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特開2023-97561検体測定方法、カートリッジ及び検体測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097561
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】検体測定方法、カートリッジ及び検体測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
G01N35/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213753
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】小田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】勝見 宏則
(72)【発明者】
【氏名】中村 良則
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB09
2G058CB15
2G058CD04
2G058FA02
(57)【要約】
【課題】ユーザが測定補助物を検体測定装置に導入する頻度を低減する。
【解決手段】検体測定方法は、固体からなる測定補助物を投入した容器を用いて検体を測定する。検体測定方法は、検体測定装置に装着されたカートリッジの収容室であって、複数の測定補助物が各々移動自在に収容されている収容室から所定数の測定補助物を容器に投入する投入工程と、容器に検体を分注する分注工程と、測定補助物が投入された容器内の検体を測定する測定工程と、を含む。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体からなる測定補助物を投入した容器を用いて検体を測定する検体測定方法であって、
検体測定装置に装着されたカートリッジの収容室であって、複数の測定補助物が各々移動自在に収容されている前記収容室から所定数の測定補助物を容器に投入する投入工程と、
前記容器に検体を分注する分注工程と、
前記測定補助物が投入された前記容器内の前記検体を測定する測定工程と、を含む、検体測定方法。
【請求項2】
前記投入工程において、前記カートリッジの前記収容室に収容された前記複数の測定補助物から前記所定数の測定補助物を、前記カートリッジに設けられた排出口に移動させ、前記排出口から前記カートリッジの外に排出する、請求項1に記載の検体測定方法。
【請求項3】
前記投入工程において、前記所定数の測定補助物を前記排出口から落下させて排出する、請求項2に記載の検体測定方法。
【請求項4】
前記投入工程において、磁力により前記所定数の測定補助物を前記排出口に移動させる、請求項2又は3に記載の検体測定方法。
【請求項5】
前記投入工程において、前記カートリッジの排出口と、前記検体測定装置に設けられた投入口とを相対的に移動させ、前記排出口の位置と前記投入口の位置とを合わせて、前記所定数の測定補助物を前記排出口から排出し前記投入口に投入する、請求項2~4のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項6】
前記投入工程において、前記カートリッジの鉛直方向に向いた中心軸周りに前記カートリッジを回転させて、前記排出口の位置と前記投入口の位置とを合わせる、請求項5に記載の検体測定方法。
【請求項7】
前記投入工程において、前記カートリッジから排出された前記測定補助物を、前記検体測定装置に設けられた通路を通じて前記容器に投入する、請求項1~6のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項8】
前記投入工程において、前記カートリッジから排出された前記測定補助物を、前記検体測定装置に設けられた容器保持部により保持された容器に投入する、請求項1~7のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項9】
前記カートリッジから排出された前記測定補助物を検出する検出工程と、前記検出工程の検出結果に基づいて、前記容器に前記測定補助物が投入されたか否かを判定する判定工程と、さらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項10】
前記測定補助物は、血小板凝集能検査で使用される棒状の撹拌子である、請求項1~9のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項11】
前記測定工程において、前記容器内で前記撹拌子を撹拌させながら前記容器内の検体を測定する、請求項10に記載の検体測定方法。
【請求項12】
前記測定工程において測定された前記検体の吸光度又は透過率に基づき、血小板凝集率を算出する算出工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項13】
前記カートリッジが前記検体測定装置に装着されたことを検出する工程をさらに有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項14】
測定オーダーを選択するオーダー選択工程を、さらに含み、
前記オーダー選択工程において、前記測定補助物を前記容器に投入する測定オーダーが選択された場合に、前記投入工程、前記分注工程及び前記測定工程を行う、請求項1~13のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項15】
固体からなる測定補助物を投入した容器を用いて検体を測定する検体測定装置に着脱されるカートリッジであって、
固体からなる複数の測定補助物と、
前記複数の測定補助物が収容された収容室と、
前記収容室に連通し、前記収容室の前記測定補助物を排出するための排出口を有する排出室と、
検体測定装置に着脱するための着脱部と、を含む、カートリッジ。
【請求項16】
前記排出室は、所定数の前記測定補助物を収容可能な寸法を有する、請求項15に記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記検体測定装置に装着された状態で、前記排出室の位置が前記収容室の位置よりも高くなるように構成されている、請求項16に記載のカートリッジ。
【請求項18】
前記収容室の底面から前記排出室の底面に向かって次第に高くなる傾斜面をさらに含む、請求項17に記載のカートリッジ。
【請求項19】
前記排出室の入口近傍に設けられ、下側に突出する移動規制部をさらに含む、請求項17又は18に記載のカートリッジ。
【請求項20】
前記収容室は、仕切り板により互いに仕切られた複数の収容領域を有し、
前記排出口は、前記複数の収容領域の各々に設けられている、請求項15~19のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項21】
前記着脱部は、前記検体測定装置に設けられた係合部材と係合する係合部を有する、請求項15~20のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項22】
カートリッジは、円盤状の形状を有し、
前記着脱部は、前記円盤形状の中央に設けられ、
前記収容室は、前記着脱部の周囲に設けられ、
前記排出室は、前記収容室の外側に設けられている、請求項15~21のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項23】
前記測定補助物は、血小板凝集能検査で使用される棒状の撹拌子である、請求項15~22のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項24】
固体からなる測定補助物を投入した容器を用いて検体を測定する検体測定装置であって、
複数の測定補助物が収容されたカートリッジが着脱自在に装着される装着部と、
前記装着部に装着された前記カートリッジから前記測定補助物を取り出す取出部と、
前記カートリッジから取り出された前記測定補助物を容器に移送する移送部と、
前記容器に検体を分注する分注部と、
前記測定補助物が移送された前記容器内の前記検体を測定する測定部と、
を含む、検体測定装置。
【請求項25】
前記装着部は、検体測定装置の表面に設けられている、請求項24に記載の検体測定装置。
【請求項26】
前記装着部は、前記カートリッジが収容される凹部を有する、請求項25に記載の検体測定装置。
【請求項27】
前記装着部は、前記カートリッジが着脱自在に係合される係合部材を有する、請求項24~26のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項28】
