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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097527
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】中継装置、中継方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/26 20090101AFI20230703BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230703BHJP
   H04L 61/103 20220101ALI20230703BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W84/18 110
H04L61/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213690
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】西原 健太
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢太郎
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】無線ネットワークの拡張が容易になる中継装置、中継方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】中継装置1は、無線モジュール105Aが受信したARP要求フレームの送信元MACアドレス情報を抽出して抽出アドレス記憶部131に記憶させるアドレス抽出部112と、ARP要求フレームについて、送信元MACアドレスをモジュールMACアドレスに変換するとともに、ARP応答フレームについて、送信先MACアドレスを抽出アドレス記憶部131が記憶する送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換するアドレス変換部113と、送信元MACアドレス変換後のARP要求フレームを無線モジュール105Bから他の中継装置1へ送信させ、送信先MACアドレス変換後のARP応答フレームを無線モジュール105Aから他の中継装置1へ送信させるよう制御する送信制御部114と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールと、
ステーションとして機能する第2無線モジュールと、
少なくとも前記第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶するモジュールアドレス記憶部と、
前記第1無線モジュールが受信した第1フレームと前記第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得するフレーム取得部と、
前記フレーム取得部が前記第1フレームを取得すると、前記第1フレームを前記第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第1フレームを送信先へ送信させるとともに、前記フレーム取得部が前記第2フレームを取得すると、前記第2フレームを前記第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第2フレームを送信先へ送信させるよう制御する送信制御部と、
前記第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出するアドレス抽出部と、
前記送信元MACアドレス情報を記憶する抽出アドレス記憶部と、
前記第1フレームのうち前記第2無線モジュール経由で他の中継装置の前記第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、前記送信元MACアドレスを前記モジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成するとともに、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く前記第2フレームについて、前記第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを前記抽出アドレス記憶部が記憶する前記送信元MACアドレス情報が示す前記送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成するアドレス変換部と、を備える、
中継装置。
【請求項2】
前記抽出アドレス記憶部は、前記送信元MACアドレスを前記第1フレームの送信元IPアドレスと対応づけて記憶し、
前記アドレス変換部は、前記第2フレームの送信先IPアドレスが、前記抽出アドレス記憶部が記憶する送信元IPアドレスと一致する場合、前記第2フレームの送信先MACアドレスを、前記抽出アドレス記憶部に記憶された送信元IPアドレスに対応づけられた前記送信元MACアドレスに変換する、
請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記アドレス変換部は、前記第2フレームの送信先IPアドレスが、前記抽出アドレス記憶部が記憶する送信元IPアドレスと異なる、或いは、前記抽出アドレス記憶部が前記送信元MACアドレス情報を記憶していない場合、前記第2フレームの送信先MACアドレスを、ブロードキャスト用のMACアドレスに変換する、
請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記アドレス抽出部は、前記フレーム取得部が、前記抽出アドレス記憶部が既に記憶している前記送信元IPアドレスと同一であり且つ互いに送信元MACアドレスが異なる前記第1フレームを取得した場合、取得した前記第1フレームの前記送信元MACアドレス情報を抽出し、抽出した前記送信元MACアドレス情報で、前記抽出アドレス記憶部が既に記憶している前記送信元IPアドレスに対応づけられた前記送信元MACアドレス情報を更新する、
請求項2または3に記載の中継装置。
【請求項5】
前記第2無線モジュールを複数備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項6】
アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールと、ステーションとして機能する第2無線モジュールと、を備える中継装置を用いた中継方法であって、
前記第1無線モジュールが受信した第1フレームと前記第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得するステップと、
前記第1フレームを取得すると、前記第1フレームを前記第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第1フレームを送信先へ送信させるステップと、
前記第2フレームを取得すると、前記第2フレームを前記第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第2フレームを送信先へ送信させるよう制御するステップと、
前記第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出するステップと、
前記送信元MACアドレス情報を抽出アドレス記憶部に記憶させるステップと、
前記第1フレームのうち前記第2無線モジュール経由で他の中継装置の前記第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、前記送信元MACアドレスを、少なくとも前記第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶するモジュールアドレス記憶部が記憶する前記モジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成するとともに、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く前記第2フレームについて、前記第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを前記抽出アドレス記憶部が記憶する前記送信元MACアドレス情報が示す前記送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成するステップと、を含む、
中継方法。
【請求項7】
コンピュータを、
アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールが受信した第1フレームとステーションとして機能する第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得するフレーム取得部、
前記フレーム取得部が前記第1フレームを取得すると、前記第1フレームを前記第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第1フレームを送信先へ送信させるとともに、前記フレーム取得部が前記第2フレームを取得すると、前記第2フレームを前記第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第2フレームを送信先へ送信させるよう制御する送信制御部、
前記第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出するアドレス抽出部、
前記第1フレームのうち前記第2無線モジュール経由で他の中継装置の前記第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、前記送信元MACアドレスを、少なくとも前記第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶するモジュールアドレス記憶部が記憶する前記モジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成するとともに、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く前記第2フレームについて、前記第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを、前記送信元MACアドレス情報を記憶する抽出アドレス記憶部が記憶する前記送信元MACアドレス情報が示す前記送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成するアドレス変換部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、中継方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最初の送信元および最終的な宛先が自らの無線装置でないデータが含まれたパケット信号を通信対象とする基地局モード、即ち、アクセスポイントとして動作可能な中継装置を備え、アクセスポイントして動作する中継装置間で相互に通信するWDS(Wireless Distribution System)に対応する通信システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。また、複数の無線装置間で相互に通信するネットワークとしては、IEEE802.11s規格に基づく無線メッシュネットワークなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-016690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、WDSに対応する通信システムを構築するアクセスポイント同士の相互通信機能は、汎用性が無く、同一メーカにより製造されたアクセスポイント間でしか機能できないことが多い。具体的には、既に設置された複数のアクセスポイントによりWDSに対応する通信システムを実現されているネットワークに別のメーカで製造されたアクセスポイントを追加することが難しく、容易にネットワークを拡張することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、無線ネットワークの拡張が容易になる中継装置、中継方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る中継装置は、
アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールと、
ステーションとして機能する第2無線モジュールと、
少なくとも前記第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶するモジュールアドレス記憶部と、
前記第1無線モジュールが受信した第1フレームと前記第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得するフレーム取得部と、
前記フレーム取得部が前記第1フレームを取得すると、前記第1フレームを前記第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第1フレームを送信先へ送信させるとともに、前記フレーム取得部が前記第2フレームを取得すると、前記第2フレームを前記第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第2フレームを送信先へ送信させるよう制御する送信制御部と、
前記第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出するアドレス抽出部と、
前記送信元MACアドレス情報を記憶する抽出アドレス記憶部と、
前記第1フレームのうち前記第2無線モジュール経由で他の中継装置の前記第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、前記送信元MACアドレスを前記モジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成するとともに、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く前記第2フレームについて、前記第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを前記抽出アドレス記憶部が記憶する前記送信元MACアドレス情報が示す前記送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成するアドレス変換部と、を備える。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る中継方法は、
アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールと、ステーションとして機能する第2無線モジュールと、を備える中継装置を用いた中継方法であって、
前記第1無線モジュールが受信した第1フレームと前記第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得するステップと、
前記第1フレームを取得すると、前記第1フレームを前記第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第1フレームを送信先へ送信させるステップと、
前記第2フレームを取得すると、前記第2フレームを前記第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第2フレームを送信先へ送信させるよう制御するステップと、
前記第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出するステップと、
前記送信元MACアドレス情報を抽出アドレス記憶部に記憶させるステップと、
前記第1フレームのうち前記第2無線モジュール経由で他の中継装置の前記第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、前記送信元MACアドレスを、少なくとも前記第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶するモジュールアドレス記憶部が記憶する前記モジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成するとともに、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く前記第2フレームについて、前記第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを前記抽出アドレス記憶部が記憶する前記送信元MACアドレス情報が示す前記送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成するステップと、を含む。
【0008】
他の観点から見た本発明に係るプログラムは、
コンピュータを、
アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールが受信した第1フレームとステーションとして機能する第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得するフレーム取得部、
前記フレーム取得部が前記第1フレームを取得すると、前記第1フレームを前記第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第1フレームを送信先へ送信させるとともに、前記フレーム取得部が前記第2フレームを取得すると、前記第2フレームを前記第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、前記第2フレームを送信先へ送信させるよう制御する送信制御部、
前記第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出するアドレス抽出部、
前記第1フレームのうち前記第2無線モジュール経由で他の中継装置の前記第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、前記送信元MACアドレスを、少なくとも前記第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶するモジュールアドレス記憶部が記憶する前記モジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成するとともに、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く前記第2フレームについて、前記第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを、前記送信元MACアドレス情報を記憶する抽出アドレス記憶部が記憶する前記送信元MACアドレス情報が示す前記送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成するアドレス変換部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る中継装置によれば、複数のいわゆる親機として機能する中継装置が、それぞれ、他の親機として機能する中継装置との間でフレームを送受信する親機間通信機能を備えていなくても複数の中継装置間でフレームの送受信が可能となる。それ故、ネットワークを構成する中継装置への新たな中継装置の追加が容易になるので、その分、ネットワークの拡張が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2】(A)は実施の形態に係る中継装置のハードウェア構成を示す図であり、(B)は実施の形態に係る通信システムにおける各装置の接続関係を示す図である。
図3】実施の形態に係る中継装置の機能構成を示す図である。
図4】実施の形態に係る抽出アドレス記憶部が記憶する情報の内容を示す図である。
図5】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図6】(A)は実施の形態に係るARP要求フレームの送信元アドレスの遷移を示す図であり、(B)は実施の形態に係るARP応答フレームの送信先アドレスの遷移を示す図であり、(C)は実施の形態に係る接続要求フレームの送信元アドレスの遷移を示す図である。
図7】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図8】(A)は実施の形態に係る接続応答フレームの送信先アドレスの遷移を示す図であり、(B)は実施の形態に係るARP要求フレームの送信元アドレスの遷移を示す図であり、(C)は実施の形態に係るARP応答フレームの送信元アドレスの遷移を示す図である。
図9】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図10】(A)は実施の形態に係るARP応答フレームの送信先アドレスの遷移を示す図であり、(B)は実施の形態に係る接続要求フレームの送信元アドレスの遷移を示す図であり、(C)は実施の形態に係る接続要求フレームの送信元アドレスの遷移を示す図であり、(D)は実施の形態に係る接続応答フレームの送信元アドレスの遷移を示す図である。
図11】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図12】実施の形態に係る接続応答フレームの送信先アドレスの遷移を示す図である。
図13】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図14】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図15】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図16】実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図17】実施の形態に係る中継装置が実行する中継処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図18】実施の形態に係る中継装置が実行する中継処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図19】実施の形態に係る中継装置が処理するフレームの扱いを場合分けして整理した図である。
図20】変形例に係る中継装置のハードウェア構成を示す図である。
図21】変形例に係る中継装置の機能構成を示す図である。
図22】変形例に係る中継装置の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る中継装置について図1を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る中継装置は、アクセスポイントとして機能する第1無線モジュールと、ステーションとして機能する第2無線モジュールと、モジュールアドレス記憶部と、フレーム取得部と、送信制御部と、アドレス抽出部と、抽出アドレス記憶部と、アドレス変換部と、を備える。ここで、モジュールアドレス記憶部は、少なくとも第2無線モジュールを識別するためのモジュールMACアドレス情報を記憶する。フレーム取得部は、第1無線モジュールが受信した第1フレームと第2無線モジュールが受信した第2フレームとを取得する。送信制御部は、フレーム取得部が第1フレームを取得すると、第1フレームを第2無線モジュール経由で他の中継装置へ送信することにより、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、第1フレームを送信先へ送信させるよう制御する。また、送信制御部は、フレーム取得部が第2フレームを取得すると、第2フレームを第1無線モジュール経由で他の中継装置へ、または、自装置の配下の端末装置へ送信することにより、第2フレームを送信先へ送信させるよう制御する。アドレス抽出部は、第1フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出する。抽出アドレス記憶部は、送信元MACアドレス情報を記憶する。アドレス変換部は、第1フレームのうち第2無線モジュール経由で他の中継装置の第1無線モジュールに転送する第1フレームについて、送信元MACアドレスをモジュールMACアドレスに変換して変換後第1フレームを生成する。また、アドレス変換部は、その後に取得する、ブロードキャストフレームを除く第2フレームについて、第2フレームの送信先を識別する送信先MACアドレスを抽出アドレス記憶部が記憶する送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換して変換後第2フレームを生成する。
