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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097498
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】収納容器および冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/02 20060101AFI20230703BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230703BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
F25D19/02 B
F25D11/00 101D
F25D17/08 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213649
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】天野 直隆
(72)【発明者】
【氏名】若見 学司
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA18
3L345CC01
3L345DD18
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】本開示は、被冷却空間に冷気を十分に循環させることができる収納容器を提供する。
【解決手段】本開示における断熱容器50は、被冷却空間Sを形成し、被冷却空間Sで冷気を循環させて被冷却空間Sの冷却を行い、被冷却空間Sの前側には、前面開口52が形成され、前面開口52を開閉する前面板53が設けられ、被冷却空間Sの内面には、冷気を被冷却空間Sの上方に案内する導風路56を形成する導風部材55が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却空間を形成し、前記被冷却空間で冷気を循環させて前記被冷却空間の冷却を行う収納容器において、
前記被冷却空間の前側には、前面開口が形成され、前記前面開口を開閉する前面板が設けられ、
前記被冷却空間の内面には、前記冷気を前記被冷却空間の上方に案内する導風路を形成する導風部材が設けられている
ことを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記導風部材は、前記前面板の内面に取付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記導風部材は、前記前面板の横方向に所定間隔をもって複数配列されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記導風部材は、前記前面板の上下方向に所定間隔をもって複数配列されている
ことを特徴とする請求項3に記載の収納容器。
【請求項5】
前記導風部材は、前記前面板の横方向に位置をずらして配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載の収納容器。
【請求項6】
前記導風部材には、前記導風路と前記被冷却空間とを仕切る仕切部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項7】
前記導風部材は、前記被冷却空間の上部内面に上端が固定されたカーテンで構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項8】
前記導風部材は、前記被冷却空間の前面開口に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の収納容器。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の収納容器と、冷却装置と、を備えた
ことを特徴とする冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納容器および冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、断熱容器と、断熱容器に着脱可能に取り付けられる冷却装置と、を備えた冷却システムを開示する。