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特開2023-97541鉄道車両の運転台および運転台の構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097541
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】鉄道車両の運転台および運転台の構築方法
(51)【国際特許分類】
   B61C 17/04 20060101AFI20230703BHJP
   B61D 17/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
B61C17/04 Z
B61D17/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213721
(22)【出願日】2021-12-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 勁志
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】小塚 俊吾
(57)【要約】
【課題】
運転台の位置調整に係る作業が容易となる運転台およびその運転台の構築方法を提供すること。
【解決手段】
鉄道車両の運転室4に設けられる運転台5において、複数個のモジュール51,52,53,54に分割されていること、複数個のモジュール51,52,53,54を載置可能な枠体6を介して、運転室4に設置されること、枠体6は、少なくとも、運転台5の上面5aの位置を示す上面位置指示部と、運転台5の、運転士と向かい合う前面5bの位置を示す前面位置指示部と、運転台5の側面の位置を示す側面位置指示部と、のいずれかを備えること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、
複数個のモジュールに分割されていること、
前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、
前記枠体は、少なくとも、前記運転台の上面の位置を示す上面位置指示部と、前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置を示す前面位置指示部と、前記運転台の側面の位置を示す側面位置指示部と、のいずれかを備えること、
を特徴とする運転台。
【請求項2】
請求項1に記載の運転台において、
前記枠体は、前記枠体に着脱自在な位置決め治具を備えること、
前記位置決め治具は、前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成すること、
を特徴とする運転台。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運転台において、
前記枠体は、固定部材により、前記床に固定されること、
前記固定部材は、水平方向に浮動可能な浮動部材と、前記浮動部材に結合可能であるとともに、前記枠体に結合可能な高さ調整ねじと、を有していること、
を特徴とする運転台。
【請求項4】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項1に記載の運転台を用い、
前記上面位置指示部による前記枠体の垂直方向における位置決めと、前記前面位置指示部による前記枠体の軌道方向における位置決めと、前記側面位置指示部による前記枠体の枕木方向における位置決めと、の少なくともいずれか1つを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記枠体に前記複数個のモジュールを載置することで運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【請求項5】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項2に記載の運転台を用い、
前記枠体に前記位置決め治具を取り付けた状態で、前記上面位置指示部および前記前面位置指示部により、前記枠体の前記運転室の床に対する角度の位置決めを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記位置決め治具を前記枠体から取り外し、
前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【請求項6】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項3に記載の運転台を用い、
前記浮動部材により、前記枠体の水平方向の位置調整をし、
前記高さ調整ねじにより、前記枠体の垂直方向の位置調整および前記枠体の前記床に対する角度調整を実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台およびその運転台の構築方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両用の運転台は、例えば、特許文献1に開示されるように、操作機器類や計器類などが一体となり、1つのユニットとして構成されていることがある。
【0003】
このような運転台は、鉄道車両の運転室への設置を、以下のようにして行うことが一般的である。例えば、まず、運転台を鉄道車両の外で仮組み立てし、運転台を構成する各パーツの組み立てに問題がないか確認を行う。次に、1つのユニットとして構成される運転台は大型かつ重量物であるため、運転室に搬入しやすいよう、一旦分解する。分解した後、それぞれのパーツを運転室内に搬入し、再度組み立てを行う。そして、組み立てを行った運転台の、運転室における設置位置の調整および位置決めを行った後、運転室の床に固定する。この固定は、運転台を、例えば床を構成する床構体等の構造物に、ボルト等で結合することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63-109259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記、従来技術に係る鉄道車両用の運転台には、以下のような問題があった。まず、第1に運転台の運転室への設置作業が困難であるという問題があった。運転台の設置位置は、一般的に、水平方向の位置調整、垂直方向の位置調整、運転室の床に対する角度の位置調整を行うことで決定される。例えば、水平方向の位置調整は、人力により運転台を水平方向に少しずつ動かしながら行われる。また、垂直方向の位置調整や角度の位置調整は、運転台の下に樹脂製のライナを挿入するなどして行われる。なお、このライナの厚みは、運転台の設置位置において運転台の垂直方向の位置と角度調整をしながら、目的の垂直位置および角度を得るための厚みに定められる。そして、厚みを定めた後、その厚みを有するライナを、運転台の設置位置に取り付ける。このライナの取り付けの際、運転台は、一旦、設置位置から運転室の空きペースに退避させる必要がある。
【0006】
運転台の水平方向の位置ずれは、運転台と運転室の壁面との間に隙間が生じ、外観上の問題がある。また、運転台の角度の位置ずれが生じると、運転室に垂直に配置される機器等(例えば乗務員が運転室に出入りするための乗務員乗降口等)と比較して、運転台の角度位置がずれているのが目立ってしまい、外観上の問題がある。以上のような外観上の問題が発生することを防ぐために、位置調整作業は非常に細かな作業となる。しかし、この位置調整の作業は、運転室という限られたスペース内での設置作業となることに加え、運転台は大型かつ重量物であるため、作業者の経験および技術を要する作業であり、非常に時間がかかる作業となっている。
【0007】
第2に運転台設置作業の際に切り粉が飛散するおそれがあるという問題がある。従来、運転台を設置する鉄道車両ごとに位置合わせを行うため、構造物に予めボルト結合のための穴を設けておくことが出来なかった。そのため、運転台の設置位置の調整を行い、設置位置を決定した後に、構造物の設置位置に対応する箇所に、ボルト結合を行うための穴あけを行うのが一般的である。この穴あけ作業により切り粉が発生し、飛散する。切り粉が飛散すると、運転室付近の機器類や配線の障害となるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、運転台の位置調整に係る作業が容易となる運転台およびその運転台の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の運転台およびその構築方法は、次のような構成を有している。
【0010】