【0012】
本実施の形態に係る通信システムは、例えば図1に示すように、相互通信によってネットワークを構築する3つの中継装置1(1A、1B、1C)と、各中継装置1のセル内に存在する端末装置3(3A、3B、3C)と、を備える。この通信システムは、例えば家庭内ネットワーク、オフィス無線LANとして採用される。端末装置3は、例えば無線モジュールを備える汎用のパーソナルコンピュータである。端末装置3は、ARP(Address Resolution Protocol)テーブルを記憶するARPテーブル記憶部を備える。端末装置3は、それぞれ、他の端末装置3へのデータフレームの送信を開始する際、送信先の端末装置3のMACアドレス情報がARPテーブルに登録されていない場合、送信先の他の端末装置3のMACアドレスを問い合わせるためのARP要求フレームを生成して、送信先の端末装置3へ送信する。そして、端末装置3は、送信先の他の端末装置3からその端末装置3のMACアドレス情報を含むARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームから当該他の端末装置3のMACアドレス情報を抽出してARPテーブル記憶部が記憶するARPテーブルに登録する。また、端末装置3は、データフレームを他の端末装置3へ送信する際、TCP(Transmission Control Protocol)に基づく3ウェイハンドシェイクにより送信先の端末装置3との間で接続(通信リンク)を確立した後、データフレームの他の端末装置3への送信を開始する。
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る中継装置について図2(A)および(B)、図3、および図4を参照して詳細に説明する。図2(A)は本実施の形態に係る中継装置1Aのハードウェア構成図であり、図2(A)に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、2つの無線モジュール105A、105Bと、各部を接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ、または、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、中継装置1を制御するためのプログラムを記憶する。CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行する。
【0014】
無線モジュール105A、105Bは、それぞれ、別のMACアドレス(以下、モジュールMAC(Media Access Control)アドレスと言う)を有し、例えばIEEE802.11の無線通信規格に準拠した通信方式で通信する。無線モジュール105A、105Bは、それぞれ、アンテナ(図示せず)と、受信回路(図示せず)と、信号処理部(図示せず)と、送信回路(図示せず)と、を有する。受信回路は、アンテナを介して無線信号を受信し、受信した無線信号に対応する信号を復調してベースバンド信号を生成して信号処理部へ出力する。送信回路は、信号処理部から入力されるベースバンド信号を用いてキャリア信号を変調することにより、送信するフレームに対応する無線信号を生成し、生成した無線信号を、アンテナを介して送信する。ここで、フレームには、ARP要求フレーム、ARP応答フレーム或いはIPv4、IPv6規格に適合するインターネット層における接続要求フレーム、接続応答フレームが含まれる。信号処理部は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現され、受信回路から入力されるベースバンド信号に基づいて受信回路が受信した無線信号に対応するフレームを生成してバス109へ送出する。ここで、無線モジュール105Aの信号処理部は、無線モジュール105Aを識別するためのモジュールMACアドレスを示すモジュールMACアドレス情報を含むフレームを生成してバス109へ送出する。また、無線モジュール105Bの信号処理部は、無線モジュール105Bを識別するためのモジュールMACアドレスを示すモジュールMACアドレス情報を含むフレームを生成してバス109へ送出する。また、信号処理部は、主記憶部102からバス109を介して転送されてきた各種フレームに基づいてベースバンド信号を生成して送信回路へ出力する。なお、本実施の形態では、無線モジュール105Aが、アクセスポイント(以下、「AP」と称する。)として機能し、無線モジュール105Bが、ステーション(以下、「STA」と称する。)として機能するものとして説明する。以下、無線モジュール105Aを適宜「AP側の無線モジュール105A」、無線モジュール105Bを「STA側の無線モジュール105B」と称する。なお、中継装置1Bおよび中継装置1Cも中継装置1Aと同様のハードウェア構成であり、それらの説明は割愛する。
【0015】
図2(B)には、図1に示した通信システムにおける中継装置の接続図である。端末装置3A、3B、3Cはそれぞれの中継装置1A、1B、1CのAP側の無線モジュールと無線接続する。また、中継装置1A、1B、1C同士の接続は、図2(B)のとおり、中継装置1AのSTA側の無線モジュール105Bと中継装置1BのAP側の無線モジュール105C、中継装置1BのSTA側の無線モジュール105Dと中継装置1CのAP側の無線モジュール105Eがそれぞれ無線接続する。この中継装置1A、1B、1C同士の接続関係は、システム設営時に管理者によって固定化されている。
【0016】
図3は、実施の形態に係る中継装置1Aの機能構成を示す図である。中継装置1Aでは、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、図3に示すように、フレーム取得部111、アドレス抽出部112、アドレス変換部113および送信制御部114として機能する。また、図2(A)に示す補助記憶部103は、抽出アドレス記憶部131と、モジュールアドレス記憶部132と、を有する。更に、図2(A)に示す主記憶部102は、図3に示すように、無線モジュール105A、105Bにより受信されたフレームを一時的に記憶するフレームバッファ121として機能する。抽出アドレス記憶部131は、例えば図4に示すように、フレーム取得部111が取得したフレームの送信元MACアドレス情報、送信元IPアドレス情報、およびフレームを受信した無線モジュール105A、105Bを識別する無線モジュール識別情報(具体的にはIDM(AP)など)を、フレームバッファ121が記憶するフレームを識別するフレーム識別情報(具体的にはIDF(0)など)に対応づけて記憶する。
【0017】
モジュールアドレス記憶部132は、無線モジュール105A、105Bを識別するためのモジュールMACアドレス情報を、無線モジュール105A、105Bを識別するモジュール識別情報に対応づけて記憶する。
【0018】
フレーム取得部111は、無線モジュール105Aが受信したフレームと無線モジュール105Bが受信したフレームとを取得する。フレーム取得部111は、無線モジュール105A、105Bから無線モジュール105A、105BのモジュールMACアドレス情報を含むフレームを取得すると、取得したフレームをフレームバッファ121に記憶させる。また、フレーム取得部111は、無線モジュール105A、105Bから受信したフレームをアドレス抽出部112に通知する。
【0019】
アドレス抽出部112は、フレーム取得部111からフレームが通知されると、当該フレームの送信元を識別する送信元MACアドレスを示す送信元MACアドレス情報を抽出する。また、アドレス抽出部112は、当該フレームの送信元をインターネット層において識別する送信元IPアドレスを示す送信元IPアドレス情報と、フレームを受信した無線モジュール105A、105Bを識別するためのモジュールMACアドレス情報と、を抽出する。更に、アドレス抽出部112は、モジュールアドレス記憶部132が記憶するモジュールMACアドレス情報を参照して、抽出したモジュールMACアドレスがAP側の無線モジュール105AのモジュールMACアドレスと一致する場合、当該フレームがAP側の無線モジュール105Aにより受信されたと判定する。一方、アドレス抽出部112は、抽出したモジュールMACアドレスがSTA側の無線モジュール105BのモジュールMACアドレスと一致する場合、当該フレームがSTA側の無線モジュール105Bにより受信されたと判定する。そして、アドレス抽出部112は、判定結果に基づいて、フレームを受信した無線モジュール105A、105Bを識別する無線モジュール識別情報と、当該フレームを識別するフレーム識別情報と、をアドレス変換部113および送信制御部114に通知する。また、アドレス抽出部112は、抽出したフレームの送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報とともに前述の無線モジュール識別情報を、フレーム識別情報に対応づけて抽出アドレス記憶部131に記憶させる。
【0020】
また、アドレス抽出部112が、フレーム取得部111から過去に取得したフレームと送信元IPアドレスが同一であり且つ互いに送信元MACアドレスが異なるフレームを取得したとする。この場合、アドレス抽出部112は、フレーム取得部111が最後に取得したフレームの送信元MACアドレス情報を抽出し、抽出したMACアドレスで、抽出アドレス記憶部131が既に記憶している送信元IPアドレス情報に対応づけて記憶するMACアドレスを更新する。これにより、例えばIPアドレスが重複して付与された複数の端末装置3が存在する場合、これらの端末装置3から受信したフレームのうち最後に受信したフレームの送信元の端末装置3に付与されたMACアドレス情報が、抽出アドレス記憶部131に記憶されることになる。
【0021】
アドレス変換部113は、無線モジュール105Aが受信したフレームについて、フレームの送信元MACアドレスを、モジュールアドレス記憶部132が記憶する無線モジュール105BのモジュールMACアドレスに変換して変換後のフレームを生成する。また、アドレス変換部113は、無線モジュール105Bが受信したフレームについて、フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する送信元MACアドレスに変換して変換後のフレームを生成する。そして、アドレス変換部113は、生成した変換後のフレームを送信制御部114に通知する。ここで、アドレス変換部113は、無線モジュール105Bにより受信されたフレームの送信先IPアドレスが、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合、当該フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスに対応づけられた送信元MACアドレスに変換する。また、アドレス変換部113は、無線モジュール105Bにより受信されたフレームの送信先IPアドレスが、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと異なる、或いは、抽出アドレス記憶部131が送信元MACアドレス情報を記憶していない場合、当該フレームの送信先MACアドレスを、ブロードキャスト用のMACアドレスに変換する。また、アドレス変換部113は、当該フレームの送信先MACアドレスが既にブロードキャスト用のMACアドレスに設定されている場合には送信先MACアドレスをブロードキャスト用のMACアドレスで維持する。
【0022】
送信制御部114は、フレーム取得部111が無線モジュール105Aにより受信されたフレームを取得すると、取得したフレームに対応して所定の変換の後のフレームを無線モジュール105Bへ転送する。無線モジュール105Bは、中継装置1に対応するセル内に存在する予め決められた他の中継装置1へ送信する。
