(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097631
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】無線通信システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20230703BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20230703BHJP
【FI】
H04W48/16 135
H04W48/18 111
H04W48/18 115
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213850
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 陵二
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA23
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】 より効率的な無線通信を行うことが可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】 実施形態の無線通信システムは、通信端末と、第1通信網と、第1通信網よりエリアの小さい第2通信網とを用いて、通信端末と通信を行うコアネットワーク装置と、コアネットワーク装置に接続され、第1通信網及び第2通信網の通信状況を監視するサーバ装置とを含む。通信端末は、周波数帯域幅の情報を含む通信要求をコアネットワーク装置に送信する。サーバ装置は、通信要求を前記コアネットワーク装置から取得する。サーバ装置は、第2通信網における周波数帯域幅の使用率が閾値以下である場合、第2通信網を用いて通信を行うように通信端末に通知する。サーバ装置は、第2通信網における周波数帯域幅の使用率が閾値より大きい場合、第1通信網を用いて通信を行うように通信端末に通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と、
第1通信網と、前記第1通信網よりエリアの小さい第2通信網とを用いて、前記通信端末と通信を行うコアネットワーク装置と、
前記コアネットワーク装置に接続され、前記第1通信網及び前記第2通信網の通信状況を監視するサーバ装置と、
を具備し、
前記通信端末は、周波数帯域幅の情報を含む通信要求を前記コアネットワーク装置に送信し、
前記サーバ装置は、
前記通信要求を前記コアネットワーク装置から取得し、
前記第2通信網における前記周波数帯域幅の使用率が閾値以下である場合、前記第2通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知し、
前記第2通信網における前記周波数帯域幅の使用率が前記閾値より大きい場合、前記第1通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知する
無線通信システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記コアネットワーク装置から前記通信状況の情報を取得し、前記通信状況の情報に基づいて、監視動作を行う監視部を含む
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記通信状況の情報に基づいて、前記使用率を判定する判定部を含む
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記使用率が前記閾値以下であるか否かを判定し、判定結果に基づいて通信網を決定する決定部を含む
請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
通信端末と、
第1通信網と、前記第1通信網よりエリアの小さい第2通信網とを用いて、前記通信端末と通信を行うコアネットワーク装置と、
前記コアネットワーク装置に接続されたサーバ装置と、
を具備し、
前記通信端末は、第1通信プロトコルの情報、又は前記第1通信プロトコルと異なる第2通信プロトコルの情報を含む通信要求を前記コアネットワーク装置に送信し、
前記サーバ装置は、
前記通信要求を前記コアネットワーク装置から取得し、
前記通信要求が前記第1通信プロトコルである場合、前記第1通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知し、
前記通信要求が前記第2通信プロトコルである場合、前記第2通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知する
無線通信システム。
【請求項6】
前記第1通信プロトコルは、相対的に遅い転送速度が要求されるプロトコルであり、
前記第2通信プロトコルは、相対的に速い転送速度が要求されるプロトコルである
請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記通信端末は、ユーザデータの通信を行う前に、前記通信要求を生成する生成部を含む
請求項1乃至6の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記通信端末は、前記サーバ装置により前記第2通信網が指定された場合、前記第2通信網を用いてユーザデータの通信を行い、前記サーバ装置により前記第1通信網が指定された場合、前記第1通信網を用いてユーザデータの通信を行う通信部を含む
