装置と、前記自走運搬装置を、前記ピックアップエリアに到着する際に、前記ハンドリング機構をオフとして、前記格納棚を該ピックアップエリア側に向けて停止するよう制御する制御部を有する構成とすることで達成した。
【0019】
また、本発明は、前記自走運搬装置から取り出すべき商品が収納されたケースを格納した前記格納棚と、その格納棚から取り出す商品の数量と、を表示する表示手段を有してもよい。こうすることで、作業者は、どの格納棚のケースの商品をいくつ取り出せばよいかを迷うことがなく、さらに作業効率が向上する。
【0020】
さらに、本発明は、前記自走運搬装置に、前記格納棚に格納されたケースを昇降方向とは略直交する方向に引き出す引出機構と、この引出機構におけるケースの引き出しの可能状態と不可能状態とを行うロック機構と、を設けてもよい。このようにすることで、格納棚の間隔を狭くしてさらに上下方向に多段の格納棚を設けることができ、作業者が商品をケースから取り出しやすくなると共に、誤ってケースを自走運搬装置から落下させることが防止される。
【0021】
また、本発明は、前記ピックアップエリアに設けられ、ケースから商品を取り出す作業員を、該ピックアップエリアに走行してきた自走運搬装置と制御により連動して昇降させる昇降機構を有したピッキング昇降装置を備えるようにしてもよい。こうすることで、作業者の手の届かない高さのケースから商品を取り出すために例えば脚立などに上る必要がなく、作業者の身体能力で作業効率が大きく変動することがない。
【0022】
さらに、本発明は、前記ピッキング昇降装置に、前記自走運搬装置と制御により連動して水平方向に移動する走行手段を設けてもよい。こうすることで、作業者が搭乗台上に乗ったまま自走運搬装置が到着した位置まで移動するから、作業者がピッキング昇降装置まで移動する負担や、作業者がピッキング昇降装置を移動させる負担が減り、作業者の身体能力で作業効率が大きく変動することを抑制できる。
【0023】
さらに、本発明は、前記ピッキング昇降装置に、ケース内に収納された商品を取り出すピッキング機構を配備してもよい。こうすることで、ピッキング作業員を削減でき、さらなる省人化を図ることができる。
【実施例0024】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の一実施例について説明する。1は、本発明の物量倉庫設備(以下、設備1という)であり、次のレイアウトとされた物流倉庫L(以下、倉庫Lという)において採用される。
【0025】
倉庫Lは、倉庫内に商品を受け入れるデリバリーエリア(本実施例では図示無)と、デリバリーエリアから納入した商品を保管しておくストックエリアL1と、ストックエリアL1から移載された商品を個別に取り出すピックアップエリアL2と、ピックアップエリアで取り出された商品を出荷するシッピングエリア(本実施例では図示無)で構成されている。
【0026】
デリバリーエリアでは、本例では詳述しないが、例えばトラックから入庫すべき商品がコンテナあるいはケースCにて納入され、商品の受け入れ、例えば同じ商品毎といったような規則に則ってケースCに収納され、商品が挿入されたケースCがストックエリアL1に送られる。
【0027】
2は、ストックエリアL1に配置された多段棚である。デリバリーエリアで納入された商品はケースCに挿入されて、この多段棚2に収納される。多段棚2は、水平方向、垂直方向に多行、多列の棚2aが形成され、通路Pに棚2aの開口を向けて、つまり互いの背を突き合わせるように配備されている。
【0028】
また、この多段棚2の棚2aは個々に番地(位置情報)が付され、ケースCには識別情報が付され、商品にも識別情報が付されている。制御部1Aでは、ケースCに挿入されている商品とその数量、現在の多段棚2における棚2aとケースCとが関連付けされて記憶されている。この記憶された情報に基づいて、制御部1Aが設備1全体を制御する。
【0029】