【0023】
また、送信制御部114は、フレーム取得部111が無線モジュール105Bにより受信されたフレームを取得すると、取得したフレームに対応する前述の変換後のフレームを無線モジュール105Aへ転送する。そして、無線モジュール105Aは、変換後のフレームを他の中継装置1へ送信する。なお、前述のフレーム取得部111と、送信制御部114と、フレームバッファ121と、から、ソフトウェア的にレイヤ2スイッチとして機能するブリッジBRが構成されている。また、前述のアドレス抽出部112と、アドレス変換部113と、フレームバッファ121と、抽出アドレス記憶部131と、モジュールアドレス記憶部132と、から、アドレスを管理するアドレス管理部ACが構成されている。
【0024】
次に、本実施の形態に係る通信システムの動作について図5から図16を参照しながら詳細に説明する。ここでは、図1に示す端末装置3A、3B、3CのMACアドレスが、それぞれ、「00:00:00:FF:00:01」、「00:00:00:FF:00:02」、「00:00:00:FF:00:03」であり、端末装置3A、3B、3CのIPアドレスが、それぞれ、「192.168.0.1」、「192.168.0.2」、「192.168.0.3」であるとする。また、中継装置1A、1B、1Cそれぞれの無線モジュール105B、105D、105FのMACアドレスが、それぞれ、「00:00:00:00:00:01」、「00:00:00:00:00:02」、「00:00:00:00:00:03」であるとする。なお、以下のフレーム転送におけるアドレス変換の説明では、中継装置における2つの無線モジュールのうち、STA側(105B側)の無線モジュール105Bのアドレスが、より重要な役割を果たすこととなる。
【0025】
まず、端末装置3Aが、端末装置3Bへデータフレームを送信する場合について説明する。図5は、実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。ここで、端末装置3AのARPテーブルに端末装置3BのMACアドレスが登録されていない場合、図5に示すように、端末装置3Aが端末装置3Bへデータフレームを送信する通信処理を開始すると、まず端末装置3BのMACアドレスを取得するためのAPR要求フレームが、端末装置3Aからブロードキャストされて中継装置1Aへ送信される(ステップS1)。この時のフレームの内容は図6(A)左側図に示すようになりブロードキャストのため、ヘッダ中の送信先MACアドレスは「BC_Add」となる。一方、中継装置1Aは、無線モジュール105AでARP要求フレームを受信すると、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレス情報「00:00:00:FF:00:01」と送信元IPアドレス情報「192.168.01」とを抽出し、抽出した送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報を抽出アドレス記憶部131に記憶させる(ステップS2)。なお、図6(A)に示すように、ARP要求フレームのイーサネットヘッダには、送信先MACアドレス「DSTMAC」、送信元MACアドレス「SRCMAC」を示す情報が含まれる。また、IPv4、IPv6に基づくIPヘッダを含むイーサネットペイロードには、送信元MACアドレス「SenderMAC」、送信元IPアドレス「SenderIP」、MACアドレス情報の要求先の要求先MACアドレス「TargetMAC」、要求先IPアドレス「TargetIPアドレス」を示す情報が含まれる。
【0026】
次に、中継装置1Aは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Aの無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS3)。そして、中継装置1Aは、ARP要求フレームのイーサネットヘッダに含まれる送信元MACアドレス「SRCMAC」およびイーサネットペイロードに含まれる送信元MACアドレス「SenderMAC」の両方を、図6(A)右側図に示すように、端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」から無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」へ変換する。図5に戻って、続いて、変換後のARP要求フレームが、中継装置1A(STA側の無線モジュール105B)から中継装置1B(AP側の無線モジュール105C)へ送信される(ステップS4)。
【0027】
一方、中継装置1Bが、変換後のAPR要求フレームを受信すると、受信したARP要求フレームが、中継装置1Bから中継装置1Bに対応するセル内に存在する端末装置3Bへブロードキャストされる(ステップS5)。一方、端末装置3Bは、自装置宛のARP要求フレームを受信すると、自装置のMACアドレス情報「00:00:00:FF:00:02」を含むAPR応答フレームを生成する(ステップS6)。ここで、端末装置3Bは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレスと同一のMACアドレスを、送信先MACアドレスに設定したARP応答フレームを生成する。具体的には、端末装置3Bは、図6(B)の左側図に示すように、送信先MACアドレス「DSTMAC」を中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」に設定したARP応答フレームを生成する。図5に戻って、その後、生成されたARP応答フレームが、端末装置3Bから中継装置1Bへ送信される(ステップS7)。
【0028】
一方、中継装置1Bが、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームが、送信先MACアドレス「DSTMAC」に基づいて、中継装置1B(AP側の無線モジュール105C)から中継装置1A(STA側モジュール105B)へ送信される(ステップS8)。このとき、中継装置1Bは、受信したARP応答フレームを、無線モジュール105Cを介して中継装置1Aへ送信する。一方、中継装置1Aは、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131がステップS2で記憶した送信元MACアドレス情報(即ち、端末装置3AのMACアドレス)に変換する(ステップS9)。具体的には、中継装置1Aは、図6(B)の右側図に示すように、ARP応答フレームのイーサネットヘッダに含まれる送信先MACアドレス「DSTMAC」を、無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」から端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」へ変換する。中継装置1AがこのようなARP応答フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり、且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶されたARP要求フレームの送信元IPアドレスと一致する場合である。図5に戻って、次に、図6(B)右側図に示す変換後のARP応答フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1A(AP側の無線モジュール105A)から端末装置3Aへ送信される(ステップS10)。一方、端末装置3Aは、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームから端末装置3BのMACアドレス情報を抽出し、抽出したMACアドレス情報を端末装置3BのIPアドレス情報に対応づけてARPテーブル記憶部(不図示)に記憶させる(ステップS11)。
【0029】
続いて、端末装置3Aは、インターネット層において端末装置3Bへ接続を確立することを要求するための接続要求フレームを生成する(ステップS12)。ここで、端末装置3Aは、接続要求フレームの送信先MACアドレスを、ARP応答フレームから抽出したMACアドレス(ARPテーブル記憶部に記憶されたMACアドレス)に設定した接続要求フレームを生成する。具体的には、端末装置3Aは、図6(C)左側図に示すように、送信先MACアドレス「DSTMAC」を端末装置3BのMACアドレス「00:00:00:FF:00:02」に設定した接続要求フレームを生成する。図5に戻って、その後、生成された接続要求フレームが、端末装置3Aから中継装置1Aへ送信される(ステップS13)。
【0030】
一方、中継装置1A(AP側の無線モジュール105A)が、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームの送信元MACアドレスを、無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS14)。ここで、中継装置1Aは、図6(C)右側図に示すように、接続要求フレームの送信元MACアドレス「SRCMAC」を、端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」から中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」へ変換する。次に、図7に示すように、図6(C)右側図に示す変換後の接続要求フレームが、中継装置1A(STA側の無線モジュール105B)から中継装置1B(AP側の無線モジュール105C)へ送信される(ステップS15)。一方、中継装置1Bが、変換後の接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1B(AP側の無線モジュール105C)から端末装置3Bへ送信される(ステップS16)。
【0031】
一方、端末装置3Bは、自装置宛の接続要求フレームを受信すると、送信元MACアドレスが自装置のMACアドレスに設定された接続応答フレーム(ACK(ACKnowledge)フレーム)を生成する(ステップS17)。ここで、端末装置3Bは、受信した接続要求フレームの送信元MACアドレスと同一のMACアドレスを、送信先MACアドレスに設定した接続応答フレームを生成する。具体的には、端末装置3Bは、図8(A)左側図に示すように、送信先MACアドレス「DSTMAC」を中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」に設定した接続応答フレームを生成する。図7に戻って、続いて、生成された接続応答フレームが、端末装置3Bから中継装置1Bへ送信される(ステップS18)。
【0032】
一方、中継装置1B(AP側の無線モジュール105C)が、接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームは、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Bから中継装置1Aへ送信される(ステップS19)。このとき、中継装置1Bは、受信した接続応答フレームを、無線モジュール105Cを介して中継装置1A(STA側の無線モジュール105B)へ送信する。このとき、中継装置1Aは、自装置の無線モジュール105Bを介して接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する、端末装置3AからのARP要求フレームにおける送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換する(ステップS20)。具体的には、中継装置1Aは、図8(A)右側図に示すように、接続応答フレームのイーサネットヘッダに含まれる送信先MACアドレス「DSTMAC」を、無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」から端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」へ変換する。中継装置1Aがこのような接続応答フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり、且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された接続要求フレームの送信元IPアドレスと一致する場合である。図7に戻って、その後、図8(A)右側図に示す変換後の接続応答フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1A(AP側の無線モジュール105A)から端末装置3Aへ送信される(ステップS21)。