前記取出部は、前記カートリッジに収容された前記測定補助物を、前記カートリッジに設けられた排出口に移動させる第1の機構を有する、請求項24~27のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項29】
前記第1の機構は、前記カートリッジに収容された前記測定補助物を磁力により移動させる磁力部を有する、請求項28に記載の検体測定装置。
【請求項30】
前記移送部は、前記カートリッジから取り出された前記測定補助物が投入される投入口を有し、
前記取出部は、前記カートリッジの排出口と前記移送部の投入口とを相対的に移動させ、前記排出口の位置と前記投入口の位置とを合わせる第2の機構を有する、請求項24~29いずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項31】
前記第2の機構は、前記カートリッジの鉛直方向に向いた中心軸周りに前記カートリッジを回転させる回転駆動部を有する、請求項30に記載の検体測定装置。
【請求項32】
前記移送部は、前記測定補助物が通過する通路を有する、請求項24~31のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項33】
前記移送部は、容器を保持する容器保持部を有し、前記容器保持部に保持された容器に前記測定補助物を移送するように構成されている、請求項24~32のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項34】
前記装着部に装着されたカートリッジの有無を検出する第1の検出部をさらに含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項35】
前記カートリッジから排出された前記測定補助物を検出する第2の検出部をさらに含む、請求項24~34のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体測定方法、カートリッジ及び検体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体からなる測定補助物を投入した容器を用いて検体を測定する方法が知られている。例えば、血小板凝集能検査では、測定補助物として撹拌子を投入した容器を用いて検体を攪拌しながら測定する。
【0003】
特許文献1には、攪拌子を反応容器に自動装填する装置が開示されている。当該装置は、導入開口部から導入された複数の撹拌子を分離し、反応容器に充填する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-16468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ユーザによって導入開口部に複数の撹拌子を導入する必要がある。撹拌子を導入した反応容器を用いて検体を測定する頻度の増加に伴い、ユーザが撹拌子を装置に導入する頻度を低減することが求められている。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ユーザが、撹拌子や金属球などの測定補助物を装置に導入する頻度を低減可能な検体測定方法、カートリッジ及び検体測定装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図11図17に示すように、本発明の検体測定方法は、固体からなる測定補助物(F)を投入した容器(B)を用いて検体を測定する検体測定方法であって、検体測定装置に装着されたカートリッジ(50)の収容室(100)であって、複数の測定補助物(F)が各々移動自在に収容されている収容室(100)から所定数の測定補助物を容器に投入する投入工程(T1)と、容器(B)に検体を分注する分注工程(T2)と、測定補助物(F)が投入された容器(B)内の前記検体を測定する測定工程(T5)と、を含む。
【0008】
本発明の検体測定方法によれば、検体測定装置に装着されたカートリッジ(50)の収容室(100)から測定補助物(F)を容器(B)に投入するので、ユーザが、測定補助物(F)を装置に導入する頻度を低減することができる。
【0009】
図3図4図6図7図11図19図20に示すように、本発明のカートリッジ(50)は、固体からなる測定補助物(F)を投入した容器(B)を用いて検体を測定する検体測定装置に着脱されるカートリッジ(50)であって、固体からなる複数の測定補助物(F)と、複数の測定補助物(F)が収容された収容室(100)と、収容室(100)に連通し、収容室(100)の測定補助物(F)を排出するための排出口(150)を有する排出室(101)と、検体測定装置に着脱するための着脱部(102)と、を含む。
【0010】
本発明のカートリッジ(50)によれば、複数の測定補助物(F)が収容されたカートリッジ(50)を検体測定装置に装着し、カートリッジ(50)から測定補助物(F)を排出し、容器(B)に移送することが可能になるので、ユーザが、測定補助物(F)を装置に導入する頻度を低減することができる。
【0011】
図2図3図8図11図16に示すように、本発明の検体測定装置は、固体からなる測定補助物(F)を投入した容器(B)を用いて検体を測定する検体測定装置であって、複数の測定補助物(F)が収容されたカートリッジ(50)が着脱自在に装着される装着部(200)と、装着部(200)に装着されたカートリッジ(50)から測定補助物(F)を取り出す取出部(201)と、カートリッジ(50)から取り出された測定補助物(F)を容器(B)に移送する移送部(202)と、容器(B)に検体を分注する分注部(700)と、測定補助物(F)が移送された容器(B)内の検体を測定する測定部(405)と、を含む。
【0012】
本発明の検体測定装置によれば、複数の測定補助物(F)が収容されたカートリッジ(50)を検体測定装置に装着し、当該カートリッジ(50)から測定補助物(F)を取り出し容器(B)に移送することができるので、ユーザが、測定補助物(F)を装置に導入する頻度を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザが測定補助物を検体測定装置に導入する頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、検体測定装置の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、前面カバーを開けた状態の検体測定装置を示す図である。
図3図3は、カートリッジの斜視図である。
図4図4は、カートリッジの分解図である。
図5図5は、カートリッジのX1-X1断面の縦断面図である。
図6図6は、カートリッジのX2-X2断面の縦断面図である。
図7図7は、カートリッジの内部構成を示す平面図である。
図8図8は、カートリッジの装着機構の構成の概略を示す説明図である。
図9図9は、カートリッジの装着機構の構成を説明するための平面視の説明図である。
図10図10は、カートリッジの装着機構の取出部の構成を説明するための縦断面の説明図である。
図11図11は、カートリッジの装着機構の移送部の構成を説明するための縦断面の説明図である。
図12図12は、容器保持部の構成を示す説明図である。
図13図13は、検体測定装置の内部構成を示す説明図である。
図14図14は、第3のテーブルの搬送機構の構成を示す説明図である。
図15図15は、第3のテーブルの搬送機構の構成を示す説明図である。
図16図16は、検体測定装置の構成を示すブロック図である。
図17図17は、検体測定方法における主な工程を示すフロー図である。
図18図18は、検体測定方法における撹拌子の投入工程を示すフロー図である。
図19図19は、カートリッジの装着機構に装着されたカートリッジの縦断面図である。
図20図20は、カートリッジの装着機構に装着されたカートリッジの平面図である。
図21図21は、カートリッジの排出室の大きさの例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る検体測定装置、カートリッジ及び検体測定方法の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る検体測定装置1の外観の一例を示す斜視図である。
【0017】
検体測定装置1は、自動で血液検体を測定するものである。当該測定は、血小板凝集能の測定を含む。検体測定装置1は、固体の測定補助物としての撹拌子を収容した後述のカートリッジ50を装着可能で、カートリッジから撹拌子を容器としてのキュベットに自動投入する機能を備えるものである。図1に示すように検体測定装置1は、略直方体の外形を有する筐体10と、筐体10に取り付けられたディスプレイ11を備えている。
【0018】
