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特開2023-97512車両用モールディング及びモールディングユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097512
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】車両用モールディング及びモールディングユニット
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B60R13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213669
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】水戸部 友哉
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AB01
3D023AC03
3D023AD25
(57)【要約】
【課題】車体取付時に外部から視認される意匠壁部の形状の自由度を向上させることで、車両用モールディングのデザインの自由度を向上させる。
【解決手段】ドアパネル11に対して取り付けられると共に端末部1aにエンドキャップ30が装着可能な長尺状のアウトサイドモール1であって、ドアパネル11への取付時に外壁面3f1が外部に向けて露出される意匠壁部5と、意匠壁部5の内壁面2b1から延出して設けられた傾倒防止リップ3hと、傾倒防止リップ3hに設けられると共にエンドキャップ30が係止可能な係止凸部3jとを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して取り付けられると共に端末部にエンドキャップが装着可能な長尺状の車両用モールディングであって、
車体取付時に外壁面が外部に向けて露出される意匠壁部と、
前記意匠壁部の内壁面から延出して設けられた支持部と、
前記支持部に設けられると共に前記エンドキャップが係止可能な係止部と
を備えることを特徴とする車両用モールディング。
【請求項2】
前記意匠壁部は、金属製の芯材を備え、
前記支持部は、前記芯材の内壁面に接着されている
ことを特徴とする請求項1記載の車両用モールディング。
【請求項3】
前記支持部は、先端部が前記車体に当接する傾倒防止リップであることを特徴とする請求項1または2記載の車両用モールディング。
【請求項4】
前記傾倒防止リップは、
前記意匠壁部に接着されると共に前記係止部が設けられた基部と、
前記基部から延出する前記先端部と
を有し、
前記エンドキャップの装着範囲にて前記先端部が切除されている
ことを特徴とする請求項3記載の車両用モールディング。
【請求項5】
前記係止部は、前記支持部の前記意匠壁部からの延出方向と交差する方向に突出した凸部によって形成されていることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の車両用モールディング。
【請求項6】
前記係止部は、前記支持部の前記意匠壁部からの延出方向と交差する方向に窪んだ凹部によって形成されていることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の車両用モールディング。
【請求項7】
前記意匠壁部の端部に設けられると共に前記車体に押圧される緩衝リップを備え、
前記支持部と前記緩衝リップとが一体化されて前記意匠壁部に接着されている
ことを特徴とする請求項1~6いずれか一項に記載の車両用モールディング。
【請求項8】
請求項1~7いずれか一項に記載の車両用モールディングと、
前記車両用モールディングの端末部に装着されるエンドキャップと
を備えることを特徴とするモールディングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用モールディング及びモールディングユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、車両には、アウトサイドモール等の車両用モールディングが装着されている。この車両用モールディングは、ドアパネルの上側縁部に取り付けられ、例えばドアパネルと窓板との間の隙間に水等が侵入することを防止している。
【0003】
また、特許文献2には、車両用モールディングの端末部にエンドキャップが装着された構成が開示されている。このエンドキャップは、車両用モールディングの意匠性を高めると共に車両用モールディングの内部への異物の進入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-5847号公報