【0033】
その後、図7には図示しないが、端末装置3Aは、接続応答フレームを受信すると、データフレームの送信を開始することを端末装置3Bに通知するための送信開始通知フレームを生成する。そして、生成された送信開始通知フレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Aから端末装置3Bへ送信される。このようにして、端末装置3A、3B間で3ウェイハンドシェイクによる接続が確立する。次に、データフレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Aから端末装置3Bへ送信される。
【0034】
次に、端末装置3Aが、端末装置3Cへデータフレームを送信する場合について説明する。なお、以下の説明では、中継装置1A、1B、1Cの送受信における無線モジュール105A、105B、105C、105D、105E、105Fの記載を適宜省略する。端末装置3AのARPテーブルに端末装置3CのMACアドレスが登録されていない場合、図5に示したのと同様、端末装置3Aが端末装置3Cへデータフレームを送信する通信処理を開始すると、まず、前述のステップS1からS4までと同じ処理(不図示)が実行され、ARP要求フレームが中継装置1Bに到達する。その後、図7の破線より下部に示すように、中継装置1Bは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報とを抽出し、抽出した送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報を抽出アドレス記憶部131に記憶させる(ステップS22)。続いて、中継装置1Bは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Bの無線モジュール105Dを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS23)。具体的には、中継装置1Bは、ARP要求フレームの送信元MACアドレス「SRCMAC」、「SenderMAC」の両方を、図8(B)右側図に示す変換後のフレームのように、中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」から中継装置1Bの無線モジュール105DのMACアドレス「00:00:00:00:00:02」へ変換する。図7に戻って、続いて、変換後のARP要求フレームが、中継装置1Bから中継装置1Cへ送信される(ステップS24)。
【0035】
一方、中継装置1Cが、図8(B)右側図に示す変換後のAPR要求フレームを受信すると、受信したARP要求フレームが、中継装置1Cから中継装置1Cに対応するセル内に存在する端末装置3Cへブロードキャストされる(ステップS25)。一方、端末装置3Cは、自装置宛のARP要求フレームを受信すると、自装置のMACアドレス情報を含むARP応答フレームを生成する(ステップS26)。ここで、端末装置3Cは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレスを、送信先MACアドレスに設定したARP応答フレームを生成する。具体的には、端末装置3Cは、図8(C)左側図に示すように、送信先MACアドレス「DSTMAC」を中継装置1BのMACアドレス「00:00:00:00:00:02」に設定したARP応答フレームを生成する。図7に戻って、その後、生成されたARP応答フレームが、端末装置3Cから中継装置1Cへ送信される(ステップS27)。
【0036】
一方、中継装置1Cが、ARP応答フレームを受信すると、図9に示すように、受信したARP応答フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Cから中継装置1Bへ送信される(ステップS28)。このとき、中継装置1Cは、受信したARP応答フレームを、無線モジュール105Eを介して中継装置1Bへ送信する。一方、中継装置1Bは、自装置の無線モジュール105Dを介してARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームの送信先MACアドレスを、ステップS22で抽出アドレス記憶部131が記憶した送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレス(即ち、中継装置1AのモジュールMACアドレス)に変換する(ステップS29)。具体的には、中継装置1Bは、図8(C)右側図に示すように、ARP応答フレームのイーサネットヘッダに含まれる送信先MACアドレス「DSTMAC」、「SenderMAC」を、中継装置1Bの無線モジュール105DのMACアドレス「00:00:00:00:00:02」から中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」へ変換する。中継装置1BがこのようなARP応答フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり、且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶されたARP要求フレームの送信元IPアドレスと一致する場合である。図9に戻って、その後、図8(C)右側図に示す変換後のARP応答フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Bから中継装置1Aへ送信される(ステップS30)。
【0037】
一方、中継装置1Aは、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する、ARP応答フレームにおいて送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレス(すなわち、端末装置3AのMACアドレス)に変換する(ステップS31)。具体的には、中継装置1Aは、図10(A)左側図に示すように、ARP応答フレームのイーサネットヘッダに含まれる送信先MACアドレスを、無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」から端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」へ変換する。中継装置1AがこのようなARP応答フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合である。次に、変換後のARP応答フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1Aから端末装置3Aへ送信される(ステップS32)。一方、端末装置3Aは、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームから端末装置3CのMACアドレス情報を抽出し、抽出したMACアドレス情報を端末装置3CのIPアドレス情報に対応づけてARPテーブル記憶部(不図示)に記憶させる(ステップS33)。
【0038】
続いて、端末装置3Aは、インターネット層において端末装置3Cへ接続を確立することを要求するための接続要求フレームを生成する(ステップS34)。ここで、端末装置3Aは、接続フレームの送信先MACアドレスを、ARP応答フレームから抽出した端末装置3CのMACアドレスに設定した接続要求フレームを生成する。具体的には、端末装置3Aは、図10(B)左側図に示すように、送信先MACアドレス「DSTMAC」を端末装置3CのMACアドレス「00:00:00:FF:00:03」に設定した接続要求フレームを生成する。図9に戻って、その後、生成された接続要求フレームが、端末装置3Aから中継装置1Aへ送信される(ステップS35)。
【0039】
一方、中継装置1Aが、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームの送信元MACアドレスを、無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS36)。ここで、中継装置1Aは、図10(B)右側図に示すように、接続要求フレームの送信元MACアドレス「SRCMAC」を、端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」から無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」へ変換する。図9に戻って、その後、変換後の接続要求フレームが、中継装置1Aから中継装置1Bへ送信される(ステップS37)。一方、中継装置1Bが、図10(C)左側図に示す変換後の接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Bの無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS38)。具体的には、中継装置1Bは、図10(C)右側図に示すように、接続要求フレームの送信元MACアドレス「SRCMAC」を、中継装置1AのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」から中継装置1Bの無線モジュール105DのMACアドレス「00:00:00:00:00:02」へ変換する。図9に戻って、その後、変換後の接続要求フレームが、中継装置1Bから中継装置1Cへ送信される(ステップS39)。一方、中継装置1Cが、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームが、その送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Cから端末装置3Cへ送信される(ステップS40)。
【0040】
一方、端末装置3Cは、自装置宛の接続要求フレームを受信すると、送信元MACアドレスが自装置のMACアドレスに設定された接続応答フレーム(ACKフレーム)を生成する(ステップS41)。ここで、端末装置3Cは、受信した接続要求フレームの送信元MACアドレス「SRCMAC」と同一のMACアドレスを、送信先MACアドレス「DSTMAC」に設定した接続応答フレームを生成する。具体的には、端末装置3Cは、図10(D)左側図に示すように、送信先MACアドレス「DSTMAC」を中継装置1BのMACアドレス「00:00:00:00:00:02」に設定した接続応答フレームを生成する。続いて、図11に示すように、生成された接続応答フレームが、端末装置3Cから中継装置1Cへ送信される(ステップS42)。
【0041】
一方、中継装置1Cが、接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Cから中継装置1Bへ送信される(ステップS43)。このとき、中継装置1Cは、受信した接続応答フレームを、無線モジュール105Eを介して中継装置1Bへ送信する。
【0042】
一方、中継装置1Bは、自装置の無線モジュール105Dを介して接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する、ARP要求フレームにおける送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換する(ステップS44)。具体的には、中継装置1Bは、図10(D)右側図に示すように、接続応答フレームの送信先MACアドレス「DSTMAC」を、無線モジュール105DのMACアドレス「00:00:00:00:00:02」から中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」へ変換する。中継装置1Bがこのような接続応答フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合である。その後、変換後の接続要求フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Bから中継装置1Aへ送信される(ステップS45)。