筐体10は、ユーザの作業や操作のために開閉自在な前面カバー20を有している。前面カバー20は、上下にスライドあるいは回動して筐体10の内部を開放自在である。図2は、前面カバー20を開けた状態の検体測定装置1の内部を示す図である。図2に示すように検体測定装置1の前面カバー20を開けた内部には、作業テーブル30と、キュベット補給部31と、後述の検体分注アーム410、411等が設けられている。作業テーブル30は、例えば略平坦な表面カバー40を有している。表面カバー40には、カートリッジ50の装着機構51の装着部200が露出している。ユーザは、前面カバー20を開けることで、カートリッジ50の装着部200、第1のテーブル401、第2のテーブル402、キュベット補給部31等に対して作業、操作することができる。
【0019】
<カートリッジ>
図3は、カートリッジ50の斜視図である。図4は、カートリッジ50の分解図である。図5は、カートリッジ50のX1-X1断面(図3および図7に示す)の縦断面図である。図6は、カートリッジ50のX2-X2断面(図3および図7に示す)の縦断面図である。図7は、カートリッジ50の内部構成を示す平面図である。なお、図3乃至7は、説明のため撹拌子を表示しないものであるが、実際には複数の撹拌子が収容されている。本明細書においてカートリッジ50に関する「上」、「下」は、カートリッジ50が検体測定装置1に装着された際の姿勢を基準にしている。
【0020】
図3に示すようにカートリッジ50は、カートリッジ本体70を有している。カートリッジ本体70は、鉛直方向に向いた中心軸L1を中心に回転するように構成されている。カートリッジ本体70は、円状の上面70aと、上面70aよりも径が小さい円状の下面70bと、中心軸L1を向き、中心軸L1周りに配置された環状の第1の外周面70cと、第1の外周面70cよりも径が小さく、中心軸L1周りに配置された環状の第2の外周面70dと、第1の外周面70cと第2の外周面70dとを接続し、下に向いた環状の外周下面70eを有している。また、カートリッジ本体70は、上面70aの中心から上方に突出する略筒状の摘まみ部71を有している。
【0021】
図4に示すようにカートリッジ本体70は、上面70aと第1の外周面70cと外周下面70eとを含む上部部材80と、下面70bと第2の外周面70dとを含む下部部材81で構成され、上部部材80と下部部材81は、互いに嵌合、或いは接着している。図5に示すように上部部材80と下部部材81は、一方を他方に挿入することによって互いに嵌合し、それによって嵌合機構を有している。例えば上部部材80は、中心軸L1近傍から下側に突出する複数の係止部80aを有し、下部部材81は、係止部80aが係止される被係止部81aを有する。係止部80aは、外側に突出する突起部80bを有し、被係止部81aは、内側に突出する突起部81bを有する。突起部80b、81b同士が互いに引っ掛かることで係止部80aが被係止部81aに係止される。
【0022】
上部部材80と下部部材81は、それぞれ円盤形状を有し、上部部材80は、下部部材81よりも大きな直径を有している。上部部材80と下部部材81は、中心軸L1を一致させた状態で互いに嵌合する。上部部材80の外周部分は、下部部材81よりも外側に突出しており、環状のフランジ部90を形成している。
【0023】
図3及び図6に示すようにカートリッジ50は、複数の撹拌子が収容される収容室100と、収容室100に連通し、収容室100の撹拌子をカートリッジ50の外部に排出するための排出室101と、カートリッジ50を検体測定装置1に着脱するための着脱部102と、を有する。収容室100はカートリッジ50の下部部材81に設けられており、排出室101および着脱部102は上部部材80に設けられている。
【0024】
着脱部102は、カートリッジ50の中央に設けられている。着脱部102は、カートリッジ本体70の中心軸L1を貫通する着脱穴110と、着脱穴110を形成するための円筒部111を有している。着脱穴110と円筒部111は、カートリッジの装着機構51の後述の回転駆動軸211と係合する係合部を構成している。
【0025】
図6に示すように、収容室100は、カートリッジ本体70の内部に形成されている。収容室100は、着脱部102の周囲に環状に設けられている。収容室100は、底面120と、天井面121と、内側面122と、外側面123を有する。収容室100は、100個以上、好ましくは200個以上の撹拌子を収容できる容積を有する。撹拌子は、例えば円柱形状を有し、直径1mm程度、長さ4mm程度の大きさを有する。収容室100は、複数の撹拌子を、各々が自由に移動自在になるようにランダムに収容することができる。
【0026】
底面120及び天井面121は水平面であり、内側面122は垂直面である。外側面123は、外側に行くにつれて次第に高くなる傾斜面である。
【0027】
図3図4及び図7に示すように収容室100は、仕切り板130によって複数、例えば2つの収容領域S1、S2に仕切られている。仕切り板130は、中心軸L1周りの180度間隔で2つ設けられている。
【0028】
図3図4図6及び図7に示すように排出室101は、収容室100の外側に形成されている。排出室101は、カートリッジ50のフランジ部90側に形成されている。排出室101は、カートリッジ50の周方向R1の複数個所、例えば2か所に設けられている。2つの排出室101は、収容室100の外周に沿って等間隔、すなわち180度間隔で配置されている。各排出室101は、収容室100の各収容領域S1、S2に対応する位置に設けられている。各排出室101は、各収容領域S1、S2の外周の中央の位置、すなわち仕切り板130と90度離れるように上部部材80と下部部材81とが組み合わせられる。
【0029】
図6に示すように排出室101は、収容室100の傾斜した外側面123に連続して設けられ、収容室100よりも高い位置に設けられている。
【0030】
収容室101は、撹拌子の寸法(直径1mm、長さ4mm)に対して、高さが1mm以上2mm未満、幅が1mm以上2mm未満の寸法の空間を有する。排出室101は、棒状の撹拌子の直径に対して2倍未満の高さおよび幅のため、一つの撹拌子を収容可能となる。このため、排出室101は、撹拌子の長手方向をカートリッジ50の外側方向Dに向けた状態で一つの撹拌子を収容でき、一つの撹拌子を収容可能であるが、2つ以上の撹拌子を収容できない。
【0031】
排出室101は、水平な下面101aを有する。下面101aは、カートリッジ本体70の外周下面70e及びフランジ部90の下面に相当する。下面101aには、外部に開口する排出口150が形成されている。排出口150は、撹拌子が外側方向Dに向いた状態で落下するように撹拌子よりもわずかに大きな寸法を有する。排出口150は、例えば外側方向Dに細長の方形状を有している。なお、排出口150と下面101aは、同じ大きさであってもよいし、排出口150が下面101aよりも小さくてもよい。
【0032】
排出室101の入口近傍には、下側に突出する移動規制部160が設けられている。移動規制部160は、例えば収容室100の天井面121に設けられている。図6及び図7に示すように移動規制部160は、天井面121の中心側から外側方向に向けた直線の突状に形成されている。移動規制部160は、排出室101に収容された撹拌子に対し磁力により接着しようとする他の撹拌子を下に押し下げ、収容室100内に落下させることができる。すなわち、移動規制部160は、排出室101の撹拌子が他の撹拌子と繋がることを抑制する機能を有する。排出室101の周方向R1の側面102の入口102aは、収容室100側が次第に広がるように湾曲した湾曲形状を有している。
【0033】
カートリッジ50の表面には、部品番号、ロット番号、撹拌子の収容数などの識別情報を含む識別コード103が取り付けられている。識別コード103は、検体測定装置1の読み取り装置で読み取ることができる。
【0034】
<カートリッジの装着機構>
図8は、カートリッジの装着機構51の構成を示す説明図である。図8に示すようにカートリッジの装着機構51は、カートリッジ50が着脱自在に装着される装着部200と、装着部200に装着されたカートリッジ50から撹拌子を取り出す取出部201と、カートリッジ50から取り出された撹拌子をキュベットに移送する移送部202を備えている。
【0035】
装着部200は、略方形で厚みのある板形状を有する。装着部200は、カートリッジ50を収容する凹部210と、凹部210の中央に鉛直方向に突出する係合部材としての回転駆動軸211を有する。装着部200の凹部210は、図2に示したように作業テーブル30の表面カバー40に露出している。
【0036】
図8及び図9に示すように凹部210は、カートリッジ50の外形に対応する略円状に形成されている。凹部210は、カートリッジ50のフランジ部90が当接しカートリッジ50が載置される載置面220と、載置面220に載置されたカートリッジ50の外周面(第1の外周面70c)を覆う外周面221を有している。載置面220は、環状の水平面であり、外周面221は、環状の垂直面である。載置面220には、移送部202の後述の投入口310が形成されている。
【0037】