【特許文献2】特開2014-69662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両用モールディングは、車体に対して装着された場合に、外部に向けて外壁面が露出される意匠壁部を有している。例えば特許文献1に示されているように、意匠壁部の下端部は、内側に向けて折り曲げられている。特許文献2に開示されたエンドキャップは、通常、意匠壁部の下端部の折り曲げられた部位に係止されることで位置決めされている。
【0006】
しかしながら、エンドキャップを係止するために意匠壁部の下端部を折り返す必要があるため、意匠壁部の形状が制限されることになる。車両用モールディングは、車両の外部から視認されやすい位置に配置される。このため、車両用モールディングは、車両の外観印象に大きく影響を与える。したがって、意匠壁部の形状の自由度を向上させ、車両用モールディングのデザインの自由度を向上させることが望まれる。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、車体取付時に外部から視認される意匠壁部の形状の自由度を向上させることで、車両用モールディングのデザインの自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様は、車体に対して取り付けられると共に端末部にエンドキャップが装着可能な長尺状の車両用モールディングであって、車体取付時に外壁面が外部に向けて露出される意匠壁部と、上記意匠壁部の内壁面から延出して設けられた支持部と、上記支持部に設けられると共に上記エンドキャップが係止可能な係止部とを備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記意匠壁部が、金属製の芯材を備え、上記支持部が、上記芯材の内壁面に接着されているという構成を採用する。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記支持部が、先端部が上記車体に当接する傾倒防止リップであるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、上記傾倒防止リップが、上記意匠壁部に接着されると共に上記係止部が設けられた基部と、上記基部から延出する上記先端部とを有し、上記エンドキャップの装着範囲にて上記先端部が切除されているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4いずれかの態様において、上記係止部が、上記支持部の上記意匠壁部からの延出方向と交差する方向に突出した凸部によって形成されているという構成を採用する。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第1~第4いずれかの態様において、上記係止部が、上記支持部の上記意匠壁部からの延出方向と交差する方向に窪んだ凹部によって形成されているという構成を採用する。
【0015】
本発明の第7の態様は、上記第1~第6いずれかの態様において、上記意匠壁部の端部に設けられると共に上記車体に押圧される緩衝リップを備え、上記支持部と上記緩衝リップとが一体化されて上記意匠壁部に接着されているという構成を採用する。
【0016】
本発明の第8の態様は、モールディングユニットであって、上記第1~第7のいずれか1つの車両用モールディングと、上記車両用モールディングの端末部に装着されるエンドキャップとを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車体取付時に外部に向けて露出される意匠壁部の内壁面から支持部が延出して設けられている。さらに、支持部に対してエンドキャップを係止可能な係止部が設けられている。このため、本発明によれば、エンドキャップは、意匠壁部とは別に設けられた係止部に係止されることで固定される。したがって、本発明においては、意匠壁部の一部にエンドキャップを係止するための形状を形成する必要がなく、意匠壁部の形状の自由度が向上される。よって、本発明によれば、車体取付時に外部から視認される意匠壁部の形状の自由度を向上させることで、車両用モールディングのデザインの自由度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態におけるアウトサイドモールユニットが設置される車両のフロントドアの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるアウトサイドモールユニットの拡大分解図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるアウトサイドモールユニットがアウトサイドモールのエンドキャップの装着範囲外における断面図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるアウトサイドモールユニットがアウトサイドモールのエンドキャップの装着範囲における断面図である。
