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特開2023-976サッカーゲーム用のコンピュータプログラム、並びにゲームシステム及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000976
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】サッカーゲーム用のコンピュータプログラム、並びにゲームシステム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/55 20140101AFI20221222BHJP
   A63F 13/812 20140101ALI20221222BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALI20221222BHJP
【FI】
A63F13/55
A63F13/812 B
G06F3/0484 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167852
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2021101547の分割
【原出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(72)【発明者】
【氏名】尾島 正敏
(72)【発明者】
【氏名】藤代 裕治
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭太
(72)【発明者】
【氏名】岸野 雄吾
(72)【発明者】
【氏名】田谷 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小川 健太
(72)【発明者】
【氏名】西山 秀人
(72)【発明者】
【氏名】青柳 柊人
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA12
5E555AA76
5E555BA20
5E555BB20
5E555BC04
5E555CA06
5E555CA17
5E555CB19
5E555CB20
5E555CC01
5E555DB32
5E555DC85
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】サッカーゲームにおける操作対象の選手のドリブル動作の連続性を確保し、又は向上させる。
【解決手段】入力装置の特定操作部に対する操作量が大きいほど操作対象の選手のドリブル動作が高速化されるように、特定操作部の操作量に応じてドリブル動作を制御するゲームシステムにおいて、特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別し(S5、S6)、特定操作が行われたと判断された場合には、特定操作に後続する特定操作部の操作の有無に関わりなく、ドリブル動作を、操作量に応じて生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させる(S7)。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手を動作させるサッカーゲームが前記ユーザに提供されるようにコンピュータを機能させるサッカーゲーム用のコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記入力装置の特定操作部に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段、
前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段、及び
前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段、
として機能させるように構成されたサッカーゲーム用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッカーゲームをユーザに提供するためのコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いた電子ゲームの一種として、フィールドでプレイする多数の選手からユーザによる操作対象の選手を選出し、その操作対象の選手を入力装置に対するユーザの操作に基づいて動作させるサッカーゲームが周知である。この種のゲームでは、入力装置の限られた操作部を使い分けながら選手のトラップ、ドリブル、パスといった多様な動作を指示する必要がある。そのため、同一の操作部に対して異なる操作方法が設定され、操作方法に応じて選手に異なる動作を生じさせる場合もある。例えば、選手のドリブル動作に関して、特定の操作ボタンが押し込み操作されていることを条件として、通常のドリブルよりも高速化されたダッシュドリブル動作を生じさせる一方、ダッシュドリブル動作中に同一の操作ボタンが素早く2回押し込み操作された場合には、守備側の選手を引き離すこと等を意図してドリブル速度を瞬間的に上昇させるバースト動作を生じさせるサッカーゲームが知られている(非特許文献1参照)。ユーザの操作量に応じた信号を出力可能な操作部を有する入力装置が使用されることを前提とし、その操作量が大きいほどドリブル動作を高速化する例も存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Winning Eleven 2019 ONLINE MANUAL、カーソルプレイヤーの操作 、KONAMI[online]、[令和3年6月10日検索]、インターネット〈URL,https:/ /dds.konami.com/games/manual/pes2019/PS4/ja/control_player.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドリブル動作の高速化のために使用される操作部と同一の操作部を、ドリブル動作の一時的な変化を発生させるための操作部としても利用する場合において、その操作部の連続的な2回の操作を発生条件として設定すると、操作部の操作が一旦解除され、その後に操作部が再度操作されるまでは発生条件が満たされない。2回の連続的な操作が行われたか否かの判定に関しては、ユーザの個人差や入力装置の個体差等を考慮して、適度の時間的な許容範囲を設定しておく必要がある。特に、再度の押し込み操作に要する時間は個人差の影響が相対的に大きく、相応の余裕を見込む必要がある。そのため、発生条件が満たされるまでの間に、操作部の操作解除に対応してドリブル速度が一旦低下し、それに続く押し込み操作でドリブル速度が上昇に転じるという動作が明確に看取できるほどに発生するおそれがある。その場合、ドリブル動作を高速化することを意図したユーザの操作とは異なる動作が生じることとなり、選手の動作がユーザの意図したように連続せず、ユーザが違和感を覚えるといった不都合が生じる。