図9に示すように、装着部200は、カートリッジ50が装着部200に装着されたことを検出する第1のセンサ212を有している。第1のセンサ212は、光によりカートリッジ50の有無を検出するように構成されている。第1のセンサ212は、カートリッジ50の有無の検出結果を後述の制御部407に出力するように構成されている。
【0038】
取出部201は、カートリッジ50内の撹拌子を、カートリッジ50に設けられた排出口150に移動させる第1の機構240を有している。第1の機構240は、カートリッジ50内の撹拌子を磁力により移動させる磁力発生部としての2つの磁石250を有している。2つの磁石250は、凹部210の外周面221の近傍に設けられている。2つの磁石250は、凹部210の外周面221の周方向R1に沿って互いに45度以上の例えば90度程度離れた位置に配置されている。各磁石250は、移送部202の投入口310から離れた位置に設けられている。各磁石250は、投入口310に対し凹部210の周方向R1に沿って90度以上の例えば135度離されている。2つの磁石250は、同じ磁極が凹部210側に向くように設けられている。磁石250の数は、2つに限れず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0039】
取出部201は、カートリッジ50の排出口150と移送部202の投入口310とを相対的に移動させ、排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせる第2の機構260をさらに有している。第2の機構260は、カートリッジ50の鉛直方向に向いた中心軸L1周りにカートリッジ50を回転させる回転駆動部270を有している。
【0040】
図10は、カートリッジの装着機構51の構成を説明するための縦断面の説明図である。図10に示すように回転駆動部270は、モータ280と、モータ280の駆動軸に接続された第1のプーリ281と、回転駆動軸211と、回転駆動軸211の下部に接続された第2のプーリ282と、第1のプーリ281と第2のプーリ282を接続し連動させる駆動ベルト283を有している。モータ280は、装着部200に水平方向に隣り合う位置に設けられている。かかる構成により、モータ280が駆動すると、第1のプーリ281、駆動ベルト283、第2のプーリ282を介して回転駆動軸211が回転する。回転駆動軸211が回転すると、当該回転駆動軸211に装着されたカートリッジ50が回転し、その回転によりカートリッジ50の排出口150が回転し、排出口150の位置が投入口310の位置に位置付けられる。
【0041】
図8に示すように移送部202は、撹拌子が通過する通路300と、キュベットを保持する容器保持部301を有している。
【0042】
図11は、カートリッジの装着機構51の移送部202の構成を説明するための縦断面の説明図である。図11に示すように通路300は、鉛直方向に延びる円管形状を有する。通路300は、上端に投入口310を有し、下端に出口311を有している。投入口310及び出口311は、例えば円形である。通路300の途中には、カートリッジ50から排出され通路300を通過する撹拌子を検出する第2のセンサ320が設けられている。
【0043】
第2のセンサ320は、通路300に向けて水平方向に光を発光する発光部330と、発光部330から発光された光を受光する受光部331を有している。発光部330と受光部331の先端面は、通路300の内面の一部を構成し、通路300の他の内面と段差ができないように揃えられている。
【0044】
図12に示すように容器保持部301は、略直方体形状の保持部本体340と、保持部本体340に形成され、キュベットBが挿入可能な複数の挿入穴341を有する。容器保持部301は、挿入穴341に挿入されたキュベットBを保持部本体340で支持するように構成されている。
【0045】
<検体測定装置の内部構成>
図13に示すように検体測定装置1は、筐体10の内部に、採取した検体が収容された検体容器Aを搬入する検体容器搬入部400と、測定時に検体を収容するキュベットBを環状に並べて保持する第1のテーブル401と、検体に混合される試薬が収容された複数の試薬容器Cを保持する第2のテーブル402と、キュベットBを保持し当該キュベットBに撹拌子が導入される第3のテーブル403と、キュベットBを保持して加温する加温部404と、キュベットBを保持してキュベットB内で検体と試薬とが混合された測定試料を測定する測定部405と、測定が終了したキュベットBを排出する排出部406と、カートリッジの装着機構51と、制御部407等を備えている。
【0046】
検体測定装置1は、キュベットBに液体を分注する液体分注部として、検体容器搬入部400に搬入された検体容器Aの検体を第1のテーブル401のキュベットBに分注する検体分注アーム410と、検体容器搬入部400の検体容器Aの検体や第1のテーブル401のキュベットBの検体を第3のテーブル403のキュベットBに分注する検体分注アーム411と、第2のテーブル402の試薬容器Cの試薬をキュベットBに分注する2つの試薬分注アーム412、413等を備えている。
【0047】
検体測定装置1は、キュベットBを搬送するキュベット搬送部として、装置本体にキュベットBを供給するキュベット供給機構420と、キュベット供給機構420により供給されたキュベットBを第1のテーブル401や第3のテーブル403に搬送する第1の搬送アーム421と、第1のテーブル401や第3のテーブル403のキュベットBを加温部404に搬送する第2の搬送アーム422と、加温部404のキュベットBを測定部405、排出部406に搬送する第3の搬送アーム423等を備えている。
【0048】
平面視で、検体容器搬入部400は、筐体10内の前面側に配置され、第1のテーブル401と第2のテーブル402は、筐体10内の中央付近に配置されている。第3のテーブル403、加温部404及びカートリッジの装着機構51は、筐体10内の右側に配置されている。カートリッジの装着機構51は、加温部404の前面側に配置されている。測定部405は、筐体10内の後面(背面)側に配置されている。排出部406は、加温部404と測定部405の間に配置されている。キュベット供給機構420は、筐体10内の左側に配置され、測定部405と第1のテーブル401との間に配置されている。
【0049】
検体容器搬入部400は、複数の検体容器Aを収容するラックRを搬入するラック搬入部450と、検体分注アーム410、411が到達可能で、検体分注アーム410、411によりラックRの検体容器Aから検体が吸引される検体吸引部451と、検体が吸引された検体容器AのラックRを搬出するラック搬出部452と、ラックRをラック搬入部450、検体吸引部451及びラック搬出部452にこの順で搬送する搬送機構453を備えている。搬送機構453は、例えばコンベアを用いてラックRを移送している。
【0050】
第1のテーブル401は、円環形状を有し、駆動部により回転可能に構成されている。第1のテーブル401は、キュベットBを保持する複数のキュベット保持部460を備えている。キュベット保持部460は、周方向の全周にわたり等間隔で配置されている。
【0051】
第2のテーブル402は、第1のテーブル401の内側に配置されている。第2のテーブル402は、円盤形状を有し、駆動部により回転可能に構成されている。第2のテーブル402は、試薬容器Cを保持する複数の試薬容器保持部470を備えている。試薬容器保持部470は、例えば複数重の同心円状に配置されている。試薬容器保持部470は、例えば周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0052】
第3のテーブル403は、キュベットBを保持する上述の容器保持部301と、容器保持部301を搬送する搬送機構480を備えている。例えば搬送機構480は、容器保持部301を保持しカートリッジの装着機構51の下部付近から加温部404付近まで移動させることができる。
【0053】
図14及び図15は、搬送機構480の構成を説明する説明図である。図14及び図15に示すように搬送機構480は、第3のテーブル403の長手方向の水平方向(図15のN方向)に延設されたレール490と、容器保持部301が固定され、レール490上を移動するスライダ491と、N方向に延設された駆動ベルト492と、駆動ベルト492の両端が掛けられた一対のプーリ493、494と、一方のプーリ493を回転駆動するモータ495を有する。搬送機構480は、モータ485の駆動によりプーリ493、494を介して駆動ベルト492を移動させ、それによってスライダ491を移動させ、スライダ491に固定された容器保持部301を水平方向に移動させることができる。かかる構成により、第3のテーブル403は、容器保持部301を、カートリッジの装着機構51の通路300の直下で撹拌子が導入される導入位置から、加温部404付近で第1の搬送アーム421や第2の搬送アーム422がキュベットBを受け渡しできる位置まで移動させることができる。
