(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097554
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】表面検査装置および表面検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213742
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】390003193
【氏名又は名称】東洋鋼鈑株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 伸二
(72)【発明者】
【氏名】兼重 直樹
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AA37
2G051AB02
2G051BA01
2G051BB02
2G051CA01
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA06
2G051EA16
2G051EB01
(57)【要約】
【課題】検査対象物に対する受光器の光軸ずれを正確に判定することができる表面検査装置および表面検査方法を提供する。
【解決手段】表面検査装置10は、ウェブ搬送される検査対象物Wに光源2から検査光を照射し、検査対象物Wを経由した検査光を受光器5にて受光し、受光器5の出力信号に基づいて検査対象物Wの欠陥を検出するように構成され、受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外に配置されたパスロール1にレーザポインタ3、4からレーザ光を照射し、パスロール1にて反射したレーザ反射光を受光器5にて受光し、受光器5で受光したレーザ反射光に基づいて検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを判定することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ搬送される検査対象物に光源から検査光を照射し、前記検査対象物を経由した検査光を受光器にて受光し、前記受光器の出力信号に基づいて前記検査対象物の欠陥を検出する表面検査装置であって、
前記受光器の視野領域内でかつ前記検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射し、
前記照射対象物にて反射したレーザ反射光を前記受光器にて受光し、
該受光器で受光した前記レーザ反射光に基づいて前記検査対象物に対する前記受光器の光軸ずれを判定することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記照射対象物の反射面における前記レーザ反射光の位置、幅、強度のうち少なくともいずれか1つに基づいて前記光軸ずれのずれ量を算出することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記レーザ反射光の位置は、前記受光器の前記視野領域の端を基準に計測されることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記レーザ光を照射するレーザは、前記検査対象物の搬送方向に直交する方向の一方端部側に少なくとも1つ、及び前記搬送方向に直交する方向の他方端部側に少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記照射対象物は、静止部材、および前記検査対象物をウェブ搬送するローラ部材のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記照射対象物の前記レーザ光が照射される面と、前記検査対象物の前記検査光が照射される面とが同一の平面高さ位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項7】
ウェブ搬送される検査対象物に検査光を照射する光源を有し、前記検査対象物を経由した検査光を受光する受光器の視野領域内でかつ前記検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射する照射ステップと、
前記検査対象物を経由した検査光と前記照射対象物にて反射したレーザ反射光とを前記受光器にて受光する受光ステップと、
前記受光器で受光した前記検査光に基づいて前記検査対象物の欠陥を検出するとともに、前記レーザ反射光に基づいて前記検査対象物に対する前記受光器の光軸ずれを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする表面検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置および表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表面検査装置として、搬送される検査対象物の表面に光を照射する光源と、検査対象物からの反射光を受光する複数の撮像装置とを備えるものが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1の表面検査装置は、検査対象物の表面に、光源の光とは輝度が異なるレーザ光を照射するレーザポインタと、診断部とを備え、診断部が、撮像装置それぞれの撮像画像における、レーザ光照射の画像の位置の差異から、撮像装置の設置状態のずれを検出する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の表面検査装置は、レーザポインタによりレーザ光を照射する対象が、検査対象物の表面となっているので、検査対象物の表面形状、粗度や色などの表面状態に応じて反射光の受光量が変動してしまい、撮像装置の設置状態のずれの有無を正確に検出できないおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、検査対象物に対する受光器の光軸ずれを正確に判定することができる表面検査装置および表面検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る表面検査装置は、ウェブ搬送される検査対象物に光源から検査光を照射し、前記検査対象物を経由した検査光を受光器にて受光し、前記受光器の出力信号に基づいて前記検査対象物の欠陥を検出する表面検査装置であって、前記受光器の視野領域内でかつ前記検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射し、前記照射対象物にて反射したレーザ反射光を前記受光器にて受光し、該受光器で受光した前記レーザ反射光に基づいて前記検査対象物に対する前記受光器の光軸ずれを判定することを特徴とする。
【0007】
(2)本発明に係る表面検査装置は、(1)に記載の表面検査装置であって、前記照射対象物の反射面における前記レーザ反射光の位置、幅、強度のうち少なくともいずれか1つに基づいて前記光軸ずれのずれ量を算出することを特徴とする。
【0008】
(3)本発明に係る表面検査装置は、(2)に記載の表面検査装置であって、前記レーザ反射光の位置は、前記受光器の前記視野領域の端を基準に計測されることを特徴とする。
【0009】