【0005】
そこで、本発明は選手のドリブル動作の連続性を確保し、又は向上させるために好適なサッカーゲーム用のコンピュータプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、入力装置に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手を動作させるサッカーゲームが前記ユーザに提供されるようにコンピュータを機能させるサッカーゲーム用のコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記入力装置の特定操作部に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段、前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段、及び前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段、として機能させるように構成されたものである。
【0007】
本発明の一態様に係るゲームシステムは、入力装置に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手を動作させるサッカーゲームをコンピュータの制御を通じて前記ユーザに提供するゲームシステムであって、前記コンピュータを、前記入力装置の特定操作部に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段、前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段、及び前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段、として機能させるように構成されたものである。
【0008】
本発明の一態様に係るゲームシステムの制御方法は、入力装置に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手を動作させるサッカーゲームをコンピュータの制御を通じて前記ユーザに提供するゲームシステムの制御方法であって、前記コンピュータを、前記入力装置の特定操作部に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段、前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段、及び前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段、として機能させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成の一例を示す図。
図2】コントローラの一例を示す図。
図3】ゲーム画面の一例を示す図。
図4】チョップタッチ動作が発生する際の画像の変化の一例を示す図。
図5】コントローラの操作量とドリブル時の選手の移動速度及びボールの蹴り出し量との対応関係の一例を示す図。
図6】ゲーム装置における制御系の構成の一例を示す機能ブロック図。
図7】操作対象制御部がドリブル動作を制御するために実行するドリブル制御処理の手順の一例を示すフローチャート。
図8図7の変形例に係るフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係るゲームシステム等を説明する。図1は、本形態に係るゲームシステム1の全体構成の一例を示している。ゲームシステム1は、クライアントとしての複数のゲーム装置2と、ゲーム装置2とネットワークNT(一例としてインターネット)を介して接続されるサーバ3とを含んだクライアントサーバ型のシステムとして構成されている。
【0011】
ゲーム装置2は、ユーザによるゲームのプレイに供される装置であって、ネットワークNTを介した情報通信機能を備えた情報通信端末装置の一種である。一例として、ゲーム装置2は、ゲームの提供を主たる目的として構成された据置型のゲーム機本体5と、そのゲーム機本体5に接続される入力装置の一例としてのコントローラ6と、出力装置の一例としてのモニタ7とを含む。ゲーム機本体5は、コンシューマゲーム機あるいはゲームコンソールと呼ばれることもある。ゲーム機本体5に代えて、PC(パーソナルコンピュータの略)が利用されてもよい。入力装置はコントローラ6に限定されず、ユーザによる操作が可能な操作部を有する限り、各種の入力装置が用いられてよい。ただし、入力装置は、ユーザの操作の有無が検出対象となるオンオフ型の操作部とは異なり、ユーザの操作量の変化が検出対象となる操作量検出型の少なくとも一つの操作部を含んでいる必要がある。出力装置は、モニタ7に加えて、音声出力用のスピーカユニット等を含んでよいが、その図示は省略した。複数のモニタ7がゲーム機本体5に接続されてもよい。ゲーム装置2は、図示の構成に限らず、例えば携帯型のゲーム機、モバイル用のPC等であってもよい。さらに、業務用(又は商用)のゲーム機として構成されたいわゆるアーケードゲーム機がゲーム装置2として利用されてもよい。
【0012】
サーバ3は、複数台のサーバユニットを適宜に組み合わせて構成されてもよいし、単一のサーバユニットによって構成されてもよい。クラウドコンピューティング技術を利用したクラウドサーバとしてサーバ3が構成されてもよい。サーバ3は、ゲームに関連した各種のサービス、例えばゲームにて対戦すべきプレイヤ同士をマッチングするサービス、ゲーム装置2間で共有されるべきゲームの情報を中継するサービス等をゲーム装置2に提供する。なお、ゲームシステム1には、携帯電話、スマートフォン、業務用のゲーム機といった各種の情報通信端末装置が適宜に追加されてもよい。例えば、業務用のゲーム機は、ゲーム装置2にて提供されるゲームと連携したゲームを提供するクライアントとして利用されてもよい。もちろん、上記のように、業務用のゲーム機等が本形態に係るゲームをプレイするためのゲーム装置2として利用されてもよい。
【0013】
