(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097571
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】蛇腹式折り畳みテント及び連結具
(51)【国際特許分類】
E04H 15/50 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
E04H15/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213766
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】500094381
【氏名又は名称】株式会社サンエープロテント
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】高山 敏彦
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA02
2E141AA03
2E141BB01
2E141CC04
2E141CC05
2E141DD02
2E141DD12
2E141DD14
2E141GG00
(57)【要約】
【課題】 搬送、組立、設置における作業性を向上し得る蛇腹式折り畳みテント及びそれに用いる連結具を提供する。
【解決手段】 伸縮可能に連結された複数の門型枠体2を備え、門型枠体2は、天井部3と、天井部3の両側に接続されて折畳可能な一対の支柱4とを備え、複数の門型枠体2の各々の天井部3は、円弧状又は山形の屋根材3aと、屋根材3aの両端部を接続する梁材3bとを備え、梁材3bの各々は、フォークリフトのフォークの一対の爪を挿入するための一対の爪挿入部6を所定位置に備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能に連結された複数の門型枠体を備え、
前記門型枠体は、天井部と、前記天井部の両側に接続されて折畳可能な一対の支柱とを備え、
前記複数の門型枠体の各々の前記天井部は、円弧状又は山形の屋根材と、前記屋根材の両端部を接続する梁材とを備え、
前記梁材の各々は、フォークリフトのフォークの一対の爪を挿入するための一対の爪挿入部を所定位置に備える、蛇腹式折り畳みテント。
【請求項2】
前記爪挿入部は、前記梁材の固定されたU字状部材又はL状部材により構成されている、請求項1に記載に蛇腹式折り畳みテント。
【請求項3】
前記天井部の天井面及び妻面を覆う天井膜体を更に備え、
前記天井膜体の妻面は、前記爪挿入部に挿入されるフォークの1対の爪を挿入するための1対の挿入孔と、前記挿入孔を開閉可能に覆うフラップとを備える、請求項1又は2に記載の蛇腹式折り畳みテント。
【請求項4】
前記天井膜体に、蛇腹式折り畳みテントの平側を覆うための平側膜体が一体的に設けられている、請求項3に記載の蛇腹式折り畳みテント。
【請求項5】
前記支柱の各々は、互いに連結された外側支柱と内側支柱とを備え、
前記内側支柱の下端部にジャッキベースが設けられ、
前記外側支柱の下端部にキャスターが設けられ、
前記ジャッキベースは、前記キャスターの接地面より高い位置に載置されるように構成され、
前記ジャッキベースが載置されて固定される固定用ベースを更に備える、請求項1~4の何れかに記載の蛇腹式折り畳みテント。
【請求項6】
隣り合う前記門型枠体を伸張状態で連結する横継部材を更に備え、
前記横継部材は、棒状部と、前記棒状部の両端部に設けられた一対の楔形係止片とを備え、
前記門型枠体は、前記横継部材を受けるとともに前記楔形係止片が回動不能に係止する係止孔を有する横受けブラケットを備える、請求項1~5の何れかに記載の蛇腹式折り畳みテント。
【請求項7】
前記天井部に被せる天井膜体と、複数の前記門型枠体を連結するための連結具を更に備え、