(4)本発明に係る表面検査装置は、(1)から(3)のいずれかに記載の表面検査装置であって、前記レーザ光を照射するレーザは、前記検査対象物の搬送方向に直交する方向の一方端部側に少なくとも1つ、及び前記搬送方向に直交する方向の他方端部側に少なくとも1つ設けられていることを特徴とする。
【0010】
(5)本発明に係る表面検査装置は、(1)から(4)のいずれかに記載の表面検査装置であって、前記照射対象物は、静止部材、および前記検査対象物をウェブ搬送するローラ部材のいずれかであることを特徴とする。
【0011】
(6)本発明に係る表面検査装置は、(1)から(5)のいずれかに記載の表面検査装置であって、前記照射対象物の前記レーザ光が照射される面と、前記検査対象物の前記検査光が照射される面とが同一の平面高さ位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
(7)本発明に係る表面検査方法は、ウェブ搬送される検査対象物に検査光を照射する光源を有し、前記検査対象物を経由した検査光を受光する受光器の視野領域内でかつ前記検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射する照射ステップと、前記検査対象物を経由した検査光と前記照射対象物にて反射したレーザ反射光とを前記受光器にて受光する受光ステップと、前記受光器で受光した前記検査光に基づいて前記検査対象物の欠陥を検出するとともに、前記レーザ反射光に基づいて前記検査対象物に対する前記受光器の光軸ずれを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記(1)に記載した本発明に係る表面検査装置は、ウェブ搬送される検査対象物に光源から検査光を照射し、検査対象物を経由した検査光を受光器にて受光し、受光器の出力信号に基づいて検査対象物の欠陥を検出する表面検査装置であって、受光器の視野領域内でかつ検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射し、照射対象物にて反射したレーザ反射光を受光器にて受光し、受光器で受光したレーザ反射光に基づいて検査対象物に対する受光器の光軸ずれを判定する構成を有している。
【0014】
この構成により、表面検査装置は、ウェブ搬送される検査対象物を検査するとともに、検査対象物に対する受光器の光軸ずれを判定する。表面検査装置では、受光器の視野領域内でかつ検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光が照射される。レーザ光が照射される照射対象物の表面は、検査対象物の表面と比較してばらつきの少ない安定した表面であり、受光器は、照射対象物の安定した表面で反射したレーザ反射光を受光することができる。したがって、安定したレーザ反射光に基づいて検査対象物に対する受光器の光軸ずれを正確に判定することができ、受光器の較正の信頼性が担保される。
【0015】
上記(2)に記載した本発明に係る表面検査装置は、前記照射対象物の反射面におけるレーザ反射光の位置、幅、強度のうち少なくともいずれか1つに基づいて光軸ずれのずれ量を算出する。この構成により、受光器の光軸ずれの判定と、光軸ずれのパターンを判別することができる。
【0016】
上記(3)に記載した本発明に係る表面検査装置は、レーザ反射光の位置を受光器の視野領域の端を基準に計測される。この構成により、受光器の光軸ずれを判定する際の基準が明確化されるとともに、レーザ反射光の位置が、受光器の視野領域内にあるので、受光器により受光したレーザ反射光の位置が把握される。
【0017】
上記(4)に記載した本発明に係る表面検査装置は、レーザ光を照射するレーザが、検査対象物の搬送方向に直交する方向の一方端部側に少なくとも1つ、搬送方向に直交する方向の他方端部側に少なくとも1つ設けられている。この構成により、光軸を中心に受光器が回転する方向に受光器の光軸がずれる異常が発生しているときに、その受光器の光軸のずれが的確に判定できる。
【0018】
上記(5)に記載した本発明に係る表面検査装置は、照射対象物が、静止部材と、検査対象物をウェブ搬送するローラ部材とのいずれかである。この構成により、レーザ光が、移動する検査対象物の表面に照射されることがなく、表面の状態にばらつきが少なく、表面状態の安定した静止部材、およびローラ部材に照射される。したがって、検査対象物にレーザ光を照射した場合と比較して、より安定したレーザ反射光が得られ、検査対象物に対する受光器の光軸ずれが正確に判定される。その結果、受光器の較正の信頼性が担保される。
【0019】
上記(6)に記載した本発明に係る表面検査装置は、前記照射対象物の前記レーザ光が照射される面と、検査対象物の検査光が照射される面とが同一の平面高さ位置に配置されている。
【0020】
この構成により、照射対象物のレーザ光が照射される面から受光器までの距離と、検査対象物の検査光が照射される面から受光器までの距離とが同じになる。したがって、受光器で受光する検査光の反射光の距離と、受光器で受光するレーザ光の反射光の距離とがほぼ同じ距離となり、受光器の光軸のずれが的確に判定できる。
【0021】
上記(7)に記載した本発明に係る表面検査方法は、ウェブ搬送される検査対象物に検査光を照射する光源を有し、検査対象物を経由した検査光を受光する受光器の視野領域内でかつ検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射する照射ステップと、検査対象物を経由した検査光と照射対象物にて反射したレーザ反射光とを受光器にて受光する受光ステップと、受光器で受光した検査光に基づいて検査対象物の欠陥を検出するとともに、レーザ反射光に基づいて検査対象物に対する受光器の光軸ずれを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
この構成により、本発明に係る表面検査方法においては、ウェブ搬送される検査対象物が検査されるとともに、検査対象物に対する受光器の光軸ずれが正確に判定される。本発明に係る表面検査方法は、受光器の視野領域内でかつ検査対象物の領域外に配置された照射対象物にレーザからレーザ光を照射している。レーザ光が照射される照射対象物の表面は、検査対象物の表面と比較してばらつきの少ない安定した表面であり、受光器は、照射対象物の安定した表面で反射したレーザ反射光を受光することができる。したがって、安定したレーザ反射光に基づいて検査対象物に対する受光器の光軸ずれを正確に判定することができ、受光器の較正の信頼性が担保される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、検査対象物に対する受光器の光軸ずれを正確に判定することができる表面検査装置および表面検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る表面検査装置の模式図であり、
図1(1)は、斜視図を示し、
図1(2)は、側面図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る表面検査装置の図であり、
図2(1)は、パスロールおよび検査対象物に照射される検査光およびレーザ光を説明する説明図を示し、
図2(2)は、受光器の出力信号を説明する説明図を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る表面検査装置で検査対象物を検査する部分の模式図。
【
図4】本発明の実施形態に係る表面検査装置でレーザ反射光を除いた検査対象物を検査する部分の受光器で受光した検査光の出力信号を説明する説明図。