請求項1乃至7の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第1通信網は、LTE通信網であり、
前記第2通信網は、ローカル5G通信網である
請求項1乃至8の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
無線通信システムの方法であって、
コアネットワーク装置が、第1通信網と、前記第1通信網よりエリアの小さい第2通信網とを用いて、通信端末と通信を行い、
サーバ装置が、前記第1通信網及び前記第2通信網の通信状況を監視し、
前記通信端末が、周波数帯域幅の情報を含む通信要求を前記コアネットワーク装置に送信し、
前記サーバ装置が、
前記通信要求を前記コアネットワーク装置から取得し、
前記第2通信網における前記周波数帯域幅の使用率が閾値以下である場合、前記第2通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知し、
前記第2通信網における前記周波数帯域幅の使用率が前記閾値より大きい場合、前記第1通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線通信システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標)では、超高速(eMBB:enhanced mobile broadband)、超低遅延(URLLC:ultra-reliable and low latency communication)、及び多数同時接続(mMTC:massive machine type communication)を実現するために、第5世代移動通信システム(5G:5th generation mobile communication system)の検討が進んでいる。5Gでは、10Gbps以上のスループットを実現しつつ無線区間の遅延を1ms以下にするという要求条件を満たすために、様々な無線技術の検討が行われている。
【0003】
また、建物や土地の管理者が自前で5Gの免許を取得し、Wi-Fiのように自営網として5Gを利用し、工場などの限られたエリアなら誰でも5G通信事業者になれるローカル5Gも制度化されている。
【0004】
ローカル5Gの構成として、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)のコアネットワークによりLTEの基地局と5Gの基地局とを連携させて動作させるNSA(Non Stand Alone)方式がある。NSA方式では、LTE通信網を制御信号用のアンカーとして用い、ローカル5G通信網を用いてユーザデータの通信を行う。
【0005】
ローカル5Gは超高速、超低遅延、及び多数同時接続を特徴としているが、機能拡張段階の状況で全ての機能を提供できる状況にはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、より効率的な無線通信を行うことが可能な無線通信システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る無線通信システムは、通信端末と、第1通信網と、前記第1通信網よりエリアの小さい第2通信網とを用いて、前記通信端末と通信を行うコアネットワーク装置と、前記コアネットワーク装置に接続され、前記第1通信網及び前記第2通信網の通信状況を監視するサーバ装置とを具備する。前記通信端末は、周波数帯域幅の情報を含む通信要求を前記コアネットワーク装置に送信する。前記サーバ装置は、前記通信要求を前記コアネットワーク装置から取得し、前記第2通信網における前記周波数帯域幅の使用率が閾値以下である場合、前記第2通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知し、前記第2通信網における前記周波数帯域幅の使用率が前記閾値より大きい場合、前記第1通信網を用いて通信を行うように前記通信端末に通知する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの構成を説明する図である。
【
図2】
図2は、無線通信システムの模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した通信端末の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る無線通信システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るサーバ装置の伝送路判定処理を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るサーバ装置の伝送路判定処理を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係るサーバ装置のブロック図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る無線通信システムの動作を説明するシーケンス図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るサーバ装置の伝送路判定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。各機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。各機能ブロックが以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