前記連結具は、棒状部材と、前記棒状部材の一側面に設けられて複数の前記門型枠体を収縮させた状態で各々の前記支柱が嵌入される凹部と、前記棒状部材の両端部に設けられて両側の妻面に配置される前記支柱に固定する固定手段と、前記棒状部材の両端部に設けられて吊紐で吊るための吊輪とを備え、
前記屋根材は、前記吊輪と吊紐によって接続するためのアイボルトが着脱可能に螺着され、
前記天井膜体は、前記アイボルトを通すための通孔が形成されている、請求項1~6の何れかに記載の蛇腹式折り畳みテント。
【請求項8】
伸縮可能に連結された複数の前記門型枠体は、隣り合う3つ以上の門型枠体が連動して互いの間隔を拡縮するように伸縮させる連動伸縮機構と、前記連動伸縮機構と連動せずに独立して隣り合う1対の門型枠体の間隔を拡縮するように伸縮させる独立伸縮機構と、を備えることを特徴とする、請求項1~7の何れかに記載の折り畳みテント。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の蛇腹式折り畳みテントの搬送時に、複数の前記門型枠体を連結するための連結具であって、
棒状部材と、前記棒状部材の一側面に設けられて複数の前記門型枠体を収縮させた状態で各々の前記支柱が嵌入される凹部と、前記棒状部材の両端部に設けられて両側の妻面に配置される前記支柱に固定する固定手段と、を備える、前記連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、臨時倉庫、商品保管庫、資材置き場等に仮設され、搬送、組立、設置が容易な蛇腹式折り畳みテント及びそれに使用される連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のテントとして、天井部と支柱を備えた複数の門型枠体が前後方向に伸縮可能に設けられていると共に、各門型枠体の支柱が左右方向に折畳可能な蛇腹式折り畳みテントであって、前記折畳状態の各門型枠体を連結して自立させる連結手段を設け、連結手段は、連結板と、各門型枠体の天井部に設けられた連結板取付部とを備えている蛇腹式折り畳みテントが知られている(特許文献1)。この蛇腹式折り畳みテントは、クレーンが無くてもフォークリフトがあれば容易に設置できるという利点を有している。
【0003】
また、上記従来の蛇腹式折り畳みテントは、各門型枠体の隣接する支柱間に介設されて複数の門型枠体の伸長状態を保つ為の伸長保持手段を備えている。この伸長保持手段は、倒立略U型を呈する丸パイプ製の保持と、支柱の内面に溶接に依り設けられて保持杆の両端が着脱可能に嵌合される丸パイプ製の受筒とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の蛇腹式折り畳みテントは、折畳状態の各門型枠体を連結手段で連結して自立させることにより、クレーンが無くてもフォークリフトがあれば容易に設置できるが、フォークリフトのフォークで門型枠体の連結体を持ち上げた時にバランスを崩さないようにフォークの位置決めを行う必要があり、作業性に課題が残る。
【0006】
また、上記従来の蛇腹式折り畳みテントは、門型枠体の一対の支柱の其々の下部に車輪を備え、該車輪はブレーキ付きのものとすることができるが、車輪のブレーキだけでは設置面上に完全に固定することができない。
【0007】
また、上記従来の蛇腹式折り畳みテントは、着脱可能な伸長保持手段により、容易に伸長状態を保持できるが、前記伸長保持手段が、丸パイプ製の受筒に丸パイプ製の保持杆を挿入する構成であるため、挿入時の位置合わせに手間がかかり、挿入後においては、受筒内で保持杆が回動可能であるため門型枠体が安定せず、受筒から保持杆が抜けやすい。
【0008】
また、前記連結手段は、複数の門型枠体の各々に連結する必要があって手間がかかる。
【0009】
特に、門型枠体が大型化すると、前記連結手段を其々の門型枠体に連結するのに手が届きにくく、連結作業が困難になる。
【0010】
