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  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図1
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  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図3
  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図4
  • 特開-コンデンサ冷却構造及び電力変換装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097547
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】コンデンサ冷却構造及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230703BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213727
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770DA01
5H770DA24
5H770JA11W
5H770PA02
5H770PA05
5H770PA21
5H770PA42
5H770PA43
5H770QA08
5H770QA11
5H770QA16
5H770QA22
5H770QA27
5H770QA30
5H770QA33
5H770QA40
(57)【要約】
【課題】追加部品を要することなく平滑コンデンサを効率的に冷却し、平滑コンデンサを備えた装置の小型化とコストダウンを図ること。
【解決手段】セルユニット1は、冷却風Cが供されると共に高圧インバータ盤2の複数の平滑コンデンサ3が冷却風Cの流れ方向に並んで立設されるケース10と、前記複数の平滑コンデンサ3の一端に面してケース10の開口部11に設けられ、当該複数の平滑コンデンサ3と高圧インバータ盤2の半導体部品4とを接続する導体P,PN,N間を絶縁する絶縁シート6と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却風が供されると共に電力変換装置の複数の平滑コンデンサが当該冷却風の流れ方向に並んで立設されるケースと、
複数の前記平滑コンデンサの一端側に面して前記ケースの開口部に設けられ、当該平滑コンデンサと前記電力変換装置の半導体部品を接続する導体間を絶縁する絶縁シートと、
を有することを特徴とするコンデンサ冷却構造。
【請求項2】
前記絶縁シートには、前記冷却風の風下側の部位に当該冷却風の吸気穴が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ冷却構造。
【請求項3】
前記冷却風の風下側の前記平滑コンデンサは、当該冷却風の風上側の前記平滑コンデンサから当該冷却風の流れ方向斜めの位置に配されることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ冷却構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のコンデンサ冷却構造を有することを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧インバータユニット等の電力変換装置に適用される平滑コンデンサの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧インバータユニットに適用される複数の平滑コンデンサを備えたコンデンサバンクは、ヒートシンクの風上に配置された当該複数の平滑コンデンサに冷却風を供することで当該平滑コンデンサの冷却が図られる(特許文献1)。また、前記冷却風の流れ方向に沿って隣り合う前記平滑コンデンサの空間に対応した前記コンデンサバンクの内面には、当該内面の近傍を流れる当該冷却風を当該空間に案内する案内部材が設けられる。これにより、前記複数の平滑コンデンサに対して前記冷却風が均等に供され、当該複数の平滑コンデンサの均一な冷却が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-180424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来のコンデンサ冷却構造は、少なくとも案内部材を追加部品として要するので、コストアップにつながる。
【0005】
本発明は、以上の事情を鑑み、追加部品を要することなく平滑コンデンサを効率的に冷却し、平滑コンデンサを備えた装置の小型化とコストダウンを図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の一態様は、冷却風が供されると共に電力変換装置の複数の平滑コンデンサが当該冷却風の流れ方向に並んで立設されるケースと、複数の前記平滑コンデンサの一端側に面して前記ケースの開口部に設けられ、当該平滑コンデンサと前記電力変換装置の半導体部品を接続する導体間を絶縁する絶縁シートと、を有するコンデンサ冷却構造である。
【0007】
本発明の一態様は、前記コンデンサ冷却構造において、前記絶縁シートには、前記冷却風の風下側の部位に当該冷却風の吸気穴が形成されている。
【0008】
本発明の一態様は、前記コンデンサ冷却構造において、前記冷却風の風下側の前記平滑コンデンサは、当該冷却風の風上側の前記平滑コンデンサから当該冷却風の流れ方向斜めの位置に配されている。
【0009】
本発明の一態様は、上記のコンデンサ冷却構造を有する電力変換装置である。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明によれば、追加部品を要することなく平滑コンデンサを効率的に冷却できるので、平滑コンデンサを備えた装置の小型化とコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のコンデンサ冷却構造の一態様であるセルユニットの斜視図。