3は、本実施例では、ストックエリアL1とピックアップエリアL2との間を制御部1Aに制御されて走行する自走運搬装置である。本発明において、自走運搬装置3は、多段棚2の高さと少なくとも同等の高さとされている。この場合の高さとは、多段棚2の上下方向の最上段の棚2aのケースCが出し入れできる高さ分を言う。
【0030】
自走運搬装置3は、基台3aと、この基台3a下部に設けた搬送機構3Aと、該基台3a上に設けられた上記高さ分の支柱3bと、この支柱3cの一方面側に、多段棚2から取り出したケースC又は多段棚2へ戻すケースCを載置する上下方向に多段設けられた格納棚3cと、該支柱3cの他方面側に設けられ、制御部1Aにより制御されて多段の格納棚3cにケースCを挿入したり、ケースCを格納棚3cから多段棚2に戻したりするハンドリング機構3Bと、を有している。さらに、自走運搬装置3は、ハンドリング機構3Bを支柱3bに沿って上下移動させる昇降機構3Cを備えている。
【0031】
搬送機構3Aは、無線式のコントローラーを備え、制御部1Aにより多段棚2とピックアップエリアL2間を移動する。また、搬送機構3Aは、例えば電動モータによって360°回動できるように構成されている。このようにすることで、搬送機構3Aは、向かい合わせの多段棚2の棚2aからケースCを取り出したり、棚2aへケースCを挿入したりする際に、移動しつつ方向転換する手間や時間を削減できる。
【0032】
ハンドリング機構3Bは、本例では、支柱3cの棚2bが設けられた側とは反対側に設けられたテーブル3Baと、スライドボード3Bbとからなる。本例におけるテーブル3Baは、例えば格納棚3c側を中心としてその±90°の位置に回動する。そして、スライドボード3Bbは、そのテーブル3Baの0°の位置、と±90°の位置で、該テーブル3Baの外形からはみ出すように突出し、かつ該テーブル3Baの外形に収まるように退入する。このスライドボード3Bbの出退動作によりケースCを、棚2a、格納棚3cに挿入したり、棚2a、格納棚3cから取り出したりする。
【0033】
昇降機構3Cは、ハンドリング機構3Bに一部が設けられると共に、支柱3bに内装された無端状の不図示のラックを、基台3aに内蔵したピニオンギヤを設けた不図示のモータを駆動することで、該ハンドリング機構3Bを昇降させる。
【0034】
これら、搬送機構3A、ハンドリング機構3B、及び昇降機構3Cは、制御部1Aにより制御され、ケースCを多段棚2まで取りに行く、ケースCを多段棚2から取り出して空いている格納棚3cに向けて昇降して挿入するといった動作を行う。本発明において、この自走搬送装置3は、制御部1Aに制御されて、ピックアップエリアL2に到着する際に、ハンドリング機構3Bをオフとして、格納棚3cにおける該ハンドリング機構3Bを設けた側と反対側を該ピックアップエリア側に向けて停止するよう制御されるようになっている。
【0035】
また、本実施例における自走運搬装置3は、
図3~
図5に示すように、各格納棚3cは、棚板3dをハンドリング機構3Bが設けられた側と反対側に引き出したり、戻したりするための引出機構3Dと、この引出機構3Dによる不用意な引き出しを防止するロック機構3Eが設けられている。
【0036】
引出機構3Dは、格納棚3cにおける棚板3dの引き出し方向に対して同一平面で直交する両側のそれぞれに側壁3Da,3Daが設けられ、この側壁3Da,3Daの対向面(内側面)にレール3Dbが設けられ、このレール3Dbに棚板3dが案内される構成とされている。
【0037】
ロック機構3Eは、格納棚3cの前方で、引き出し方向と同一水平面で直交する方向に架設されたロックバー3Eaと、棚板3dの前方部に、引き出し方向と同一水平面で直交する方向に延設された、ケースCの載置面の反対面から見て凹状で、ロックバー3Eaが嵌る係合部3Ebが形成された構成とされている。
【0038】
ロック機構3Eは、引出機構3Dのレール3Dbに沿って棚板3dを引き出す際に、一旦、棚板3dの前方部を一旦上に持ち上げて係合部3Ebとロックバー3Eaとの係合状態を解除して引き出す。こうすることで、自走運搬装置3は、ケースCが不用意に飛び出すことを防止することができるので、移動速度を上げることができる。