図5】本発明の第2実施形態におけるアウトサイドモールユニットがアウトサイドモールのエンドキャップの装着範囲における断面図である。
図6】本発明の第3実施形態におけるアウトサイドモールユニットがアウトサイドモールのエンドキャップの装着範囲における断面図である。
図7】本発明の第4実施形態におけるアウトサイドモールユニットがアウトサイドモールのエンドキャップの装着範囲における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用モールディング及びモールディングユニットの一実施形態について説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のアウトサイドモールユニット20(車両用モールディングユニット)が設置される車両のフロントドア10の正面図である。この図に示すように、車両のフロントドア10は、ドアパネル11(車体)と、窓枠12と、窓板13と、アウトサイドモールユニット20とを備えている。なお、本実施形態では、一例としてフロントドア10について説明するが、アウトサイドモールユニット20は、例えばリアドアに対しても設けられる。
【0021】
ドアパネル11は、車体の一部であり、鋼板からなる強度部材である。窓枠12は、ドアパネル11の上部に設けられる枠体である。窓板13は、窓枠12で囲われた領域に配置されており、不図示の昇降機構によって昇降される。
【0022】
図2は、本実施形態のアウトサイドモールユニット20の拡大分解図である。この図に示すように、本実施形態のアウトサイドモールユニット20は、アウトサイドモール1と、エンドキャップ30とを備えている。なお、図2においては、アウトサイドモール1の一方側の端部と、この端部に装着されるエンドキャップ30のみを図示している。しかしながら、例えば、アウトサイドモール1の他方側の端部にも、同様にエンドキャップ30が装着される。
【0023】
アウトサイドモール1は、ドアパネル11の上端に車両の前後方向(図1の左右方向)に延伸して固定される長尺状の部品であり、ドアパネル11と窓板13との隙間を埋めるように配置されている。アウトサイドモール1の端部は開放端とされている。アウトサイドモール1の開放端にエンドキャップ30が装着される。エンドキャップ30は、一部がアウトサイドモール1の内部に挿通される。以下の説明では、アウトサイドモール1の延伸方向において、アウトサイドモール1のエンドキャップ30が存在する範囲をエンドキャップ30の装着範囲R1と称する。
【0024】
図3は、エンドキャップ30の装着範囲外におけるアウトサイドモール1の断面図である。図3に示すように、本実施形態のアウトサイドモール1が取り付けられるドアパネル11は、上端部が車両の外側から内側に向けて折り返されている。このようにドアパネル11の折り返された部位を、以下、折り返し部11aと称する。ドアパネル11は、上述の折り返し部11aが車両の前後方向における一端から他端まで設けられた形状を有している。
【0025】
本実施形態のアウトサイドモール1は、図3に示すように、芯材2(金属材)と、樹脂部3と、低摩擦層4とを備えている。芯材2は、本実施形態のアウトサイドモール1の剛性を確保するための強度部材であり、ロール成形により形成されたステンレス鋼等からなる金属製の部品である。
【0026】
図3に示すように、芯材2は、内側部位2aと、外側部位2bとを有した形状に形成されている。これらの内側部位2aと、外側部位2bとは、頂部2cにて接続されている。内側部位2aは、アウトサイドモール1がドアパネル11に対して装着された状態にて、外側部位2bよりも車両の内側に配置される部位である。また、外側部位2bは、アウトサイドモール1がドアパネル11に対して装着された状態にて、内側部位2aよりも車両の内側に配置される部位である。
【0027】
内側部位2aは、アウトサイドモール1がドアパネル11に対して装着された状態にて、上下方向に延伸する部位である。この内側部位2aの下端部2a1は、先端が外側部位2bに向くように曲げられている。外側部位2bは、内側部位2aと反対側に向けて膨出するように湾曲しており下端が下方に向けられている。これらの内側部位2aと外側部位2bとの間には、ドアパネル11が挿入可能な空間部Kが形成されている。
