(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097534
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】黒色顔料
(51)【国際特許分類】
C09C 1/00 20060101AFI20230703BHJP
C01G 49/00 20060101ALI20230703BHJP
C09C 1/24 20060101ALI20230703BHJP
C09C 1/40 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
C09C1/00
C01G49/00 A
C09C1/24
C09C1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213704
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 辰治
(72)【発明者】
【氏名】永田 憲一
【テーマコード(参考)】
4G002
4J037
【Fターム(参考)】
4G002AA06
4G002AE01
4J037AA15
4J037AA25
4J037DD03
4J037DD05
4J037EE25
4J037EE28
4J037FF05
(57)【要約】
【課題】使い勝手に優れた黒色顔料を提供する。
【解決手段】本開示による黒色顔料は、複数の無機酸化物粒子を含有する。無機酸化物粒子は、X線回折分析において最大ピークを有する第1結晶としてヘルシナイト(FeAl
2O
4)を含有し、第2結晶としてヘルシナイト以外の結晶相を含有する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無機酸化物粒子を含有し、
該無機酸化物粒子は、
X線回折分析において最大ピークを有する第1結晶としてヘルシナイト(FeAl2O4)を含有し、第2結晶としてヘルシナイト以外の結晶相を含有する、黒色顔料。
【請求項2】
前記結晶相は、マグネタイト(Fe3O4)およびアルミナ(Al2O3)のうち少なくとも一方である、請求項1に記載の黒色顔料。
【請求項3】
Feの含有量が、Fe2O3換算で40質量%以上である、請求項1または2に記載の黒色顔料。
【請求項4】
比重が、4.7g/cm3未満である、請求項1~3のいずれか一つに記載の黒色顔料。
【請求項5】
L*が、30以下である、請求項1~4のいずれか一つに記載の黒色顔料。
【請求項6】
a*が、―0.6以上0.5以下であり、b*が、―0.5以上3.0以下である、請求項1~5のいずれか一つに記載の黒色顔料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は黒色顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
黒色顔料は、塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用等として用いられる。このような黒色顔料として、現在、カーボンブラックやマグネタイト(Fe3O4)をはじめとする酸化鉄系顔料、その他複合酸化物顔料が用途に応じて利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の黒色顔料には、使い勝手を向上させるという点でさらなる改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、使い勝手に優れた黒色顔料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による黒色顔料は、複数の無機酸化物粒子を含有する。無機酸化物粒子は、X線回折分析において最大ピークを有する第1結晶としてヘルシナイト(FeAl2O4)を含有し、第2結晶としてヘルシナイト以外の結晶相を含有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、使い勝手に優れた黒色顔料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本実施形態に係る黒色顔料、マグネタイトからなる顔料、カーボンブラックの室温時におけるa*b*表色を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、本実施形態に係る黒色顔料、マグネタイトからなる顔料、カーボンブラックを300℃で1時間熱処理した後のa*b*表色を示す図である。
【
図2】
図2は、試料No.1についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図3】
図3は、試料No.2についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図4】
図4は、試料No.3についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図5】
図5は、試料No.4についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図6】
図6は、試料No.5についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図7】