【0039】
引出機構3Dを設けることで、格納棚3cの上下方向の間隔を狭くすることができる。すなわち、格納棚3cに載置されたケースCの上方から手を入れて商品を取り出そうとすると、格納棚3cの上下方向の間隔はケースCの上方から手を入れる分のスペースが必要となって、格納棚3cを多く設けることができないが、引出機構3Dを有することで、棚板3Db格納棚3cの上下方向の間隔を狭くでき、格納棚3cを多く設けることができ、ケースCの運搬効率が向上する。
【0040】
4は、ピックアップエリアL2に配備されたピッキング昇降装置である。本例におけるピッキング昇降装置4は、ケースCから商品を取り出す作業員が載る搭乗台4aと、この搭乗台4aを、該ピックアップエリアL2に走行してきた自走運搬装置3と制御により連動して昇降させる昇降機構4Aとから構成される。
【0041】
ピッキング昇降装置4は、ピックアップエリアL2の所定位置に配備されていてもよいが、本例では、自走運搬装置3の走行時間を短縮して作業効率を上げるために、ピッキング昇降装置4が自走する構成を採用している。すなわち、本実施例のピッキング昇降装置4は、最下部に水平方向に移動する走行機構4Bを設けた構成としている。
【0042】
さらに、ピッキング昇降装置4は、搭乗台4aに、作業台4bが設けられ、この作業台4bにはピッキングケース4cが設けられてピッキングした商品を挿入しておく。また、ピッキング昇降装置4は、搭乗台4aにおける作業台4bに、表示装置4Cが搭載されている。この表示装置4Cは、制御部1Aにより制御されて目的とする商品が収納されたケースを格納した前記格納棚と、その格納棚から取り出す商品の数量と、を表示する。
【0043】
ピッキング昇降装置4は、制御部1Aに制御され、例えば、ピッキング作業(ケースCから必要とする商品を取り出して次工程へ送る作業)を要する商品が挿入されたケースCを搭載した自走運搬装置3が、ピックアップエリアL2に接近すると、制御部1Aが自走運搬装置3とピッキング昇降装置4の最短時間で最接近する位置へ制御して誘導する。なお、ピッキング昇降装置4は、自走運搬装置3が走行する通路Pに出ることはなく、ピックアップエリアL2内だけを走行するように走行機構4Bが制御されている。
【0044】
5は、ピックアップエリアL2においてケースCから取り出された商品を出荷用ケースに入れてシッピングエリアに送るコンベアである。
【0045】
制御部1Aは、ストックエリアL1において、入力されたオーダーに基づいて、所定の商品をピックアップエリアL2に搬送すべく、自走運搬装置3に向けて、多段棚2、所定の棚2aの位置情報を出力して、自走運搬装置3を当該位置に向かわせるよう制御する。
【0046】
所定位置に到着した自走運搬装置3は、指示された棚2aにあるケースCを昇降機構3Cとハンドリング機構3Bを制御して該棚2aから取り出し、格納棚3cに挿入する。制御部1Aは、今、挿入したケースCが自走運搬装置3のどの格納棚3cに格納したかを双方向通信により記憶しておく。
【0047】
制御部1Aから指示のあった分のケースCを自走運搬装置3に全て格納した後、制御部1Aは、ストックエリアL1において、ピックアップエリアL2で取り出すべき商品が挿入されたケースCを格納棚3cに格納した自走運搬装置3を、該ピックアップエリアL2に向けて走行させる。
【0048】
その一方で、制御部1Aは、ピックアップエリアL2に向けて走行させた自走運搬装置3の走行ルート上において、現在ピッキング作業をしていない、又はまもなくピッキング作業が終了する、該自走運搬装置3と最も近いピッキング昇降装置4を選出して、最短時間で出会えるピックアップエリアL2における位置を定め、その位置に向けて自走運搬装置3とピッキング昇降装置4を走行させる。
【0049】
なお、制御部1Aは、ピッキング昇降装置4に走行機構4Bを備えていない場合は、自走運搬装置3を、ピッキング昇降装置4が配備された位置に向けて、最短距離、最短時間で到達するように走行ルートを定めて自走運搬装置3を走行させる。
【0050】