【0054】
図13に示すように加温部404は、円形状の加温プレート500を有している。加温プレート500は、キュベットBを保持する複数のキュベット保持部501を有している。キュベット保持部501は、例えば加温プレート500の外周付近の全周にわたり等間隔で配置されている。加温プレート500は、熱源を有し、キュベット保持部501に保持されたキュベットB内の液体を所定の温度に加温することができる。
【0055】
測定部405は、長方形状の測定プレート510を有している。測定プレート510は、キュベットBを保持する複数のキュベット保持部511を有している。キュベット保持部511は、例えば測定プレート510の長手方向に沿った複数列で配置されている。測定部405は、照射部からキュベット保持部511に光を照射し、キュベットB内の測定試料を透過した光を受光部で受光し、その受光結果から検体を測定することができる。
【0056】
排出部406は、キュベットBは排出する排出孔520を備えている。排出孔520は、筐体10の下部に設けられたキュベット回収部に連通している。
【0057】
検体分注アーム410は、平面視で、筐体10内の検体容器搬入部400の検体吸引部451と第1のテーブル401との間に配置されている。検体分注アーム410は、検体分注アーム410を駆動する駆動部530と、検体を分注及び吸引するノズル531を備えている。
【0058】
駆動部530は、例えば検体分注アーム410を検体吸引部451と第1のテーブル401との間で平面方向に回転させる回転駆動部と、検体分注アーム410を上下動させる昇降駆動部を備えている。ノズル531は、検体分注アーム410の先端部に設けられ、ポンプにより検体を吸引したり分注することができる。かかる構成により、検体分注アーム410は、検体吸引部451の検体容器Aに到達し、検体を吸引し、第1のテーブル401上に移動し、第1のテーブル401のキュベットBに検体を分注することができる。
【0059】
検体分注アーム411は、平面視で、筐体10内の検体容器搬入部400の検体吸引部451と第3のテーブル403との間に配置されている。検体分注アーム411は、検体分注アーム411を駆動する駆動部540と、検体を分注及び吸引するノズル541を備えている。
【0060】
駆動部540は、例えば検体分注アーム411を検体吸引部451、第1のテーブル401及び第3のテーブル403との間で平面方向に回転させる回転駆動部と、検体分注アーム411を上下動させる昇降駆動部を備えている。ノズル541は、検体分注アーム411の先端部に設けられ、ポンプにより検体を吸引したり分注することができる。かかる構成により、検体分注アーム411は、第1のテーブル401のキュベットBや、検体吸引部451の検体容器Aに到達し、検体を吸引し、第3のテーブル403上に移動し、第3のテーブル403のキュベットBに検体を分注することができる。なお、検体吸引部451は、検体分注アーム410が検体を吸引するための位置と、検体分注アーム411が検体を吸引するための位置の2か所に設けられている。
【0061】
試薬分注アーム412、413は、平面視で、細長いアーム560を有し、その下部にノズル561を備えている。第1の試薬分注アーム412のアーム560は、第2のテーブル402上から加温部404付近まで延びている。第2の試薬分注アーム413のアーム560は、第2のテーブル402から測定部405付近まで延びている。アーム560は、例えば筐体10の天井に固定されている。
【0062】
ノズル561は、駆動部により、アーム560に対しその長手方向と上下方向に移動自在に構成されている。第1の試薬分注アーム412のノズル561は、アーム560に沿って第2のテーブル402上から加温部404の加温プレート500上付近まで移動自在である。第2の試薬分注アーム413のノズル561は、アーム560に沿って第2のテーブル402上から測定部405の測定プレート510上付近まで移動自在である。ノズル561は、ポンプにより試薬を吸引したり分注することができる。また、ノズル561は、熱源を備えており、吸引した試薬を所定の温度に加温することができる。かかる構成により、第1の試薬分注アーム412のノズル561は、第2のテーブル402の試薬容器Cに到達し、試薬を吸引し、加温プレート500上付近に移動し、加温プレート500付近で第2の搬送アーム422に保持されたキュベットBに試薬を分注することができる。また、第2の試薬分注アーム413のノズル561は、第2のテーブル402の試薬容器Cに到達し、試薬を吸引し、測定プレート510上付近に移動し、測定プレート510付近で第3の搬送アーム423に保持されたキュベットBに試薬を分注することができる。
【0063】
キュベット供給機構420は、キュベット補給部31から投入された空のキュベットBを貯留し、そのキュベットBを順次キュベット搬出部580に供給することができる。
【0064】
第1の搬送アーム421は、平面視で、例えばキュベット供給機構420と第1のテーブル401との間に配置されている。第1の搬送アーム421は、第1の搬送アーム421を駆動する駆動部600と、キュベットBを保持するキュベット保持部601を有している。駆動部600は、例えば第1の搬送アーム421をキュベット供給機構420のキュベット搬出部580と第1のテーブル401との間で平面方向に回転させる回転駆動部と、第1の搬送アーム421を上下動させる昇降駆動部を備えている。キュベット保持部601は、第1の搬送アーム421の先端部に設けられ、例えばU字形状を有し、キュベットBをU字の間に保持することができる。かかる構成により、第1の搬送アーム421は、キュベット供給機構420のキュベット搬出部580や第3のテーブル403の容器保持部301のキュベットBを保持し、当該キュベットBを第1のテーブル401上に移動させ、第1のテーブル401のキュベット保持部460に置くことができる。また、第1の搬送アーム421は、キュベット供給機構420のキュベット搬出部580のキュベットBを保持し、当該キュベットBを第3のテーブル403上に移動させ、第3のテーブル403の容器保持部301に置くことができる。
【0065】
第2の搬送アーム422は、例えば加温部404の加温プレート500に配置されている。第2の搬送アーム422は、第2の搬送アーム422を駆動する駆動部610と、キュベットBを保持するキュベット保持部611を有している。駆動部610は、例えば第2の搬送アーム422を第1のテーブル401、第3のテーブル403及び加温プレート500との間で平面方向に回転させる回転駆動部と、第2の搬送アーム422を上下動させる昇降駆動部と、第2の搬送アーム422を水平方向に伸縮させる伸縮駆動部を備えている。キュベット保持部611は、第2の搬送アーム422の先端部に設けられ、例えばU字形状を有し、キュベットBをU字の間に保持することができる。かかる構成により、第2の搬送アーム422は、第1のテーブル401のキュベット保持部460や第3のテーブル403の容器保持部301のキュベットBを保持し、当該キュベットBを第1の試薬分注アーム412のノズル561の下方に移動させたり、加温プレート500のキュベット保持部501に移動させることができる。
【0066】
第3の搬送アーム423は、平面視で筐体10内の測定部405の後面側に配置されている。第3の搬送アーム423は、第3の搬送アーム423を駆動する駆動部620と、キュベットBを保持するキュベット保持部621を有している。駆動部620は、第3の搬送アーム423を左右方向、前後方向及び上下方向に移動させる駆動機構を備えている。キュベット保持部621は、第3の搬送アーム423の先端部に設けられ、例えばU字形状を有し、キュベットBをU字の間に保持することができる。かかる構成により、第3の搬送アーム423は、加温プレート500のキュベット保持部501のキュベットBを保持し、当該キュベットBを第2の試薬分注アーム413のノズル561の下方に移動させたり、測定部405のキュベット保持部511に移動させることができる。第3の搬送アーム423は、測定の終了したキュベットBを排出部406に搬送することができる。
【0067】
図16は、検体測定装置1の構成を示すブロック図である。図16に示すように制御部407は、検体測定の各種工程を実行する装置、すなわち、検体容器搬入部400、加温部404、測定部405、排出部406、分注部700(検体分注アーム410、411、試薬分注アーム412、413)、キュベット搬送部701(キュベット供給機構420、第1の搬送アーム421、第2の搬送アーム422、第3の搬送アーム423、第3のテーブル403)、撹拌子投入部702(カートリッジの装着機構51、第3のテーブル403)及び検出部703(第1のセンサ212、第2のセンサ320)などを制御する。制御部407は、測定部405を含む各種装置からの情報に基づいて検体の測定を実行する。制御部407は、ハードウェアとして、メモリやCPU、各種情報の入力部、各種情報の表示部、通信部などを備えている。制御部407は、メモリに記録されているプラグラムをCPUで実行することによって、各種装置を制御し、検体測定を実行することができる。図1に示したディスプレイ11は、制御部407の入力部及び表示部等の機能を有していてよい。