図7は、試料No.6についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図8】
図8は、試料No.7についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図9】
図9は、試料No.8についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図10】
図10は、試料No.9についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図11】
図11は、試料No.10についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図12】
図12は、試料No.11についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図13】
図13は、試料No.12についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【
図14】
図14は、試料No.13についてのX線回折測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示による黒色顔料を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
黒色顔料として、たとえばカーボンブラック、マグネタイト、チタン系黒色顔料(チタンブラック)等が知られている。カーボンブラックは、疎水性であるため使用環境が限られるという課題がある。マグネタイト(Fe3O4)は、比重が5.2と比較的重いため分散性に劣るという課題がある。チタンブラックは青みを帯びた黒色を呈する顔料であるが、比較的高価である。
【0011】
そこで、使い勝手に優れた黒色顔料が期待されている。
【0012】
本実施形態に係る黒色顔料は、複数の無機酸化物粒子を含有する。無機酸化物粒子は、X線回折分析において最大ピークを有する第1結晶として、ヘルシナイト(FeAl2O4)を含有し、第2結晶としてヘルシナイト以外の結晶相を含有する。かかる黒色顔料は不燃性であることから取り扱いが容易である。また、本実施形態に係る黒色顔料は、チタンブラックと比べて安価である。このような点から、本実施形態に係る黒色顔料は、使い勝手に優れている。
【0013】
本実施形態に係る黒色顔料に含有される無機酸化物粒子は、第1結晶からなる粒子と、第2結晶からなる粒子とが個別に存在するものではない。また、本実施形態に係る黒色顔料に含有される無機酸化物粒子は、第1結晶からなる粒子と、第2結晶からなる粒子とが物理的に混合されているものでもない。
【0014】
すなわち、本実施形態に係る黒色顔料に含有される無機酸化物粒子は、第1結晶と第2結晶とが、一つの粒子に含まれており、不可分の状態となっている。このような構成を有することにより、第1結晶と第2結晶は分離されることがない。顔料がこのような構成を有しているかどうかは、たとえば、SEMなどに付属するEDSにより確認することができる。元素分析により、一つの粒子に第1結晶を構成する元素と第2結晶を構成する元素とが含まれていれば、第1結晶と第2結晶とが、一つの粒子に含まれており、不可分の状態となっていると判断できる。なお、本開示の黒色顔料は、一部に、他の結晶のみからなる粒子を含有することを妨げるものではない。たとえば、本開示の黒色顔料は、アルミナ(Al2O3)のみからなる粒子、または、マグネタイト(Fe3O4)のみからなる粒子を含有していてもよい。
【0015】
無機酸化物粒子中にヘルシナイト相がある一定の割合以上含有されていると、黒色顔料の黒色度が高まるとともに波長として可視光領域から近赤外線領域まで吸収率が高くなる。これは、材料中に含まれるFeがFeOとして存在することにより、FeOが近赤外線を吸収するためである。近赤外線とは、800nm以上2500nm以下の波長を有する赤外線である。また、ヘルシナイト結晶の比重は4.4g/cm3とマグネタイト(Fe3O4)と比較して低いため、他の色材と混合する場合においても使い勝手が良い。
【0016】
本実施形態に係る黒色顔料は、明度指数L*(Lab色空間における明度を表す次元Lの値)が30以下であることが好ましい。さらに黒色度を高めるという観点から、黒色顔料の明度指数L*は、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
【0017】
本実施形態に係る黒色顔料の黒色度は、たとえばFeの含有量を制御することによって調整可能である。具体的には、Feの含有量を増加させ、真空焼成を行うことでヘルシナイトの生成比率を大きくすることができる。これにより、黒色度を高めることができる。
【0018】
本実施形態に係る黒色顔料は、可視光領域(400nm以上800nm以下の波長域)における拡散反射率が8%以下であることが好ましい。さらに黒色度を高める観点から、本実施形態に係る黒色顔料の可視光領域における拡散反射率は、5%以下であることが好ましい。
【0019】
本実施形態に係る黒色顔料は、近赤外線領域(800nm以上2000nm以下の波長域)における拡散反射率が8%以下であることが好ましい。これにより、太陽光などの光を効率的に吸収することができる。したがって、たとえば光熱変換材料や熱線遮蔽材料に適した黒色顔料を提供することができる。
【0020】