この冷却システムは、断熱容器の内外を仕切る側面の外側から冷却装置を着脱自在に取り付けられるので、断熱容器から冷却された空気が流出し難く、保冷機能を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-201029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、被冷却空間に冷気を十分に循環させることができる収納容器および冷却システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における収納容器は、被冷却空間を形成し、前記被冷却空間で冷気を循環させて前記被冷却空間の冷却を行う収納容器において、前記被冷却空間の前側には、前面開口が形成され、前記前面開口を開閉する前面板が設けられ、前記被冷却空間の内面には、前記冷気を前記被冷却空間の上方に案内する導風路を形成する導風部材が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における収納容器は、冷却装置の冷気吐出ダクトから吹き出される冷気を導風部材による導風路により被冷却空間の上方に案内することができ、被冷却空間の内部に冷気を十分に循環させることができる。また、導風部材により導風路を形成するため、被冷却空間の内部に多数の冷却対象物が収容された場合でも、導風路を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る冷却システム1の模式図
図2】実施の形態1の冷却装置を示す断面図
図3】実施の形態1の冷却装置と断熱容器との接続状態を示す断熱容器側から見た斜視図
図4】実施の形態1の導風部材を示す概略図
図5】実施の形態1の導風部材の他の例を示す概略図
図6】実施の形態1の導風部材の他の例を示す概略図
図7】実施の形態2に係る断熱容器を示す概略図
図8】実施の形態3に係る断熱容器を示す概略図
図9】実施の形態4に係る導風部材を示す平面図
図10】実施の形態4に係る断熱容器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、断熱容器に着脱可能な冷却装置を備える冷却システムが開示されていた。
しかしながら、このような冷却システムにおいては、断熱容器内の被冷却空間に、多数の冷却対象物が収容された場合、冷却装置からの冷気が十分に循環しなくなるおそれがあるという課題を発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、被冷却空間に冷気を十分に循環させることができる収納容器および冷却システムを提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.冷却システムの全体構成]
図1は、実施の形態1に係る冷却システム1の模式図である。本実施の形態においては、収納容器として断熱容器を用いた場合の例について説明する。
冷却システム1は、冷却装置10と断熱容器50とを備える。冷却装置10は、断熱容器50に対して、着脱可能に取り付けられる。
以後は説明の都合上、図中のFR、LH、UPを、それぞれ冷却装置10の前方、左方、上方と対応させ、文章中で説明する前後、上下、左右といった方向については、これを基準として定義する。
【0011】
[1-1-2.冷却装置の構成]
図2は、本実施の形態の冷却装置を示す断面図である。図3は、本実施の形態の冷却装置と断熱容器50との接続状態を示す断熱容器50側から見た斜視図である。
冷却装置10は、略直方体の筐体11に覆われ、筐体11の底部に設けられたキャスタ13によって移動可能に構成される。本実施の形態において、冷却装置10は、任意の外部電源に接続することで駆動する。なお、冷却装置10は、図示しないバッテリーを備え、バッテリーに蓄えられた電力によって駆動する構成としてもよい。
冷却装置10は、冷気吸込ダクト21と冷気吐出ダクト27とを備える。冷気吸込ダクト21及び冷気吐出ダクト27は、筐体11の前面である筐体前面11aから前方に突出する。冷却装置10は、冷気吸込ダクト21から吸い込んだ空気を冷却し、冷却した空気を冷気吐出ダクト27から吐出する。
【0012】
冷却装置10は、冷気吸込ダクト21と冷気吐出ダクト27が断熱容器50の冷気通風孔54に挿入されることで、断熱容器50に取り付けられる。このとき、筐体前面11aと容器側面50aとは、密着することが望ましい。本実施の形態においては、冷気通風孔54の周囲に取り付けられた図示しないマグネットシートにより、筐体前面11aと容器側面70aとが密着されている。
【0013】
冷却装置10は、冷気吸込ダクト21と冷気吐出ダクト27を冷気通風孔54に挿入した状態で駆動することで、冷気吸込ダクト21から断熱容器50内部の被冷却空間Sの空気を吸い込む。冷却装置10は、冷気吸込ダクト21から吸い込んだ空気を冷却し、冷却した空気を冷気吐出ダクト27から被冷却空間Sに吐出する。このように空気を循環させることにより、冷却装置10は断熱容器50内部の被冷却空間Sの空気を冷却し、この冷却した空気により、被冷却空間Sに載置された冷却対象物Lを冷却する。
【0014】
図2は実施の形態1に係る冷却装置10の側面断面図である。冷却装置10は、冷凍サイクル装置であり、蒸発器23を有する冷却部20と、凝縮器33を有する放熱部30と、を備える。
【0015】
図1及び図2に示すように、放熱部30は、圧縮機32と、外気吸込部31と、凝縮器33と、放熱用送風機(図示せず)と、外気吐出部(図示せず)と、を備える。