【0043】
一方、中継装置1Aは、接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換する(ステップS46)。具体的には、中継装置1Aは、図12に示すように、接続応答フレームの送信先MACアドレス「DSTMAC」を、無線モジュール105BのMACアドレス「00:00:00:00:00:01」から端末装置3AのMACアドレス「00:00:00:FF:00:01」へ変換する。中継装置1Aがこのような接続応答フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合である。図11に戻って、その後、変換後の接続応答フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1Aから端末装置3Aへ送信される(ステップS47)。
【0044】
その後、図11には図示しないが、端末装置3Aは、接続応答フレームを受信すると、データフレームの送信を開始することを端末装置3Cに通知するための送信開始通知フレームを生成する。そして、生成された送信開始通知フレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Aから端末装置3Cへ送信される。このようにして、端末装置3A、3C間で3ウェイハンドシェイクによる接続が確立する。次に、データフレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Cへ送信される。
【0045】
次に、端末装置3Bが、端末装置3Aへデータフレームを送信する場合について説明する。なお、以下に説明する実施の形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である、図13から図16における処理については、APR要求フレーム、APR応答フレーム、接続要求フレーム、および接続応答フレームにおける生成ならびにフレーム内のアドレス変換の説明は上述したとおりであり、詳細な説明を省略する。
【0046】
端末装置3BのARPテーブルに端末装置3AのMACアドレスが登録されていない場合、図13に示すように、端末装置3Bは、端末装置3Aへデータフレームを送信する通信処理を開始すると、端末装置3AのMACアドレスを取得するためのAPR要求フレームが、端末装置3Bからブロードキャストされて中継装置1Bへ送信される(ステップS51)。一方、中継装置1Bが、ARP要求フレームを受信すると、受信したARP要求フレームが、中継装置1Bから中継装置1Aへブロードキャストされる(ステップS52)。このとき、中継装置1Bは、受信したARP応答フレームを、無線モジュール105Cを介して中継装置1Aへ送信する。ここで、中継装置1Aが受信したARP応答フレームの送信先MACアドレスが、ブロードキャスト用のMACアドレスに設定されているので、ARP要求フレームが、中継装置1Aから端末装置3Aへブロードキャストされる(ステップS53)。このとき、中継装置1Aは、受信したARP応答フレームを、無線モジュール105Aを介して端末装置3Aへ送信する。ステップS51からS53までの流れは、端末装置3Bから出たARP要求フレームが、AP側モジュールからSTA側モジュールへブロードキャストされているのであり、MACアドレスの記憶・変換はされない。
【0047】
一方、端末装置3Aは、自装置宛のARP要求フレームを受信すると、自装置のMACアドレス情報を含むAPR応答フレームを生成する(ステップS54)。ここで、端末装置3Aは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレスを、送信先MACアドレスに設定したARP応答フレームを生成する。続いて、生成されたARP応答フレームが、端末装置3Aから中継装置1Aへ送信される(ステップS55)。
【0048】
一方、中継装置1Aは、無線モジュール105AでARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームの送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報とを抽出し、抽出した送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報を抽出アドレス記憶部131に記憶させる(ステップS56)。その後、中継装置1Aは、受信したARP応答フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Aの無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS57)。次に、変換後のARP応答フレームが、中継装置1Aから中継装置1Bへ送信される(ステップS58)。このとき、中継装置1Aは、変換後のARP応答フレームを、無線モジュール105Bを介して中継装置1Bへ送信する。続いて、変換後のARP応答フレームが、中継装置1Bから端末装置3Bへ送信される(ステップS59)。一方、端末装置3Bは、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームから端末装置3AのMACアドレス情報を抽出し、抽出したMACアドレス情報を端末装置3AのIPアドレス情報に対応づけてARPテーブル記憶部(不図示)に記憶させる(ステップS60)。
【0049】
続いて、端末装置3Bは、インターネット層において端末装置3Aへ接続を確立することを要求するための接続要求フレームを生成する(ステップS61)。ここで、端末装置3Bは、接続フレームの送信先MACアドレスを、ARP応答フレームから抽出した中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレスに設定した接続要求フレームを生成する。その後、生成された接続要求フレームが、端末装置3Bから中継装置1Bへ送信される(ステップS62)。一方、中継装置1Bが、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Aへ送信される(ステップS63)。一方、中継装置1Aは、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換する(ステップS64)。具体的には、中継装置1Aは、接続要求フレームの送信先MACアドレスを、無線モジュール105BのMACアドレスから端末装置3AのMACアドレスへ変換する。中継装置1Aがこのような接続要求フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合である。次に、図14に示すように、変換後の接続要求フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1Aから端末装置3Aへ送信される(ステップS65)。
【0050】
一方、端末装置3Aは、自装置宛の接続要求フレームを受信すると、送信元MACアドレスが自装置のMACアドレスに設定された接続応答フレーム(ACKフレーム)を生成する(ステップS66)。続いて、生成された接続応答フレームが、端末装置3Aから中継装置1Aへ送信される(ステップS67)。一方、中継装置1Aは、受信した接続応答フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Aの無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS68)。その後、変換後の接続応答フレームが、中継装置1Aから中継装置1Bへ送信される(ステップS69)。このとき、中継装置1Aは、変換後の接続応答フレームを、無線モジュール105Bを介して中継装置1Bへ送信する。一方、中継装置1Bが、接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームが、中継装置1Bから端末装置3Bへ送信される(ステップS70)。
【0051】
その後、図14に図示しないが、端末装置3Bは、接続応答フレームを受信すると、データフレームの送信を開始することを端末装置3Aに通知するための送信開始通知フレームを生成する。そして、生成された送信開始通知フレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Bから端末装置3Aへ送信される。このようにして、端末装置3A、3B間で3ウェイハンドシェイクによる接続が確立する。次に、データフレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Bから端末装置3Aへ送信される。
【0052】
次に、端末装置3Cが、端末装置3Aへデータフレームを送信する場合について説明する。端末装置3CのARPテーブルに端末装置3AのMACアドレスが登録されていない場合、図15に示すように、端末装置3Cは、端末装置3Aへデータフレームを送信する通信処理を開始すると、端末装置3AのMACアドレスを取得するためのAPR要求フレームが、端末装置3Cからブロードキャストされて中継装置1Cへ送信される(ステップS71)。一方、中継装置1Cが、ARP要求フレームを受信すると、受信したARP要求フレームが、中継装置1Cから中継装置1Bへブロードキャストされる(ステップS72)。このとき、中継装置1Cは、受信したARP要求フレームを、無線モジュール105Eを介して中継装置1Bへ送信する。中継装置1Bが受信したARP要求フレームは、中継装置1Bから中継装置1Aへブロードキャストされる(ステップS73)。中継装置1Aが受信したARP要求フレームは、中継装置1Aから端末装置3Aへブロードキャストされる(ステップS74)。このとき、中継装置1Aは、受信したARP要求フレームを、無線モジュール105Aを介して端末装置3Aへ送信する。ステップS71からS74までの流れは、端末装置3Cから出たARP要求フレームが、中継装置1CのAP側の無線モジュール105Eを介して、各中継装置(中継装置1Bおよび1A)のSTA側モジュールで受信し、各中継装置のAP側の無線モジュールへ次々とブロードキャストされているのであり、MACアドレスの記憶・変換はなされない。
【0053】
一方、端末装置3Aは、自装置宛のARP要求フレームを受信すると、自装置のMACアドレス情報を含むAPR応答フレームを生成する(ステップS75)。ここで、端末装置3Cは、受信したARP要求フレームの送信元MACアドレスと同一のMACアドレスを、送信先MACアドレスに設定したARP応答フレームを生成する。次に、生成されたARP応答フレームが、端末装置3Aから中継装置1Aへ送信される(ステップS76)。
【0054】
一方、中継装置1Aは、無線モジュール105AでARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームの送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報とを抽出し、抽出した送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報を抽出アドレス記憶部131に記憶させる(ステップS77)。続いて、中継装置1Aは、受信したARP応答フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Aの無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS78)。その後、変換後のARP応答フレームが、中継装置1Aから中継装置1Bへ送信される(ステップS79)。一方、中継装置1Bは、無線モジュール105CでARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームの送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報とを抽出し、抽出した送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報を抽出アドレス記憶部131に記憶させる(ステップS80)。次に、中継装置1Bは、受信したARP応答フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Bの無線モジュール105Dを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS81)。続いて、変換後のARP応答フレームが、中継装置1Bから中継装置1Cへ送信される(ステップS82)。このとき、中継装置1Bは、変換後のARP応答フレームを、無線モジュール105Dを介して中継装置1Cへ送信する。続いて、変換後のARP応答フレームが、中継装置1Cから端末装置3Cへ送信される(ステップS83)。一方、端末装置3Cは、ARP応答フレームを受信すると、受信したARP応答フレームから端末装置3AのMACアドレス情報を抽出し、抽出したMACアドレス情報を端末装置3AのIPアドレス情報に対応づけてARPテーブル記憶部に記憶させる(ステップS84)。