【
図5A】本発明の実施形態に係る表面検査装置の光軸異常(幅方向の光軸ずれ)を説明する図。
【
図5B】本発明の実施形態に係る表面検査装置の光軸異常(長手方向の光軸ずれ)を説明する図。
【
図5C】本発明の実施形態に係る表面検査装置の光軸異常(回転方向の光軸ずれ)を説明する図。
【
図6】本発明の実施形態に係る表面検査装置による表面検査方法の工程図。
【
図8】本発明の実施形態の変形例1に係る表面検査装置の模式図であり、
図8(1)は、平面図を示し、
図8(2)は、側面図を示す。
【
図9】本発明の実施形態の他の変形例2に係る表面検査装置の模式図であり、
図9(1)は、正面図を示し、
図9(2)は、側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る表面検査装置および表面検査方法を適用した実施形態に係る表面検査装置10および表面検査方法について図面を参照して説明する。
【0026】
まず、実施形態に係る表面検査装置10について説明する。表面検査装置10は、
図1(1)、
図1(2)に示すように、パスロール1と、光源2と、レーザポインタ3、4と、受光器5と、信号処理部6と、表示部7とを有している。
【0027】
表面検査装置10は、検査対象物Wの製造ラインで、検査対象物Wの表面のキズ、汚れや異物付着などの検査対象物Wの欠陥を検出するとともに、受光器5の光軸ずれを信号処理部6で判定し、表示部7にこれらの信号および/または判定結果を表示する構成を有している。検査対象物Wは、例えば長尺シート状の鋼板やフィルムなどのいわゆるウェブ材からなる。表面検査装置10は、製造ラインの稼働中に検査対象物Wを検査するいわゆるオンライン検査を妨げずに受光器5の光軸ずれを判定することができる。
【0028】
パスロール1は、
図1(1)に示すように、円柱状のローラ部材によって構成されている。パスロール1は、その軸方向が検査対象物Wと平行でかつ検査対象物Wの搬送方向に直交する方向に延在するように配置されている。そして、軸を中心として回転可能に支持され、軸方向の中央部分で検査対象物Wと接触してウェブ搬送する構成を有している。本実施形態では、矢印aで示す水平方向にウェブ搬送される検査対象物Wの下面に接触して、下方に向かう方向に搬送方向を転換させるようになっている。なお、パスロール1は、本発明に係る表面検査装置のローラ部材およびレーザ光が照射される照射対象物に対応する。そして、ウェブ搬送の搬送方向は、矢印aと反対の方向であってもよい。
【0029】
光源2は、検査対象物Wの表面に検査光2aを照射する発光ダイオードなどからなる発光デバイスによって構成されている。光源2は、
図1(2)に示すように、パスロール1の軸心Jと、受光器5の光軸CSとが交わる線に対して、検査対象物Wの搬送方向の下流側の位置であって、パスロール1から離隔した位置に配置されている。光源2は、図示しない固定部材に固定されている。
【0030】
なお、
図1(2)は光源2を搬送方向の下流側に配置しているが、光源2と受光器5が正反射または拡散反射で検査対象物Wの欠陥部E(
図4を参照)を検出できる位置にあればよく、光源2は上流側など他の位置に配置してもよい。
【0031】
光源2は、電源の供給を受けることにより発光して、パスロール1上の検査対象物Wの表面に向けて検査光2aを照射する。検査光2aの照射は、
図1(1)および
図2(1)に示すように、受光器5の視野領域SAとほぼ同じパスロール1の一方側端部1aから他方側端部1bの全域に対して行われ、検査対象物Wの幅方向一方側の端部から他方側の端部までの領域WAの全幅に亘って行われる。光源2は、
図1(2)に示すように、パスロール1の軸心Jと受光器5の光軸CSとを含む仮想平面がパスロール1の表面(外周面)に交わる線状の領域に向かって検査光2aを照射する。光源2は、仮想平面よりも下方からパスロール1に向かって検査光2aを照射する。光源2は、仮想平面に対して斜めに交差する方向に検査光2aを照射するので、検査対象物Wおよびパスロール1の表面で正反射した反射光は、受光器5に受光されず、乱反射した反射光が受光器5に受光される。検査対象物Wおよびパスロール1の表面で正反射した反射光と比較して、受光器5によって受光される反射光の受光量は少ない。
【0032】
レーザポインタ3、4は、例えば、発光素子にLD(Laser Diode)を使用しているLD光源を有しており、パスロール1の一方側端部1aの近傍と他方側端部1bの近傍にそれぞれ配置されている。レーザポインタ3、4は、LD光源から受光器5の光軸CSを較正するためのレーザ光3a、4aを照射する。
【0033】
レーザポインタ3、4は、
図1(2)と
図2(1)に示すように、パスロール1の軸心Jと、受光器5の光軸CSとを含む仮想平面上に光軸LSが含まれる位置であって、
図2(1)において一点鎖線で囲まれた受光器5の視野領域SAの外側の位置に配置されている。レーザポインタ3、4は、図示しない固定部材に固定されている。
【0034】
レーザポインタ3、4は、パスロール1の表面であって、受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外にレーザ光3a、4aを照射する。検査対象物Wの厚さは薄く、レーザ光3a、4aが照射されるパスロール1の表面は、検査対象物Wの表面とほぼ同一の平面高さ位置となる。
【0035】
本実施形態では、レーザ光3a、4aの照射形状は円形であり、パスロール1の表面に形成されるレーザ反射光3b、4bの形状も円形であり、そのサイズは、例えば直径が5mm~10mm程度である。なお、レーザ光3a、4aの照射形状は、円形以外の形状であってもよい。例えば、パスロール1の表面に形成されるレーザ反射光3b、4bの形状がパスロール1の周方向に対して斜めに延びる縦長の矩形状であってもよい。レーザ反射光3b、4bの形状が矩形状である場合、パスロール1の軸心Jに対する傾きの角度(°)を設定し、一方側端部1aに照射し、さらに左右反転した形状のレーザを他方側端部1bに照射することにより、検査対象物Wの搬送方向における受光器5の光軸CSのずれ量と、検査対象物Wの搬送方向と直交する方向における受光器5の光軸CSのずれ量との両方を把握することができる。パスロール1の表面に形成されるレーザ反射光3b、4bの形状が矩形状の場合、傾きの角度に制限はないが、検査対象物の搬送方向に対して45°の傾き角度であれば、受光器5の光軸CSのずれ量を容易に算出することができる。
【0036】
レーザポインタ3は、
図2に示すように、パスロール1に照射されるレーザ光の照射位置への入射角α1(°)と反射角α2(°)が等しくなるように配置されている。即ち、レーザポインタ3は、パスロール1に向かってレーザ光3aを照射し、パスロール1の表面で正反射したレーザ反射光3bが受光器5で受光されるように配置されている。
【0037】
レーザポインタ4は、レーザポインタ3と同様に構成されており、発光素子にLDを使用しているLD光源からなり、パスロール1の他方側端部1bの近傍に位置している。LD光源から受光器5の光軸CSを較正するためのレーザ光4aが照射される。
【0038】
レーザポインタ4から照射されるレーザ光4aの照射位置への入射角β1(°)と反射角β2(°)もレーザポインタ3と同様、等しくなるように配置されており、パスロール1で正反射したレーザ反射光4bが受光器5で受光されるように配置されている。なお、レーザポインタ3、4は、いずれか1つであってもよい。なお、レーザポインタ3、4は、本発明に係る表面検査装置のレーザに対応する。