[1] 第1実施形態
[1-1] 無線通信システム1の構成
本実施形態の無線通信システム1は、NSA(Non Stand Alone)方式の無線通信システムである。本実施形態の無線通信システム1は、第1無線通信エリアを提供する第1通信網と、第1無線通信エリアに含まれかつ第1無線通信エリアより狭い第2無線通信エリアを提供する第2通信網(ローカル通信網)とを含む。
【0012】
第1通信網は、典型的には、LTE(Long Term Evolution)で通信を行うことが可能なLTE通信網である。本実施形態では、第1通信網をLTE通信網と呼ぶ。LTEには、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、及びE-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれる。LTEは、4G(第4世代移動通信システム:4th generation mobile communication system)とも呼ばれる。
【0013】
第2通信網は、典型的には、5G(第5世代移動通信システム:5th generation mobile communication system)で通信を行うことが可能なローカル通信網である。本実施形態では、第2通信網をローカル5G通信網(L5G通信網と表記する場合もある)と呼ぶ。ローカル5Gとは、個人、企業、又は自治体などが限られた範囲で利用するために構築する自営の5Gネットワークである。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム1の構成を説明する図である。無線通信システム1は、通信端末100、第1通信網としてのLTE通信網200、第2通信網としてのL5G通信網300、コアネットワーク装置400、及びサーバ装置500を備える。
【0015】
LTE通信網200は、基地局201を含む。基地局201をLTE基地局と呼ぶ場合もある。基地局201は、セルを提供し、自セルと接続を確立した通信端末と無線通信を行う。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を意味する。
図1には、1つのLTE通信網200に1つの基地局を示しているが、LTE通信網200に複数の基地局が設けられてもよい。
【0016】
L5G通信網300は、基地局301を含む。基地局301をL5G基地局と呼ぶ場合もある。基地局301は、セルを提供し、自セルと接続を確立した通信端末と無線通信を行う。
図1には、1つのL5G通信網300に1つの基地局を示しているが、L5G通信網300に複数の基地局が設けられてもよい。また、LTE通信網200の中に、複数のL5G通信網を備えていてもよい。基地局301は、基地局201に接続される。
【0017】
通信端末100は、セルラ通信を行う機能を有する。通信端末100は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PC(パーソナルコンピュータ)、通信モジュール(モバイルルーターを含む)、又はデジタルカメラなどの撮像装置などを含む。通信端末100は、UE(user equipment)と呼ばれる。通信端末100は、SIM(Subscriber Identity Module)カードを備える。SIMカードには、加入者識別番号(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)などを含む個体識別情報、及び暗号化のための情報などが記憶される。なお、
図1では、1個の通信端末100を図示しているが、実際には、複数の通信端末がLTE通信網200及びL5G通信網300に接続される。
【0018】
コアネットワーク装置400は、基地局201、及び基地局301に接続される。コアネットワーク装置400は、LTE用のコアネットワーク、及び5G用のコアネットワークを構成するための装置である。コアネットワーク装置400は、LTE用のコアネットワーク装置であるEPC(Evolved Packet Core)と、5G用のコアネットワーク装置である5GC(5G Core Network)とを含む。すなわち、コアネットワーク装置400は、NSA方式を実現可能である。
【0019】
コアネットワーク装置400は、通信端末と基地局との間のネットワーク接続を管理する。コアネットワーク装置400は、LTE通信網200及びL5G通信網300に接続された通信端末の認証を行う。コアネットワーク装置400は、認証された通信端末ごとに、サービス種別(周波数帯域幅及び遅延時間を含む)に応じた通信を行う。コアネットワーク装置400は、自身が提供するコアネットワークと外部ネットワーク(インターネットなど)とを繋ぐゲートウェイとなり、ユーザデータの転送を行う中継装置としての機能を有する。本実施形態では、制御信号の通信は、LTE通信網200を用いて行われる。ユーザデータの通信は、LTE通信網200又はL5G通信網300を用いて行われる。
【0020】
サーバ装置500は、コアネットワーク装置400に接続される。サーバ装置500は、コアネットワーク装置400から提供される情報に基づいて、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況を監視する。また、サーバ装置500は、通信状況に基づいて、通信端末が通信を行う伝送路を決定する。