図2は、コントローラ6の具体的な構成の一例を示している。コントローラ6は、ユーザが両手で持つことを前提として形状及びサイズが選定された本体ハウジング10を有している。本体ハウジング10は左右の手で把持するためのグリップ11L、11Rを備えている。左側のグリップ11Lの正面上部には4つの方向キー12が、右側のグリップ11Rの正面上部には4つの操作ボタン13がそれぞれ設けられ、グリップ11L、11Rの間には一対のスティック14L、14Rが設けられている。スティック14L、14Rは無操作状態を中立位置として、その中立位置から全方向、すなわち360°のいずれの方向にも操作可能である。さらに、左側のグリップ11Lの上方の端面には2つの操作ボタン15L1、15L2が、右側のグリップ11Rの上方の端面には2つの操作ボタン15R1、15R2が設けられている。以下において、左側のスティック14LをLスティック14Lと、右側のスティック14RをRスティック14Rと呼び、左側の操作ボタン15L1、15L2をコントローラ6の正面側から順にL1ボタン15L1、L2ボタン15L2と呼び、右側の操作ボタン15R1、15R2をコントローラ6の正面側から順にR1ボタン15R1、R2ボタン15R2と呼んで区別することがある。一方、スティック14L、14Rをスティック14と総称し、操作ボタン15L1、15L2、15R1、15R2を操作ボタン15と総称する場合もある。
【0014】
コントローラ6の方向キー12、操作ボタン13、スティック14、操作ボタン15のそれぞれは、入力装置の操作部の一例として機能する。また、これらの操作部は、ユーザの操作によって変位する操作部材を含み、その変位量は操作量に相当する。これらの操作部のうち、少なくとも一部の操作部は、ユーザによる操作量が検出対象とされ、その操作量に応じて出力信号が変化する操作量検出型の操作部として設けられている。例えば、スティック14及び操作ボタン15がその種の操作部として設けられている。したがって、スティック14の操作に関しては、その操作方向及び操作量(中立位置から傾斜の角度)が検出されて出力信号に反映される。操作ボタン15の操作に関しては、その押し込み量が検出されて出力信号に反映される。一方、方向キー12及び操作ボタン13は、いずれも押し込み操作の有無が検出対象とされ、その操作の有無が出力信号に反映されるオンオフ型の操作部として設けられている。ただし、それらの区別は一例であって、適宜の設定が可能である。操作量検出型の操作部であっても、例えばユーザの設定により、操作の有無のみが検出対象とされるオンオフ型の操作部として機能するようにソフトウエア上で切り替え可能であってもよい。
【0015】
次に、ゲーム装置2を介して提供されるゲームについて説明する。本形態のゲームシステム1では、ゲーム装置2のユーザが対戦相手のユーザとサッカーを通じて対戦するサッカーゲームが提供される。対戦相手は、いずれかのゲーム装置2を利用する実在のユーザであってもよいし、ゲーム装置2又はサーバ3のコンピュータによって制御される仮想的な存在であってもよい。対戦は1対1であることを必ずしも要しない。例えば、少なくとも一人のユーザを含んだグループが、他のグループと対戦するいわゆるグループ対戦の形式でサッカーがプレイされてもよい。
【0016】
図3はゲーム装置2にてプレイされるサッカーゲームにおけるゲーム画面の一例を示す。周知のように、サッカーゲームでは、ユーザ及び対戦相手のそれぞれの選手PL(参照符号は一部の選手のみに付してある。)が仮想的なフィールドFD内で現実のサッカーと同様に行動することにより対戦が進行する。選手PLはゲームの仮想的な空間内で動作するオブジェクトの一例である。図3のゲーム画面100は、フィールドFDにて選手PLが行動する様子を所定の視点から観察したものである。視点は、対戦の状況に応じて自動的に最適な位置に切り替えられる。ゲーム画面100の下部中央には、フィールドFDの全体における選手PLの位置を示すマップ101が表示される。さらに、ユーザ及び対戦相手のチーム名、得点、経過時間といった対戦の状況を示す情報が適宜の位置に表示されてもよい。
【0017】
フィールドFDの選手の一部は、ユーザによる操作対象の選手として設定される。一人のユーザに対して一の選手PLが操作対象として選定される。例えば、ユーザが攻撃側である場合は、ボールを支配すべき選手PLがそのユーザの操作対象として設定され、守備側のユーザに対しては、ボールを支配する選手PLに対する守備を担うべき選手PLが操作対象として設定される。ゲーム画面100において、操作対象の選手PLは、例えばカーソル102によって識別可能である。操作対象の選手PLの名前等を示す情報部103がゲーム画面100に付加されてもよい。操作対象の選手PLは、コントローラ6に対するユーザの操作に基づいてその動作が制御される。一方、操作対象外の選手PLの動作は試合の状況に応じて自動的に制御される。
【0018】
操作対象の選手PLをユーザの操作に応じて様々に動作させるため、コントローラ6の各操作部の操作と、操作対象の選手PLの動作との間には適宜の対応関係が設定される。例えば、攻撃時の選手PLに関しては、その選手PLのトラップ、ドリブル、パスといった各種の動作をユーザが指示できるように、コントローラ6の各操作部がそれらの動作を指示するための操作部として適宜に設定される。そして、本形態のゲームシステム1は、ドリブル動作に関して、以下のようにコントローラ6の操作部とドリブル動作との関係が設定されている。
【0019】
選手PLのドリブル動作は、選手PLの移動方向、移動速度、及びボールの蹴り出し量(又は蹴り出しの強さ)といった各種のパラメータによって決定付けられる。ゲームシステム1では、一例として、選手PLの移動方向をLスティック14Lの操作に基づいて決定し、移動速度及び蹴り出し量をR2ボタン15R2の操作に基づいて決定するように、コントローラ6とドリブル動作とが対応付けられている。よって、Lスティック14Lは方向操作部の一例に、R2ボタン15R2は特定操作部の一例にそれぞれ相当する。R2ボタン15R2は、操作量検出型の操作部であることから、その特性を利用して、R2ボタン15R2の押し込み量が大きいほど選手の移動速度及びボールの蹴り出し量が増加してドリブル動作が高速化されるように、R2ボタン15R2の押し込み量(操作量)に応じてドリブル動作が制御される。
【0020】