(1)鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、複数個のモジュールに分割されていること、前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、前記枠体は、少なくとも、前記運転台の上面の位置を示す上面位置指示部と、前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置を示す前面位置指示部と、前記運転台の側面の位置を示す側面位置指示部と、のいずれかを備えること、を特徴とする。
【0011】
また、鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、上記(1)に記載の運転台を用い、前記上面位置指示部による前記枠体の垂直方向における位置決めと、前記前面位置指示部による前記枠体の軌道方向における位置決めと、前記側面位置指示部による前記枠体の枕木方向における位置決めと、の少なくともいずれか1つを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、前記枠体に前記複数個のモジュールを載置することで運転台を構築すること、を特徴とする。なお、運転台の上面とは、例えば、運転室の天井側を向く面である。また、運転台の前面とは、例えば、運転士が運転台を使用する際に運転士と向かい合う面である。また、運転台の側面とは、例えば、運転室の側壁面に対向する面である。
【0012】
(1)に記載の運転台または(1)に記載の運転台を用いた構築方法によれば、例えば、枠体を運転室に搬入し、枠体によって運転台の設置位置の位置調整を行った後、各モジュールを枠体に載置することで、運転台を構成することが出来る。枠体が、少なくとも、運転台の上面の位置を示す上面位置指示部と、前記運転台の前面の位置を示す前面位置指示部と、前記運転台の側面の位置を示す側面位置指示部と、のいずれかを備えているため、上面位置指示部を備えるものとすれば、運転台の垂直方向における位置決めを、運転台を用いずとも枠体を用いて行うことができ、前面位置指示部を備えるものとすれば、運転台の軌道方向における位置決めを、運転台を用いずとも枠体を用いて行うことができ、側面位置指示部を備えるものとすれば、運転台の枕木方向における位置決めを、運転台を用いずとも枠体を用いて行うことができる。
【0013】
具体的には、枠体が備える上面位置指示部と運転室の床との距離を見ながら、枠体の垂直方向の位置決めを行う。上面位置指示部は、運転台の上面の位置を示すものであるため、枠体の垂直方向の位置決めを行うことで、運転台の垂直方向の位置決めを行うことが可能である。
また、枠体が備える前面位置指示部の運転室における位置を確認しながら、枠体の軌道方向の位置決めを行う。前面位置指示部は、運転台の前面の位置を示すものであるため、枠体の軌道方向の位置決めを行うことで、運転台の軌道方向の位置決めを行うことが可能である。
また、枠体が備える側面位置指示部と運転室の側壁との距離を確認しながら、枠体の枕木方向の位置決めを行う。側面位置指示部は、運転台の側面の位置を示すものであるため、枠体の枕木方向の位置決めを行うことで、運転台の枕木方向の位置決めを行うことが可能である。
【0014】
枠体は運転台よりも軽量に構成することが出来るため、枠体による位置調整の作業は、従来のようにユニット化された運転台による位置調整を行うよりも容易となる。よって、作業者の経験および技術を従来よりも必要とせず、作業に要する時間も削減することが出来る。
【0015】
(2)(1)に記載の運転台において、前記枠体は、前記枠体に着脱自在な位置決め治具を備えること、前記位置決め治具は、前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成すること、を特徴とする。
【0016】
また、鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、上記(2)に記載の運転台を用い、前記枠体に前記位置決め治具を取り付けた状態で、前記上面位置指示部および前記前面位置指示部により、前記枠体の前記運転室の床に対する角度の位置決めを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、前記位置決め治具を前記枠体から取り外し、前記複数個のモジュールを枠体に載置して運転台を構築すること、を特徴とする。
【0017】
(2)に記載の運転台または(2)に記載の運転台を用いた構築方法によれば、位置決め治具を組み付けた状態の枠体によって、運転台の運転室の床に対する角度の位置調整を行った後、各モジュールを枠体に載置することで、運転台を構成することが出来る。
【0018】
具体的には、位置決め治具により枠体に形成される、所定の長さを有する上面位置指示部および前面位置指示部の、運転室の床や側壁等に対する角度などを確認しながら、枠体の角度の位置決めを行う。上面位置指示部は、運転台の上面の位置を示すものであり、前面位置指示部は、運転台の前面の位置を示すものであるため、枠体の角度の位置決めを行うことで、運転台の角度の位置決めを行うことが可能である。なお、上記する所定の長さとは、上面位置指示部および前面位置指示部の、運転室の床や側壁に対する角度を確認可能な程度の範囲で適宜設定される。
【0019】
枠体および位置決め治具は運転台よりも軽量に構成することが出来るため、枠体および位置決め治具による位置調整の作業は、従来のようにユニット化された運転台による位置調整を行うよりも容易となる。よって、作業者の経験および技術を従来よりも必要とせず、作業に要する時間も削減することが出来る。
【0020】
(3)(1)または(2)に記載の運転台において、前記枠体は、固定部材により、前記床に固定されること、前記固定部材は、水平方向に浮動可能な浮動部材と、浮動部材に結合可能であるとともに、前記枠体と結合可能な高さ調整ねじと、を有していること、を特徴とする。
【0021】
また、鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、上記(3)に記載の運転台を用い、前記浮動部材により、前記枠体の水平方向の位置調整をし、前記高さ調整ねじにより、前記枠体の垂直方向の位置調整および前記枠体の前記床に対する角度調整を実施して前記枠体を前記運転室に固定し、前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、を特徴とする。
【0022】
(3)に記載の運転台または(3)に記載の運転台を用いた構築方法によれば、固定部材の高さ調整ねじにより、枠体の垂直方向の位置調整および床に対する角度調整が可能である。さらに、枠体に結合可能な高さ調整ねじは浮動部材に結合可能であるため、浮動部材を浮動させることで、高さ調整ねじを介して枠体の水平方向の位置調整が可能である。これら、高さ調整ねじおよび浮動部材によって枠体の位置調整が可能であることは、枠体に各モジュールを載置することで構成される運転台の位置調整が可能であることを意味する。枠体は運転台よりも軽量に構成することが出来るため、枠体による位置調整の作業は、従来のようにユニット化された運転台による位置調整を行うよりも容易となる。よって、作業者の経験および技術を従来よりも必要とせず、作業に要する時間も削減することが出来る。
【0023】
さらに、運転室の床に設けられた固定部材の浮動部材により水平方向の位置調整が可能であれば、運転台の設置位置の調整後に、構造物の設置位置に対応する箇所にボルト結合を行うための穴あけを行うという従来必要であった作業を行う必要がないため、切り粉の発生や飛散のおそれがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の運転台および運転台の構築方法によれば、運転台の位置調整に係る作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る運転台が設置された運転室の斜視図である。
図2】第1モジュールの斜視図である。
図3】第2モジュールの斜視図である。
図4】第3モジュールの斜視図である。
図5】第4モジュールの斜視図である。
図6】枠体の斜視図である。
図7】位置決め治具を取り付けた枠体の斜視図である。
図8】運転台および枠体を設置する前の運転室の斜視図である。
図9】位置決め治具を取り付けた枠体が設置された運転室の斜視図である。
図10】位置決め治具を取り外した枠体が設置された運転室の斜視図である。
図11図10のX-X断面図である。
図12図10のY-Y断面図である。
図13】ライナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る運転台およびその構築方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る運転台5が設置された運転室4の斜視図である。また、図8は、運転台5および枠体6を設置する前の運転室4の斜視図である。