【0021】
図2は、無線通信システム1の模式的なブロック図である。
【0022】
通信端末100は、LTE基地局201と通信を行う。通信端末100は、LTE基地局201と無線の伝送路で接続され、LTE基地局201との間で制御信号及びユーザデータの送受信を行う。
【0023】
また、通信端末100は、L5G基地局301と通信を行う。通信端末100は、L5G基地局301と無線の伝送路で接続され、L5G基地局301との間でユーザデータの送受信を行う。
【0024】
コアネットワーク装置400は、LTE基地局201との間で、LTE通信網200の伝送路を制御する。また、コアネットワーク装置400は、L5G基地局301との間で、L5G通信網300の伝送路を制御する。
【0025】
サーバ装置500は、コアネットワーク装置400から通信状況に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて、通信端末100の通信状況を監視する。
【0026】
[1-2] 通信端末100の構成
図3は、通信端末100の構成を示すブロック図である。通信端末100は、制御部110、記憶部120、通信部130、アンテナ131、入力部140、及び表示部150を備える。制御部110、記憶部120、通信部130、入力部140、及び表示部150は、バス160を介して互いにデータの送受信が可能である。
【0027】
制御部110は、通信端末100の動作を統括的に制御する。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の1つ以上のプロセッサにより構成される。制御部110は、記憶部120に格納されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。
【0028】
制御部110は、通信要求生成部111、及び伝送路設定部112を備える。通信要求生成部111は、ユーザデータの通信を行う前に、サービス種別(周波数帯域幅及び遅延時間を含む)に関する通信要求を生成する。伝送路設定部112は、サーバ装置500の指示に基づいて、ユーザデータの通信を行う伝送路としてLTE通信網200及びL5G通信網300のいずれかを設定する。
【0029】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置と、RAM(Random Access Memory)、及びレジスタ等の揮発性記憶装置とを含む。記憶部120は、制御部110が実行するプログラムを格納する。また、記憶部120は、制御部110の制御に必要な各種データを格納する。記憶部120は、SIMカードの情報を格納してもよい。記憶部120は、ROMやRAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード、及びDVDなどの記憶媒体を含んで構成されてもよい。
【0030】
また、記憶部120は、専用アプリケーション121を格納する。制御部110は、専用アプリケーション121を実行することで、通信要求の生成処理を実行可能である。
【0031】
通信部130は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格に準拠するLTE及び5Gのセルラ通信と、例えばIEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANの通信とを行うことが可能である。通信部130は、セルラ通信と無線LANとのそれぞれのための無線インタフェース(無線I/F)を含み、各無線I/Fは、例えばRF(無線周波数)回路及びベースバンド回路などを含んで構成される。通信部130は、上りリンクの無線信号をアンテナ131へ出力し、アンテナ131を介して外部へ無線信号を送信する。また、通信部130は、アンテナ131を介して外部から下りリンクの無線信号を受信し、その無線信号に含まれるデータを取得することが可能である。アンテナ131は、通信部130の各無線I/Fに対応したアンテナで構成される。
【0032】
入力部140は、ユーザの入力操作を受け付ける。入力部140は、キーボード、マウス、ボタン、及びタッチパネル等の入力装置を用いて構成される。ユーザは、入力部140を用いて、通信端末100に情報を入力することが可能である。
【0033】
表示部150は、液晶表示装置、又は有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の表示装置を用いて構成され、各種のデータを画面に表示する。
【0034】
[1-3] サーバ装置500の構成
図4は、サーバ装置500の構成を示すブロック図である。サーバ装置500は、制御部510、記憶部520、通信部530、入力部540、及び表示部550を備える。制御部510、記憶部520、通信部530、入力部540、及び表示部550は、バス560を介して互いにデータの送受信が可能である。
【0035】
制御部510は、サーバ装置500の動作を統括的に制御する。制御部510は、CPUやMPU等の1つ以上のプロセッサにより構成される。制御部510は、記憶部520に格納されたプログラムを実行することで各種機能を実現する。
【0036】
制御部510は、通信状況監視部511、周波数帯域幅取得部512、通信状況判定部513、及び伝送路決定部514を備える。