【0039】
受光器5は、例えば、公知のCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサなどの複数の撮像素子を有しており、各撮像素子が直線状に配列されたラインカメラによって構成されている。受光器5は、
図1(1)および
図1(2)に示すように、信号処理部6と接続されている。
【0040】
受光器5は、
図1(2)に示すように、上記した仮想平面において一点鎖線で示す受光器5の光軸CSがパスロール1の軸心Jに直交する位置を基準位置としている。基準位置におけるレーザ反射光の波形は事前にレーザ反射光3b、4bの位置と共に記録される。受光器5は、図示しない雲台などのような受光器の角度を変更できる固定部材に固定されており、
図1(2)に示す基準位置から光軸CSがずれていた場合には、光軸CSを基準位置に戻す調整をすることができるようになっている。受光器5は、基準位置から、(1)パスロール1の軸心Jに沿う方向(被検査体の幅方向)、(2)基準位置の光軸CSに直交する方向でかつパスロール1の軸心Jからパスロール1の径方向に離れる方向(被検査体の長手方向)、および(3)基準位置の光軸CSを中心として回転する方向のうち、少なくともいずれかの方向にずれる可能性がある。
【0041】
受光器5は、
図3に示すように、矢印aで示す搬送方向にウェブ搬送される検査対象物に光源2から照射され、検査対象物Wの表面で反射した、即ち検査対象物Wを経由した検査光2aを受光し、出力信号を信号処理部6に送信する。
【0042】
出力信号は、
図4に示すように、ウェブ搬送の搬送方向に直交する検査対象物Wの幅方向(x方向)の各位置における電圧(V)の信号として出力される。受光器5は、光源2から照射された検査光のうち、入射角と反射角が反射面に対して等しく反射する正反射の検査光を受光せず、反射面で拡散反射し様々な方向へ拡散される拡散反射の検査光を受光する。本実施形態では、受光器5が拡散反射の検査光を受光する表面検査装置を用いて説明するが、本発明は受光器5が正反射の検査光を受光する表面検査装置にも適用可能である。
【0043】
検査対象物Wの欠陥がある部分では、検査光は拡散反射し、欠陥が無い正常な部分では、検査光は正反射する。したがって、受光器5は、欠陥がある部分からは比較的に多くの光を受光し、欠陥が無い他の部分からは比較的に少ない光を受光する。その結果、
図4に示すように、受光器5の出力信号は、欠陥部Eでは、予め設定された判定基準Thを超える比較的に高い電圧となり、欠陥が無い部分では、判定基準Thを下回る比較的に低い電圧となる。
【0044】
また、受光器5は、
図2(1)に示すように、レーザポインタ3、4から照射されパスロール1の表面から正反射したレーザ反射光3b、4bを受光し、受光したレーザ反射光3b、4bを電気信号に変換し、出力信号として信号処理部6に送信する。受光器5は、レーザポインタ3、4から照射されたレーザ光3a、4aがパスロール1の表面で正反射したレーザ反射光3b、4bを受光するので、レーザ反射光3b、4bを受光した部分の電圧は高いものとなる。レーザポインタ3、4は、受光器5に対して正反射の角度で設置されることにより、受光器5に入射する光を多く確保できるため検査光と明確に区別することができる。
【0045】
レーザ反射光3b、4bの出力信号は、検査光2aの出力信号と同様、
図2(2)に示すように、ウェブ搬送の搬送方向に直交するパスロール1の幅方向(パスロール1の軸方向)の位置における電圧(V)の信号として出力される。この出力信号には、パスロール1の表面におけるレーザ反射光3b、4bの位置、幅および強度の信号が含まれる。なお、
図2(2)は、横軸がパスロール1の幅方向の位置を示し、縦軸が電圧の高さを示す。
【0046】
受光器5から出力される電圧は、正反射したレーザ反射光3b、4bを受光した位置の電圧が、周囲よりも高くなる。レーザ反射光3b、4bを受光した位置は、受光器5から出力された信号から得られる電圧のピーク値となる矩形の位置によって表され、具体的には受光器5の視野領域SAの一方側端部T1を基準として計測された位置x1および他方側端部T2を基準として計測された位置x2によって表される。
【0047】
図2(2)に示す例では、レーザ反射光3bの位置x1は、受光器5の視野領域SAの一方側端部T1からパスロール1の中心寄りに距離δ1だけ離れた位置となる。そして、レーザ反射光3bの幅は、受光器5から出力された信号から得られる電圧の矩形の幅t1によって表される。そして、レーザ反射光3bの強度は、受光器5から出力された信号から得られる電圧の高さh1によって表される。
【0048】
同様に、レーザ反射光4bの位置x2は、受光器5の視野領域SAの他方側端部T2からパスロール1の中心寄りに距離δ2だけ離れた位置となる。そして、レーザ反射光4bの幅は、受光器5から出力された信号から得られる電圧の矩形の幅t2によって表される。そして、レーザ反射光4bの強度は、受光器5から出力された信号から得られる電圧の高さh2によって表される。
【0049】
なお、レーザ反射光3b、4bの位置は、上記の他に受光器5から出力された信号から得られる一方側端部T1のレーザ反射光の信号と他方側端部T2のレーザ反射光の信号の間の長さによって表わされてもよい。
【0050】
レーザ反射光の位置、幅および強度の信号に関して、受光器5の光軸CSのずれが発生し、光軸異常となる場合について図面を参照して説明する。
【0051】
受光器5の光軸CSのずれが幅方向に発生した場合、例えば、
図5A(1)に示すように、光軸CSが基準位置からパスロール1の一方側端部1a方向にずれると、受光器5によって受光されるレーザ反射光3b、4bの位置が幅方向にずれるので、
図5A(2)に示すように、受光器5の出力信号においてレーザ反射光3b、4bを表す矩形部分は、実線で示される位置から、破線で示すように、他方側端部T2方向にずれる。
【0052】
受光器5の出力信号においてレーザ反射光3bを表す矩形部分は、光軸CSが基準位置のときは、受光器5の視野領域SAの一方側端部T1からパスロール1の中心寄りに距離δ1だけ離れた位置x1にある。そして、光軸CSが基準位置からパスロール1の一方側端部1a方向にずれた状態では、受光器5の視野領域SAの一方側端部T1’からパスロール1の中心寄りに距離δ1’だけ離れた位置x1’になる。同様に、レーザ反射光4bの位置は、光軸CSが基準位置のときは、受光器5の視野領域SAの他方側端部T2からパスロール1の中心寄りに距離δ2だけ離れた位置x2にある。そして、光軸CSが基準位置からパスロール1の一方側端部1a方向にずれた状態では、受光器5の視野領域SAの他方側端部T2’からパスロール1の中心寄りに距離δ2’だけ離れた位置x2’になる。
【0053】
受光器5の光軸CSのずれが長手方向、即ち検査対象物Wの搬送方向に発生した場合、例えば、
図5B(1)に示すように、光軸CSが検査対象物Wの搬送方向の上流側(図中の上側)にずれると、受光器5によって受光するレーザ反射光3b、4bの受光量が減少するので、
図5B(2)に示すように、受光器5の出力信号においてレーザ反射光3b、4bを表す矩形部分は、実線で示される大きさから、破線で示される大きさに縮小するように変化する。
【0054】
パスロール1の表面に反射されるレーザ反射光3bは、光軸CSが基準位置の状態から長手方向にずれることにより、