放熱部30は、放熱用送風機を駆動させることで、筐体11の外気吸込部31から空気を吸い込み、筐体11の外気吐出部から空気を吐出する。このとき、外気吸込部31から吸い込まれた空気は、凝縮器33内部を流れる冷媒と熱交換し、凝縮器33内部の冷媒を冷却して凝縮させる。
【0016】
冷却部20は、冷気吸込ダクト21と、蒸発器23と、冷却用送風機25と、冷気吐出ダクト27と、を備える。冷却部20は、冷気吸込ダクト21から吸い込まれた空気が蒸発器23を介して冷気吐出ダクト27に送られる風路形成部20aを備える。
冷気吸込ダクト21は、筐体前面11aから前方に突出するダクトである。冷気吸込ダクト21の内部空間は、前方及び下方に開口した冷気吸込部22を介して、冷気吸込ダクト21の外側と連通する。
蒸発器23は、内部に冷媒用の流路を備える熱交換器である。蒸発器23は、風路形成部20a内部の空気と冷媒とを熱交換させることで、風路形成部20a内部の空気を冷却する。
【0017】
冷却用送風機25は、軸流ファンを備えた送風機であり、駆動することによって冷気吸込部22を介して外部の空気を風路形成部20aに吸い込み、蒸発器23を通過した空気を冷気吐出ダクト27に送り込む。
冷気吐出ダクト27は、筐体前面11aから前方に突出するダクトであり、冷気吸込ダクト21よりも上方に設けられている。冷気吐出ダクト27は、上方に開口した冷気吐出部28を備え、冷却用送風機25によって冷気吐出ダクト27に送り込まれた空気は、冷気吐出部28から上方に吹き出す。
【0018】
図2および図3に示すように、冷気吐出ダクト27は、例えば、板金などを折り曲げて形成される。本実施の形態において、冷気吐出ダクト27は、下面が上方に向かって傾斜した略四角柱形状のダクトである。
冷気吐出ダクト27は、複数の冷気吐出部28を備えている。冷気吐出部28は、長円状の細孔からなる多数の吐出口を冷気吐出ダクト27の幅方向に配列することで形成されている。
【0019】
また、図2および図3に示すように、冷気吸込ダクト21は、例えば、板金などを折り曲げて形成される。本実施の形態において、冷気吸込ダクト21は、略直方体形状のダクトである。
冷気吸込ダクト21は、冷気吸込ダクト21の底面および前面に、下方および前方に開口した複数の冷気吸込部22を備える。
冷気吸込部は、長円状の細孔からなる多数の吸込口を冷気吸込ダクト21の幅方向に配列することで形成されている。なお、冷気吸込ダクト21は、冷気吸込ダクト21の側面に、側方に(略水平に)開口した冷気吸込部22を備えてもよい。
そして、冷気吸込ダクト21の底面および前面の両方に冷気吸込部22を設けることで、冷却対象物L等によって吸込ダクト底面または吸込ダクト前面のいずれか一方が閉塞された場合でも、閉塞されていない一方に設けられた冷気吸込部22から空気を吸い込むことができる。
【0020】
[1-1-3.断熱容器50の構成]
断熱容器50は、任意の断熱材料によって構成され、内部の被冷却空間Sに任意の冷却対象物Lを格納可能な容器である。
本実施の形態において、断熱容器50は、冷却対象物Lを積載可能なかご台車60の上方を断熱カバー51で被覆することによって構成されている。
【0021】
断熱容器50の前面側には、前面開口52が形成されている。前面開口52には、前面板53が開閉自在に設けられている。
前面板53は、例えば、上縁部を中心として上下に回動して前面開口52を開閉するものでもよいし、一側縁を中心として左右に回動して前面開口52を開閉するものでもよい。さらに、両側縁を中心として左右に回動して観音開き式に前面開口52を開閉するものでもよい。
また、前面板53が、上下に回動する方式の場合、途中で折りたたまれて開閉するものでもよい。この場合、前面板53の外面が内側になるように谷折りに折りたたまれるものでもよいし、前面板53の内面が内側になるように山折りに折りたたまれるものでもよい。
【0022】
前面板53には、略長方形に開口した冷気通風孔54が設けられている。冷気通風孔54には、冷却装置10の冷気吐出ダクト27および冷気吸込ダクト21が挿入される。
【0023】
図4は、本実施の形態の導風部材55を示す概略図である。
図3および図4に示すように、断熱容器50の前面板53の内面には、冷気通風孔54の上方に位置する導風部材55が設けられている。本実施の形態においては、導風部材55は、複数設けられている。導風部材55は、上下方向に3列配置されるとともに、横方向に3列配置されている。
各導風部材55は、それぞれ互いに所定間隔をもって配置されている。
このように導風部材55を配置することで、上下方向における各導風部材55の間隙により、前面板53を谷折りにして開閉する場合に、導風部材55が邪魔になることを抑制することができる。
【0024】
前述のように、冷却装置10の冷気吐出ダクト27には、上面側に冷気吐出部28が形成されており、冷却装置10からの冷気は、上方に向かって吹き出される。