【0068】
<検体測定方法>
次に、以上のように構成された検体測定装置1で行われる検体測定方法について説明する。本実施の形態では、検体測定として血小板凝集能の測定を行う例を説明する。図17は、検体測定方法における主な工程を示すフロー図である。図18は、検体測定方法における撹拌子の投入工程を示すフロー図である。
【0069】
先ず、規定数の撹拌子が収容されたカートリッジ50が用意される。カートリッジ50には、各収容領域S1、S2に例えば100個の撹拌子が収容され封入されている。撹拌子は、例えば、強磁性体特性を有するフェライト系ステンレス鋼である。そして、検体測定装置1において測定処理が開始される前や、測定処理が停止されている時に、ユーザにより、図2に示すように前面カバー20が開放され、カートリッジ50が、カートリッジの装着機構51の装着部200に装着される。カートリッジ50は、作業テーブル30の表面カバー40に露出した装着部200の凹部210にはめ込まれる。このとき、図10図19及び図20に示すように、装着部200の回転駆動軸211がカートリッジ50の着脱部102の着脱穴110に挿入され、回転駆動軸211とカートリッジ50が固定される。カートリッジ50の排出口150のあるフランジ部90は、凹部210の投入口310のある載置面220に載置される。なお、カートリッジ50の装着前に、読み取り装置により、図7に示すカートリッジ50の識別コード103が読み取られてもよい。なお、識別コードは、二次元のものでも三次元のものでも、RFタグであってもよい。
【0070】
次に、検体測定装置1において図17に示すオーダー選択工程T0が行われる。オーダー選択T0では、キュベットBに撹拌子が投入されて行われる血小板凝集能の測定オーダーや、キュベットBに撹拌子が投入されずに行われる各種測定オーダーの中から、ユーザにより、所望の測定オーダーが選択される。例えば測定オーダーの選択は、ユーザが、ディスプレイ11の表示画面に入力することで行われる。オーダー選択T0において、血小板凝集能の測定オーダーが選択された場合には、撹拌子の投入工程T1が開始される。なお、血小板凝集能の測定オーダー以外の測定オーダーが選択された場合には、投入工程T1が行われることなく、後述の工程T2~T5が行われる。撹拌子の投入工程T1は、検体測定装置1の測定処理の開始前や測定処理の開始時、測定処理中などに開始される。先ず、第1のセンサ212により、カートリッジ50が装着部200に装着されていることが確認される(図18の工程U1)。カートリッジ50が装着部200に装着されていない場合には、エラーが発行され、警告がディスプレイ11等で表示、発音される。
【0071】
カートリッジ50が装着部200に装着されている場合には、次に、カートリッジ50の撹拌子の残量が確認される(図18の工程U2)。例えば制御部407において、既に行われた測定処理の撹拌子の使用数をカウントし、カートリッジ50の撹拌子の現在数量から使用数を引き算することよって残量を確認する。なお、残量は、初期数量から使用数を引き算することよって確認してもよい。そして、これから行う予定の測定処理における撹拌子の使用予定数と残量を比較し、撹拌子の残量が十分でない場合には、エラーが発行され、ディスプレイ11に表示される。
【0072】
撹拌子の使用予定数と残量を比較し、撹拌子の残量が十分である場合には、図14に示すように第3のテーブル403において空のキュベットBが、移送部202の通路300の直下に搬送される(図18の工程U3)。この空のキュベットBは、図13に示すキュベット供給機構420のキュベット搬出部580から第1の搬送アーム421により第3のテーブル403に搬送され、第3のテーブル403において、搬送機構480によりカートリッジの装着機構51の通路300の直下に搬送される。なお、2つのキュベットBが容器保持部301に保持され、2つのキュベットBが通路300の直下に順次搬送されてもよい。また、血小板凝集能の測定オーダー以外の測定オーダーが選択された場合(例えばキュベット供給機構420、第1の搬送アーム421を使用しない場合)において、2つのキュベットBを保持してもよい。
【0073】
次に、図10に示す取出部201における回転駆動部270のモータ280が駆動し、回転駆動軸211が回転して、カートリッジ50が図20に示す所定の第1の方向(正回転方向R1a)に回転する(図18の工程U4)。このときの回転速度は、例えば50rpm以上100rpm以下である。
【0074】
図19及び図20に示すようにカートリッジ50の収容室100には、複数の撹拌子Fが、各々が移動自在であるようにランダムに収容されている。例えば、複数の撹拌子Fは、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の三次元空間内にランダムに、不規則な方向を向いて収容されている。ここで、X方向は、カートリッジ50の水平方向の一方向であり、Y方向は、X方向に直交する水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。カートリッジ50の収容室100に収容されていた複数の撹拌子Fが、仕切り板130に当接しながら、磁石250に引き寄せされて外側に移動する。そして、撹拌子Fは、一つの撹拌子Fが排出室101に入り込む。このとき、他の撹拌子Fは、排出室101に入った撹拌子Fに対し磁力によりくっ付こうとしても、移動規制部160に当たり落とされ収容室100に戻される。一つの撹拌子Fが排出室101に収容された状態で、カートリッジ50が引き続き回転し、排出室101の排出口150と、移送部202の投入口310の位置が合うと、排出室101の撹拌子Fが、排出口150から搬出され、投入口310に投入される。ここで、磁石250は、一つ設けても二つ以上設けても構わないが、二つ以上設けた場合には、カートリッジ50を回転させている間に撹拌子Fが引き寄せられる確率が向上する。
【0075】
撹拌子Fは、通路300を通って落下し、第3のテーブル403の空のキュベットBに導入される。このとき、図11に示す通路300を通過する撹拌子Fは、第2のセンサ320により検出される(図18の工程U5)。このとき検出結果に基づいて、キュベットBに撹拌子Fが移送されたか否かが判定される。通路300で撹拌子が検出されると、回転駆動部270のモータ280が停止され、カートリッジ50の回転が停止される。
【0076】
所定時間、通路300で撹拌子Fが検出されない場合、モータ280によりカートリッジ50が第1の方向と逆の第2の方向(逆回転方向R1b)に回転する(図18の工程U6)。通路300を通過する撹拌子Fは、第2のセンサ320により検出される(図18の工程U7)。そして、通路300で撹拌子Fが検出されると、カートリッジ50の回転が停止され、撹拌子の投入工程T1が終了する。
【0077】
また、通路300で撹拌子Fが検出されない場合、カートリッジ50の回転の合計時間が指定時間を超えているか否かが確認される(図18の工程U8)。通路300で撹拌子Fが検出されず、カートリッジ50の回転の合計時間が、指定時間を超えてない場合には、再度カートリッジ50が正回転方向R1aに回転する。通路300で撹拌子Fが検出されず、カートリッジ50の回転の合計時間が、所定の指定時間を超えた場合には、エラーが発行され、測定処理が中断される。
【0078】
図17に示す撹拌子の投入工程T1の後、検体分注工程T2、キュベット搬送工程T3が続けて行われる。先ず、図13に示すように、複数の検体容器Aが収容されたラックRが検体容器搬入部400のラック搬入部450に搬入される。ラックRは、搬送機構453により検体吸引部451に搬送される。
【0079】
次に、検体分注アーム411により、ラックRの検体容器Aの検体が吸引され、第3のテーブル403の撹拌子Fが導入されているキュベットBに分注される。次に、第3のテーブル403において、撹拌子Fと検体が入ったキュベットBが、搬送機構480により加温部404側に搬送される。そして、キュベットBは、第2の搬送アーム422により、第3のテーブル403から加温部404に搬送される。
【0080】
また、別の態様として、第3のテーブル403の撹拌子Fが導入されているキュベットBは、検体が分注される前に、先ず搬送機構480により加温部404側に搬送され、次に第1の搬送アーム421により第1のテーブル401に搬送される。そして、検体分注アーム410により、ラックRの検体容器Aの検体が吸引され、第1のテーブル401のキュベットBに分注される。次に、撹拌子Fと検体が入ったキュベットBは、第2の搬送アーム422により第1のテーブル401から加温部404に搬送される。
【0081】