【0028】
なお、以下の説明では、内側部位2aの空間部K側の面を内壁面2a2と称し、内壁面2a2と反対側の面を外壁面2a3と称する。また、外側部位2bの空間部K側の面を内壁面2b1と称し、内壁面2b1と反対側の面を外壁面2b2と称する。
【0029】
樹脂部3は、例えば不図示の接着剤を介して芯材2の表面に接着された樹脂製の部材である。この樹脂部3は、パネル当接部3bと、抜け止め部3cと、外側リップ3dと、装飾リップ3eと、被覆部3fと、緩衝リップ3gと、傾倒防止リップ3hと、接続部3iと、係止凸部3jとを有している。
【0030】
パネル当接部3bは、芯材2の内側部位2aの内壁面2a2に設けられている。パネル当接部3bは、傾倒防止リップ3hに対向して配置されている。パネル当接部3bは、図3に示すように、空間部Kに挿入されたドアパネル11に対して当接される。このパネル当接部3bは、傾倒防止リップ3hと共にドアパネル11を挟持する。これらのパネル当接部3bと傾倒防止リップ3hとの隙間にドアパネル11が差し込まれると、傾倒防止リップ3hの先端が弾性変形する。この傾倒防止リップ3hの復元力によって、ドアパネル11がパネル当接部3bと傾倒防止リップ3hとに挟持される。このように、ドアパネル11がパネル当接部3bと傾倒防止リップ3hとに挟持されることで、アウトサイドモール1(すなわちアウトサイドモールユニット20)がドアパネル11に対して固定されている。
【0031】
抜け止め部3cは、芯材2の内側部位2aの下端部2a1を覆うように設けられている。この抜け止め部3cは、折り返し部11aを形成するために下方に向けられたドアパネル11の端部11bに下方から当接する。これによって、アウトサイドモール1がドアパネル11に対して上方に抜けることが防止される。
【0032】
外側リップ3dは、芯材2の内側部位2aの外壁面2a3に設けられている。図3に示すように、本実施形態においては、2つの外側リップ3dが設けられている。各々の外側リップ3dは、低摩擦層4を介して窓板13に当接している。これらの外側リップ3dは、窓板13と本実施形態のアウトサイドモール1との間に雨水等が入り込むことを防止する。また、外側リップ3dは、窓板13の昇降を阻害しない程度の可撓性を有している。
【0033】
装飾リップ3eは、芯材2の頂部2cに対して設けられており、芯材2から外側リップ3dと同一の方向(すなわち窓板13が位置する方向)に向けて突出して設けられている。被覆部3fは、芯材2の外側部位2bの外壁面2b2を覆うように設けられた部位である。なお、本実施形態においては、被覆部3fが設けられていることによって、芯材2の外側部位2bの外壁面2b2が外部に露出されていない。しかしながら、被覆部3fを設けない構成や被覆部3fの一部に開口部が設けられた構成とすることで、芯材2の外側部位2bの外壁面2b2が外部に露出された構成とすることも可能である。
【0034】
本実施形態では、被覆部3fの外壁面3f1が外部に対して露出されている。つまり、被覆部3fの外壁面3f1は、外部から視認可能である。このような被覆部3fは、芯材2の外側部位2bと共に、アウトサイドモール1の意匠壁部5を形成している。つまり、被覆部3fの外壁面3f1は、意匠壁部5の外壁面を形成している。このように、本実施形態のアウトサイドモール1は、車体取付時(つまり、ドアパネル11に対して取り付け時)に外壁面3f1が外部に向けて露出される意匠壁部5を有している。
【0035】
なお、上述のように被覆部3fが設けられない構成である場合には、意匠壁部5は芯材2の外側部位2bによって形成され、外側部位2bの外壁面2b2が意匠壁部5の外壁面となる。また、上述のように被覆部3fの一部に開口部が設けられた構成である場合には、外側部位2bの外壁面2b2と被覆部3fの外壁面3f1とが、意匠壁部5の外壁面となる。
【0036】
また、芯材2の外側部位2bの内壁面2b1は、意匠壁部5の内壁面を形成している。芯材2の外側部位2bの内壁面2b1には、例えば傾倒防止リップ3hが設けられる。つまり、意匠壁部5は、傾倒防止リップ3h等が設けられる内壁面を有している。
【0037】
緩衝リップ3gは、芯材2の外側部位2bの先端部に設けられており、ドアパネル11と当接して弾性変形する。この緩衝リップ3gは、ドアパネル11と本実施形態のアウトサイドモール1との間に雨水等が入り込むことを防止すると共に取付時のばらつきを吸収する。