【0027】
本実施形態に係る運転台5は、図1に示すように、鉄道車両の運転室4に設置される。鉄道車両とは、例えば通勤車両である。また、運転室4は鉄道車両の進行方向前方の端部に設けられる。
【0028】
運転室4は床構体1(図8参照)、側構体2、先頭構体3に囲まれた空間となっている。運転室4の床は、床構体1および床構体1の上面に配置された床板パネル41により構成されている。側構体2は、床構体1の鉄道車両の枕木方向の両端部に位置しており、その内面に取り付けられた内装パネルとともに、運転室4の側壁42を形成している。そして、この側構体2には、乗務員が運転室4に出入りするための乗務員乗降口22が設けられている。先頭構体3は、床構体1の軌道方向の端部に位置し、鉄道車両の先頭部を形成している。また、先頭構体3には、枕木方向の中央部の貫通路のための開口部に貫通扉31が設けられており、さらに、該開口部を枕木方向の両側から挟むように前面窓ガラス32A,32Bが設けられている。なお、本実施形態においては運転室4に貫通路が設けられているが、貫通路が設けられていなくとも良い。
【0029】
運転室4の、側構体2と先頭構体3により形成される一角には、運転台5が枠体6を介して設置されている。なお、運転台5と床板パネル41との隙間は第1カバー部材91で塞がれており、外観上、当該隙間が見えないようにされているとともに、異物等が運転台5の下に入り込まないようにされている。なお、運転台5の垂直方向の位置調整の結果によっては、第1カバー部材91の上端部と運転台5の下面との間に隙間が生じるため、第1カバー部材91の上端部には、当該隙間を埋めるための弾性部材(ゴム部材)が取り付けられている。
【0030】
運転台5が設置されている箇所において、床板パネル41は、図8に示すように、運転台5の形状に合わせた切欠き41aが設けられている。よって、運転台5が設置される前の状態では、切欠き41aの部分において、床構体1が、運転室4に露出した状態となる。その略矩形状に露出されている部分の四隅には、枠体6を設置するための設置部11が設けられている。さらに、先頭構体3の内面であって、前面窓ガラス32Aの下方には、枠体6を支持するための支持部33が、枕木方向に2つ並んで設けられている。なお、支持部33の個数はあくまで例示であり、2つに限定されない。
【0031】
運転台5は、図1に示すように、床板パネル41と平行で、天井側を向く上面5aを有しており、該上面5aには、鉄道車両の速度制御を行うための制御機器等が配置される(制御機器は、図面においては省略している)。さらに、運転台5は、上面5aに対して直角の前面5bを有している。この前面5bは、運転士が運転台5を使用する際に運転士と向かい合う面である。また、運転台5は、運転室4の側壁42に対向する側面5cを有している。
【0032】
運転台5は、4分割されており、第1モジュール51と、第2モジュール52と、第3モジュール53と、第4モジュール54とから構成されている。
図2は、第1モジュール51の斜視図である。図3は、第2モジュール52の斜視図である。図4は、第3モジュール53の斜視図である。図5は、第4モジュール54の斜視図である。
【0033】
第1モジュール51は、図2に示すように、運転台5の上面5aを構成する上端面512と、運転台5の前面5bを構成する前端面513と、を有するように形成された略L字状の筐体511により構成されている。筐体511の内部には電子機器類が収容されている。
【0034】
第2モジュール52は、図3に示すように、凹部524を備えることで、全体として略凹字状に形成された筐体521により構成されている。筐体521は、運転台5の上面5aを構成する上端面522と、運転台5の前面5bを構成する前端面523と、を有している。この筐体521の内部には電子機器類が収容されている。また、凹部524は、運転台5に、運転士が運転台5を使用するために座席(不図示)に着座した際に足を入れることが可能なスペースを形成するためのものである。さらにまた、上端面522の、前端面523とは反対側には、上端面522よりも低くされた段差部525が設けられている。該段差部525には、第4モジュール54を結合することが可能となっている。
【0035】
第3モジュール53は、図4に示すように、運転台5の上面5aを構成する上端面532と、運転台5の前面5bを構成する前端面533と、を有するように形成された略矩形状の筐体531により構成されている。筐体531の内部には電子機器類が収容されている。
【0036】
第4モジュール54は、図5に示すように、内部に電子機器が収容された四角錐台状の筐体541により構成されている。筐体541の前端面542にはモニターや計器類等が配置されている。また、筐体541の下端部には、第2モジュール52の段差部525に結合させるための結合部543が設けられている。
【0037】
第1モジュール51と、第2モジュール52と、第3モジュール53とは、それぞれが枠体6に組み付けられることで、図1に示すように、枕木方向に、ほぼ隙間なく並んで配置される。このとき、各モジュール51,52,53の上端面512,522,532は、同一平面上に位置し、運転台5の上面5aを形成する。さらに、各モジュール51,52,53の前端面513,523,533は、同一平面上に位置し、運転台5の前面5bを形成する。そして、第4モジュール54は、枠体6に組み付けられた第1モジュール51と、第2モジュール52と、第3モジュール53との上に設置され、結合部543を、第2モジュール52の段差部525に結合することで固定される。
【0038】
次に枠体6について説明する。図6は、枠体6の斜視図である。図7は、枠体6に、位置決め治具7を取り付けた状態の斜視図である。図9は、位置決め治具7を取り付けた枠体6が設置された運転室4の斜視図である。図10は、位置決め治具7を取り外した枠体6が設置された運転室4の斜視図である。図11は、図10のX-X断面図である。図12は、図10のY-Y断面図である。図13は、ライナ84の斜視図である。
【0039】
枠体6は、図6に示すように、床構体1に結合させる平面部61と、先頭構体3に結合させる垂直部62と、により略L字状に形成されている。
【0040】
平面部61は、枕木方向に延在し、軌道方向前面側(運転士が相対する側)に配置される第1外枠フレーム611と、枕木方向に延在し、第1外枠フレーム611から軌道方向先頭構体側に離隔して配置される第2外枠フレーム612と、軌道方向に延在し、第1外枠フレーム611および第2外枠フレーム612の枕木方向両端部のうち側構体側の端部同士を接続する第3外枠フレーム613と、同枕木方向両端部のうち貫通路側の端部同士を接続する第4外枠フレーム614とにより、矩形状に形成されている。また、第1外枠フレーム611と第2外枠フレーム612との間に、軌道方向に離隔して互いに平行に配置され、第1モジュール51と第2モジュール52との境界位置に配置される第1横フレーム615と、第2モジュール52と第3モジュール53との境界位置に配置される第3横フレーム617と、第1横フレーム615と第3横フレーム617との略中央位置に配置される第2横フレーム616と、が横架している。なお、これらのフレーム611~617は、枠体6の質量を最小限とするため、平板材を断面L字状または断面コの字状に形成したものである。
【0041】
平面部61の上面は、第1モジュール51と、第2モジュール52と、第3モジュール53を、枕木方向に沿って横並びに載置するために用いられる。平面部61の枕木方向のうち、第3外枠フレーム613から第1横フレーム615にかけての範囲A11に第1モジュール51が載置され、第1横フレーム615から第3横フレーム617にかけての範囲A12に第2モジュール52が載置され、第3横フレーム617から第4外枠フレーム614にかけての範囲A13に第3モジュール53が載置される。なお、第1横フレーム615および第3横フレーム617の短手方向の幅寸法が、第2横フレーム616の短手方向の幅寸法よりも大きくされているのは、それらの上面に2つのモジュールが載置されるためである。
【0042】
また、第1外枠フレーム611には、第1モジュール51または第2モジュール52または第3モジュール53を取り付けるための貫通穴618A~618Gが、第1外枠フレーム611の長手方向に沿って設けられている。第1モジュール51の筐体511には、貫通穴618Aと貫通穴618Bのそれぞれに対応する位置に貫通穴を有しており、ボルト等により、第1モジュール51と第1外枠フレーム611とを結合することが出来る。第2モジュール52の筐体521には、貫通穴618Cと貫通穴618Dと貫通穴618Eのそれぞれに対応する位置に貫通穴を有しており、ボルト等により、第2モジュール52と第1外枠フレーム611とを結合することが出来る。第3モジュール53の筐体531には、貫通穴618Fと貫通穴618Gのそれぞれに対応する位置に貫通穴を有しており、ボルト等により、第3モジュール53と第1外枠フレーム611とを結合することが出来る。