図2】本発明のコンデンサ冷却構造が適用される高圧インバータ盤の縦断面図。
図3】本発明の実施形態1における冷却風の流れを説明したセルユニットの平面図。
図4】本発明の実施形態2における冷却風の流れを説明したセルユニットの平面図。
図5】本発明の実施形態3における冷却風の流れを説明したセルユニットの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0013】
[実施形態1]
図1に示された本発明のコンデンサ冷却構造の一態様であるセルユニット1は、電力変換装置の一態様である図2の高圧インバータ盤2に備えられる。
【0014】
高圧インバータ盤2は、単相インバータを搭載した複数のセルユニット1を直列に高圧インバータ盤2の高さ方向に多重に積層配置して成る。高圧インバータ盤2の前面部20には冷却風Cの吸気口21が設けられる。また、この高圧インバータ盤2の天井部22にはセルユニット1の冷却に供された冷却風Cを排出する排気ファン23が設置される。そして、高圧インバータ盤2内のセルユニット1の後方側(下流側)には、個々のセルユニット1から排出された冷却風Cが供されるダクト24が確保される。
【0015】
セルユニット1は、冷却風Cが供されると共に前記単相インバータの複数の平滑コンデンサ3が冷却風Cの流れ方向に並んで立設されるケース10を有する。ケース10内の冷却風Cの最も下流側の平滑コンデンサ3の後方側の位置には、前記単相インバータの電力用半導体素子からなる半導体部品4が配置される。特に、半導体部品4は、前記後方側の位置に配されたヒートシンク5上に配される。
【0016】
また、平滑コンデンサ3の一端側(上端側)に面するケース10の開口部11には、平滑コンデンサ3と半導体部品4を接続する導体P,PN,N間を絶縁する絶縁シート6が配置される。導体PNは、例えば図1のように平滑コンデンサ3を2並列3直列に接続する。導体Pは、前記2並列3直列の平滑コンデンサ3のうち冷却風Cの最上流側で並列する平滑コンデンサ3のP極側を半導体部品4のP極側と接続させる。導体Nは、前記2並列3直列の平滑コンデンサ3のうち冷却風Cの最下流側で並列する平滑コンデンサ3のN極側を半導体部品4のN極側と接続させる。
【0017】
図1~3を参照して実施形態1の作用効果について説明する。
【0018】
高圧インバータ盤2の排気ファン23が作動すると、図3に示したように、外気が冷却風Cとして前面部20の吸気口21さらにはケース10の吸気口12を介してケース10内に供される。ケース10内に導入された冷却風Cは図2の高圧インバータ盤2のダクト24に移行する。この移行の過程でケース10内の複数の平滑コンデンサ3が上流側の平滑コンデンサ3から順次冷却に供される。平滑コンデンサ3を経た冷却風Cは、さらに、図3の半導体部品4及びヒートシンク5の冷却に供された後に、ケース10の排気口13を介して図2のダクト24に供される。そして、高圧インバータ盤2内の個々のセルユニット1から移行した冷却風Cはダクト24にて合流して排気ファン23により高圧インバータ盤2の天井部22から排出される。
【0019】
セルユニット1によれば、図1の導体P,PN,N間を絶縁する絶縁シート6が平滑コンデンサ3の一端側(上端側)に面してケース10の開口部11に配されることで、平滑コンデンサ3の一端が絶縁シート6により覆われ、冷却ガイドとして機能する風洞が形成される。したがって、平滑コンデンサ3の周囲の冷却風Cの風速が向上し、前記冷却風ガイドなしの場合と比べて平滑コンデンサ3の冷却効果が高まる。また、平滑コンデンサ3の下流側に半導体部品4のヒートシンク5が配置されたことで半導体部品4の冷却も可能となる。
【0020】
以上のセルユニット1によれば、複数の平滑コンデンサ3の一端側から冷却風Cが逃げないように当該複数の一端側を覆って絶縁シート6が設けられることで、当該複数の平滑コンデンサ3の冷却効果が得られる。特に、導体P,PN,N間を絶縁する絶縁シート6が平滑コンデンサ3の冷却ガイドとしても機能するので、追加部品を要することなく平滑コンデンサ3を効率的に冷却できることから、平滑コンデンサ3を備えた装置の小型化とコストダウンを図ることができる。
【0021】
[実施形態2]
図4に例示された実施形態2のセルユニット1は、絶縁シート6において、冷却風Cの風下側の部位に冷却風Cの吸気穴61が形成される。吸気穴61は、特に、絶縁シート6において風下側且つケース10の内側面寄りの部位に形成されている。
【0022】
ケース10内においては、冷却風Cの風上側の平滑コンデンサ3の発熱により、冷却風Cの風下につれて平滑コンデンサ3の周囲温度が高くなり、平滑コンデンサ3の冷却効果が小さくなることがある。これに対して、実施形態2によれば、吸気穴61から冷却風Cが導入されるので、風上側の平滑コンデンサ3からの冷却風Cとセルユニット1の外部(外気)からの冷却風Cとが混合し、風下側の平滑コンデンサ3の周囲温度の低下を図ることができる。これにより、風下側の平滑コンデンサ3の冷却効果低下が緩和され、ケース10内において風上側及び風下側の平滑コンデンサ3の均一な冷却効果が得られる。
【0023】
したがって、実施形態2のセルユニット1によれば、風下側での平滑コンデンサ3の周囲温度の低下を図ることができるので、実施形態1の効果に加えて、風下側の平滑コンデンサ3の冷却効果が向上する。
【0024】
[実施形態3]
図5に例示のセルユニット1は、冷却風Cの風下側の平滑コンデンサ3が、冷却風Cの風上側の平滑コンデンサ3から冷却風Cの流れ方向斜めの位置に配される。
【0025】
以上の実施形態3のセルユニット1によれば、実施形態1と比較して平滑コンデンサ3の配置スペースが増加するが、冷却風Cの風下側の平滑コンデンサ3と冷却風Cとの接触効率が実施形態1と比べて高まり、冷却効果が向上する。また、実施形態2の絶縁シート6と併用することで、さらに冷却効果が向上する。
【符号の説明】
【0026】
1…セルユニット、10…ケース、11…開口部、12…吸気口、13…排気口
2…高圧インバータ盤、20…前面部、21…吸気口、22…天井部、23…排気ファン、24…ダクト
3…平滑コンデンサ
4…半導体部品
5…ヒートシンク
6…絶縁シート、61…吸気穴
C…冷却風
P,PN,N…導体
図1
図2
図3
図4
図5