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  • 特開-ラミネート型二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097584
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】ラミネート型二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/474 20210101AFI20230703BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20230703BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20230703BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20230703BHJP
   H01M 50/486 20210101ALI20230703BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20230703BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20230703BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20230703BHJP
【FI】
H01M50/474
H01M50/548 301
H01M50/557
H01M50/477
H01M50/486
H01M50/178
H01M50/536
H01M50/533
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213791
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】山添 正之
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011CC02
5H011CC10
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF04
5H011KK01
5H021AA02
5H021BB11
5H021CC07
5H021CC11
5H021EE02
5H021EE04
5H021EE08
5H021EE30
5H021HH03
5H021HH10
5H043AA02
5H043BA19
5H043CA08
5H043DA02
5H043DA09
5H043EA06
5H043EA22
5H043GA29
5H043GA30
5H043HA06D
5H043HA06E
5H043HA08E
5H043JA01
5H043JA02E
5H043JA13
5H043KA22
5H043KA28
5H043LA02D
5H043LA02E
5H043LA21D
5H043LA21E
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池モジュール、電池パック内部でラミネート型二次電池の保持、位置規制が可能なラミネート型二次電池を提供する。
【解決手段】本発明のラミネート型二次電池は、2枚のラミネートフィルム1の間の内側に、電極タブ3が接合されてなる厚みTの集電体2が、挟持ラミネートされてなるラミネート型二次電池であって、該ラミネート1が、該内側の面内の該接合に係る接合部分の、該電極タブ3の両サイドの、該集電体2が存在しない両方のデッドスペースに亘る、該電極タブ3の一部を経由する、幅Dの細長領域に、該細長領域と相似形の幅dの樹脂製の固定保持用部材4、5を配置した状態で、該セルが該樹脂製の固定保持用部材含有の部位を含むように為されてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のラミネートフィルムの間の内側に、電極タブが接合されてなる厚みTの集電体が、挟持ラミネートされてなるラミネート型二次電池であって、該ラミネートが、該内側の面内の該接合に係る接合部分の、該電極タブの両サイドの、該集電体が存在しない両方のデッドスペースに亘る、該電極タブの一部を経由する、幅Dの細長領域に、該細長領域と相似形の幅dの樹脂製の固定保持用部材を配置した状態で、該セルが該樹脂製の固定保持用部材含有の部位を含むように為されてなる、ラミネート型二次電池。
【請求項2】
前記固定保持部用部材の厚みtが、前記集電体の厚みTと等しい、及び/又は大きい、請求項1に記載のラミネート型二次電池。
【請求項3】
前記固定保持部用部材の幅wが、前記集電体の幅Wと等しい、及び/又は、大きい、請求項1、又は2に記載のラミネート型二次電池。
【請求項4】
前記固定保持用部材が、2種の異なる形状を有した固定保持部材Aと固定保持部材Bで構成されており、予め、集電体及び電極タブに開けられた穴に沿って、前記固定保持部材Aに設けられた凸部が配置されることにより、固定保持部材Aの位置決め規制が行われ、また、固定保持部材A及び固定保持部材Bは、集電体と干渉しない位置に組み込まれる構造となっている、請求項1~3のいずれかに記載のラミネート型二次電池。
【請求項5】
前記固定保持用部材が、電極タブと集電体が接合されている箇所では、電極タブと集電体を常に挟み込む構成となっており、一体構造となっている、請求項1~4のいずれかに記載のラミネート型二次電池。