図5B(3)に示す受光器5の出力信号においてレーザ反射光3bを表す矩形部分の位置が、受光器5の視野領域SAの一方側端部T1’からパスロール1の中心寄りに距離δ1’だけ離れた位置x1’になり、その幅tも狭くなって幅t’となり、その高さhも低くなって高さh’となる。レーザ反射光4bを表す矩形部分も同様に、幅が狭くなり、高さも低くなる。
【0055】
受光器5のずれが回転方向、即ち光軸CSを中心に受光器が回転する方向に発生した場合、例えば、
図5C(1)に示すように、光軸CSを中心に反時計回りに回転すると、受光器5によって受光されるレーザ反射光3b、4bの受光量が減少するので、
図5C(2)に示すように、受光器5の出力信号においてレーザ反射光3b、4bを表す矩形部分は、実線で示される大きさから、破線で示される大きさに縮小し、かつその位置もパスロール1の中央寄りにずれるように変化する。
【0056】
パスロール1の表面に反射されるレーザ反射光3bは、光軸CSが基準位置の状態から光軸CSを中心とした反時計回りの回転方向にずれることにより、
図5C(3)に示す、受光器5の出力信号においてレーザ反射光3bを表す矩形部分は、その位置が、受光器5の視野領域SAの一方側端部T1’からパスロール1の中心寄りに距離δ1’だけ離れた位置x1’になり、幅tも狭くなって幅t’となり、高さhも低くなって高さh’となる。レーザ反射光4bを表す矩形部分も同様に、位置が移動し、幅が狭くなり、高さも低くなる。そして、検査対象物Wは幅が両側に広くなる。
【0057】
信号処理部6は、プログラムにより演算処理を実行する中央処理装置と、プログラムやデータなどを記憶した記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成されている。
【0058】
信号処理部6は、検査光の受光により受光器5から出力される電圧に基づいて検査対象物Wの欠陥を検出する。また、信号処理部6は、レーザ反射光の受光により受光器5から出力される電圧に基づいて検査対象物Wに対する受光器5の光軸CSのずれの有無を判定する。さらに、信号処理部6は、レーザ反射光3b、4bの位置、幅、および強度のうち少なくともいずれか1つに基づいて受光器5の光軸CSのずれ量を算出することもできる。信号処理部6は、
図5A、
図5Bおよび
図5Cに示す受光器5の幅方向、長手方向および回転方向の光軸CSのずれを監視し、光軸異常を早期に発見することができる。
【0059】
信号処理部6の検査光に対する判定では、
図4に示すように、検査光の信号の電圧が、判定基準Thを超えるか否かを判定する。検査対象物Wについて出力された検査光の信号の電圧が、判定基準Thを超えていない場合は、良品として処理し、判定基準Thを超えている部分がある場合は、かかる部分に欠陥部Eが存在するとして処理する。なお、判定基準Thは、検査対象物Wの大きさ、構造、材質、形状などの諸元と、表面検査装置10の設定諸元や実験値などのデータとに基づいて適宜選択される。
【0060】
信号処理部6のレーザ反射光に対する判定では、受光器5から出力された電圧が、基準位置の電圧に対して許容範囲に有るか否か、即ち光軸ずれの有無を判定したり、ずれている量、即ち受光器5の光軸CSのずれ量が算出され、ずれ量が許容範囲に有るか否かを判定したりする。レーザ反射光の信号電圧の波形が波形基準位置の電圧に対して許容範囲を超えていない場合は、光軸ずれ無しと判定し、波形基準位置の電圧に対して許容範囲を超えている場合は、光軸ずれ有りと判定し、これらの信号および/または判定結果を表示部7に送信する。また、必要に応じて以下の光軸ずれ量の算出、判定を行うことができる。
【0061】
算出されたずれ量が許容範囲内にある場合は、光軸異常が無いとして、結果を表示部7に送信する。このずれ量が許容範囲内に無い場合は、光軸異常があるとして、結果を表示部7に送信する。なお、ずれ量の許容範囲は、検査対象物Wの大きさ、構造、材質、形状などの諸元と、表面検査装置10の設定諸元や実験値などのデータとに基づいて適宜選択される。
【0062】
例えば、受光器5の出力信号においてレーザ反射光3b、4bを表す矩形部分が、
図5A(2)に破線で示すように、いずれも他方側端部T2方向にずれていた場合に、基準位置に対してのずれ量に基づいて、幅方向における光軸異常の判定がされ、ずれ量が許容範囲を超えている場合には、幅方向における光軸異常があると判定される。
【0063】
また、受光器5の出力信号においてレーザ反射光を表す矩形部分が、
図5B(3)に破線で示すように、一方側端部T1の矩形部分で、高さhが低くなるとともに、幅tが小さくなり、位置がほぼ変わらず、他方側端部T2の矩形部分も同様である場合に、基準位置に対してのずれ量に基づいて、長手方向における光軸異常の判定がされ、ずれ量が許容範囲を超えている場合には、長手方向における光軸異常があると判定される。
【0064】
また、受光器5の出力信号においてレーザ反射光を表す矩形部分が、
図5C(2)に破線で示すように、一方側端部T1の矩形部分で、高さhが低くなるとともに、幅tが小さくなり、その位置が他方側端部T2方向にずれており、また、他方側端部T2の矩形部分でも同様に、高さhが低くなるとともに、幅tが小さくなり、その位置が一方側端部T1方向にずれている場合に、基準位置に対してのずれ量に基づいて、回転方向における光軸異常の判定がされ、ずれ量が許容範囲を超えている場合には、回転方向における光軸異常があると判定される。
【0065】
表示部7は、LEDや液晶ディスプレイなどの表示デバイスからなり、信号処理部6に接続されている。表示部7は、信号処理部6から送られる判定の結果、即ち、幅方向、長手方向または回転方向における光軸異常や受光器5の光軸CSのずれ量を表示することができる。
【0066】
次いで、実施形態に係る表面検査方法について、図面を参照して一例を説明する。
実施形態に係る表面検査方法は、
図6に示すように、レーザ光の照射(ステップS1)と、受光器の受光(ステップS2)と、レーザ反射光の測定(ステップS3~S5)と、レーザ反射光の測定結果の判定(ステップS6)と、光軸異常の判定・表示(ステップS7)と、光軸調整(ステップS8)の各工程を含んでいる。
【0067】
さらに、表面検査方法は、調光処理(ステップS9)と、検査光の照射(ステップS10)と、受光器の受光(ステップS11)と、欠陥の判定(ステップS12)と、欠陥品処理(ステップS13)と、表面検査の継続要否(ステップS14)の各工程を含んでいる。各工程は順に行われる。
【0068】
レーザ反射光の測定(ステップS3~S5)は、レーザ反射光の位置の測定(ステップS3)と、レーザ反射光の幅の測定(ステップS4)と、レーザ反射光の強度の測定(ステップS5)とを含んでいる。
【0069】
なお、実施形態に係る表面検査装置10による表面検査方法のレーザ光の照射(ステップS1)は、本発明に係る表面検査方法の照射ステップに対応し、受光器の受光(ステップS2)は、本発明に係る表面検査方法の受光ステップに対応し、レーザ反射光の測定(ステップS3~S5)と、レーザ反射光の測定結果の判定(ステップS6)、光軸異常の判定・表示(ステップS7)は、本発明に係る表面検査方法の判定ステップに対応する。
【0070】
レーザ光の照射(ステップS1)においては、
図2(1)に示すように、パスロール1の表面であって、受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外であり、検査対象物Wの表面とほぼ同一の平面高さ位置にあるレーザ光の照射位置に、レーザポインタ3、4からそれぞれ照射形状が円形のレーザ光が照射される。レーザ光の照射は、表面検査装置10により検査対象物Wがウェブ搬送され表面検査が行われている際であってもよく、表面検査が行われる前の受光器5の較正の際であってもよい。