また、搬送先で設置する際に、折り畳まれた状態で搬送されてきた支柱を展開して立ててから隣り合う門型枠体の間隔を拡げるが、門型枠体が大型化すると、全ての門型枠体を連動させて拡げる作業が難しくなる一方、隣り合う門型枠体が収縮した状態では支柱を立てた時に安定しない。
【0011】
そこで、本発明は、搬送、組立、設置における作業性を向上し得る蛇腹式折り畳みテント及びそれに用いる連結具を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る蛇腹式折り畳みテントは、伸縮可能に連結された複数の門型枠体を備え、前記門型枠体は、天井部と、前記天井部の両側に接続されて折畳可能な一対の支柱とを備え、前記複数の門型枠体の各々の前記天井部は、円弧状又は山形の屋根材と、前記屋根材の両端部を接続する梁材とを備え、前記梁材の各々は、フォークリフトのフォークの一対の爪を挿入するための一対の爪挿入部を所定位置に備える。
【0013】
前記爪挿入部は、前記梁材の固定されたU字状部材又はL状部材により構成され得る。
【0014】
また、本発明の一態様に係る蛇腹式折り畳みテントは、前記天井部に被せる天井膜体を更に備え、前記天井膜体は、天井面と前記天井面の両側に設けられた妻面とを備え、前記両側の妻面の其々は、前記爪挿入部に挿入されるフォークの1対の爪を挿入するための1対の挿入孔と、前記挿入孔を開閉可能に覆うフラップとを備える。
【0015】
前記天井膜体は、蛇腹式折り畳みテントの平側を覆う平側膜体が一体的に設けられていてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る蛇腹式折り畳みテントは、前記支柱の各々は、互いに連結された外側支柱と内側支柱とを備え、前記内側支柱の下端部にジャッキベースが設けられ、前記外側支柱の下端部にキャスターが設けられ、前記ジャッキベースの接地面は前記キャスターの接地面より高い位置に設置可能に構成され、前記ジャッキベースが載置されて固定される固定用ベースを更に備える。
【0017】
また、本発明の一態様に係る蛇腹式折り畳みテントは、隣り合う前記門型枠体を伸張状態で連結する横継部材を更に備え、前記横継部材は、両端部に一対の楔形係止片を備え、前記門型枠体は、前記横継部材を受けるとともに前記楔形係止片が係止する係止孔を有する横受けブラケットを備える。
【0018】
また、本発明の一態様に係る蛇腹式折り畳みテントは、伸縮可能に連結された複数の前記門型枠体が、隣り合う3つ以上の門型枠体が連動して互いの間隔を拡縮するように伸縮させる連動伸縮機構と、前記連動伸縮機構と連動せずに独立して隣り合う1対の門型枠体の間隔を拡縮するように伸縮させる独立伸縮機構と、を備える。
【0019】
また、本発明の一態様に係る蛇腹式折り畳みテントに用いられる連結具は、本発明に係る前記蛇腹式折り畳みテントの搬送時に、複数の前記門型枠体を連結するための連結具であって、棒状部材と、前記棒状部材の一側面に設けられて複数の前記門型枠体を収縮させた状態で各々の前記支柱が嵌入される凹部と、前記棒状部材の両端部に設けられて両側の妻面に配置される前記支柱に固定する固定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、屋根部の梁材にフォークリフトのフォークを挿入するための爪挿入部を設けることにより、フォーク挿入位置を容易に位置決めできる。
【0021】
また、天井膜体に前記爪挿入部に挿入されるフォークの1対の爪を挿入するための1対の挿入孔を設けることにより、天井膜体を被せた状態でフォークリフトにより蛇腹式折り畳みテントを搬送することができる。
【0022】
また、支柱にキャスターとジャッキベースを設け、地面に設置する固定用ベースにジャッキベースを固定することにより、支柱を強固に固定することができる。
【0023】