制御部1Aは、自走運搬装置3とピッキング昇降装置4とが出会う直前に、自走運搬装置3のハンドリング機構3Bをオフとして、格納棚3c(本例では引出機構3DによりケースCを引き出す側)をピックアップエリアL2におけるピッキング昇降装置4に向けて停止し、自走運搬装置3とピッキング昇降装置4とを出会わせる。
【0051】
続いて、制御部1Aは、ピッキング昇降装置4の表示装置4Cにより、上記で記憶した、その自走運搬装置3におけるケースCの位置(どの高さの段の格納棚3c)と、及びそのケース内におけるピッキングすべき商品と数量と、を表示させる。
【0052】
そして、制御部1Aは、自走運搬装置3における比較的上方の格納棚3cにケースCを格納している場合は、ピッキング昇降装置4により搭乗台4aごと作業員を上昇させる。なお、ピッキング昇降装置4は、該ピッキング昇降装置4自体に内蔵したコントローラーにおいて、予め入力された作業員の身長値から、胸部から腹部あたりまでの高さを算出し、自走運搬装置3のどの段より上方の格納棚3cの場合は、どの程度上昇させるかを算出している。
【0053】
制御部1Aは、ピッキング昇降装置4を上昇又は下降させた後、作業員がケースCから商品を取り出して所定スイッチを操作するまで、その高さ位置を維持する。なお、物流倉庫Lにおいて、ストックエリアL1の床面高さをピックアップエリアL2の床面より高くしておくか、ピックアップエリアL2の床面高さをストックエリアL1の床面より低くしておき、ピッキング昇降装置4の初期位置を、自走運搬装置3の最下段の棚2aがピッキング昇降装置4の搭乗台4aに乗った作業員の身長における胸部から腹部に位置する高さとなるようにすれば、自走運搬装置3の最下段の棚2aのケースCを取り出す際に作業員が腰をかがめる必要がなく、身体的負担が軽減する。
【0054】
作業員は、自走運搬装置3の格納棚3cからケースCを引出機構3Dとロック機構3Eを用いて、棚板3dを少し上方に持ち上げて係合部3Ebとロックバー3Eaのロックを外して、上から覗き込める位置までレール3Dbに沿って棚板3dを手前に引き出してケースCから商品を必要数量だけ取り出し、作業台4bのピッキングケース4cに移す。
【0055】
こうして自走運搬装置3で運搬された全てのケースCにおける全ての商品をピッキングし終えた後、制御部1Aはピッキング昇降装置4を初期位置に上昇又は下降させ、作業員はピッキングケース4cをコンベア5に載せ、シッピングエリアに商品を送る。
【0056】
その後、制御部1Aは、ケースCを元の位置に戻すべく自走運搬装置3をストックエリアL1へ向かわせ、一方、ピッキング昇降装置4は次の自走運搬装置3がピックアップエリアL2に走行してくるまで待機させる。
【0057】
また、本発明は、さらに作業者の身体的負担を軽減するために、上記ピッキング昇降装置4における搭乗台4aに
図7に示すようなピッキング機構を搭載してもよい。ピッキング機構は、いわゆるアーム型でも、スカラ型でもよいが、
図7ではアーム型のピッキングアーム6を採用した例を示している。
【0058】
なお、ピッキングアーム6を採用する場合は、上記実施例における表示装置4Cは、必ずしも必要ではない。この理由は、上記実施例における作業員に表示装置4Cで表示させて報知すべき情報を、ピッキングアーム6が通信により直接制御情報として受け取っているからである。
【0059】
上記実施例構成において採用する場合は、アームの一部に操作凸部6aを設けている。この操作凸部6aは、上記自走運搬装置3における、ロック機構3Eの係合部3Ebを押し上げてロックを解除し、その状態で棚板3dを引出機構3Dによって引き出す操作を行うためのものである。このように構成することで、さらなる作業員の省力化、省人化が図れる。
【0060】
以上のように、設備1として、多段棚2に対応する自走運搬装置3と、自走運搬装置3の運搬能力を阻害することなく効率的に商品をケースCから取り出すことができるピッキング昇降装置4を導入することで、作業員の身体的負担を軽減することができると共に、作業効率を向上させることができる。