一例として、図4に示すように、R2ボタン15R2の押し込み量Uが増加するほど、移動速度V及び蹴り出し量ΔKが比例的に増加するように、押し込み量Uと移動速度V及び蹴り出し量ΔKとの対応関係が設定される。なお、図4は対応関係の一例であって、その関係は正比例の関係に限られない。例えば、押し込み量Uが比較的小さい範囲では移動速度V及び蹴り出し量ΔKの変化が小さく、押し込み量Uが比較的大きい範囲では移動速度V及び蹴り出し量ΔKの変化が大きくなる、といったごとく、曲線的な変化を伴う対応関係が設定されてもよい。押し込み量Uが最大値Umaxのときの移動速度Vの最大値Vmax、及び蹴り出し量ΔKの最大値ΔKmaxは、ゲームの仕様に応じて適宜に設定されてよい。選手PLに設定された能力パラメータやユーザのレベル、ステータスといった各種の要素を参照することにより、最大値Vmax、ΔKmaxが適宜に変更されてもよい。押し込み量Uが最小値Uminのときの移動速度Vの最小値Vmin、及び蹴り出し量ΔKの最小値ΔKminは、例えば選手PLがボールを保持して止まっている状態をドリブル動作の一部として表現するならばそれぞれ0に設定すればよい。一方、例えばLスティック14Lが中立位置から操作されてドリブル方向が指示されているといったように、ユーザによるドリブル動作の指示があると判断される場合には、最小値Vmin、ΔKminを0よりも大きく設定して、選手PLが僅かな速度でドリブルしつつ移動する状態を表現してもよい。
【0021】
図4において、押し込み量Uと移動速度Vとの対応関係を示す線と、押し込み量Uと蹴り出し量ΔKとの対応関係を示す線とは互いに区別して設定されてもよい。つまり、押し込み量Uの変化に対する移動速度V及び蹴り出し量ΔKの変化は必ずしも同一であることを要せず、互いに独立して変化させてもよい。ただし、選手PLの移動に対してボールを追従させるためには、移動速度の増加に合わせてボールの蹴り出し量も相対的に増加させる必要がある。したがって、ドリブル動作の高速化は、選手PLの移動速度の増加とそれに伴うボールの蹴り出し量の増加とによって実現される概念である。また、ボールの蹴り出し量は、選手PLがボールを一回蹴るときのボールの移動量であり、蹴り出し動作の強さ、あるいはボールにタッチする強さとして表現することも可能である。
【0022】
ドリブル動作の方向及び速度を上記のような操作に基づいて制御することにより、ユーザは、Lスティック14Lにて方向を調整しつつ、R2ボタン15R2の押し込み量を加減することにより、ドリブルの方向や速度を連続的に変化させながらボールを操る感覚を得ることが可能である。例えば、フィールドの中盤にてスペースがあるときに、少しずつ加速しながらパスコースを探すような動作や、ペナルティエリア手前の狭いスペースで守備側の選手の足を交わしつつドリブルを継続するような動作を、操作対象の選手PLに与えることができる。
【0023】
さらに、実際のサッカーでは、ドリブル中の選手が守備側の選手を出し抜くことなどを意図して、ドリブルの速度やボールの蹴り出し量を、それ以前のドリブル動作に対して急激に変化させる技術を用いることがある。このような技術をゲームでも実現するため、本形態では、ボールの蹴り出し量を、R2ボタン15R2の押し込み量に応じて決定されるべき本来的な蹴り出し量に対して一時的に増加させる特別のドリブル動作をR2ボタン15R2の特定の操作によって発生可能としている。以下では、このような動作をチョップタッチ動作と称し、その一方、R2ボタン15R2の押し込み量に応じて制御されるべきドリブル動作を通常のドリブル動作と称して、両ドリブル動作を互いに区別する。
【0024】
図5はチョップタッチ動作が行われる様子の一例を示している。同図(a)は、選手PLがボールBLを足元近くにキープしつつ移動する通常のドリブル動作を行っている状態である。このときのボールBLの蹴り出し量ΔKは、選手PLの移動速度Vに合わせてボールBLが足元付近に維持されるように調整される。この状態からチョップタッチ動作が発生すると、同図(b)に示すように、ボールBLの前方への蹴り出し量ΔKが一時的に増加する。その後、同図(c)に示すように、蹴り出されたボールBLを追うように選手PLが移動してドリブル動作が継続される。チョップタッチ動作が発生した場合、ボールBLが選手PLから一時的に離れるため、守備側の選手にボールを奪われるリスクが生じる。その反面、守備側の選手の意表を突いてその選手を抜き去るといった技術をゲームで用いることが可能である。それにより、選手PLの操作に関するユーザの選択肢が豊富化され、ゲームの興趣が高まる。
【0025】
通常のドリブル動作とチョップタッチ動作とをスムーズに連続させるため、チョップタッチ動作の発生条件は、コントローラ6のドリブル動作に対応付けられた操作部と同一の操作部に対して特定操作を行った場合に満たされるように設定される。上記の例では、ドリブル動作の速度を調整するためのR2ボタン15R2が、チョップタッチ動作を発生させるための特定操作部の一例として設定され、かつそのR2ボタン15R2の押し込み量が所定時間内に所定量以上減少する操作が特定操作の一例として設定される。さらに、特定操作は、R2ボタン15R2が最大限に押し込まれた状態から、ユーザが指を離してR2ボタン15R2を無操作状態へと自己復帰させる操作として設定される。自己復帰は、R2ボタン15R2が、これを無操作状態へと戻すばね力(弾性復元力)で自動的に戻る動作である。なお、R2ボタン15R2に触れたままその押し込み力を解除してR2ボタン15R2を無操作状態に復帰させる操作も特定操作の範囲に含まれる。特定操作における所定量は、R2ボタン15R2の押し込み量が最大値から最小値に減少するときの減少量に相当し、かつ所定時間は、R2ボタン15R2が最大限に押し込まれた状態から無操作状態へと自己復帰するときの時間長に相当する。ただし、コントローラ6の個体差等を考慮し、押し込み量の最大値及び最小値、並びに最大値から最小値へ変化する時間長は適度の余裕、あるいは許容範囲を見込んだ値に設定されてよい。
【0026】
チョップタッチ動作を発生させるための特定操作は、R2ボタン15R2を最大限に押し込まれた状態から無操作状態へ自己復帰させる操作であって、その特定操作が行われた場合には、それに後続するR2ボタン15R2の操作の有無に関わりなくチョップタッチ動作が発生する。このようにチョップタッチ動作の発生条件を設定することにより、ユーザはR2ボタン15R2を最大限に押し込んで選手PLを最高速でドリブル動作させている状態からR2ボタン15R2の押し込み操作を一旦解除するだけでチョップタッチ動作を発生させてボールBLの蹴り出し量を一時的に増加させることができる。この操作に続いて再びR2ボタン15R2を押し込み操作すれば、蹴り出されたボールBLを追いかけてドリブルを続けるように選手PLを操作することが可能である。一方、R2ボタン15R2の押し込み量が最大値に達している状態から、ユーザがR2ボタン15R2を比較的緩やかに離すように操作した場合(R2ボタン15R2が最大限に押し込まれた状態から無操作状態へと復帰するに要した時間長が所定時間を超えている場合)には、チョップタッチ動作の発生条件が満たされず、選手PLのドリブル動作が徐々に減速する。したがって、R2ボタン15R2の押し込み量を減少させる操作の緩急により、通常のドリブル動作における減速と、チョップタッチ動作による蹴り出し量の一時的な増加とを簡単に使い分けることが可能である。