【0071】
受光器の受光(ステップS2)においては、受光器5が、
図2(1)に示すように、レーザポインタ3、4から照射されパスロール1の表面から正反射したレーザ反射光3b、4bを受光する。受光器5により、受光したレーザ反射光3b、4bは電気信号に変換され、出力信号として信号処理部6に送信される。
【0072】
出力信号は、
図2(2)に示すように、ウェブ搬送の搬送方向に直交するパスロール1の幅方向の位置xにおける電圧(V)の信号として出力される。この出力信号には、レーザ反射光の位置x、幅tおよび強度hの信号が含まれる。
【0073】
次に、信号処理部6により、受光器5で受光されたレーザ反射光の出力信号に基づいて受光器5の光軸異常を判断する処理が行われる。
図2(2)に示す例では、受光器5の視野領域SAにおいて、パスロール1の表面で反射したレーザ反射光の部分の電圧が最も高く、次にパスロール1の表面でかつレーザ反射光以外の部分の電圧が高く、検査対象物Wの領域の電圧が最も低くなっている。
【0074】
レーザ反射光の位置の測定(ステップS3)においては、受光器5の視野領域SAの側端部T1、T2から矩形部分までの距離δが求められ、レーザ反射光の幅の測定(ステップS4)においては、矩形部分の幅tが求められ、レーザ反射光の強度の測定(ステップS5)においては、矩形部分の高さhが求められる。
【0075】
ステップS6では、ステップS3~ステップS5によるレーザ反射光の測定結果(位置x/幅t/強度h)が許容範囲内であるか否かについての判定が行われる。ここでは、信号処理された電圧が、基準位置からずれている量、即ち受光器5の光軸CSのずれ量が算出され、その算出されたずれ量が許容範囲に有るか否かが判定される。なお、ずれ量は、レーザ反射光の位置としての位置、幅、およびレーザ反射光の強度のうち少なくともいずれか1つに基づいて算出される。
【0076】
ステップS6においてレーザ反射光の測定結果(ずれ量)が許容範囲内にあると判定された場合(ステップS6でYES)、受光器5の光軸異常が無いとして、ステップS9以降に進む。このとき、受光器5の光軸異常が無いという判定結果を表示部7に表示させる処理を行ってもよい。
【0077】
一方、レーザ反射光の測定結果が許容範囲内にないと判定された場合(ステップS6でNO)には、ステップS7に進み、光軸異常のパターンを判定し、その判定内容を表示部7に表示させる処理が行われる。
【0078】
ステップS7の光軸異常を判定・表示する工程では、ステップS3~ステップS5の測定結果に基づいて、複数の光軸異常パターンのいずれに該当するかを識別する。そして、その識別結果に基づいて、光軸に幅方向、長手方向、回転方向のいずれの異常が生じているかを判定し、および/または、ずれ量を算出して、表示部7に表示させる処理が行われる。
【0079】
図7は、光軸異常のパターンを示す表である。
例えば、ステップS3の位置測定結果が異常であり、ステップS4の幅測定結果およびステップS5の強度測定結果がいずれも許容範囲内であった場合、幅方向異常であると判定される。そして、ステップS3の位置測定結果が許容範囲内であり、ステップS4の幅測定結果およびステップS5の強度測定結果がいずれも異常であった場合、長手方向異常であると判定される。そして、ステップS3の位置測定結果とステップS4の幅測定結果とステップS5の強度測定結果がすべて異常であった場合、回転方向異常又はその他光軸異常であると判定される。
【0080】
ステップS7において、光軸異常が判定され、表示部7により、受光器5の光軸異常が表示されると、ステップS8に進む。
【0081】
光軸調整(ステップS8)においては、表示部7により表示された、光軸異常パターンとそのずれ量に基づいて、受光器5の光軸CSの正常な位置への調整が行われる。受光器5には、光軸CSを調整する不図示の光軸調整装置が設けられており、光軸調整装置は、光軸異常が発生していると判断されると、そのずれ量に基づいて自動的に受光器5の光軸CSを正常な位置に調整する。なお、光軸調整は、作業者によって実行してもよい。
【0082】
ステップS8の光軸調整が終了すると、ステップS1に進み、再度、レーザ光の照射が行われる(ステップS1)。
【0083】
調光処理(ステップS9)においては、光源2により検査対象物Wの表面に照射される検査光としての照明のボリュームが調整され、検査対象物Wの表面に照射される検査光が最適な明るさになるように設定される。
【0084】
検査光の照射(ステップS10)においては、
図1(1)、
図1(2)および
図3に示すように、検査対象物Wの表面に光源2から検査光が照射される。検査光の照射は、
図2(1)に示す受光器5の視野領域SAの範囲と同様の範囲で行われる。
【0085】
受光器の受光(ステップS11)においては、受光器5が、
図1(1)に示すように、光源2から照射され検査対象物Wの表面から反射した検査光を受光する。受光器5により、受光した検査光が電気信号に変換され、出力信号として信号処理部6に送信される。出力信号は、
図4に示すように、ウェブ搬送の搬送方向に直交するパスロール1の幅方向の位置における電圧(V)の信号として出力される。
【0086】
次に、信号処理部6により、受光器5で受光され出力された検査光の信号に基づいて信号処理が行われる。
【0087】
欠陥の判定(ステップS12)においては、
図4に示す検査対象物Wの表面の欠陥の検出が行われる。信号処理部6により、受光器5から出力される電圧信号が、
図4の破線で示す判定基準Thを超えている部分があるか否かが判定される。
【0088】
受光器5から出力される電圧信号が判定基準Thを超えている部分がない場合、検査対象物Wに欠陥が無いとして(ステップS12でNO)、ステップS14の表面検査の継続要否判定に進む。一方、受光器5から出力される電圧信号が判定基準Thを超えている部分がある場合、検査対象物Wの表面に欠陥があるとして(ステップS12でYES)、ステップS13の欠陥品処理に進む。
【0089】
欠陥品処理(ステップS13)においては、表面に欠陥がある検査対象物Wが、欠陥品として処理される。検査対象物Wに欠陥があることは、ウェブの生産ライン管理にフィードバックされる。
【0090】
表面検査の継続要否(ステップS14)においては、ウェブ搬送される検査対象物Wについて、さらに続けて表面検査が必要か否かが判定される。表面検査の継続要否において、表面検査の継続が必要であると判定された場合(ステップS14でYES)、検査光の照射(ステップS10)へ進み、検査対象物Wの表面検査が続行される。一方、ステップS14の表面検査の継続要否において、表面検査の継続が必要でないと判定された場合(ステップS14でNO)、検査対象物Wの表面検査は終了する。
【0091】
以下、本実施形態に係る表面検査装置10および表面検査方法の効果について説明する。
【0092】
(1)実施形態に係る表面検査装置10は、ウェブ搬送される検査対象物Wに光源2から検査光を照射し、検査対象物Wを経由した検査光を受光器5にて受光し、受光器5の出力信号に基づいて検査対象物Wの欠陥を検出する構成を有している。そして、表面検査装置10は、受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外に配置されたパスロール1の表面にレーザポインタ3、4からそれぞれレーザ光を照射し、パスロール1にて反射した各レーザ反射光を受光器5にて受光し、受光器5で受光した各レーザ反射光に基づいて検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを判定する構成を有している。