また、隣り合う前記門型枠体を伸張状態で連結する横継部材に設けた楔形係止片を、門型枠体に設けた横受けブラケットに係止させることにより、横継部材を容易に装着でき、また、楔形係止片が横受けブラケットに回動不能に係止することで、門型枠体及びテントフレームが安定する。
【0024】
また、隣り合う3つ以上の門型枠体が連動して互いの間隔を拡縮するように伸縮させる連動伸縮機構と、前記連動伸縮機構と連動せずに独立して隣り合う1対の門型枠体の間隔を拡縮するように伸縮させる独立伸縮機構とを備えることにより、搬送先の現場で設置する際に、折り畳まれた支柱を展開して地面に立てて、独立伸縮機構によって隣り合う一対の門型枠体の間隔を広げてテントフレームを安定させてから、連動伸縮機構により隣り合う門型枠体の間隔を拡げることができる。
【0025】
連結具に設けた複数の凹部に、複数の門型枠体の支柱の其々を嵌め、両端の凹部に支柱を固定することで、複数の支柱を容易に所定位置に保持することができる。そして、数の支柱を保持させた連結具と屋根材と吊紐で連結することにより、支柱を折り畳んだ状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る蛇腹式折り畳みテントの一実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1の蛇腹式折り畳みテントの伸長状態を示す側面図である。
【
図3】
図1の蛇腹式折り畳みテントの収縮状態を拡大して示す側面図である。
【
図4】
図1の蛇腹式折り畳みテントの連動伸縮機構を拡大して示す正面図である。
【
図5】
図1蛇腹式折り畳みテントの独立伸縮機構の伸展状態を拡大して示す側面図である。
【
図6】
図1の蛇腹式折り畳みテントの屋根部の一部を拡大して示す部分拡大正面図である。
【
図7】
図1の蛇腹式折り畳みテントの支柱を折り畳んだ状態を示す正面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿う、蛇腹式折り畳みテントの拡大側面図である。
【
図9】
図7の蛇腹式折り畳みテントに天井膜体を張設した状態を示す正面図である。
【
図10】本発明に係る連結具の一実施形態であって、
図11のX-X線に沿う縦断正面図である。
【
図12】
図9の蛇腹式折り畳みテントをトラックに積載した状態を示す正面図である。
【
図13】
図7の状態の蛇腹式折り畳みテントの設置工程を示す正面図である。
【
図14】
図13に続く蛇腹式折り畳みテントの設置工程を示す正面図である。
【
図15】
図14に続く蛇腹式折り畳みテントの設置工程を示す正面図である。
【
図16】
図2の蛇腹式折り畳みテントの一部を拡大して示す正面図である。
【
図17】
図2の蛇腹式折り畳みテントの横継部材を示す正面図である。
【
図20】
図1の蛇腹式折り畳みテントの横受けブラケットを示す斜視図である。
【
図21】
図1の蛇腹式折り畳みテントの一部を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る蛇腹式折り畳みテントの一実施形態について、以下に
図1~
図21を参照して説明する。
【0028】
図1及び
図2を参照して、蛇腹式折り畳みテント1は、伸縮可能に連結された複数の門型枠体2を備える。門型枠体2は、天井部3と、天井部3の両側に接続されて折畳可能な左右一対の支柱4とを備える。複数の門型枠体2の各々の天井部3は、円弧状の屋根材3aと、屋根材3aの両端部を接続する梁材3bとを備える。屋根材は、山形とすることもできる。
【0029】
門型枠体2は、金属製パイプ等によって構成されている。図示例において、屋根材3aは金属製丸パイプで構成され、梁材3b及び左右の支柱4は金属製角パイプで構成されている。支柱4は、内側支柱4aと外側支柱4bとが水平継材4cによって連結されて構成されている。
【0030】
複数の門型枠体2は、