【0037】
通信状況監視部511は、コアネットワーク装置400から提供される通信状況に関する情報に基づいて、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況を監視する。
【0038】
周波数帯域幅取得部512は、通信端末100から送信された通信要求から周波数帯域幅を取得する。
【0039】
通信状況判定部513は、コアネットワーク装置400から取得したLTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報に基づいて、周波数帯域幅取得部512が取得した周波数帯域幅におけるL5G通信網300の使用率を判定する。
【0040】
伝送路決定部514は、L5G通信網300の使用率に基づいて、LTE通信網200及びL5G通信網300のうち、ユーザデータの通信に用いる伝送路を決定する。
【0041】
記憶部520は、ROM、HDD、及びSSD等の不揮発性記憶装置と、RAM、及びレジスタ等の揮発性記憶装置とを含む。記憶部520は、制御部510が実行するプログラムを格納する。また、記憶部520は、制御部510の制御に必要な各種データを格納する。記憶部520は、ROMやRAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード、及びDVDなどの記憶媒体を含んで構成されてもよい。
【0042】
通信部530は、コアネットワーク装置400と通信を行う。サーバ装置500とコアネットワーク装置400との通信は、有線であってもよいし、無線であってもよい。また、通信部530は、ネットワークを介して外部と通信可能なように構成されてもよい。
【0043】
入力部540は、ユーザの入力操作を受け付ける。入力部540は、キーボード、マウス、ボタン、及びタッチパネル等の入力装置を用いて構成される。ユーザは、入力部540を用いて、サーバ装置500に情報を入力することが可能である。
【0044】
表示部550は、液晶表示装置、又は有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の表示装置を用いて構成され、各種のデータを画面に表示する。
【0045】
[1-4] 動作
次に、上記のように構成された無線通信システム1の動作について説明する。
図5は、無線通信システム1の動作を説明するシーケンス図である。
【0046】
通信端末100は、LTE基地局201を介して、アタッチ要求をコアネットワーク装置400に送信する(ステップS100)。アタッチ要求には、加入者識別番号が含まれる。コアネットワーク装置400は、アタッチ要求に基づいて、通信端末100の認証処理、及び位置登録処理を行う(ステップS101)。続いて、コアネットワーク装置400は、LTE基地局201を介して、アタッチ完了通知を通信端末100に送信する(ステップS102)。通信端末100は、アタッチ完了通知を受信することで、LTE通信網200、L5G通信網300、及びコアネットワーク装置400と通信可能であることを認識する。
【0047】
続いて、サーバ装置500の通信状況監視部511は、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報を取得するための要求(通信状況要求)を、コアネットワーク装置400に送信する(ステップS103)。通信状況は、周波数帯域幅ごとのデータ通信量(トラフィックともいう)を含む。データ通信量とは、一定時間内に伝送路でやり取りされるデータ量を意味する。コアネットワーク装置400は、通信状況要求に応じて、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報を、サーバ装置500に送信する(ステップS104)。以後、サーバ装置500は、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報を、サーバ装置500から常時、又は所定の間隔で取得する。そして、通信状況監視部511は、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況を監視している(ステップS105)。
【0048】
続いて、通信端末100は、ユーザデータを通信する前に、LTE基地局201及びコアネットワーク装置400を介して、通信要求をサーバ装置500に送信する(ステップS106)。通信要求は、通信要求生成部111により生成される。通信要求は、周波数帯域幅、及び遅延時間を含む。周波数帯域幅が大きくなるにつれて、通信速度(単位はbps)が速くなる。通信を行うための複数の周波数帯域幅は、通信規格で予め決められており、例えば、10MHz、15MHz、及び20MHzなどを含む。また、遅延時間の上限も通信規格で予め決められている。
【0049】
続いて、サーバ装置500は、伝送路判定処理を実行する(ステップS107)。
図6は、サーバ装置500の伝送路判定処理を説明するフローチャートである。
【0050】
周波数帯域幅取得部512は、通信端末100から送信された通信要求から周波数帯域幅を取得する(ステップS200)。
【0051】
続いて、通信状況判定部513は、コアネットワーク装置400から取得したLTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報に基づいて、ステップS200で取得した周波数帯域幅におけるL5G通信網300の使用率を判定する(ステップS201)。使用率は、周波数帯域幅ごとの最大データ通信量に対する現在のデータ通信量の割合である。基準となる最大データ通信量は、任意に設定可能である。