本実施の形態においては、複数の導風部材55を配置することで、導風部材55の間に被冷却空間の上方に向かう導風路56が形成される。
【0025】
なお、本実施の形態にいては、導風部材55は3列に構成されているが、例えば、導風部材55は、少なくとも1列設けられていればよい。導風部材55を少なくとも1列設ければ、冷却対象物Lと前面板53との間に空間を確保して導風路56を確保することができる。
【0026】
図5は、本実施の形態の導風部材55の他の例を示す概略図である。
図5に示すように、4つの導風部材55は、上下方向に延びる4つの導風部材55で構成され、これら各導風部材55は、横方向に所定間隔をもって配列されている。
この場合には、例えば、前面板53が折りたたまれることなく上下に開閉する方式の場合や、前面板53が左右に開閉または左右に観音開き式で開閉する方式の場合に適用可能である。
【0027】
図6は、本実施の形態の導風部材55の他の例を示す概略図である。
図6に示すように、導風部材55は、上下方向に3列配置するとともに、横方向に3列または2列に配置し、各導風部材55を、前面板53の横方向に位置をずらして千鳥状に配置するようにしたものである。
この場合には、例えば、前面板53が山折りにして開閉する場合には、導風部材55が邪魔になることを抑制することができる。
【0028】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷却システム1について、その動作を説明する。
まず、冷却装置10は、圧縮機32を駆動することで、凝縮器33、キャピラリーチューブを順次通して低温低圧の液体冷媒を蒸発器23に送る。
【0029】
次に、低温低圧の液体冷媒が蒸発器23に流れている状態で、冷却用送風機25が駆動される。これにより、断熱容器50内部の被冷却空間Sの空気は冷気吸込部22から吸い込まれ、風路形成部20aに流入する。
【0030】
この時、冷気吸込部22は冷気吸込ダクト21の底面と前面とに設けられているので、どちらか一方の面に設けられた冷気吸込部22が閉塞されていたとしても、もう一方の面に設けられた冷気吸込部22から空気を吸い込むことができる。
【0031】
風路形成部20aに流入した空気は、蒸発器23の内部を流れる低温低圧の液体冷媒と熱交換し、風路形成部20a内を流れる空気は冷却されて冷気吐出部28から断熱容器50内部に吐出され、低温低圧の液体冷媒は蒸発して圧縮機32に戻る。
【0032】
冷却された空気は、冷気吐出ダクト27から上方に吹き出される。
本実施の形態においては、前面板53に設けられた冷気通風孔54の上方に、導風部材55により導風路56が形成されているので、冷気吐出ダクト27から吹き出された冷気は、導風路56に沿って被冷却空間Sの上方に案内される。
これにより、被冷却空間Sの上方から被冷却空間S全体に冷気を循環させることができる。
被冷却空間Sに吹き出された空気は、広範囲に広がって冷却対象物Lを冷却する。その後、再び冷気吸込部22から再び風路形成部20aに吸い込まれる。
【0033】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、前面板53には、冷却装置10の冷気吐出ダクト27および冷気吸込ダクト21が挿入される冷気通風孔54が設けられ、被冷却空間Sの内面には、冷気吐出ダクト27から吐出される冷気を被冷却空間Sの上方に案内する導風路56を形成する導風部材55が設けられている。
これにより、冷却装置10の冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気を導風部材55による導風路56により被冷却空間Sの上方に案内することができ、被冷却空間Sの内部に冷気を十分に循環させることができる。また、導風部材55により導風路56を形成するため、被冷却空間Sの内部に多数の冷却対象物Lが収容された場合でも、導風路56を確保することができる。
【0034】
また、本実施の形態においては、被冷却空間Sの前面には、前面開口52が形成され、前面開口52を開閉する前面板53が設けられ、導風部材55は、前面板53の内面に取付けられている。
これにより、前面板53に導風部材55を設けることで、冷却装置10の冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気を、吹出し方向に沿って、特に前面板53と被冷却空間Sとの境界付近に沿って案内することができる。
【0035】
また、本実施の形態においては、導風部材55は、前面板53の横方向に所定間隔をもって複数配列されている。
これにより、導風部材55の間に複数の導風路56を形成することができる。また、被冷却空間Sに多数の冷却対象物Lが収容された場合でも、冷却対象物Lが各導風部材55の間に入り込むことを抑制することができ、各導風部材55の間の導風路56を確保することができる。そのため、導風路56を流れる冷気の流量を確保することができ、十分に冷気の循環を行うことができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、導風部材55は、前面板53の上下方向に所定間隔をもって複数配列されている。