図2を参照して、伸縮機構5により伸縮可能に連結されている。伸縮機構5は、隣り合う4つの門型枠体2が連動して互いの間隔を拡縮するように伸縮させる連動伸縮機構5Aと、連動伸縮機構5Aと連動せずに独立して隣り合う1対の門型枠体2の間隔を拡縮するように伸縮させる独立伸縮機構5Bとを含む。
【0031】
連動伸縮機構5A及び独立伸縮機構5Bは、X字状に連結されたリンク棒5a、5bの下端が隣り合う門型枠体2の支柱4に回動自在に連結され、リンク棒5a、5bの上端が支柱4に上下動自在且つ回動自在に連結されている。リンク棒5a、5bの下端が連結軸回りに回動し、リンク棒5a,5bの上端が支柱4に沿って回動しつつ上下動することにより、隣り合う門型枠体2が接近又は離反する方向に平行移動する。それにより、複数の門型枠体2は、
図2に示すように隣り合う間隔が拡がって伸長し、
図3に示すように隣り合う間隔が狭まって収縮する。複数の門型枠体2を伸縮可能に連結する伸縮機構は、レージトング機構やパンタグラフ機構等の伸縮機構とすることもできる。
【0032】
連動伸縮機構5Aは、
図4を参照して、リンク棒5a、5bの上端部に、アイボルト5cが回動自在に連結されている。アイボルト5cは、支柱4に沿って固定された案内棒5dに挿通されている。案内棒5dは、上下の水平継材4cに固定されている。X字状リンク5A
1のリンク棒5bの上端部とX字状リンク5A
2のリンク棒5aの上端部とは、アイボルト5cを介して回動自在に連結されている。また、X字状リンク5A
2のリンク棒5bの上端部とX字状リンク5A
3のリンク棒5aの上端部も、アイボルト5cを介して回動自在に連結されている。X字状リンク5A
1のリンク棒5aの下端部とX字状リンク5A
2のリンク棒5bの下端部とは、外側支柱4bに固定された連結軸5eを介して回動自在に連結されている。また、X字状リンク5A
2のリンク棒5aの下端部とX字状リンク5A
3のリンク棒5bの下端部も、連結軸5eを介して回動自在に連結されている。斯かる構成により、X字状リンク5A
1、5A
2、5A
3が連動して伸縮する。
【0033】
独立伸縮機構5BのX字状に連結されたリンク棒5a、5bは、隣接する連動伸縮機構5Aのリンク棒5a、5bとは連結されていない。
図5を参照して、独立伸縮機構5Bのリンク棒5a、5bの下端部は、支柱4の外側支柱4bに固定されたフランジ5fに回動自在に連結され、リンク棒5a、5bの上端部は、支柱4の外側支柱4bに固定された案内プレート5gの縦溝5hに挿通された可動軸5iを介して、上下動且つ回動自在に連結されている。
【0034】
上記構成により、
図5に示すように、独立伸縮機構5Bのリンク棒5a、5bのX字状リンクは、連動伸縮機構5AのX字状リンク5A
1~5A
3とは独立して伸縮することができる。なお、図示例では独立伸縮機構5Bを連動伸縮機構5Aの左右両側に設けているが、独立伸縮機構5Bを連動伸縮機構5Aの左右何れか一方側に設けることもできるし、図示例と逆の配置、即ち、独立伸縮機構5Bの左右両側に一対の連動伸縮機構5Aを設けることもできる。
【0035】
梁材3bの各々は、フォークリフトのフォーク爪(図示せず。)を挿入するための一対の爪挿入部6を所定位置に備えている。図示例において、爪挿入部6は、梁材3bの上部に金属棒又は金属板で形成されたU字状部材が逆向き(逆U字状)に溶接されて固定されることよって構成されている。なお、爪挿入部6は、梁材3bの上部に設けることが好ましいが、爪挿入部を梁材3bの下部にU字状部材を溶接して固定することもできる。また、U字状部材に代えて、
図6に示すように、L字状部材を溶接して固定してもよい。
【0036】
爪挿入部6は、そこにフォークリフトのフォーク爪を挿入して門型枠体2を持ち上げた時に、門型枠体2が水平に支持される位置に設けられている。図示例では、爪挿入部6は、屋根材3aと梁材3bとを接続する中央の縦材3cから等距離の両側位置に固定されている。
【0037】