【0043】
また、第1外枠フレーム611の裏面の、後述する高さ調整ねじ81が結合される位置には、平板状の雌ねじ部材63(図11参照)が結合されている。
雌ねじ部材63の中央部には、高さ調整ねじ81に螺合させることが可能な雌ねじ部631が貫通している。
【0044】
垂直部62は、メインフレーム621と、固定用フレーム622,627と、補強フレーム623A~623Dとから構成されている。
【0045】
メインフレーム621は、枕木方向に延在し、平面部61から垂直方向上方に離隔して配置される長辺部621a、該長辺部621aの貫通通路側端部から平面部61に向かって垂直方向下方に延設されると短辺部621bとにより略L字状に形成されている。そして、長辺部621aの側構体側端部から平面部61に向かって垂直方向下方に延設され、補強フレーム623A(後述)に支持される短脚部621cと、短辺部621bの平面部61側端部(下端部)から枕木方向側構体側に延設される足部621dを備えている。更に、足部621dが、平面部61に結合されることで、メインフレーム621が平面部61に立設されている。なお、メインフレーム621は、足部621dだけでなく、短辺部621bの下端部を平面部61に結合しても良い。なお、本実施形態においては、長辺部621aの長さ寸法D21は、運転台5の枕木方向の寸法(幅寸法D11)よりも小さくされているが、長さ寸法D21と幅寸法D11とを同じ寸法とし、枠体6を、運転台5の幅寸法D11を模した大きさとしても良い。
【0046】
補強フレーム623Aは、図6に示すように、下端部が平面部61の第3外枠フレーム613の中央部の先頭構体に寄った位置から立設され、上端部から先頭構体方向に略水平に延設される支持腕部626を有するとともに、該支持腕部626がメインフレーム621の短脚部621c下端に結合され、メインフレーム621を支持している。また、補強フレーム623Bは、平面部61の第1横フレーム615の先頭構体側端部近傍から立設され、補強フレーム623Aの支持腕部626と同じ高さで先頭構体方向に略水平に延設される水平部628を有するクランク状に形成されるとともに、その上端部がメインフレーム621の長辺部621a下面に結合されている。補強フレーム623Cは、平面部61の第2外枠フレーム612の第3横フレーム617との接続部から立設され、また、補強フレーム623Dは平面部61の第2外枠フレーム612の貫通路側端部近傍から立設され、それぞれ、上端部でメインフレーム621の長辺部621a下面に結合されることでメインフレーム621を支持している。
なお、本実施形態では、補強フレーム623Aおよび補強フレーム623Bは、第1モジュール51の形状に合わせて支持腕部626および水平部628を有しているが、補強フレーム623Cおよび補強フレーム623Dと同様に平面部61の第2外枠フレーム612から垂直に立設されることを妨げない。
【0047】
固定用フレーム622は、メインフレーム621の長辺部621aと平行に配置された固定平板部622bとその先頭構体端部側から上方に立設する補強リブ622cとで断面が略L字状に形成され(図12参照)、枕木方向の両端部の内の一端が補強フレーム623Cに結合され、他端が補強フレーム623Dに結合されている。固定用フレーム627は、メインフレーム621の長辺部621aと平行に配置された固定平板部627aとその先頭構体端部側から上方に立設する補強リブ627bとで断面が略L字状に形成され、枕木方向の両端部の内の一端がメインフレーム621の短脚部621cに結合され、他端が補強フレーム623Bに結合されている。
【0048】
また、垂直部62には、第1モジュール51または第2モジュール52または第3モジュール53を取り付けるための貫通穴625A~625Fが設けられている。具体的には、メインフレーム621の長手方向の両端部のうち、メインフレーム621の短脚部621cの固定用フレーム627が結合されている箇所と略同一高さに貫通穴625Aが軌道方向に貫通している。補強フレーム623Bは、固定用フレーム627が結合されている箇所と略同一高さに枕木方向に並んで貫通穴625Bおよび貫通穴625Cが、軌道方向に貫通している。補強フレーム623Cは、固定用フレーム622が結合されている箇所と略同一高さに枕木方向に並んで貫通穴625Dおよび貫通穴625Eが軌道方向に貫通している。メインフレーム621の短辺部621bは、固定用フレーム622と略同一高さに貫通穴625Fが軌道方向に貫通している。
【0049】
そして、第1モジュール51の筐体511には、貫通穴625Aと貫通穴625Bのそれぞれに対応する位置に貫通穴を有しており、ボルト等により、第1モジュール51と垂直部62とを結合することが出来る。第2モジュール52の筐体521には、貫通穴625Cと貫通穴625Dのそれぞれに対応する位置に貫通穴を有しており、ボルト等により、第2モジュール52と垂直部62とを結合することが出来る。第3モジュール53の筐体521には、貫通穴625Eと貫通穴625Fのそれぞれに対応する位置に貫通穴を有しており、ボルト等により、第3モジュール53と垂直部62とを結合することが出来る。
【0050】
また、固定用フレーム622は、先頭構体3の支持部33に対応する位置に、垂直方向に貫通する固定穴622a(図12参照)を有しており、ボルト85等により、枠体6を支持部33に結合可能となっている。以上のような枠体6の上端面(すなわちメインフレーム621の長辺部621aの上端面)は、運転台5の上面5aの位置に相当する上面位置指示部6aである。また、枠体6の枕木方向の両端部のうち、第3外枠フレーム613側の端部(即ち、図10において、側壁42に対向する端部)は、運転台5の側面5cの位置に相当する側面位置指示部6bである。
【0051】
さらに枠体6は、枠体6に着脱可能な位置決め治具7を備えている。位置決め治具7は、図7に示すように、平板材を曲げ加工することにより断面がL状に形成されており、軌道方向に沿って延在する長辺部71と、該長辺部71の前面側端部から下方に延設される短辺部72と、を有している。長辺部71の、短辺部72と接続されている側とは反対側の端部(下端部)には、下部取付部712が先頭構体方向に延設されている。該下部取付部712を、第1外枠フレーム611の側構体側端部に当接させ、貫通穴618Aを利用してボルト等により結合させることが可能である。短辺部72の、長辺部71と接続されている側とは反対側の端部には、上下方向に延在する上部取付部722が設けられている。該上部取付部722を、メインフレーム621の短脚部621cに当接させ、貫通穴625Aを利用して、ボルト等により結合させることが可能である。
【0052】
短辺部72の長さ寸法D22が、運転台5の奥行寸法D12(図1参照)と同一であることから、長辺部71の、短辺部72が延伸する側とは反対側の端面は、運転台5の前面5bの位置に相当する前面位置指示部711である。
【0053】
さらに、長辺部71の長さ寸法D23が、運転台5の高さ方向の寸法D13(図1参照)と同一であることから、短辺部72の、長辺部71が延伸する側とは反対側の端面は、運転台5の上面5aの位置に相当する上面位置指示部721である。この上面位置指示部721は、位置決め治具7が枠体6に取り付けられた状態で、枠体6の上面位置指示部6aと同一の高さに位置している。
【0054】
枠体6は、床構体1と、先頭構体3とに固定される。
まず、床構体1への固定について説明する。枠体6は、固定部材8により床構体1に固定される。固定部材8は、図11に示すように、高さ調整ねじ81と、浮動部材82と、固定ボルト83と、から構成される。
【0055】
高さ調整ねじ81は、図6および図7に示すように、枠体6の平面部61に結合されている。高さ調整ねじ81は、図11に示すように、台座811と、調整ねじ部812と、ロックナット813とから構成される。台座811は断面凹状に形成されており、枠体6の足としての機能を果たす。また、台座811は、中央部に、図中上端面から下端面を貫通し、高さ調整ねじ81の外径に対応した上部孔811bと、固定ボルト83に対応して上部孔811bよりも短く形成された下部孔811cとからなる貫通孔811aを備える。
【0056】
調整ねじ部812は、台座811の上端面に立設されており、内部に中空部812aを有する円筒形状に形成されている。該中空部812aは、台座811の貫通孔811aと同軸上に位置するとともに、貫通孔811aに連通しており、固定ボルト83を、中空部812aおよび貫通孔811aに挿通させることが出来る。