【0093】
この構成により、表面検査装置10は、検査対象物Wの欠陥を検出することができるとともに、検査対象物Wの検査中でも検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを正確に判定することができ、受光器5の光軸の変動を監視することができるという効果が得られる。
【0094】
また、表面検査装置10は、受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外に配置されたパスロール1の表面にレーザポインタ3、4からそれぞれレーザ光を照射しているので、ばらつきの少ない安定した表面にレーザ光を照射することができるという効果が得られる。表面検査装置10は、製造ラインの稼働中に使用することも可能であり、検査対象物Wを検査するいわゆるオンライン検査を妨げずに受光器5の光軸ずれを判定することができるので、受光器5の光軸ずれを早期に発見することができる。
【0095】
また、パスロール1の安定した表面から反射したレーザ反射光を受光器5にて受光しているので、安定したレーザ反射光に基づいて検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを正確に判定することができ、受光器5の較正の信頼性を担保することができるという効果が得られる。従来技術のように、検査対象物Wの表面にレーザ光を照射すると、検査対象物Wの表面の粗度、形状や色などの表面状態に応じてレーザ反射光の光量が変動してしまい、正確な検知ができないという問題が解消される。
【0096】
(2)実施形態に係る表面検査装置10においては、受光器5により受光され出力されたレーザ反射光の位置、幅、強度のうち少なくともいずれか1つに基づいて、受光器5の光軸CSのずれ量が算出される。この構成により、受光器5の光軸ずれの判定と、光軸ずれのパターンを判別できるという効果が得られる。
【0097】
(3)実施形態に係る表面検査装置10は、レーザ反射光の位置が、受光器5の視野領域SAの端を基準に計測される。この構成により、受光器5の光軸ずれを判定する際の基準が明確化されるとともに、レーザ反射光の位置が、受光器5の視野領域SA内にあるので、受光器5により受光したレーザ反射光の位置を把握することができるという効果が得られる。
【0098】
(4)実施形態に係る表面検査装置10は、レーザ光を照射するレーザポインタ3、4を有しており、レーザポインタ3は、検査対象物の搬送方向に直交する方向の一方端部側1aに少なくとも1つ設けられ、レーザポインタ4は、搬送方向に直交する方向の他方端部側1bに少なくとも1つ設けられている。この構成により、光軸CSを中心に受光器が回転する方向に受光器5の光軸CSがずれる異常が発生しているときに、その受光器5の光軸CSのずれが的確に判定できる。
【0099】
(5)実施形態に係る表面検査装置10は、レーザ光が照射される対象物が、検査対象物Wをウェブ搬送するパスロール1により構成されている。この構成により、レーザ光が、移動する検査対象物Wの表面に照射されることがなく、表面の状態にばらつきが少なく、表面状態の安定した部材に照射されるという効果が得られる。したがって、検査対象物Wにレーザ光を照射した場合と比較して、より安定したレーザ反射光が得られ、検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれが正確に判定される。その結果、受光器5の較正の信頼性が担保される。
【0100】
(6)実施形態に係る表面検査装置10は、レーザ光が照射されるパスロール1の面と、検査対象物Wの検査光が照射される面とが同一の平面高さ位置に配置されている。この構成により、照射対象物のレーザ光が照射される面から受光器までの距離と、検査対象物の検査光が照射される面から受光器までの距離とが同じになる。したがって、受光器5で受光する検査光の反射光の距離と、受光器5で受光するレーザ光の反射光の距離とがほぼ同じ距離となり、受光器5の光軸CSのずれ量を的確に求めることができるという効果が得られる。また、検査対象物Wは、パスロール1上を搬送されるので、検査対象物Wの検査光が照射される面を、レーザ光が照射されるパスロール1の面と簡単に同一の平面高さ位置にすることができるという効果が得られる。
【0101】
(7)実施形態に係る表面検査方法は、ウェブ搬送される検査対象物Wに検査光を照射する光源を有し、検査対象物Wを経由した検査光を受光する受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外に配置されたパスロール1にレーザポインタ3、4からそれぞれレーザ光を照射する照射ステップ(ステップS1)と、検査対象物Wを経由した検査光とパスロール1にて反射したレーザ反射光とを受光器5にて受光する受光ステップ(ステップS2)と、受光器5で受光した検査光に基づいて検査対象物Wの欠陥を検出するとともに、レーザ反射光に基づいて検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを判定する判定ステップ(ステップS3~S7)と、を含んで構成されている。
【0102】
この構成により、表面検査方法は、検査対象物Wの欠陥を検出することができるとともに、検査対象物Wの検査中でも検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを正確に判定することができ、受光器5の光軸の変動を監視することができるという効果が得られる。
【0103】
また、表面検査方法は、受光器5の視野領域SA内でかつ検査対象物Wの領域外に配置されたパスロール1の表面にレーザポインタ3、4からそれぞれレーザ光を照射しているので、ばらつきの少ない安定した表面にレーザ光を照射することができるという効果が得られる。表面検査方法は、製造ラインの稼働中に使用することも可能であり、検査対象物Wを検査するいわゆるオンライン検査を妨げずに受光器5の光軸ずれを判定することができるので、受光器5の光軸ずれを早期に発見することができる。
【0104】
また、パスロール1の安定した表面から反射したレーザ反射光を受光器5にて受光しているので、安定したレーザ反射光に基づいて検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを正確に判定することができ、受光器5の較正の信頼性を担保することができるという効果が得られる。従来技術のように、検査対象物Wの表面にレーザ光を照射すると、検査対象物Wの表面の粗度、形状や色などの表面状態に応じてレーザ反射光の光量が変動してしまい、正確な検知ができないという問題が解消される。
【0105】
実施形態に係る表面検査装置10においては、検査対象物Wをパスロール1で搬送するとともに、パスロール1上を搬送される検査対象物Wの表面を検査し、パスロール1の表面にレーザ光を照射するレーザポインタ3、4を備えた構造で構成した場合について説明した。しかしながら、本発明に係る表面検査装置は、パスロール1の表面にレーザ光を照射する以外の構造で構成するようにしてもよい。
【0106】