【0052】
続いて、伝送路決定部514は、ステップS201で判定した使用率が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS202)。閾値は、例えば、最大データ通信量の80%などに設定される。閾値は、任意に設定可能である。使用率が閾値以下であるとは、通信量に余裕があることを意味する。使用率が閾値より大きいとは、通信量に余裕がないことを意味する。
【0053】
使用率が閾値以下である場合(ステップS202=Yes)、伝送路決定部514は、伝送路をL5G通信網300に決定する(ステップS203)。一方、通信状況が閾値より大きい場合(ステップS202=No)、伝送路決定部514は、伝送路をLTE通信網200に決定する(ステップS204)。
【0054】
図5に戻り、サーバ装置500は、コアネットワーク装置400に、ステップS203及びS204で決定した伝送路を通知する(ステップS108)。コアネットワーク装置400は、サーバ装置500から通知された伝送路を設定する(ステップS108)。続いて、コアネットワーク装置400は、LTE基地局201を介して、伝送路を通信端末100に通知する(ステップS110)。
【0055】
通信端末100の伝送路設定部112は、ステップS110で通知された伝送路がL5G通信網300である場合、L5G通信網300でデータ通信を行うように通信部130を制御する(ステップS111)。一方、伝送路設定部112は、ステップS110で通知された伝送路がLTE通信網200である場合、LTE通信網200でデータ通信を行うように通信部130を制御する(ステップS112)。
【0056】
以後、通信端末100は、異なる通信を開始するごとに、ステップS106以降の処理を繰り返す。
【0057】
[1-5] 第1実施形態の効果
第1実施形態では、LTE通信網200を制御信号の通信に用いるとともに、ユーザデータの通信をLTE通信網200及びL5G通信網300から選択して通信する。また、L5G通信網300の使用率が閾値以下である場合、通信端末100は、L5G通信網300を用いてユーザデータを通信する。一方、L5G通信網300の使用率が閾値より大きい場合、通信端末100は、LTE通信網200を用いてユーザデータを通信する。
【0058】
従って第1実施形態によれば、LTE通信網200をユーザデータの通信にも用いることができる。これにより、より効率的な無線通信が可能な無線通信システム1を実現できる。
【0059】
また、L5G通信網の通信量が増大して、伝送遅延や伝送エラーが発生するのを抑制できる。
【0060】
[2] 第2実施形態
第2実施形態は、LTE通信網200の使用率と、L5G通信網300の使用率とを比較する。そして、L5G通信網300の使用率がLTE通信網200の使用率より大きい場合、LTE通信網200を用いてユーザデータを送受信するようにしている。
【0061】
第2実施形態において、通信端末100のブロック図、サーバ装置500のブロック図、及び無線通信システム1の動作を説明するシーケンス図は、第1実施形態と同じである。
【0062】
サーバ装置500の通信状況監視部511は、LTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況を監視している。サーバ装置500は、通信端末100からの通信要求に基づいて、伝送路判定処理を実行する。
【0063】
図7は、第2実施形態に係るサーバ装置500の伝送路判定処理を説明するフローチャートである。
図7の処理は、
図5のステップS107に対応する。
【0064】
サーバ装置500の周波数帯域幅取得部512は、通信端末100から送信された通信要求から周波数帯域幅を取得する(ステップS300)。
【0065】
続いて、通信状況判定部513は、コアネットワーク装置400から取得したLTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報に基づいて、ステップS300で取得した周波数帯域幅におけるLTE通信網200の使用率及びL5G通信網300の使用率を判定する(ステップS301)。
【0066】
続いて、伝送路決定部514は、LTE通信網200の使用率とL5G通信網300の使用率とを比較し、L5G通信網300の使用率がLTE通信網200の使用率以下であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0067】
L5G通信網300の使用率がLTE通信網200の使用率以下である場合(ステップS302=Yes)、伝送路決定部514は、伝送路をL5G通信網300に決定する(ステップS303)。一方、L5G通信網300の使用率がLTE通信網200の使用率より大きい場合(ステップS302=No)、伝送路決定部514は、伝送路をLTE通信網200に決定する(ステップS404)。
【0068】
以後、通信端末100は、サーバ装置500により通知された伝送路でユーザデータの送受信を行う。
【0069】
第2実施形態においても、より効率的な無線通信が可能な無線通信システム1を実現できる。
【0070】
[3] 第3実施形態
第3実施形態は、通信端末から提供される通信プロトコルに関する情報に基づいて、伝送路を選択するようにしている。