【0057】
調整ねじ部812の外周面は、先述の雌ねじ部材63およびロックナット813と螺合可能な雄ねじ部812bである。また、調整ねじ部812は、台座811側とは反対側の端部に、スパナ等の締め付け工具をかみ合わせることが可能な、六角形状の頭部812cを有している。
【0058】
台座811を床構体1の設置部11に接地させた状態で、締め付け工具により頭部812cを掴み、調整ねじ部812を回転させることで、雌ねじ部材63の上下位置を調整可能となっている。雌ねじ部材63は枠体6に結合されているため、雌ねじ部材63の上下位置を調整可能であることは、枠体6の上下位置が調整可能であることを意味する。また、高さ調整ねじ81は、枠体6に4つ設けられているため、それぞれの高さ調整ねじ81において、雌ねじ部材63の上下位置を調整すれば、枠体6の、運転室4の床に対する角度の調整も可能である。
【0059】
そして、雌ねじ部材63(枠体6)の上下位置が定まれば、ロックナット813を調整ねじ部812に、頭部812c側から螺合させ、雌ねじ部材63とロックナット813で枠体6(第1外枠フレーム611)を挟み込むことで、枠体6の上下位置が固定される。
【0060】
浮動部材82は、設置部11の、台座811が接地される面とは反対側の裏面に結合されている。浮動部材82は、いわゆるフローティングナットであり、ナットケース821と、ナットケース821に浮動可能に保持されている浮動ナット822と、から構成されている。
【0061】
ナットケース821は、運転室4の床と平行な平坦部821aを備えており、その中央部には平坦部821aを貫通する円形の開口821bが設けられている。また、平坦部821aの両端部には壁部821cが立ち上げられている。この壁部821cには、平坦部821aと平行にナットケース821の外方へ延伸するフランジ部821dが設けられており、該フランジ部821dが設置部11にねじまたはリベットにより結合されることで、ナットケース821が設置部11に固定されている。
【0062】
浮動ナット822は、プレート部822aと、軸部822bと、からなる。プレート部822aは、例えば矩形状に形成されている。その外形寸法は、ナットケース821の開口821bの直径よりも大きくされており、浮動ナット822が、ナットケース821から抜け落ちないようにされている。軸部822bは円筒状に形成されており、内周面は、固定ボルト83と螺合可能な雌ねじ部822cとなっている。また、軸部822bは、ナットケース821の開口821bに挿通されている。軸部822bの直径は、開口821bの直径よりも小さくされており、軸部822bの直径と開口821bの直径との寸法差により、浮動ナット822の水平方向の浮動量が定まるが、製作誤差等を考慮して調整に必要な浮動量以上に定めてある。例えば、本実施形態においては、寸法差が10mmとされており、浮動量は片側5mmとなっている。
【0063】
上記の通り、浮動ナット822が水平方向に浮動可能であるため、高さ調整ねじ81の台座811を設置部11に接地させ、調整ねじ部812の頭部812c側から高さ調整ねじ81に挿通された固定ボルト83を浮動ナット822に螺合させれば、枠体6を、上記浮動量の分だけ水平方向において位置調整することが可能となる。なお、このとき、固定ボルト83は締め付けずに、弛めた状態としておく。水平方向の位置調整が完了すれば、固定ボルト83を締め付けることで、固定ボルト83の頭部と浮動ナット822のプレート部822aとが、上下方向から高さ調整ねじ81と台座811と設置部11とを圧縮するため、摩擦力により浮動ナット822が浮動不可能となる。これにより、枠体6の水平方向の位置が固定される。
【0064】
次に、枠体6の、先頭構体3への固定について説明する。
枠体6は、先頭構体3の支持部33に結合されている浮動部材82により、先頭構体3に固定する。浮動部材82は、図12に示すように、支持部33の、運転室4の床側の端面(図12における下端面)に結合されている。
【0065】
浮動部材82は、上記した浮動部材82と同一の構成を有しており、ナットケース821内で、浮動ナット822が水平方向に浮動可能とされている。これにより、床構体1に固定された枠体6の固定穴622aの位置と浮動ナット822の位置を容易に合わせることが出来る。よって、固定穴622aに挿通させたボルト85を、浮動ナット822に容易に螺合させることが出来る。
【0066】
枠体6は、高さ調整ねじ81により垂直方向の位置調整がなされるため、枠体6の固定用フレーム622と先頭構体3の支持部33との隙間は、どれだけ位置調整を行ったかにより変動する。この隙間には、隙間に合わせた厚みを有するライナ84を挟み込む。ライナ84は図13に示す通り、U字形状を有しており、凹部841にボルト85が入るようにされている。ボルト85を浮動ナット822に螺合させ、ボルト85は締め付けずに、弛めた状態としておけば、上記隙間に、例えば図12における先頭構体3側からライナ84を差し込むことが出来る。そして、ライナ84を差し込んだ後、上記ボルト85の締め付けを行うことで、枠体6(固定用フレーム622)が先頭構体3に固定される。なお、枠体6と先頭構体3との隙間は第2カバー部材92で塞がれており、外観上、当該隙間が見えないようにされているとともに、異物等が枠体6と先頭構体3との隙間に入り込まないようにされている。
【0067】
以上のような構成を有する運転台5は以下のようにして運転室4において構築される。
【0068】
まず、鉄道車両の外で、枠体6に各モジュール51,52,53,54を組み付けて、運転台5の仮組み立てを行う。これにより、各モジュール51,52,53,54の組み付けに問題がないか確認を行い、枠体6上での各モジュール51,52,53,54の組み付け位置等の微調整を行う。微調整が完了した後、枠体6に、第1モジュール51または第2モジュール52または第3モジュール53を取り付けるための貫通穴618A~618G,625A~625Fの穴あけを行う。この穴あけは、鉄道車両の外で行うため、切り粉が鉄道車両の内部に残留するおそれがない。穴あけの後、枠体6上に組み付けた各モジュール51,52,53,54を枠体6から取り外すことで、仮組み立てした運転台5を分解する。
【0069】
次に、枠体6および位置決め治具7を、それぞれ別個に運転室4に搬入する。枠体6および位置決め治具7は、従来の運転台のようにユニット化されたものに比べて非常に軽量であるため、運転室4への搬入は容易である。そして、運転室4内で、枠体6に位置決め治具7を取り付けて図7に示すような状態にする。位置決め治具7の枠体6への取付けは、貫通穴618A,625Aを利用して行うため、新たな穴あけは不要である。そして、図9に示すように、枠体6に結合されている高さ調整ねじ81の台座811を、床構体1に設けられた設置部11のそれぞれに接地させる。なお、位置決め治具7は、枠体6を運転室4に搬入する前に、運転室4内で枠体6に取り付けることとしても良い。
【0070】
次に、枠体6を設置した設置部11の4箇所全てにおいて、調整ねじ部812の頭部812c側から高さ調整ねじ81に挿通した固定ボルト83を、浮動部材82の浮動ナット822に螺合させる。このとき、浮動ナット822がナットケース821内で浮動可能なように、固定ボルト83を締め付けず、弛めた状態にしておく。なお、固定ボルト83は、枠体6を設置部11に設置した後に高さ調整ねじ81に挿通させても良いし、接地させる前から高さ調整ねじ81に挿通させた状態としておいても良い。
【0071】
次に、運転台5の設置位置を定めるために、枠体6の、水平方向の位置調整と垂直方向の位置調整と床板パネル41に対する角度の位置調整を行う。
【0072】
水平方向の位置調整は、先述の通り、浮動部材82の浮動量の範囲で行うことが可能である。水平方向のうち、枕木方向の位置調整は、例えば枠体6の側面位置指示部6bと側壁42との距離を確認しながら、人力により枠体6を枕木方向に少しずつ動かして行う。側面位置指示部6bは運転台5の側面5cの位置に相当するため、運転室4における側面位置指示部6bの位置が、運転室4における運転台5の側面5cの位置となる。その他、枠体6の長さ寸法D21と、運転台5の枕木方向の寸法(幅寸法D11)との寸法差を管理することで、枠体6の枕木方向の、運転室4の貫通扉31側の端部と、貫通扉31との距離を確認しながら、枕木方向の位置調整を行うことも可能である。
【0073】
また、水平方向のうち、軌道方向の位置調整は、例えば運転室4における前面位置指示部711の位置を確認しながら、人力により枠体6を軌道方向に少しずつ動かして行う。位置決め治具7の前面位置指示部711が運転台5の前面5bの位置に相当するため、運転室4における前面位置指示部711の位置が、運転室4における運転台5の前面5bの位置となる。