【0027】
R2ボタン15R2の押し込みを一旦解除する操作は、指を離すか、又は押し込み操作力を一時的に抜く操作であってユーザの個人差が比較的小さく、かつ押し込み量が最小値まで減少する時間長も短い。したがって、R2ボタン15R2の連続的な2回の押し込み操作を発生条件として設定する場合と比較して、特定操作の発生条件として見込むべき所定時間も相当に短く設定することができる。そのため、ユーザによる特定操作に対応して、チョップタッチ動作を迅速に発生させることが可能である。しかも、チョップタッチ動作の発生に続くR2ボタン15R2の押し込み操作があれば、押し込み量に応じたドリブル動作の制御へと直ちに復帰することができる。これにより、チョップタッチ動作の前後におけるドリブル動作の連続性を確保し、又は向上させることが可能である。
【0028】
さらに、上記の設定によれば、通常のドリブル動作時のR2ボタン15R2の押し込み量が最大値に達していることがチョップタッチ動作の発生の前提となる。したがって、通常のドリブル動作が最高速に達している状態からチョップタッチ動作が発生してボールBLが一旦大きく蹴り出される。したがって、チョップタッチ動作の前後におけるドリブル動作の変化も相対的に大きくなり、チョップタッチ動作が選手間の攻防、例えばボールBLの奪い合いに与える意外性といった作用効果を十分かつ確実に発揮させることができる。それにより、ドリブル動作の操作におけるチョップタッチ動作の価値を高め、ひいてはゲームの興趣を高めることが可能である。
【0029】
次に、図6及び図7を参照して、上述したドリブル動作の制御を実現するためのゲーム装置2の制御系の構成及びその処理の一例を説明する。図6はゲーム装置2の制御系の概略構成を示している。上述したように、ゲーム装置2はゲーム機本体5、コントローラ6及びモニタ7を含む。ゲーム機本体5は、制御ユニット30及び記憶ユニット31を備えている。制御ユニット30はCPU及びその動作に必要な内部記憶装置、例えばキャッシュメモリ、RAM、フレームメモリ等を含んだコンピュータとして構成されている。記憶ユニット31は制御ユニット30に対する外部記憶装置として機能する磁気記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体を用いた記憶装置である。制御ユニット30には、入力装置の一例としてのコントローラ6と、出力装置の一例としてのモニタ7に加えて、サーバ3や他のゲーム装置2との通信を制御するための通信制御ユニット32も接続される。その他にも、制御ユニット30には、音を出力するためのスピーカユニット等が接続されるが、それらの図示は省略した。
【0030】
記憶ユニット31には、ゲームプログラムPg、ゲームデータDg、及びプレイデータDpが記録される。ゲームプログラムPgは、制御ユニット30の基本的な動作を制御するオペレーティングシステムと協働して、ゲームに必要な演算処理及び動作制御を制御ユニット30に実行させるためのアプリケーションプログラムである。ゲームデータDgは、ゲームの制御において適宜に参照されるべきデータである。ゲームデータDgは、一例として、ゲームにて登場する選手に対いて設定されるべき各種のパラメータの値、選手の名前等の属性の情報、選手の外観を表現するための画像データ等が含まれてよい。プレイデータDpは、ユーザ装置3のユーザによるゲームのプレイと関連付けられたユーザごとのデータである。例えば、ユーザのプレイ履歴、ステータスといった情報がプレイデータDpに記述される。選手のパラメータの値をゲームのプレイ実績に応じて変化させる場合には、パラメータの現在値を示す情報がプレイデータDpに記録されてよい。
【0031】
上述したプログラムPg、及びゲームデータDgは、サーバ3からゲーム機本体5に適宜に配信されて記憶ユニット31に保存される。プレイデータDpは、ゲーム装置2におけるゲームのプレイに応じて適宜に更新され、かつ適宜のタイミングでサーバ3にユーザの識別情報と対応付けて保存される。また、ユーザがゲームをプレイする際にサーバ3に対して認証を済ませると、そのユーザに対応するプレイデータDpがサーバ3からゲーム装置2に提供されて記憶ユニット31に保存される。
【0032】
制御ユニット30がゲームプログラムPgを実行することにより、制御ユニット30にはゲーム制御部35、動作制御部36及び画像描画部37が設けられる。各部35~37は、制御ユニット30のコンピュータハードウエアと、ソフトウエアとしてのゲームプログラムPgとが協働して実現される論理的装置である。ゲーム制御部35は、ゲームを所定の手順に従って進行させるために必要な各種の処理を担当する。ゲーム制御部35は、ゲームにおける対戦の状況等を判別するためのステータスデータDsを生成してこれを制御ユニット30の内部記憶装置に保持させ、ゲームの進行に伴ってステータスデータDsを適宜に更新する。ステータスデータDsには、例えば対戦の進行状況、例えばユーザ及び対戦相手のそれぞれの選手のフィールドにおける現在位置、ボールの位置、試合の経過時間、得点の状況といったように、対戦がどのような状況にあるかを示す各種の情報が含まれてよい。
【0033】
動作制御部36は、ゲーム制御部35の制御に従って動作し、対戦における各選手の動作を演算する論理的な演算部である。動作制御部36は、ステータスデータDsに記述された対戦状況の情報に基づいて、各選手の動作を含む対戦の状況をモニタ7のフレームレートに応じた周期で繰り返し演算する。動作制御部36には、さらに操作対象制御部38及び自動制御部39が設けられている。動作制御部36は、ステータスデータDsを参照して、ユーザの操作対象として設定すべき選手を決定し、その選手の動作を操作対象制御部38に、その他の選手の動作を自動制御部39にそれぞれ制御させる。操作対象制御部38は、ユーザの操作対象の選手の動作を、コントローラ6に対するユーザの入力操作に基づいて制御する。ユーザの選手がボールを支配する攻撃側の選手であった場合、操作対象制御部38はその選手のトラップ、ドリブル、パスといった各種の動作を制御する。一方、自動制御部39は、ステータスデータDsによって示されている対戦の状況を参照して各選手の動作を制御する。その制御はコンピュータを用いた他のサッカーゲームと同様でよい。