【0038】
傾倒防止リップ3hは、ドアパネル11を間に挟み込むようにしてパネル当接部3bに対向配置されている。この傾倒防止リップ3hは、意匠壁部5の内壁面2a2に接着されており、意匠壁部5を内側から支持することによって意匠壁部5が傾倒することを防止している。
【0039】
この傾倒防止リップ3hは、意匠壁部5の内壁面2a2に接着された基部3h1と、基部3h1から延出してドアパネル11に当接する先端部3h2とを有している。基部3h1の上面には、図3に示すように、係止凸部3jが設けられている。
【0040】
接続部3iは、緩衝リップ3gと傾倒防止リップ3hとを接続する部位であり、芯材2の外側部位2bの内壁面2b1に設けられている。接続部3iは、緩衝リップ3gと傾倒防止リップ3hと一体化されて、意匠壁部5の内壁面2b1に接着されている。つまり、本実施形態においては、傾倒防止リップ3hは、緩衝リップ3gや接続部3iのような他の部位と一体化されて意匠壁部5の内壁面2b1に接着されている。
【0041】
係止凸部3jは、本実施形態において傾倒防止リップ3hに設けられている。つまり、本実施形態において傾倒防止リップ3hは、係止凸部3jを支持する支持部として機能する。係止凸部3jは、エンドキャップ30が係止される部位である。傾倒防止リップ3hの基部3h1から上方に向けて突出して設けられている。係止凸部3jは、意匠壁部5の内壁面2b1に対して離間して配置されている。係止凸部3jと意匠壁部5の内壁面2b1との間の隙間は、エンドキャップ30の後述する脚部36の配置スペースとなる。
【0042】
これらの芯材2及び樹脂部3は、一部を除いてアウトサイドモール1の延伸方向に沿って連続的に設けられている。図4は、装着範囲R1におけるアウトサイドモール1の断面図である。図4に示すように、芯材2は、内側部位2aの下部が装着範囲R1において切除されている。また、図4に示すように、樹脂部3は、パネル当接部3b、抜け止め部3c、外側リップ3d、及び傾倒防止リップ3hの先端部3h2が装着範囲R1において切除されている。これらが削除されることによって、エンドキャップ30を配置する空間が空間部Kに形成される。また、図4に示すように、ドアパネル11は、装着範囲R1においては、先端が上方に向かうように湾曲された形状を有している。
【0043】
低摩擦層4は、外側リップ3dよりも低摩擦なナイロンパイル等を植毛した層であり、外側リップ3dの表面に形成され、窓板13に対して直接当接される。このような低摩擦層4によって、窓板13の表面の傷つき等を防止した状態で、本実施形態のアウトサイドモール1を窓板13に摺動可能に当接させることができる。
【0044】
エンドキャップ30は、図2に示すように、アウトサイドモール1の端末部1aに対して装着される部品である。このエンドキャップ30は、キャップ部31と、挿入部32とを備えている。
【0045】
キャップ部31は、エンドキャップ30がアウトサイドモール1の装着範囲R1に装着された状態で、アウトサイドモール1の開放端を塞ぐ板状の部位である。挿入部32は、キャップ部31から突出して設けられており、アウトサイドモール1の空間部Kに挿入される部位である。図4に示すように、挿入部32は、基部33と、対向壁34と、突出壁35と、脚部36とを有している。
【0046】
基部33は、対向壁34と、突出壁35と、脚部36とを直接的あるいは間接的に支持する板状の部位である。この基部33は、エンドキャップ30がアウトサイドモール1に対して装着された状態で、ドアパネル11の一面(意匠壁部5が位置する側と反対側の面)に対して当接される。
【0047】
対向壁34は、基部33と対向して配置されており、対向壁34は、ドアパネル11の厚さ寸法と同程度の隙間を空けて基部33と対向している。エンドキャップ30は、基部33と対向壁34との間にドアパネル11が差し込まれることで、ドアパネル11に対して固定される。
【0048】
突出壁35は、対向壁34から基部33と反対側に向けて突出した壁部である。突出壁35は、上下方向に表裏面が向くように配置されている。突出壁35は、意匠壁部5に対して先端面が当接あるいは近接して配置されている。このような突出壁35は、アウトサイドモール1に対してエンドキャップ30が移動することを抑止する。
【0049】
脚部36は、対向壁34の下端から意匠壁部5に向けて延出すると共に先端部が下方に向かうように曲げられた部位である。この脚部36の先端部は、図4に示すように、傾倒防止リップ3hの基部3h1に対して上面から当接されている。この脚部36は、意匠壁部5に対して離間する方向に移動しようとした場合に、係止凸部3jに当接し、係止凸部3jに係止される。このため、脚部36が係止凸部3jを超えて意匠壁部5に対して離間する方向に移動することが規制される。つまり、係止凸部3jは、エンドキャップ30の意匠壁部5から離間する方向への移動を規制する。