【0074】
垂直方向の位置調整は、例えば枠体6および位置決め治具7の上面位置指示部6a,721の床板パネル41からの高さなどを確認しながら、高さ調整ねじ81の頭部812cをスパナ等の締め付け工具により回転させ、枠体6の雌ねじ部材63を上下させることで行う。上面位置指示部6a,721が運転台5の上面5aに相当するため、上面位置指示部6a,721の床板パネル41からの高さが、運転台5の上面5aの位置となる。
【0075】
床板パネル41に対する角度の調整は、例えば、前面位置指示部711の床板パネル41に対する角度および乗務員乗降口22に対する角度や、また例えば、上面位置指示部721の水平度などを確認しながら、高さ調整ねじ81の 頭部812cをスパナ等の締め付け工具により回転させ、枠体6の雌ねじ部材63を上下させることで行う。前面位置指示部711が運転台5の前面5bに相当するため、前面位置指示部711の床板パネル41に対する角度が、運転台5の前面5bの角度となる。また、上面位置指示部721が運転台5の上面5aに相当するため、上面位置指示部721の水平度が、運転台5の上面5aの水平度となる。
【0076】
枠体6は、従来の運転台のようにユニット化されたものに比べて非常に軽量であるため、上記した水平方向と垂直方向と床板パネル41に対する角度の位置調整が容易である。
【0077】
また、従来の運転台であれば、運転台の設置位置の位置調整が完了した後、設置位置に対応する箇所にボルト結合を行うための穴あけを行っていたが、本実施形態に係る運転台5は、浮動部材82により水平方向の位置調整が可能であるため、そのような穴あけを行うという作業を行う必要がない。よって、穴あけ作業による切り粉の発生や飛散のおそれがない。
【0078】
位置調整が完了した後は、枠体6の固定を行う。固定ボルト83の締め付けを行うことで、枠体6の水平方向の位置が固定される。また、高さ調整ねじ81に、頭部812c側からロックナット813を螺合させ、締め付けを行うことで、枠体6の垂直方向の位置および床板パネル41に対する角度位置が固定される。なお、ロックナット813は、位置調整を行う段階で高さ調整ねじ81に螺合させておいても良い。このときのロックナット813は、位置調整が完了するまで緩めた状態としておく。
【0079】
枠体6の水平方向の位置の固定および角度の位置の固定が完了した後は、さらに、枠体6の垂直部62を先頭構体3の支持部33に固定する。この固定は以下のように行う。まず、垂直部62の固定用フレーム622と支持部33との隙間を測定する。そして、当該隙間に合わせた厚みを有するライナ84を、当該隙間に差し込み、ボルト85を浮動ナット822に螺合させて締め付ける。以上で垂直部62の固定が完了し、これを以って枠体6の固定が完了する。枠体6の固定が完了した後は、図10に示すように、位置決め治具7を枠体6から取り外す。さらに、第1カバー部材91の床板パネル41への取り付けを行う。
【0080】
次に、各モジュール51,52,53,54を運転室4に搬入する。運転台5が各モジュール51,52,53,54に分割されているため、従来の運転台のようにユニット化されたものに比べて非常に軽量であり、各モジュール51,52,53,54の運転室4への搬入が容易である。なお、位置決め治具7の枠体6からの取り外しと、各モジュール51,52,53,54の運転室4への搬入とは、どちらが先でも良い。
【0081】
次に、運転室4に搬入した各モジュール51,52,53,54を、枠体6に組み付け、運転台5を構築する。この各モジュール51,52,53,54の枠体6への組み付けは、鉄道車両の外で仮組み立てを行った通りに行う。各モジュール51,52,53,54を組み付ける順序としては、まず、第1モジュール51と、第2モジュール52と、第3モジュール53と、を枠体6に載置し、組み付けを行う。このとき、第1モジュール51と、第2モジュール52と、第3モジュール53との組み付けを行う順序は問わない。そして、最後に、第4モジュール54を、横並びになった第1モジュール51と第2モジュール52と第3モジュール53との上に載置し、組み付ける。
【0082】
最後に、第2カバー部材92により運転台5と先頭構体3の隙間を塞ぐことで、運転台5の構築は完了する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の運転台5およびその構築方法は、
(1)鉄道車両の運転室4に設けられる運転台5において、複数個のモジュール51,52,53,54に分割されていること、複数個のモジュール51,52,53,54を載置可能な枠体6を介して、運転室4に設置されること、枠体6は、少なくとも、運転台5の上面5aの位置を示す上面位置指示部6a,721aと、運転台5の、運転士と向かい合う前面5bの位置を示す前面位置指示部711と、運転台5の側面の位置を示す側面位置指示部6bと、のいずれかを備えること、を特徴とする。
【0084】
また、鉄道車両の運転室4に設けられる運転台5の構築方法において、上記(1)に記載の運転台5を用い、上面位置指示部6a,721aによる枠体6の垂直方向における位置決めと、前面位置指示部711による枠体6の軌道方向における位置決めと、側面位置指示部6bによる枠体6の枕木方向における位置決めと、の少なくともいずれか1つを実施して枠体6を運転室4に固定し、枠体6に複数個のモジュール51,52,53,54を載置することで運転台5を構築すること、を特徴とする。
【0085】
(1)に記載の運転台5または(1)に記載の運転台5を用いた構築方法によれば、例えば、枠体6を運転室4に搬入し、枠体6によって運転台5の設置位置の調整を行った後、各モジュール51,52,53,54を枠体6に載置することで、運転台5を構成することが出来る。枠体6が、少なくとも、運転台5の上面5aの位置を示す上面位置指示部6a,721aと、運転台5の前面5bの位置を示す前面位置指示部711と、運転台5の側面5cの位置を示す側面位置指示部6bと、のいずれかを備えているため、上面位置指示部6a,721aを備えるものとすれば、運転台5の垂直方向における位置決めを、運転台5を用いずとも枠体6を用いて行うことができ、前面位置指示部711を備えるものとすれば、運転台5の軌道方向における位置決めを、運転台5を用いずとも枠体6を用いて行うことができ、側面位置指示部6bを備えるものとすれば、運転台5の枕木方向における位置決めを、運転台5を用いずとも枠体6を用いて行うことができる。
【0086】
具体的には、枠体6が備える上面位置指示部6a,721aと運転室4の床(床板パネル41)との距離を見ながら、枠体6の垂直方向の位置決めを行う。上面位置指示部6a,721aは、運転台5の上面5aの位置を示すものであるため、枠体6の垂直方向の位置決めを行うことで、運転台5の垂直方向の位置決めを行うことが可能である。
また、枠体6が備える前面位置指示部711の運転室4における位置を確認しながら、枠体6の軌道方向の位置決めを行う。前面位置指示部711は、運転台5の前面5bの位置を示すものであるため、枠体6の軌道方向の位置決めを行うことで、運転台5の軌道方向の位置決めを行うことが可能である。
また、枠体6が備える側面位置指示部6bと運転室4の側壁42との距離を確認しながら、枠体6の枕木方向の位置決めを行う。側面位置指示部6bは、運転台5の側面5cの位置を示すものであるため、枠体6の枕木方向の位置決めを行うことで、運転台5の枕木方向の位置決めを行うことが可能である。
【0087】
枠体6は運転台5よりも軽量に構成することが出来るため、枠体6による位置調整の作業は、従来のようにユニット化された運転台による位置調整を行うよりも容易となる。よって、作業者の経験および技術を従来よりも必要とせず、作業に要する時間も削減することが出来る。
【0088】
(2)(1)に記載の運転台5において、枠体6は、枠体6に着脱自在な、位置決め治具7を備えること、位置決め治具7は、枠体6に取り付けられることで、枠体6に、少なくとも、軌道方向に所定の長さ(長さ寸法D22)を有する上面位置指示部721と、垂直方向に所定の長さ(長さ寸法D23)を有する前面位置指示部711と、を形成すること、を特徴とする。
【0089】
また、鉄道車両の運転室4に設けられる運転台5の構築方法において、上記(2)に記載の運転台5を用い、枠体6に位置決め治具7を取り付けた状態で、上面位置指示部721および前面位置指示部711により、枠体6の運転室4の床(床板パネル41)に対する角度の位置決めを実施して枠体6を運転室4に固定し、位置決め治具7を枠体6から取り外し、複数個のモジュール51,52,53,54を枠体6に載置して運転台5を構築すること、を特徴とする。