これにより、例えば、前面板53を谷折りに折りたたんで開閉する場合に、各導風部材55の上下方向の間隙で折りたたむことができる。
【0037】
また、本実施の形態においては、導風部材55は、前面板53の横方向に位置をずらして配置されている。
これにより、例えば、前面板53を山折りに折りたたんで開閉する場合に、各導風部材55の横方向の間隙で折りたたむことができる。
【0038】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1で説明した事項と同等の事項、および必要以上に詳細な事項については、その説明を省略する。
[2-1.構成]
図7は、実施の形態2に係る断熱容器50を示す概略図である。
実施の形態2において、導風部材55は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態においては、導風部材55には、導風路56と被冷却空間Sとを仕切る仕切部材57が設けられている。
【0039】
なお、仕切部材57は、導風部材55に対して着脱自在に構成するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、実施の形態1の図4に示す導風部材55と同様の構成となっているが、図5または図6に示す導風部材55と同様の構成の導風部材55を用いて、この導風部材554に対して仕切部材57を設けるようにしてもよい。
【0040】
[2-2.動作]
本実施の形態においては、仕切部材57を設けることで、冷却装置10の冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気は、各導風部材55と仕切部材57との間に形成された導風路56を通って被冷却空間Sの上方に案内される。
すなわち、本実施の形態においては、仕切部材57を設けているので、被冷却空間Sに多数の冷却対象物Lが収容された場合でも、冷却対象物Lが各導風部材55の間に入り込むことを抑制することができ、各導風部材55の間の導風路56を確保することができる。
【0041】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、導風部材55には、導風路56と被冷却空間Sとを仕切る仕切部材57が設けられている。
これにより、被冷却空間Sに多数の冷却対象物Lが収容された場合でも、冷却対象物Lが各導風部材55の間に入り込むことを抑制することができ、各導風部材55の間の導風路56を確保することができる。そのため、導風路56を流れる冷気の流量を確保することができ、十分に冷気の循環を行うことができる。
【0042】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3について説明する。
[3-1.構成]
図8は、実施の形態3に係る断熱容器50を示す概略図である。
本実施の形態においては、導風部材55は、被冷却空間Sの上部内面の断熱容器50に上端が固定されたカーテン70で構成されている。また、カーテン70には、上部に冷気を通過させる通気穴(図示せず)が設けられている。
【0043】
カーテン70の下端には、例えば、マグネットからなる固定部材(図示せず)が取付けられている。そして、固定部材を冷却装置10の冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21との間に磁力で固定することで、カーテン70の下端を保持することができる。
なお、固定部材としては、マグネットに限定されるものではなく、例えば、面ファスナなどカーテン70を固定できるものであれば、いずれの固定部材を用いるようにしてもよい。
【0044】
なお、カーテン70の下端に固定部材を設けなくてもよい。この場合には、冷気吐出部28から冷気を吹き出した状態で、カーテン70は、冷気の吹出による負圧により前面板53側に引き寄せられる。この状態で、カーテン70の下端が、冷気吐出部28と冷気吸込部22との間に位置するようにすれば、冷気吐出部28から吹き出される冷気が冷気吸込部22に吸い込まれることなく、被冷却空間Sの内部に循環させることができる。
【0045】
[3-2.動作]
実施の形態3においては、導風部材55としてカーテン70を用いているので、冷却装置10の冷気吐出ダクト27から吹き出された冷気は、カーテン70に案内されて被冷却空間Sの上方に案内される。被冷却空間Sの上方に案内された冷気は、カーテン70の上部の通気穴を通り、断熱容器50の天板に沿って後方に送り出される。
これにより、冷気吐出ダクト27から吹き出された冷気を被冷却空間Sの内部に循環させることができる。