また、本実施形態に係る黒色顔料は、AlをAl2O3換算で60質量%以下含有し、FeをFe2O3換算で40質量%以上含有していてもよい。これにより、1400℃の合成温度でヘルシナイト(FeAl2O4)を47wt%以上形成することができる。このため、優れた耐熱性、扱い易い粉末性状を維持しつつ黒色度を付与することができる。なお、黒色度を高く維持する観点から、Feの含有量はFe2O3換算で60質量%以上であることが好ましい。
【0021】
さらに黒色度を高めるためには、材料に含まれる不純物を低減する、または、ヘルシナイトの生成比率を大きくするといった手法が用いられ得る。
【0022】
本実施形態に係る黒色顔料は、他の材料と混合されて使用されてもよい。たとえば、本実施形態に係る黒色顔料は、樹脂などと混合して、膜状やバルク状の形とされてもよい。
【0023】
特に、粒子状の黒色顔料は、溶剤に分散させてコーティング材や塗料などに用いることもできる。なお、塗料に用いる場合の黒色顔料の平均粒径は、分散性、塗布性の面から、0.1μm以上100μm以下とすることが好ましい。
【0024】
本実施形態に係る黒色顔料は、実質的にAl、Fe、Oを構成元素としてなることが望ましい。これにより最低限の構成元素により、黒色顔料を得ることができる。ここで、「実質的にAl、Fe、Oを構成元素としてなる」とは、原料にAl、Fe、O以外を積極的に添加しないという意味である。ただし、不可避不純物としてSi、Mg、Ca、Na、Cr、Ni、Mn、CuおよびCを酸化物換算した合計量で、全量中0.2質量%以下含有していてもよい。
【0025】
なお、Al、Feの金属元素を含有する原料粉末としては、酸化物以外にも炭酸塩、酢酸塩等の無機化合物等、焼成により酸化物として形成されるものであれば、いずれの粉末を用いても良い。
【0026】
黒色顔料の構成元素や不純物の種類および含有量は、たとえば高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光などの元素分析により確認すればよい。黒色顔料に含まれるヘルシナイト(FeAl2O4)、アルミナ(Al2O3)、マグネタイト(Fe3O4)の結晶相比率は一般的なXRD回折パターンおよびリートベルト解析により確認することができる。
【0027】
具体的には、たとえばCuのKα線を用いたX線回折装置(XRD)により、2θ=10~100°(2θは、回折角度である。)の範囲でX線回折測定を行なうことにより回折ピークを得る。この回折ピークに、ヘルシナイト(FeAl2O4)の結晶構造に基づくピークと、アルミナ(Al2O3)およびマグネタイト(Fe3O4)のうち少なくとも一方の結晶構造に基づくピークとが含まれており、かつ、ヘルシナイト(FeAl2O4)の結晶構造に基づくピークが最大ピークである場合、本実施形態に係る黒色顔料である。
【0028】
ヘルシナイト(FeAl2O4)、アルミナ(Al2O3)およびマグネタイト(Fe3O4)の特定は、それぞれJCPDSカードNo.00-034-0192、No.00-010-0173、No.00-019-0629を基礎とすればよい。
【0029】
また、X線回折測定により得られた回折ピークをリートベルト解析により解析することにより、ヘルシナイト(FeAl2O4)、アルミナ(Al2O3)、マグネタイト(Fe3O4)の含有量の合計を100質量%としたときの、各結晶相の含有量を算出する。そして、算出した各結晶相の含有量から、ヘルシナイト(FeAl2O4)、アルミナ(Al2O3)、マグネタイト(Fe3O4)の結晶相比率を得ることができる。
【0030】
なお、X線回折装置としては、たとえば、PANalytical社製のX‘PertPROを用いてもよい。また、リートベルト解析は、たとえば、リートベルト解析プログラムRIETANを用いてもよい。
【0031】
本実施形態に係る黒色顔料は、以下のようにして作製すればよい。原料粉末として、たとえば、原料粒径0.1μm以上0.8μm以下の高純度Al2O3粉末とFe2O3粉末とを所定量秤量し、高純度アルミナボールを用いて湿式混合を行う。
【0032】
つづいて、得られた混合物に対して乾燥・メッシュパスを行い、真空中(減圧雰囲気中)または還元雰囲気中にて1400℃以上で熱処理する。これにより、Fe2O3が還元され、FeOを含むヘルシナイト結晶相が形成される。なお、得られた黒色顔料をさらに粉砕して所望の粒度に調整を行ってもよい。熱処理温度としては高温になるほどヘルシナイトの生成比率は増加するが、顔料粒子の微粒子化の観点では加工性が低下するため、熱処理温度は1400℃以上1450℃以下とすることが生産性の観点から好ましい。
【0033】
本開示の黒色顔料について、その実施形態の一例を説明する。本実施形態に係る黒色顔料は、可視光領域における拡散反射率が8%以下である。このような分光特性により、本実施形態に係る黒色顔料は、黒色の塗料、インキ、トナー、ゴム・プラスチックの顔料として好適に用いることができる。また、可視光領域の拡散反射率が5%以下である場合、本実施形態に係る黒色顔料は、より高い黒色度が求められる上記用途への応用展開が可能となる。なお、可視光領域の拡散反射率を5%以下の黒色顔料は、たとえば、Fe2O3粉末の含有量を60wt%以上とすることで得ることができる。
【0034】
本実施形態に係る黒色顔料を構成する結晶粒子(ヘルシナイト、アルミナ)の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、塗料、インキ等の表面平滑性が低下する。したがって、高い表面平滑性を維持するという点から、結晶粒子の平均粒子径は、1μm以上5μm以下とすることがより好ましい。