【0090】
(2)に記載の運転台5または(2)に記載の運転台5を用いた構築方法によれば、位置決め治具7を組み付けた状態の枠体6によって、運転台5の運転室4の床(床板パネル41)に対する角度の調整を行った後、各モジュール51,52,53,54を枠体6に載置することで、運転台5を構成することが出来る。
【0091】
具体的には、位置決め治具7により枠体6に形成される、所定の長さ(長さ寸法D22,D23)を有する上面位置指示部721および前面位置指示部711の、運転室4の床(床板パネル41)や側壁42等に対する角度などを確認しながら、枠体6の角度の位置決めを行う。上面位置指示部721は、運転台5の上面5aの位置を示すものであり、前面位置指示部711は、運転台5の前面5bの位置を示すものであるため、枠体6の角度の位置決めを行うことで、運転台5の角度の位置決めを行うことが可能である。なお、上記する所定の長さとは、上面位置指示部721および前面位置指示部711の、運転室4の床(床板パネル41)や側壁42に対する角度を確認可能な程度の範囲で適宜設定される。つまり、本実施形態においては、上面位置指示部721の長さ寸法D22は、運転台5の奥行寸法D12と同一であり、前面位置指示部711の長さ寸法D23は、運転台5の高さ方向の寸法D13と同一としているが、これに限定されるものではない。
【0092】
枠体6および位置決め治具7は運転台5よりも軽量に構成することが出来るため、枠体6および位置決め治具7による位置調整の作業は、従来のようにユニット化された運転台による位置調整を行うよりも容易となる。よって、作業者の経験および技術を従来よりも必要とせず、作業に要する時間も削減することが出来る。
【0093】
(3)(1)または(2)に記載の運転台5において、枠体6は、固定部材8により、床(床構体1)に固定されること、固定部材8は、水平方向に浮動可能な浮動部材82と、浮動部材82に結合可能であるとともに、枠体6と結合可能な高さ調整ねじ81と、を有していること、を特徴とする。
【0094】
鉄道車両の運転室4に設けられる運転台5の構築方法において、上記(3)に記載の運転台5を用い、浮動部材82により、枠体6の水平方向の位置調整をし、高さ調整ねじ81により、枠体6の垂直方向の位置調整および枠体6の床(床板パネル41)に対する角度調整を実施して枠体6を運転室4に固定し、複数個のモジュール51,52,53,54を枠体6に載置して運転台5を構築すること、を特徴とする。
【0095】
(3)に記載の運転台5または(3)に記載の運転台5を用いた構築方法によれば、運転室4の床(床構体1)に設けられた固定部材8の高さ調整ねじ81により、枠体6の垂直方向の位置調整および床(床板パネル41)に対する角度調整が可能である。さらに、枠体6に結合可能な高さ調整ねじ81は浮動部材82に結合可能であるため、浮動部材82を浮動させることで、高さ調整ねじ81を介して枠体6の水平方向の位置調整が可能である。これら、高さ調整ねじ81および浮動部材82によって枠体の位置調整が可能であることは、枠体6に各モジュール51,52,53,54を載置することで構成される運転台5の位置調整が可能であることを意味する。枠体6は運転台5よりも軽量に構成することが出来るため、枠体6による位置調整の作業は、従来のようにユニット化された運転台による位置調整を行うよりも容易となる。よって、作業者の経験および技術を従来よりも必要とせず、作業に要する時間も削減することが出来る。
【0096】
さらに、運転室4の床(床構体1)に設けられた固定部材8の浮動部材82により水平方向の位置調整が可能であれば、運転台5の設置位置の調整後に、構造物の設置位置に対応する箇所にボルト結合を行うための穴あけを行うという従来必要であった作業を行う必要がないため、切り粉の発生や飛散のおそれがない。
【0097】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって、本発明は当然にその要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、高さ調整ねじ81は4個用いているが、個数はこれに限定されず、増減可能である。また、上記実施形態においては、床板パネル41は、運転台5の設置位置に、切欠き41aを有しており、枠体6を露出している床構体1に直接固定しているが、床板パネル41は必ずしも切欠き41aを有する必要はない。例えば、床構体1を露出させずに、枠体6を、床板パネル41を介して床構体1に結合させるなどしても良い。
【0098】
また、本実施形態においては、枠体6の側壁42に対向する端部を側面位置指示部6bとしているが、位置決め治具7の側壁42に対向する端部を側面位置指示部としても良い。さらに、本実施形態においては、位置決め治具7の長辺部71の端面を前面位置指示部711としているが、枠体6を構成する平面部61の、軌道方向の両端部の内、第1外枠フレーム611側の端部を前面位置指示部としても良い。
【符号の説明】
【0099】
4 運転室
5 運転台
6 枠体
6a 上面位置指示部
6b 側面位置指示部
51 第1モジュール
52 第2モジュール
53 第3モジュール
54 第4モジュール
711 前面位置指示部
721a 上面位置指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、
複数個のモジュールに分割されていること、
前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、
前記枠体は、少なくとも、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、
を特徴とする運転台。
【請求項2】
請求項1に記載の運転台において、
前記枠体は、前記枠体に着脱自在な位置決め治具を備えること、
前記位置決め治具は、前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成すること、
を特徴とする運転台。
【請求項3】
請求項1または2に記載の運転台において、
前記枠体は、固定部材により、前記運転室の床に固定されること、
前記固定部材は、前記運転室の床に設けられた水平方向に浮動可能な浮動ナットと、前記枠体に上下位置を調整可能に設けられた高さ調整ねじと、該高さ調整ねじの中空部を貫通して前記浮動ナットと螺合する固定ボルトと、を有していること、
を特徴とする運転台。
【請求項4】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項1に記載の運転台を用い、
前記上面位置指示部による前記枠体の垂直方向における位置決めと、前記前面位置指示部による前記枠体の軌道方向における位置決めと、前記側面位置指示部による前記枠体の枕木方向における位置決めと、の少なくともいずれか1つを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記枠体に前記複数個のモジュールを載置することで運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【請求項5】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項2に記載の運転台を用い、
前記枠体に前記位置決め治具を取り付けた状態で、前記上面位置指示部および前記前面位置指示部により、前記枠体の前記運転室の床に対する角度の位置決めを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記位置決め治具を前記枠体から取り外し、
前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【請求項6】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項3に記載の運転台を用い、
前記浮動ナットにより、前記枠体の水平方向の位置調整をし、
前記高さ調整ねじにより、前記枠体の垂直方向の位置調整および前記枠体の前記運転室の床に対する角度調整を実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(1)鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、複数個のモジュールに分割されていること、前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、前記枠体は、少なくとも、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、前記枠体により、前記運転台の前記運転室における設置位置を定めること、を特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