【0050】
エンドキャップ30においては、脚部36が挿入部32の延伸方向に沿って連続的に設けられている。本実施形態においては、挿入部32の延伸方向をアウトサイドモール1の延伸方向に合わせ、エンドキャップ30を挿入部32の延伸方向沿って移動させることで、エンドキャップ30をアウトサイドモール1に対して着脱できる。脚部36は、エンドキャップ30を着脱する場合に図4の紙面垂直方向に移動され、係止凸部3jと干渉することがない。このため、円滑にエンドキャップ30をアウトサイドモール1に対して着脱できる。
【0051】
以上のような本実施形態のアウトサイドモール1は、ドアパネル11に対して取り付けられると共に端末部1aにエンドキャップ30が装着可能な長尺状の車両用モールディングである。本実施形態のアウトサイドモール1は、意匠壁部5と、傾倒防止リップ3hと、係止凸部3jとを備えている。意匠壁部5は、ドアパネル11にアウトサイドモール1が取り付けられた状態で外壁面3f1が外部に向けて露出される。傾倒防止リップ3hは、意匠壁部5の内壁面2b1から延出して設けられている。係止凸部3jは、傾倒防止リップ3hに設けられると共にエンドキャップ30が係止可能である。
【0052】
このような本実施形態のアウトサイドモール1によれば、意匠壁部5の内壁面2b1から傾倒防止リップ3hが延出して設けられている。さらに、傾倒防止リップ3hに対してエンドキャップ30を係止可能な係止凸部3jが設けられている。このため、本実施形態のアウトサイドモール1によれば、エンドキャップ30は、意匠壁部5とは別に設けられた係止凸部3jに係止されることで固定される。したがって、本実施形態のアウトサイドモール1においては、意匠壁部5の一部にエンドキャップ30を係止するための形状を形成する必要がなく、意匠壁部5の形状の自由度が向上される。よって、本実施形態のアウトサイドモール1によれば、外部から視認される意匠壁部5の形状の自由度を向上させることで、アウトサイドモール1のデザインの自由度を向上させることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態のアウトサイドモール1においては、意匠壁部5が金属製の芯材2を備えている。また、傾倒防止リップ3hは、芯材2の内壁面2b1に接着されている。このような本実施形態のアウトサイドモール1によれば、剛性部材である芯材2に対して傾倒防止リップ3hが接着され、この傾倒防止リップ3hに対して係止凸部3jが設けられている。このため、エンドキャップ30が係止凸部3jに係止されることで意匠壁部5に作用する荷重によって意匠壁部5が変形することを防止することができる。
【0054】
また、本実施形態のアウトサイドモール1においては、傾倒防止リップ3hが芯材2を介して、外壁面3f1を有する樹脂製の被覆部3fに接続されている。このため、傾倒防止リップ3hの成形時の熱収縮等による形状変化が被覆部3fに影響を与えることを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態のアウトサイドモール1においては、係止凸部3jを支持する支持部が、先端部3h2がドアパネル11に当接する傾倒防止リップ3hである。このため、本実施形態のアウトサイドモール1によれば、係止凸部3jと別体で支持部を形成する必要がなく、アウトサイドモール1を軽量化及び簡素化することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態のアウトサイドモール1においては、傾倒防止リップ3hが、基部3h1と、先端部3h2とを有している。基部3h1は、意匠壁部5に接着されると共に係止凸部3jが設けられている。先端部3h2は、基部3h1から延出している。さらに、本実施形態のアウトサイドモール1においては、エンドキャップ30の装着範囲R1にて先端部3h2が切除されている。
【0057】