【0035】
結晶粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を用いた一般的な粒度測定で得ることができる。粒度測定に用いる装置は、たとえば、マイクロトラック・ベル社製のマイクロトラック(MT3300EXII)である。また、測定条件の一例としては、分散媒にIPA(イソプロピルアルコール)を用い、分散機に超音波ホモジナイザーを使用し、超音波出力で振幅設定75%(チップサイズ26mmφ)とし、照射時間を6分としてもよい。
【0036】
図1Aに、本実施形態に係る黒色顔料、マグネタイトからなる顔料、カーボンブラックの室温時におけるa*b*表色を示す。また、
図1Bに、本実施形態に係る黒色顔料、マグネタイトからなる顔料、カーボンブラックを300℃で1時間熱処理した後のa*b*表色を示す。
図1Aおよび
図1Bに示すように、本実施形態に係るヘルシナイトおよびカーボンブラックは変化量が僅かであったのに対して、マグネタイトからなる顔料粒子は大きく変動していることが確認された。
【0037】
この結果から明らかなように、本実施形態に係る黒色顔料は、カーボンブラック代替のトナー用や高温混錬を要するエンジニアリングプラスチックスの着色用に好適である。なお、黒色顔料およびマグネタイトからなる顔料は、それぞれ、後述する試料No.11および試料No.13に相当する。また、カーボンブラックは、市販品である。
【実施例0038】
以下、本開示の黒色顔料について、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0039】
平均粒径が0.5μmの99.99%のAl2O3粉末に対して、平均粒径が2.5μmのFe2O3粉末を所定量添加し、高純度アルミナボールを使用したミルで24時間混合した。溶媒は、IPAを用い、原料粉末と溶媒の比率は重量比で1:2とした。Al2O3粉末とFe2O3粉末との調合割合を表1に示す。なお、表1に示す原料粉末の単位は質量%である。得られた混合スラリーを、乾燥・メッシュパスした後、坩堝に投入して、表1に記載した雰囲気、温度にて焼成し、種々の顔料粒子を作製した(試料No.1~12)。また、Fe2O3粉末単体を減圧雰囲気下で焼成したものを試料No.13とした。
【0040】
試料No.1~No.13のうち、試料No.3,5,7,9~12は本開示の実施例に相当し、試料No.1,2,4,6,8,13は、比較例に相当する。
【0041】
【0042】
得られた試料No.1~13について、XRDおよびリートベルト解析を行うことで、各結晶相の含有量の比率を求めた。結果を表2に示す。なお、表2に示す「Al2O3(シフト)」は、結晶相に別の元素が固溶する等の原因によりXRDパターンのピークの出現位置がJCPDSカードに示されるAl2O3のピーク位置から僅かにずれたAl2O3であることを示す。同様に、表2に示す「AlFeO3(シフト)」は、XRDパターンのピークの出現位置がJCPDSカードに示されるAlFeO3のピーク位置から僅かにずれたAlFeO3であることを示す。
【0043】
また、試料No.1~13について行ったX線回折測定の結果をそれぞれ
図2~
図14に示す。
【0044】
【0045】
本開示の実施例である試料No.3,5,7,9~12は、全て、第1結晶であるFeAl2O4の結晶ピークが最大であり、かつ、第2結晶のピークも存在していた。
【0046】
また、本開示の実施例である試料No.3,5,7,9~12は、全て、第2結晶相として、マグネタイト(Fe3O4)およびアルミナ(Al2O3)のうち少なくとも一方を含有していた。具体的には、試料No.3,5,7,9~11は、アルミナ(Al2O3)を含有しており、試料No.12は、マグネタイト(Fe3O4)を含有していた。
【0047】
また、本開示の実施例である試料No.3,5,7,9~12は、全て、Feの含有量が、Fe2O3換算で40質量%以上であった。なお、表2の結晶相の単位は質量%である。
【0048】
また、得られた試料No.1~13の比重の測定を行った。比重は、マイクロメリティクス社製のアキュピック1340型を用いて、定容積膨張法(Heガス置換法)による粉末密度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0049】
本開示の実施例である試料No.3,5,7,9~12は、全て、比重が4.7g/cm3未満であった。
【0050】
得られた顔料粒子の黒色度(L*)、色相(a*b*)を以下の方法により評価した。得られた粉末サンプルに対して、分光測色計(ミノルタ製 CM-3700A)を用いて、波長範囲:360~740nm、視野:10°、基準光源:D65、照射径/測定径:3×5mm/3×5mmの条件で拡散反射率を測定した。そして、得られた拡散反射率から、CIE(国際照明委員会)L*a*b*表色系におけるL*、a*、b*の各値を得た。結果を表2に示す。
【0051】
本開示の実施例である試料No.3,5,7,9~12は、いずれもL*が30以下であった。また、本開示の実施例である試料No.3,5,7,9~12は、いずれもa*が、―0.6以上0.5以下であり、b*が、―0.5以上3.0以下であった。
【0052】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。