【請求項6】
前記固定保持用部材は、薬品耐性を持ち合わせた樹脂製の非電気導体物であって、ラミネートフィルムと熱溶着が可能な非電気導体物である、請求項1~5のいずれかに記載のラミネート型二次電池。
【請求項7】
前記固定保持部が、二次加工含む、請求項1~6のいずれかに記載のラミネート型二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的保持部を設けたラミネート型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池の外装体にラミネートフィルムを用いたラミネート型二次電池は、外装体に金属缶を用いた金属缶型二次電池に比べて、その集電体部分(積層電極群)に対する局所的な押圧や外力による性能影響、例えば、集電体変形、内部短絡)が大きく、ラミネート型二次電池を含む電池モジュールや電池パックを作製する際、この影響を排除する為に、ラミネート型二次電池を保持するための保持専用ホルダーを用いている。そうした場合でも、ラミネート型二次電池のホルダー内での位置決めやラミネート型二次電池がホルダー内で動かないよう、ラミネート型二次電池とホルダーとは接着剤や両面テープ等で固定する必要があった。
【0003】
ラミネート型二次電池の外装体であるラミネートフィルム内で積層電極群が振動、衝撃などの影響を受けた場合、機械的に弱い部分の破損や積層電極群がラミネートフィルムを傷付けることによる電池の不良を著しく低下させることのできるラミネート外装型電池が知られている。(特許文献1参照)
また、外部から力が加わった場合においても、正極集電体、負極集電体からなる集電体群の周辺に緩衝材を配置することにより、丈夫な二次電池を実現する二次電池も知られている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3602797号
【特許文献2】特開2020-188030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、振動、衝撃に対してラミネートフィルム内部での積層電極群の保護、保持、また、曲げるための外力に対して、丈夫な二次電池に対してであり、電池モジュールや電池パックの内部に配置されたラミネート型二次電池自身に対しての振動、衝撃などの外力を考慮した設計が必要であり、電池モジュールや電池パック内部でラミネート型二次電池の保持方法、位置規制をするための課題がある。
【0006】
即ち、本発明の課題は、ラミネート型二次電池において、電池自身に対して振動、衝撃などの外力を考慮し、これらに耐えるための設計が必要であり、電池モジュールや電池パック内部でラミネート型二次電池の保持、位置規制が可能なラミネート型二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決する為に成された本発明は、2枚のラミネートフィルムの間の内側に、電極タブが接合されてなる厚みTの集電体が、挟持ラミネートされてなるラミネート型二次電池であって、該ラミネートが、該内側の面内の該接合に係る接合部分の、該電極タブの両サイドの、該集電体が存在しない両方のデッドスペースに亘る、該電極タブの一部を経由する、幅Dの細長領域に、該細長領域と相似形の幅dの樹脂製の固定保持用部材を配置した状態で、該セルが該樹脂製の固定保持用部材含有の部位を含むように為されてなる、ラミネート型二次電池に関する。
【0008】
このような本発明のラミネート型二次電池では、ラミネート型二次電池がラミネートフィルム法線方向に複数積み重ねられた及び/又は、水平方向に配置された、電池モジュールや電池パック完成品において、隣り合う複数の当該部位が、全体としてラミネート型二次電池の固定保持部として機能することで、個々のラミネート型二次電池が有する電極タブを、他のラミネート型二次電池の電極タブや、接続部品、電池モジュールや電池パック全体の出力タブ等に接続する際、また、電池モジュールや電池パック全体として、各々の電極タブ部分にかかることでラミネート型二次電池が損傷する恐れのある、個々のラミネート型二次電池にかかる外力を低減することが可能な固定保持部具備の電池モジュールや電池パックとなる。
【0009】
具体的には、前記内側面内における電極タブと集電体との接合部分の、前記電極タブの両サイドの、集電体が存在しない両方のデッドスペースに亘って、電極タブの一部を経由する幅Dの細長い領域を前記面内特定領域として、当該領域とほぼ同じ細長い幅dの前記固定保持用部材を配置しラミネートすることにより、前記固定保持部の中に電極タブが組み込まれる構造とする。この構造により、電極タブに対する引張りなどの外部からの外力が生じても、当該外力は固定保持部、ひいては電池モジュールや電池パック全体に掛かることになり拡散緩和されて、個々のラミネート型二次電池、特に前記接合部分に局所的に集中して掛からなくなるので、ラミネート構造に対する破壊ストレスが低減されることとなる。
【0010】
好ましくは、ラミネート型二次電池の完成品において、固定保持部用部材の厚みtは、集電体の厚みTと等しく及び/又は大きく、固定保持部用部材の幅wは、セル集電体の幅Wと等しく及び/又は大きい。図で示した固定保持用部材の凹み形状は一例であって、凹み形状を規定するものでは無い。固定保持用部材は、樹脂製で、ラミネートフィルムと熱溶着が可能である材質とする。
【0011】