【0034】
動作制御部36が演算した選手の動作は、ゲーム制御部35によるステータスデータDsの更新に反映される。画像描画部37はステータスデータDsに従ってゲーム画面100を描画するための画像データをフレームレートに応じた周期で生成し、これをモニタ7に出力することにより、ゲーム画面100をモニタ7に表示させる。
【0035】
ゲーム制御部35及び動作制御部36による各種の制御は、ユーザの操作対象である選手の動作をユーザの入力操作に基づいて制御し、その余の選手の動作を自動的に制御する各種のサッカーゲームにおける制御と基本的には同様でよい。一方、本形態では、選手のドリブル動作の制御に特徴を有する。よって、以下では、ドリブル制御の処理例を説明する。
【0036】
図7は、操作対象の選手がドリブルをしている間、その動作を制御するために操作対象制御部38が一定周期で繰り返し実行するドリブル制御処理の手順の一例を示す。なお、ドリブル中か否かは、一例として、操作対象の選手がボールを支配し、かつユーザがトラップやパスといったドリブルとは異なる動作をコントローラ6の操作を介して指示しない限り、ドリブル中と判断されてよい。図7の処理を開始すると、操作対象制御部38は、まず、Lスティック14Lの操作方向、及びR2ボタン15R2の押し込み量を順次取得する(ステップS1、S2)。次いで、操作対象制御部38は、R2ボタン15R2の押し込み量がその最大値Umax(図4)に達しているか否かを判別する(ステップS3)。最大値Umaxに達している場合、操作対象制御部38は、最大値Umaxの押し込み操作が検出された時点からの経過時間を計測するための計時をその初期値から開始する(ステップS4)。
【0037】
その後、操作対象制御部38は、R2ボタン15R2の押し込み量が最小値Uminに達しているか否かを判別する(ステップS5)。今回の処理で、ステップS3が肯定判断されている場合、ステップS5は否定判断される。ステップS3にて最大値Umaxに達していないと判断された場合、操作対象制御部38はステップS4をスキップしてステップS5に進む。この場合、R2ボタン15R2の押し込み量に応じて、ステップS5は肯定判断、又は否定判断される。
【0038】
ステップS5にて押し込み量が最小値Uminと判断された場合、操作対象制御部38は、ステップS4にて開始された経過時間が所定時間内か否かを判別する(ステップS6)。この場合の所定時間は、チョップタッチ動作の発生条件として設定された所定時間であって、R2ボタン15R2が最大限に押し込み操作された状態から、ユーザが指を離してR2ボタン15R2が無操作状態、つまり押し込み量が最小値Uminの状態に自己復帰するために要する時間を基準として、コントローラ6の個体差等を考慮した余裕を加えた値に設定されてよい。一例として、所定時間は、0.15秒といったごく短時間に設定される。要するに、ステップS6は、R2ボタン15R2の押し込み量が最大値Umaxから最小値Uminまで所定時間内に減少したか否か、言い換えれば、押し込み量に関する減少量が所定時間内に最大値Umaxと最小値Uminの差分に相当する量に達したか否かを判別することにより、チョップタッチ動作を発生させるための特定操作が行われたか否かを判別する処理である。
【0039】
ステップS6にて所定時間内と判断された場合、操作対象制御部38は、ボールの蹴り出し量ΔKを一時的に増加させる処理を実行する(ステップS7)。例えば、チョップタッチ動作の発生条件が満たされたことを示すフラグを設定し、あるいは蹴り出し量ΔKを増加させる補正量を設定するといった態様でステップS7の処理が実行されてよい。ステップS7の処理は、R2ボタン15R2を最大限に押し込まれた状態から無操作状態へと自己復帰させる特定操作が行わることを必要十分条件として実行され、特定操作に後続するR2ボタン15R2の操作の有無は何ら問われない。
【0040】
その後、操作対象制御部38は、ドリブル動作を決定付けるドリブルパラメータの値を決定する(ステップS8)。例えば、ステップS1で取得したLスティック14Lの操作方向に従ってドリブルの方向が決定され、ステップS2で取得したR2ボタン15R2の押し込み量に従って移動速度V及び蹴り出し量ΔKが決定される。この場合、ステップS7にて蹴り出し量ΔKを増加させる処理が実行されているときは、R2ボタン15R2の押し込み量Uに対応して設定されるべき蹴り出し量ΔKに対して、より大きな値となるように蹴り出し量ΔKが決定される。一例として、R2ボタン15R2の押し込み量Uが最大値Umaxであるときの蹴り出し量ΔKmax(図4)よりも大きくなるように蹴り出し量ΔKが決定される。ただし、蹴り出し量ΔKの増分は、ゲーム画面100にてボールが一時的に大きく蹴り出される様子が看取できる限りにおいて、適宜に調整されてよい。
【0041】
一方、操作対象制御部38は、ステップS5が否定判断された場合にステップS6及びS7の処理をスキップし、ステップS6が否定判断された場合にステップS7の処理をスキップしてステップS8に進む。この場合は、チョップタッチ動作の発生条件が満たされていない、言い換えればチョップタッチ動作を発生させるための特定操作が行われていないと判断され、移動速度V及び蹴り出し量ΔKはR2ボタン15R2の押し込み量Uに対応する値(図4の線図によって定まる値)に決定される。ステップS8にてドリブルパラメータの値が決定されると、操作対象制御部38は今回のルーチンを終了する。
【0042】
以上の形態においては、操作対象制御部38が図7のステップS8を実行することによりドリブル制御手段の一例として機能し、図7のステップS5及びS6の処理を実行することにより判別手段の一例として機能し、図7のステップS7の処理を実行することによりドリブル動作変更手段の一例として機能する。
【0043】
本発明は、上述した形態に限定されず、各種の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、特定操作に対応して発生させるべきドリブル動作の一時的な変化は、上述したチョップタッチ動作に限定されない。ドリブル動作の一時的な変化は、特定操作部の操作量に応じて生じるべきドリブル動作と異なるものである限りにおいて、適宜の設定が可能である。例えば、特定操作が行われた場合、移動速度V及び蹴り出し量ΔKのそれぞれを、通常のドリブル動作における最大値Vmax、ΔKmaxよりも一時的に増加させるようにドリブル動作を変化させてもよい。この場合の操作対象制御部38によるドリブル制御の処理手順の一例を図8に示す。