【0055】
その後、端末装置3Cは、図16に示すように、インターネット層において端末装置3Aへ接続を確立することを要求するための接続要求フレームを生成する(ステップS85)。ここで、端末装置3Cは、接続フレームの送信先MACアドレスを、ARP応答フレームから抽出した中継装置1Bの無線モジュール105DのMACアドレスに設定した接続要求フレームを生成する。次に、生成された接続要求フレームが、端末装置3Cから中継装置1Cへ送信される(ステップS86)。一方、中継装置1Cが、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームが、送信先MACアドレスに基づいて、中継装置1Bへ送信される(ステップS87)。一方、中継装置1Bは、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換する(ステップS88)。具体的には、中継装置1Bは、接続要求フレームの送信先MACアドレスを、無線モジュール105DのMACアドレスから中継装置1Aの無線モジュール105BのMACアドレスへ変換する。中継装置1Bがこのような接続要求フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合である。次に、変換後の接続要求フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1Bから中継装置1Aへ送信される(ステップS89)。
【0056】
一方、中継装置1Aは、接続要求フレームを受信すると、受信した接続要求フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131が記憶する送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換する(ステップS90)。具体的には、中継装置1Aは、接続要求フレームの送信先MACアドレスを、無線モジュール105BのMACアドレスから端末装置3AのMACアドレスへ変換する。中継装置1Aがこのような接続要求フレームの送信先MACアドレスの変換を行うのは、送信先MACアドレスが自装置であり且つ送信先IPアドレスが抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致する場合である。続いて、変換後の接続要求フレームが、変換後のMACアドレスに基づいて、中継装置1Aから端末装置3Aへ送信される(ステップS91)。
【0057】
一方、端末装置3Aは、自装置宛の接続要求フレームを受信すると、送信元MACアドレスが自装置のMACアドレスに設定された接続応答フレーム(ACKフレーム)を生成する(ステップS92)。その後、生成された接続応答フレームが、端末装置3Aから中継装置1Aへ送信される(ステップS93)。一方、中継装置1Aは、受信した接続応答フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Aの無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS94)。次に、変換後の接続応答フレームが、中継装置1Aから中継装置1Bへ送信される(ステップS95)。このとき、中継装置1Aは、変換後のARP応答フレームを、無線モジュール105Bを介して中継装置1Bへ送信する。一方、中継装置1Bは、受信した接続応答フレームの送信元MACアドレスを、中継装置1Bの無線モジュール105Dを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS96)。続いて、変換後の接続応答フレームが、中継装置1Bから中継装置1Cへ送信される(ステップS97)。このとき、中継装置1Bは、変換後の接続応答フレームを、無線モジュール105Dを介して中継装置1Cへ送信する。一方、中継装置1Cが、接続応答フレームを受信すると、受信した接続応答フレームが、中継装置1Cから端末装置3Cへ送信される(ステップS98)。
【0058】
その後、端末装置3Cは、接続応答フレームを受信すると、データフレームの送信を開始することを端末装置3Aに通知するための送信開始通知フレームを生成する。そして、生成された送信開始通知フレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Cから端末装置3Aへ送信される。このようにして、端末装置3A、3C間で3ウェイハンドシェイクによる接続が確立する。次に、データフレームが、前述の接続要求フレームと同様のシーケンスで端末装置3Cから端末装置3Aへ送信される。
【0059】
次に、本実施の形態に係る中継装置1Aが実行する中継処理について図17および図18を参照しながら詳細に説明する。この中継処理は、例えば中継装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。なお、以下、無線モジュール105Aを「AP側の無線モジュール」と称し、無線モジュール105Bを「STA側の無線モジュール」と称する。また、前述のARP要求フレーム、ARP応答フレーム、接続要求フレーム、接続応答フレームおよび送信開始通知フレームを、纏めてフレームと称する。
【0060】
まず、図17に示すように、フレーム取得部111は、フレームを無線モジュール105A、105Bから取得したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、フレーム取得部111は、フレームを無線モジュール105A、105Bから取得していないと判定する限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0061】
一方、フレーム取得部111は、フレームを取得したと判定すると(ステップS101:Yes)、取得したフレームをフレームバッファ121に記憶させる(ステップS102)。このとき、フレーム取得部111は、取得したフレームをアドレス抽出部112に通知する。次に、アドレス抽出部112は、フレームがAP側の無線モジュール105Aにより受信されたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、アドレス抽出部112は、フレームに含まれるモジュールMACアドレスを抽出する。そして、アドレス抽出部112は、モジュールアドレス記憶部132が記憶するモジュールMACアドレス情報を参照して、抽出したモジュールMACアドレスがAP側の無線モジュール105AのモジュールMACアドレスと一致する場合、当該フレームがAP側の無線モジュール105Aにより受信されたと判定する。一方、アドレス抽出部112は、抽出したモジュールMACアドレスがSTA側の無線モジュール105BのモジュールMACアドレスと一致する場合、当該フレームがSTA側の無線モジュール105Bにより受信されたと判定する。
【0062】
ここで、アドレス抽出部112は、フレームがAP側の無線モジュール105Aにより受信されたと判定すると(ステップS103:Yes)、フレームを受信した無線モジュール105Aの無線モジュール識別情報と、当該フレームを識別するフレーム識別情報と、をアドレス変換部113および送信制御部114に通知する。
【0063】
続いて、送信制御部114は、フレームを自装置の配下の端末装置3Aから取得したか否かを判定する(ステップS104)。ここで、送信制御部114が、フレームを自装置の配下の端末装置3Aから取得したものと判定すると(ステップS104:Yes)、後述のステップS106の処理が実行される。一方、送信制御部114は、フレームを自装置の配下の端末装置3Aから取得したものではない(他の中継装置のSTA側の無線モジュールからの受信によるもの)と判定すると(ステップS104:No)、当該フレームを自装置の配下の端末装置3Aへ送信するか否かを判定する(ステップS105)。送信制御部114が、フレームを自装置の配下の端末装置3Aへ送信すると判定すると(ステップS105:Yes)、後述のステップS114の処理が実行される。一方、送信制御部114が、フレームを自装置の配下の端末装置3Aへ送信しない(STA側の無線モジュール105Bを介して他の中継装置に送信する)と判定すると(ステップS105:No)、ステップS107の処理を行う。
【0064】
ステップS106では、フレームをAP側の無線モジュール105Aを使用して送信するか否かを判定する。ここで、送信制御部114が、フレームをAP側の無線モジュール105Aを使用して送信すると判定すると(ステップS106:Yes)、後述のステップS114の処理が実行される。一方フレームをAP側の無線モジュール105Aを使用して送信しない(STA側の無線モジュール105Bを使用して送信する)と判定すると(ステップS106:No)、ステップS107の処理に移る。
【0065】
ステップS107では、アドレス抽出部112は、フレーム取得部111から通知されたフレームに含まれる送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報とを抽出し、抽出した送信元MACアドレス情報と送信元IPアドレス情報を抽出アドレス記憶部131に記憶させる(ステップS107)。次に、アドレス変換部113は、フレームバッファ121が記憶する、アドレス抽出部112から通知されたフレーム識別情報で識別されるフレームの送信元MACアドレスを、無線モジュール105Bを識別するモジュールMACアドレスに変換する(ステップS108)。続いて、送信制御部114は、送信元MACアドレスが変換された変換後のフレームをSTA側の無線モジュール105Bへ転送する(ステップS109)。このとき、STA側の無線モジュール105Bは、転送されてきたフレームを予め決められた他の中継装置1Bへ送信する。その後、再びステップS101の処理が実行される。
【0066】
一方、ステップS103において、フレームがSTA側の無線モジュール105Bにより受信されたと判定した場合(ステップS103:No)、アドレス抽出部112は、フレームを受信した無線モジュール105Bの無線モジュール識別情報と、当該フレームを識別するフレーム識別情報と、をアドレス変換部113および送信制御部114に通知する。その後、アドレス変換部113は、フレームバッファ121が記憶する、アドレス抽出部112から通知されたフレーム識別情報で識別されるフレームの送信先IPアドレスが、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致するか否かを判定する(ステップS110)。ここで、アドレス変換部113が、アドレス抽出部112から通知されたフレーム識別情報で識別されるフレームの送信先IPアドレスが、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと一致すると判定したとする(ステップS110:Yes)。この場合、アドレス変換部113は、当該フレームの送信先MACアドレスを、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスに対応づけられた送信元MACアドレスに変換する(ステップS111)。ここで、アドレス変換部113は、送信先MACアドレスを変換した変換後のフレームを送信制御部114に通知する。次に、送信制御部114は、フレームを、AP側の無線モジュール105Aへ転送する(ステップS112)。このとき、AP側の無線モジュール105Aは、転送されてきたフレームをその送信先に基づいて配下の端末装置3Aまたは他の中継装置へ送信する。続いて、再びステップS101の処理が実行される。