(3)(1)または(2)に記載の運転台において、前記枠体は、固定部材により、前記運転室の床に固定されること、前記固定部材は、前記運転室の床に設けられた水平方向に浮動可能な浮動ナットと、前記枠体に上下位置を調整可能に設けられた高さ調整ねじと、該高さ調整ねじの中空部を貫通して前記浮動ナットと螺合する固定ボルトと、を有していること、を特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
また、鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、上記(3)に記載の運転台を用い、前記浮動ナットにより、前記枠体の水平方向の位置調整をし、前記高さ調整ねじにより、前記枠体の垂直方向の位置調整および前記枠体の前記運転室の床に対する角度調整を実施して前記枠体を前記運転室に固定し、前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、を特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、
前記運転台は、枠体を介して、前記運転室に設置されること、
前記枠体は、少なくとも、前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、
前記枠体は、
前記枠体に着脱自在であり、前記運転室に固定される前の前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成するとともに、前記運転室に固定された前記枠体から取り外される位置決め治具、
を備えること、
前記運転台は、前記位置決め治具が取り外された前記枠体に載置されることで前記運転台を構成する、複数個のモジュールに分割されていること、
を特徴とする運転台。
【請求項2】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、
複数個のモジュールに分割されていること、
前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、
前記枠体は、少なくとも、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、
前記枠体は、固定部材により、前記運転室の床に固定されること、
前記固定部材は、前記運転室の床に設けられた水平方向に浮動可能な浮動ナットと、前記枠体に上下位置を調整可能に設けられた高さ調整ねじと、該高さ調整ねじの中空部を貫通して前記浮動ナットと螺合する固定ボルトと、を有していること、
を特徴とする運転台。
【請求項3】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項1に記載の運転台を用い、
前記上面位置指示部による前記枠体の垂直方向における位置決めと、前記前面位置指示部による前記枠体の軌道方向における位置決めと、前記側面位置指示部による前記枠体の枕木方向における位置決めと、の少なくともいずれか1つを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記枠体に前記複数個のモジュールを載置することで運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【請求項4】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
前記運転台は、
複数個のモジュールに分割されていること、
前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、
前記枠体は、少なくとも、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、
前記枠体は、前記枠体に着脱自在な位置決め治具を備えること、
前記位置決め治具は、前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成すること、
を特徴とし、
前記運転台を用い、
前記枠体に前記位置決め治具を取り付けた状態で、前記上面位置指示部および前記前面位置指示部により、前記枠体の前記運転室の床に対する角度の位置決めを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記位置決め治具を前記枠体から取り外し、
前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【請求項5】
鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、
請求項に記載の運転台を用い、
前記浮動ナットにより、前記枠体の水平方向の位置調整をし、
前記高さ調整ねじにより、前記枠体の垂直方向の位置調整および前記枠体の前記運転室の床に対する角度調整を実施して前記枠体を前記運転室に固定し、
前記複数個のモジュールを前記枠体に載置して運転台を構築すること、
を特徴とする運転台の構築方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(1)鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、前記運転台は、枠体を介して、前記運転室に設置されること、前記枠体は、少なくとも、前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、前記枠体は、前記枠体に着脱自在であり、前記運転室に固定される前の前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成するとともに、前記運転室に固定された前記枠体から取り外される位置決め治具、を備えること、前記運転台は、前記位置決め治具が取り外された前記枠体に載置されることで前記運転台を構成する、複数個のモジュールに分割されていること、を特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、鉄道車両の運転室に設けられる運転台の構築方法において、前記運転台は、複数個のモジュールに分割されていること、前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、前記枠体は、少なくとも、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、前記枠体は、前記枠体に着脱自在な位置決め治具を備えること、前記位置決め治具は、前記枠体に取り付けられることで、前記枠体に、少なくとも、軌道方向に所定の長さを有する前記上面位置指示部と、垂直方向に所定の長さを有する前記前面位置指示部と、を形成すること、を特徴とし、前記運転台を用い、前記枠体に前記位置決め治具を取り付けた状態で、前記上面位置指示部および前記前面位置指示部により、前記枠体の前記運転室の床に対する角度の位置決めを実施して前記枠体を前記運転室に固定し、前記位置決め治具を前記枠体から取り外し、前記複数個のモジュールを枠体に載置して運転台を構築すること、を特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
上記運転台または上記運転台の構築方法によれば、位置決め治具を組み付けた状態の枠体によって、運転台の運転室の床に対する角度の位置調整を行った後、各モジュールを枠体に載置することで、運転台を構成することが出来る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
(3)鉄道車両の運転室に設けられる運転台において、複数個のモジュールに分割されていること、前記複数個のモジュールを載置可能な枠体を介して、前記運転室に設置されること、前記枠体は、少なくとも、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の上面の位置に相当する上面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の、運転士と向かい合う前面の位置に相当する前面位置指示部と、前記複数個のモジュールにより形成される前記運転台の側面の位置に相当する側面位置指示部と、のいずれかを備えること、前記枠体は、固定部材により、前記運転室の床に固定されること、前記固定部材は、前記運転室の床に設けられた水平方向に浮動可能な浮動ナットと、前記枠体に上下位置を調整可能に設けられた高さ調整ねじと、該高さ調整ねじの中空部を貫通して前記浮動ナットと螺合する固定ボルトと、を有していること、を特徴とする。