加温部404に搬送されたキュベットBは、所定の温度に加温される。次にキュベットBは、第2の搬送アーム422により保持され、第1の試薬分注アーム412の下方に移動される。
【0082】
一つのキュベットBの搬送工程T3が終了すると、次のキュベットBに対し撹拌子Fの投入工程T1、検体分注工程T2、およびキュベット搬送工程T3が行われる。
【0083】
続けて、図17に示す試薬分注工程T4、測定工程T5が行われる。先ず、第1の試薬分注アーム412のノズル561により、第2のテーブル402の試薬容器Cの試薬が吸引され、所定の温度に加温され、第2の搬送アーム422に保持されているキュベットBに分注される。これにより、キュベットBの検体と試薬が混合される。
【0084】
次に、キュベットBは、第2の搬送アーム422により加温部404の加温プレート500に搬送される。ここで、キュベットBの検体と試薬の混合液は所定の温度まで加温される。
【0085】
キュベットBは、第3の搬送アーム423により保持され、例えば第2の試薬分注アーム413の下方に移動される。次に、第2の試薬分注アーム413のノズル561により、第2のテーブル402の試薬容器Cの試薬が吸引され、第3の搬送アーム423に保持されているキュベットBに分注される。これにより、キュベットBの検体と試薬が混合され、測定試料となる。
【0086】
次に、キュベットBは、第3の搬送アーム423により測定部405の測定プレート510に搬送される。なお、第2の試薬分注アーム413により試薬が分注されない場合もあり、この場合には、加温部404のキュベットBが、第3の搬送アーム423により測定部405に搬送される。
【0087】
測定部405において、キュベットB内の測定試料の測定が行われる。このとき、磁力によりキュベットB内の撹拌子が撹拌され、測定試料が撹拌される。そして、キュベットBの測定試料に光が照射され、当該測定試料を透過した光が受光され、当該受光情報が測定データとして取得される。測定データは、測定部405から制御部407に送られ、分析、解析される。このとき、測定試料の吸光度又は透過率に基づき、血小板凝集率が算出される。
【0088】
測定部405における測定が終了すると、キュベットBは、第3の搬送アーム423により排出部406に搬送され、排出される。こうして、一つのキュベットBの測定処理が終了する。
【0089】
本実施の形態における検体測定方法は、検体測定装置1に装着されたカートリッジ50の収容室100であって、複数の撹拌子Fが各々移動自在に収容されている収容室100から所定数撹拌子FをキュベットBに投入する投入工程と、キュベットBに検体を分注する分注工程と、撹拌子Fが投入されたキュベットB内の検体を測定する測定工程と、を含む。本実施の形態の検体測定方法によれば、検体測定装置1に装着されたカートリッジ50の収容室100からキュベットBに撹拌子Fを投入するので、ユーザが、撹拌子Fを装置に導入する頻度を低減することができる。また、撹拌子FをキュベットBに入れる際に、キュベットBに異物が混入することを抑制することができる。カートリッジ50を用いることでユーザが撹拌子Fに触れることがなく、キュベットBへの異物の混入を著しく低減することができる。
【0090】
検体測定方法において、カートリッジ50の収容室100に収容された撹拌子Fを、カートリッジ50に設けられた排出口150に移動させ、排出口150からカートリッジ50の外に排出するので、カートリッジ50からの撹拌子Fの排出を、撹拌子Fに異物が付着することなく適切に行うことができる。
【0091】
検体測定方法において、撹拌子Fを排出口150から落下させて排出するので、撹拌子Fの排出を適切に、なおかつ簡易な装置を用いて行うことができる。
【0092】
検体測定方法において、磁力により撹拌子Fを排出口150に移動させるので、撹拌子Fの排出を適切に、なおかつ簡易な装置を用いて行うことができる。
【0093】
検体測定方法において、カートリッジ50の排出口150と、検体測定装置1に設けられた投入口310とを相対的に移動させ、排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせて、撹拌子Fを排出口150から排出し投入口310に投入する。これにより、カートリッジ50の排出口150から検体測定装置1の投入口310への撹拌子Fの投入を適切に行うことができる。
【0094】
検体測定方法において、カートリッジ50の鉛直方向に向いた中心軸L1周りにカートリッジ50を回転させて、排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせるので、投入口310への撹拌子Fの投入を簡易な装置を用いて好適に行うことができる。
【0095】
検体測定方法において、カートリッジ50から排出された撹拌子Fを、検体測定装置1に設けられた通路300を通じてキュベットBに投入するので、撹拌子Fの投入を適切に行うことができる。
【0096】
検体測定方法において、検体測定装置1に設けられた容器保持部301により保持されたキュベットBに撹拌子Fを投入するので、撹拌子FのキュベットBへの投入をより確実に行うことができる。
【0097】
検体測定方法において、カートリッジ50から排出された撹拌子Fを検出する検出し、当該検出結果に基づいて、キュベットBに撹拌子Fが移送されたか否かを判定するので、撹拌子FがキュベットBに移送されたことを確認することができる。また、一つのキュベットBに2つの撹拌子Fが入らないような検体測定装置1の制御を簡単に行うことができる。
【0098】
検体測定方法において、撹拌子Fは、血小板凝集能検査で使用される撹拌子であるので、血小板凝集能検査を異物の混入することなく高い精度で行うことができる。
【0099】
検体測定方法において、測定された検体の吸光度又は透過率に基づき、血小板凝集率を算出するので、血小板凝集能検査を高い精度で行うことができる。
【0100】
本実施の形態におけるカートリッジ50は、複数の撹拌子Fと、複数の撹拌子Fが収容された収容室100と、収容室100の撹拌子Fを排出するための排出口150を有する排出室101と、検体測定装置1に着脱するための着脱部102と有する。本実施の形態におけるカートリッジ50によれば、複数の撹拌子Fが収容されたカートリッジ50を検体測定装置1に装着し、カートリッジ50から撹拌子Fを排出しキュベットBに移送することが可能になるので、ユーザが、撹拌子Fを装置に導入する頻度を低減することができる。また、撹拌子FをキュベットBに入れる際に、キュベットBに異物が混入することを抑制することができる。
【0101】
排出室101は、所定数、例えば一つの撹拌子Fを収容可能な寸法を有する。これにより、キュベットBから撹拌子Fを一つずつ排出することができるので、一つのキュベットBに一つの撹拌子Fを入れることができる。
【0102】
カートリッジ50は、検体測定装置1に装着された状態で、排出室101の位置が収容室100の位置よりも高くなるように構成されている。これにより、収容室100に収容されている複数の撹拌子Fが、排出室101に向かう際に分散しやすくなり、この結果、一つの撹拌子Fが排出室101に入りやすくなる。よって、カートリッジ50から一つずつ撹拌子Fを排出しキュベットBに入れることが容易になる。
【0103】
カートリッジ50は、収容室100の底面120から排出室101の下面101aに向かって次第に高くなる外側面123を含む。これにより、収容室100に収容されている複数の撹拌子Fが、排出室101に向かう際に分散しやすくなり、この結果、一つの撹拌子Fが排出室101に入りやすくなる。よって、カートリッジ50から一つずつ撹拌子Fを排出しキュベットBに入れることが容易になる。
【0104】
カートリッジ50は、排出室101の入口近傍に設けられ、下側に突出する移動規制部160をさらに含む。これにより、排出室101の撹拌子Fに他の撹拌子Fが追従しようとしたときに他の撹拌子Fが移動規制部160にあたり収容室100に戻されるので、排出室101の排出口150から一つずつ撹拌子Fを排出することが容易になる。
【0105】
収容室100は、仕切り板130により互いに仕切られた複数の収容領域S1、S2を有し、排出口150は、複数の収容領域S1、S2の各々に設けられている。これにより、複数の撹拌子Fが仕切り板130により分散されるので、複数の撹拌子Fが集約して互いにくっ付くことが抑制される。この結果、排出室101に一つずつ撹拌子Fが入りやすくなる。
【0106】
着脱部102は、検体測定装置1に設けられた係合部材(回転駆動軸211)と係合する係合部(着脱穴110と円筒部111)を有する。これにより、カートリッジ50を検体測定装置1に好適に着脱することができる。
【0107】
カートリッジ50は、円盤状の形状を有し、着脱部102は、カートリッジ50の円盤形状の中央に設けられ、収容室100は、着脱部102の周囲に設けられ、排出室101は、収容室100の外側に設けられている。これにより、収容室100の撹拌子Fが、カートリッジ50の外周側の一方向に働く力により排出室101に誘導されやすくなり、撹拌子Fの排出室101への移動や排出口150からの排出が好適に行われる。