【0044】
図8のドリブル制御では、ステップS1~S6までは図7と同じ処理が行われる。ステップS5及びS6がいずれも肯定判断された場合、つまり、R2ボタン15R2の押し込み量が所定時間内に最大値Umaxから最小値Uminまで減少したと判断された場合、ステップS7Aにて、操作対象制御部38は、移動速度V及びボールの蹴り出し量ΔKを一時的に増加させる処理を実行する。そして、ステップS7Aの処理が実行された場合、ステップS8では、移動速度V及び蹴り出し量ΔKが最大値Vmax、ΔKmaxよりも大きな値に設定される。ステップS7Aの処理は、速度V及び蹴り出し量ΔKの増加を示すフラグを設定し、あるいは増加量又は増加率を補正値として設定するといった態様で行われてよい。図8の例では、操作対象制御部38がステップS7Aの処理を実行することによりドリブル動作変更手段の一例として機能する。
【0045】
以上の他にも、特定操作に対応して、ドリブル動作に各種の一時的な変化を発生させてよい。実際のサッカーでは、ドリブル動作の緩急に対して特異的な動作、例えばフェイント的な動作やボールに特異な動きを与えるといった動作を一時的に加えて守備側の選手を出し抜く技術が用いられることがある。その種の動作をゲーム上で実現するための手段として、本発明のドリブル動作変更手段が用いられてよい。
【0046】
上記の形態では、R2ボタン15R2の押し込み量が所定時間内に最大値Umaxから最小値Uminまで減少したか否かを判別することにより、特定操作が発生したか否かを判断しているが、その判別手法は操作量の変化量(減少量)と時間の両者を検出する例に必ずしも限られない。例えば、R2ボタン15R2が最大限に押し込まれた状態から無操作状態へと自己復帰する際のR2ボタン15R2の速度、あるいは加速度が、他の操作では生じない範囲にある場合には、R2ボタン15R2に対応したコントローラ6の出力信号に基づいてR2ボタン15R2の押し込み量が変化する速度や加速度を検出し、得られた値が自己復帰時に固有の値の範囲内か否かを判別することにより、特定操作の有無を判別することも可能である。
【0047】
特定操作は、特定操作部の操作量が最大値から最小値まで減少する例に限らない。特定操作部の操作量が所定時間内に所定量以上減少する操作であれば特定操作として設定可能である。特定操作を定義付ける所定時間及び所定量は、ドリブル動作の緩急を調整するために特定操作部の操作量を変化させていると見做せる範囲の操作と、その範囲を超えて操作量を急速に減少させる操作とを識別するための閾値として機能する限りにおいて適宜に設定されてよい。特定操作部はR2ボタン15R2に限らず、適宜の操作部が特定操作部として設定されてよい。例えば、レバー、スティック、スライダといった操作量を変化させ得る各種の操作部が特定操作部として設定されてよい。
【0048】
入力装置は、上述したコントローラ6のようにユーザが両手で把持しつつ操作することを前提として構成された装置に限らない。片手で操作するタイプの入力装置、据置側の入力装置等が利用されてよい。入力装置は、物理的な物品として設けられることを必ずしも要しない。例えば、画面上に2次元画像として表示される入力装置の操作部が特定操作部として利用されてもよい。さらに、仮想現実技術等を用いてユーザに立体的に表示される入力装置の操作部が特定操作部として用いられてよい。特定操作部の操作量は、その距離あるいは角度の変位量として検出される例に必ずしも限られない。例えば、圧力に応じて出力信号が変化する感圧式の操作部であっても、その圧力の大小を操作量の大小として評価することにより特定操作部として用いることが可能である。操作量の検出も、特定操作部に接触して操作することを必ずしも必須とせず、カメラや非接触型のセンサを用いてユーザの操作が検出されてもよい。
【0049】
本発明に係るゲームシステムは、クライアントサーバ型のシステムとして構成される例に限らない。ネットワークに接続されないスタンドアローン型のゲーム装置のみによってゲームシステムが構成されてもよい。一方、本発明のコンピュータプログラムは、クライアントサーバ型システムのクライアント側で実行され、あるいはスタンドアローンのゲーム装置にて実行される例に限らない。例えば、サーバ上で実行され、あるいはサーバとクライアントとで分担して実行されるようにコンピュータプログラムが構成されてもよい。
【0050】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0051】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、入力装置(6)に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手(PL)を動作させるサッカーゲームが前記ユーザに提供されるようにコンピュータ(30)を機能させるサッカーゲーム用のコンピュータプログラム(Pg)であって、前記コンピュータを、前記入力装置の特定操作部(15R2)に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段(38、S8)、前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段(38、S5、S6)、及び前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段(38、S7)、として機能させるように構成されたものである。
【0052】
本発明の一態様に係るゲームシステムは、入力装置(6)に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手(PL)を動作させるサッカーゲームをコンピュータ(30)の制御を通じて前記ユーザに提供するゲームシステム(1)であって、前記コンピュータを、前記入力装置の特定操作部(15R2)に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段(38、S8)、前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段(38、S5、S6)、及び前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段(38、S7)、として機能させるように構成されたものである。