例えば、本発明に係る表面検査装置を下記の変形例1に係る表面検査装置10Aまたは変形例2に係る表面検査装置10Bで構成してもよい。なお、表面検査装置10Aおよび表面検査装置10Bと、実施形態に係る表面検査装置10とが同一の構成である場合は、同一の符号を用いてその構成の説明を省略する。
【0107】
(変形例1)
以下、変形例1に係る表面検査装置10Aについて図面を参照して説明する。
変形例1に係る表面検査装置10Aは、
図8(1)および
図8(2)に示すように、パスロール1、パスロール1と同じ構造のパスロール1Aと、図示しない光源と、レーザポインタ3、4と、照射対象物としての静止部材11、12と、受光器5と、図示しない信号処理部と、表示部とを有している。表面検査装置10Aは、実施形態に係る表面検査装置10と同様、検査対象物Wの表面の欠陥を検出するとともに、受光器5の光軸ずれを判定し、表示部に結果を表示する構成を有している。
【0108】
変形例1に係る表面検査装置10Aの検査対象物Wは、パスロール1、1Aによって搬送される。光源2は、パスロール1およびパスロール1Aの搬送方向の中間であって、搬送方向に直交するラインLに位置する検査対象物Wに対して検査光を照射する。検査光は検査対象物Wの表面で反射し、即ち検査対象物Wを経由し、受光器5によって受光される。静止部材11は、搬送方向に直交する方向であって、検査対象物Wの一方側端部W1から離隔した位置に配置されており、図示しない固定部材に固定されている。
【0109】
静止部材12は、静止部材11と同様、搬送方向に直交する方向であって、検査対象物Wの他方側端部W2から検査対象物Wの幅方向に離隔した位置に配置されており、図示しない固定部材に固定されている。静止部材11と静止部材12は、静止部材11の表面の中心と静止部材12の表面の中心とを結ぶ直線とラインLとが重なるように位置している。
【0110】
静止部材11の表面と、静止部材12の表面と、検査対象物Wの表面は同一の平面高さ位置に位置するように、それぞれ配置されている。レーザポインタ3、4からレーザ光が静止部材11の表面と静止部材12の表面に向けて照射され、レーザ反射光が受光器5で受光される。
【0111】
なお、変形例1に係る表面検査装置10Aの静止部材11および静止部材12は、本発明に係る表面検査装置の照射対象物に対応する。この照射対象物は、静止部材11および静止部材12以外の部材、例えば、表面が滑らかで光を反射する反射部材であってもよい。
【0112】
この構成により、変形例1に係る表面検査装置10Aは、検査対象物Wの欠陥を検出することができるとともに、検査対象物Wに対する受光器5の光軸ずれを正確に判定することができるという効果が得られる。
【0113】
また、表面検査装置10Aは、静止部材11と静止部材12の各表面が、受光器の視野領域内でかつ検査対象物Wの領域外に配置されており、静止部材11と静止部材12の各表面に対して、レーザポインタ3、4からそれぞれレーザ光が照射されるので、ばらつきの少ない安定した表面にレーザ光を照射することができるという効果が得られる。表面検査装置10Aは、製造ラインの稼働中に使用することも可能であり、検査対象物Wを検査するいわゆるオンライン検査を妨げずに受光器5の光軸ずれを判定することができるので、受光器5の光軸ずれを早期に発見することができる。
【0114】
(変形例2)
以下、変形例2に係る表面検査装置10Bについて図面を参照して説明する。
変形例2に係る表面検査装置10Bは、
図9(1)および
図9(2)に示すように、パスロール1、パスロール1と同じ構成のパスロール1Aと、光源2と、レーザポインタ3、4と、照射対象物としての静止部材11、12と、受光器5と、信号処理部と、表示部とを有している。表面検査装置10Bは、実施形態に係る表面検査装置10と同様、検査対象物Fの欠陥を検出するとともに、受光器5の光軸ずれを判定し、表示部に結果を表示する構成を有している。
【0115】
検査対象物Fは、フィルムなどの透明または半透明の材料からなり、光源2から照射される検査光を透過する性質を有している。したがって、検査対象物Fの表面の欠陥だけでなく、例えば気泡や穿孔などの内部の欠陥も検査することができる。
【0116】
変形例2に係る表面検査装置10Bの検査対象物Fは、パスロール1、1Aによって搬送される。光源2は、搬送される検査対象物Fを挟んで受光器5と反対側に配置されており、検査対象物Fの裏面に向かって検査光を照射する。検査光の照射は、パスロール1およびパスロール1Aの搬送方向の中間であって、搬送方向に直交するラインに位置する検査対象物Fに対して行われる。検査光は検査対象物Fを透過し、即ち経由し受光器5で受光される。
【0117】
静止部材11は、検査対象物Fの搬送方向に直交する方向であって、検査対象物Fの一方側端部F1に対して検査対象物Fの幅方向に離隔する位置に配置されており、図示しない固定部材に固定されている。静止部材12は、静止部材11と同様、検査対象物Fの搬送方向に直交する方向であって、検査対象物Fの他方側端部F2に対して検査対象物Fの幅方向に離隔する位置に配置されており、図示しない固定部材に固定されている。静止部材11と静止部材12は、静止部材11の表面の中心と静止部材12の表面の中心とを結ぶ直線と搬送方向に直交するラインLとが重なるように位置している。
【0118】
静止部材11の表面と、静止部材12の表面と、検査対象物Fの表面は同一の平面高さに位置するように、それぞれ配置されている。レーザポインタ3、4からレーザ光が静止部材11の表面と静止部材12の表面に向けて照射され、レーザ反射光が受光器5で受光されるように構成されている。静止部材11と静止部材12は、受光器の視野領域内でかつ検査対象物Fの領域外に位置している。
【0119】
この構成により、変形例2に係る表面検査装置10Bは、実施形態に係る表面検査装置10と同様の効果が得られる。即ち、表面検査装置10Bは、検査対象物Fが透明または半透明のウェブであっても、検査対象物Fの欠陥を検出することができるとともに、検査対象物Fに対する受光器5の光軸ずれを正確に判定することができるという効果が得られる。
【0120】
また、表面検査装置10Bは、静止部材11と静止部材12の各表面が、受光器の視野領域内でかつ検査対象物Fの領域外に配置されており、静止部材11と静止部材12の各表面に対して、レーザポインタ3、4からそれぞれレーザ光が照射されるので、ばらつきの少ない安定した表面にレーザ光を照射することができるという効果が得られる。表面検査装置10Bは、製造ラインの稼働中に使用することも可能であり、検査対象物Fを検査するいわゆるオンライン検査を妨げずに受光器5の光軸ずれを判定することができるので、受光器5の光軸ずれを早期に発見することができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0122】
1、1A パスロール(照射対象物、静止部材、ローラ部材)
1a、F1、W1 一方側端部(検査対象物の搬送方向に直交する方向の一方端部側)
1b、F2、W2 他方側端部(検査対象物の搬送方向に直交する方向の他方端部側)
2 光源
3、4 レーザポインタ(レーザ)
5 受光器
6 信号処理部
7 表示部
10、10A、10B 表面検査装置
11、12 静止部材
11a、12a 表面
CS 受光器の光軸
F、W 検査対象物
J パスロールの軸心
LS レーザポインタの光軸
SA 受光器の視野領域
T1 一方側端部(受光器の視野領域の端)
T2 他方側端部(受光器の視野領域の端)