このような本実施形態のアウトサイドモール1によれば、傾倒防止リップ3hの先端部3h2がエンドキャップ30に干渉することを防止することができる。また、本実施形態のアウトサイドモール1では、傾倒防止リップ3hと反対側からドアパネル11に当接するパネル当接部3bが、装着範囲R1において切除されている。このため、装着範囲R1にて先端部3h2を切除することで、装着範囲R1において先端部3h2の復元力によって意匠壁部5が外部に膨らむように変形することを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態のアウトサイドモール1においては、係止凸部3jが、傾倒防止リップ3hの意匠壁部5からの延出方向と交差する方向に突出した凸部によって形成されている。このような本実施形態のアウトサイドモール1によれば、凹部によってエンドキャップ30を係止する場合よりも、エンドキャップ30がアウトサイドモール1から外れる可能性を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態のアウトサイドモール1は、意匠壁部5の端部に設けられると共にドアパネル11に押圧される緩衝リップ3gを備えている。また、傾倒防止リップ3hと緩衝リップ3gとが一体化されて意匠壁部5に接着されている。つまり、傾倒防止リップ3hは、他の部位と一体化されて意匠壁部5に接着されている。このため、傾倒防止リップ3hの意匠壁部5に対する接着強度を、傾倒防止リップ3hが単独で意匠壁部5に接着される場合よりも高めることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態のアウトサイドモールユニット20は、アウトサイドモール1と、アウトサイドモール1の端末部1aに装着されるエンドキャップ30とを備えている。このため、本実施形態のアウトサイドモールユニット20によれば、アウトサイドモール1のデザインの自由度を向上させることが可能となる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0062】
図5は、本実施形態のアウトサイドモールユニット20Aの装着範囲R1における断面図である。この図に示すように、本実施形態のアウトサイドモールユニット20Aは、アウトサイドモール1Aと、エンドキャップ30とを備えている。アウトサイドモール1Aは、上記実施形態のアウトサイドモール1と異なり、樹脂部3は傾倒防止リップ3hと別体の支持部3kを有している。支持部3kは、傾倒防止リップ3hの上方に配置されており、意匠壁部5の内壁面2b1に接着されている。さらに、本実施形態のアウトサイドモール1Aにおいては、傾倒防止リップ3hに係止凸部3jが設けられておらず、支持部3kに係止凸部3jが設けられている。
【0063】
エンドキャップ30は、脚部36の先端部が係止凸部3jと意匠壁部5の内壁面2b1との間に配置されている。このような本実施形態のアウトサイドモール1Aによれば、傾倒防止リップ3hと別体にて支持部3kが設けられており、支持部3kに係止凸部3jが設けられている。このため、係止凸部3jが傾倒防止リップ3hの形状に影響を与えることがない。したがって、係止凸部3jが傾倒防止リップ3hの弾性変形に影響を与えることを防止することができる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図6を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0065】
図6は、本実施形態のアウトサイドモールユニット20Bの装着範囲R1における断面図である。この図に示すように、本実施形態のアウトサイドモールユニット20Bは、アウトサイドモール1Bと、エンドキャップ30とを備えている。アウトサイドモール1Bは、上記実施形態のアウトサイドモール1と異なり、傾倒防止リップ3hに対して、係止凸部3jに換えて係止凹部3m(凹部)が設けられている。
【0066】
係止凹部3m(係止部)は、傾倒防止リップ3hの意匠壁部5からの延出方向と交差する方向に窪んだ凹部によって形成されている。係止凹部3mは、図6の紙面垂直方向に連続して設けられており、エンドキャップ30を着脱する場合に、エンドキャップ30の脚部36の先端部が内部にてスライドされる。この係止凹部3mには、脚部36の先端部が挿入されることによって脚部36が係止される。
【0067】
このような本実施形態のアウトサイドモール1Bは、意匠壁部5と、傾倒防止リップ3hと、係止凹部3mとを備えている。意匠壁部5は、ドアパネル11にアウトサイドモール1が取り付けられた状態で外壁面3f1が外部に向けて露出される。傾倒防止リップ3hは、意匠壁部5の内壁面2b1から延出して設けられている。係止凹部3mは、傾倒防止リップ3hに設けられると共にエンドキャップ30が係止可能である。
【0068】