内側支柱4aは、
図1を参照して、天井部3の両端部に設けれたガイドフランジ4dに回転軸4eを介して回動自在に連結されている。ガイドフランジ4dは、支柱4を両側から挟んで摺動自在にガイドするように構成されており、支柱4を両側からサポートして門型枠体2の剛性を高める機能を有する。また、ガイドフランジ4dと立設した外側支柱4bとに重合するボルト穴が設けられており、そのボルト穴にボルト4fを通してナット4gで締めることで、支柱4が天井部3に折畳不能に固定される。ボルト4fを外すことにより、回転軸4e回りに支柱4を回動させ、
図7に示すように、支柱4を折り畳むことができる。
【0038】
蛇腹式折り畳みテント1は、工場で或る程度まで組み立てた状態で、仮設すべき現場へ搬送し、現場で最終組立を行う。工場では、
図7に示すように支柱4を折り畳むとともに、
図8に示すように門型枠体2を収縮させた状態で、天井部3に天井膜体7が被せられる。支柱4を折り畳むことにより、天井部3の高さが下がり、天井膜体7の天井部3への張設作業を行い易くなる。
【0039】
天井部3の妻側の屋根材3aには、アイボルト3a1が着脱可能に取り付けられている。図示例では、屋根材3aに溶接したナットにアイボルト3a1が螺着される。天井膜体7には、アイボルト3a1を螺着する螺子孔の位置に、アイボルト3a1のボルト部分が通る通孔が形成されている。天井膜体7を天井部3に被せた後、アイボルト3a1のボルト部分を前記通孔に通し、屋根材3aに溶接された前記ナットに螺入し、アイボルト3a1を屋根材3aに固定する。アイボルト3a1は、吊り下げ用ワイヤーや、固定用紐等を接続するために用いられる。また、
図8に示すように、両側のアイボルト3a1を紐11aで予備的に連結してもよい。
【0040】
天井膜体7は、
図8及び
図9を参照して、天井面7aと、天井面7aの両側に設けられた妻面7bとを備える。天井膜体7は、両側の妻面7bの其々に、爪挿入部6に挿入されるフォーク爪を挿入するための1対の挿入孔7b1を備える。従って、天井部3に天井膜体7を被せた状態で、挿入孔7b1を介して、爪挿入部6に挿通することができる。挿入孔7b1は、
図9に破線で示されたフラップ7b2によって開閉可能に覆われている。フラップ7b2は、上縁部が妻面7bに接着又は縫着されて取り付けられて、挿入孔7b1を開閉可能に覆っている。フラップ7b2の側縁部及び下縁部は面ファスナーによって妻面7bに着脱自在とされ得る。
【0041】
蛇腹式折り畳みテント1の両側の妻面間の側面(平側)を覆う平側膜体8が、天井膜体7の天井面7aの両端部に連設され、天井膜体7と一体的に設けられている。天井膜体7を天井部3に被せる際、平側膜体8は、
図9に示すように、巻回された状態とされている。平側膜体8は、屋根材3aに取り付けられたアイボルト3a2を利用して、
図9に破線で示された紐9を用いて巻回された状態で保持される。アイボルト3a2は、屋根材3aに溶接されたナット(図示せず。)に螺着される。アイボルト3a2の螺子部を通す孔(図示せず。)が天井膜体7に形成されている。アイボルト3a2に括り付けた紐9の他端は、支柱4に括り付けられている。なお、平側膜体8は、天井膜体7と別体として、天井部3に吊設することもできるが、平側膜体8を天井膜体7と一体的に設けておけば、現場で紐9を外すだけで、平側膜体8を迅速に展開できる。
【0042】
折り畳まれた支柱4を固定するために、連結具10が用いられる。連結具10は、
図10及び
図11を参照して、金属製角パイプ等で構成された棒状部材10aと、棒状部材10aの一側面に所定間隔毎に設けられて複数の門型枠体2の各支柱4が同時に嵌入される凹部10bと、棒状部材10aの両端部に設けられて両側の妻面に配置される支柱4に固定する固定手段10cと、を備える。図示例において、凹部10bは、支柱4が嵌る溝状金属板を棒状部材10aに溶接することにより構成されている。
【0043】