好ましくは、ラミネート型二次電池の完成品は、その固定保持部に、その取扱いを容易とする為、また電池モジュール内や電池パック内でのラミネート型二次電池の位置規制を容易とする為の二次加工部であって、より好ましくは固定保持部に法線方向に貫通する、ラミネート型二次電池の二次加工により形成されてなる二次加工部を含む。本発明のラミネート型二次電池においては、このような二次加工は、個々の集電体に影響しないで実施可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成により、電池モジュールや電池パックを作製する時において、ラミネート型二次電池に保持部が設けられることにより、ラミネート型二次電池内部の集電体部に影響を与えることなく、電池モジュール内や電池パック内で位置規制を含めた保持固定が行うことができる。
【0013】
また、ラミネート型二次電池自身に保持部があることにより、接着剤、両面テープなどの粘着剤を使用することなく固定保持することも可能であり、電池モジュール、電池パックを構成するための部材点数を削減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る保持部を設けたラミネート型二次電池の分解斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る保持部部材と集電体の位置関係を示した平面図(上面図)である。
図3】本発明の実施例に係る電極タブと集電体の位置関係を示した平面図(上面図)である。
図4】本発明の実施例に係る保持部部材と集電体の位置関係を示した側面図である。
図5】本発明の実施例に係る保持部を設けたラミネート型二次電池の平面図(上面図)である。
図6】本発明の実施例に係る保持部を設けたラミネート型二次電池の側面断面図である。
図7】本発明の実施例に係る電極タブ位置が異なるラミネート型二次電池の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に使用する図面は実施形態の一例を示したものであり、本発明の実施形態を限定するものではない。
【0016】
本発明で使うラミネート型二次電池は、負極材料にチタン酸リチウム、黒鉛(グラファイト、ソフトカーボン)などの炭素系化合物を使用した負極活物質をアルミニウム箔又は銅箔の両面に塗布した負極電極箔と、正極材料にマンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、ニッケル酸リチウム、三元系正極材(NCM)などのリチウム化合物を使用した正極活物質をアルミニウム箔の両面に塗布した正極電極箔とを、絶縁性かつ非水電解質を含むことができる、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、およびそれらを2種類以上複合した織布、不織布、微多孔膜等が挙げられる構造のセパレーターを介して、対向させて積層、或いは巻回させて扁平形状にしたものに、非水溶媒に溶質を溶解させたリチウム塩を含む非水電解質の電解液を含浸させた二次電池があげられる。さらに、本発明は、固体電解質などを用いた、半固体二次電池或いは全固体二次電池にも適用可能である。
図1は、本発明の実施例に係る、ラミネート型二次電池の内部構成を表す分解図である。上述の正極電極箔、負極電極箔、セパレーターの積層体或いは巻回体からなる集電体に、電極端子部となる電極タブが超音波接合などで接続されたものに、ラミネート型二次電池を外部から保持するための保持部材として保持部材A及び保持部材Bが電極タブを挟み込む位置に配置され、2枚の、高融点樹脂材(例えば、PETなど)、金属箔(例えば、アルミニウム箔など)、熱溶着可能樹脂材(例えば、PPなど)からなる多層構造のラミネートフィルムで挟み込む構成を示す。
【0017】
極性が異なる電極端子部となる電極タブの配置位置は、図7に示す同一方向でもよい。また、直行方向となる位置に配置されていてもよい。
【0018】
保持部材A又は保持部材Bは凸形状を有した形状であり、予め、図3に示す電極タブ及び集電体を接合した場所に設けられた位置決め穴に対して、保持部材A又は保持部材Bの凸部を合わせることにより配置できることが好ましく、また、図2図4に示す、保持部材A及び保持部材Bが集電体と干渉しない位置であることがより好ましい。
【0019】
保持部材A及び保持部材Bの材質は、ラミネートフィルムの粘着層であるPP層と熱溶着が可能である材質であることが好ましく、保持部材A及びBとラミネートフィルムの加圧加熱温度は150℃~200℃であることが好ましく、保持部材A及び保持部材Bとラミネートフィルムは図5に示す斜線部の位置で熱溶着されていることが好ましい。
【0020】
保持部材A及び保持部材Bとラミネートフィルムの熱溶着は、2枚の重なり合ったラミネートフィルムの周囲を熱溶着すると同時にしてもよいし、2枚の重なり合ったラミネートフィルムの熱溶着後にしてもよい。
【0021】
ラミネート型二次電池のラミネートフィルム及び保持部材A及び保持部材Bに穴あけ加工などの二次加工を施した場合においても、二次電池の構成材料である電解液が二次加工部より漏液しないことが好ましい。
【符号の説明】
【0022】
1.ラミネートフィルム
2.集電体
3.電極タブ
4.固定保持部材A
5.固定保持部材B
6.固定保持部材Aとラミネートフィルムの熱溶着部
7.固定保持部材Bとラミネートフィルムの熱溶着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7