このような本実施形態のアウトサイドモール1Bによれば、意匠壁部5の内壁面2b1から傾倒防止リップ3hが延出して設けられている。さらに、傾倒防止リップ3hに対してエンドキャップ30を係止可能な係止凹部3mが設けられている。このため、本実施形態のアウトサイドモール1Bによれば、エンドキャップ30は、意匠壁部5とは別に設けられた係止凹部3mに係止されることで固定される。したがって、本実施形態のアウトサイドモール1Bにおいては、意匠壁部5の一部にエンドキャップ30を係止するための形状を形成する必要がなく、意匠壁部5の形状の自由度が向上される。よって、本実施形態のアウトサイドモール1Bによれば、外部から視認される意匠壁部5の形状の自由度を向上させることで、アウトサイドモール1Bのデザインの自由度を向上させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態のアウトサイドモール1Bにおいて係止凹部3m(係止部)は、傾倒防止リップ3hの意匠壁部5からの延出方向と交差する方向に窪んだ凹部によって形成されている。このため、凸部によってエンドキャップ30を係止する場合よりも、樹脂部3の樹脂量を削減することができる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図7を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第3実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0071】
図7は、本実施形態のアウトサイドモールユニット20Cの装着範囲R1における断面図である。この図に示すように、本実施形態のアウトサイドモールユニット20Cは、アウトサイドモール1Cと、エンドキャップ30とを備えている。アウトサイドモール1Cは、上記実施形態のアウトサイドモール1Bと異なり、樹脂部3は傾倒防止リップ3hと別体の支持部3kを有している。支持部3kは、傾倒防止リップ3hの上方に配置されており、意匠壁部5の内壁面2b1に接着されている。さらに、本実施形態のアウトサイドモール1Cにおいては、傾倒防止リップ3hに係止凹部3mが設けられておらず、支持部3kに係止凹部3mが設けられている。
【0072】
エンドキャップ30は、脚部36の先端部が係止凹部3mに係止される。このような本実施形態のアウトサイドモール1Aによれば、傾倒防止リップ3hと別体にて支持部3kが設けられており、支持部3kに係止凹部3mが設けられている。このため、係止凹部3mが傾倒防止リップ3hの形状に影響を与えることがない。したがって、係止凹部3mが傾倒防止リップ3hの弾性変形に影響を与えることを防止することができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0074】
例えば、上記実施形態においては、意匠壁部5が芯材2を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、樹脂材料のみによって意匠壁部5を形成することも可能である。このような場合には、例えばエンドキャップ30を意匠壁部5に溶着し、さらにエンドキャップ30を係止凸部3jや係止凹部3mに係止することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1……アウトサイドモール(車両用モールディング)、1a……端末部、1A……アウトサイドモール(車両用モールディング)、1B……アウトサイドモール(車両用モールディング)、1C……アウトサイドモール(車両用モールディング)、2……芯材、2a……内側部位、2a1……下端部、2a2……内壁面、2a3……外壁面、2b……外側部位、2b1……内壁面、2b2……外壁面、2c……頂部、3……樹脂部、3b……パネル当接部、3c……抜け止め部、3d……外側リップ、3e……装飾リップ、3f……被覆部、3f1……外壁面、3g……緩衝リップ、3h……傾倒防止リップ、3h1……基部、3h2……先端部、3i……接続部、3j……係止凸部、3k……支持部、3m……係止凹部、4……低摩擦層、5……意匠壁部、10……フロントドア、11……ドアパネル(車体)、20……アウトサイドモールユニット(モールディングユニット)、20A……アウトサイドモールユニット(モールディングユニット)、20B……アウトサイドモールユニット(モールディングユニット)、20C……アウトサイドモールユニット(モールディングユニット)、30……エンドキャップ、31……キャップ部、32……挿入部、33……基部、34……対向壁、35……突出壁、36……脚部、K……空間部、R1……装着範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7