また、冷却装置10の冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21との間にカーテン70の下端を固定するようにしているので、冷気吐出ダクト27から冷気吸込ダクト21に直接冷気が流れてしまう、ショートサーキットを抑制することができる。
【0046】
[3-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、導風部材55は、被冷却空間Sの上部内面に上端が固定されたカーテン70で構成され、カーテン70の下端は、冷却装置10の冷気吐出ダクト27の下部に固定される。
これにより、冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気を被冷却空間Sに十分に循環させることができ、ショートサーキットも抑制することができる。また、導風部材55をカーテン70で構成することで、断熱カバー51を折りたたんだり、冷却対象物Lの出し入れを行う場合に、邪魔になることがない。
【0047】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4について説明する。
[4-1.構成]
図9は、実施の形態4に係る導風部材55を示す平面図である。図10は、実施の形態4に係る断熱容器50の斜視図である。
図9および図10に示すように、実施の形態4においては導風部材55を断熱カバー51を構成する断熱材51aに設けるようにしたものである。また、導風部材55は、例えば、面ファスナなどにより、断熱材51aに対して着脱自在に構成されている。
導風部材55は、断熱カバー51の前面開口52の両側部分に固定される固定部71と、前面開口52から被冷却空間Sの内側に入り込むように凹状に形成された導風部72と、を備えている。
【0048】
本実施の形態においては、導風部72は、少なくとも冷却装置10の冷気吐出ダクト27に対応する位置に形成されており、断熱容器50に冷却装置10が設置された状態で、冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気の導風路56が形成される。
【0049】
[4-2.動作]
実施の形態4においては、冷却装置10の冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気は、導風部材55の導風部72により形成される導風路56により被冷却空間Sの上方に案内される。
これにより、冷気吐出ダクト27から吹き出された冷気を被冷却空間Sの内部に循環させることができる。
また、導風部材55を着脱自在に構成することで、被冷却空間Sへの冷却対象物Lの出し入れも容易に行うことができる。
【0050】
[4-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、導風部材55は、被冷却空間Sの前面開口52に設けられている。
これにより、冷気吐出ダクト27から吹き出される冷気を被冷却空間Sの十分に循環させることができる。また、導風部材55を着脱自在に構成することで、被冷却空間Sへの冷却対象物Lの出し入れも容易に行うことができる。
【0051】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から実施の形態4を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1から実施の形態4で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
例えば、冷気通風孔54は、前面板53の下方、特に前面板53の高さ方向の半分の位置より下側に位置してもよい。また、冷気通風孔54は、被冷却空間Sに冷気を吹き出すための孔(冷却装置10の冷気吐出ダクト27用)と、被冷却空間Sから冷気を吸い込むための孔(冷却装置10の冷気吸込ダクト21用)とが、別々に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示は、冷却装置を用いて収納容器の被冷却空間の冷却を行い、被冷却空間において十分な冷気の循環を行うことのできる収納容器に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 冷却システム
10 冷却装置
11 筐体
20 冷却部
20a 風路形成部
21 冷気吸込ダクト
22 冷気吸込部
23 蒸発器
25 冷却用送風機
27 冷気吐出ダクト
28 冷気吐出部
30 放熱部
31 外気吸込部
32 圧縮機
33 凝縮器
50 断熱容器
51 断熱カバー
51a 断熱材
52 前面開口
53 前面板
54 冷気通風孔
55 導風部材
56 導風路
57 仕切部材
60 かご台車
70 カーテン
71 固定部
72 導風部
S 被冷却空間
L 冷却対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10