複数の凹部10bのうちの両端側の凹部10bは、2枚の溝状金属板10b
1、10b
2が連結板10b
3により連結されて平面視(
図11)において略コ字状とされている。固定手段10cは、連結板10b
3に螺入された固定用ボルト10c
1と、固定用ボルト10c
1の捩じ込みにより支柱4が押し付けられる凹部10bの内面とを含み、支柱4が押し付けられる凹部10bの内面は、
図10に一部拡大して示すように、断面鋸刃状の係合面10b
4とされている。固定用ボルト10c
1を捩じ込むと、凹部10bに嵌入された支柱4が凹部10b内で圧締され、固定用ボルト10c
1と断面鋸刃状の係合面10b
4とにより挟まれて、連結具10に支柱4が強固に連結される。連結具10により、複数の支柱4は一定間隔に保持され、搬送時のガタツキが防がれ、安定した状態で搬送することができる。
【0044】
工場内においてトラック積み込み前の門型枠体2は、伸縮機構5を収縮させ、支柱4を折り畳んだ状態(
図9参照)で、H型鋼等で構成したスペーサS(
図9)を介して、地面から少し離れて設置されることにより、折り畳んだ支柱4の下方に空間が設けられる。この空間に連結具10を挿入し、複数の支柱4が凹部10bの其々に嵌るように連結具10を持ち上げつつ、全ての支柱4の其々に連結具10の凹部10bを嵌め、固定手段10cにより連結具10と両妻側の支柱4の其々と結合させる。固定手段10cを備える両端の凹部10b、10b以外の凹部10b、即ち、一枚の溝状金属板で形成された凹部10bは、支柱4の其々に対して螺子留め等が不要であるため、支柱4を嵌め込むだけで支柱4間の間隔を一定にして支柱4を保持でき、施工効率が良い。
【0045】
連結具10の両端部には、吊輪10dが固定されている。
図8を参照して、この吊輪10dと屋根材3aのアイボルト3a1とを荷締めベルトまたは荷締めロープ等の締め紐11を用いて連結することができる。それにより、支柱4は、回転軸4e回りに回動しないように、天井部3と連結される。
【0046】
上記のようにして、門型枠体2は、支柱を折り畳んでしっかり固定した状態で、フォークリフト(図示せず。)により、
図12に示すようにトラックの荷台に乗せられ、設置現場まで搬送される。折り畳んだ門型枠体2は、クレーンが入らない工場等の建屋内であっても、フォークリフトで容易に搬送できる。
【0047】
設置現場においても、折り畳まれた状態の門型枠体2は、トラックの荷台から降ろされる。トラックの荷台からの積み降ろしには、フォークリフトを用いることもできるし、クレーンで吊るして降ろしてもよい。トラックの荷台から降ろされた門型枠体2は、締め紐11(
図8)が取り外される。
【0048】
支柱4は、互いに連結された内側支柱4aと外側支柱4bとを備え、外側支柱4bの下端部にキャスター12が取り付けられている。締め紐11を取り外して、門型枠体2を地面から徐々に持ち上げると、
図13~
図15に示すように、折り畳まれていた支柱4が、その自重によって、天井部3からキャスター12が離れるように回動する。キャスター12は、好ましくはロールストッパー付きキャスターが用いられる。キャスター12を接地させた状態で、門型枠体2を徐々にリフトアップし、
図15に示すように支柱4を垂直に立たせことができる。なお、本実施形態では、支柱4を立てた際の爪挿入部6の高さが2.8メートルであるので、最大揚程3メートルのフォークリフトで持ち上げることができる。
【0049】
設置現場には、
図1及び
図2を参照して、門型枠体2を固定するための固定用ベース13が設置される。固定用ベース13は、間口両側の内側支柱4a、4aの位置に平行に置かれた2本の長尺の鋼材によって構成され得る。本実施形態の固定用ベース13は、H型鋼13aの下フランジに鋼板13bを溶接して重量を増加させている。
【0050】
支柱4を鉛直方向に立てておいて、左右のキャスター12を2本の固定用ベース13の外側に沿って移動させ、独立伸縮機構5Bで連結された隣り合う門型枠体2の間隔を広げて伸張させる(