【0108】
本実施の形態における検体測定装置1は、複数の撹拌子Fが収容されたカートリッジ50が着脱自在に装着される装着部200と、装着部200に装着されたカートリッジ50から撹拌子Fを取り出す取出部201と、カートリッジ50から取り出された撹拌子FをキュベットBに移送する移送部202と、キュベットBに検体を分注する分注部700と、撹拌子Fが移送されたキュベットB内の検体を測定する測定部405を含む。本実施の形態の検体測定装置1によれば、複数の撹拌子Fが収容されたカートリッジ50を検体測定装置1に装着し、当該カートリッジ50から撹拌子Fを取り出しキュベットBに移送することができるので、ユーザが、撹拌子Fを装置に導入する頻度を低減することができる。また、撹拌子FをキュベットBに入れる際に、キュベットBに異物が混入することを抑制することができる。
【0109】
装着部200は、検体測定装置1の表面カバー40に設けられているので、ユーザが検体測定装置1にカートリッジ50を着脱することが容易になる。
【0110】
装着部200は、カートリッジ50が収容される凹部210を有するので、ユーザが検体測定装置1にカートリッジ50を着脱することが容易になる。
【0111】
装着部200は、カートリッジ50が着脱自在に係合される係合部材(回転駆動軸211)を有するので、カートリッジ50を検体測定装置1に好適に装着することができる。
【0112】
取出部201は、カートリッジ50に収容された撹拌子Fを、カートリッジ50に設けられた排出口150に移動させる第1の機構240を有する。これにより、カートリッジ50内における撹拌子Fの移動を好適に行うことができる。
【0113】
第1の機構240は、カートリッジ50に収容された撹拌子Fを磁力により移動させる磁石250を有する。これにより、カートリッジ50撹拌子Fの移動を適切に、なおかつ簡易な機構を用いて行うことができる。
【0114】
移送部202は、カートリッジ50から取り出された撹拌子Fが投入される投入口310を有し、取出部201は、カートリッジ50の排出口150と移送部202の投入口310とを相対的に移動させ、排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせる第2の機構260を有する。これにより、カートリッジ50の排出口150から移送部202の投入口310への撹拌子Fの投入を適切に行うことができる。
【0115】
第2の機構260は、カートリッジ50の鉛直方向に向いた中心軸L1周りにカートリッジ50を回転させる回転駆動部270を有する。これにより、移送部202の投入口310への撹拌子Fの投入を簡易な機構を用いて好適に行うことができる。
【0116】
移送部202は、撹拌子Fが通過する通路300を有する。これにより、撹拌子FをキュベットBに適切に移送することができる。
【0117】
移送部202は、キュベットBを保持する容器保持部301を有し、容器保持部301に保持されたキュベットBに撹拌子Fを移送するように構成されている。これにより、撹拌子FのキュベットBへの移送を確実に行うことができる。
【0118】
検体測定装置1は、カートリッジ50から排出された撹拌子Fを検出する第2の検出部(第2のセンサ320)をさらに含む。これにより、カートリッジ50から撹拌子Fが排出されたことを確認することができる。また、一つのキュベットBに2つの撹拌子Fが入らないような検体測定装置1の制御を簡単に行うことができる。
【0119】
検体測定装置1は、装着部200に装着されたカートリッジ50の有無を検出する第1の検出部(第1のセンサ212)を含む。これにより、カートリッジ50が検体測定装置1に装着されていることを確認することができる。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変形例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0121】
例えば以上の実施の形態において、検体測定装置1の取出部201が有する第2の機構260は、カートリッジ50の鉛直方向に向いた中心軸L1周りにカートリッジ50を回転させる回転駆動部270を有するものであったが、カートリッジ50を水平面内で移動させて、カートリッジ50の排出口150と移送部202の投入口310とを相対的に移動させ、排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせるものであってもよい。この場合も、第1の機構240の磁石250によりカートリッジ50内の撹拌子Fを排出口150に移動させてもよい。また、カートリッジ50を水平面内で不規則に移動させて排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせてもよいし、カートリッジ50を水平面内で規則的に移動させて排出口150の位置と投入口310の位置とを合わせてもよい。
【0122】
検体測定装置1は、カートリッジの装着機構51を複数備えていてもよい。かかる場合、一つのカートリッジの装着機構51に装着されたカートリッジ50の撹拌子Fがなくなっても、他のカートリッジの装着機構51に装着されたカートリッジ50の撹拌子FをキュベットBに供給することができる。またカートリッジの装着機構51は、装着部200及び取出部201を複数備えていてもよい。かかる場合、例えば移送部202は、各々の装着部200に対し通路300を有し、当該複数の通路300が途中で合流し、一つの出口311を有するようにしてもよい。この場合、撹拌子Fの受取位置が一つになって好ましい。
【0123】
以上の実施の形態において、取出部201は、カートリッジ50に収容された撹拌子Fを磁力を用いて排出口150に移動させるように構成されていたが、その他の力、例えば遠心力や吸引力を用いて撹拌子Fを排出口150に移動させるように構成されていてもよい。
【0124】
以上の実施の形態において、カートリッジ50の排出室101は、一つの撹拌子Fを収容する大きさを有していたが、複数の撹拌子Fを収容する大きさを有していてもよい。排出室101は、図21(a)に示すように互いに直交する2方向(X方向及びY方向)にそれぞれ2つ並べて合計4つの撹拌子Fを収容する大きさを有していてもよい。図21(b)に示すように、排出室101は、互いに直交する2方向(Y方向及びZ方向)にそれぞれ2つ並べて合計4つの撹拌子Fを収容する大きさを有していてもよい。図21(c)に示すように、排出室101は、互いに直交する3方向(X方向、Y方向及びZ方向)にそれぞれ2つ並べて合計8つの撹拌子Fを収容する大きさを有していてもよい。
【0125】
以上の実施の形態では、測定補助物が、血小板凝集能を測定するためにキュベットBに投入される撹拌子であったが、力学的方法により凝固時間を測定するためにキュベットに投入される金属球であってもよい。ここで、力学的方法とは、血液検体と共にキュベットに投入された金属球の振幅の変化を捉えることにより、血液検体の粘土の変化を捉えて凝固時間を測定する方法である。例えば、金属球としてスチールボールを用いた場合には、キュベットに投入されたスチールボールの振幅の変化として、電磁石を用いてスチールボールを動かし、血液検体の凝固反応に伴い変化するスチールボールの動きの変化を捉える方法である。キュベットに投入されたスチールボールの振幅の変化としては、電磁石を用いてスチールボールを止めておき、血液検体の凝固反応に伴い動き出すスチールボールの動きの変化を捉える方法であってもよい。すなわち、以上の実施の形態において、検体測定装置1に装着されたカートリッジ50に収容された複数の金属球から所定数の金属球を容器に投入する投入工程と、容器に検体を分注する分注工程と、金属球が投入された容器内の検体を測定する測定工程とを行うようにしてもよい。
【0126】
検体測定装置1は、図13に示したような構成を有するものであったが、本発明の検体測定装置はこれに限られず、他の構成を有するものであってもよい。本発明の検体測定装置及び検体測定方法は、血小板凝集能の測定を行うもののみならず、血液免疫検査などの他の血液測定や、血液以外の検体の測定を行うものにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、ユーザが測定補助物を検体測定装置に導入する頻度を低減する際に有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 検体測定装置
50 カートリッジ
51 カートリッジの装着機構
100 収容室
101 排出室
102 着脱部
150 排出口
200 装着部
201 取出部
202 移送部
B キュベット
F 撹拌子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21