【0071】
[3-1] 無線通信システム1の構成
図8は、第3実施形態に係るサーバ装置500のブロック図である。制御部510は、通信プロトコル取得部515、及び伝送路決定部514を備える。
【0072】
通信プロトコル取得部515は、通信端末100から送信された通信要求から通信プロトコルの情報を取得する。
【0073】
伝送路決定部514は、通信プロトコルの情報に基づいて、LTE通信網200及びL5G通信網300のうち、ユーザデータの通信に用いる伝送路を決定する。
【0074】
その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0075】
[3-2] 動作
次に、上記のように構成された無線通信システム1の動作について説明する。
【0076】
図9は、第3実施形態に係る無線通信システム1の動作を説明するシーケンス図である。ステップS100~S102の動作は、第1実施形態と同じである。第3実施形態では、サーバ装置500による通信状況を監視する処理は省略される。
【0077】
続いて、通信端末100は、ユーザデータを通信する前に、LTE基地局201及びコアネットワーク装置400を介して、通信要求をサーバ装置500に送信する(ステップS400)。通信要求は、通信要求生成部111により生成される。通信要求は、データを転送するための通信プロトコルの情報を含む。本実施形態では、通信プロトコルは、相対的に転送速度が速い第1通信プロトコルと、相対的に転送速度が遅い第2通信プロトコルとを含む。第1通信プロトコルは、例えば、RTP(Real-time Transport Protocol)である。RTPは、リアルタイムでデータ転送を実現するプロトコルである。第2通信プロトコルは、UDP(User Datagram Protocol)、又はTCP(Transmission Control Protocol)である。TCPは、信頼性の高いデータ転送を実現するプロトコルである。本実施形態では、第1通信プロトコルとしてRTP、第2通信プロトコルとしてUDPを例に挙げて説明する。
【0078】
続いて、サーバ装置500は、伝送路判定処理を実行する(ステップS401)。
図10は、サーバ装置500の伝送路判定処理を説明するフローチャートである。
【0079】
通信プロトコル取得部515は、通信端末100から送信された通信要求から通信プロトコルの情報を取得する(ステップS500)。
【0080】
続いて、通信状況判定部513は、コアネットワーク装置400から取得したLTE通信網200及びL5G通信網300の通信状況に関する情報に基づいて、ステップS200で取得した周波数帯域幅の通信状況を判定する(ステップS201)。通信状況は、周波数帯域幅ごとの最大通信量に対する現在の通信量の割合である。
【0081】
続いて、伝送路決定部514は、ステップS500で取得した通信プロトコルがRTPであるか否かを判定する(ステップS501)。
【0082】
通信プロトコルがRTPである場合(ステップS501=Yes)、伝送路決定部514は、伝送路をL5G通信網300に決定する(ステップS502)。一方、通信プロトコルがRTPでない、すなわち、UDPである場合(ステップS501=No)、伝送路決定部514は、伝送路をLTE通信網200に決定する(ステップS503)。
【0083】
図9に戻り、サーバ装置500は、コアネットワーク装置400に伝送路を通知する(ステップS402)。コアネットワーク装置400は、サーバ装置500から通知された伝送路を設定する(ステップS403)。続いて、コアネットワーク装置400は、LTE基地局201を介して、伝送路を通信端末100に通知する(ステップS404)。
【0084】
通信端末100の伝送路設定部112は、ステップS404で通知された伝送路がL5G通信網300である場合、L5G通信網300でデータ通信を行うように通信部130を制御する(ステップS405)。一方、伝送路設定部112は、ステップS404で通知された伝送路がLTE通信網200である場合、LTE通信網200でデータ通信を行うように通信部130を制御する(ステップS406)。
【0085】
以後、通信端末100は、異なる通信を開始するごとに、ステップS400以降の処理を繰り返す。
【0086】
[3-3] 第3実施形態の効果
第3実施形態では、相対的に速い転送速度が要求されるデータ通信には、L5G通信網300が選択され、相対的に遅い転送速度でのデータ通信には、LTE通信網200が選択される。第3実施形態においても、より効率的な無線通信が可能な無線通信システム1を実現できる。
【0087】
上述した実施形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。また、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、及びDVDなどを用いることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1…無線通信システム、100…通信端末、110…制御部、120…記憶部、130…通信部、131…アンテナ、140…入力部、150…表示部、160…バス、200…LTE通信網、201…基地局、300…ローカル5G通信網、301…基地局、400…コアネットワーク装置、500…サーバ装置、510…制御部、520…記憶部、530…通信部、540…入力部、550…表示部、560…バス。