図5参照)。
【0051】
独立伸縮機構5Bで拡げた隣り合う門型枠体2の間隔を保持するため、
図2,
図16に示すように、横継部材14が隣り合う門型枠体2に連結される。横継部材14は、
図17~
図20に示すように、棒状部14aの両端部に一対の楔形係止片14bを備える。門型枠体2は、横継部材14を受けるとともに楔形係止片14bが係止する係止孔15aを有する横受けブラケット15を備える。横受けブラケット15は、内側支柱4aに片持ち状に溶接されて固定されている。
【0052】
楔形係止片14bは、先端に至るにしたがってしだいに狭くなっており、板状部材によって構成されている。なお、楔形係止片は、板状部材に限らず、金属製の角材を先細状に構成することもでき、その場合の横受けブラケットの係止孔を正方形とすることもできる。
【0053】
楔形係止片14bを係止孔15aに挿入する際、楔形係止片14bが先細状であるため、挿入が容易である。楔形係止片14bを係止孔15aに挿入後、楔形係止片14bの上部を金槌等で叩いて、楔止め式に係止させることにより、容易に抜けないように係止でき。また、板状の楔形係止片14bが、略同幅の細長状の係止孔15aに挿入され嵌合することにより、楔形係止片14bと横受けブラケット15との相対的な回動が規制されるため、テントの剛性が高まり、安定する。楔形係止片14bを係止孔15aに挿して叩くだけで、隣り合う門型枠体2が迅速に連結されて強固に固定される。
【0054】
独立伸縮機構5Bのリンク棒5a、5bに連結された一対の門型枠体2を所定の間隔で固定した後、連動伸縮機構5Aのリンク棒5a、5bに連結された複数の門型枠体2を所定の間隔を拡げ、上記と同様にして横継部材14で隣り合う門型枠体2を連結し、固定することができる。
【0055】
独立伸縮機構5Bによって隣り合う一対の門型枠体2の間隔を拡げてテントフレームを安定させてから、連動伸縮機構により隣り合う門型枠体の間隔を拡げることにより、テントフレームを速やかに安定させ、迅速な設置が可能となる。
【0056】
図21を参照し、内側支柱4aの下端部にジャッキベース16が取り付けられている。ジャッキベース16は、キャスター12の接地面より高い位置に載置されるように構成されている。ジャッキベース16は、螺子部分16aが内側支柱4aの下端部に挿入されており、ハンドル付き昇降ナット16bの位置を調整することにより、支柱4の上下高さを調整することができる。ジャッキベース16の座板16cは、固定用ベース13の上フランジ13c上に載置され、クランプ17で上フランジ13cに固定される。このようにして、固定用ベースに固定することで、蛇腹式折り畳みテント1は、剛性が高められて安定し、突風にも耐えられる。また、クランプ17を用いてジャッキベース16を固定用ベース13に固定することにより、正確な位置決めが必要なボルト留めに比べて、迅速に固定することができる。固定用ベース13は、H型鋼の下フランジに鋼板13bを溶接して重量を増やすことにより、蛇腹式折り畳みテント1を安定させる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定解釈されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 蛇腹式折り畳みテント
2 門型枠体
3 天井部
3a 屋根材
3a1 アイボルト
3b 梁材
4 支柱
4a 内側支柱
4b 外側支柱
5 伸縮機構
5A 連動伸縮機構
5B 独立伸縮機構
6 爪挿入部
7 天井膜体
7b1 挿入孔
7b2 フラップ
10 連結具
10a 棒状部材
10b 凹部
10c 固定手段
10d 吊輪
12 キャスター
13 固定用ベース
14 横継部材
14a 棒状部
14b 楔形係止片
15 横受けブラケット
15a 係止孔
16 ジャッキベース