【0067】
また、ステップS110において、アドレス変換部113が、アドレス抽出部112から通知されたフレーム識別情報で識別されるフレームの送信先IPアドレスが、抽出アドレス記憶部131に記憶された送信元IPアドレスと異なる、或いは、抽出アドレス記憶部131が送信元MACアドレス情報を記憶していないと判定したとする(ステップS110:No)。この場合、図18に示すように、アドレス変換部113は、当該フレームの送信先MACアドレスを、ブロードキャスト用のMACアドレスに変換する(ステップS113)。ここで、アドレス変換部113は、当該フレームの送信先MACアドレスが既にブロードキャスト用のMACアドレスに設定されている場合には送信先MACアドレスをブロードキャスト用のMACアドレスで維持する。そして、送信制御部114は、フレームを、AP側の無線モジュール105Aへ転送する。その後、AP側の無線モジュール105Aは、転送されてきたフレームをMACアドレスの変更なしに、所定の宛先へと送信、またはブロードキャストを行う(ステップS114)。続いて、再びステップS101の処理が実行される。
【0068】
以上、図5から図18を用いて説明した処理をより一般化させるため、本発明の実施の形態にかかる中継装置が処理するフレームの扱いを、フレームを受信する無線モジュールの種類、フレームを送信する無線モジュールの種類および送信先の端末装置または中継装置に場合分けして整理した表を図19に示す。
【0069】
図19に示すように、まず、中継装置のAP側の無線モジュールがフレームを受信するのは、そのフレームの送信元が他の中継装置(STA側の無線モジュール)の場合、フレームの送信元が自装置の配下の端末装置の場合、フレームの送信先が他の中継装置(AP側の無線モジュールまたはSTA側の無線モジュール)の場合、フレームの送信先が自装置の配下の端末装置の場合のそれぞれに応じて現実には4つのケースに分けられる。このうち、自装置の配下の端末装置から受信したフレームを他の中継装置に送信する場合、および、他の中継装置から受信したフレームを他の中継装置に送信する場合の2つの場合において、送信元のMACアドレスを抽出アドレス記憶部131に記憶し、かつ、自装置の(STA側)の無線モジュールのMACアドレスに変更するという処理が、フレームの種類によらず発生する。
【0070】
一方、STA側の無線モジュールがフレームを受信するのは、他の中継装置(AP側の無線モジュール)から送信されるフレームに限られる。そして、受信したフレームの送信先が他の中継装置(STA側の無線モジュール)の場合と、受信したフレームをAP側の無線モジュールを使用して自装置の配下の端末装置へ送信する場合と、の2通りのいずれの場合においても、送信先MACアドレスを、自装置の抽出アドレス記憶部131に記憶していたMACアドレス(配下の端末装置に送信する場合は、すなわち端末装置のMACアドレス)に変更するという処理が発生する。但し、この処理は、APR要求フレーム等のブロードキャストされるフレームの場合には行われず、この場合、フレームがそのまま転送される。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態に係る中継装置1によれば、アドレス抽出部112が、ARP要求フレーム、接続要求フレームの送信元MACアドレス情報を抽出して抽出アドレス記憶部131に記憶させる。また、アドレス変換部113は、ARP要求フレーム、接続要求フレームについて、送信元MACアドレスをモジュールMACアドレスに変換して変換後のARP要求フレーム、接続要求フレームを生成する。また、アドレス変換部113は、ARP応答フレーム、接続応答フレームについて、ARP要求フレーム、接続要求フレームの送信先MACアドレスを、ARP要求フレームや接続要求フレーム処理時に抽出アドレス記憶部131が記憶した送信元MACアドレス情報が示す送信元MACアドレスに変換して変換後のARP応答フレーム、接続応答フレームを生成する。そして、送信制御部114は、フレーム取得部111がARP要求フレーム、接続要求フレームを取得すると、ARP要求フレーム、接続要求フレームを無線モジュール105Aから端末装置3へ送信させるよう制御する。また、送信制御部114は、変換後のARP要求フレーム、接続要求フレームを無線モジュール105Bから他の中継装置1へ送信させるよう制御する。更に、送信制御部114は、フレーム取得部111がARP応答フレーム、接続応答フレームを取得すると、変換後のARP応答フレーム、接続応答フレームを無線モジュール105Aから他の中継装置1へ送信させるよう制御する。これにより、例えば3つの中継装置1(1A、1B、1C)それぞれから他の中継装置1へARP要求フレーム、接続要求フレーム、ARP応答フレームまたは接続応答フレームを送信する際、ARP要求フレーム、接続要求フレーム、ARP応答フレームまたは接続応答フレームの送信先MACアドレスを他の中継装置1のMACアドレスに設定して送信することができる。即ち、ARP要求フレーム、接続要求フレーム、ARP応答フレームまたは接続応答フレームの送信元の中継装置1は、自装置をいわゆる親機、他の中継装置1をいわゆる子機として、ARP要求フレーム、接続要求フレーム、ARP応答フレームまたは接続応答フレームを他の中継装置1へ送信できる。従って、3つのいわゆる親機として機能する中継装置1が、それぞれ、他の親機として機能する中継装置1との間でフレームを送受信する親機間通信機能(例えばWDS機能)を備えていなくても3つの中継装置1の相互でフレームの送受信が可能となる。それ故、ネットワークを構成する中継装置1への新たな中継装置1の追加が容易になるので、その分、ネットワークの拡張が容易になる。また、安価な構成で、親機間通信機能を実現できる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図20に示すように、1つだけの無線モジュール2105を備える中継装置2001であってもよい。なお、図20において、実施の形態と同様の構成については、図2(A)と同一の符号を付している。ここで、無線モジュール2105は、実施の形態で説明した無線モジュール105A、105Bと同様の構成を有する。本変形例に係る中継装置2001では、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、図21に示すように、フレーム取得部111、アドレス抽出部112、アドレス変換部113、送信制御部114、仮想AP2151Aおよび仮想STA2151Bとして機能する。なお、図21において、実施の形態と同様の構成については図3と同一の符号を付している。また、モジュールアドレス記憶部132は、仮想AP2151Aおよび仮想STA2151Bそれぞれに付与されたモジュールMACアドレスを示すモジュールMACアドレス情報を記憶する。
【0073】
仮想AP2151Aは、無線モジュール2105が受信したフレームの中から、送信先MACアドレスが仮想STA2151BのMACアドレス以外のMACアドレスに設定されているフレームを選出する。そして、仮想AP2151Aは、選出したフレームに仮想AP2151Aに付与されたモジュールMACアドレスを示すモジュールMACアドレス情報を付加してフレーム取得部111へ転送する。なお、仮想AP2151Aは、図2(A)の無線モジュール105Aが担う機能を、無線回路を動作させるためのソフトウェア(専用プログラム)によって実現される。
【0074】
仮想STA2151Bは、無線モジュール2105が受信したフレームの中から、送信先MACアドレスが仮想STA2151BのMACアドレスに設定されているフレームを選出する。そして、仮想STA2151Bは、選出したフレームに仮想STA2151Bに付与されたモジュールMACアドレスを示すモジュールMACアドレス情報を付加してフレーム取得部111へ転送する。なお、仮想STA2151Bは、図2(A)の無線モジュール105Bが担う機能を、無線回路を動作させるためのソフトウェア(専用プログラム)によって実現される。
【0075】
本構成によれば、無線モジュール2105を1つだけ備える構成とすることができるので、その分、中継装置2001のハードウェアの規模を縮小することができる。
【0076】
実施の形態では、2つの無線モジュール105A、105Bを備える中継装置1の例について説明したが、中継装置が備える無線モジュールの数は2つに限定されるものではない。例えば図22に示すように、中継装置3001が、ステーションとして機能する複数の無線モジュール105Bを備えるものであってもよい。なお、図22において、実施の形態と同様の構成については図3と同一の符号を付している。ここで、モジュールアドレス記憶部132は、ステーションとして機能する複数の無線モジュール105Bそれぞれに付与されたモジュールMACアドレスを記憶する。また、この中継装置3001では、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、フレーム取得部111、アドレス抽出部112、アドレス変換部3113、送信制御部3114およびモジュール選出部3115として機能する。モジュール選出部3115は、無線モジュール105Aが受信したフレームについて、複数の無線モジュール105Bの中から、当該フレームを他の中継装置へ送信する際に使用する無線モジュール105Bを選出する。
【0077】
アドレス変換部3113は、モジュールアドレス記憶部132が記憶する複数の無線モジュール105BそれぞれのモジュールMACアドレス情報の中から、モジュール選出部3115が選出した無線モジュール105BのMACアドレス情報を特定する。そして、アドレス変換部3113は、フレームの送信元MACアドレスを、特定した無線モジュール105BのモジュールMACアドレスに変換して変換後のフレームを生成する。そして、送信制御部3114は、変換後のフレームの送信元MACアドレス情報に基づいて、変換後のフレームをモジュール選出部3115が選出した無線モジュール105Bへ転送する。
【0078】
本構成によれば、複数のステーションとして機能する無線モジュール105Bにより複数の中継装置と同時に通信することが可能となる。
【0079】
本発明に係る中継装置1、2001、3001の各種機能は、専用のシステムによらず、無線通信モジュールを備えるコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する中継装置1、2001、3001を構成してもよい。
【0080】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線のサーバにアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する中継装置1、2001、3001として機能する。
【0081】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、無線ネットワーク構築のために使用される中継装置に好適である。
【符号の説明】
【0083】
1,1A,1B,1C,2001,3001:中継装置、3,3A,3B,3C:端末装置、101:CPU、102:主記憶部、103:補助記憶部、105A,105B,105C,105D,105E,105F,2105:無線モジュール、109:バス、111:フレーム取得部、112:アドレス抽出部、113,3113:アドレス変換部、114,3114:送信制御部、121:フレームバッファ、131:抽出アドレス記憶部、132:モジュールアドレス記憶部、2151A:仮想AP、2151B:仮想STA、3115:モジュール選出部、BR:ブリッジ、AC:アドレス管理部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図20
図21
図22