【0053】
本発明の一態様に係るゲームシステムの制御方法は、入力装置(6)に対するユーザの入力操作に基づいて操作対象の選手(PL)を動作させるサッカーゲームをコンピュータ(30)の制御を通じて前記ユーザに提供するゲームシステム(1)の制御方法であって、前記コンピュータを、前記入力装置の特定操作部(15R2)に対する操作量が大きいほど前記選手のドリブル動作が高速化されるように、前記特定操作部の操作量に応じて前記ドリブル動作を制御するドリブル制御手段(38、S8)、前記特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われたか否かを判別する判別手段(38、S5、S6)、及び前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作に後続する前記特定操作部の操作の有無に関わりなく、前記ドリブル動作を、前記操作量に応じて前記ドリブル制御手段が生じさせるべきドリブル動作から一時的に変化させるドリブル動作変更手段(38、S7)、として機能させるものである。
【0054】
上記の態様によれば、ユーザが特定操作部に対して特定操作を行うことなく、その操作量を増減させている間は、その操作量に応じてドリブル動作の緩急が変化する。一方、特定操作部の操作量を所定時間内に所定量以上減少させる特定操作が行われると、ドリブル動作が特定操作部の操作量に応じて生じるべき動作に対して一時的に変化する。その変化は、特定操作に後続する特定操作部の操作の有無に関わりなく発生する。したがって、特定操作が行われるとそれに対応する変化が直ちに発生する。操作部の操作量を増加させる追加的な操作を発生条件に取り込む場合と比較して、ドリブル動作の一時的な変化に関する即応性が高まる。そして、特定操作に後続して特定操作部がさらに操作された場合には、その操作量に応じたドリブル動作の制御へと直ちに復帰することができる。この結果、特定操作の前後におけるドリブル動作の変化に関して、ユーザが意図しない動作が介在する可能性を抑制、又は解消してドリブル動作の連続性を確保し、あるいは向上させることが可能である。
【0055】
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0056】
本発明の一態様において、前記特定操作部は、前記ユーザの操作によって変位する操作部材(15R2)を含み、前記操作量は、前記操作部材の変位量に相当するものであってもよい。これによれば、操作部材の変位量を所定時間内に所定量以上減少させる操作を特定操作と位置付けて、ドリブル動作を一時的に変化させることができる。
【0057】
前記操作部材は、前記ユーザによる押し込み操作が可能に設けられ、前記操作量は前記操作部材の押し込み量に相当するものであってもよい。これによれば、特定操作部の押し込み量を所定時間内に所定量以上減少させる操作を特定操作と位置付けて、ドリブル動作を一時的に変化させることができる。押し込み操作の対象となる操作部材は、無操作状態、つまり押し込み量が最小値となる状態へと自己復帰するように構成され、かつ自己復帰に要する時間も短時間であることが通例である。そのため、操作部材の自己復帰と関連付けて特定操作を設定すれば、ドリブル動作の一時的な変化を迅速に発生させることが可能であって、ドリブル動作の連続性の確保、向上に好都合である。
【0058】
前記所定量は、前記特定操作部の操作量が最大値(Umax)から最小値(Umin)に減少するときの減少量に相当するものであってもよい。これによれば、操作量を最大値から最小値まで比較的短時間で変化させる操作を特定操作と位置付けることにより、操作量を増減してドリブル動作の緩急を調整する操作と、特定操作とを明確に区別してドリブル動作を制御することができる。
【0059】
前記判別手段は、前記特定操作部の操作量に関する減少量が前記所定時間内に前記所定量に達したか否かを判別することにより、前記特定操作が行われたか否かを判別してもよい。これによれば、特定操作が行われたか否かを、操作量の変化と、その変化に要する時間とに基づいて確実に判別することが可能である。
【0060】
前記ドリブル制御手段は、前記入力装置にて前記特定操作部とは区別して設けられた方向操作部(14L)の操作に応じて前記選手のドリブル動作の方向を制御してもよい。これによれば、方向操作部の操作によってドリブル動作の方向を調整しつつ、特定操作部の操作によってドリブル動作の緩急を調整し、あるいは特定操作部に対応した一時的な変化をドリブル動作に生じさせることができる。よって、方向操作部と特定操作部とを用いてボールを自在に操りながらドリブル動作を継続する感覚をユーザに与え、それによりゲームの興趣を高めることができる。
【0061】
前記ドリブル動作変更手段は、前記特定操作が行われたと判断された場合、前記ドリブル動作におけるボール(BL)の蹴り出し量(ΔK)を一時的に増加させることにより、前記ドリブル動作を一時的に変化させてもよい。これによれば、特定操作が行われると、ボールが一時的に大きく蹴り出されるようにドリブル動作が変化する。これにより、例えばボールを前方に一時的に大きく蹴り出し、特定操作部の操作量を直ちに増加させてボールに追いつき、ドリブル動作を継続するといったように、守備側の選手の意表を突くような技術をゲーム上で実現することができる。しかも、その変化を迅速かつスムーズに生じさせて当該技術の価値を高め、ひいてはゲームの興趣を高めることが可能である。
【0062】
前記ドリブル動作変更手段は、前記特定操作が行われたと判断された場合、前記特定操作部に対する操作量が最大値(Umax)のときの前記ドリブル動作よりも当該ドリブル動作を一時的に高速化させることにより、前記ドリブル動作を一時的に変化させてもよい。これによれば、操作量に応じたドリブル動作の制御では得られない高速化されたドリブル動作を一時的に発生させることができる。この場合もドリブル動作の変化を迅速かつスムーズに生じさせることができるので、当該技術の価値を高め、ひいてはゲームの興趣を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 ゲームシステム
2 ゲーム装置
5 ゲーム機本体
6 コントローラ(入力装置)
7 モニタ
14L スティック(方向操作部)
15R2 R2ボタン(特定操作部)
30 制御ユニット(コンピュータ)
38 操作対象制御部(ドリブル制御手段、判別手段、ドリブル動作変更手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8